"女性が男性をくすぐりで支配する"f/m至上主義の国。政府による教育方針の基、義務教育期間において幼い頃から男の子は女の子にくすぐりによって躾られ、逆らえない身体に調教されていく。
そのため、力が強くなろうとも成人になろうとも女性に反抗することはできない。会社の中では部下や同僚、上司の女性にこちょこちょとくすぐられ、家庭を持っている男性であれば妻や娘にまでくすぐりの練習台にされる人生を送ることになる。
また、最近では最高学府である国立大学の教育学部教授__咲宮奈白(さきみやなしろ)の著した本が話題を呼んで一大ブームとなっている。
彼女が書いた『生意気男子のしつけ方』という本には、タイトル通り家庭や学校で反抗期を迎える男子や、女の子の言うことを聞かない生意気な男の子を効果的にしつけをして誰でも簡単に"調教"を行う方法が解説されている。
一般向けに平易な文章で書かれた本であり、教育関係者や"調教師"、"拷問師"といった国家資格者から子供を持つ主婦まで幅広く手に取られ、書店での売上も好調だという。
内容を簡単に要約すれば、「男の子の恥ずかしいところを徹底的にしつけをする」。つまり、男性器のくすぐり方や亀頭責めを推奨するような内容である。
男の子の大事なところを、拘束されて抵抗できない状態で女性にこちょこちょとくすぐられたり亀頭を優しく責められるとあっという間に素直になって反抗期も治まるという地道な臨床実験に基づいたデータを踏まえており、家庭で行う際の注意点等もきちんと説明されている。
"亀頭責め"がブームとなったことで、産業の面においても好影響が出ている。元々は女性向けのストッキングを製造していた中小企業が、ローションストッキング亀頭責めに特化したストッキングの研究開発を始めており注目を集めている。
さて、今回は咲宮が教鞭を取る大学でのお話。
今やカリスマとなった彼女の受け持つ研究室に入りたい学生は多く、教育学部の人気も高まっている。
その中で、他の学生との厳しい競争を勝ち抜いて4月から念願の咲宮ゼミに配属された1人の男子生徒がいた。
憧れの教授の下で学べると胸を高鳴らせていた彼だったが、徐々に__小さな不信感を抱くようになる。
やがてそれは、大事件にまで発展しかけるが_?
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大学に入学する前から、教育を学びたいと考えていた。父親は高校教師。母親は小学校の先生。
両親が教師の家庭で育てられたためか、幼い頃から自然と勉強をしていたように思う。学校の成績も良く、クラスどころか毎年のように学年で1位。
都内でも有数の進学校から、難なく国立の最高学府に進むことができた。先生や両親は理系を勧めていたけれど、「咲宮教授の下で学びたい」と意志を変えることは無かった。
"くすぐり教育の天才"と評される彼女は、20代という異例の若さで教育学部の准教授に登り詰め、数々の論文や著書を出版している新進気鋭の研究者だ。
テレビ番組にも出演したこともあり、物腰柔らかで知的な美人女性といった雰囲気を醸し出していた。
そこから、自分にとって憧れであり、目標ができた。大学受験の時には毎日18時間以上勉強を続ける傍ら、彼女の論文や本、出演している動画に目を通していた。
そうして自分を奮い起たせ、無事に主席で入学。
もちろん、入学してからも学業に手を抜くことは無かった。
3年生から憧れである咲宮教授のゼミに入るため、1年の内から優秀な成績を修め続けていた。
2年生の春頃、咲宮教授は一冊の本を出した。
『生意気男子のしつけ方』というタイトルの本で、出版されるやいなや大ヒット、大ブームを巻き起こしている。
大学の生協書店でも飛ぶように売れており、構内のベンチでその本を読んでいる学生の姿もよく見かける。
誰にでも分かりやすく明快に書かれてはいるが、その内容は画期的なものであった。
これまで政府によって扇動され教育の現場で長らく主流であった、"女の子が男の子をくすぐりで躾をする"という方針から派生して、"女の子が男の子の恥ずかしいところを躾する"という内容のものだ。
ある種、タブーであった"男性器"への責め。
なぜこれまで教育に用いられてこなかったかというと、国家資格者である"くすぐり拷問師"の特権であるという風潮があったからだ。
それを、咲宮教授はいとも容易く破壊して改革、いや、革命を起こしてしまった。
子供から主婦まで、誰でも簡単にできる亀頭責めや、性器へのくすぐり。この著書の基となっている研究論文を読んでみると、中学生から成人男性の各年代において、反抗期や女性に生意気な態度を取る男性は"全員"更正して女性に逆らえない素直なMになったというデータが出ていた。
ある日、咲宮教授が"政府高官の女性"に呼び出しを受けたという噂があった。詳しくは分からないが、どうやら著書の内容について審議が行われたらしい。
後日、政府から"くすぐり拷問師"国家資格試験に「亀頭責め」の項目が正式に追加されるという発表があった。
これを受けてマスコミや経済も大きく動いた。
ローションやストッキング、さらには大人のおもちゃを製造する会社、大手拘束具メーカーの株価も軒並み上がっている。
もちろん、大学内での影響もあった。
彼女の研究論文や著書がもたらした効果により、来年4月より准教授から教授のポストへ昇格するという。
嬉しさを感じる反面、「これは…さらに勉強を頑張らないといけない」と危機感を持った出来事であった。
"今や大学の顔と言っても遜色は無い、カリスマ天才美人教授"などと週刊誌や新聞、マスコミの影響もあり、咲宮教授の講義には大学外からの人も数多く押し寄せ、正式に講義を受講している学生しか講義室に入れないよう警備員が配属される異常事態になっていた。
だけど、自分のやることは変わらない。
2年生でも前期後期と優秀な成績を取り続ける。
そうして、いよいよ迎えたゼミ配属が決まる時期。
咲宮ゼミを希望する学生は、筆記試験に加えて面接が行われることとなった。
流石に人気の教授だ。
志望するライバルの数もかなり多い。
聞いたところによると、理系から教育学部へ転部を希望する学生も数人いるのだとか。
朝9時から行われる筆記試験。
午前中は専門科目1時間30と、語学試験1時間30。休憩時間は15分。長丁場になる一日だ。
既に答案用紙は配り終わり、後3分程で開始だ。
直前になり、咲宮教授がやってきた。
教卓の前に立ち、挨拶をするようだ。
「え~皆さん!おはようございます!沢山の方が私のゼミを希望してくださっているようで、嬉しく思います。今から筆記試験ですが、肩の力を抜いてリラックスして挑んでくださいね~♪」
片手の指先をワキワキと動かす仕草を見せる咲宮教授の行動に、「おおっ…!!」と驚いたような嬉しいような、歓声が一瞬沸き起こった。
すぐさま試験監督が、「皆さんお静かに!あと10秒で試験が始まります!私語の無いようにお願いします!」と注意を呼び掛ける。
チャイムが鳴り、試験開始。
問題を見てみると、全5問の全て記述式だ。
え~っと…問題は…
「最近出た話題の"本"に書かれていることについて、自分の意見を述べなさい。」
本とはもちろん、『生意気男子のしつけ方』を指している。何十回と繰り返し読み、教授の講義でも触れられていたことだ。簡単なふるい分けのサービス問題だろう。
他には…かなり専門的な知識が要求される問題が3問。教育学の最新論文や、学会誌にまで目を通していないと恐らく満足に記述できない難問だけれど、良い問題だった。
最後の1問は、「咲宮ゼミで自身が研究したいテーマについて」か。これは想定済みの問題だ。
集中力を保ち、時間の許す限りびっしりと答案用紙に解答を記載していく。
気付けばあっという間に試験終了のチャイムが鳴る。答案が回収され、枚数が揃っていることが確認されて休憩に入る。
後ろの方から、
「あ~難しかった…」
「終わったぁぁ1問目と5問目しか書けなかった…」というような声が聞こえてきた。
お手洗いを済ませると、あっという間に次の試験が始まる。
今度は専門科目の語学試験。
英語、ドイツ語、フランス語から2科目を選び、それらの言語で書かれた文章を和訳する問題だ。
海外の研究書や論文もかなり目を通してきた。
有名どころが来ると予想していたが、見たことのない初めての内容だ。内容はもちろん、くすぐりや教育学についてのもの。…この文章…もしかして……?
いや、ひとまず集中して試験を終わらせることを意識。英語とドイツ語を選択し、試験時間を30分余らせて残りは見直しに充てたり、フランス語の方にも目を通していた。
**
午前の筆記試験が終わり、1時間のお昼休憩になる。
「ふぅ…終わった……」
ようやく一息ついて肩の力を抜く。
しかし、まだ午後には咲宮教授との面接が残っている。
講義室に残り、持参していた弁当を広げる。
うぅ…緊張して喉が通らない。
咲宮教授と話したことはある。
講義中は積極的に発言を行い、講義後には毎回質問をしに行ってアピールしている。
答えるのが難しいと思われる質問にも、「良い質問ですね♪それはね、~というのがあって…」と即答で返してしまう咲宮教授。自分よりも遥かに頭の良い教授から質問をされて、うまく答えられるだろうかと少しばかり不安になる。
お弁当を食べ終え、まだもう少し時間がある。
他の受験者を見倣って、教授の書いた"本"を参考書のように、何度も何度もパラパラと意味もなく見返していたのだった。
そうして時刻は13時15分。
試験官が現れ、名簿順に面接を行っていくようだ。
この教室にいるのは大体30人程。
1人大体5分くらいと考えると、所要時間は2時間30分ほど。
午前中のような緊張感はあまり無く、午後になると皆それぞれ本や論文を読んだりと自由に過ごしていた。
そうしてあっという間に、自分の名前が呼ばれて別室へと向かう。
コンコンコン、とノックをする。
「失礼します!」
「どうぞ~♪顔が固いよ~?ほらほら、緊張せずに入って入って!!短い時間だけど、よろしくね?」
「はい!よろしくお願いいたします!」
表情明るく気さくに話しかけてくれる咲宮教授のおかげで、少し緊張がほぐれてくる。
向かい合うようにして椅子に座る。
「水野くんだよね。いつも私の講義を真剣に聞いてくれてありがとう♪午前中の試験はどうだった?難しかったかな?」
「少し難しかったですが、手応えはあります!」
「おっ♪流石だね~♪君の成績も確認したら、GPAも満点の成績。ぜひ私のゼミに来てくれたら嬉しいな♪」
「え!?ほ、ほんとですか!?ありがとうございます!」
勝った__これは合格間違いないだろうと、思わず笑みが溢れる。しかし、この後咲宮教授が放った言葉に思わず戸惑いを隠せないでいる。
「ん?もう一度言うとね、"覚悟"を見せて欲しいの。私のゼミに入りたいんだよね?昔から憧れてくれていたんだもんね?じゃあできるはずだよね?」
思いもよらない質問…いや、"試練"に、少し躊躇する。
_『この場で私におちんちんを見せてくれる?』
さらっととんでもない事を口に出す教授。
抵抗はある。そういう"本"を書いた人だというのは、頭で分かっていた筈なのに、いざそれが自分に向けられるとは思いもよらなかった。
しかし…断ってしまえば…ゼミに入ることは叶わないだろう。覚悟を決めるしかないようだ。
「分かりました…」
椅子から立ち上がり、ズボンのベルトを外す。
意を決して下半身はパンツ1枚になり、それを脱ごうと手をかけるが…
「はい、そこまで~♪ほんとに脱がなくていいよ!!うん、君は"合格"だよ。正式な結果は後日になると思うけれど、期待してていいよ♪じゃあ面接は以上で終わりです。気を付けて帰ってね♪」
「ぇ…ぁっ…はぃ……ありがとうございました…」
驚きと、複雑な気持ちでいっぱいになる。
まだ頭と心が付いていかない…。
急いでズボンを履き直して、部屋を後にしたのであった。こうして、咲宮ゼミ試験の1日が終わった。
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試験から3日後、学内で使うメールアドレスに『結果通知』が届いていた。
深呼吸をして、開封する。
「…よしっ!!合格だ!!!」
下宿先のアパートでガッツポーズを取る。
ずっと憧れていた…念願の咲宮教授の下で学ぶことができる。4月からきっと、夢のような楽しい生活が始まる。
春休み真っ只中である3月。
この時はまだ、気楽に胸を膨らませていた。
_これから、"絶望の未来"が待ち受けているとは知らずに。
続く