3~4年ぐらい前、萌え絵描きさんの間でも肌などの影の境界に発色の良い色を用いるのが流行ったように思います。
これはいったいなんなのでしょうか?
私の過去の記事を読んでいる方でしたら、「それって、照り返しの話?」と思うかもしれません。
たしかにそれもあるのですが、今回についてはもっと複雑です。
照り返しは「なぜ中間色に濃い色を置くのか」でしたが、以下は「なぜ中間色に彩度が高い色を置くのか」の説明になります。
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まず、肌でこの表現をする人が多い理由から説明します。
それは、おそらく「肌が半透明である為、そういう現象が起こる」という知識を得た、あるいは影響を受けたからです。
例えば、手のひらに強い光に当ててみると良いのかもしれません。鮮やかに見えるのではないでしょうか。
肌は半透明なので光が散乱を起こし鮮やかな色を見せるのです。
実はこれには名前があって、専門用語で「サブサーフェイス・スキャタリング」といいます。
これについては、昨今(と言っても出版したのは2010年ですが)の有名な美術系の参考書ではジェームズ・ガーニー氏の「カラー&ライト リアリズムのための色彩と光の描き方」などで解説されています。
他にも3Dグラフィックス系の技術雑誌「CGWORLD」などでも見かけることがあります。
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では、中間色に鮮やかな色を置いていいのは半透明な物質だけでしょうか?
実はそうとも限りません。
今度は、1977年に出版されたプロの美術家もお世話になっている人の多い、A・ルーミス氏の本からの引用です。
なんと、この本では「色の鮮やかさを取り入れるための最善の方法の一つとして、暗部へ溶け込む明部の縁に強い色を使うこと」とわざわざ太字で書かれており、
実際にこうすることでいかに鮮やかさが増すかの図解までしていたりします。
それの根拠についても小難しいことが色々と書かれているのですが
この本で指摘したい点の一つをあげるとすれば「最も彩度が高いのが最も明るい場所とは限らない」ということではないのかなと私は感じました。
例えば真っ赤な物質があったとして、暗い部分はオリジナルの色より暗くなるため当然彩度は下がります。
真っ白な光を当てた場合、明度が上がるためやっぱり彩度は下がります。
したがって中間色が一番彩度が高くなる。というようなことを伝えたいのかなというイメージ。
(もちろん、光に色がついていたりすれば別の結果になりますが)
なお、A・ルーミス氏はデジタルではなく、アナログで描くタイプの人です。
そのため、「(絵の具などの絵でよくある過ちとして)明部と暗部の混合色を中間色にしてしまうと濁った色しかだせないよ」という指摘なのも留意しておきたいところです。
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それ以外にも、境界を強くする理由として光などは一切関係なく水彩チックを出すためという理由で行う人もいます。
これはデジタルでも実装は比較的簡単で、Photoshopなどではレイヤー効果を設定すれば実装可能です。
ただし、現バージョンのクリスタの「レイヤープロパティ:水彩境界」は明暗しか変えられないので境界の彩度を高める用途としては利用できません。
選択範囲を広めて着色したり、レイヤーのブレンドモードをうまく使う必要があります。
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【紹介した本についての補足】
ジェームズ・ガーニー氏
「カラー&ライト リアリズムのための色彩と光の描き方」
A・ルーミス氏
「ルーミスのクリエイティブイラストレーション」
「カラー&ライト リアリズムのための色彩と光の描き方」やA・ルーミス氏の関連書物である「やさしい人物画」「やさしい顔と手の書き方」などは、古くからお世話になっている同期のプロイラストレーター先生からすすめられて買ったものです。
なお、「ルーミスのクリエイティブイラストレーション」については、のちに皆様の支援金を使って購入したものとなります。
この場を借りてお礼いたします。
これらはどれも美大系やプロのイラストレーターさんが見るべき内容となっていて、
仕事でも絵を描くと決め込んでいて美術の基礎情報を持っていないといけない人や、絵画系やリアル系のイラストを描きたい人、私のように知識を欲している人には非常にオススメできる書物です。
ただし、まだ初心者で趣味で萌え絵やデフォルメ絵を描き始めてみたいとする人の入門書としてはあまりオススメできません。
「リアルや美術の基礎を覚えてからデフォルメすべき」と言うイラスト界隈でよくされる主張があるのですが、それは本当に長い時間を使い長い間あまり楽しくない時間を過ごすことになります。
趣味であれば、私は「描きたい方向性で描いて、知識欲が出てきたら知識を広げていく」というのが良いのではないかなと思います。
その為、そういう方の場合は慌てて買わずに中盤に本腰を入れて買うべき本です。
そのため今回の記事も「こうしなくてはいけない」ではなく「こういう表現もあるよ」という一つの選択肢としていただければ幸いです。
イラストは自由に楽しく描いていきたいですね。