XaiJu
ドーン
ドーン

fanbox


【小説】魂を捕食する男 ~必殺のボディブロー~


「あれ?茶葉が無いわ……」


 お茶を淹れるために給湯室に入った日ノ瀬 響子(ひのせ きょうこ)は、茶筒の中身を覗いて呟いた。


「倉庫に買い置きしたのがあるんじゃないの?」


 横でお湯を用意していた同僚の女が、響子の呟きに応えた。

 実はこの二人、社内ではツートップと呼ばれる人気のある美人社員で、彼女たちが笑顔でお茶を差し入れしてくれることを楽しみにしている男子社員はかなり多いのだ。


「う~ん、今から取りに行ってからだとかなり遅れるわね」


 倉庫は少し離れた場所にあるので、総務で鍵を受け渡しする手間も考えたらかなりの時間のロスになる。

 

「お茶でなくても構わない人に先にコーヒーを出しておくから、ゆっくり行ってきなさいよ。今はそんなに忙しい時期でもないから、誰もうるさく言わないわよ」


 同僚にそう言われた響子は少しの時間考え込んだ後、頷く。


「そうね……じゃあ悪いけど取りに行ってくるから後はお願いね」


「うん、任せて」


 響子が給湯室を出るのを確認すると、何故か同僚の女は笑みを浮かべてスマホを取り出し、いずこかへメッセージを送る。

 そして隠してあった新しい茶筒を取り出すと、何事も無かったかのようにお茶を淹れ始めたのだった……。




 総務で鍵を受け取った響子は、真っすぐ倉庫に向かう。

 そして鍵を開けて中に入る。

 用事が終われば直ぐに出るつもりなので、ドアは開けたままにしておいた。


「えっと、茶葉は日用品のところかな?」


(カチャリ!)


 大体の見当を付けて探し始めようとした時、背後でドアが閉まり鍵の掛かる音がした。

 振り向くと見覚えのある男子社員が立っていて、黙ったままこちらを見ていた。

 どことなく不気味な感じがして、わずかな間も黙っているのが辛くなってきたので、響子の方から先に口を開いた。


「……えっと……あなたも何か探しているの?」


 とりあえずそう声を掛けてみると、男は何を思ったか、ヘラヘラと笑みを浮かべる。


「ああ、探しモノね。うん、目当てのモノは目の前にあるけど」


 そして、ゆったりとした動きで近づいてきた。

 その様子に異様なモノを感じて、響子は壁際まで後ずさる。

 だが男には獲物をじっくりと追い詰めるような迫力があった。


「ち、近寄らないで!」


 逃げ場が無いと悟った響子は、せめてもの抵抗で、女性にしてはかなり強烈な平手打ちを2発、男にぶちかます。

 それを受けて男の顔が左右に揺さぶられるが、再び女の顔見据えて笑みを浮かべる。


「へへっ、気の強い女、大好きだぜ」


 響子の剣幕に構わず男は更に近づくと、右の拳を握り、それを突き出して響子の腹をめがけて突き出す。

 だがそれは、女性相手であることを考慮しても、大してダメージを与える威力があるように見えなかった。


「え?なにこれ?全然、効かな…うぇ!!!」


 受けた響子も一瞬、拍子抜けしたが、突然、寒気を感じたかと思うと、胸の奥に何かが搔き集められるような感覚に襲われ、それが喉からこみ上がって来た。

 やがてそれは白くて濃いモヤようなモノとして響子の口から湧き出てくる。

 それと同時に彼女の顔から表情が消え、目も焦点を失い、虚空を見つめ始める。

 男はすかさず顔を近づけて口で女の中から出てきたモヤを全て吸い込むと、じっくりと味わうように咀嚼し始めた。


「はぁ~うめぇ!やっぱ女の魂は美味いな!その呆けた綺麗なお顔も最高の肴だぜ!」


 呆然とした表情のまま固まって棒立ちの状態になった女の体の前で、男は楽しそうに笑い始めた。


『必殺のボディブロー』……男がそう名付けたこの技を受けた相手は、己の魂を吐き出してしまい、後には魂の抜けた肉体だけが残る。

 そしてこの男は人の魂をしゃぶって味わうのが趣味だった。


 魂が抜けて呆然とした表情でその場に立ち尽くす響子のカラダに手を這わせると、胸と尻に手を持っていき、遠慮なくじっくりと揉んでその肉付きを確かめる。


「くっくっく、カラダの方も思った通り、イイじゃねぇか!これならかなり良い玩具になりそうだ。そら、さっさと全部脱ぐんだ!」


「……はい……」


 男にそう命じられた響子の体は、その呆然とした表情のまま、ゆっくりとした動作で服を脱ぎ始める。

 魂を抜かれた体は従順になり、簡単な命令なら躊躇うことなく実行するのだ。

 男は近くにあったパイプ椅子に腰かけると、口では咀嚼を続けながら、その脱衣の様子をじっくりと眺める。

 やがて全裸になった響子が再びその場に棒立ちになる。

 男は立ち上がり、女の綺麗な乳房を頬張ると、舌で乳首を転がすように弄り始める。

 同時に右手を女の尻の肉に回て鷲掴みすると、その気持ちいい柔らかさを堪能する。


 「あっ、ひぃん、あふん……」


 魂は抜けていても感じるようで、響子のカラダはそれなりに反応して喘ぎ声が漏れる。


 「そろそろいいな……」


 男は女と唇を重ねると、口の中で咀嚼していた魂を、再び吹き込む。

 ただしその魂は、男に咀嚼されている間に作り変えられ、以前の記憶を持ちつつも全く別の存在になっていた。

 終えて顔を離すと、女が瞬きをした。


「さてと……お前『も』これからは俺様の忠実な奴隷として色々と役に立ってもらうぜ。わかったな?」


「はい、ご主人様……」


 響子は自分の主人となった男の言葉に素直に頷き、笑みを浮かべながら返事をしたのだった。




More Creators