限界飯活
Added 2023-11-27 06:39:45 +0000 UTC私は今、都心の膨繁華街に来て待ち合わせをしている。相手はとある特殊性癖向けのデリヘルというかレンタル彼女というか、だ。 特殊性癖というのは、大食いのこと。もとい大食いをして膨らんだお腹…膨腹というものだ。どういう訳か、そういう性癖のサービスが充実している。食べ歩きのデートサービスで、食べ歩きをしたい地域と女の子を指定すると、胃袋自慢の女の子達がその場にやってくる。 「お待たせしましたー。本日はよろしくお願いします」 ご指名されて待ち合わせ場所にやって来たのは結菜さん。僕よりも少し年上だが、年相応のオトナの魅力のある雰囲気だ。身体のラインが強調されるヘソだしスタイルのたてセタにジーパン、相当スタイルには自信があるようだ。 「よろしくお願いします。」 「あ、よろしければ、タメ口でも大丈夫ですよ?」 「いえいえ、敬語が良いです」 「そうですか。では、どちらのお店で食べますか?」 このサービスでは女の子に食べさせる量に応じて料金が変わる。1キロあたりの単価は1万円程。基本的には1件1キロでお願いをしているが、食べ放題の店の場合は女の子が食べた量に関わらず3万円と決まっている。 まずはラーメン屋、丼屋、海鮮屋、カレー屋と連れ回し、4キロほど食べさせた。ジーパンのチャックは外し、お腹も膨らんできた。 「ごちそうさま…ふう…あ、触りたければご自由にどうぞ?」 お腹を軽く撫でた。このサービスは女の子によってキャパシティがかなり前後する。女の子の反応を見て食べさせるのをやめるかを選ぶのが定石。 結菜さんは4キロほど食べているが、全くの平常心を保っている。余裕そうだ。このくらいはどの女の子も食べる事が出来る。この時点でキツそうな娘程、若くて超可愛い娘だったりする。 「結菜さんはかなり食べれる人なんですね。じゃあ、次食べ放題いきますか」 「わあ!楽しみです!」 るんるんで食べ放題の焼肉店へ向かい、120分コースをお願いした。 僕は結菜さんに気持ちよく食べてもらうために焼きに専念していた。焼肉ご飯を4杯もおかわりし、120分という時間いっぱいまでひたすら焼肉を食べまくっていた。でも食べ方はものすごく綺麗で、口に吸い込まれていく白米や焼き肉を見ているだけで満たされた気分になった。 食べ放題が終わる頃には、机いっぱいに空き皿が積まれ、お皿を取りにきた店員さんがビビっていた。 「ふう…美味しかったです♡…あ、少しお手洗いに行ってもよろしいですか?お化粧直さないと」 勿論承諾。お会計も済ませて飴ももらって結菜さんを待っていた。 一方トイレでは、壁にもたれかかってお腹をさすっている結菜さんが。 「…結構食わせてくるなあ…ゴゲェェェェップ!!」 「…やっすい焼肉だけど、120分も食えば8キロくらいか…?結構来るなあ…今月ピンチだし、もう一件気合い入れるぞお…」 苦しそうにお腹をさすっている。お客の前では苦しそうにしないタイプのお嬢のようだ。今日だけで12キロ食べている。大きく前に膨らんできたお腹は、フードファイターがテレビで見せていたお腹と比べても全く遜色がない。すごい。 結菜さんがお手洗いから出てきた。もう12キロとか食べているのではないだろうか?途中、ギブアップでもするかと思っていたが、全くペースを落とさずに食べ進めていた。経験上、どんなに食べる子でも、この量までが頭打ちだ。女の子が自分の脚で帰れなくなってしまうからだ。 「美味しかった〜♡お腹触ります?結構すごいですよ?」 本人の言うとおり、このサービスでやって来る女の子の中では相当なキャパシティの持ち主だ。まあ、この量まで食べさせる機会もそうはない。 お腹をポンポン叩いて、ヘソから背中までを撫で回す。 背中まできっちり胃袋が拡張している。相当前へとお腹も出ているはずだが、それでも俄然存在感を放つ胸は流石のバストである。ジーパンもチャックを全開にしていて、少しお腹の脇に目をやると白いパンツが露わになっていた。 「…もう終わりですよね。結菜さん凄い。これからも頑張ってください」 「…実はですね?お客様は本サービスご利用1万人目なんです」 「え?」 「なので、お客様は特大サービスでございます!最後もう一件だけ食べます!」 「え!?だ、大丈夫なの?」 「はい!勿論!」 (結構キツイけどなあ!上からそうしろって言われてんだよおおお!) 「じゃ、じゃあ…どうしよう…」 最後の一件として選ばれたのは、すき家だった。 (…よし、すき家ならキング食ってもギリギリいけるぞ…) ただ、男が頼んだのは、スペシャル牛丼全部乗せという意味不明なネーミングセンスの牛丼。通常の並盛りの10倍の白米の量に加えて、牛丼の具と、うなぎとかすき家にトッピングとして載っているもの全てが全部丼に乗っている丼だった。普通に大食いチャレンジとして使われる量の丼だ。 (…げ!しまった…そういえばすき家ってうちらのサービスと提携したメニュー出してるんだっけ…それがこれかよ…) 「美味しそう♡いただきます!」 心の中の絶望は絶対に表に出さず、終始笑顔で振る舞い続けた。一応、丼の半分くらいまでは、ペースを落とさずに食べることができた。半分気合いである。既に相当お腹は苦しかった。ただ半分くらい食べ終わってから、急速に箸の進みが遅くなっていった。 「結菜さん…大丈夫…ですか?」 既に全身汗ばんで、半分身体が痙攣したように小刻みに揺れ始めた。笑顔で誤魔化すのも限界かもしれない。 「…ケフッ…あ、あの…またお手洗い行っても…?」 「あ!どうぞどうぞ!」 辛うじて自分一人でトイレに入る事は出来た。扉を閉じた途端、すぐに扉にもたれかかり、お腹をすごい勢いでさする。 「きっっっつ!!やばい…吐きそ…普通に…死ぬ…あー!焼肉下がれ〜!お願いだからお腹伸びてよ!お願い!食べなきゃ…お給料もらえないの…」 少し上下にジャンプをして、胃の中身を下げようとしていた。 お腹をポンポン叩いて、どうにか胃の中身が寄ってくれないかと模索していた。 「ゴゲェェェェップ!…入れ…入れ…お願い入って…」 5分。ほんの5分経った時には、既に席に戻り、丼を見つめていた。 「結菜さん…お腹いっぱい…なんじ…」 「大丈夫です!大丈夫ですから!…ウッ…食べれ…ます。大丈夫です…」 明らかに大丈夫な人の様相では無かった。呼吸は過呼吸気味で、目はずっと丼を凝視していて、凄い勢いで汗をかいていた。縦セタも汗ばんで気持ち悪そうだ。 …ダメだ…残り半分とはいえ丼を見るだけで…意識が遠のいて… しかしプロ根性で丼を掴み、レンゲを口元に添えた。 「無理しないでくださいよ?」 「大丈夫…大丈夫…」 グワっと大口を開けたと思ったら、次の瞬間には残りの丼全部を一気に口の中にかきこんでいた。 お会計を済ませ、店を出た。締めの挨拶のようなものをして、これでサービスは終了だ。…何度でも言うが、結菜さんは絶対に大丈夫ではない。そのため凄く心配だが…これは利用の上での約束なので、ここでお別れだ。 「そっ…それ…では…」 「…はい。結菜さん。今日は本当にありがとうございました」 「あり…がとうございま…したあ…」 お腹を抱えてヨロヨロと去っていく結菜さん。全身汗ばんでいて顔色も悪く、笑顔こそ辛うじて作れているものの、本当に辛そうだ。1万人目とか言って、大体16キロくらい食べてしまった。最後の方はエロいとかそういう感想じゃなかった…まあ、おかけで明日も仕事を頑張れそうではある。結菜さん、大丈夫かなあ… 今にも吐きそうな衝動を笑顔で隠し通しながら、少し速足で駅へと向かう。お腹をさするのも危険な状況だ。 (ヤバいヤバいヤバい…腹破裂しそう!!) なんとか電車に乗り込んだが、電車の揺れでお腹の中身も刺激されて、吐き気がもの凄いことに。顔もひきつって笑顔で隠せなくなってきた。 最寄駅に到着。駅から徒歩5分の貸アパートの扉を開け、ベッドに倒れるように腰を下ろす。焼肉店が終了した時点で感じていた満腹感から限界を超えた食事量。今にも破裂してしまいそうな膨張感が全身を襲っていた。上のセーターも脱いでブラだけの状態になった。 薄い過呼吸のようなものでしか呼吸ができない。お腹をさするために触れることすら危ないと本能的に察し、片腕を壁、もう片方で口を抑えた。 (営業成績一番いいからってサービスでこんだけ食ってこいとか抜かしやがって…こちとら死にそうだぞ…) (胃がピキピキいってる…食道に入れた丼がまだ胃の中に入ってない…) グルルル!グゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!! 結菜の胃袋からは必死な消化活動に応じた消化音が凄まじい音量で鳴っていた。消化活動の動きの度に胃がピキピキ痛んだ。だが結菜にとって最悪な事に、胃の中から何かが湧き上がってくるような衝動がどんどん胃から食道へ上がってきた。 (まずい…吐くのはだめ…げっぷだとしても…今この状況はだめ…出すなら下にしてよお願い…!) 口を全力で抑えて口を開かないようにした。今は口を開けた途端、嘔吐だとしてもげっぷだとしても、胃の中のものが嘔吐として誘発されてしまう… 数分ほどその吐き気になんとかして耐えていたが、胃の痛みはますます大きくなって、胃が破裂してしまうと直感した。 ブブォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!! 都合よくできた身体である。上から出せないと判断した途端、下から屁として空気を出した。出した瞬間、膨らむ場所がなくなっていた胃袋が、それまで空気が入っていた腸を押しのけて内部で広がり、少しだけ余裕ができた。 「…うっ…はあ…はあ…はあ…」 目線をベッドにやると、ベッドと床が自分の汗でびちゃびちゃになっている。 グルグルと鳴り続ける胃袋。少し余裕が出来たとはいえ、未だに油断ならない状況だ。先週利用客から貰った胃薬を飲んだ。ムカつくがかなり効く胃薬なのだ。 床にある私宛の封筒を見た。今月の給与明細だ。 14万円程振り込まれていた。 私は週4〜6日、この仕事をしている。安すぎるくらいだ。掃除もまともに出来ていない部屋を眺めながら、スマホの画面を見た。 友人から結婚式のお誘いが来ていた。 返信をし終わる頃には涙が出ていた。 私も気がつけばアラサーである。彼氏なんていないし貯金もまともにない。ただ無駄に膨れた食後のお腹を撮影し、SNSだったりに上げて、人の反応を楽しむだけ。 クソみたいな生活をしている自覚はあった。稼いだ金もすぐホストの男と酒に使ってしまう。 (明日はシフトを抜いている。休みだから…今からネットフリックスでも見ようかな…お腹まだ大きいから出歩けないだろうし…) お腹も徐々に楽になってきた。気がつけば、スナック菓子の袋を開けていた。