俺は何の躊躇いもなく、ヤツの鼻にテープを貼り付けた。 呼吸ができる隙間を無くすため、それをしっかりと手で押さえ込む。 俺は数歩下がり、ヤツを観察した。 腹立たしい目は相変わらずだが、顔が紅潮している。 やがて首を上下左右に揺さぶり始めた。無駄なことを。 息が漏れる音が聞こえる。それでテープが吹き飛ぶとでも? 俺を睨む瞳の中に、うっすらと懇願が見えた。俺は鼻のテープを剥がす。 すー、はー、すー、はー、と荒い呼吸音が響く。 『どうだ、少しは話す気になったか?』と俺は尋ねた。 (言うワケ無いだろう、馬鹿が)と、その目が訴えている。 『なら、もう少しお楽しみ頂こう。』俺はヤツが息を吐ききるタイミングを見計らい、再度テープを貼り付けた。 いつまで強がりは続くかな?目の前の哀れな女を見て、俺は嗤った。 『次は2分後に剥がしてやろう。』 そういうと、ヤツが一瞬絶望の表情を浮かべるのが分かった。 ―まだまだ音を上げてくれるなよ。面白いのはここからなんだから・・・。 ―完―