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アンダードッグへようこそ Side Story ~ 美由 Side ~ 【後編】

※前編のほうからお楽しみ下さい。 暫らくして、私達はプライベートエリアの扉を開いたのだった。 【ガチャ】 プライベートエリア…そこはなんでも可のエリア。 そこに幸助と私は足を踏み入れた。 扉を抜けると、そこには落ち着いた景色が広がる。 手入れされた緑の芝生、広場の真ん中には綺麗なプール、その周りには優雅な雰囲気を漂わせる、チェアーやテーブル、他の誰もいない空間がそこにあった。 この空間には、幸助と私の二人…いや、一人と一匹だけ。 (んぁ…こ…ここが…プライベート…エリア…) 始めて見るプライベートエリア、その光景はとても新鮮なものであったが、その景色を楽しむ余裕など、私にはない。 ここに来るまでも、陰部に与え続けられる刺激に耐えながら、なんとか前に進んできたのだ。 体力的にも、刺激に耐える心にも、余裕なんてものは無い。 呼吸も激しく、未だ大きく肩で息をしている状態。 もちろん、体全体を襲う着ぐるみによる暑さも、全く変わっていない。 (はぁ…はぁ…んうぅっ…もう…歩け…ない…) 何とか到着したという安心感もあるのか、一気に体から力が抜けて、立っていられなくなる。 私は、その場に力なく横たわった。 「マリー、頑張ったね…偉いよ」 幸助が私を労った瞬間、私の陰部で動き続けていたものが止まった。 (んぁ…やっと…と…止まった…ぅ…ぅ…) その道具の責めは止まったが、ここまで陰部を責め続けられながら、必死に進み続けてきた私には、起き上がる体力は限界を向かえていた。 横になっていても、体全体を襲う暑さは逃げてはいかない。 暑さのあまり、意識が朦朧とする。 (はぁ…はぁ…暑い…暑い…暑い…脱ぎたい…脱ぎたい…脱ぎたいよぉ…) 頭の中に、この着ぐるみを今すぐにでも脱ぎたいという願望が生まれる。 しかし…分かっている…。 決して、まだ脱げない事を…。 脱がしてくれるはずは無い事を…。 むしろ、まだ更に、幸助は私を追い込もうとしている事を…。 暑くて耐えられず、脱ぎたくてたまらないのに、脱がしてもらえない。 自ら脱ぐ事は出来ない。 どんなに暑く苦しくても、この着ぐるみのファスナーを自分で開ける事は出来ない。 そう…誰かに脱がしてもらわない限り、私はこの着ぐるみから出ることは出来ないのだ。 (ぁ…ぁ…脱がして…もらえない…ぁ…) 脱ぎたいはずなのに、脱がしてもらえない事に、胸が躍ってしまう。 どんどんとその暑さは、私の体を蝕むのに…私の胸は高まっていく。 すると幸助は私のリードをそこにあった、棒に結んで言った。 「暑いよね、マリー。俺も、この暑さには参っちゃうな…。ちょっと待っててよ」 そう言った幸助は私を置いてその場を離れた。 横になったまま、幸助の帰りを待つ。 ただ横になっているだけだが、着ぐるみを着た私に降り注ぐ太陽光…それは凶器。 その光は私の体を温め、苦しめる。 (暑い…暑い…暑い…暑い…暑い…) じりじりと照り付ける太陽。 実際には幸助が戻ってくるまで、僅かな時間であったのに、私には恐ろしく長く感じた。 「お待たせ、マリー」 明るいトーンで私に声をかける幸助。 (!?…え…!?) 戻ってきた幸助の姿を視界に捉え、私は驚きを隠せなかった。 幸助の格好…それは水着姿だったのだ。 上半身は裸、そして、下半身にはいわゆる水着。 その格好が意味するもの…。 それは…プールに入るという事。 「さあ、マリー、この暑さだから、一緒にプールに入ろうか!」 軽いノリで、その言葉を言い切った幸助。 (ちょ…ちょっと…待って…プ…プール…そ…それは…) 私の頭の中に、様々な思考が入り乱れる。 もちろん、着ぐるみのまま水の中に入った事など無い。 後ろ足を折り畳まれた状態でプールに入る…。 足の力は皆無…どう考えても、泳げるはずは無い。 きっと、私を包む着ぐるみは私の動きを阻害する。 前足で水をかいた所で、普段のように泳げるには至らない。 更には、着ぐるみの中に入り込む水。 それがどうなるのかも私には経験の無い事。 そこに漂うのは…【恐怖】 あまりにも未知な事に、私は本能的に恐怖を感じた。 「さあ…マリー、プールに行こうか」 その恐怖に怯える私を、軽いノリで指示を出す幸助。 しかし、ご主人様のいう事は絶対。 それは私も、受け入れている事実であり、私がそう求めているもの。 それに抗う事など出来ない。 私は、襲い来る恐怖を自らの中に収め、ご主人様の言う事に従う。 横たわっていた体を必死に起こし、再び四足で立とうとする。 暑さにやられ、手足に力が入らない。 それでも、私は必死に起き上がる。 なんとか起き上がれたものの、相変わらず手足に力が入らず、ガクガクと体が震える。 いや…それは暑さから来るものだけではない…本能的に水へ入る事への恐怖もあるのだろう。 しかし、私はご主人様に従う。 棒に繋いだリードを外し、幸助は再び、私を引っ張り始めた。 「さあ、いこうか、マリー」 そう言って、幸助は私をプールサイドへと連れて行った。 プールサイドへ辿り着き、私の目の前に水面が広がった。 (や…やっぱり…プールは…無理だ…危ない…) その恐怖から体が固まってしまう。 「マリー、さあ入ろうか」 幸助が、私の首に繋がったリードを外し、先にプールの中へと進んで行った。 しかし、私の体は強張り、プールに入る事を拒絶する。 (無理…無理…怖い…怖いよ…) そんな様子を見た幸助が言った。 「マリー、ほら大丈夫。ここは浅いから怖がらなくてもいいよ」 そう言った幸助を見ると確かにそこは幸助の膝くらいしかない深さだった。 しかし、本能的にプールに恐怖を感じてしまっている私の体は動かない。 (うぅ…怖い…怖い…よ…) 幸助が呼んでいるのに強張って動けない体。 すると、にえを切らした幸助が言った。 「しょうがないな…。マリー!ご主人様が来いといってるんだぞ」 (!?) その強められた口調で言われたその一言に、ハッとする。 (そ…そうだ…私は犬…ご主人様に忠実な…犬…) その事を思い出し、私は再びプールの水面を見つめた。 (よ…よし…入ろう…入らなきゃ…そう…入らなきゃいけない…それがご主人様の命令だから…) 決意を決めた私は、足を動かし、プールへと近づいた。 そして、向きを変え後ろ足から、プールへと入水した。 後ろ足から入り、腰まで水に浸かる。 プールに入ると、着ぐるみの外側から、水圧が伝わり、次第に着ぐるみの生地から水が内部へと浸入してきた。 (あぁ…水が…水が…着ぐるみの中に…) ゆっくりと向きを変え上半身も水の中へと投じた。 両手が水底に付き、プールの中に四足で立つ形となった。 この深さでは、マスクの部分は水に沈む事無く、呼吸は問題ない。 しかし、上半身にも水が浸入してきて、着ぐるみの体の中はプールの水で満ちていた。 (頭が沈まなければ…大丈夫…) それが分かった私は、少し安心し、幸助のほうに目線を向けた。 「ほらマリー、気持ちがいいだろう??」 そう言われると確かに気持ちがいい。 着ぐるみにより極度に熱せられた体が、プールの水により冷やされる。 そして、水に浸かっている事で浮力が働き、体を支えるのがかなり楽である。 (だいぶ…楽だ…) 確かにプールに入った事で体はかなり楽になった。 しかし、そこで私の心の奥底で疑問が浮かぶ。 …楽になっていいのか…。 実際の体としては、限界を迎えようとしている所をケアされたような形なのだから、正解なのだが、私の心が求めるものが、これでいいのかという疑問を抱かせる。 すると、幸助がはしゃぎ始める。 「ほらマリー!!くらえ!!」 【パシャ!!】 プールの水面を手でかき上げ、私に水をかける幸助。 その水が私のマスクへと降り掛かる。 降り掛かる水量は、私の呼吸を遮るほどのものでは無いが、顔を横に向けながら、少し嫌がる素振りをする。 そして、逃げるようにジャバジャバとプールの中を進む。 決して早くは進めない。 当たり前ではあるが、もともと足を拘束され、四足で歩いている訳だし、さらに言えば、着ぐるみが水の中で、激しい抵抗を起こす為、かなり動きが制限される。 しかし、私は犬として、その戯れるご主人様の望むように、必死に動くのだった。 暫らくそんな戯れをしていると、幸助が望まない発言をした。 「さてと…マリー。こっちの深いほうで泳ごうか」 (ふ…深い…ほう…!?) そのキーワードに体が竦む。 再び先程の恐怖が訪れる。 このプールは二段構造になっており、この浅い所から暫らく行くと、一気に深くなっている様だ。 「大丈夫、マリー。俺がおんぶしてあげるから、安心して」 (こ…幸助がおんぶ…してくれるの…) プールに入る前までに抱いた水に対する恐怖は幾分か薄れていた。 【深い】というキーワードに恐れを抱いたものの、幸助がおんぶしてくれるという事に、何やら心が動かされた。 一人で深いプールに入れば溺れるのは必至。 両足を折り畳むように拘束され、着ぐるみに包まれた私は、泳ぐ事はできない。 体を包む着ぐるみも完全に浸水し浮く事は考えにくい。 足の届く所でなければ、確実に溺れる。 しかし、深くても、幸助の背中に乗っかっていれば、呼吸も出来るし、手足を動かして泳ぐ必要も無い。 それであれば、ご主人様の意向に沿うことは出来るだろう。 (う…うん…そう…。おんぶして貰ってれば…深くても…大丈夫だよね…) 私は、恐る恐る、プールの深いほうで待ち構える幸助の方へと向かって言った。 「うん、偉いよ、マリー。怖がらないなんて、ホント偉い!」 そう言って、幸助の所まで辿り付いた、私の頭を撫でる幸助。 「さあ、マリー。俺の背中に乗りなよ」 幸助が私に背中を向ける。 いつも眺めている背中ではあるが、いつになくその背中が心強く感じる。 (なんだろ…こんなに…幸助の背中って広かったっけ?) きっと、この深いプールにおいて頼る事の出来るのは、この背中だけと感じるから、余計に大きく感じてしまうのだろう。 (よ…よし…) 意を決した私は、幸助の背中へとしがみ付いた。 足がプールの底から離れ、完全に私の体は浮き上がった。 (し…しっかりしがみ付かないと…) 私は比較的自由な前足で、必至に幸助の首にしがみ付く。 ゆっくりと進んで行く幸助、もう既に私の足が届かない深さの所に来ている。 「ハハッ…マリー、気持ちいいね」 水に完全に浮かぶ感覚…確かに気持ちがいい。 浮かぶと言っても、幸助が泳ぐ事で私を維持してくれているのだが…。 それでも、着ぐるみを着てプールで泳ぐなんて経験は始めての事。 なんだかとても不思議な感覚だ。 しかも、普段は私が主導権を握っている関係なのに、今は幸助の背中が頼もしく感じている。 (なんだろ…こんな感覚も…たまにはいいかも…) 暫らくそんな不思議な満足感に包まれていた。 しかし、事態は急変する。 ユラユラと水面を泳いでいた私たち…。 気を少し緩めていた私に、予測も付かない事が起きた。 【ズボッ】 (え!?な?何!!) 私がしがみ付いていた、幸助が突然消えたのである。 私がしがみ付いてた前足から、幸助の感触が無くなった。 (な!?何!?こ…幸助!?) 今まで私を支えてきた幸助が私の前から【消えた】のだ。 それはつまり、私が沈む事を意味する。 (え!?幸助!?えっ!いや!あっ!!水が!!!!) その瞬間、マスクの中へとプールの水が入り込んで来る。 そして、マスクの中の私の頭を水が包み込む。 (あぁっ!!水が!水が!!息が!息が出来ない!!!) パニックになり、必死に手足をバタつかせる。 しかし、予想通り、折り畳まれた私の足では、水をかく事など出来るはずも無い。 バシャバシャと前足をバタつかせるも、マスクはあっという間に水の中に沈む。 (水が!!息が出来ない!!ごふっ!!息が!息がぁぁぁ!!!) 唐突の事に、潜る時のように大きく息を吸っている余裕など無かった。 直ぐに侵入してきた水によって、私の呼吸は止められた。 それでも必死に前足と後ろ足をバタつかせ、何とか水面に出ようとする。 しかし、そんな行為も無意味。 どんどんと私の体は沈んでいくのだった。 (いやぁぁぁぁぁ!!!苦しい!!苦しい!!死んじゃう!死んじゃうぅぅぅ!!) あっという間に肺の中にあった空気は底を尽き、私は完全に呼吸が出来なくなった。 (助けてぇぇぇ!!苦しいぃぃ!!いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!) 息が出来ない…。 包まれた着ぐるみのせいで、浮く事も出来ない…。 このまま…私は死ぬの…。 犬の着ぐるみに包まれたまま…。 怖い…怖い…怖い…。 死ぬのは怖い…。 (いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!) 本当に死んでしまうと思った、その瞬間であった。 【ザバーン】 体が一気に、水面に浮き上がったのだ。 (え!?) マスクの中から水が一気に抜けていく。 「な~んてね!」 幸助のいつもの軽いノリの声が聞こえて来た。 「ごほっ!ごほっ!!ごほっ…!!」 私は少し飲み掛けた水を吐き出す。 (く…空気!!空気が…ある…) どうやら私は再び、水の中から外へと持ち上げられたらしい。 「どう?びっくりした?」 幸助がふざけるような口調で、私にそう質問した。 空気が吸える事…そして、幸助の声が聞こえる事…それはつまり、私が死んでいないという事を意味した。 (あ…ぁ…い…生きてる…ぁ…た…助かった…) 本当に死ぬと思った…。 しかしどうやら、幸助の悪ふざけで私を驚かせようとしたという事だった。 とにかく、私は生きている…。 少し、私の中に生きている事への安堵の感情が湧き上がった。 (よかった…生きてる…生きてる…よぉ…) すると幸助は再び、浅い方のプールへと私を連れて行った。 そして、そのまま私をプールから引っ張り上げ、プールサイドへと上げた。 水から上がると、びしょ濡れになった着ぐるみの重さがずっしりと私の体にのしかかかる。 しかし、私はなんとかその重さに耐え、前足で体を起こす。 人間で言えば、女の子座りのような体勢となった。 「はぁ…はぁ…はぁ…」 プールサイドに上がった幸助は軽いノリで私に近付く。 「どう??びっくりしたでしょ??驚いたマリー、可愛かったなぁ…」 その幸助の軽いにノリに、私はつい頭に血が上ってしまった…。 「この…バカ幸助!!!なんて事するの!!!ホントに死ぬと思ったでしょ!!!」 私はつい、アンダードッグの犬としてやってはいけない事をしてしまった…。 人間の言葉を喋ってしまったのである…。 (あ!?) あまりにも頭に来て、咄嗟に出てしまった一言。 しかしこれはルール違反の行為。 いくらお客が何をしたとしても、言葉をしゃべってはいけない。 悲鳴や呻き声ではない、普通の人間の文句なのだ。 しかも、全力で美由としての【素】が出てしまっていた。 その言葉を聞いた幸助は、驚いた顔をして固まっていた。 それはそうだろう、初めて接してきた犬が人間の言葉を喋ったのだから。 (し…しまった…つい…) 後悔しても後の祭り…はっきりと喋ってしまったのだ。 すると、困惑を隠せない幸助が口を開いた。 「え!?ちょっと…待って…え!?その声…その口調……美…美由なのか???」 普段は鈍感な幸助が核心を突いた。 (し…し…しまった…完全にばれた…) 完全にばれたとしても、その質問に対して肯定する事は出来ない。 何故なら、私と幸助の【普段】の関係があるから…。 私は、幸助に知られていないからこそ、【普段】にはない犬として扱われ、従順に従わされるという行為に身を投じていたのだ。 【普段】ではない事だからこそ、私のMとしての自分を満たしていたのだ。 私がこんな性癖を持っていたと分かれば、【普段】の私たちの関係は崩れる。 ばれたとしても、私から肯定は出来ない…。 (うぅ…どうしよ…どうしよ…どうしよ…) 私はその質問に答える事が出来ずうろたえた。 幸助を見る事が出来ずに俯き考え込んだ。 しかし、その否定しない考える様子は、幸助に質問に対する肯定という確信を与えてしまった。 「美由…だよな。俺が、その声と口調を間違えるはずはないよ。正直に言ってくれ」 その幸助の一言。 それは私に対する愛が込められている…。 【間違えるはずはない】という言葉に、私の胸はグッと締め付けられた。 (・・・) 私は観念した。 肯定することで、【普段】の私たちの関係が崩れ去るとしても、もう黙っている事は出来なかった。 「ゴ…ゴメン…私だよ…」 私は肯定した。 それは、私の性癖や、今までの事を全て肯定する事。 そして、【普段】を捨て去る覚悟の一言だった。 「そうなんだ…。マリーの中身は美由だったんだ…。え!?いつも??最初から??」 「う…うん…」 今までの事、全てを私だと肯定してしまった。 暫らく二人の間に無言の時間が広がる。 その無言の時間を幸助が崩した。 「ハハッ…良かったぁ…」 「え!?」 余りにも予想外な幸助の一言に、私は幸助の顔をグッと見てしまう。 「いやぁ…。良かった良かった。実はさ…俺、このテラスに通い始めて、マリーばっか指名してたじゃない??」 相変わらず、どこか軽い口調で話す幸助。 「犬の中身に女の子が入ってるの分かってたんだけどさ…。俺の中で、いつも想像は【美由】だったんだよね」 (え!?) 「だから安心した。俺が求めてた相手が、やっぱ美由だったって事だから。」 (こ…幸助…) 「あれ??今の発言やばかった??もし中身が美由じゃなかったら、浮気って事か??ん!?違うだろ…浮気じゃないよな??ん?」 (んもう…幸助ったら…安心したのはこっちだっての…) 「いいわよ、浮気じゃないって事にしてあげる」 「そっか!!さすが美由!気前がいい!!」 「その代わり、私がここまで黙ってた事を許してくれるってことでチャラでよい?」 「ありがとうぅ…美由…さすが俺の彼女だぁ…」 そう言って、幸助は私に抱き付いて来た。 普通に会話をしていると、やはり私が主導権を握ってしまう。 「と…ところでさ…幸助…私がなんでこの仕事やってるかっていうと…」 「あっ!いいよ分かってる」 「へっ?」 「美由、実はすっごいMなんだろ?」 ひた隠しにして来た事実をあっさりと言い放つ幸助。 「な…なんで…そそそ…そんな??」 「あっ…いや…マリーを見てれば分かるだろ。だって苛めれば苛めるほど、嬉しそうにするんだから。呼吸苦しいのとか…暑いのとか…苦しい程いいんだろ??無理ってアピールしてきた後なんか、そっからもう一回って言った時の嬉しそうな表情ったら…」 (えええぇぇぇぇ!!!!ばれてたぁぁぁぁぁぁ!!!) 自分では全く外には出ていないと思っていたが、幸助にはあっさり見抜かれていた。 「でも全く問題ないよ。だって俺…思いっきりSだし」 「うぅ………」 「これからも、やろうよ。俺はウェルカム」 「わ…分かった…。じゃぁ…私がマリーの時は…好きにしていいわよ…」 「オッケー、これで全て問題はクリアーだな」 こうして、私と幸助の関係は公となった。 「…って事は…。今はマリーなんだし、俺の好きにしていいって事だな?」 「い…いきなり!?」 「はい、犬は喋らない」 「ぅ………」 私は人間の言葉を封印し、ご主人様に忠実な【犬】へと戻っていった。 そして、私達はせっかくのプライベートエリアを満喫したのであった。 どSの彼氏と、どMの私…。 ご主人様と、着ぐるみの犬…。 それが私たちの関係…。 後日・・・。 アンダードッグ本店の控え室。 「美由ちゃん!幸助くんに中身だって打ち明けたんだね!」 自分と同じ境遇になった絵梨香が、目を輝かせながら私に詰め寄ってきた。 「ん…まあ…事故というか、なんというか…」 「それで、上手く行ってるって事は…幸助くんが美由ちゃんのMなところ、受け入れてくれたんだねぇ…」 「受け入れたっていうか、あいつ元々Sだって事は分かってた事だしね」 「でも、普段の学校での関係は、今まで通り美由ちゃんが主導権握ってるから、なんか不思議だよね…」 「うっ…それはそれだから…」 犬になるため、互い黒タイツを着ながら、そんな会話を繰り広げる。 「さあ、今日もお仕事お仕事。早く衣装着るよ!」 「はぁ~い」 そして私達は着ぐるみに身を包み、お互い後は背中のファスナーを閉めるだけという状態になった。 「そっか…。美由ちゃん、みんな秘密が分かった訳だし、今度、うちのお姉ちゃんの別荘で、ダブルデートしようよ!」 「ぶっ!!」 「もちろん、私達は犬として…ね…」 「も…もう…しょうがないわね…」 そして私達は犬になる。 着ぐるみの犬に…。 そこはアンダードッグ。 着ぐるみの犬達が出迎える、不思議なお店。 ------------------END-----------------------------

アンダードッグへようこそ Side Story ~ 美由 Side ~ 【後編】

Comments

コメントありがとうございます! 楽しんでもらえれば、何よりです^ ^

ももぴ

もう 言葉などできない、最高だ。 ももぴ先生、ありがとう ございます。 ご馳走様でした。😍

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