この小説は現在イラスト制作と並行してシリーズ物で執筆しているものです。
ヒロインは青髪お団子ヘアーのロボ娘が担当しています。
完結後ピクシブに小説として投稿する予定です。
整合性などを取るために、投稿時はこの記事と内容がやや変化する可能性があります。
拙い文章ですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
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【あらすじ】
宇宙から飛来した異星生物アビスによって、
地上の生物は凄惨な被害を受け続けることになった。
この脅威に対抗する術として人類は戦闘用アンドロイドを開発した。
兵器として作られた人形達ははたして役目に向き合えるのだろうか...
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【1話】はじめましてマスター
青空に黒い彗星が観測されたその日、
彗星の地上落下と共に多くの街が爆発と炎に包まれた。
「こっちだ!早く!」
大きく破損したビルが並ぶ街の中、少年が叫ぶ。その手には少女の手が握られていた。
ひび割れたアスファルトの道路の上を二人は懸命に走る。
多くの死体が道を赤く染め上げ、さらに割れたガラスや瓦礫が足を切り付けた。
ズン...ズン...
大きな足音のような地鳴りがすぐ後方から聞こえてくる。
何か大きな物が後ろから迫ってきているのを感じた。
「ハァ...ハァ...お兄ちゃん...もう私走れないよ...」
少女の体力はすでに限界だった。
「もう少し頑張って!」
次の瞬間、急に少女は足元が地面から浮いた。
ザクッ!
少女は何かに胸を貫かれ白のワンピースが赤く染め上がった。
飛び散った鮮血が少年に赤い斑点のシミを作った。
「ユカ!!」
少年が少女の方を振り向くと、大きくて赤い針のような触手が少女の胸を貫いていた。
少女の背後には獣なのか虫なのか見たこともない姿の2足歩行の巨大な化け物がいた。
大きさは3m以上あり、二つの目は少年を凝視していた。
「お兄...ちゃん...」
少女は自分にそう声をかけた後、
空中で触手に貫かれたままぐったりとうなだれた。
「あぁ...」
少年は恐怖のあまり立ったままその場から動けなかった。
そして少女が怪物の口に運ばれるのをただ見届けるしかなかった。
少年の周りにはさらに火の手も迫っていた。
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...8年後
◼️人機解放軍司令基地(個室)◼️
...ppiピピピピピピ!
「うぅん....」
けたたましいアラーム音が青年の耳元で響く
『おはようございます。現地時刻朝の5:00をお知らせいたします。』
どこからか落ち着いた女性のシステム音声が聞こえてきた。
うっすらと目を開けると、先ほどの惨劇な光景は跡形もなく消え
簡素な個室の中、ベッドで仰向けになっていた。
「(また昔の夢...)」
ゆっくりとベッドから胴体を起こす。
身体中いやな寝汗でべっとりとしていた。
朝日はまだ完全に登りきっておらず薄暗い室内で
しばらくぼーっとしていると、
目の前にゆっくりと浮遊する拳サイズくらいの機械の球体が現れた。
『おはようございます、藍斗(アイト)様』
球体中央に備え付けられた目のようなレンズが青年の顔を覗き込む。
「...おはようナビ、出動の準備を手伝ってくれ」
『承知いたしました』
球体はそう答えるとテーブルに向かい、
球体の下半球部の小窓から細いアームを伸ばした。
器用にアームを使いパンを包装ビニールから出してトースターに入れる。
この球体のロボットは”ナビ”、ネットワークを通じて必要な情報を全て仕入れてくれるサポートAIだ。
シャワーを浴び、ナビが用意した朝食が並ぶテーブルに着くとテレビをつけた。
『本日の主なニュースはこちらです』
今日も化け物の動向についてのニュースが報じられている。
外国の市街地で兵士達が機関銃で何か黒い塊の化け物のようなものと戦う映像が流れている。
この国、いやこの星は数年ほど前から宇宙から飛来した謎の生物”アビス”から侵略を受けている。
その生物は彗星に乗って地球に降った。知性があるのかどうかも怪しいほど肉食で凶暴性があり、徐々に生息域を拡大している。
人類は今この異星生物の対処に日々追われているのだ。
「(未だにこの化け物の生態も目的も何も分かっていないんだよな...)」
グレー色の制服に袖を通して身支度をする。
この制服はそのアビスの前線で任務を行う人機解放軍司令基地の軍服だ。
俺は家族の仇を取るために前線で歩兵としてアビスと戦い続けていたが、
部隊編成の大幅な改変によりつい最近からこの基地に配属となった。
この基地でどのような任務に就くのかもまだ伝えられていなかった。
『アイト様、早速ですがここの基地の局長が面談を求めています』
「わかった、すぐに向かおう」
...1時間面談後
◼️人機解放軍司令基地(武装保管格納庫)◼️
局長との面談を終え、アイトは武装が保管されている格納庫にいた。
戦場での経験を活かして戦闘跡地での調査任務に割り当てられることになった。
その任務にあたり隊員の補佐兼任務上の護衛としてアンドロイドが支給された。
「アンドロイドか...」
アビスとの戦争以降、危険な生態からロボットの開発が急速に進められた。
その中で生み出されたのが戦闘用のアンドロイドだった。
ここ、人機解放人とアンドロイドで今後軍隊が編成されている。
昔はすぐに壊れる使い捨てのおもちゃのように扱われていたが、
最近は一台一台が戦車に相当するレベルの戦力にもなるらしい。
「ここのアンドロイドを選んでいいって言われたけど...」
格納庫の一角には厳重にロックされた棺のようなケースがいくつか置かれていた。
そのケースは強化ガラスでできており、中には人間そっくりの顔のアンドロイド達が
まるで眠り姫のようにひっそりと眠っていた。
アンドロイドはそれぞれ容姿が異なる全員女性だった。
ふよふよと無言でアイトを追従していた球体のナビが声をかける。
『アイト様、支給のアンドロイドですが性能に個体差があるのはご存知ですか?』
「聞くところによるとそのようだね、どうして個体差があるんだ?」
『アンドロイドに個体差という個性を与えることで、
そのデータから新たなアンドロイドの開発に繋げることが目的だそうです』
「そういえばこの基地はアンドロイドの開発研究所もあるんだったか...」
『はい。ですのでこれからアイト様のアンドロイド選びの手助けいたします』
ナビがケースの上を飛び回り、
アンドロイドが入ったケースに刻印されたバーコードを読み取った。
どうやらバーコードにアンドロイドたちの詳細な情報が入っているようだ。
『アイト様、こちらのA-54などはいかがでしょうか』
ケースを覗き込むと、ボディスーツを身にまとい
綺麗なロングヘアーのアンドロイドが格納されていた。
戦闘用ロボットに必要なのか怪しいほど胸が大きい。
開発者の趣味なのだろうか。
『実技評価Aプラス、演算評価Bプラスの優種な個体です。
現在在庫があるアンドロイドの中ではトップクラスの性能です』
ナビが空中にモニターを投影し、アンドロイドの詳細な評価内容を表示させる。
アンドロイドは出荷される前に性能試験を受けさせられているようだ。
「...確かに優秀な戦闘用アンドロイドだね」
ふと倉庫の隅に置かれた小柄なアンドロイドが入ったケースは目に入った。
ケースを覗き込むと、
水色の髪で左右にお団子がついたヘアースタイルで、
顔つきも体型も幼いアンドロイドが収められていた。
「このアンドロイドは...」
『そちらは個体名S-30です。出荷前の実技、演算評価共にCマイナスです』
「C マイナス?アンドロイドの評価水準ではどのレベルなんだ?」
『戦闘用アンドロイドの性能に関する査定は、上からABCの三段階のみです』
成績表を確認すると、
先ほどのアンドロイドとはまったくの別物と思えるほどの性能差があった。
「このアンドロイドはおちこぼれってやつか...もし選ばれなかったらどうなるんだ?」
『おそらくこのアンドロイドは他の個体を見栄えさせるために送られてきたのだと思います。
通常このレベルの評価の個体は不適合体として回収、解体されリサイクルされます』
もし自分がこのアンドロイドを選ばなかった場合、
このアンドロイドはここで役目を終えることになる。
しかし改良すればいくらか能力の引き上げはできるはずだ。
「この娘にする」
その言葉を聞いたナビが驚いたように球体に備わったカメラを振り向かせた。
『アイト様、よろしいのですか?』
「あぁ、彼女の伸び代を信じようと思う」
ナビは主人が選んだアンドロイドをじっと見る。
『...わかりました。私はアイト様の意見を尊重いたします』
「じゃあさっそく部屋に運ぼう」
◼️人機解放軍司令基地(個室)◼️
アンドロイドが入ったケースをアイトは自分の部屋に運び込んだ。
倉庫でもらった手引きによると、ケース開封と同時にこのアンドロイドは起動するらしい。
ケース上面に備えられた液晶パネルに自分の隊員番号を入力する。
「(コードを入力して...と)」
パチッというロックが外れる音と共に、ケースの上面が両開きの扉のように開いた。
するとケースの中からシステム声が聞こえてきた。
”システム再起動、周囲に敵性反応無し、通常モードで起動します”
ケースから小さな人形が体を起こした。
手と足はロボット特有の球体関節になっていた。
ゆっくりとアンドロイドが目を開ける。
「あれ...?ここは...」
アンドロイドの少女は見知らぬ光景に戸惑っているようだった。
その目は綺麗な青い瞳で瞳の奥は人間と違い光が発光していた。
「初めまして、俺は藍斗(アイト)。今日から君のマスターだ」
「私のマスター..?も、もしかして私、選ばれたんですか?」
アンドロイドの少女は信じられないといった表情をしていた。
最近のロボットは感情表現が豊かだと少し感心した。
「どうして他の方ではなくて私を...こんな落ちこぼれのロボットなのに」
すると浮遊していたナビが彼女の頭の上に着陸した
『S-30、その自覚があるのであればアイト様の足を引っ張らないように
これからバージョンアップに励んでください。』
「お、重いです...あなたは誰ですか?」
『私はアイト様の補佐AIであり、あなたの先輩AIのナビです』
アンドロイドの頭の上で誇らしげになるナビと
頭に鎮座しようとする球体から必死にやめてと抵抗するS-30。
S-30の人間のような仕草を見てふと思いついた。
「S-30か、そう呼ぶのも味気ないし、君に名前をつけようか。」
「名前ですか?」
「そうだね...S-30から”スミレ”でどうかな」
「スミレ...私の名前...新しい識別名として登録しますマスター!」
スミレは嬉しそうに自分の名前を復唱している。
自分の存在がマスターから認められたと認識したようだ。
彼女はケースから立ち上がり自分のボディに異常がないか確認した。
「動作に異常はないようです」
機械でできた手足以外はまるで人間の少女だった。
「ちなみに君は...」
アイトは途中で言葉に詰まった
「...?なんでしょうかマスター」
アイトは自身の携帯を取り出し、画面を眺めていた。
声色は違うものの、そのアンドロイドの容姿は
どうみても8年前に亡くなった妹とそっくりだった。
「いや、なんでもない。これからよろしくスミレ」
無事迎えられたばかりの彼女に
その容姿は誰かに似せて作られたものなのか
とは尋ねることはできなかった。
「これから立派な兵士として頑張ります!」
マスターの役に立ちたいと意気込むスミレ、
アイトはスミレの頭の上にポンと手を置き撫でた。
「...あぁ、一緒にがんばろう」
(2話に続く)