前編: https://t589423.fanbox.cc/posts/7444817 中編: https://t589423.fanbox.cc/posts/7692905 「ひ、ぅ、んん……っ!」 「……っ、齋藤……」 「せ、んぱ……っ、ふ、ぅ……っ」 キス、されている。奥を抉られながら、顎を掴まれ、唇を重ねられる。もう俺には何がなんだか分からなかった。裕斗の腕にしがみつきながらも亀頭で奥を押し上げられる度に熱が広がり、前立腺が削れていくようだった。 限界が近いのは裕斗も同じで、逃げようとする体を更に覆い被さってくる裕斗に捕まえられ、腰を打ち付けられる。「先輩」と声を上げることもできないまま、何度目かのピストンの末俺はあっさりと限界に達した。 「っ、ひ、ぅ……っ!」 「……っは、……っ」 ほぼ同時に俺の奥で裕斗の性器が跳ねるのを感じた。ドクンと大きな鼓動が伝わってくるのと同時に、腹の奥、動きを止めた裕斗のものからどくどくと熱が広がる。 指を動かすこともできないまま、俺はそのままベッドに倒れ込む。「頑張ったな」と頭の上から落ちてくる裕斗の声。それから直ぐ肩甲骨の辺りにキスをされる気配がした。 「ふ、せ、んぱ……っ、ぁ、う……っ!」 ずる、と性器を引き抜かれると同時に下半身に快感が広がる。耐えきれず痙攣する下半身、伸びてきた手にそのまま腰を持ち上げられた。 「出しすぎじゃねえか? 裕斗。あーあ、可哀想に。レイプされちまってなあ、ユウキ君」 「酷い言い方するなよ、伊織。……嫌だったか? 齋藤」 このタイミングでこんなことを聞いてくるなんて、酷いのではないか。いや、もっと言うなら阿賀松の言動が酷くなかったことなんてなかったのだけれど。 「……い、やじゃ、ないです……」 少なくとも、裕斗は誰かさんのように乱暴な真似はしてこないし痛みも伴わない。それでも口に出すと背徳感というか、自分がどんどん終わっていくような気がしてならない。 持て余した熱のやり場に困りながらも、四肢を撫でる阿賀松の手に体が再び反応し始める。 「へえ」とほぼ二人同時に俺を見た。 「浮気か? ユウキ君」 「え、いや…」 「いーおーりー、拗ねるなよ。齋藤は空気が読めるやつだからな、リップサービスで俺を気持ちよくしようとしてくれたんだろ? ……本当、健気で可愛いよな」 「……っ、そ、そういう、あれでは……」 なんとなくさっきよりも甘ったくなる裕斗の声と視線。それに比例して阿賀松の目が冷たくなっていくのがただただ恐ろしくて仕方なかった。 「だってよ。……良かったなあ、ユウキ君。ケツの穴ヒクつかせて喜びやがって」 「っ、ちが、ぁ」 「違わねえだろ」 精液が溢れ出す肛門、そこにねじ込まれた阿賀松の指にぴくりと腰が震える。 そのまま数本追加される指に奥まで捩じ込まれ、残っていた裕斗の精液を乱暴に掻き出される。精液を潤滑剤代わりに中を執拗に刺激してくる阿賀松の指に、俺は耐えきれなかった。 「う、んんう……っ! は、ご、ごめんなさ、ぁ……っ」 「何がごめんなさいだ? 言ってみろ、ユウキ君」 「せ、先輩、以外の人に……っ、き、もちよく、なって……っ、ぇ、う……っ!」 「ちょっとは自覚が出てきたみてえだな」 「ぁ、ひぅ……っ」 イったばかりにも関わらず熱くなってくる下半身。熱が性器の先っぽ、臍の裏に広がって、再び中が疼き始める。こんな自覚なぞしたくない。が、この男のせいだ。全部。ベッドの上、胡座を掻きながら人のケツをイジる赤髪の男にただ片手間にされるがままになる。 「ちょっとは優しくしてやりゃいいのに」とベッドを下り、水の入ったグラスを手にした裕斗は笑う。そして、今度は俺の前へと立った。先程出したばかりだというのに、再び性器が大きくなっている性器を鼻先に突きつけられる。 「なあ、また頼んでいいか? 齋藤」 「……は、ぁ、は、はい……っ」 朦朧としきった頭の中、俺は鼻先に突き付けられる赤く充血したそれにキスをした。 「ん、は、最高……」 「ユウキ君、テメェは……奉仕の精神は大事だが、見境は覚えろよ」 「良いだろ、たまにはさ。なあ、齋藤」 「っ、ん、ふ、ぅ……っ、ふ……ッ」 小さく舌打ちした阿賀松は指を引き抜く。びくんと跳ねる下半身。裕斗のものに舌を這わせようと突き出したまま動けなくなる俺に構わず、阿賀松は濡れそぼったそこを今度は指で拡げた。 「ぁ、うく……っ」 「テメェは黙ってろ、裕斗。……俺はこいつに聞いてんだよ」 「機嫌悪いな、伊織。男の嫉妬はよくねえぞ」 「あ?」 それ、阿賀松も前に言ってたな。なんて呑気に考えている場合ではない。 すっかり機嫌悪くなった阿賀松はそのまま俺の腰を持ち上げる。そのままぐにぃと割り拡げられた肛門に宛がわれる熱に息を飲むのも束の間、呼吸を整える隙なく捻じ込まれる阿賀松の性器に全身が硬直した。 「ぅ、んん……っ」 「誰彼構わず腰振ってんじゃねえよ、お前は誰のものか忘れたのか?」 「ご、めんなさ、ぁ……っ! は、ひぐ……っ!」 「少しでも寂しい思いしたらこれだからよ、堪ったもんじゃねえな……」 「は、ぁ……く、ひ」 阿賀松が喋る度に腹の奥でその低い声が反響するようだった。裕斗のような優しさも甘さもない、皮膚に食い込むほどの強い力で腰を掴まれたまま中に残っていた裕斗のものを掻き出すかのように中を出入りする阿賀松のされるがままになる。中が綺麗になれば、今度は裕斗の痕跡を上塗りするように、内側から形を作り変えるみたいに阿賀松は腰を叩きつけてくるのだ。 「あ゛、ぅぐ、ひ……っ!」 「見とけよ裕斗、ユウキ君を喜ばせるときはこうすんだよ」 「は、ぁ、あっ……! ひ、ぎ……っ!」 背後から伸びてきた阿賀松に前髪を掴まれ、そのまま強引に顔を上げさせられる。裕斗の性器に顔面を押し付けられ呼吸ができなくなったかと思えば、そのまま限界まで張り詰めた性器で奥まで叩きつけられた瞬間全身が魚のように跳ね上がった。 冗談ではない、乱暴にされて喜ぶようなやつなんているわけがない――そう思っていたのは数秒。窒息と鼻から直接嗅がされる濃厚な性臭、頭を掴んでいた手に両耳を塞がれればぐちゃぐちゃと粘膜という粘膜を犯される音が直接脳味噌に響き、揺らすのだ。 外界の音が一気に遠くなる代わりにナカに全神経が集中する。 「んぶ、ふ、ぅ」 「は、そうだ……しっかりとケツ締め上げろよ、ユウキ君」 「ぅ、ふ――……っ」 「おい、休んでんじゃねえよ。二人相手にするっつったのはお前だろうが」 「ん、んむ……っ!」 口をこじ開けられ、裕斗のものを喉奥まで咥えさせられる。口、喉、腹の奥までいっぱいになり、籠った頭の中に響く水音から逃れることはできなかった。 血が上ってふわふわしてきた頭の中、深く挿入されたまま奥を乱暴に突き上げられるだけで全身の筋肉は突っ張る。 「ぅ、んん……っ! ふ、ぅ゛、ぐ……っ!」 「齋藤、……っく、ぅ……っ!」 裕斗が何かを言いかけたと思った次の瞬間、口の中、喉の奥まで詰まっていた肉の塊がどくんと脈打つ。粘膜が焼けそうなほどの熱とともに、その先端から溢れ出す液体を防ぐ事もできなかった。 「ふ、ぅ゛……っ」 そのままもろ喉奥に出される精液は粘膜に絡みつき、思わず俺は裕斗のものを口から抜いた。なんとか口に出されたものは吐き出さないようにと喉奥へと唾液で追いやったが、引っかかった場所が悪かった。そのまま激しく咳き込む俺に、阿賀松は笑いながらくしゃりと俺の頭を撫でる。 「……ふ、はは、随分と早えじゃねえか、裕斗。やっぱそっちのが良いだろ? たらたらされんのより、喉使った方が」 「馬鹿、こっちはイッたばかりだっての」 「強がんなよ、こいつの喉はクセになんぞ……っ、おい、何休んでんだ? ユウキ君」 耳を塞ぐ手が離れ、ようやく籠もった音から解放されたかと思えば、先程よりもより近く聴こえてきた阿賀松の声に震え上がった。 「ぁ、う、げほ……っ! は、ご、めんなさ、……っ、ぅ……ッ!」 慌てて体勢を治そうとしたとき、一度性器を引き抜かれる。と思った矢先、今度は仰向けに転がされた。間接照明が視界を照らし、こちらを見下ろしていた阿賀松は目が合うと嫌な笑顔を浮かべるのだ。 「あーあー、ひでえ顔になってんな。……よく似合ってんぞ」 「ぁ、……っ」 阿賀松に褒められた瞬間、否応なしに心臓が反応してしまった。この男に褒められることなんてろくなことでもないはずなのに、抱き寄せられ、腿を撫でられ、耳元で囁かされる。 「甘やかすなっつってたの誰だっけ?」と裕斗が笑いながら揶揄すれば、ぴくりと眉を動かした阿賀松は「甘やかしてねえ、事実を述べたまでだ」と言ってのける。それから開かされた俺の股、つい先程まで阿賀松のものを咥えさせられていたそこに今度は違う角度から挿入された。 「ぅ、あ……っ! ひ、ぐ……ッ!」 腿を大きく開脚させられ、挿入の刺激に耐えきれずに性器がみっともなく震える。さっきよりも付けられた角度は腰を動かされる度により前立腺を圧迫し、擦り上げ、押し潰す。その度に喉の奥からは声が勝手に漏れてしまった。 「っ、せ、んぱ、ぅ……ッ、ひ……っ!」 「裕斗とどっちがいいか言ってみろ」 囁かれる声に背筋が震える。阿賀松が何を言ってるのか俺にはもう分からなかった。食いしばった歯の奥から唾液が漏れる。耐えきれずに目の前の阿賀松にしがみつけば、阿賀松は少しだけ口元を緩めた。 そして、 「ぅ、んんぅ……っ!」 唇を塞がれる。何度キスされたのか分からない。けれど、抱き締められるような体勢のまま深く貪られる唇、薄皮越しに感じる阿賀松の熱は不思議と心地よかった。多分、感覚中枢がイカれてるのかもしれない。 「せ、んぱ、ぁ……っ、あ、や、待っ、んんぅ……っ!」 顎を固定され、内臓ごと串刺しにされるみたいに深々と突き立てられるそれに意識を保ってることなどできなかった。限界まで競り上がっていた快感は阿賀松のピストンでぶち抜かれ、弓なりに仰け反った体はガクガクと痙攣する。性器からは精液すら出なかった。ただ腹の中でぐちゃぐちゃになった熱が肥大し、全身へと回る。それは猛毒のように。 「っん、ぅ、うー……っ、ぁ、う、ひ……っ!」 「好きだよなぁ、お前、これ。……っ、ほら、逃げんなよ。可愛がってやるつったろ……っ!」 「ぅ、あ゛、あぐ……っ! まっ、ぁ……っ!」 縺れる舌で言葉にならない声を漏らす。先程よりも大きくなった阿賀松のもので激しく奥を犯される度に腹部が圧迫され、嗚咽が漏れた。裕斗に助けを求めようと伸ばしかけた手を取られ、そのままベッドに押し付けられる。まるで恋人かなにかのように指を絡められながら俺はただ阿賀松を受け入れることしかできなかった。 「あーあ、本当こういうときは不器用なやつだよな。お前って」と笑う裕斗の声を聞きながら、腔内に捩じ込まれる阿賀松の舌に恐る恐る舌を伸ばす。舌伝い、流し込まれる唾液と下に出される精液を零さないように飲み込みながら、俺は阿賀松の手を握りしめた。 阿賀松がイったあと、ようやく終わったと思えば裕斗に抱かれる。裕斗に抱かれてる間、一服を終えた阿賀松は気まぐれに混ざって再びふたりを相手したり、入れ替わり立ち替わり混ざり合う。俺に休みなどなかった。 とっくに日付も変わり、空も白ばみ始めた時間帯になっても二人が飽きることはなかった。 底抜けの体力は最早化け物である。俺は途中意識を失いかける度に阿賀松に叩き起こされ、精液を浴びせられ、理由も分からぬまま夢現で性器をしゃぶってた。 全身が性器になったみたいに過敏になった状態で何時間も性行為に耽り、ようやく二人が満足したときは――気付けば半日を超えて一日経とうとしていた頃だった。 「それで?」 指一本動かせないままベッドの上横たわる俺の体を綺麗にしていた裕斗。その後ろ、水を取りに行っていた阿賀松が戻ってきたと思えば「それで?」と再び同じ問を浴びせかけてきた。 その目は俺ではなく裕斗に向いている。「主語がねえぞ」と裕斗は俺の下着を履かせ、背後の裕斗を振り返った。 「諦めたか、こいつのこと」 「あれ、そんなこと言ってたか?」 「言ってただろ。精子出しすぎて脳味噌も一緒に出したんじゃねえだろうな」 「はは、面白えこと言うじゃん。伊織」 どこが面白いかわからないことはともかく、なんかまた阿賀松がやや不機嫌になってる気がした俺は慌てて起き上がろうとして、脱力した。腰に力が入らない。「寝とけ」とベッドに腰を降ろした阿賀松に胸を撫でられ、体が震える。「はい」と枯れ果てた喉で応えれば、「ひでえ声」と阿賀松は笑った。それも一瞬。 「こいつは俺のもんだってわかっただろ」 「まあそれはおいといてさ、3P気持ちよかったな。またたまにでいいからやろうぜ」 あっけらかんと笑う裕斗に俺は思わず「えっ」と声をあげた。「なあ、齋藤はどうだった?」もこちらを覗き込んでくる裕斗。履かされたばかりの下着の上から柔らかく掌で腿の付け根から膨らみまでを撫で回され、言葉に詰まる。 「ぁ、あ、あの……」 「……ったく。言っただろううが、ユウキ君。こいつはやめておけって」 「あ、阿賀松せんぱい……」 「お前がこいつを調子に乗らせたからこうなんだよ、分かってんのか?」 「ご、めんなさ……っ、ぅ……」 なんか、なんか近い。し、胸と下半身、それぞれ二人の手がなかなか離れなくて、嫌な予感がして逃げようとするが、押さえつけられるような形で掴まれた体は動けない。 それどころか覗き込んでくる二人の視線に、意図をもって皮膚の上を滑る指先に落ち着き始めていた体がじんわりと熱くなってくるのだ。 「裕斗、お前はさっさと帰れよ」 「んだよ、チョコ貰ったのは俺だぞ?」 「馬鹿が、バレンタインは終わっただろ」 まずい。なんかものすごく嫌な予感がするのに体が動けない。 「……いや、まだ終わってねえよ」 「なあ、齋藤?」と腿に顔を寄せ、頬を押し付ける裕斗。すり、とこちらを覗き込むように見つめてくる裕斗に俺は一瞬言葉に詰まった。なにより、裕斗に触れられて反応し始めていた己を見てしまったからこそ、余計。 「は、……はい……」 震える唇で声を絞り出したとき、二人の視線がすっと細くなる。周囲の空気が変わるのを肌で感じるようだった。 何故こんなこと言ってしまったのか。後悔するとともに仕方ないという気持ちもあった。 だって、裕斗といるときの阿賀松はいつもよりもほんの少し……ほんの指先一欠片ほど優しくて、俺のことを見てくれて――そして、妬いていた。 それをまた見てみたい、と思うのは仕方ないことなのか。それとも、『クセになる』ということなのか。 分からなかったが、二人にキスをされながら俺はそこから逃げ出そうとする気力は根こそぎ折られていた。 「本当……仕方ねえな、お前は」 阿賀松の唇が離れる。覗き込まれる視線に嫉妬のようなものが混ざってるのを感じ、ぞくりと背筋が震えた。ごめんなさい、という言葉は出なかった。きっと、怒られるから。それならば、と自分から股を開く。 「ごめんなさい、先輩……」 バレンタインデーは終わらない。 【おしまい】