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青春はお腹の中に(無料公開部分)

青春真っ盛りである17歳、高校2年生。これは、私のアオハルの思い出である、  私春香17歳。所謂青春の真っ最中、だそうだ。とは言われているものの、私は、教室の窓際で静かに本を読んでいる毎日。部活もやってないし、特別光り輝いているという訳では無いだろう。ただ私は、あまり大声で言えない特技…というか特性があるのだ。 ざっくりと言うと、大食いである。それも、良くテレビで出てくるような大食いタレントが、何故ああやってもてはやされているのかよくわからない位だ。お腹いっぱいという感覚は分からないし、本当に出された料理は今まで全部平らげてきた。数キロ単位の食事なんて当たり前である。 一度、お母さんにねだって、お腹いっぱいになるまでご飯を食べさせて欲しいとお願いしたところ、絶対に身体を壊すから。お願いだからこれ以上食べたいなんて言わないで。と言われた。  体型は普通…少し痩せてるかなって位だ。でも、他人を見ていて分かるのだが、私の食事量は一般人が卒倒するレベルであり、それで太らないなんて、絶対に身体のどこかがおかしいのだろう。  散々友達からも羨ましいだの言われてきた。別に私も、人並みの食事でも生きていくことはできるのだ。すぐにお腹が減ってしまうが、命に関わることじゃない。  そんな事よりも、深刻な悩みがある。 日頃から何キロという食事をしているせいなのか分からないが、味覚に対する感情が何も無くなってきてしまっているのである。お父さん曰く、お母さんの手料理はとても美味しい。でも私はそんな手料理のご飯を食べても、そこら辺のファミレスのご飯を食べても、美味しいと言う感情が湧かなくなってきているのだ。段々表情も無表情になっていき、いつしか近寄り難い雰囲気の人間になってしまった。  何故なんだろう。自問する日々。私は一つの仮説に辿り着いた。  「私は、お腹いっぱいになりたくて食事をしている」 下校中、一人で声が出てしまった。それくらい、私の中では納得できた。 お腹いっぱいにならないのであるなら、どんなに美味しいとされるご飯を食べても、私の中では等しく質量と同じ。胃に入れば同じと感じているのではないか。お腹いっぱいになるほどのご飯ではないなら、何を食べようが同じだと思っているのではないか。 教師が黒板の板書をしている間も、ずっとそんなことを考えていた。 「佐藤さん、好きです!付き合ってください」 廊下での思考を妨げられた。なんだ、雄か。好き?私を? 少し体勢をそいつに向ける。綺麗に頭を下げ、手をこちらに向けている。所謂告白のポーズ…とやらか 「…」 暫く沈黙が続いた。気まずくなったのか、向こうから追加で言葉を発した。 「佐藤さんのそのミステリアスな魅力に魅了されましたあ!大好きです!」 嘘告ではないようだ。私、そんな美人なのか? 「ごめん。悪いんだけど、君のこと好きにはなれないと思う。それに、私はもっと大事なことが事があるの」 一匹の雄の青春を灰色に濁したことに思考を割くわけにはいかない。だが気づけば行きつけのラーメン屋さんに座っていた。決して多くない小遣いを持って、いつもの5キロラーメンを啜る。 食べ終わり、帰路に着こうとする。店を出てすぐ、同時に店を出た男から声をかけられた。 「ねえお嬢さん、大食いってやつ?凄いね」 「すみません、急いでるので」 「その顔全然余裕そうじゃん。」 「…お金あるからさ、奢らせてよ?何件でもいいよ」 耳元で男がそう囁いた。その瞬間、鋼の心がふっと揺さぶられた。思わず足を止める。 バッと男の方を向き、真剣な視線を向ける 「嘘じゃないんですね?」 もしかしたらこの男は、今のドライな私を変えてくれるのかもしれない…そう感じると咄嗟に声に緊迫感が出てしまった。 「ああ。どこでも良いさ」 交渉は成立した。とはいえ、私は行きつけのラーメン屋以外、まともに外食をしたことがなかった。そもそもどこが美味しいのか、全く検討がつかなかった。男は好きなとこ行きなよと行ってくれてはいたが、肝心の私がこれだ。なので結局、彼に連れられるがまま、色んなチェーン店に連れ回された。 シチュエーション等お気に召しましたら、ご支援いただけると全文を読むことができます。こちらの作品はR18コンテンツにつき、pixivへの全文の投稿はしない予定です。


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