この小説は現在イラスト制作と並行してシリーズ物で執筆しているものです。
ヒロインは青髪お団子ヘアーのロボ娘のスミレちゃんが担当しています。
完結後ピクシブに小説として投稿する予定です。
整合性などを取るために、投稿時はこの記事と内容がやや変化する可能性があります。
拙い文章ですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
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【前回のあらすじ】
地球外生命体のアビスに妹を殺められた主人公愛斗(アイト)。
軍人だった彼は新しいアビス討伐組織、人機解放軍に編入される。
そこで彼はスペック不足で廃棄寸前の妹によく似たアンドロイド、
スミレと出会いそのアンドロイドのマスターとなった。
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【人機解放軍(屋外訓練場)】
スミレの性能を見るために、アイトは彼女と共に基地屋外にある訓練場に訪れた。
ここ人機解放軍の基地は広大な平地にあり、基地を中心に様々な施設や環境が構築されている。
ここの訓練場ではグラウンドや射撃場だけでなく、
過酷な陸上での環境活動を想定した沼地や盛山などの仮想環境まで設けられている。
人間の兵士の鍛錬はもちろん、アンドロイドの性能確認にも利用されている。
アイトとスミレは屋外に設けられた射撃場に訪れた。
「基本的な力やスピードは仕様書で確認済みだから、今日は君の得意な射撃技能を見せてくれ」
アイトは彼女のプロフィールで得意不得意を把握していた。
今日はその技術がどの程度のものなのか確認するために射撃場に来たのだ。
「わ、分かりました。頑張ります」
スミレはアンドロイド用の武器庫に入ると、電磁砲ライフルを持ってきた。
このライフルはレールガンと同様に電気の力を利用して弾を飛ばすため、
火薬に比べて超高速で高い威力を発揮できることが特徴の最新兵器だ。
しかし通常兵器と異なり精密な制御が必要になり、人間には扱うことができない。
「電源を私に繋いで…」
スミレは左肩にあるハッチを開け、銃をケーブルで自分と繋いだ。
「(バッテリーはアンドロイド自身のものを使うのか)」
スミレは射撃場の射座に着くとうつ伏せになり、
自身のアイカメラの倍率を頼りにはるか遠く離れた的に狙いを定めた。
パンッ....!
人型大の的には部位によって点数が書かれている。
その点数の中でも最高得点の部位が見事に被弾し砕け散った。
パンッ....!
ライフルの充電インターバルを挟みながら、正確に何十発も狙撃する。
緊張による汗か砲身の熱の影響か彼女の額には冷却水が垂れていた。
やがてふぅ...と一息ついた
「......全弾命中です」
「上手いじゃないか、どうしてこれで評価がCマイナスなんだ?」
前回スミレのケースに載っていた査定内容を不思議に思い首を傾げていると、
サポートAIのナビが球体の体を浮かせながら近づいてきた
『アイト様、アンドロイドはこれくらいできて当然なので狙撃は評価対象外です』
「そ、そうなのか...」
二人で話し込んでいると、ふとスミレがずっとうつ伏せのまま動かないことに気づいた
「スミレ?どうしたんだ?」
「すみませんマスター...バッテリーが切れて動けなくなりました」
自身を電磁砲のバッテリーにしていれば当然そうなるだろう。
仰向けのまま動けないその姿は戦闘用アンドロイドにしてはあまりにも無防備だった。
「...まぁ特技がわかって収穫もあったな、今日はこの辺にしよう」
アイトはスミレを抱き上げた。
日に当たって射撃をしていたスミレの髪からは
ほんのりと日で干したばかりのシーツのような良い匂いがした。
「すみませんマスター...」
「別に気にすることない。がんばったね」
スミレはその言葉を聞き、マスターの服の胸元の力無く握りしめた。
やはり彼女はまだ自身の性能スペックの低さを気にしているようだ。
そして二人と一台は訓練場を後にした。
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【アビス前線エリア13】
ここはかつてオフィスビルが立ち並び人々で賑わう都心だったが、
数年前市内にアビスが進行し大規模な反抗作戦が実行された。
戦いの爪痕は大きく、賑やかだった街は人が一人もいなくなり
残骸と化したビル雑草が生えたアスファルトの街となってしまった。
ゴーストタウンと化した街の中を
まるで国境線のように、ダムのような巨大な壁の防衛基地が建設されていた。
ビー!ビー!
その基地に突如アビスの警告アラートが発令された。
「警告!?街外の監視システムはどうした!」
アラートが発せられた方向を望遠レンズで確認すると、
街外から黒い禍々しい群れが向かってくる様子が確認された。
人型のものから中型級と呼ばれるトレーラーほどの大きさの化け物も複数体いる。
「まずいぞ、エリア13が崩壊すれば後方の避難民居住区があるエリア14にアビスが流れる」
「警告度をDからAに引き上げ基地にアンドロイド部隊を要請します!」
歪な造形をした邪悪な黒い生物が廃墟の街に流れ始めた。
基地の高台に備え付けられた大口径の砲台で迎撃するが、群れの勢いは治ることはなかった。
「この数は対処できそうにない...」
兵士たちに不安な表情が現れ始めた。
その時、何かが空から降ってきた。
ドォン!!
中型級のアビスの頭上に金属の塊が二つ勢いよく落下した。
アビスは潰されたプリンのように弾け、肉片が飛び散った。
さらにその衝撃波は周囲に伝播し、アビスの群衆の歩みを著しく弱めた。
「な、なんだ一体!」
基地の兵士が落下した物体を双眼鏡で確認すると、それは拳の形をした塊だった
『アンタたちは私たちを援護しなさい!』
空から拡声器のような大きな音声が聞こえた
見上げると輸送機があり、ちょうどそこから2人の人影が降ってくるのが見えた。
「あれは...例の新型戦闘用アンドロイドか」
勢いを失ったアビスの群れの前に、二人の少女が降り立つ。
その姿はさながら正義のヒロインだった。
一人は先ほどの拡声器音声の主で、金髪ツインテールの子供のような小柄のアンドロイド。
もう一人は紺色髪のロングヘアーで胸が大きく高校生くらいのアンドロイドだった。
どちらも耳がモジュールとなっており、運転状態を表す青いランプが点灯していた。
また彼女達が纏うアンドロイド用のボディスーツは
二人のボディのラインを際立たせ人とは異なる扱いをされた存在であることを強調していた。
先ほど落下させた拳のような2つの塊が浮かび上がり、
その持ち主である金髪ツインテールのアンドロイドの側まで後退する。
紺色髪のアンドロイドは腰に鞘を備え付けており、その剣と鞘の隙間からは青白い光が放たれていた。
「ふぅ...」
紺色髪のアンドロイドは呼吸を整えると腰を低くし鞘に収められた刀の柄に手をかけ構えた。
その姿勢ははまるでサムライの居合いのポーズだった。
やがて青白い光は鞘から激しく溢れ出し、彼女を直視することが難しいほどの光量を放ち始めた。
ズバァァァァ――!
その凄まじい切断音が響く。しかしすでに彼女は刀を抜き振り終えた後だった。
あまりにも高速の抜刀により音を置き去りにしてた。
前面にいたアビスの群衆はまるで空間ごと切り取られたかのように横断され、
切断面から奥の景色が見えるほどの綺麗な横一直線の隙間を作った。
彼女が持つ特殊装備の剣によって斬撃を飛ばし、アビスを一刀両断したのだ。
その後横断された部分から肉が崩れ、少女達の前面にいた大勢のアビスは全滅した。
「どうですかM-06!私の腕前は」
誇らしげな表情を見せる紺色髪のアンドロイド。
一方で金髪のアンドロイドは見飽きたと言った表情だ。
「はいはい、すぐ第二波が来るからそっちも頼むわよM-11」
「え!もう一回やるんですか!?」
急いで刀を構え始める紺色髪のアンドロイドM-11、攻撃には溜めが必要なようだ。
アビス屍を乗り越えてまた第二波のアビスの群れが到着する。
金髪のアンドロイドが浮遊する拳で敵を翻弄し時間を稼ぎ、
防衛基地の兵士たちも砲台やロケットランチャーなどで後方射撃を行った。
第二波も紺色髪のアンドイドにより高速の斬撃で一斉に切り伏せられた。
「すごい...これがアンドロイド兵器の力...」
こうして大量のアビスの群れは、アンドロイドの活躍によって侵攻を阻止することができた。
アンドロイド達の周囲にはアビスの赤黒い体液や肉片が散乱し凄惨な光景を作り出していた。
体についた液体を拭きながらアンドロイドは次の行動を打ち合わせた。
「....さてと、あとは群れからはぐれたアビスを狩れば終わりね」
「この先の反応だと建物の壁や裏路地に迷い込んでるのは人型級100体と中型級10体ですね」
「結構いるわね...」
どうしたものかと考えていると、防衛基地から兵士を乗せた装甲人員輸送車両が数台近づいてきた。
車両の窓から迷彩服を着た一人の中年の男性が顔を出した。
「私はエリア2防衛基地のイイシマ軍曹だ、救援に感謝する。我々も合流して駆除にあたろう」
「了解、人機解放軍アンドロイドM-06、M-11はこれよりあなたの指揮下に入るわ。
さっさと終わらせるわよ」
アンドロイド達が輸送車両に乗り込むと、
搭乗していた兵士たちは初めて見る本物の最新鋭のアンドロイドに驚いていた。
特に紺色髪のアンドロイドが乗り込むと大きな胸部に隊員たちは息を呑んだ。
「中型級の駆除は君たちと我々のチームが対処し人型級は他のチームで対応しよう」
こうしてフロント2はアンドロイドとともにアビスの残党を駆除し、
なんとか壊滅を免れることができた。
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【アビス前線エリア13防衛基地(ブリーフィングルーム)】
防衛を終え、二人は補給のため防衛基地に招かれた
「ありがとう、君たちのおかげでこの基地は守られた」
イイシマ軍曹が二人に感謝の言葉を伝える。
「ほんと、私たちが近くでパトロールしていてよかったわ」
「マスターの指示がなかったら私たち今頃逆の方角にいたんですけど」
余計なことを言うなとM-11の横腹をM-06が球体関節の肘でど突く。
「はは、君たちには優秀な上官がいるようだ。今度その人にもお礼を言わせて欲しい」
「本人に伝えておくわ。M-11、補給が済んだらすぐここを発つわよ」
「最近アビスが活発化してますからね、急いで他も見回りましょう」
イイシマ軍曹がアンドロイドを連れてブリーフィングルームから出て行る。
三人が部屋から出たあと残った隊員達が彼女達についてヒソヒソと話していた。
「まさかあの状況をあの2体で覆すなんて...」
「もし人工知能が暴走でもしたらアビス以上の脅威だな」
戦闘用アンドロイドの開発は進んでいるが、
彼女達のように人そっくりの新型戦闘用アンドロイドは
まだ全ての基地に行き届いているわけではなかった。
そのため、戦闘用として開発された彼女達を見た人間の多くは
人間でありながらかけ離れた戦闘能力の格の差を感じ
いずれ人類は淘汰されるかも知れないという恐怖を感じるのであった。
「なぁ、あの長髪のロボット一人になったちょっと誘ってみないか?」
「いや最新鋭のアンドロイドは昔と違って人間の言いなりにはならないらしいぞ」
「そうそう、代わりにそっくりな娘がいるセクサロイドの風俗でも探そうぜ」
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【人機解放軍基地(アイト個室)】
「........。」
意識がぼんやりとし、やがて大勢の人たちの楽しそうな声が聞こえてきた。
気づくとオレは快晴の遊園地で妹と手を繋いで歩いていた。
「わー!何から乗るか悩んじゃうね!お兄ちゃん、何から乗ろうか?」
妹の笑顔を不思議と久しぶりに見た気がした。
「ユカが好きなジェットコースターでいいじゃないか」
「え!珍しいね、お兄ちゃんいつも乗りたくないっていうのに」
いつもと違い、幼いオレは妹に対して大人びた対応をしていた。
そうか、これは夢だ。そう気づいたとき、今この瞬間を大切にしたいと強く感じた。
「....そうだったね、でも今日はすごく乗りたいんだよ」
二人はジェットコースターの列に並び、いろいろと話した。
夢の中だろうかその会話の内容はぼんやりとしていた。
ただ妹の楽しそうな顔を見る限り、楽しい会話をしているのだろう。
そして二人はジェットコースターに乗り込む。妹はアイトの手をずっと握っていた。
「お、お兄ちゃん、手を離さないでね」
ジェットコースターがゆっくりと急勾配のレールを駆け上がりはじめた。
そして頂点に辿り着いたあと、急な無重力感がアイトを襲う。
「.........!」
………………。
ジェットコースターが急勾配を降り始めた瞬間、アイトは夢から覚めた。
「...久しぶりに楽しい夢だったな」
目覚ましのアラームはまだ鳴っておらず、
部屋の中も薄暗く静寂に包まれていた。
「(スー..スー....)」
近くで寝息の音が聞こえ、さらに誰かが手を握っていることに気づいた。
目を凝らしてみるとケースで寝ていたはずのスミレが同じベットで眠っていた。
「!?」
アイトが驚いて起き上がる。
「(昨晩彼女はケースの中で眠っていたはずだが...)」
ケースを見ると、ケースからケーブルがベッドまで伸びており
就寝中の彼女の背中につながっていた。
アンドロイドはバックアップと充電を兼ねてケースの中で眠るが、
ケーブルさえ繋がっていればケースの外でも問題ないようだ。
『システム起動、敵性反応なし』
離れた場所にあるケースからシステム音声が流れると、スミレが目を覚ました。
「うぅ...ん...」
「おはよう、スミレ」
「....あ!お、おはようございます」
「どうしたんだ一体、勝手にベッドになんか潜り込んで」
「あの...えっと....」
マスターの問い詰めにスミレが声を詰まらせる
「私、いいところ見せられなく...捨てられちゃうかもと思って...
だからせめて明日までできるだけ一緒にいたくて...」
「スミレ...」
スミレのコンプレックスは思っていた以上に根深いものだった
そして廃棄に怯えている姿をアイトは見ていられなくなった
「捨てないよ」
震えるスミレををぎゅっと抱擁した
「ま、マスター...?」
「俺はスミレのことを大切に思っている。俺を信用してほしい」
徐々にスミレの体の震えがおさまる。
おそるおそるすみれもアイトの体にそっと腕を回した。
「ありがとうございます...マスター....」
すると彼女のボディの温度がだんだんと熱くなっているような気がした。
スミレが落ち着くまで抱き合っていると、
朝のアラームがなりサポートAIのナビが起こしにやってきた。
『おはようございます、アイト様。おや、先輩を差し置いて...随分仲良くなられたようですね』
ナビが大きな単眼レンズでじーっと抱きついているスミレを凝視する。
スミレはハッとした顔になりアイトの体から離れた。
「すすす、すみません!」
急いで起き上がると彼女はマスターの朝食の用意に向かった。
「本当にまるで人間みたいな娘だな」
「(....ユカが生きていたらきっと良い友達になったかもしれないな)」
こうしてまた新しい1日が始まった。
『アイト様、今日は彼女の入隊試験ですね。実戦形式ですが勝算はお有りですか?』
「あぁ、昨日の帰り道で対策は考えた。あとは彼女の持っている力を信じるだけだ」
「が、がんばります!」
スミレはやる気十分のようだ。
(3話に続く)