海までのドライブ(fff/f)
8月の連休。
土曜日の朝。一泊二日の着替えや、海で遊ぶための水着、日焼け止め等を持ってアパートの前で待機していた。
朝から雲ひとつない快晴。
今日は麦わら帽子にワンピースを着ているが、何だか子供っぽくないだろうかと心配になる。
9時頃、遠くから大きめの車が走ってきた。
そして、ゆっくりと私の前で止まる。
運転席には美保さんが、助手席にはカナさんが座っている。
助手席の窓が開いて話しかけられる。
「おはよ!荷物トランクに乗せちゃって!」
「おはようございます!わかりました!」
レンタカーで借りた8人乗りのワゴン車。
トランクを開け、ボストンバッグを空いているスペースに乗せていると…
「やっほー!葵っちおはよ~!」
「わっ!?アケミさんそこにいたんですか!」
3列目のシートに隠れていたアケミさんに驚かされる。荷物を積んで後部席の扉を開けると…
「葵ちゃんおはよ~…」
「レミさんおはようございます!」
2列目の奥側にはまだ眠たそうなレミさんが座っていた。その隣には美紗さんが座っている。
美紗さんが少し詰めて真ん中に座り、そのスペースに乗り込んでドアを閉める。
「よし♪これで全員揃ったからゆっくりドライブ始めるね♪」
「美保さん運転ありがとうございます!よろしくお願いします!」
「いいのいいの♪葵ちゃんもゆっくりしてていいからね」
本当であれば一番新入りである私が運転をしないといけないと思うのだが、正直車の運転は苦手である。
美保さんは運転が好きとはいえ、先輩に任せっきりにするのは何だか申し訳ない気持ちだった。
チラホラと住宅のある通りを車が進んでいく。
海岸のある場所までは約1時間くらいで着いてしまう。
信号待ちのところで、美保さんが皆に話しかける。
「ねぇ、皆もう朝ごはん食べた?」
「私は少しだけ食べてきたわ」
「私はまだ食べてないです」
「うちもまだ~」
「……むにゃむにゃ……」
「私も…まだです!」
朝食を食べてきたのはカナさんだけの様子。
レミさんは気持ちよさそうに涎を垂らして寝ている。
「じゃあ少しコンビニ寄りましょうか♪多分この先山道を通るから、今のうちにお手洗い済ませてといてね」
車は広い駐車場のあるコンビニへと入っていく。
「ほら、レミ着いたよ~!こちょこちょこちょ」
「んぁっ!……あれ、ここどこ?」
「コンビニだよ♪朝ごはん買いに行こうね~?」
「うん…ふぁぁっ……ねむぃ…」
美紗さんは、まるで母親のようにレミさんの面倒を見ている。その仲良さそうな姿を見ていると…
「うんうん、分かるよ。私には分かる♪」
「ひゃっ!?あ、アケミさん…何がですか…?」
後ろからポンとアケミさんに肩を組まれる。
何を理解ったというのだろう…?と不思議な顔をしていると、耳元で囁くように口を近付けられる。
(葵ちゃん、レミっちのこと好きなんでしょ~♡)
「はひっ!?ち、違いますよ~!」
予想外の言葉に思わずドキドキと焦ってしまう。
「あら、なになに?どうかしたの~?」
私が変な声を出したのを聞き付けて、カナさんも近寄ってくる。
「カナ~聞いて、実は葵ちゃん…んぐっ!?」
「な、何でも無いです!気のせいです!今日はいい天気ですね~カナさん!」
「そ、そう……?そうね……!」
咄嗟に手が動いて、アケミさんの口を塞いで黙らせてしまった。私がレミさんのことを好き…?好き……??
その後、コンビニに入る前にアケミさんは(誰にも言わないから安心してね♪)とウィンクをしてきた。
何だか変に誤解されているような気がする……
記憶が飛んでしまうくらいアケミさんをこちょこちょすれば治るだろうか?
ひとまず気を取り直して、ペットボトルの水やサンドイッチなど軽食を買っておくことにした。
「ねぇねぇ葵ちゃんー」
「レミさん!どうしたんですか?」
近くでおにぎりを見つめていたレミさんに声をかけられる。何か悩んでいるのだろうか?
「おにぎりの具、何が一番好き?」
「う~ん…明太子ですかね」
「じゃあそれにしてみよ♪ありがと!」
明太子おにぎりとお茶を手に取ってレジに並ぶレミさん。普段よりもボーイッシュな私服も相まって、不覚にもドキドキというか母性本能をくすぐられるような感覚になった。
「葵ちゃんそのワンピース可愛いね♪よく似合ってるよ」
「ほ、ほんとですか!?ありがとうございます♪」
レジ横にあるコーヒーメイカーでアイスコーヒーを淹れている美保さんに、不意に褒められてびっくりしてしまう。
今日は初めてのプチ旅行で、いつにもまして新鮮な雰囲気。職場の仲間というより、僭越ながら女友達6人で旅行しているような気分だった。
「奥にイートインあるから、食べてから出発しましょうか」
コンビニのイートインコーナーは空いていて、私たち以外お客さんは居ないようだ。
テーブル席に座り、朝ごはんの時間になる。
向かいにはアケミさん、カナさん、美保さん。
私の隣にはレミさん、その横に美紗さんが座る。
「レミちゃん昨日何時に寝たの~?」
「ん~…多分3時過ぎ…寝れなくてついゲームしちゃった…海着いたら日陰で昼寝します…」
美保さんからの質問にも、まだ眠たそうに答えるレミさん。そんなレミさんに、カナさんは「昼寝してる間に砂に埋めて足裏こちょこちょしてあげようかしら…」と真剣に考える降りをして脅えさせていた。
「あ、そう言えばスイカ割りするんですよね?もう車に積んでるんですか?」
「うん♪クーラーボックスの中に入れて持ってきたよ~」
アケミさんが準備をしてくれていたらしい。
海に着いてから何をするか、今のところはスイカ割りくらいしか決まっていない。事前情報によると海の家があり、パラソルや浮き輪の貸出もしているそう。
もちろん、お酒やかき氷、軽食もあるらしい。
「葵ちゃん何だか楽しそうね♪ニコニコしちゃってどうしたの?」
「実は複数人で海に遊びに行くの初めてで…何だか合宿みたいで楽しいんです♪」
つい本心から溢れた素直な言葉に、空気が優しく、柔らかくなった気がした。
「そうね♪今日はめいっぱい楽しみましょうね♪」
「はいっ♪」
和やかな朝ごはんの時間を終えて、車に戻る。
アケミさんの誘導もあり、今度は二列目の真ん中に私が乗り、その左右にレミさんと美紗さんが座る。
車はゆっくりと走り出していく。
レミさんは少し目が覚めたのか、スマホでゲームをし始めていた。
後ろからアケミさんにポンポンと肩を叩かれ、振り返ると何やらアイコンタクトとジェスチャーをされる。
(大丈夫大丈夫♪私が責任取るから♪)
(え、えぇ~じゃあ…)
イヤホンをしてゲームに夢中になっているレミさんの首筋を、一瞬だけ素早くこちょこちょっとくすぐってみる。
「んひぃぃっ!?」
情けない声で反応してしまうレミさんに、助手席にいるカナさんから「え?誰の声~?」っと振り返っていた。
「ねぇ~?葵ちゃん~?人が集中してる時にいきなりくすぐってくるなんてどういうつもりかなぁ?」
「ち、違いますよ~レミさん!アケミさんが…」
アケミさんに助け船を求めるも…
「ん~?私は何もしてないけど??きっと葵ちゃんはレミちゃんに構って欲しくてそんなことしたんだよね~?」
「え、えぇっ…!?」
「葵ちゃん~~?私のレミに手を出すなんて…いい度胸してるね?」
「…私は美紗の物になったつもりは無いんだけど……」
後部座席がざわざわとし始め、美保さんから「喧嘩はやめてね~?」と一度注意が入る。
「とにかく、このままだと私の気が済まないわ」
「葵ちゃんはそんなに私に構って欲しかったのかな~?そんなにくすぐられたいんだね~?」
左右から美紗さんとレミさんに指をワキワキ見せつけられ、思わずブルブルと身悶えてしまう。
「くすぐりやすいように席倒しちゃったら?」
「アケミ、ナイスアイデア♪」
二列目のシートを限界まで後ろに倒されると…
「はい、捕まえた~♪」
「ちょっと…アケミさんっ!話が違うじゃないですかぁ…」
両手を万歳させられ、手首をしっかりと握られて固定されてしまう。上からニヤニヤと顔を覗き込まれて悔しい…
「そう言えば葵ちゃん、ノースリーブのワンピース着てきたってことは腋の下くすぐられたいっていう意味だよね?死ぬほどお返ししてあげるからね」
「じゃあ私は脇腹のツボ責め地獄にしてあげる。言っとくけど手加減できないかもしれないからね?」
私から見て左側に美紗さん、右側にレミさんがいて、ゆっくりと指先を身体に近付けてくる…
「ご、ごめんなさいごめんなさぃぃ…だ、だめっゆ、許してぇぇっ…もうしませんから…!」
「だめ~♪ほぉら、こちょこちょこちょこちょ~♪」
「あひぃぃっ!?んぁぁぁぁっあはっ!?ぁぁぁぁっいひゃっぁぁぁぁぁぁっわ、腋だめぇぇぇっぁぁぁぁっあはっぁぁぁぁぁっくひゅぐったぃぃっぁぁぁぁぁっあはははははははははははははは!!れ、レミさんゆるひてぇぇぇっぁぁぁぁぁぁぁぁっあはははははははははははは!!!!」
レミさんの器用な指先が腋のくすぐったい窪みをカリカリこちょこちょと容赦なく責め始める。腋の開いたようなワンピースを着て来たことを一瞬で後悔させられるほどのくすぐったさに、我慢できず車内で思いっきり笑い狂ってしまう。
「葵ちゃん、私もいるってこと忘れてないよね?ほぉら、脇腹こちょこちょこちょこちょ~♪」
「んぁぁぁぁぁっ!?ぎゃぁぁぁっいひゃぁぁぁぁぁぁたまあはっぁぁぁぁぁぁぁっあはっぁぁぁぁっあははははは!!じぬぅぅっいひゃぁぁぁぁっくひゅぐっだぃぃぃっぁぁぁぁぁぁぁっひゃめでぇぇぇっぁぁぁぁぁっあはっぁぁぁぁぁっあははははははみ、美紗さんゆるじでぇぇぇっ!!!」
脇腹へのくすぐり責めが得意な美紗さん。
くすぐったいツボを的確に探り当てられ、5本の指先でグニグニと程よい力加減で揉み込まれてくすぐられる。
決して痛みはなく、純粋で暴力的なまでの本気のくすぐったさに一瞬で泣かされて死ぬほど笑わされてしまう。
「葵ちゃんよかったね~♪レミちゃんにこちょこちょしてもらえて嬉しそうな顔してるよ」
「ぁぁぁっひ、ひてなぃぃぃっぁぁぁぁっあ、アケミさん助けてぇぇぇぇっぁぁぁぁっあひぃぃぃっぁぁぁぁっくるじぃぃぃっぁぁぁっあははははははははは!!!」
「おっけ~♪でも両手塞がってるから…」
アケミさんは私の耳元に唇を近付けて…
「ふ~~っ♪」
「んにゃぁぁぁっ!?ぁぁぁっや、やめっぁぁぁっあひぃぃっぁぁぁぁぁっんぁぁぁぁっおかひくなるぅぅっ!!」
「あはっ♪今ネコちゃんいた!?可愛いね~♪葵ネコたんよしよししてあげたいくらい♪」
耳の中に息を吹きかけられ、思わず身体の力が抜けて変な声で鳴かされてしまった。
美紗さんの脇腹責め、レミさんの腋の下への容赦ないこちょこちょ。そしてアケミさんの耳責めによって、身体の力も抜けて段々と体力も無くなり始めた頃……
「ちょ~~っと騒がしいなぁ?運転に集中できないから静かにしてもらえるかしら?」
ピタッ…とくすぐっていた指先が止まる。
赤信号で停車して、後ろを振り返っている美保さんと目が合う。
(あ、怖い…めちゃくちゃ怒ってる……)
「ご、ごめんなさい美保さん…葵ちゃんもごめんね?」
「…私もやり過ぎちゃった…ごめんなさぃ…」
「う、うちも…調子乗り過ぎました…ごめんなさぃ…」
美紗さんもレミさんもアケミさんも、一瞬で反省したようにシュンと大人しくなる。
座席のリクライニングも元の位置に戻され、ようやく一呼吸を取れる。
「はぁっ…はぁっ…く、くすぐったすぎて死ぬかと思いました……」
「よしよし……」
レミさんに頭をよしよして撫でられ、少しだけ気分も回復した。美紗さんもやり過ぎたと後悔しているのか、優しく看病するかのように接してきていた。
その後はくすぐり合うこともなく、山道を軽快に車が進んでいき気が付くと目の前に海が見え始める。
「皆、もうすぐ着くよ~♪」
蒼い海に、キラキラと白く輝くような砂浜が見え始めると、車内のテンションは再び高揚した雰囲気になるのであった。
続きのお話(約12,000文字)

時刻はまだ午前11時前。 広い駐車場に車を停めて荷物を下ろす。 外に出てみると、太陽も高く上がってカラットした空気。時折吹く浜風から海の香りがした。 「海~!早く行こうよ~!」 「そんなに慌てなくても海は逃げないよ~♪」 一番はしゃいでいるのはレミさんだった。 まずはパラソル等を借りるため、コテージに向か...
栞
2024-08-15 15:09:41 +0000 UTCtoshi0325monst
2024-08-15 13:18:01 +0000 UTC