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田原摩耶
田原摩耶

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【↑100】元カレでセフレ、 またの名を親友。【5,600文字/シンノ×亜虎/甘め/イチャ】

 スタッフルームにある棚のロビ君のおやつストックが少なくなっていたので、散歩がてら近所のコンビニへと向かったとき。  深夜のコンビニの片隅に長身の影を見つけた。シンノだ。  そーっとその背後に回り込み、「わっ」と声をかければシンノは「うおっ!」と何かを落としそうになり、慌てて隠した。それからこちらを振り返る。 「亜虎君?」 「よ、買い物? 俺もお遣い~」 「ま、まあ、そんな感じっすね」  妙に歯切れの悪い反応。そこで先程までシンノが物色していたラックに陳列されたものを見て、即座に理解した。そしておそらく手にしてあるものも。 「ふーーん」 「亜虎君、これは違うんすよ。いや、違くはなくもないんスけど」 「偉いなぁ、シンノ君は。……俺にはあんなにナマでしてんのに」 「そ、それは」 「なんて。じょーだん。外で待たせてんだろ? またな」  コンビニに駆け込むくらいなのだからこれ以上邪魔するのもあれだ。さっさとお菓子売り場へと向かおうとしたところ、ガシッと手首を掴まれる。すげー力。 「なに、どうしたの?」 「あ、後で……連絡していいっすか」 「いいけど、寝てたらごめんな?」 「う、じゃあ、今から……」 「女の子は?」 「なんとかしときます」  そういうシンノの顔があまりにも真剣なもので、思わず俺は笑ってしまった。まあでも確かにシンノなら女の子の機嫌取りは得意だしな。 「酷いやつ」  そっとシンノの頬に触れようとしたら、シンノが大人しく撫でられ待ちをするのでわざと触れるのをやめた。亜虎君、と迷子になった犬のような顔でこちらを見つめてくるシンノ。 「んじゃ、一足先にホテルで待ってるからな。ご機嫌取り、頑張って」  それだけを言って、俺はそのままシンノと別れた。ロビ君のお気に入りの煎餅とおかきを買い足し、俺はホテル月影へと帰るのだ。  ◆ ◆ ◆  ホテル月影、某室にて。  本当にすぐやってきたシンノを出迎えるついでに労わり、そんで二回したあと。  一旦落ち着いたらしいシンノに抱き締められたまま、俺はぐりぐりと頭を押し付けてくるシンノの前髪を掻き上げる。目が合って、流れるようにキスされた後。 「相手の子に怒られなかった?」  そうずっと気になってたことを口にすれば、シンノは「今聞くんすか、それ」って微妙な顔をする。本当は部屋にやってきて一番に聞こうとしたのを我慢したのだから褒めて欲しいくらいなのに。 「まあ、大事な先輩と再会したからって言ったらなんとか。……けど多分次はないかもっすね」 「へー、大事な先輩ねえ?」 「……大事には変わりませんから」 「それ、なんか告白されてるみたいだね」  両手で頬を挟むように撫でて、そのまま顎の下をうりうりとしたら「犬じゃないっすから、喜びませんよ」と言いながらシンノは照れ臭そうに目を細めた。それ見てソウキは喜ぶのに、とつい喉元まで出かけてやめた。 「ま、俺も久し振りにシンノと会えて嬉しかったし」 「それはそのっ、……亜虎君、最近仕事も頑張ってるから呼ばれない限り押しかけんの嫌がられるかなって思って」 「すげー早口じゃん」 「だって、違うんすよ~~……っ」 「別にサシ飲みだけでもシンノとなら歓迎なんだけどな。前はよく遊んでたじゃん」  自分で言って、確かにとぼんやりと考える。  学生の時はシンノの部屋に入り浸りになってくだらないこと話したりしてたときもあった。“こういう関係”になる前のことを思い出して、なんだか懐かしい気持ちになる。 「けど、それって」 「だって友達じゃん? 俺ら」  先輩後輩というには気が合い過ぎたし、お互いにいると体の力が抜けて楽しかったってのは嘘でも方便でもない。  けど、シンノは嬉しそうな顔をしなかった。その理由も見当つくが。 「シンノ?」 「そ~っすよね、……俺と亜虎君はお友達」 「そーそー、俺とフツーに付き合ってくれんのお前以外貴重だからさ」 「俺だけ、特別……っすか?」   そこまでは言ってねーけど。まあいいや。 「そうそう」と相槌打てば、しょげた顔に光が戻ってきた。そして無邪気さすらある笑顔を向けてくるシンノの頭を撫でてやる。  するとどうなるか。 「今度改めて誘うっす!」  おー喜んどる。けど、こういう分かりやすいところも好きなんだよな。扱いやすくて。 「楽しみにしてる」  そう少しだけ首を伸ばし、シンノの額にキスをしたとき。シーツの下。くっついていた下半身がぐ、と俺の股間を押し上げてくる。 「……しーんーのー?」 「あ、はは……勃っちゃった」 「だよなぁ? あれくらいじゃシンノは足んないだろ」 「え、気付いてたんすか?」 「そりゃどんだけお前とハメ倒してたと思ってんだよ。……気付いてるっての、仕事に響かないようにセーブかけてくれてんの」  そのままシンノの胸にそっと手を置き、やんわりと押し倒す。胸筋の膨らみが柔らかいとか、掌の下でドクドク脈打つ鼓動がより大きく響き、思わず口が緩む。 「亜虎君……っ」 「そういう健気なとこ、好きだぞ」 「ん、……は……っ」  シンノの上に跨り、キスをする。跨ったケツの辺りに当たるシンノのものを手で手繰りながら、そのままにゅるりと先走りで濡れたそれをケツの間に挟んだ。 「今回は特別だからな」 「っ、亜虎君」 「……大人になったシンノ君に、先輩からのプレゼント~。……なんつって……ん、……」  まだ全然硬いし、どんどん先走り出てきて腰が勝手に揺れる。焦らすみたいに尻の谷間の間でにゅるにゅると性器を刺激すれば、シンノに思いっきり尻を鷲掴みにされた。 「……本当に貰っていいんすか? そういうこと言われると俺、調子に乗りそうなんすけど」 「いいよ、……っ、ん……っ退室時間までシンノの好きにして……っ、ぁ、どっちにしろ、今日は遅番だから――」  と、言いかけた矢先、下から突き上げるみたいに勃起したそれで肛門を擦り上げられる。カリが引っかかるギリギリの角度が焦ったくて、つい亀頭を追いかけるように腰が引けそうになったとき、シンノに抱きしめられる。 「……っ、捕まえた」 「あ、は……っ、捕まっちゃった~……っ、ん、ぅ……っ、シンノ……」 「じゃあ、夜まで延長で」 「……っ、あの、人の話聞いてた? 夜から仕事だって、ぇ゛……っぅ」  ぐぷ、とまだ先程までの余韻諸々残ったそこへと容易に侵入してくるシンノ。  さっきまでのしょぼくれたシンノはどこへ行ったのか。挿れられたときの人の顔をじっくりと見つめながら、逃すまいと手を恋人繋ぎされればシンノの上から逃れることはできない。  下手に余裕ある態度がやや可愛げがないが、喪失感やもの寂しさを埋めるほどの快感にたまらず震える。 「ぁ、は……ん、シンノ……っ!」 「は……っ、嬉しいっす、俺、亜虎君に特別扱いされんの……きもちぃ……っ」  人の話全然聞いてねえなこいつ。  下からの突き上げに耐えきれず、堪らず前傾する体をそのまま強く抱き締めたままシンノは腰を打ち付ける。その度に言いかけた言葉がどっか行き、ただひたすらシンノに弱いところを責め立てられるのだ。  今度からはこいつに好きにしていい、はNGワードにするか。……仕事前は。  そんなことを思いながら、頑張れ今夜の俺と全てを諦め今この時だけはシンノとの時間を楽しむことにした。  ◆ ◆ ◆  それから数時間後。  途中から意識飛ばして気付けば俺はベッドの上に転がっていた。そして、すぐ目の前にはスマホ。と、その向こうにシンノがいた。 「……何してんの?」 「や、ニュースのチェックを?」 「人の顔にレンズ向けて?」 「ま、まぁ……」 「本当かな~? ……えいっ」 「あ、亜虎君……っ!」  返してください!と慌てるシンノからスマホを取り上げて画面を覗けば、そこにはあどけない笑顔で眠る俺がいた。 「おーすやすや」 「す、すみません……つい魔が差して」  まるで大罪でも犯したような顔して正座をし出すシンノ。俺の寝顔ってそんなに価値あったのか。 「別にそんなこそこそしなくてもさ、そんなに俺の写真欲しいんなら言ってくれりゃいいのに」 「……撮らせてくれるんすか?」 「気分による」 「ほらっ! 亜虎君いつもそうっすもん!」  とは言えど割とハメ撮りにも寛容な方だと自負してる。……寝顔求められるのはあんまねえけど。  俺ってそんなに寝顔嫌がりそうなんかな。勿論相手によるけど。 「けど、意外だわ。シンノお前そういうの残したがるタイプなんだ」 「……そーいうの、嫌がられると思って言わなかったんすよ」 「確かに。付き合ってもねえのに欲しがるとか。てか撮ってどうすんの? ロック画面にでもすんの?」 「う……デリカシーないっすよ、亜虎君」 「だって気になるじゃん。俺そういうの分かんないからさ」 「……ま、俺もそっすよ。そうでしたっつーか……またいつ亜虎君が音信不通になるか分かんないし、記録して俺の夢じゃないって確認しようとして……」 「…………」  重っ。 「今亜虎君、『重っ』って思ったでしょ!」 「……まあまあ、シンノにもそういう時期あるよな」 「変に優しくすんのもやめてください! 分かってるんすよ、女々しいって」 「拗ねんなってシンノ。ほら、チューしてやる」 「……ん」  それは受け入れるのか。  チューのついでにデコチューもおまけすれば、少しは機嫌が戻ったらしい。けどまたしょぼくれている。言わなきゃよかったって顔してベッドの端で丸くなるシンノの背中に抱きつく。筋肉質な背中は俺が触れると微かにびくんと反応する。  本当に、素直なやつめ。 「でもさ、友達なら別に普通じゃん」 「とも……だち……っすか」 「なんだよ、不満?」  そっと顔を覗き込んだとき、目が合うなりシンノにちゅ、と鼻の頭にキスをされる。頬をくっつけたまま、シンノは目を細めた。 「亜虎君の特別なら、余裕で嬉しいかも」 「かわいーこと言いやがって……ん、……おい、もうヤんねーからな」 「分かってますよ。せっかく真面目に労働に勤しんでる亜虎君の邪魔はしたくないんで」  後輩らしいこと言いやがって。昔のシンノだったらヤダヤダ仕事休んでクビになって俺と一緒に遊びましょうよ!ってジタバタしてたのに、成長というのは恐ろしい。  ちゅ、と離れ際に押し付けられる唇。その熱が薄れていくことが名残惜しい。  なんだか無性にシンノにウザ絡みしたくなった俺は今度はシンノの膝の上に移動した。「亜虎君」ともぞつくシンノの膝の上、向かい合うように顔を覗き込む。 「亜虎君……そーいうの良くないっすよ」 「だってさ、シンノ。なんかお前物分かりいいし、……そーいうのちょっと寂しいかも」 「言うこと聞かないと俺のこと切るでしょ、綾瀬先輩みたいに」 「……」 「否定はしないんすか」 「けど、寝顔欲しがるとか可愛いとこあんじゃん。女の影響?」 「昔は全然興味なさそうだったのに」なんなら、昔のシンノなら「めんどくせ~」と言う側だったのに。  どういう心境の変化だ?とじっと見つめれば、シンノの目が徐に泳ぎ出した。そっぽ向いたままシンノは俺の目を手で覆う。 「あ、おい」 「……言わねっす」 「教えろよ、いーじゃん」 「これは俺が墓まで持っていくんで! ……亜虎君にも秘密です」  お前それ、ほぼ答えみたいなもんだけど。  大人になってなんだか置いて行かれたような気持ちになっていたが、なんだこいつは。可愛いやつめ。  もっと弄ってやりたかったが、シンノを怒らせると今度こそ出勤どころではなくなるかもしれない。 「笑ってごめんな、シンノ」 「……亜虎君、今日なんか優しくないっすか? なんか企んでる?」 「んや? 今日はシンノ可愛がる日にしようと思って」 「俺、可愛がられるより可愛がる方が好きなんだけどなー……」 「嘘吐け、喜んでんのバレてっから」  ぺち、とシンノの太腿を叩けば、シンノは笑う。笑った時の顔は変わらない。目元がくしゃっとなるので幼くなる見えるところとか。 「それ、自己処理しろよ」 「えー、亜虎君がくっつくから勃ったのに」 「……んじゃ、責任取らなきゃ可哀想か?」 「そーそー。……手でもいいんでよろしくお願いします、先輩」 「……こう言う時だけ後輩ぶりやがって」  ムカついたのでシンノの肩に噛みつきながら、そのままごそごぞと下着の中で膨らんでいたそれを取り出す。あーあー、先走りでぬるぬる。エモ会話してる時に何考えてんだか。  でもま、俺らにしおらしいのは似合わないか。 「延長料、ちゃんと用意しとけよ」と言いながら俺は自分の下着に手をかけた。  数日後。  シンノと飲み屋で待ち合わせをした。  久しぶりに悪友だった頃のシンノとのサシ飲みだ。普段ホテルで待ち合わせするとゆっくりのんびりお喋りする体力もなくなるほど搾り取られていたので、こうして酒飲みながら話や近況を話せるのは楽しかった。 『あの亜虎君がどんどん大人になって自立していってんの見ると、寂しい』  調子に乗って酔い潰れてべろべろになったシンノがそう言って泣き出したときはどうしたものかと思った。  それと同時に安堵もした。お前も俺と同じこと思ってたんだなって。  その後、『今日という日を終わらせてくない』と駄々こねて閉店間際の店に居残ろうとするシンノを引きずってホテル月影に向かうことになったのは言うまでもない。  元カレと呼ぶには浅いし、先輩後輩というには壁はなく、ああ、やっぱり俺たちの関係に名前をつけるならば一番あれがしっくりくるだろう。  目の前のベッドで酔い潰れてるシンノ。  この前はお前に好きにさせたから、今夜は俺の番。何されたって文句はないはずだ。  そうそのままシンノの横に寝転がり、スマホを取り出した俺はそのまま気持ちよさそうに寝てるシンノとのツーショを撮り納める。  さあどんなものか。ちゃんと撮れてるか確認しようとして思わず口元が緩んだ。 「……まあ、悪くはないかもね」  俺もこんな顔できるのか。思いながらややブレたそれを保存する。  ……この写真もついでに墓まで一緒に持っていってやるか。  心地よい酩酊感の中、俺はそのまま眠りについた。  ホテル月影の夜は長い。ついでに、ベッドもふかふかで気持ちいい。次に目を覚ます時はシンノの悲鳴だろうか、それとも俺のアラームか。  起きた時のシンノのリアクションを楽しみに俺は眠りに落ちた。  おわり

【↑100】元カレでセフレ、 またの名を親友。【5,600文字/シンノ×亜虎/甘め/イチャ】

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