今日の撮影のテーマは『フェチを極めること』。 そう聞いていた。 自分の癖はMだと自覚していたため、羞恥心は快楽と同じ。 用意された衣装をみて、そのへんちきりんさに胸がときめいた。 白ニーハイ、メタリック水着、そして―芋ジャージ。 恐らく全部着た状態で、じわじわと脱いでいくとか、 そういう台本なのだろう。ありきたりだが、嫌いじゃない。 ―その思い込みは、開始早々崩れ去った。 衣装に着替えたのち、撮影前に手渡された飲み物・・・ それを飲んだら、猛烈に眠くなって・・ 目覚めた瞬間、身体の自由が利かないことに気付く。 邪悪な笑みを浮かべたスタッフと、カメラがこちらを向いている。 『今日の撮影スケジュールは、あなたがここを抜け出すまで。 方々にもう手回しはしてある。助けはこない。さぁ―最高の作品にしようじゃないか』 監督が私にそう言った。頬を一滴、汗が伝う。気温が高いせいでも、暴れたからでも、ない。 撮影という名の危機―。私は全てを忘れ、拘束との戦いを始めるのだった。 ―完