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田原摩耶
田原摩耶

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【↑300】壁尾張①※【4,700文字/五条×尾張/政岡×尾張/壁尻/セクハラ/ギャグ寄り】

 壁にハマった。  ただ近道しようとボロ校舎に空いた穴を潜ろうとしただけだ。それなのに。頭と上半身まではわりといい感じにいけたのに、肝心の下半身が綺麗にハマってしまった。まじでこんなことあるのか。 「ぐ、ぅ……クソ……っ、抜けろ……ッ!」  上半身は人気のない通路の行き止まりの階段踊り場付近、下半身は校舎裏というクソみてえな状況。  なんなら人気のない場所とは言えど無人ではない。こんな場所誰かに見られるくらいなら舌を噛み切った方がマシだ。  ほんの少しでいいからケツを押してくれれば抜けそうなのに、とジタバタしてたとき。 「尾張、楽しそうなことしてんな」  前方。無人だったはずの壁に凭れかかってこちらにスマホ翳す男が一人。やつは画面から目を外し、にたりと嫌な笑みを浮かべる。はい、終わった。俺の学園生活終わった。 「……殺してくれ」 「おいおいまだなんも言ってねえだろ! 五条先輩がお困りの後輩の声聞きつけてきたってのに!」 「じゃあそのスマホのデータ削除してくれ」 「ヤダ」 「……」 「うおっ! あぶね〜〜腕自由なの忘れてたわ」  くそ、すばしっこいやつめ。  腕の届かないところまで移動する五条はスマホをしまい、「さて」とネクタイを緩める。 「おい、なに」 「尾張、助けてほしい?」 「……いい。自力でなんとかするから放っておいてくれ」 「え〜〜? 本当に? つか俺以外にこんなところ見られたら大変なことになっちゃうだろ? 本当に放っておいていいの?」  なんならお前が一番危険なんだよ。なんで安全枠みたいな顔して言ってんだよこいつは。 「いいよ」と半ばヤケクソになりながら返せば、五条は「ふーーん」と急に大人しくなった。それから鬼の速さでスマホ弄り出した。なに。普段の言動よりも無言が怖ってなんだ。 「あ〜〜今すぐ尾張が上目遣いで『先輩、助けて……っ!』って言ってくれないとうっかり生徒会のグルチャに壁尻尾張情報流しそ〜〜!」 「は? おま、おい……っ!」 「こんな面白…いや美味しいネタタダでばら撒きたくねえけど尾張全然冷たくてなんか指震えてきたかも〜〜!!」 「都合のいい体だな」 「それちょっと興奮するな。そういうのもっとくれ。録音してかいちょー様に売りつけるから」 「頼むから何かしらの法に触れて捕まってくれ」 「それ逮捕される前にめちゃくちゃにしていいってこと?」  やべえよこいつ怖えよ。せめて一発殴らせてくれ。なんで無敵なんだよ。 「なーんて、冗談冗談! 生徒会グルチャには尾張の写真だけ共有して場所詳細については有料にするから安心しろ!」 「勝手に人で小遣い稼ぎしてんじゃねえ……っ! ぐ、くそ、抜けねえ……っ!」 「あーあー暴れない方がいいって。俺の知識だと何かぬるぬるしたものを患部に塗り込むと滑りが良くなって抜けるって聞くが試してみるか?」 「ぜってぇいらねえ」 「ここに丁度いいものがあんだけど」  徐にベルトを緩めるな脱ぐな取り出すな。  ボロンじゃねえよ、鼻先に押し付けんな。なんでうっすら勃起してんだよ。 「咥えて?」 「噛みちぎってどうぞってことか?」 「おーーこわ。猿轡でも用意させときゃよかった」 「ああでもそれじゃ咥えられないもんな」とチンポでペチンと頬を横殴りしてくる五条に怒りのあまり腕が出そうになる。そんで、そのまま手首ごと掴まれた。 「よっしゃ。尾張捕獲〜」  がしゃ、と頭の上で聞こえてくる金属の音。それからチェーンが擦れる音。  しまった、と青褪めた矢先、五条はそのままもう片方のの手錠の輪を近くの手摺りにかけるのだ。間抜けに手を挙げた体勢のまま更に行動範囲が狭まる。 「おいっ、五条……っ!」 「いいじゃんいいじゃん、わんちゃんらしくて。けどバランス悪いからもう片っぽも繋げとくか」 「ふざ、け……っ、ん、おい……っ!」  ただでさえ儘ならない体は五条の手によってあっという間に両手頭の上に固定される。なんでこんなときは異様に手際がいいのだ。 「いいねえ、記念に一枚いっとくか? 会計様に売り付けよ」 「だから人で金稼ぎ、やめ……っ、ぅ……っ!」 「でもさあ尾張、やっぱ物足りねえよな? 壁穴と言ったらやっぱこれだよな」 「ふざけんな、それ近付けんなって……っ!」 「それじゃなくてさあ、もっと……っ、ん、愛情もった言い方しろよなぁ? ほら、尾張のために勃起してきたってのに」  目を瞑ってもすぐ側から聞こえてくるクチクチという音と嫌な匂い。最悪なんてものではない。こうなったら壁ごと壊せないかとなんとか足をバタつかせるが、地面を蹴ることしかできない。 「っ、ん、ぅ……っ、くそ、覚えとけよ五条……っ!」 「あーーそれそれ、効くわぁ。尾張の悔しそうなボイス。普段余裕綽々の尾張が焦ってんのまじ興奮するわ、怖いよなぁ? 動けねえの。他人に好き勝手されんの嫌だもんな〜〜? よちよち」 「てめ、……っん、む」  開いた唇に押し付けられる嫌な肉の塊。なんかヌルヌルしてるし、くそ。ちょっと飲んだ。最悪だ。 「しゃぶって」 「……っ、……」 「上目遣いで可愛くしゃぶってよ、尾張」  注文がどんどん図々しくなってんだよ。遠慮しろ。  こいつのやり方は分かってる。どうせ俺が言うこと聞いたところで更に図に乗るだけだ。そんで、多分壁にハマったことがどうでも良くなるくらいにはなる。  絶対に言うこと聞くものか、と顔を逸らせば、唇に押し当てられたそれは興奮したように更に硬くなる。いやなんでだよ。 「……、五条」 「んー?」  それ以上近づけば噛みちぎるぞ、と歯をガキンと鳴らして意思表示をすれば、押し当てられていた五条のものがやや萎えているのを見た。 「お、尾張〜……なに、冗談じゃん冗談! そんなに怒んなって」 「ゴムみたいに噛んでストレス解消にでもしろってか?」 「言い方! もっとエロい言い方して! 感触想像させないで!」  みるみる内に縮み込む五条に内心よし、とほっとする。因みにこの戦略は言ってる俺自身にも全然ダメージは入るので最適解とは言い難い。  が、この際そんなことはいい。 「くっそ、やっぱ壁尻って言ったら下半身だからな〜。チン添えショットは撮れたから今のうちに尾張のケツ拝んでおくか。こっちならチンポ骨ガムにされる心配ねーし」 「は、おい……っ!」  言うや否や、そのまま踵を返してどこかへ行く五条。ここから外へと繋がる窓か扉でも探しに行ったのか。 「冗談じゃ……っ、ぐ、ぬ……っ」  このままでは好き放題されるの確定だ。ただでさえ間抜けな格好を人に見られたくないというのに、よりによってあの歩く人災みたいな男に。  今の内に抜け出さなければ、と思うが、つか両手も拘束されたままのせいで全然動けねえんだけど。おい。せめてこっちどうにかしろ。 「……っ、だ、誰か……っ」  もうこの際五条以外ならなんでもいい。通りすがりの人に抜け出すのを手伝ってもらおうため、半ばヤケクソになりながら声を絞り出した時。 「お、尾張……?!」  壁の向こう側、つまりケツ方面から聞き覚えのある声が聞こえてきた。  こんな場所通る人間なんて居ないと思ったが、まさか。しかもこの声は――。 「政岡?」 「尾張?! お前、どうした?! そ、そんな……どうした?! 誰がした?! 敵はどこだ?!」 「お、落ち着け政岡……って、よく俺ってよく分かったな」 「俺がお前の脚を見間違えるわけねえだろ!!」  声を聞いて駆けつけてくれたんじゃねえのかよ。聞かなきゃ良かった。 「……政岡、えーと……そのだな。ちょっと今緊急事態でさ」 「あ、ああ……見りゃ分かる」 「そこでお前に手を貸してほしいんだけど……」  あいつが来る前に、と言いかけた矢先、「げ、かいちょー様が尾張のケツローアングラーしてる!!」と声が聞こえてきた。なんだよローアングラーって。 「政岡?」 「ちが、おいテメェ五条適当なこと抜かしてっと今度こそタタキにしてやるからな?!」 「それはそれでアリ」 「喜んでんじゃねえこのドMが!! 散れ! 尾張のケツに近付くなテメェは!!」  政岡、助かった。来てくれたのがお前でよかった。壁の向こうで何が起きてんのかまるで分からんが、「キャイン!」という五条の鳴き声が聞こえた後「ただ壁尻尾張無償で楽しもうとしただけなのに〜〜!」と五条の声が遠のいていく。  楽しむな。せめて金は払え。 「ったく、油断も隙もねえな……ってまさか、尾張お前こんなことになってんのってアイツの仕業か……?!」 「あー……いや、これは俺の落ち度なんだが……その、ショートカットしようとしたら体がハマってさ。そこにあいつに見つかったんだよな」 「へ、へえ……」 「ところで政岡。……なんかお前の声が聞こえてくる位置がやや低すぎる気がするが気のせいか?」 「あ?! んんんなわけねえだろ、い、い、今お前を嵌めてる穴の位置を確認しようとしただけだけど?!」  なんで動揺してるんだ。せめて堂々としてくれ。 「そうか? ならいいけど……その、こっちも手五条に手錠かけられて動けねえんだよな。だから、悪いけどそっちから体、押してくんね?」 「お、……押す?!」 「ああ。多少乱暴でもいいから、ぎゅっとしてくれたら後ちょっとで抜けそうなんだよ」 「い、いいのか……?」 「…………言っとくけど、押すだけだからな」 「あ、当たり前だろ?!」  本当か?全然今付き合って初めての時のテンションだったぞ。  壁越しでも分かるくらい政岡の鼻息が荒いのが少々、いやかなり気になるが、この学園でも政岡はまだマシな部類でもある。背に腹は変えられない。 「なあ、頼む……無理そうなら壁を壊してくれても……っ、ぅ」  言い終わるよりも前に、放り出したままの下半身に大きな手のひらの感触が触れる。尻の肉を鷲掴みにするように這わされる政岡の手に、思わず「んっ」と上擦った声が漏れた。 「お、尾張……痛くないか?」 「い、痛くはねえけど……なあ、もっとしっかり掴んでくれ。それ、なんか撫でられてるみたいで……すげえ、や……っ、ん」 「……っ、……尾張」 「な、名前……囁くなって……っ、つかもっと雑でいいから……っ! ぅ、ん」  もう片方の手に腰を掴まれる。押されてる、というか弾力を確かめられてるようなそんなもどかしい触れ方に下半身が痺れてきた。政岡の親指が尻の谷間に差し込まれ、「そこは触んなくていいだろっ」と思わず脚をバタつかせれば、「わ、悪い!」と慌てた政岡の声が返ってきた。 「は、早く……政岡……」 「尾張、そ、そうだよな。こんな体勢……辛いよな」 「っ、ぁ、ああ……早く、乱暴にしていいから、楽にしてくれ……」 「…………」 「……? 政岡……?」  無言なんなんだ。なんか不安になってくる。  ぐ、ぐ、と穴に向かって下半身を押し出そうとしてくる政岡の手だったが、やはり穴にみっちりとハマった体はビクともしない。  てか、なんか。指の位置が。 「ん、……っ、ぅ……政岡、もうちょい、……っ、強く……」  チンポに当たってる。つか、なんかもどかしすぎてむずむずしてきた。絶対五条のせいでもあるのに、政岡の触れ方がさっきから優しすぎるのも相俟ってマッサージされてるみたいな心地よさが下半身に広がる。血流がよくなっていくような。  するとどうなるか。 「……っ、……」  咄嗟に脚を閉じて誤魔化そうとするが、「尾張」と壁越しに聞こえてきた政岡の低い声につい柄にもなく緊張した。 「政岡、ちが……これはだな」 「なんで勃ってんだ?」  汗が流れる。これじゃこっちが変なこと期待してるみたいじゃねえか。違う。そんなわけねえ。つかお前だってなんか声、興奮してんじゃん。お前は壁の向こうでチンピクもさせてねえのかよ、なあ。  恥ずかしさと情けなさが一斉にやってくる。相手が俺の言うこと大分聞いてくれる政岡だからと油断してたが、仮にもこいつもこのやべー学園の一人だということ思い出した。なんなら、そんなやべーやつらの頭にいる人間だと。 →後編 https://t589423.fanbox.cc/posts/8781111

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