XaiJu
HNZM
HNZM

fanbox


コミッションss『血筋と魔力は引かれ合う』(2)

8100字オーバー、もうすぐ仕上がります。 ~~~~~~~~~~~~ 「ここか……」 翌日、仕事終わりに書かれていた場所へ向かうと、一件のジムに行きついた。 看板に大きく書かれた「キックボクシングジム」という文字を見る限り、格闘技メインで鍛える場所らしい。 大の男たちをなぎ倒していった彼女の膂力、それを生み出した太い脚や筋肉も、トレーニングゆえのものだったのだとようやく理解する。 体格や胸は……まぁ天性のものだろうけど。 「すみませーん……うっ」 ムワァ…… ドアを開けるとむわりとした熱気と湿度、そして濃厚な汗の匂いが顔面に押し寄せた。 内部はスポーツジムらしい、最低限のマシンや道具が置かれたシンプルな空間。キックボクシング用だろうマットが敷かれたエリアもある。 その中で、何人ものトレーニングウェアを着込んだ女性たちが身体を動かしていた。おそらくここに通っている人たちなのだろう。 「あら、来てくれたのね」 キョロキョロと辺りを見渡している僕へ聞き覚えのある声が掛けられる。 振り向いた先には昨日よりもさらに露出の激しい、水着も同然のスポブラとスパッツで立っているノエルさんがいた。 ジム内の各所を効率よく見渡せる場所……中央に置かれたリングの上でこちらを見降ろしていた。 「あ、えっと……昨日はどうも」 一礼してから、彼女のもとへ近づいていく。 歩きながら周りを見渡しても女性ばかりで、男は僕しかいないようだ。 「ねぇ……」 「あれって……」 周囲からひそひそと声が聞こえてくる。 初めて入ってきた来客、しかもノエルさんと面識があるという事実のせいだろう。僕に向かって沢山の視線が向けられているのはすぐにわかった。 (居心地はちょっと良くないな……) トレーニングしてる女性たちもみんなノエルさんみたいというか、日本人離れしたプロポーションの美人ばかりだ。 ピッチリとしたトレーニングウェアごしにも筋肉の詰まった太腿の輪郭や胸板の厚みがみえるし、ハリのある肉感とボリュームが強調されている。 体型というか、身長、筋肉、どこをとってもこの中だと僕が一番弱弱しく見える。 「あなたには、ここで鍛えてもらうわ」 「……はい?」 そんな中で、淡々と告げてくるノエルさん。 この女性たちにまじって、僕がトレーニングをする? 想定外の展開に、思わず気の抜けた返事が出てしまった。 僕にとって重要な猫についての話とか、血の中で眠っている何かとか、それらに触れる気配が一切ない。 (もしかして……ジムの勧誘だったのか?) 次第に、胸の中に疑問が広がっていく。 そもそも、ボクシングと自分の祖先なんて繋がりもないし……これで何かが判明するはずがない。 猫とかなんとか、適当なことを言ってここまで誘いこんだのだろうか? もしかするとノエルさんにも悪意はなくて、ただの誘いに対して僕が勝手に反応しただけかもしれない。 「あのー、自分には場違いですし、ちょっと無理かなって……」 僕は愛想笑いを浮かべて、そっと背を向ける。 このまま中途半端な態度をとってずるずると長引かせるより、しっかりと断って距離を置いてしまった方が得策だろう。 早足でジム内を戻り、先ほど入ってきたばかりのドアを出ようとしたところで—― 「待って」 「っ!?」 気づいたら、ノエルがドアの前に回り込んでいた。 彼女の逞しい筋肉と前にせり出した胸が壁のように目の前に立ちふさがり、ひときわ強い熱気と匂いが顔面に押し寄せる。 前を向いて歩いていたはずなのに、回り込んでくるような動きはなかった。 まばたきをした次の瞬間には、僕の目の前に立っていた感じ。 もしかして……僕を飛び越えた? 「あなたなら、誰よりもここに相応しい存在になれる」 固まる僕の両肩に手を置きながら、まっすぐな瞳と口調で語るノエルさん。 その言動からは、でたらめを言っている様子は微塵も感じられない。 本当に僕に期待をしているみたいだ。 「そしたら、色々わかるから……ね?」 とくに格闘技の経験もない自分が、何かできるとも思えない。 しかし彼女の両手はしっかりと僕の肩を固定し、動こうとしても微動だにしなかった。 男のようにごつくはないが、うっすらと筋肉の浮かび上がった腕。 静かではあるけれど、逃がさないという意思が言外に伝わってくる。 「わかりましたよ……」 渋々ながらも承諾する僕。 下手に押し切っても角が立つだろうし、しばらくやれば素質なんてなかったと諦めてくれるだろう。 そのまま彼女に手を引かれて、トレーニング用の器具が置かれたエリアに案内された。 「じゃあ、まずはこれを飲んでくれる?」 ノエルさんが、コップに入った乳白色の液体を渡してきた。 「なんですか? これ」 「特製ドリンク」 聞いてみたけれど、説明が端的すぎて中身が何かはよく分からなかった。 コップ内で揺れる液面には少しだけとろみを感じるし、ぱっと見た感じはミルクのようにも見える。特製というからには違うんだろうけど。 周囲をみるとトレーニングしてる他の女性たちも飲んでいるし、危ないものではなさそうだ。 そんなに量は多くなかったので、一気にコップをあおる。 「んっ……」 ミルクみたいに濃厚でトロリとした飲みごたえ。 わずかにクセのある匂いがするけど、味も悪くはない。 全身に染みわたっていくような感覚を味わいながら、準備ができたことを身体で示す。 「このサンドバック、蹴ってみて」 ノエルさんが示したのは、鎖で吊るされた黒革の巨大なサンドバッグだった。 見るからに重たげで、中もパンパンに詰まっている。 腰から頭くらいまでの高さが適度に表面が剥げているのは、ジムの人たちが使いまくったからだろう。 「…………」 素人なりに身構えてみて、固まる。 ただこれを蹴ればいい。単純なことながら、緊張で思うように踏み出せない。 格闘技をやった経験もないから、どうやればいいのかも分からない。 日常生活で、思いっきり蹴るなんてことをする機会もないから、イメージもできなかった。 「やぁっ!」 僕は意を決して、というか半分やけになって、自分の身体よりも大きそうなサンドバッグに向けて脚を振り上げる。 片足で立って、蹴りを入れる……シンプルな行動なのだけど、意外とバランス感覚が必要なものだと思い知らされる。 蹴ろうと振り回した右足のエネルギーに耐えきれず、バランスを崩してしまった。 「あっ……うわっ!?」 一発目はろくにヒットせず、サンドバッグの革を足の甲で撫でただけだった。 ……意外と悔しいな、これ。 ダメならダメで目的通りだけど、全然できないまま恥だけかくのもゴメンだ。 僕は床に手をついて身体を立て直し、改めて蹴りを繰り出す。 「えいっ!」 ぺしっ 今度はしっかりと当たって軽い音がしたものの、サンドバッグは微動だにしない。 蹴りを当てた反動で、僕の身体の方がブレてしまう。 さっきよりはマシだけど、攻撃にもなっていない。 振り上げる足の左右を替えながら、何度かペシペシと当てていたのだけど……。 (何か……熱い?) 蹴りを放っていた太腿に、じんわりとした熱を感じはじめた。 ただ火照ってるというよりは、どこか疼いているような、このまま身体を動かしていたくなるような……。 「脚に意識を集中させて」 違和感で立ち止まっていた僕の意識を引き戻すように、ノエルさんが声をかけてくる。 そうだ、まだ蹴りを続けないと。 「しっ!」 バシィッ! ……あれ、さっきよりもいい感じ? 音もそうだけど、サンドバッグに衝撃がしっかりと伝わったような気がする。 「もっと衝動に任せて、身体を動かして」 彼女の指先が太腿をなぞるように触れ、背中を抑えるように手のひらが当てられる。 それに合わせて、身体の内側から湧き上がる熱がさらに増したような気がした。 バチンッ ビシッ ドスッ! 一撃ごとに手応えが増して、全身にエネルギーが満ち溢れていく。 何かのスイッチが入ったみたいに、一心不乱に蹴りを放つ。 蹴れば蹴るほど脚に力がこもって、威力を増していくのが心地いい。 いつしか、攻撃目標のサンドバッグしか見えなくなっていた。 バゴォッ! 「はぁっ、はっ……ふぅ」 しばらく蹴り込み続けて、息が上がってきた。 会心の一撃を決めて、大きく振り子のようにサンドバッグが揺れる。 こっちの顔の近くまで振れてきて、これはもう一度蹴るには待った方がよさそうだと理性がブレーキをかけた。 (意外と動けたな) 満足感に浸りながら、身体の動きを止める。 全身の疼きもある程度発散できたし、充実してるけど火照りと汗がすごい。少し休憩しよう。 いちおう、ここに残ったからにはノエルさんに話を聞かなきゃだし。 僕は汗ばんだ胸元を拭おうとして—― 「……あれ?」 丸々とした膨らみが、下を向いた視界に入った。 小麦色の胸板の上に乗った、ハリのある丸みが2つ。 頂点でツンと尖った乳首もあわせて、どうみても女性の乳房だ。 その胸板もやけに大きくて、腕なんかも丸みを帯びつつ太くなっている。 まるで、別人の身体を眺めているみたいだ。 「というか服はどこ行って……え?」 そもそも、こんなに肌が見える格好じゃなかったはず。 改めて周囲を見回すと、サイズの合わなくなった服は内側からの圧で破れてボロボロになり、自分の足元にビリビリに千切れた布が散らばっていた。 「これジャマだな……んっ!」 ビリィッ! 身体に張りついていた残骸を破り捨てる。 完全に露わになった全身は、こんがりと日に焼けたような褐色をしていた。 くわえて筋肉が膨れ上がったみたいに内側から盛り上がり、ボコボコとした凹凸が褐色肌で際立っている。 全身が見覚えのない筋肉の隆起に覆われて、その動きすらはっきりと見えている。 汗が滲んだのもあって、陰影を強調する褐色肌は天井の光を反射し光沢も放っていた。 「いや、えっと、どうなって……」 改めて身体を動かしてみると、全身の感覚やサイズがまったく違う。 胸だけじゃなく尻も大きくて、腰は細くなっていて……というか女性の身体そのものだ。 それも、見ることがないレベルで筋肉のついた女性の肉体。 太腿なんかも丸みを帯びつつもギッチリと筋肉が詰まっていて、ただ立っているだけなのに内股がぶつかり合ってしまっていた。 それだけじゃない。 身体に触ろうとした自分の手が、銀色の毛に覆われている。 前腕から指先にかけてびっしりと肌が見えないほどに生え揃って手袋みたいな状態になっているし、フォルム自体も別ものに変わっている。 全体的には人間というよりも…… (猫の手……?) めちゃくちゃ筋肉質な肉体に、手足だけが猫みたいな輪郭を描いてついている。 触ってみても外れそうもないし、感覚もしっかりと明瞭だ。 腰のあたりにも違和感があって身体をひねってみると、白くて細長い尻尾が生えていた。 髪も黒髪の短髪だったはずが背中にかかるまで伸びてるし、色素が抜けたかのように銀色に染まっている。 「あの、これ……えっ!?」 ノエルさんを見ようとしたところで、また違和感に気づく。 自分の目線が、彼女と同じくらいの高さにある。これ、身長がさっきよりも10センチ以上伸びてないか? 縦にも横にもデカい体格、それに見合うだけの筋肉が乗った、猫みたいな大女。 それが今の僕だ。 頭の中はもう、パニックでしかない。 「僕の身体、どうなって……」 平然とこちらを見つめているノエルさん。 何か知っている、というかやっている。 それはもう疑いようがなかったし、ただ常識を超えた現象に理解が追いつかない。 「ちょっと待ってね、すぐ説明するわ」 ブワァッ! 暗い紫色のような靄が彼女の身体から噴き出した次の瞬間、その姿が一気に変化した。 体格や髪は変わっていない。 ただ、その肉体を強調するようなハイレグのレオタードのような衣装で、胸はより強調されていた。 ただ、最も目を引くのは、背中と側頭部から生えたコウモリのような翼。 全体的にはコスプレみたいな格好だけど、その一つ一つが本物にしか思えない。 つまり、どうみても人間ではなく—― 「ま、魔物……!?」 ゲームとかに出てくるような存在。それが具現化したようにしか見えなかった。 あまりの衝撃に目を見開きつつ、思わず身構える僕。 猫みたいな自分の手が視界に入り、全身の筋肉が緊張してギチリとうごめく。 「あなた、何者……なんですか」 「私はサキュバスよ。ただ、一族が戦闘に特化してるのは珍しいかもね」 こちらの問いかけに、あっさりと衝撃の事実を告げるノエル。 普通なら疑ってかかるべきだけど、現に僕の身体がこんな風に変えられるのだから、もう信じるしかない。 「ずっと戦いに明け暮れる日々なのに飽きて、この地域まで流れ着いたわけ」 そのまま彼女は自分のことを語りだした。 ウソを言っているようには感じないし、本当にどこか遠い所から来たのだろう。 その逞しい肉体も、昨日の戦いも、一朝一夕で出来たわけではなさそうだ。 「人間界に戦って負ける相手がいるはずもないから、ヒマしてたんだけど……教えて育てるのって案外楽しくてね。素質のある子を探しているうちに、あなたに会ってわけ」 ここで僕が登場するのか……。 確かに男たちを瞬殺できるだけの実力があれば、人間なんて相手にならないだろうけど……なんで僕? 「あなたの先祖に、猫の魔物がいるわ。わずかに眠ってる血と魔力に、私は目をつけた」 「!?」 衝撃が全身に走った。 まだ猫又のことは言っていないし、こうして目の前の相手が淫魔だとわかった今、本当に先祖の存在を見抜いたんだろう。 あの言い伝え、本当だったんだ……と感心してしまう。 僕は肉球のついた両手を眺めながら、自分に言い聞かせるように呟く。 「じゃあ、この身体って……」 「その血を私を魔力で目覚めさせて、増幅させたの」 どうやら本当に先祖の影響を受けた結果らしい。 でも、猫らしい要素はあるけれど、それ以上に人らしい姿の割合の方が大きいというか…… 「今のあなたは、私の魔力もかなり混じってて……端的にいえば眷属に近いかしら。サキュバスとしての要素も含まれてるわ」 確かに、今の自分はノエルさんの体型にとてもよく似ている。 猫の手足がなかったら、本当にそっくりな体格だ。 この身体には魔力が混ざっているらしいけど、全身にエネルギーがみなぎっているような感覚がそうなのだろうか? 「自分より大きな相手に立ち向かう勇気もあるみたいだし、私の弟子にして鍛え上げようって決めたわけ」 どうやら昨夜、逃げずにいたことも評価してくれたらしい。 不思議と、拒否感は湧いてこなかった。 先祖が由来してるからなのか、これが自分の身体なのだと自然と納得してしまう。 「あなたには、その価値がある」 面と向かって言われて、悪い気はしない。 魔族なりに、こちらを見込んで迎え入れようとしてくれたのだろう。 ……ただ、だからといって、このまま彼女の思う通りに従えるかというと、話は別だ。 「あの、できれば元に戻してもらえると……」 僕は言葉を選びながら、できるだけ丁寧に声をかける。 こんな姿で変えるわけにもいかないし、往来を歩くだけでも捕まってしまいかねない。 これ……毛で隠れてるけど、全裸だよね? 人間離れした体格なのはもちろん、猫のようなこの姿では今までの生活もままならない。 裏の……というか、すごい世界があるのはわかった。その住人に選ばれたのも、悪いことではないのだろう。 でも理性が、これ以上深入りするのはヤバいと警告していた。 「……」 ノエルさんは、黙ったままこちらに近づいてくる。 反射的に身構えるけど、どうにかできる自信はまったくない。 同じくらいの体格になったけれど、だからって戦えるわけじゃないだろうし……そもそも 分厚い肉体が目の前にきて、両手が僕の身体を掴んで…… 「もう一度、蹴ってみてくれる?」 「っ……!?」 彼女は身体を密着させながら、サンドバッグの方を示してきた。 ノエルさんの匂いを嗅いだ瞬間、ドクンと全身が熱く滾りだす。 今すぐに走り出したくなるような、エネルギーの有り余った疼き。 力を発揮したいとばかりに、筋肉がピクピクと震えている。 本能レベルで全身に走る衝動。 もっと強くなりたい。 ご主人様に、気に入ってもらいたい。 「んっ…………らぁっ!」 ゴスッ! 身体の求めるままに、丸太のように太くなった脚で、再びサンドバッグを蹴り込みだす。 毛が生え揃ったお陰か、蹴りの反動で脚が痛むこともなくなった。 太腿の筋肉がパンプアップして樽のように丸々と盛り上がり、ボコボコと凹凸が浮かび上がる。 ふくらはぎもパンパンに張り詰めて、褐色の塊が連なってサンドバッグと衝突する。 バシッ、ドスッ、ギギッ! 蹴りつけていくうちに汗が浮かんで、胸元から熱気がたちのぼる。 さっきまでのへなちょこなフォームじゃダメだ。もっと動きやすくて、威力が出るような……。 姿勢を低くして、この身体にとって自然な体勢から蹴りを繰り出さないと……。 「はぁっ、ふっ、んっ……!」 全身の熱がさらに高まって、立っているだけでもきつくなってくる。 これだけじゃ足りないと身体が訴えかけてくるかのように、蹴るのが止められない。 思う存分、この力を振るいたい。 湧き上がってくる欲望に抗えない。 本能みたいな衝動がぞくぞく背筋を這い上がって、頭の中を蹴ることだけで一杯にしていく。 運動するだけで興奮しちゃう体質ってあるらしいけれど、もしかしてこれが……。 「ふしゃぁっ!」 ドゴォッ! 一瞬、サンドバッグがくの字に折れ曲がった。 鎖が千切れてしまうのではと思うくらいに後方へ引っ張られ、反動で勢いよく戻ってくる。 そしてバッグの方は、強引に引き裂かれたかのように蹴りの軌道に合わせて黒革が破けていた。中に詰められていた砂が溢れ出す。 「がんばったわね」 「ふーっ、ふーっ……❤」 ノエルさんが声をかけてくる。 蹴るものもなくなっちゃったし、全身がまだ熱く滾っているのを感じながら、どうしようかと周囲を見回す。 「……あ」 視界の端にみえた、褐色と白銀の肉体。 ジム特有の大きな鏡張りの壁に自分が映っていることに、今さらながら気づいた。 蹴り続けて、さらにパンプアップした肉体。 褐色の肌ごしに隆起した筋肉と、女性的な丸みを帯びたプロポーション。 そこに浮き上がった血管が、全身を飾っている。 (きれい……❤) 思わず見とれてしまう。 圧倒的で、文字通り人間離れした肉体美。 自分の身体が人外のものになりつつあるということすらも、この身体の魅力の前にはどうでもいいことのように思えてくる。 「この身体、素敵でしょう?」 後ろから腕を回してくるノエルさん。 その指先はそのまま下の方へ……股間のあたりに伸びていた。 クチュ 「あっ……あぁっ❤」 割れ目をなぞられた瞬間、ビクビクッと全身に電流が走る。 できたばかりの女の子の器官が甘い快感に喜んで、キュンキュンと下腹部が収縮する。 筋肉が発達したせいか、その動きまではっきりと知覚できてしまった。 痺れるように全身の筋肉に広がっていく雌の快楽。 さっきから抱えていた熱い疼きの中に、性欲が混ざっていたのだと思い知らされる。 「トレーニング、もっとしたいでしょ?」 快感で頭の中が鈍っている中で、ノエルさんが身体を支えながら語りかけてくる。 その手に持っていたのは、さっきよりもずっと大きなコップに入った特製ドリンク。 濃厚な匂いが鼻から脳にまで染み込んでくる。 「っ……!」 敏感になった嗅覚がそれを察知して、求めている。 反射的に口の中にあふれる唾液と、さらに高まる全身の疼き。 イってる最中の筋肉が、ビクビクと訴えるように収縮しだす。 「このまま鍛えれば、もっと欲求を満たしてあげられるわ」 ぞくぞくとした興奮が背筋を這い上がる。 自分の人生が、先祖の存在でまったく違うものになる……避けなきゃいけないはずなのに、なぜか期待してしまう。 身体の欲求と、みるみる強くなって理性を押しやっていく本能。 (あれ、なんかおかしい……?) 自分の思考というか、精神そのものが変容していくような。 この身体にも、この状況にも違和感はあるけれど、今はもう拒絶したいとは思えなくなっていた。 さっきから、何のために元に戻ろうとしてたんだっけ。 でも、気持ちよさそうなのは絶対にこっちで…… (ま、細かいことはどうでもいっか) 全身から湧き上がる衝動に、思考が引っ張られていく。 この身体が求めてることなんだから、その通りに動いた方がいいに決まってるじゃん。 アタシは頷いて、ひったくるようにドリンクを受け取り、そのまま一気に飲み干した。


More Creators