XaiJu
葉一
葉一

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ダークノア・ブラック編(3→5)

・答え合わせ編なのでエッチ少なめ。多分だいたいこれまでの話に説明が付くんじゃないかと思います。つかない?すまんな……(陳謝)  3 「ああ悪かったな!俺はどうせ使えねえピッチャーだよ!!」  卓也が目に涙を溜めて怒鳴る。何度も思い返したシーンだ。部室を駆けて出ていく。追おうか迷う。結局俺はそのまま部室のパイプ椅子に腰掛けた。深い溜息。大会を前に、少しずつ俺達の気持ちはすれ違っていった。  (一体どうすりゃいいんだ?)  自問自答する。そういう弱気な気持ちがあり、いら立っていたことが俺の隙を生んだことは間違いない。不意に、全身が強張って硬直した。  金縛り。そう思った。指一つ満足に動かせず、呼吸もままならない。練習後の汗がじっとりと湿ったユニフォームに、新しく、汗が染み込んでいく。俺は焦って誰かを呼ぼうとした。舌も満足に回らない。引きつった音が喉の奥で潰れただけだった。 「×××、××××?」  耳のすぐ隣、吐息が掛かってもおかしくない程の近さで言葉らしきものが聞こえた。全く意味が通じないどころか、どこの国の言葉かも分からない。視界の端に、姿見が映る。鏡の中では、俺の全身を覆うように、分厚く、真っ黒な靄が取り巻いていた。ぎゅうっと全身がまた締め付けられる。窒息して、気が遠くなりかけた。 「××××××××、××××××××××××」  今度も言葉は分からなかったが、意味だけが頭の中に伝わった。俺がこのお化けみたいなものに屈服すること、それを求めているようだ。俺はむきになって抵抗する。首元をぐっと「それ」が圧迫した。 「ぐっ、うううううううッ!」 「×××!×××××!!」  苦しみに喘ぐ中、見えてはいなかったが、俺はその靄とおそらく目が合ったのだ。そして俺は、竦んだ。生物を殺すことに抵抗どころか、露ほども気に掛けない、冷たい眼。抵抗を続ければ間違いなく「それ」は痺れを切らして俺を殺すだろう。死にたくないという気持ちが俺を包み、虚脱させた。助かりたい。こんなところで死にたくない。 「し、従う……」  小さい声だったが、「それ」は聞き逃さなかった。屈服の宣誓を促す。俺は「それ」が促すがまま、一言一句違えずに繰り返した。 「俺、宇佐美剛二は、貴方様に従います」  「それ」は狂喜した。靄が鏡越しではなく、肉眼で直視できるようになる。俺の身体に染み込むように、みるみると入り込んでいくのが分かる。痛み。苦しみ。絶望。そういったマイナスの感情が一緒に流れ込んでくる。びくん、と右腕が跳ねるように動き、脈絡なく指が蠢いた。俺の身体に入り込んだ「それ」があらゆる動作を、感覚を、貪っていくのが分かる。俺の宣誓は形だけのものではなく、契約だったことが今になってようやく分かった。 「──お前の身体は実によく馴染む」  俺の口から、俺の声で「それ」は呟いた。身体を共有しているので、「それ」が俺の知識を吸収し、ようやく言葉が通じる段階になったのだと分かる。逆に、俺は「それ」がどういう性質のものなのか、少しずつ分かってきた。人智を超えた存在、畏怖の対象。俺は「それ」が悪魔だと思った。そうした感情に呑まれた後、俺は俺の自由に動かせるところがもうほとんど残っていないことに気が付く。「それ」はユニフォームを慣れない手つきで脱がしていく。姿見の前で誇示するように俺は「それ」に操られるまま、全裸でポーズを取った。 「お前の望む姿になってやろう。それが、この世界の者が恐れる姿なのだろう?」  ばきっ、と骨や肉がひしゃげる音がする。下半身から漆黒の分厚い獣毛が生え揃い、矢印のように先端が尖った尾が生えた。チンポは太く、竿まで皮が剥けて真っ赤な肉棒になる。玉袋は獣毛に覆われており、獣性が強調されていた。パンダ焼けしていた肌は全て浅黒く変わり、筋量の増加によって張り詰める。肘から先も下半身と同じように獣毛に覆われ、手足の五指には鋭く、黒い爪が生えた。童顔に似つかわしくない牙、長く尖った舌を見せびらかすように「それ」は口を大きく開ける。耳の先端が鋭角に尖り、頭蓋から大きな巻角が一対皮膚を突き破って伸びていく。真っ赤に染まった瞳で、鏡の中の悪魔が俺を見つめ返した。  俺はその時、真に「それ」──ダーク様に屈服した。恐怖を超えて強大な力に酔いしれ、その一部となることに悦んだ。ダーク様に洗脳された。ダーク様に魅了された。 「ふふ、浅ましいな」  俺は唯一自由になったチンポを勃起させることで、この悦びを伝えた。卑小な存在である人間の中から、俺を選んで下さった感謝を示す。その時、勢いよく部室のドアが開いた。まだかわいそうな人間のままである、卓也だった。彼はぽかんとした表情でダーク様を──、悪魔の姿となった俺を見る。 「剛二?」  ダーク様が笑う。魔力が迸り、卓也は即座に気を失った。ユニフォームを剥き、複雑な文様を全身に書き込んでいく。人間を使い魔や異形に変化させる術だった。指を鳴らす。ばきっ、と先程聞いた音と同じように響く。 「ぐう、ガアアアアアアアッ?!」 「こいつはイマイチだな。人語が操れるかどうか……」  俺は卓也が人間を捨てていく姿を間近で見て、更に闇の力に心酔していく。  4 「僕はお前と一緒に彼を殺すよ。だってそれが一番良い解決方法だと知っているから」  そう言って、グリーンはダーク様を撃った。死に瀕したダーク様は、全ての魔力を使って時間の巻き戻しを図る──ダーク様がちょうどこの世界に飛ばされてきた瞬間。しかし、今回は俺という肉が伴っている。部室を飛び出ていく卓也。そして、部室の中には俺──宇佐美剛二がいるはずだった。  ダーク様は、今度は卓也の肉体を選ぶ。  卓也を追い、男子トイレに入る。個室からすすり泣く声。俺は、ダーク様の命の危機であるのに、不思議と懐かしい思いに浸っていた。 「卓也」  ダーク様が言ったのかもしれないし、俺が言ったのかもしれない。 「──剛二?」  個室から卓也が俺を呼ぶ。「さっきは悪かった」と言ってみる。声色は多少変わってしまっていても、気が付かないのだろう。個室のドアが開く。泣き腫らしたあどけない顔が覗いた。キャプテンとして頼り甲斐はないが、こういう姿を見せるのは俺にだけだ。ドアが開く。 「誰?」  数年ぶりの再会だった。卓也には、20代の、見知らぬ男が血だらけで立っているように見えるだろう。 「俺だよ、卓也」  はっ、と気が付いた顔になる。面影を見たのだろうか、それが油断に繋がった。個室のドアを勢い良く開け、身体を滑り込ませる。男二人ではかなり窮屈であったが、そのまま無理矢理にドアを閉めると、密室が完成した。ダーク様がなけなしの魔力で結界を張る。声と気配が漏れないくらいにはなっただろう。呆然とこちらを見る卓也からは、若草と汗の匂いがした。懐かしさは容易に愛おしさに変わる。そっと俺は卓也の頬に触れた。 「ふっ、あっ……」  戸惑いがより強い混乱に変わる。びくん、と身体が震えていた。今まで使ったことのない魔力の使い方だった。卓也は快楽を与え続けられる。ダーク様は俺の体にも魔力を流された。 「んっ、おおぉッ……」  俺は不敬にもダーク様の許可を得ず、呻いた。全身に漲る快楽。恥じらいも躊躇いもなく、卓也を貪る。流れる汗も、滴る唾液も、たまらなく愛おしかった。そして、その全てがダーク様の贄となる。 「う、あっ、あっ」  魔力をさらに注いだ影響で、卓也の瞳は濃い紫色に塗り潰されていた。従順な人形のように、俺の愛撫を抵抗なく受け入れる。人智を越えた欲情の前には正常な判断も働かない。ベルトを外し、汗で蒸れた股間を鷲掴みにする。期待と興奮でチンポは熱を帯び、先走りをたっぷり流していた。ダーク様が俺のアナルを魔術で拡張してくださる。これで卓也の汚い部分を全身で受け入れることができる。卓也の瞳に、俺の顔が映る。悪魔となった俺の姿が。 「あっ、あーーーーーーーーーーっ!」  卓也が大きく仰け反る。遠い昔にAVで見たように、卓也に騎乗した。ぐちょぐちょと尻から粘膜の擦れる淫猥な音がした。熱い液体が、強か腸に打ち付けられる。魔力が満ち、ダーク様は俺の身体の傷を完全に癒した。まだ萎えていない肉棒を抜き、漏れ出た精液を中指ですくって口に運ぶ。苦味と新鮮な魔力により、ダーク様は満足された。卓也は程よく筋肉の付いた胸板を上下させ、呼吸を整えている。汗みずくの坊主頭を撫で、再びキスをした。卓也は常に為されるがままだった。虚ろな目で俺を捉えると、小さな声で「剛二」と呼んだ。愛おしくなって、俺は卓也の頬を触る。  ダーク様は俺の肉体から卓也の肉体へ移られることにしたと言った。ダーク様にこれまでお仕えできた喜びがあるのだから、本望だった。小さな黒い球となったダーク様を、俺は俺の意志で卓也の口に押し込む。ごくん、と卓也はそれを抵抗なく飲み込んだ。卓也の肉体を掌握したダーク様がゆっくりと目を開く。俺の知っている卓也は、きっと俺と同じようにダーク様に使役される悦びに浸っているだろう。それが、唯一羨ましかった。  片膝を付いて顔を伏せる。俺の魂の主君はこの方だけである。 「何なりとご命令を、ダーク様」  ダーク様はにやりと卓也の顔を歪めて笑った。  5  俺は怪人としての名前を与えられ、人としての偽名を与えられ、そして、嘘偽りの経歴を与えられた。 「堀田先生」  S高の生徒がそう俺を呼ぶ。違和感はずっとあるが、任務だから仕方がない。表は体育教師、野球部監督。裏の姿は、ダークノアの副官、怪人デモンとして素体を回収し、洗脳・改造を施す悪魔。そのギャップ、背徳に興奮する。  放課後、部室を開ければ俺が全員戦闘員に改造した野球部員達が雄交尾でサカっている。種壺に志願して部員全員から種付けされる部員、ケツが空くまで待ちきれずにディルドでアナニーに耽る部員、全身のユニフォームを交換してどちらがより淫らに汚して返せるかを競い合う部員。野球一筋だった高校球児達は、坊主頭を擦り合わせて射精するような淫乱戦闘員に変わり果ててしまっていた。俺がこいつらを悪に、淫らに堕としたのだ。満足感が胸を満たす。  部員達がちらちらと俺を盗み見る。可愛い奴らだと思い、俺もジャージを脱いで乱交に参加しようとする。その時。  古いテレビがチャンネルを合わせるかのように、ノイズ混じりに視界が開く。青空の下、激しく戦闘員達と交戦しているのは、俺だった。  身の丈ほどある棒を器用に回して、次々と戦闘員達をなぎ倒す。正義のため、社会秩序のため。激しい葛藤が胸を満たす。人を救いたいのに、人を傷付けなければならない。  これは、俺じゃない。頭の中では分かっているが、体験としての実感が理解を凌駕する。  この世界に居る、もう一人の俺──宇佐美剛二の記憶が、俺に流入しているのだ。  同じ魂が同じ世界に2つあること。この異常により、俺は本人どころか超筋戦隊の目前にも姿を見せることが危険だとされている。俺とブラックの関係が身近になればなるほど、自然な状態に戻ろうとして魂が一つになろうとする。そしてそれは電波が絡まり合うように、記憶の混交を生じせしめる。イエローが堕ちた頃から、急速にその傾向は進んでいた。向こうの俺──ブラックは元々この世界の住人であるため、俺の方が影響を受けやすい。世界が俺の存在の異端を見逃さない。  ヒーローとしての俺が、心の片隅で叫ぶ。この現状を見て何とも思わないのか。お前はヒーローではないのか。清浄な信念や言葉が、闇に堕ちた俺を驚くほどに苛む。  苦しかった。  視界が元に戻る。倒れていたらしく、部員達が心配そうに屈んで覗いていた。 「監督、大丈夫っすか?」  恐る恐る、といった調子で声を掛けられる。笑おうと思ったが、割れるように頭が痛い。引きつってしまっただけのようだった。 「……ごめんな。今日はちょっと調子が悪いみたいだ。また今度」  これ以上情けない姿は見せられないと思い、立ち上がる。足元がふらついたのを誤魔化そうとしたが、無理だった。壁に手を付きながら、部室を後にする。手負いの獣のように呼吸は荒く、ぼたぼたと汗が垂れた。 「決着を、つけなければな……」  俺は覚悟を決める。俺が消えたとしても、ブラックを打ち倒すことを。


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