さぁ今回からペン入れについて説明していきます。といってもほとんど下描きに合わせて線を描いていくだけなのですが、自分なりのルールがありますのでそれについてまとめていきます。
まずルール…どちらかというと目標かもしれません。いつものように三つ程あげます。
・丁寧かつ大胆に
・メリハリ
・完成を目指す
こんな所ですかね。ペン入れはあんまり丁寧に描きすぎると、動きのない固い印象になります。なので丁寧に描く事意識しつつも、大胆に描きたい。願望です。
メリハリは言わずもがなです。今回主に説明するのはこの部分になります。漫画のペン入れは全コマ完璧に仕上げる必要はないと考えています。はっきり言って見せゴマ以外はどうだっていいです…というのは極端ですが、全コマの一律完璧なクオリティにしたり描き込みすぎると情報がボヤけます。それは自分が思う「読みやすさ」ではないと思うので、描き込みや仕上げに差をつけて情報にメリハリをつけます。あと現実的な話をすると、漫画はコマからコマへ次々に見ていく性質上、一つのコマに滞在する時間は非常に短いです。そのようなコマに一つ一つ全力で取り組む時間や余裕は残念ながらありません……。なので一番の見所、おそらく滞在時間が一番長くなるコマのみに集中するのが一番いい落とし所だと思います。
最後の「完成を目指す」というのは、ペン入れだけで作品を発表できるレベルまで仕上げるという意味です。私にとってのペン入れは作品のクオリティを大きく左右するもので、ここでほぼ9割決まると思っています。まぁ言いすぎですが、それぐらいの気概でやるといった感じです。
実際にどのようにメリハリを作っていくのか見ていきましょう。今回はわかりやすく以下の手順でペン入れをしました。
1.清書
2.ベタ、アウトライン、パーツ分け
3.さらに細かい描きこみ
イメージとしてはページ全体を2まで仕上げ、さらにもう一歩見せゴマだけ3までさらに描きこむ感じです。まずは1の清書したものを見ていきましょう。
下描きからさらに線を整ただけですね。特にこの辺は注意すべき点はありませんね。技術的にも大したことはないです。私はいつも筆圧の影響を受けないペンを使っていますので、太くなっているように見えるのは重ねているだけです。次はここへどんどん描きこみをしていきます。
こんな感じになります。最初のものに比べたらかなり描きこんだように見えますが、やってることはかなり単純です。最初のページのみ過程のものを少し残していたので、それで比べてみましょう。
左が最初の状態、右がキャラのアウトラインのみを太くしただけのものです。どうでしょう結構画面が締まったように見えませんか?これがメリハリです。このように基本的にはすべての線が一律だとわかりにくい所を、区分けしていく感じです。一番最初にアウトライン、次に顎と首の境だったり、肌と服の境、そういったパーツを「わかりやすく」するために線の太さを調整します。
ベタは影が落ちる部分に大胆においていきます。それでも基本的な考え方は同じです。人体のパーツ、その境界、位置関係などをわかりやすく区分けするのが目的です。漫画は基本的に白と黒のみで表現されます。なので、ベタ、破線、点描、斜線などでさらに区分けしていきます。どうやって線の強弱をつければいいかと聞かれたことがあり、いまいちちゃんと答えられませんでしたが、意図的につけるというよりもわかりやすく区分けした結果の副産物と考えた方がいいかもしれません。特に私の場合は筆圧の影響を受けないペンで描いている都合上、線を何度も重ね太くします。さすがにすべて正確に同じ太さにすることは無理なので、そこが強弱としてでているのだと思います。
こんな感じで私がペン入れで意識していることは、画面上の情報をわかりやすく区分けしていくことです。この作業ペン入れの段階でなるべく行い、もうこれ以上ペン入れだけでは分けられないなという所で、最終兵器「トーン」を使ってさらに区分けを行います。トーンも基本的な考え方は今回と同じです。あれもわかりやすく区分けするためのものです。その辺は次回「トーン編」で詳しく解説したいと思います。
ペン入れ用に使っているペン設定です。基本的にこれ一本で描いています。筆圧はないですが、線の太さは傾き次第でちょっと変えられます。アナログでペン入れしていた時はボールペンを使っていたので、その時の挙動に近いものを作りたくて作ったものです。試しに出力したので、是非使ってみてください。超おすすめしません。
他には背景とか斜線とかにもう一つ同じ設定でブラシサイズを1.6に変えたものと、もともとあるデフォルトのリアル鉛筆を使っています。背景用の直線ツールなどもあります。