XaiJu
ヒロ
ヒロ

fanbox


とある球児の失敗。【短編SS】

野球漬けだった日常から開放されて

受験の準備だとか面倒なことを考える頃なのは判っているが。


全国に行けなかったかわいそうな球児にコレくらいの慰めがあってもいいだろう??


夜中こっそり見た、友達から借りたAVで揺れるオッパイを思い出しながら。

もそりと寝返りをうつ。

グチョッ


嫌な感触が下半身から背中にかけて広がっていることに気づき慌てて布団を捲る。



「うっそだろ!?やべぇ!」

夏休み何度目かの悲鳴を漏らす。

夏休み開始三日は父親が早朝出勤だったため誤魔化せたが。

いい加減ニオイも量も誤魔化せなくなったソレに頭を抱える。

暑いのがわるいのだ、寝る前に食べたアイス2本とキンッキンに冷えた麦茶の悪魔的美味さを恨んだ時。

無慈悲な障子の開く音がして、

「いい加減に起き……」

そこで区切って、段々と赤く、鬼の形相になる父親の顔にすっと胃袋が冷える感覚が落ちる。


ジ・エンド・オブオレのケツ。


成績が多少悪くとも。試合結果がどうであれ、それほど怒りはしない親父だが。


"うっかり寝オチからの寝小便"


となっては、若干事情が変わるわけで。

「また、夜更かししてたみたいだなぁ?」

無造作に鞄に突っ込んであってディスクケースを取り出しひたひたと掌で叩いて目を細める姿に青ざめ、言い訳を羅列しようとするが。


このパターンで失敗したのは何度目か。


エッチ系のDVDをこっそり見ていたくらいなら。

男親だ多少は見逃してくれるが。

布団の中でものぐさに、飲食しながらシコって、寝オチ。

そのあとこの失敗とコンボが重なると。

青筋立てて雷コース。


「部活がしばらく休みになったからってたるみすぎだ!!ケツ出せ!!」

怒号とほぼ同時に腰を抱え込まれ。

仲間内ではそれなりに筋肉だってたくましいはずの体はすっぽりと腕の中で固定され。

ばたつく足を拘束するようにグッショリの濡れたパンツをずりおろし。先端がまだ湿ったチンコが揺れることも気にせず。

尻へと強烈な一打がお見舞いされる。


バチーン!!


骨から揺さぶられるような平手に

「いっでぇ。」

情けない悲鳴を上げ足を広げて痛みを分散させようとするが。

さすが、肉体労働系だけあって、厚い掌の痛みは少々腰を引いたところで逃げるものではない。


バチンというより


バヂン


というような鈍い音がたつなんておかしいだろう?

そんなことを思いながらも。頭が真っ白になって。気づけばガキの頃みたいにギャンギャン泣きながら。

とにかく尻叩きを終わらせようと謝罪するしかなくなる。


数分のことだが何時間も拷問を受けたようにぐったりと。

ビショビショに小便で濡れた布団に突っ伏しながら。鼻をすする。

ツンとしたアンモニア臭が情けなさにトドメをさしてくるが。

触るのも恐ろしいほどパンパンに腫れた感覚のある尻を恐る恐る触れるように摩りながら。

しばらく痛みが引くまで丸まっていると。


「試合。残念だったな。なんだ、進学すればまたできる。そう腐るな。お前はまだ若いからな。」


あぐらをかいて、つっぷした自分の背をパンパンと。

尻を叩いたときの手とは全く違い。

やさしく元気付ける父の言葉に。再び鼻がツンとして、痛くなる。


毎日部活だった、毎日毎日監督のイヤミや怒声に耐え、つらい練習も仲間たちと何時間もがんばった。

なのになのに、負けた。

最期の夏だったのに。


悔しいとか、これからどうがんばるとか、去年なら未だ来年があると思えたのに。

ソレさえ言えない。

その事実と終了した部活生活の熱をもてあまし。

自堕落に過ごすことで、精一杯やったからもういいんだといいわけしたかっただけのように思う。

まぁ、自堕落に過ごすことにもそれ程慣れていないせいで。

布団を小便とイカ臭いニオイを染み付かせ。


朝っぱらから、こんな痛い目にあうハメになったわけだが。


本当にらしくない。

ひとしきり嗚咽したあと深呼吸をして。

「着替える」

と言うと、親父は少し安心したような顔をして、もう一度肩に手を置き。

「朝飯、作っとく。」

そういって部屋を後にする。


布団を干したり下着を洗ったりと恥ずかしい作業は残っているが。

とりあえず全部片付いたら。

尻は痛むだろうが、数日振りに走りに行くことにする。

試合も最期の部活も終わった。


それでも、多分これからもキライにはならない野球をやり続けるために。

「っと……その前にシャワーあびるかな。」


着替えるといったがさすがに小便でべとついた下半身のままではと、洗う下着を片手に風呂場に向かい。脱衣所の鏡で自分の尻がちらりと目に入る。

「うっ………。」


喝を入れたというには少しキツすぎやしないか?と

オヤジに対して恨み言が漏れるほど。足の付け根あたりまでガッツリ赤く染まっり、ところどころ、さらに色濃くなった手形が見える。

「えっぐ。」

苦笑しながら尻をまじまじと鏡で観察しつつ。

明日からはこうはなるまいと。


先ほどまで最悪だったけど、少しだけ、ほんの少し昨日よりマシな朝を迎えるのだった。

とある球児の失敗。【短編SS】 とある球児の失敗。【短編SS】

More Creators