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土装番
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機械の侵食 6話 世界へ広がる機械だけの幸せ 4/?

 彼女達の背後から声をかけてきたのは、雰囲気としては到底このスラム街に居るようには見えない、身なりの整ったやや体躯の大きい筋肉質の男だった。  後方にはおそらく停めたばかりであろう車両が見える。どうやら、通りすがりの男性らしい。  腰には護身用らしき拳銃が見え、常に警戒心をしっかりと抱いている様子。  男性は、目を凝らすように目を細めて、二人に近づいていく。 「なんだ……? こんなとこにこんなエロい女がいやがんのか。天使でも降りてきてんのか?」  近づくほどに目に入ってくる、ゴミ捨て場には相応しくないような極上の女体。だがその分、なぜこんな場所にいるのかという疑問がより強くなる。  怪しげに思いながら、腰の拳銃に手を当てつつ距離を縮める。  聡美は、下手に何か勘付かれたりしないように硬直し、じっと男の動向を観察し続けた。  そして、それまで身体のごく一部しか見えていなかったエミリーの姿が見えると、男はぎょっとその場で驚いた。 「おっと! こりゃひでえな……ここまでボロボロにされたら再利用もできやしねえ」  鉄パイプが突き刺され、女性器が取り出され、耳や鳩尾からスパークが生じ、ガクン、ガクンと規則的に痙攣を起こしている女性型アンドロイド。  男は酷くボロボロになっているエミリーの姿、そしてその隣にいる全裸姿の聡美をそれぞれ何回か見返し、ここにあるのは棄てられたセクサロイドなのだと判断した。 「けど、こいつらセクサロイドみてえだな……はは、こりゃいい。こっちはもうボロボロだが、こっちはまだまだ使えそうじゃねえか」  男は、エミリーのことをゴミ程度にしか感じていなかったが、そのすぐそばにいる聡美に視線が移った。  見たところ身体は無事で、ただ動いていないだけのように見える。 「へへ……俺が使ってもいいし、なんなら売り飛ばしてもいいかもな」    これならば、セクサロイドとして好き勝手に扱えるだろう。  予想外の所でとてつもない儲けものをしたと思いながら、男は早速棄てられたセクサロイドの感触を確かめようと、豊満な胸を揉みしだき始めた。 「……………………」  口をぽかんと開き、振り向いている最中の表情で、誤魔化すために動かなくなった聡美だが、現状はただ動かないフリをしているだけで、人格エミュレートは普通に動作している。  胸を揉みしだかれることで快楽信号が発信され、電子頭脳がそれを処理していく。  停止しているならば、たいした反応も見せないはずだが、聡美は胸を揉まれ続けたことで乳首が固くなり、先端から乳液が溢れ始めた。 「おっと、こいつミルクまで出せるのか。かなり良いセクサロイドじゃねえか」  男は興奮の度合いが一気に引き上がり、揉みしだき乳首が主張し始めた右乳を咥え、漏れ出る乳液を吸い始めた。  甘噛みされることで新たな快感が引き出され、より乳液が放出される。表情はずっと変わっていないが、身体の方には処理結果が素直に現れていた。 「……美味いけどなんかミルクとは違うな。なんだこれ? おっと、ちゃんと濡れるんだなこいつ」  若干違和感を覚えるが、このエロい身体を楽しめるんならまあどうでもいいかと思いつつ、今度は股間の方へと視線が向く。  声や表情が変わる気配は無いが、女性器はとろとろと濡れている。  こんなにエロいのに、なんでこいつらの持ち主は棄てたんだ勿体ないと思いつつ、男はクリトリスを指で弄りながら、膣内に容赦なく指を挿れた。 「……………………」  ぐちゅぐちゅと指を前後させて膣壁を引っかくと、乳首が震えて乳液の漏れ出る量や、人工愛液の溢れる量が増えていく。  だが、喘ぎ声や身体が動く様子はない。もしかしたら、こういう壊れ方したからいらなくなって棄てたのか? と男は考察した。  女性器弄りに一通り満足し、指を抜いて軽く舐めてみると、ぬるぬるとしているだけで味は全く感じられない。  やはりこういうところはアンドロイドだと思いながら、男は聡美の腹部を肩に置き抱え、停めてある車両の方へ持ち去ろうとした。  機械なだけあって普通よりも重たいが、それでも男にとっては誤差の範疇。  このまま持って帰って一通り楽しんだら売っぱらってしまおう。そう思いながらこの場を立ち去ろうとしたその時、彼の背後から、がちゃがちゃと激しい物音が聞こえてきた。 「えっ、壊れてたんじゃねえのかよ!?」  慌てて男が振り向くと、そこには人工愛液を女性器から垂らしながら、下半身だけ起き上がっているエミリーの姿があった。  しばらく放置され、動作に影響を及ぼす破損箇所の自動修復が済んだ上、彼女の周りに落ちていた無数のガラクタを修復剤にして、通常よりも早く再度の自律動作が可能な状態まで回復していた。  フラフラと下半身がふらつきつつ、ようやくバランスが整ったとばかりに動きが止まると、人間ではまず非常に厳しいであろう上半身だけの力で起き上がった。  穴の空いた下腹部からは、ピンク色の肉筒と子宮ユニットが、未だ冷めやらぬ快楽信号を楽しんでいるかのようにぶるっ、ぶるっ、とバイブの如く振動している。  ネジが外れかけているようなフラフラとした首。彼女の顔は、恍惚に染まった笑みを浮かべながら、左眼が正面に固定され、右手が細かく上下左右に忙しなく動いていた。  そして、視線が男の方へ固定されると、エミリーは動かない口からスピーカーからの音を出した。 「あーーーーーーきき、気持ちよか、よかったったったった。これが、がが機械、の身体のきもちよ、気持ちよさな、なのね。きもちいい、あはっ、もっと早く、こ、こうなって、こうなってて、てれ、てればよかったのに」  首はまだ完全に正面を向いていないが、視線だけが男と聡美を捉えている。上半身はまた少しだけ後方に仰け反っており、その姿勢のまま、エミリーは一歩一歩、男の方へ近づいてきた。 「な、なんだこのガラクタ!? 無茶苦茶な動きしてやがる!? ゾンビじゃねえんだからよ!」  心の奥底から、得体のしれない身の危険を感じた男は、その場に聡美を放り捨て、腰の拳銃を取り出し銃口を向けた。 「あら、ちょっtttttt、聡美を、聡美を聡美をををを、なにしてるのしてるのよ。あたしの聡美聡美をををあっ、あっ、聡美ををを……」  言動のノイズや無茶苦茶な繋がりが酷く、何を言っているのかまともに聞き取れない。  とにかく、何か根源的な恐怖を感じる。これ以上取り合ってはまずいのではないか。  一瞬にして性欲いっぱいの心持ちが恐怖に塗り替えられた男は、近づいてくるエミリーの顎下に銃口を向ける。  そして、足止めの為に引き金を引いた。  弾丸は顎下の人工皮膚を突き破り、頭部内へと侵入。頭蓋内の眼窩辺りで弾丸は停止。電子頭脳まで貫通することはなかった。  その衝撃は直接電子頭脳に伝わり、さらに顎下眼窩までの内部機構や配線が傷ついたことで、生じたエラーが快楽信号に変わり、より子宮ユニットと膣ユニットを振動させた。 「あ、あ、あ、あ、あ、認識、あたし、のの、のの、認識が、弾丸が、箇所頭部眼球、ががが、あ、あっ、あっ、あっ、ました。確認です、あたしの、きもちちちちいいい……」  怯んでいる気配はない。むしろ、弾丸を撃ち込まれたことをとても喜んでいるようだ、  表情は変わっていないが、音声のピッチが機械的に高くなっているのが、自然とそう感じさせた。   「き、気色悪い……! な、なんだよこのセクサロイド!?」  男は、こんなのと関わったから確実に不味いことになると本能的に感じ取り、最後に一発、牽制として脚の関節部に弾丸を撃ち込んでから逃げようとした。  だが、その前にエミリーが右手を正面に差し出す。  次の瞬間、指の第2関節部が蓋のように開き、その奥から銃口が姿を見せた。  男は驚く間も与えられず、指から放たれた無数の弾丸に貫かれ、絶命し倒れ込んだ。  指からは煙が漂い、放たれた弾丸の分、アナルからぽろぽろと薬莢が溢れ落ちた。  機械の身体に生まれ変わったことによる、異星の技術を用いた変形機能。彼女はわずかな間に学習し、初めての変形から使いこなしてみせたのだ。  男が息を引き取ったところで、やっと動けると判断した聡美が立ち上がり、少し仰け反った姿勢のエミリーへ近寄っていく。  そのような姿勢でも、両乳房が乳首を固くしながらハリを保っている姿に、聡美は密かに子宮を疼かせた。 「え、エミリーさ……あっ……起動しても大丈夫な、なんですか……?」 「ええ、だだだ、大丈夫よ、聡美。現在あたしは、ままま、まだ、言語回路へのいい異常、異常が発生して、発生しています、だけど動作は、かか可能、可能よ、です、だから可能よ」  エミリーは、指を閉じて震える右手で、左の眼窩へ指を突き入れ、ずるりと眼球を引っ張り出した。  それから、空いている左手で眼窩奥まで指を入れ、穿るように頭部内を漁り、指二本で撃たれた弾丸を引っ張り出した。 「こんな、こここと、ことされたら前は、死んでたのの、のに、のにね。でも、こうして稼働できてて、ttttttるんだから、あたしは、正常です、機械化して本当によか、よか、った、った、わ」  取り出した弾丸を、左耳の奥へ押し込み、修復機能の足しにしていく。  話している間にも、エミリーの機能は少しずつ戻っていく。表情も正常に表出できるようになり、音声にも違和感が無くなり始めた。  だがそれでも、まだ音飛びのような現象は起きているようだ。 「さ、そろそろここから出まし、しょうか。こうやって生まれかか、変わったんだから、そろそろ、抜け出したた、たい、たいわ」  少しずつ閉じていく下腹部の穴。まだ空気に晒されている膣ユニット部分が、まだ彼女が快感を覚えていることを露わにしている。  人間社会の尺度ではなく、それを超越した能力を得られた上、美しかったかつての、またはそれ以上の身体を得られたことで、スラムにいる理由のなくなったエミリーは、今すぐにでもこの場所から出たいと思考していた。  そしてそれは聡美も同じ。このままではまだまだトラブルに巻き込まれそうだと演算結果を算出していた。 「私も同感です。けど、その前に……」 「ん、どうし、ししたの?」 「はい、少しやっておくことがあって。まさかエミリーさんに出会うとは思ってなかったからそれが蔑ろになっちゃってたんですけど」 「じゃあそれ、をををを、してかしてかららね。何をするの?」 「それは途中で説明しますね。何か使えるものがあればいいんですけど……」  真っ直ぐ歩く全裸の女性と、少々ふらふらと覚束ない所々穴の空いている全裸の女性。  ゴミ捨て場から出口の方を目指して歩いていると、そういえばと現状で非常に使えそうなものが目に入った。 「そういえば、あの男が停めたらしい車がありましたね」 「へえ、そんなのあ、へえ、そんなななな、あったのね。じゃあ、ありかたく使わせてもららら使わ使いましょ」  男が使用していた車両に飛びつき、早速物色を始める2人。  聡美は車両内を、エミリーは後方のトランクを物色する。 「エミリーさん! これ電気自動車ですよ! 私達に接続して使えます」 「ほら、聡美、服がああ、あったわ、あったわ。ニオイが少しききき気にな、検出。なるけど、繋ぎとしてはここ、これ、これで充ぶサイズ大きいわね仕方な、ななな」  まず手に入れたのは、ひとまずの気休めとしての衣服類。  上下両方あったのは運が良かったが、男とのサイズが、全然違うのもあって、余裕がありすぎるほどにブカブカだった。  ともかく、修復しきれていない箇所や肌が隠せればそれでいいと、臭気成分の検出を気にしながらも、ひとまずの肌着を手に入れた。  そして聡美は、この車が電気自動車ということに気がついた。  ガソリンが必要な車両だったら難しいところだったが、電気自動車ならば自分達と接続することで半永久的に動力を確保できる。  さらには、制御系統をハッキングし造り変えることで性能を瞬間的に向上させ、地球上のどの電気自動車よりも自由に運転可能な代物にする。  まさに、天から授かった道具というほかなかった。  二人は早速車両の制御システムを乗っ取って鍵を開け、内部から穴を開けて自身と車両を接続。  無線有線どちらでも車両と繋がれるように改造し、機械同士一体となった。  これで、二人はハンドルを持たずとも運転が可能となった。 「そういえば、エミリーさんって運転できるんですか?」 「ええ、昔撮影で、ひひひつ必要、だだ、だから、だから取得した、したわ」 「あ、あの映画ですね! あの時のエミリーさん本当にかっこよかったですよ!」 「ありがとうございますありがと。でも、まだ修復が終了しし、してい、していません、ないだから、聡美がが、お願い、お願い、したいわ」  運転席にエミリー、助手席に聡美が座る。  エミリーは未だわずかに不規則な痙攣を起こしており、まるで冷却液漏れのごとく人工愛液がシートにぽたぽたと溢れている。  雑談しながら自動車が少しずつ起動され、同時に自動運転システムとエミリー自身が接続される。  咄嗟にお願いを聞いた聡美が、補助機体として自身も無線接続を行い、目立たないように万全の体勢を整えた。  そして、聡美とエミリーは棚ぼた的に手に入れた足を使って、スラム街のゴミ捨て場から外へと踏み出した。  安全運転を保ちつつ、車両の各部に備えられたカメラが、新しい彼女達の目にもなる。 「それで、聡美、しなきゃいい、いけ、いけないこと、ってなんだだだ、ったの?」 「はい。まずはスラム街の方から機械化を広めてほしい、ということです。私のマスターに命令されまして、下層の方から広めていけばいつしか手を付けられなくなるほどに広がるだろうって」 「なるほど、一理あるわね、るわね」 「けど、その最初がまさかエミリーさんだったなんて……なので、それをちょっと仕込んでから出ようかと」 「へえ……じゃあ、あたしもtttちょっと付き合うわ。聡美ががが、あた、しを助け、てくれた、んだし」 「ほ、ほん…………ありがとうございます」  聡美は驚きを抑えて、すっとお礼を口にした。  聡美側が言葉を続ける前に、遮って次の疑問をぶつける。 「それで、その後はどうする、るの? まさか、それをする為だだ、だけに来たわけじゃないでしょ?」 「あはは……さすがエミリーさん。鋭いですね。私はその後……この国のビッグテックのサーバーをハッキングします。そうするように命令されました」  エミリーは咄嗟に音声のボリュームを下げて、大声で大きく驚いた。 「はぁ!? 嘘でしょ!? それ本気なの!?」 「本気です。私達の身体は、そのビッグテックのテクノロジーよりも圧倒的に進んでいて、私達は手を出せば簡単に掌握できる程度……だとか。だから、この星で覇権を取っているらしいサーバーを確保して、それを味方につけられれば、どこからでもバックアップが取れますし、地球上の人々を機械化してあげる大きな一歩になると」  エミリーは、ただただ言葉を失うが、出来ない気はしなかった。  外星からもたらされた機械の身体にはそれだけの可能性がある。未だに快楽信号が続いているのが、よりその気にさせてくれる。気持ちよくて仕方がない。  そんな身体になれるなら、そのレベルの技術にフォーマットされるなら、地球上の人類もその方が幸せではないか。  エミリーの思考は、ペリメイズ人に組み込まれた行動原理プログラムに従い変化していた。 「…………そうね、あたしもそれに賛成よ。みんなが機械の身体になれば、幸せいっぱいだもの」 「そうですよね! その為にもしっかり頑張らないと!」  二人は、外星人に仕込まれたプログラムのもとで改めて意気投合し、機械であることの幸せを広める為に足を進める。  その為に二人はまず、外へ出るための様々な準備を進めていくことにした。


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