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アトラクションの裏側 Side Story ~ 亜弥 Side ~

・・・私は【物】・・・ 【人】ではなく、【物】なのだ…。 私の名前は【小泉 亜弥(こいずみ あや)】。 屋内体験型テーマパークで働いている。 働いているという表現が正しいかは分からない。 しかし、給料をもらって、やることをやっているのだから、働いているというのが正しいだろう。 担当しているアトラクションは、【体験型の巨大ボーリング】。 しかし、接客スタッフという訳ではない。 仕事内容はというと、その巨大ボーリングの【ピン】なのだ。 この体験型巨大ボーリング、お客が巨大なバルーンのボールの中に入り、転がってピンを倒すという、【体験型】のアトラクション。 そのお客が倒す【ピン】。 それは、一見、単なるアトラクションの【オブジェクト】に過ぎない。 しかし、実際にはその10本のピンの中には、中身が存在し、10人の女の子がその中に閉じ込められているのだ。 もちろん、お客にもアトラクションのスタッフにも、この事実は知られていない事。 つまり、傍目には、ただの【物】なのだ。 そして、私はそのピンの中身のうちの一人。 ピンの中身に閉じ込められた時点で、私達は【物】になり、【物】として扱われるのだ。 何故、ピンの中に人間が入る必要があるのか? それは、ピンの中に人が入る事により、ただの【物】よりも、倒れにくかったり、倒れやすかったりと、ゲーム性が上がる。 そして、何より、このテーマパークの社長と運営責任者の【日比野 冴子(ひびの さえこ)】さんの趣味という所が強い。 そして私たち中身の女の子たちは、高額な給料を支払われ、自ら中身になる事を選んだのだ。 中身である女の子達の境遇も様々だが、皆、お金に困っていて、この仕事をやっているものばかりだった。 かく言う私も、お金に困っている。 役者を目指し、田舎から都会へと飛び出してきた。 しかし、芸能の世界は甘いものではなく、劇団に所属しながら、生活費を稼ぐという生活に追われていた。 そんな中、偶然に出会った【芸能事務所】に声を掛けられた。 浮かれた私は、その誘いに乗ってしまった。 それが運のつきである。 その芸能事務所というのは、詐欺じみた行為で私から多額のお金を貪り取った。 気がついた時には、既に遅し…。 デビューする事も出来ず、借金だけが残ってしまった。 浅はかな自分に後悔をするも、なんとかしてお金を返済しなければならず、偶然に出会った、この仕事をする事になったのだ。 自らが起こした過ち…、どんなに苦しかろうが、頑張って稼ぐしかない。 今では、前に所属していた劇団はやめ、社会人で構成された劇団に入った。 日中は、このテーマパークで【ピン】になり、夜は劇団活動。 劇団員は皆、日中の仕事をもっているため、夜に活動するという点は、私にとってもありがたかった。 そして、今日も私は【ピン】になる…。 施設に入った所で、今日のピンの番号が割り当てられる。 そして、その番号の書かれた着替え部屋へと入って行くのだ。 今日の番号を確認する。 「7番か…ラッキー…」 1番ピンだと、ボールが当たり倒れる可能性が高くなる。なので場所は重要。 給料は決まった額にプラスしてポイント制になっていて、倒れずに残れた方がポイントが上がる。 だから、何番ピンになるかで金額に差が出るのだ。 私はトイレを済まし、7番の着替え部屋へと入っていった。 狭い部屋へと入ると、そこにはいつも通り、背中をパックリと開けたピンの着ぐるみが立っている。 「さて…今日もがんばろ…」 私は気を引き締め、準備に取り掛かった。 まずは、着ていた服を全て脱ぐ。 全裸でタイツを着る事になるため、下着すらも全て脱ぐのだ。 これは、自らの意志でそうしているのではなく、決められた事。 私は服を全部脱ぎ、逸し纏わぬ姿となる。 着ていた服をきれいにたたみ、次の作業へと移る。 次の作業は、【これ】を入れる作業…。 これとは、陰部に挿入するバイブの事である。 その道具を陰部へと挿入するのも、この仕事の決まり事なのだ。 それを、自らの手で挿入する。 まずはローションを手に取る。 片手に出したローションを自らの陰部へと塗りつける。 「ひぅっ…」 ローションの不思議な感覚に声が漏れる。 そして次はバイブの番。 ローションで強制的に滑りをよくした陰部へと、バイブを潜り込ませる。 (…よし…いれるか…) 毎日の日課なのだが、これを自ら入れる瞬間に、いつもためらいが生じる。 しかし、そんな事は言っていられないので、やるしかないのだ。 私は思い切って、バイブを自らの陰部へと挿入した。 「んんぅっ…」 やはり、この瞬間も声が漏れ出てしまう。 仕事中、ずっと入れているのだから、違和感もへったくれもないが、やはり、その日の最初に入れる瞬間は刺激がある。 そして私の陰部にはバイブが入り込み、取り出し用の紐がぶら下っている状態となった。 (ふぅぅぅ…次は…) 次に手に取ったのは、ボディーホースと呼ばれるものに近い全身タイツ。 体を一本の棒のように包み込むように出来ているが、頭の部分は頭部をきっちりとトレースする。 口の部分にプラスチックのパーツがついていて、後でスタッフに、ホースを繋いでもらう。 鼻の部分も穴が開いていて、そこからも呼吸は出来る。 しかしながら、外界に露出する部分はそこだけで、着てしまうと視界はゼロとなる。 タイツを手にしながら、ピンの着ぐるみの側へと近付く。 ここから先は、タイツを着ながら他の作業もしていくため、着ぐるみの傍でないとダメなのだ。 まずは、その全身タイツに両足を通し入れる。 両足を同時にタイツに入れ込み、タイツを腰まで上げる。 このタイツ、伸縮性があり、着ると妙な締め付け感がある。 (よし…と…) 両足が一本の棒のような状態となる。 そして次に、着ぐるみの底部にある穴へと足を通す。 着ぐるみの底部には、高さが40cmくらいあるウレタンブロックのようなものがある。 その穴というのは、そのウレタンの真ん中に開いている。 実は、このウレタンが取替え可能になっており、私たちが流しだした汗を吸収してくれるのだ。 最悪のケースではあるが、尿意が我慢できずお漏らしをした場合も、このウレタンが吸収してくれる。 とはいえ、基本、直前におしっこを絞り出してきて、さらには大量の汗が吹き出る事で、尿意が来る事はほぼない。 私も今まで、一度も尿意が来たことは無い。 仮に来たとしても、絶対に我慢するだろう。 着ぐるみの中でおしっこをしてしまえば、中は壮絶な臭いになる。 何より、そんな状態でお漏らしをするという行為には、恐ろしい程の抵抗がある。 恥ずかしすぎて、とてもそんな真似は出来ない。 そして座った状態から、タイツに包まれた両足を、その穴へと突っ込んだ。 このウレタンも柔軟性があり、その小さな穴へと両足を刺し入れると、周りからホールドするような感覚がある。 (よし…こんなものかな…) 両足がしっくり来るのを確認し、次の作業へと移る。 次は両手につけるゴムベルトのようなものである。 両腕を入れる場所は円筒になっており、片手ずつそこに入れる。 そしてその円筒状のものを手首から少し体よりの所で固定する。 この円筒は右手と左手を繋ぐように、体の前面でゴムベルトで繋がっており、そして後面に垂れ下がるゴムベルトは、後で世話係に留めてもらう。 後ろを留めるまでは両手を開く事は出来ないが、ある程度の自由がある。 しかし、後ろの留め具を付けられた瞬間、両腕は前後左右、全く動かせなくなるのだ。 そして私はしゃがみこんだ状態で、着ぐるみの中へと半分入る。 次はタイツのマスク部分である。 腰から垂れ下がるタイツを引っ張り上げ、マスク部に頭を突っ込む。 伸縮性があるため、頭部にチャックはついていないが、引っ張って滑り込ませる事で、あたまを通す事が出来るのだ。 「ふぅぅ…」 私は大きく深呼吸をした。 何故なら、これを被った瞬間、視界はゼロとなる。 つまり、マスクに頭を覆われた時点で、本日の【何も見えない世界】の始まりだからだ。 しかし、ためらっていてもしょうがない。 私は一気に、マスクの穴に頭を滑り込ませた。 視界が無くなる。 薄っすらと光は透けてくるが、外の景色を認識する事は出来ない。 呼吸を確保するため、鼻の位置と、口の位置を調節する。 (よし…) マスクを整えた私は、見えない中、その場に立ち上がった。 それと同時に体をタイツが包み込む。 そして、ピンの着ぐるみの中に直立しながら入り込む。 ほぼ私は、ピンの着ぐるみに包まれた状態となった。 後は世話係が来て、腕のベルトを後ろで締め、タイツのチャックを閉め、口のジョイントにホースを繋ぎ、着ぐるみのチャックを閉めてくれるのを待つ。 時間が来るまではこの状態で、ただ待つしかない。 何も見えない…本当に何も出来ず、ただ待つ。 【ガチャ】 どれだけ待ったかも分からないが、ようやく扉を開ける音がした。 恐らく世話係の子が入って来たのだろう。 「じゃあ、腕のベルト締めますね」 耳に入って来た声。 (この声…【夕菜(ゆうな)】だね…。そっか、今日から夕菜は世話係なんだ…) 私たち中身の女の子は周期的に、一人が世話係兼、運営スタッフとして表に出る。 しかし、基本はこの視界の無い中での接点しかなく、お互いの素性は知らない。 そんな中、帰り道にちょっとした事件が起こり、偶然、私は夕菜と出会った。 その後、暫らくてお互いを中身の人間だと認識してしまう事が起こり、私たち二人だけは、お互いの事を知っている。 そして、それをきっかけに仲が良くなり、いまではいい友達であり、職場仲間なのである。 とはいえ、私がこの時点で夕菜に声を掛ければ、今日の7番ピンが私だと認識してしまう。 それは仕事に差支えが出る可能性があるので、敢えて私は黙ったまま、夕菜に準備をしてもらうのだった。 腕を固定するベルトが、背中側で留められる。 すると両腕はきをつけをした状態で、体の側面に固定され動かせなくなった。 「タイツ閉めます」 夕菜のその言葉が聞こえると、背中のチャックが徐々に閉められて行く。 毎回の事ではあるが、このチャックが上がっていくに連れ、体全体が包まれる感覚が広がり、全身を軽く締め付けられる感が包み込む。 チャックが完全に閉められると、私はタイツで出来た一本の棒のような姿となった。 「口のジョイントつけます」 (んむぅ…) 後頭部を抑えられ、口のジョイント部にホースが取り付けられた。 完全に着ぐるみに閉じ込められた後、唯一、外部からの空気を取り入れられるのは、このホースのみ、つまり私たちの生命線でもある。 これが取り付けられたという事は、あとは着ぐるみのチャックを閉めるのみ。 それが閉められれば、私は【物】になる。 今はまだ、タイツに包まれた生命体が露呈しているため、生き物として存在しているが、それが包み込まれ、見えなくなった時、もうそこにあるのは単なる【物】として存在し、扱われるのだ。 「着ぐるみのチャックしめますね」 夕菜から、物になるという宣告を受ける。 そして、ゆっくりとではあるが、チャックは閉められ、亜弥という人間の存在はなくなっていくのだった。 私の体となった7番ピンを触る人の感覚がなくなった。 それは、準備が終わり、私が完全にピンになったという事を示す。 (今日も…私はピンになった…一日が始まる…) このピンの着ぐるみ、内部にもかなりのスポンジがあり、チャックを閉められると、ほぼ体全体をトレースするほどの隙間の無さ。 それが故、もうこうなってしまった私は、自力では何もする事は出来ない。 何も見えない…動く事も出来ない…。 出来る事…いややるべき事はひとつ…倒れないように踏ん張るだけ…。 私はこのまま、アトラクションのブースまでスタッフに運ばれていくのを待つしかない。 暫らくすると、体が持ち上げられる感覚があり、揺れが伝わって来た。 これはアトラクションへ運ばれているという事。 そして、再び支えられる感覚があり、私は恐らく、アトラクション内の7番ピンのポジションへと設置されたのだ。 着ぐるみのチャックを閉められてから、まだそんなに時間は経っていない。 しかし、この分厚いピンの着ぐるみは、私の体温を内部に閉じ込める。 最初にポジションに設置される頃には、毎回、中はかなり蒸し暑くなっている。 (ふぅぅ…暑いな…いつもの事ではあるけど…) かなりの暑さとなっているも、こんな所でめげてはいられない。 次にこの暑さから開放されるのは昼、つまり、まだ何時間も、この暑さに耐えなければならないのだ。 さらに言えば、体温が上がれば上がるほど、内部の熱気も篭る。 だから、この暑さは、まだ序の口といっても過言ではないのだ。 視界のない状態、ただ音がうっすらと聞こえる状況で、ひたすら暑さに耐えながら待ち続ける。 私と同じ境遇の女の子が、私の他にも9人、傍にいるのだ。 皆が、この孤独感と暑さに耐え忍んでいる。私だけが特別という訳ではない。 とにかく頑張るしかないのだ、目的達成の為に。 【ピ・ピ・ピ・ピーン!】 すると、着ぐるみの外から薄っすらと電子音が聞こえて来た。 今日のアトラクションの始まりである。 分厚い着ぐるみを通して聞こえて来る、この音。 この音は、巨大ボーリングの球、つまりお客が中に入った巨大なバルーンボールが転がり始める合図なのだ。 (来る…) そして私は次に訪れる衝撃のために、心の中で身構えた。 ボールが来る事が分かっても、体の自由は無い。 つまり、出来る事は、次に起こる事象に気持ちとして構えるだけなのだ。 【ドンッ】 身構えた割りに、思ったほどの衝撃は来ず、軽く着ぐるみの外側に圧が加わった程度であった。 (ぐっ…) それでも不用意に倒れないよう、体に力を入れ、グッと堪える。 (よし…耐えた…) どうやら、ボールは私と反対側に転がって行ったようで、恐らく先程の振動は、倒れたピンのどれかが、私に軽く当たっただけだろう。 とはいえ、何も見えていないのだから、全ては憶測である。 そして、倒れたピンが退かされ、第二投目が来る。 【ピ・ピ・ピ・ピーン!】 (来た…) 二投目に構えた次の瞬間であった。 【ドンッ!!!】 (ぐふっ!!きゃぁぁぁぁぁぁ!!!) 強い衝撃が全身に伝わり、私は思い切り倒れ込む。 体に伝わる衝撃…。分厚い着ぐるみに包まれているので、苦痛を感じるものではないが、全身に一気に与えられる衝撃は、それなりのものである。 そして、そのまま倒れる訳だが、完全に拘束され身動きは取れない。 つまり、全く受身の取れない状態で、思いっきり倒れ込むのだ。 着ぐるみのお陰で、痛みはないが、受身を取れない状態で倒れ込むというのは、やはり恐怖を感じる。 (うぅ…こ…怖かった…) 毎日のように訪れる同じ感覚ではあるが、その日の最初の時は、毎日、この感覚が新鮮なものとなり恐怖を感じるのだ。 その日の二回目以降は、それなりに慣れてくるが、やはり一回目は慣れない。 慣れるといっても、視界ゼロの状態に訪れる衝撃は、来る瞬間は毎回緊張する。 そして暫らく倒れたまま横になっていると、体が回され始めた。 そう…私たちは、次のゲームの為に、ゴロゴロと転がされ、また定ポジションへと設置されるのだった。 その間も完全に【物】として扱われる。 ただのピンがそこに転がっていて、そのピンを再び場所に戻すだけ。 決して、その中身が人間だとは、誰も思っていないし、そんな扱いすらされない。 急いでいる時なんかは、かなり乱暴に転がされ、また元の位置に戻されるのだった。 しかし、唯一、その中身が人間だと知りつつも、私たちを【物】として扱っている人間がいる。 それは、私たちが周期的に外に出てスタッフをやっている位置の人間。 つまり、今日でいうと夕菜の事である。 彼女はピンの中身が人間だと知りながら、敢えて【物】として扱う。 普段は自分も中身をやっているのだから、事情を知っていて当然だ。 しかし、その周りで働く他のスタッフに悟られないよう、うまく立ち回っているのだ。 そして、また次のボールが用意され、電子音と共にあの衝撃が訪れる。 その繰り返しである。 私達はポイントを稼ぐ為、必死に倒れないように耐える。 拘束された体で出来る事はそんなにない。 しかし踏ん張って耐える事は幾分か出来る。 そうやって、必死に耐えるしかないのだった。 次のボールが来るのを待っていたその時であった。 【ブウゥゥゥゥン…】 (!!??あぅっ!!んうぅぅぅぅ!!) 突然、私の陰部に仕込まれた道具が動き始めたのだ。 (あぁっ!!ダメぇっ!!こ…これが…来ると…踏ん張れ…ない…) 冴子さんの悪戯である。 コントロールパネルを持った冴子さんが、ランダムにこの刺激を与えてくる。 私の陰部の中で、小刻みに暴れる道具。 その攻撃は効果覿面である。 陰部に与えられる刺激、それからは逃れようない。 両手両足の自由は愚か、全身をピンの着ぐるみに包まれているのだ。 逃れるどころか、その刺激に反応しようにも、動かせる部分も少ない。 着ぐるみの中で、少し体を捩じらせる程度しか動く事は出来ない。 (ぁっ…あぅっ…ん…んぅっ…) 自分ではどうしようもない刺激が襲ってくる。 膝に力が入らなくなってくる。 しかし、自立したピンの着ぐるみは、中身の人間の膝に力が入らなくても、途中で折れ曲がって倒れるような事はない。 つまり、思い切り体の重心を揺らして、全身で倒れない限り、ある意味では着ぐるみに立たされているのであった。 【ピ・ピ・ピ・ピーン!】 そんな快感に襲われている間にも、ボールが転がってくる合図が聞こえて来る。 (こ…これが…ぁんっ…動いて…る…時は…んうぅっ!) 【ドンッ】 すると、足元に軽い衝撃が伝わって来た。 先程と同様、倒れたピンが私の足元に当たったのだろう。 しかし、陰部を攻撃され膝に力の入らない私には、充分ぎる程の衝撃なのだ。 (ぁ…あ…きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!) 私は、少し時間差が合ったかのごとく、そのままバランスを崩し倒れ込んだ。 倒れ込むと先ほどまで襲っていた陰部への攻撃が止まった。 「ふぅぅ!ふぅぅぅ!ふぅぅぅ!」 陰部を攻められたことで、呼吸が荒くなる。 口に繋がったホースから出来る限りの空気を取り込み、鼻から息を放出する。 (ふぅっ!!くる…苦しい!!苦しい!!空気が!!空気が!!) 陰部への刺激により乱れた呼吸、限られた呼吸口から、必死に空気を取り込む。 「すぅっ!ふぅっ!すぅっ!ふぅっ!すぅっ!ふぅっ!」 ただでさえ楽ではない呼吸、それに拍車を掛け、私を苦しめるのだ。 暫らくして、ようやく呼吸が落ち着き始めた。 (ふぅぅ…ふぅぅぅ…なんとか…落ち着いた…) そして、落ち着いた後に訪れる状況。 (…あぅ…あ…ぁ…暑い…暑いよぉ…) 陰部への刺激により、一気に火照った体、その体温はかなり上昇し、着ぐるみ内の温度も上げる。 体中から汗が噴き出してきているのが分かる。 (暑い…暑い…暑いよぉぉ…) 頭の中が【暑さ】という事でいっぱいになる。 逆にそれ以外の事に思考を回すだけの余裕がなくなっているという事でもある。 そして、また転がされ、位置へと戻される。 すると訪れる衝撃。 それが繰り返され、その最中、私達は暑さと戦い、そして時々訪れる快感に耐えているのだった。 何故、こんなに厳しい状況に耐えなければいけないのか…。 それは自らの目的のため…お金の為に耐えるしかないのだ…。 (暑い…暑い…暑い…暑いよぉ…苦しいよぉ…うぅっ…) どの位時間が経ったのだろうか、相変わらず中身でいる時は、時間概念が失われる。 その過酷な状況にただひたすら耐え抜いていると、突如、背中に涼しさを感じた。 そう、着ぐるみの背中のチャックが降ろされたのだ。 (ひ…昼の休憩時間…が…きたの…??) 暑さと時々訪れる快感に蝕まれた私は、午前中だけで体も精神もくたくたになっていた。 背中から新鮮な空気が入り込み、同時に中に篭っていた熱気が外に流れ出ていく。 (うぅ…い…生き返る…) 体中を包み込む暑さから一気に開放されていく。 高められた体の熱は、そう簡単には下がらない。 しかし、極限まで暑さに苦しめられていた私にとって、周りを包む熱気が無くなっただけで、かなり楽に感じられるのだ。 すると、口のジョイントが外され私の頭部はフリーとなった。 そしていつもの様に、私はそのままゆっくりと膝を折り、腰を屈める。 頭部がピンの着ぐるみから抜け出し、背中のチャックが開けられた部分から体を外へと抜き出させる。 両腕は拘束されたまま…基本的に受身などが取れる状態ではないので、ゆっくりと危なくないように慎重に抜け出る。 私がスタッフをやっている時に、外から見た光景でいうと、それはまるで、昆虫がサナギから、ゆっくりと羽化するかのような光景だった。 足はウレタンスポンジに固定されたままなので、足は着ぐるみ内部に残したまま、膝を曲げた状態で、体だけ外に出すのだ。 着ぐるみの中から、体を出す…これだけで、かなり体は楽になる。 「ドリンクいれますね」 再び夕菜の声が聞こえて来た。 すると、口のジョイントに柔らかいストローのようなものが差し込まれる。 これは昼の水分補給。これを飲んでいれば熱中症にはならないらしい。 夕菜が他のピンを世話している間に、私はそのドリンクを飲み干した。 ドリンクが空になれば、夕菜が勝手にそれを片付けてくれる。 そして私達は時間が来るまで、このまま仰向けになって休憩を取るのだった。 実際、足はピンに固定されたまま、両腕も拘束されている。 つまり、この状態で寝ているしか、出来る事はないのだった。 この休憩の間に体力を復活させ、午後のために備えなければならない。 呼吸を整え、体を休息させる事に専念するのだ。 そして時間が来れば、またピンの中に戻される。 再び、あの暑さや快感、そして訪れる衝撃との戦いが始まるのだった。 休憩時間が終わり、またピンの中に戻され、口のジョイントがはめられる。 時々、この時にパニックを起こす女の子がいる。 午前中があまりにもきつかったりすると、その恐怖がここで込み上げてきて、再びピンに閉じ込められるという事にパニックを起こすらしい。 しかし、そこでどれだけパニックを起こしたとしても、私達は契約の上、ピンの中身をしているので、容赦なく着ぐるみのチャックは閉められ、またピンの中へと閉じ込められるのだ。 パニックを起こしたまま、閉じ込められると、その後は精神的にかなりやられるらしい。 私も夕菜も、それは経験が無いので、あくまで聞いた話だ。 そして、再び着ぐるみのチャックが閉められ、また私は【物】になっていった。 午前中と同じ事が繰り返され、午後の部も終わっていく。 すると、またどこかへと運ばれる感覚があった。 本日のアトラクションが終わり、着替え部屋へと運ばれているのだろう。 そして、降ろされる感覚があり、再び背中から涼しさを感じた。 着ぐるみの背中のファスナーが下ろされ、熱気が外に流れ出始めた。 一気に体が楽になる感がある。 (ぁ…ぁ…ぉ…おわっ…た…ぉわ…った…の…ね…) 午後の部が終わる頃には、思考すらもはっきりしない程、憔悴していた。 すると昼休憩の時とは違い、全身を覆うタイツのチャックも開かれ、手を拘束するベルトの留め具も外された。 私は昼の休憩の時と同じように、ゆっくりと着ぐるみの外へと抜け出た。 両手の拘束は解かれているものの、未だ、動ける気力と体力が残っていない。 結局、昼の休憩と同じように、足をピンの着ぐるみに突っ込んだまま、暫らくはそのまま横になって休むのだった。 汗でグショグショに濡れたタイツが、着替え部屋の床を濡らす。 後で拭き掃除をしなければならないが、この汗の量を止める事も出来なければ、着ぐるみを脱いですぐ、着替えが出来る程、私の体力は残っていない。 止む終えず、そのタイツの汗は床を濡らしていくのだった。 そして、暫らく休憩を取り、動けるほどになった頃、私は着替えを済まし、また【人間】へと戻り帰途に着くのだった。 こうやって、私の一日は流れていくのだ。 【物】としての一日が…。 そんな日々が続いていたある日の事。 友人である夕菜に彼氏が出来たらしい。 しかも、その人物はここのスタッフのアルバイトで来ている【翔(しょう)くん】らしい。 私は暫らくスタッフになっていないので、翔くんという人物と面識は無い。 唯一ある【接点】とするなら、毎日、私を【物】として捌いているくらいだ。 もちろん向こうはピンの中身が人間だという事は知らない。 私は捌かれていると思っているが、翔くんからして見れば、そんな感覚は全くないだろう。 視界の無い中、私を動かしている人だというくらいにしか認識は無い。 そして、夕菜も彼氏が出来た事により、私と会う機会も少なくなっていった。 それは仕方のない事。うまく行っているようだから、夕菜が幸せになるならそれで良い。 それから暫らくしての事だった。 「亜弥ちゃん、私、この仕事を辞める事になったの」 夕菜からの衝撃の一言だった。 「そ…そうなんだ…」 「うん…目標の金額まで、なんとかなったから」 「そっか…おめでと!…で…翔くんとはうまく行ってるの??」 「え!?あ…うん…うまく行ってるよ」 「じゃあ翔くんは、仕事どうするの??」 「うん…翔くんも一緒に辞める事になった…」 「そっか…。これからは二人で仲良くやっていきなよ」 「ありがと…。亜弥ちゃんも、早く目標金額が貯まればいいね。頑張って!」 「うん…ありがと…頑張る」 そして、夕菜はこの職場から去って行った。 心のどこかで、ずっと一緒にいると思っていた所がある。 中の良い人間が一緒に頑張っていると思うと、どんなに苦しくても頑張れる気もしていた。 何か心のどこかに大きな穴が空いてしまったような感覚に包まれた。 しかし、夕菜がいなくなったとしても、私は私の目的を達するまでは、必死に頑張るしかないのだった。 そして私は、いつもの様に【物】になっていった。 これまでと違う所は、暑さ、苦しさ、それに加えて、ある意味の孤独感がある事。 もともと、着ぐるみに閉じ込められてしまえば、そこは孤独な空間。 しかし、今ある孤独感はそういうものではなく、心の柱の部分に漂うものだった。 (暑い…苦しい…暑い…苦しい…暑い…苦しい…) 私はたった一人で、この苦しさに立ち向かっていくのだった。 そしてある日の事、ついに私が目標としていた金額まで到達した。 「亜弥、目標金額に達したらしいわね…おめでとう」 この職場を管理する冴子さんが声を掛けてきた。 「あ…はい…ありがとうございます…なんとかですけど」 「でも、なぜかしら?亜弥とはお別れする気がしないのは??」 「え?なんですか?その感覚…目標まで届けば、私もこの仕事を辞めますよ」 そう、こんなに苦しくきつい仕事、目標金額が貯まれば辞めるに決まっている。 「ふ~ん…そう…」 冴子さんが不思議そうな眼差しを私に向けながらそう言った。 「まぁ…とにかく今日も頑張りなさい」 「はい」 そうして私は、あと残り数日となる仕事へと移って行った。 いつも通り、私は着ぐるみのピンに包まれ、【物】へとなる。 午前中の部が終わり、着ぐるみから一旦開放される。 「今日はあなただけ特別よ。記念日なんだから」 (こ…この声は冴子さん…) タイツに包まれ視界の無い私の耳に、冴子さんの声が入って来た。 (特別??何が??) 体を拘束されたままの私は、冴子さんの言葉に疑問を抱きつつも、ただ横になっているしかなかった。 すると、いつものように、水分補給用のドリンクが差し込まれてきた。 【ゴクッ…ゴクッ…ゴクッ…】 汗により水分を失った体は、一気にその飲み物を吸収していく。 (ん…いつもより甘い気が…) そんな違和感を覚えつつも、体は正直で、とにかく水分を欲しているのだった。 (ふぅぅ…生き返った…あとはゆっくり休もう…) そして、昼の休憩を終え、私は再びピンの着ぐるみの中へと閉じ込められた。 午後の部の戦いが始まる。 午後の暫らくしてからの事だった。 暑さはいつも通り、この上ない暑さが私の体を蝕む。 それはいつも通りなのだが、今までにない事が起こったのである。 (う…な…なんで…こ…こんなの初めて…だよぉ…) 私に訪れたもの…それは【尿意】であった。 この仕事を始めてから一度もなかった事。 きちんと始まる直前にトイレに行き、普段から余分な水分を取らなければ、起きなかった現象。 しかし、今回はそれをしてきたのにも関わらず訪れた。 午後が始まってからの時間を考えると、まだ今日の午後の部の残りは長い。 現状の尿意の感じからするに、とても最後まで我慢できる気もしなかった。 (うぅ…いやぁ…お…おしっこ…したい…でも…無理だよぉ…) そう、この着ぐるみの中で排尿するという行為。 出した尿は足のウレタンが吸収してくれるだろう。 しかし、臭いは別物。排出してしまえば、中は尿の臭いが充満するだろう。 陰部を攻められて、ただでさえ中は雌の臭いが充満している。 それに尿の臭いも加わったら、中の臭いは大変なことになるだろう。 そして、臭いの事もよりも重大な事。 それは、二十歳を過ぎた女の子が【お漏らし】をするという事。 大人になってから、もちろんトイレでしか排尿などした事はない。 まさか、こんな直立で立ったまま、何も動く事も出来ない状態で、だだ漏れに尿を漏らすのだ。 さらには、周りにスタッフの人達もいる。 そして、着ぐるみを脱げば、お漏らしをしたという事実は、確実に分かってしまう。 こんな状態で【お漏らし】をするという事は、恐ろしく恥ずかしい事なのだ。 しかし、そんな私とは裏腹に、尿意はどんどんと増してくる。 (ぅぅぅ…ダメェェ…おしっこ…おしっこ出ちゃう…無理だよぉぉぉ…) そんな増してくる尿意に必死に戦う私の心。 (こ…こんな所で…お漏らし…なんて…出来ないよぉぉ…) 動けない体ではあるが、内股に力を入れて、なんとかその尿意に抗おうとする。 しかし、どんなに力を入れても、尿意が収まる事はなく、私の下腹部を攻め続ける。 (ぅぅ…いやだぁぁ…お漏らしは…いやだよぉぉぉ…) そんな必死に尿意と戦っている最中、予想だにしない、更なる攻撃が加えられた。 【ブゥゥゥゥゥゥゥン】 そう…私の中にいる道具が動き始めたのだった。 (んぁぁぁぁぁあっ!!いやぁぁぁ!だめぇぇぇ!!今は!!今は!!!) 尿意を我慢する私にとって、その攻撃は致命傷となるものだった。 襲い来る快感。 それは、尿意を我慢して限界を迎えようとしているからだろうか…普段のそれよりも大きなものに感じられる。 その道具の攻撃は、緩む手を知らず、私の陰部を弄ぶ。 (あうぅぅぅっ!!!ダメェ!!おしっこ…でちゃぅぅ!!お漏らしは…いやぁぁ!!) その訪れる快感は私の脳内を埋め尽くす。 そして、その埋め尽くされた脳は、自制心を破壊し、私の全てを崩れさせた。 (あっ!あっ!いやっ!も…もうっ!ムリィッ!ぁっ…でちゃ…でちゃうぅぅぅぅぅぅぅぅ!!) その瞬間であった、私の心の決壊と共に、陰部でも決壊が起こった。 【ジョロロロ……】 私の股から流れ出る尿…。一度、流れ始めるともう止まらなかった。 股から止め処なく、尿が流れ出していった。 (…ぁ…ぁ…いやぁ…お…しっこが…おしっこが…いやぁぁぁぁぁぁぁぁ…) 太腿を通じ、足首の方まで流れ落ちていく尿。 私は、20歳を過ぎた大人だというのに、こんな場所で【お漏らし】をしてしまったのだ…。 その流れ出る尿と共に、私の中で何かが変わっていった。 お漏らしをしてしまったという事実。 恐ろしく恥ずかしい事な筈なのに…何故か私の陰部は火照り始めていた…。 恥ずかしくてしょうがない筈なのに…私は何かを感じてしまっている…。 崩壊しかけた心の中で、その自らの異変を認識する。 (ぁぁ…こんな…状況で…おも…お漏らし…を…あぁ…ぁ…ぁ…ぁ…) (ぁ…ぁ…嬉しい………) その訪れた感情…。 それは、決して我慢し続けた尿を放出できたというものではない。 そう…この状況に陥れられ、排尿という恥辱的な行為を【されられた】ことに対する感情。 恥ずかしくてしょうがない事なのに、それを強いられた事に対する感情。 私は【それ】に対し、喜びを感じているのだ。 (ぁあ…は…恥ずかしい…よぉ…私…私…お漏らしを…させられた……でも……ぁあんぅ…) そして、それを認識した私は、今までの全ての事が頭の中に過ぎる。 (ああ…もう数日で終わりだというのに…。この暑さも…苦しさも…終わりだというのに…) (終わり…?これで…終わりなの…?もう…なくなってしまうの…?) (私は…まだ…終わって欲しくない…) (いや…こんなに暑いのに…こんなに苦しいのに…終わって欲しくないの…?) (そっか…そうか…分かった…分かったわ…そういう事なのね…) (私はこの暑さや苦しさが…そしてお漏らしさせられた事が…) (…嬉しい…) お漏らしをした事で気が付いた自分の本性。 私は、今まで、この暑さや苦しさを、つらいものだと装って来た。 それは他人への体裁上、装った仮面。 本当の自分は、暑さや呼吸制御に苦しめれる事に、快感を感じていたのだ。 そして、お漏らしも、冴子さんが意図し、私に与えた恥辱行為。 それすらも、私は快感を覚えているのだ。 (そう…私は…もっと苦しめられたい…) 冴子さんが言っていた言葉が頭を過ぎる。 【でも、なぜかしら?亜弥とはお別れする気がしないのは??】 そう、その通り…。 私はこの仕事から離れられないのだ。 何故なら…この苦境を自ら欲しているから…。 そして、もっと攻めて欲しいから…。 (ぁぁ…私は…私は…もっと…ぁん…んぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……) ・・・ 結局、お金の目標金額には達したが、私はこの【物】になる仕事を続けている。 そして、今では私だけ【特別仕様】も用意されている。 昼の休憩に入り、順にピンの着ぐるみが開けられ、中身の女の子達が引きずり出されて行く。 その中、一人の女の子だけ、違う様相をしていた。 一見、黒タイツに包まれていると見えるその体。 しかし、よくよく見るとそれはタイツではなく、棒状の厚手のラバースーツ。 そして、そのラバースーツ上からは、何本ものベルトがきつく締められていた。 全く動く事を許されないというような拘束。 そして、その厚手のラバースーツは、タイツよりも、遥かに中の人間の体温を上げている事が伺える。 そして、そのラバースーツを纏った棒状の生き物は、小刻みにヒクヒクと体を動かしていた。 苦しんでいるのか…はたまた、快感を感じているのか…。 その真実は中身の人間にしかわからない。 そう…私は今も、【物】なのだ。 -----------------------END--------------------------

アトラクションの裏側 Side Story ~ 亜弥 Side ~

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