XaiJu
アベ
アベ

fanbox


けっこうハンゾーじゃなかった話

HUNTER×HUNTERという漫画に

(離島育ちの少年ゴンがハンターという職業につくファンタジーバトル漫画)

ハンゾーという忍者のキャラがいる。

スキンヘッドの男前な青年で忍者装束に身を包む本格派なのだが

忍者らしからぬお調子者の面もあって憎めない。


本編ではハンター試験の最終試験で主人公の少年ゴンをボコボコにしたりする活躍をしている。


初登場時は確かハンター試験の一次会場

(ハンターになるにはオフィシャルの試験がある世界観)に着いたところとかそういった具合。

予選会場までに辿り着くまでがすでに過酷な試練をくぐりぬける必要があり、

会場の右を見ても左を見ても周囲の受験者達はみなつわ者である。

その中で主人公ゴンたちに

気さくに談笑に応じてくれたのがハンゾーだった。

(※訂正 

コミックス読み返してみると

この段階ではゴンとハンゾーは談笑していなかった。

他にもところどころ間違いがある。)


そしてもう一人、慇懃な態度のトンパという壮年の見た目をしたベテラン受験者の男が話しかけてきてくれて、

友好の印だと手持ちのジュースをみんなに配り始める。

(ハンター試験は一発合格が少ないので

将棋の奨励会のように受験何年目という受験者が多い。

初受験生のことを確か新人みたいな呼び方をしていた。)


主人公ゴンたちはそのジュースを受け取るが実はトンパという男は新人狩りが趣味という人間で、

配ったジュースに下剤を混入する嫌がらせを仕込んでおり内心トンパ勝ち確大喜び。

しかしここでゴンたちと談笑していたハンゾーは表情を一変して、

「悪いな。忍の者は人から物をもらわねえんだ」と冷たい口調でジュースを受け取るのを断る。


そしてすでに一口目を飲んでしまったゴンだったが

野生で育んだ味覚で異常に気づき

すぐさまジュースを吐き出し仲間もそれに習ってジュースを捨てる。

キルアというゴンと同い年の少年は親の教育で毒に鍛えられているので

効果がなくトンパにジュースを更にせびる始末。

つまり漫画の構造的な言及になるが

1つの罠の対応で各キャラのやり手感かつ個性を際立たすシーンである。

新人狩りのベテラントンパも今年のハンター受験生はとんでもない

逸材揃いだと身震いをする。


ところでハンゾーだけはけっこう普通のことしただけじゃないだろうか。


子供の時読んだときからずっと思っていた。

自分も人から飲食物を頂くのはけっこう苦手なので

(親しい人であろうとなかろうと、いろいろな理由で。)

トンパからジュースをもらっても飲まないと思う。

受験のような大切な時ならなおさら。

トンパもハンゾーの目つきをプロだと評価している描写しか無いので

著者的にも断ったこと自体をすごさとして描いてるわけではないかもしれない。

ただ自分は子供の時にはけっこうハンゾー普通だなと思ったのだ。


逆説的に

けっこうハンゾー普通じゃない場合

自分がけっこうハンゾーなのではないだろうかということになってくる。

けっこうハンゾーが普通なのではなく

自分がけっこうハンゾーなんではないだろうか。


いや自分はけっこうハンゾーなわけがない。

それは自明だ。

ハンゾーは断った質や回数が普通のわけがない。

忍だから。


ハンゾーはプライベートでも地元のツレとかからの誕プレなども断るだろう。サプライズとかなら地獄である。

忍びだから。

実家の米の仕送りとかも断るだろう。

忍だから。


しかし僕もこれらを苦手にしているので

やっぱりけっこうハンゾー普通かもしれない。

あるいは自分がけっこうハンゾーなのかもしれない。



いややはり自分はけっこうハンゾーではない。

ハンゾーは断るのだ。断り切るのだ。

忍だから。


自分に限らず多くの人が

人のご厚意を何かしらの理由で断ることはあって、

そしてそれは殆どの人にとって

大なり小なり慚愧に堪えぬ思いをするのではと思う。


自分の場合は相手側に問題があることは少なく

全てこちら側の勝手な性格の問題であるので非常に申し訳なく

それをその度にこんこんと説明するのもまた失礼を重ねることになるのでどうしようもない気持ちになる。


親の仕送りに毒などが入っていたらどうしようかと妄想にとりつかれながら、しかしこれを無碍にするわにもいかずと独特な葛藤を勝手にした挙げ句

それならもうしょうがないと覚悟を決めて食すことにする。

こんな人間が物を頂くのがもう申し訳なくて、断りたいというのも理由の一つである。


しかし今重要なことは自分の精神の兎角じゃない。

自分の親がトンパだったら自分は終わっていたということだ。


その点でハンゾーは断れるのだ。

絶対に断ると決めているからだ。

これが忍の者、ひいてはハンターになれる人間の意思の強さだ。自分には無い。

わからないが多くの人もハッキリと断るということはしない、あるいは出来ないだろう。


すなわち自分はけっこうハンゾーじゃないし多くの人もけっこうハンゾーじゃないと見るのが妥当だと思う。

つまりはけっこうハンゾー普通じゃないということだ。


けっこうハンゾーじゃなかった話。

けっこうハンゾーじゃなかった話

Comments

こだわりがあるのかっこいい 偉大な芸術家は人に流されない自分を確立しててすごい


More Creators