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田原摩耶
田原摩耶

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【総集編版】阿賀松に捨てられたビッチ齋藤ルート※【↑500/18,000文字/志摩×齋藤/モブ×齋藤/栫井×齋藤】

 毎日同じことの繰り返し、このままずるずると成長して大人になっていくのだろう。  そんなことをぼんやりと考えながら俺は手にしていた参考書を閉じた。 「ゆうき君、まだ起きてたの?」 「あ……うん、そろそろ寝ようかと思って」 「そっか、じゃあ……おやすみなさい」 「うん、おやすみ」  ルームメイトの阿佐美はどこかへと出かけるようだ。俺はそれを見送り、玄関の方から扉が閉まる音を聞いて息を吐いた。  求めていた平穏な学園生活は突如やってきた。  裏でなにがあったのかわからない、俺よりも適材を見つけたのかもしれない。  ある日突然、阿賀松から解放されたのだ。  あの男にまとわりつかれることも、呼び出されることも、性的暴行を受けることもなくなった。  それだけで良かったはずなのに、何故だろうか。何故、自分が求めていたこの平穏な日々に違和感を強く覚えているのかが理解できなかった。  不安もあった。嵐の前の静けさだと身構えていたが、それでもなにもなく時間はゆっくりと進んでいくのだ。 「……寝よう」  阿佐美もいなくなった。  卓上ライトを消し、それから落ちてたリモコンを拾い上げてテレビも消す。部屋の電気は真っ暗になると落ち着かないので豆電球のまま、俺は自分のベッドに潜り込むのだ。  いつ扉がぶち破られて人が入ってくるか分からない。そんな緊張のまま眠るが、結局そのようなこともなく朝までぐっすり眠ることになった。  ◆ ◆ ◆  阿賀松と疎遠になるとともに、芳川会長や生徒会とも疎遠になっていく。  今までが特殊だったのだ、と思うが、それでも一抹の寂しさは拭えない。 「おはよう、齋藤」 「……志摩、おはよう」 「まだ眠たそうだね」 「うん……早めに寝たんだけどね」  なんでだろ、と小さくアクビを噛み締める。  クラスメイトの志摩は「寝過ぎなんだよ」と笑って、それから俺の頭に触れてくるのだ。 「ここ、寝癖になってるよ」と指先で毛先を軽く引っ張られ、驚く。  それから恥ずかしくなった。 「う……み、見ないで」 「ここまで主張されると見ざる得ないでしょ。寝癖、直してあげるよ」 「さ、流石にそこまでしてもらうのは……」 「俺がしたいだけだから。ほら、こっちきて」 「……う、うう……」  志摩は面倒見がいい。お節介で強引だけど、それでも転校初日からこうして一緒にいてくれる志摩の存在は俺にとってはありがたかった。 「ほら、直ったよ」 「あ、ありがとう志摩」 「齋藤の寝癖って結構頑固だね」 「ご、ごめん……」  なんて話を交わしながら俺達は教室へと向かった。  当たり前のように手を握られ、少し驚いたが志摩は最初から距離感の近い人だった。  これも、都会だとよくあることなのかな。なんて内心どぎまぎしながらも、俺は志摩に置いていかれないように慌てて歩いていく。  ◆ ◆ ◆  その日も平和だった。  それでも、赤色のものを見ると脊髄反射で逃げ出しそうになってしまうのはもう本能的なものなのだからどうしようもない。  休み時間、俺は人混みの中に阿賀松たちがいないか常に警戒しながらも志摩と食堂で食事を取ることとなる。 「どうしたの? 齋藤」 「え?」 「ずっと周りのこと気にしてるじゃん」 「あ、あの……その、癖みたいなもので」 「クセ? ……ふーん、クセね」  言いながら、志摩はパンに齧りつく。 「俺と一緒にいると落ち着かないのかと思った」  それから、ごくりと口の中のものを飲み込んだ志摩はそんなことを言い出すのだ。  俺は慌てて首を横に振った。「そんなことないよ」とつい大きな声が出てしまい、志摩は笑う。 「そう? てか、慌て過ぎだって。……でもよかった、齋藤俺といるときもちょくちょく上の空になるじゃん。だから、気になってたんだけど」 「……ご、ごめん。そんなつもりはなかったんだけど」 「本当に?」 「ほ、本当だよ。……うん」  そう頷き返せば、志摩は微笑んだ。それから、テーブルの上に置いていた俺の掌に自分の手を重ねてくる志摩に息を飲む。 「そっか、なら良かった。もしかしたら齋藤無理してるんじゃないかって心配してたんだ」 「う、……うん、そうだよ」  ぎゅ、と指を絡めるように手を握り締められる。指と指の谷間をすり、と撫でられると流石にこの触れ方はおかしい気がして、思わず志摩を見上げた。  そして、息を飲む。 「じゃあ、俺達もっと仲良くなれそうだね」  そう、嬉しそうに笑顔を浮かべる志摩。  俺はその手を振り払えないまま、曖昧に頷くことで精一杯だった。  ◆ ◆ ◆  志摩は、転校して初めて出来た友達だ。 「齋藤」 「っ、待って、志摩……んんっ」 「待つってなにを? 待ってたらなにかしてくれるの?」  何故、何故。何故――俺は志摩に押し倒されてるのか。  何度考えたところでその答えは出なかった。  ことの発端は放課後、志摩の部屋に遊びに行ったことがなにもかもの原因だった。  ルームメイトが遊びに行ってていないというのは聞いていたけど、それでも、こんなことになるとは思っていなかった。  手を握られ、強張ったその拳にキスをされるとその擽ったさに堪らず息を飲む。 「っ、志摩」 「齋藤って、最近阿賀松と合ってないでしょ?」 「――ッ!」  このタイミングであの男の名前を出されるとは思っていなくて、思わず息を飲む。  そんな俺の反応を見て「当たりだ」と志摩は笑った。 「……そろそろ、皆気付いてるよ。会長さんとあいつの後ろ盾なくなったって」 「そ、れは……」 「齋藤、自分で気付いてる? 齋藤って結構人気なんだよ。抜けてて、見てて危なっかしくて……そういうのが好きなヤバいやつら、結構いるから」  顎の付け根から喉仏、そして鎖骨へと落ちていく志摩の指に背筋が震えた。指だけではない、その言葉の内容にもだ。 「そ、んなこと……っ」 「ないって、どうして言い切れるの? それとも、それも謙遜のつもり?」 「っ、ん、ぅ……や、待って……志摩……ッ」  シャツの上から胸を撫でられ、堪らずその腕を掴むが、無視して志摩はシャツから浮かんだその突起を指先で引っ掻くのだ。  もどかしいだけのはずなのに、そのもどかしさが余計神経を過敏にさせているようだった。 「ん、ひ……っ」 「阿賀松と会長さんがいるときは、あの二人怖がって我慢してた連中だけどね。……最近齋藤があの二人と疎遠になったって聞いて、よからぬこと企んでるやつら結構いるよ」 「っ、な、や、」 「齋藤、押しに弱いでしょ? ほら、ここだって……少し触っただけですぐ反応してるし。俺、心配なんだよね、齋藤のこと」  柔らかく引っ掻かれたと思えば、今度は乳頭に指先を埋め込まれ、そのままくるくると回され背筋が震えた。直接的な刺激ではないが、それでも自分が志摩に性的な意図を持って触れられてるという事実が余計俺を混乱させるのだ。  慌てて足を閉じようとすれば、片方の手で腿を掴まれ、そっと開かされるのだ。 「っ、志摩……」 「ねえ、齋藤。口開けて」 「や……っ、こんなこと……」  友達同士でするのはおかしい。そう言いかけて、志摩に唇を塞がれる。  濡れた舌の感覚にぎょっとし、慌てて志摩の肩を掴んで拒もうとしたときだった。  腿を撫でていた志摩の指先が股間の奥まで進んでいくのが分かってしまい全身が硬直する。 「ん、う……っ」  混乱と戸惑い、それ以上に目の前の志摩がいつの日かの阿賀松とダブって見えてしまい、恐怖で強く拒むことが出来なかった。  反応しかけていたそこを指の腹ですりすりと撫でられ、つい開いてしまった咥内に侵入してくる舌を咥えさせられる。  もっとちゃんと抵抗しないと、そう思うのに。 「っ、ん、む……っ」 「っは、ねえ、齋藤キス好きなの?」 「わ、からない……」  わからない。志摩に嫌われたくない気持ちと、いきなり平穏へと戻されてまるで体と精神が噛み合っていないような――そんな状態だった。  曖昧に答える俺に、志摩は笑った。 「そう。じゃあ、一緒に色々試してみようか」  ◆ ◆ ◆  明確に志摩との関係が変わって数日。  表向き、いつもと変わらない穏やかな日常が続いていた。  志摩の言う通りかどうか分からないが阿賀松たちと関わらなくなったお陰で以前俺を避けていた連中とも普通に接する機会が増え、顔も知らない生徒から告白されることもあった。  今更男同士なのに、なんてことをいうつもりもないが、見知らぬ人間に好意を持たれる度になんで俺なんだろうと疑問を覚える。  それは志摩に対しても同じだった。  そして、この学園で過ごすことでなんとなくではあるが輪郭が見えてきた。 「っ、あ、し、ま……」 「なに?」 「次の授業が……」 「いいよ、そんなの。齋藤も後で俺と一緒に補習受けようよ」  チャイムが鳴り、移動教室のため廊下へと出た矢先のことだった。  志摩に通りかかった空き教室に連れ込まれ、背後から抱きしめられる。  ――あれから、志摩とのああいう関係は続いた。  それは学園だろうが、外に人がいようがお構いなしだ。  阿賀松のときのように痛めつけられるわけではない。寧ろ、回数を重ねれば重ねるほど最初に感じていた戸惑いや動揺にも慣れていき、快感を感じる余裕が生まれてしまうのだ。  ちゅ、と項と耳の裏側に唇を押し付けられるだけであっという間に全身に熱が広がる。  腕の中、拘束されたまま胸を弄られるとぶるりと肩が震えた。 「っ、志摩、そんなことばっか言ってると、また先生に怒られるって……」 「そんなこと言って、齋藤だってその気になってるでしょ」  ほら、とシャツ越しにピンポイントで乳輪から先端までを絞るように摘まれる。  咄嗟に唇を噛み、漏れそうになる声を必死に抑えるが、そのまま執拗に乳首を刺激されると胸の奥から熱が込み上げてくるのだ。 「は、ん……ッ」 「齋藤も好きでしょ? これ」  “これ”と、片方の突起をぐにぐにと痛みを感じない絶妙な力加減で乳首を愛撫しながら、志摩は俺の着ていたブレザーを肩から脱がしていくのだ。  このまま流されては駄目だ。分かっていても、シャツ一枚になった胸を更に大胆に撫でられれば、その指が突起に掠めるだけで全神経にびりっとした刺激が走る。  以前ならばただの違和感だったのに、志摩が執拗に弄ぶせいで今では触れられるだけで違和感は熱になり、胸から全身へと内側から侵食していくほどだった。 「……っ、ん、す、……好きじゃ、な……ッ」 「嘘吐き。こんな勃起させてそれは嘘でしょ。ちゃんと正直に言ってくれないと触ってあげないよ」 「っ、ぁ……ッ、ん……」  いきなり突起から指が離れ、息を飲む。  そのまま志摩は焦らすように、乳首に直接触れないようにと乳輪を撫でるのだ。円を描くように胸の上で滑らされる指に、身悶える。 「齋藤」と耳元で優しく名前を囁かれ、乳首に触れないギリギリの場所を撫でられるだけで全身に汗がじんわりと滲んだ。  志摩の指先から視線を逸らすことができなかった。  いつ触れられるかわからないそのもどかしさに次第に呼吸は浅くなっていく。 「し、志摩……ご、めんなさい……っ」 「ごめんなさいじゃないでしょ。なんだっけ?」 「す……っ、好き……」 「なにが?」と志摩の指がシャツ越しにでも分かるほど浮き上がった乳首に触れ、微弱な快感が走る。呼吸を整え、「む、むね」と喉奥から声を絞り出した。 「む……胸、志摩に……触ってもらうの、好き……」  ぼそぼそと口にするだけで顔から火が吹き出しそうなほど熱くなった。志摩の顔を直視することができず、ぎゅっと目を瞑ったとき、そのまま焦らしに焦らされた両胸の乳首を同時に摘まれる。 「っ、う、んん……ッ」 「……っは、本当に……齋藤って恐ろしいね。それ、俺以外には言わないでよ?」 「い、うわけ……ッ、ん、ぅ……ッ!」 「どうだか。齋藤って流されやすそうだもん。案外、俺じゃなくてもすぐ気持ちよくなりそうだし」  それは志摩も同じではないのか。  思いながら、俺は言葉を飲み込んだ。そして志摩の腕の中、身を委ねる。  思春期の持て余した性欲の捌け口、それに俺は丁度いいのだろう。  志摩の言う通り、強く拒否することもできない。痛みを知ってるからこそ余計、それならばまだ痛くなくて“気持ちいい”ことの方が幾倍もましだと思えるのだ。  阿賀松に一度抱かれてから自分の中の大事なものを失ってしまった今、より一層その思考へ拍車かかってしまっている自覚はあった。  結局、俺も志摩を利用してるのだ。  ◆ ◆ ◆  恋人でもない友人と戯れに身体を重ね、時間を過ごす。  そんな爛れた生活が暫く続いた。 「齋藤君、ちょっと良いかな」  志摩が委員長の仕事があるというので、久しぶりに一人で帰ろうとしたときだった。  校内で見知らぬ上級生に声を掛けられる。  なんで俺の名前を知ってるのだろうか、と思いながら「はい」と答えると、「話があるんだけど……」とそのまま連れられて人気のない通路まで引っ張られる。  あまりいい予感はしないが、なんとなく呼び出された理由もわかっていた。落ち着きのない目の動きだったり、喋り方の端々から滲む声だったり、告白されるときは大体皆そうだった。  けれど。 「……齋藤君って、二年の志摩と付き合ってるの?」 「え?」  なんで志摩の名前が出てくるんだ、と素で驚いた。 「い、いえ……」 「じゃあ、付き合ってる人とかは?」 「いない、ですけど……」 「……へえ」  なんなんだ、この人。  にたにたと笑う目の前の男になんだか嫌なものを感じ、「それじゃあ、俺はこれで失礼します」と早急に切りあげようとしたときだった。 「待ってよ、齋藤君」 「……っ、離して下さい……ッ!」  いきなり手を握られ、背筋が凍り付く。  志摩に手を取られても、指を絡められてもここまで不快になることはなかった。  そんな俺を無視して、上級生は俺の目の前に携帯端末を翳す。  そして、その画面いっぱいに写り込んだ写真を見て息を飲んだ。 「……これ、君とあいつだよね?」  そこに映っていたのは、この前空き教室で志摩に抱かれているときの自分の写真だった。  志摩の顔は影になって見えないが、壁に手を付け、背後から犯されてるのは間違いなく自分だった。 「……ッ、……」 「これ、たまたま通りかかってびっくりしちゃった……齋藤君、大人しそうな顔して学校でこんなことしてるんだもん」 「け、して下さい……ッ」 「……じゃあ、俺にもヤラせてよ」  手を握られ、そのまま指を絡められる。引っ張るように抱き寄せられたと思えば、無遠慮に尻を揉まれて全身が泡立った。 「志摩亮太とは付き合ってないんだろ? なら、いいだろ」 「それともこれ、全校生徒に見られたいか?」と鼻息荒く迫ってくる上級生に、全身から血の気が引いた。  ――だから、あれほど校内でするのは止めようといったのに。  この場にはいない志摩を恨みながら、俺は視線を泳がせる。他に逃げる道があればと思ったが、最善は一つだけだ。  画像一枚で平穏を脅かされるよりもセックスして満足するならそれが早いだろう。  分かりました、と俺は小さく頷いた。  何故、俺は名前も知らない上級生の前で股を開いているのだろうか。  誰も使っていなさそうな空き教室の中。  下を脱ぐように命じられた俺は、そのまま下着すらも奪われ机の上に座らされていた。  シャツの裾を掴んで隠したかったが、それすらも拒まれる。そして、名前も知らない生徒は俺の腿を掴みさらに大きく足を広げさせてくるのだ。 「……っ」 「っ、は、齋藤君……ッ」  尻の穴まで見られて平常心でいられるほど、俺のメンタルは鍛えられていない。  下腹部に鼻息が当たるほどの至近距離、腿を撫でていた男の指が肛門をぐに、と左右に拡げる。体内に流れ込んでくる外気と、男の生暖かい鼻息が吹きかかり不快さのあまり身を攀じる。 「あ、あの……するだけだって……」 「うん、するだけだよ」  じゃあなんでこんなことするんだ、さっさと突っ込んで済ませてくれればいいものを。  先ほどから肝心な部分に触れるどころか、体の隅から隅までをじっくりと見られ、嗅がれることがひたすら耐えられなかった。  だからと言ってさっさとしろ、なんて言って逆上されることも怖くて、結果的に俺はこの男が満足するまで付き合うしかなかったのだ。  自分の股座に知らない人間が顔を突っ込んでいる図なんて見たくもない。肛門付近の盛り上がった肉を揉まれたり、拡げられたそこの指のさっきぽだけ挿入され、浅いところの筋肉を揉み解すようにねちねちと弄られ続ける。 「……ん、ぅ……っ」  直接的な快感とは程遠いもどかしい刺激だったが、それでもじわじわと性感を呼び起こされるような触れ方に出したくもない声が漏れそうになった。  そんな気なんて露ほどもないのに無意識に腰が浮きそうになる。そんな俺に気付いたのか、男は俺の中から指を引き抜いた。  入口の穴を解され、口を開いたそこに一抹の物足りなさを覚えた時だった。男の鼻先が下腹部に当たったと思った次の瞬間、解されたそこにぬるりとしたものが触れた。  それがなんなのかすぐに理解する。  ――舌だ。男のざらついた舌先は肛門をべろりと舐める。そして、逃げそうになる俺の腰を掴んだ男はそのまま迷いなく濡れそぼった肛門へと入り込んでくるのだ。 「ん、ぅ……ッ、ふ……っ」  なんでこの人、そんなところを舐めるのだろうか。理解できない。  唾液を内壁に塗り込むように、じっくりと内壁を舐られる。別の生き物みたいに体内を蠢く濡れた舌から逃れようとすればするほど男の舌の動きは大胆になっていくのだ。 「……っ、ん……」 「……気持ちいい? 齋藤君」 「……は、はい」  そんなわけない。認めたくはないが、そう答えるしかないからそう答えたまでだ。  それなのに何を勘違いしたのだろう、男は嬉しそうに息を飲み、そしてそのまま更にぐりっと鼻先を股間に押し付けるように奥へと舌を挿入させてくるのだ。 「ん、ぅ……ッ!」  指とは違う、肉厚な舌先はもっと奥まで中を舐ってくるのだ。舌とともに流し込まれた唾液が、男が舌を動かす度にぐぢゅぐぢゅと腹の中で不快な音を立てる。  唾液を潤滑油代わりに更に激しく中を舐め回され、溢れそうになる唾液ごと男に啜られ、俺は堪らず男の肩を掴んだ。 「っ、ぅ、く、……ッひ、ぅ……ッ」  ふやけてしまってるのではないかと思うほど長い間中を愛撫されていたような気がする。  射精に繋がるまでもない、微弱な快感を内側からじっくりと味わせられ続けてる内に下腹部の熱は全身へと回っているようだった。  震える指先に力は入らず、抵抗することもままならなかった。そのままくたりと机の上に横たわりそうになったときだった。にゅぷ、と音を立て舌は引き抜かれる。終わったのだろうかと眼球だけを動かして己の下腹部へと視線を向けたとき、舌の代わりに長い指が入り込んできたのだ。 「っ、ん、……ぅ……ッ」  たっぷりと濡らされたお陰で然程挿入時の痛みはなかった。第一関節、第二関節と難なく男の指を飲み込んだ体内はその指を受け入れる準備が整ってしまっていたのだ。  それでも、腹の中の異物感になにも感じないわけではない。呼吸を繰り返し、関節が内壁を引っ掻く度に漏れそうになる声を押し殺す。  静まり返った教室内にくちゅくちゅと中をかき回す音と、二人分の呼吸音が響いた。  早く、早く終わらせてくれ。こんなに丁寧にしなくていい。  しつこいほどの愛撫に耐えきれず、下腹部の奥がじんじんと痺れるようだった。腰がぴくぴくと揺れ、耐えられずに男の腕にしがみつきそうになったときだった。 「っ、く、ぅ……ッ」  腰を掴まれたまま、シャツの下でゆるく勃ち始めていたそこを唇で挟まれる。  性器の裏筋から根本まで絡みついてくる舌に全身が凍り付いた。 「っ、ん、うう……ッ!」 「っ、は、……っん、齋藤君……ッ」 「待、ァ……ッ、あ……ッ!」  裏筋の血管を窄めた舌先でちろちろと舐められるだけで性器の先端から溜まった熱が溢れ出すような感覚が込み上げた。そして垂れる先走りを美味しそうに舐め、そのまま男は睾丸まで垂れる先走りを舐めていくのだ。  その間にも中を掻き回す手は止まらなかった。ぐずぐずになった体内、執拗な愛撫により肥大した前立腺を指の腹でコリコリと揉まれるだけで頭の奥で火花が散る。 「……っ、ふー……ッ、ぅ、……ッ、ぐ……ッ」 「齋藤君、声我慢しなくていいんだよ」 「っ、ぅ、あ゛……ッ!」  違う。こんなの。そう思うのに、愛おしそうに睾丸の薄皮を軽く吸われるだけで恐ろしいほどの刺激になるのだ。机上、体を何度も捩って快感を逃そうとするがとめどなく与えられ続ける刺激に耐えきれず、とうとうそれは体内で爆ぜる。 「ぅ゛、ひ……ッ!!」  頭が、思考が真っ白に点滅する。大きく跳ね上がった上半身。その反動で、いつの間にかに完勃ちになっていた性器がぶるりと揺れた。先端からは白濁が溢れ、腹部を汚す。男はそれを美味そうに啜り、尿道に残った体液ごと一滴残らず舐めとるのだ。 「ッ、ひ、ぐ……ッ」 「い、いっぱい出たね……これなら大丈夫かな」  足を閉じることも忘れ、脱力していた俺の股から顔を離した男はそのまま立つのだ。  限界まで張り詰めた下腹部を緩め、男が性器を取り出すのを俺はただ見ていた。濡れそぼったそこに押し当てられる赤黒く勃起したその性器。その先端がちゅぷ、と小さな音を立て吸い付くように埋め込まれていく。 「ぁ……ッ」 「挿れるよ、齋藤君」  顔を反らし、こく、と小さく頷き返したとき、股の間で男が動くのが分かった。  そしてゆっくりと、壁を割り開くように奥へと進んでくる性器に喉が開いていく。背中へと回される腕に抱き締められるように上体を捉えられ、そのまま腰を押し付けられれば逃れることなど不可能だった。 「っ、ん、ぅ……ッ!」 「はあっ、齋藤君……ッ! 齋藤君……ッ!」 「っ、ぅ、んんっ」  顔を覗き込まれ、思わず首を動かして顔を逸らそうとすれば頬にそのままキスをされる。腿を掴まれ、ゆっくりと性器の形にならすように浅いところから繰り返される抽挿の度に視界が揺れ、思わず口を開きかければそのまま唇を塞がれるのだ。 「……ッ、ふ……」 「ん゛……ッ、ぅう……ッ!」  まるで恋人なにかのように唇に吸いつかれ、舌を絡め取られる。己の精液の味がして嫌なはずなのに、濃厚な匂いが鼻まで抜け頭の中まで侵されるような気分になった。  空いた手でシャツ越しに乳首をこりこりと捏ねられながらも性器で前立腺を押し上げられる。意識が霧散し、頭の中がぼうっと熱くなってはなにも考えられなくなっていくのだ。  結構、やばいのかもしれない。  男の先走りと唾液が腹の中で混ざり合い、粘着質な泡を立てながらも先程よりも長くなるストロークについ喘ぎそうになってしまう。 「っ、ん、ぅ……ッ、んんぅ……ッ!」  これは平和な学園生活のためだ。そう自分に言い聞かせながら、俺は男に飲まされる唾液を喉の奥へと落とした。  腿を掴まれ、根本まで挿入される性器とその熱、鼓動に視界が白く染まっていく。奥まで挿入されたと思いきや、そのまま奥をぱちゅぱちゅと重点的に亀頭で突き上げられる。 「っふ、……ッ、ぅ、う……ッ!」  恋人のように舌を絡め、胸を揉まれながらも奥を執拗に亀頭で嬲られれば、既に過敏になっていた体は呆気なく絶頂を迎えてしまうのだ。  先程よりも少量の精液が飛び散り、全身が硬直する。その反動の締め付けに男は小さく喘ぎ、そして興奮した様子で更に腰を打ち付けるのだ。  どくどくと体内で脈打つ鼓動の間隔は確実に短くなっていた。男の射精が近いのだろう、早く終わらせてくれ。そんなことを思いながら俺はピストンを止めようとしない男の腕に堪らずしがみついた。 「はぁ……っ、ん、齋藤君……気持ちいいよ、君の中……ッ」 「ぁ……ッ! ひ、う……ッ」 「中がうねって、もう……っ、齋藤君……っ、齋藤君、中に出していい……ッ?」 「や、待……――ッ!」  待ってください、という言葉は続かなかった。  隙間ないくらい密着した結合部、そこから男の鼓動が流れ込んでくる。  次の瞬間、ドクンと大きく鼓動が響くとともに体の奥に放出される大量の熱に溺れそうになった。 「う、ぁ゛……ッ!」  逃げることも許されないまま、たっぷりと直接奥に注ぎ込まれる精液に耐えられずに俺は何度目かの絶頂を迎えた。  長い射精の中、物理的に満たされていく腹の中に息をするのも苦しくなる。 「齋藤君……」  そしてその男が性器を抜いた瞬間、栓を失った開ききった肛門からはまだ熱を孕んだ精液がごぷりと溢れるのだ。  足を開いたまま閉じるどころか、起き上がる気力もなく机の上に倒れ込む俺を見つめていたその男だったが、不意に空き教室の外で聞こえてきた足音に気付いたようだ。  男は驚いた様子で慌てて自分の制服だけ整えるなりそのまま空き教室を出ていくのだ。  ほんの一瞬、外の通路で足音が止まったような気がした。  俺も、そろそろ動かなければならない。  窓の外はすっかり暗くなっており、殆どの生徒も帰宅しているはずだ。そんなこともぼんやり考えるが、思いの外体力を消耗してしまったようだ。机の上からずるりと落ちた俺は、そのまま床に座り込んだ。  ――立てない。  閉じることもできない下腹部からどろりと精液が床に落ちていくのを感じながら、俺はこのあとの処理のことを考えて酷くうんざりとした気分になった。  そんなときだ。  いきなり空き教室の扉が開き、しまった、とぼんやりとした頭ながらに思ったとき。  振り返ったその先にいた人物を見て、俺は最悪だ、と思わず口の中で呟いた。 「……何やってんだ、お前」  どうやら校内の見回り点検を行っていたようだ。  できることならば、こんなところ見られたくなかった。  けれど逃げも隠れもする体力もなければ、弁明の余地すらなかった。 「か、こい……」 「……」 「あ、……その……」  なにを言ったところで誤魔化せる言葉は見つからない。  さあっと血が引いていく音がした。そんな中、栫井はこちらへと向かってくる。一歩、また一歩と靴音が響いた。  そして。 「っ、あ……」 「立てよ」 「え……」 「まさかこのままその格好でいるつもりか?」  腕を掴まれ、立ち上がらせられる。瞬間、開いた肛門から腹部に溜まっていた精液がどろりと溢れ出した。それを無視して下着を履かされそうになり、汚れる下着の中に背筋が震えた。 「っ、ま、待って……栫井……っ」 「……なんだよ」 「ちゃんも帰るから、じ、自分で……」 「お前にやらせたらあと何時間かかんだよ」 「っ、ん、う……っ」  熱が失せた精液の感触はただただ不愉快だった。  まるで粗相したようなひやりとした嫌な感覚に震えていると、栫井はそんなことも構わず落ちてた制服を放り投げてきた。 「それくらいは自分で着ろ」 「……」  結局そうなるのか、という言葉は飲み込んでおく。  俺は栫井に視線で急かされるがまま、乱れた制服を着直した。  それからすぐに栫井に連行されるような形で空き教室から連れ出されたとき、足元がぐらついた。  転倒とは違う、意識ごと遠退いていくような感覚には覚えがあった。  やばい、と思ったときには遅く、やや間を置いて振り返る栫井を最後に意識は途切れる。  ◆ ◆ ◆ 「ん、う……」  全身の気怠さを感じながら、ゆっくりと目を開けばそこには見慣れない天井が映し出される。  ここはどこだろうか。  まだぼんやりとした頭の中、ゆっくりと視線を動かした俺はそこにいた人物を見てぎょっとした。 「……お前、寝すぎ」 「っ、栫井……ッ! どうしてここに……」 「ここ俺の部屋」 「え……」 「軽い貧血だとよ。……お陰で余計な時間食ったんだけど」  もしかして、保健室にまで連れて行ってくれたのか。生徒会の中でも最も関わりたくなかった相手にまさかこんな面倒を掛けてしまうなんて。  あんなところを見られてしまった上、自分の不甲斐なさのあまり栫井の顔をまともに見ることができなかった。 「保健室も閉めるからっていうから、仕方なく運んだ。……お前の部屋知らねえし」 「ご、ごめん。……運んでくれてありが……」  とう、と言いながら起き上がろうとしてそのまま固まった。自分の身体に目を向け、自分の姿を理解した瞬間顔面に熱が集まる。  ――なんで俺、服を着てないんだ。 「……っ、ぁ、あの、ふ、服……」 「汚かったから脱がした」 「、え」 「……あと汚えままベッド使わせたくなかったから、洗った」  どこを、とは言わなかったが栫井の言葉にますます顔をあげることができず、俺はシーツを被ったまま固まった。が、それも長くは保たなかった。  ベッドが小さく軋んだと思った次の瞬間、シーツごと剥ぎ取られる。あっと顔を上げれば、そこには栫井の顔があった。  その近さに息を飲んだ。 「か、栫井……」 「さっき教室で逃げたやつ、お前のなに?」  一瞬なんのことを言ってるかわからなかったが、『教室』という単語に先程の名前も知らない先輩のことを思い出した。 「わ、分からない……知らない先輩だった」 「……お前、名前も知らないやつとヤッてんの」 「それは、その……」  そういうことになるのか。  否定することのできない現状に何も言えなくなってしまう俺に、栫井はぽつりと「噂通りだな」と吐き捨てる。  ……噂? なんのことだろうか、と聞き返そうとした矢先のことだった。  伸びてきた手に肩を掴まれ、そのままベッドへと押し倒される。 「か、栫井……?」 「――お前の股が緩いって噂」  被っていたシーツごと剥ぎ取られ、隠していた身体を照明の下晒すような体勢に血の気が引いた。  ろくな噂ではないと薄々分かっていたショックと、栫井に押し倒されてる動揺、その他諸々が一斉にやってきてどうにかなりそうになった。 「っ、栫井……ッ、ま、待って」 「……お前、まじでそればっかだな」 「っ、待っ、ん、う……ッ!」  首全体を覆うように栫井の掌で掴まれる。首を締められるのかと緊張したとき、そのまま近付いてきた栫井の唇に塞がれた。 「っ、ん、んん……ッ!」 「……っ、なに、口閉じてんだよ」  開けろ、と命じるように指で唇をこじ開けられる。なんでこんなことになってるのかわからなかったが、それでも力の入らない身体ではろくに抵抗すらできなかった。  言われた通りに口を開けば、栫井の舌が咥内に入ってくる。 「っ、ふ、ぅ……ッ」  後頭部、後ろ髪に指を絡めるように押さえつけられ、長い舌に上顎から喉の奥まで舐められ頭の奥がぼうっと熱くなってきた。  先程までの行為の熱が蘇り、恐怖心よりも煽り立てられる興奮に眼球の奥の方から熱が滲む。 「ん、んんっ、……ふー……ッ、ぅ……」 「……っ、は、お前が楽しくセックスしてる間、お前のせいで仕事が増えてんだよ」 「っ、う、ん、……っ、ご、めん……なさ……ッ」 「責任取れよ」 「――、っ!」  乳輪ごと乳首を摘まれ、思わず背筋が震えた。痛みに驚いて仰け反ったとき、栫井に腰を掴まれた。ベッドの上、股を開くような体勢のまま太腿に当たる感触に息を飲む。  制服越し、硬くなってる栫井のものを見てしまってぶるりと腰に痺れが走った。 「溜まってるんだよ、こっちは」 「っ、……た、まって……」 「お前が勝手にヤリまくってるお陰で、こっちは抜く暇もねえって話」 「……っ、そんな……ッ、ぁ……ッ」  逃げ腰になっていた下腹部を掴み、抱き寄せられる。そのまま腹部から臍へとゆっくりと撫でられただけで先程まで異物を挿入されていたそこがぎゅっと反応してしまうのだ。 「……回数が一回や二回増えても関係ねえだろ」  俺だって好きでしているわけではない。あの行為は自己防衛のためだった。……だったはずなのに。  臍を割り拡げ、ぐるりと周囲を撫でる栫井の指先から目が離せなくなる。  逆らわない方がいい。栫井とは仲良くなった方がいい。これは、平穏な学園生活のためだ。  そう口の中で何度も繰り返す。 「自分で股開けよ」  そんな俺の頭の中、呪詛のように染み渡る栫井の声に逆らうことなんてできるわけなかったのだ。  こくりと頷き返し、俺は口の中に滲む唾液を飲み込む。そしてゆっくりと震える手で自分の腿へと手を伸ばしたのだ。  ◆ ◆ ◆  軋むベッドの上。潤滑剤でケツの穴を濡らされ、長い二本の指でケツの奥まで解されていく。 「っ、ん、ぅ……ッんん……ッ!」  これからここに挿入するというかのように執拗なまでに指で奥の奥まで咥えさせられ、既に柔らかくなったそこ愛撫されるのだ。  まだ準備段階だと分かっていても、前立腺を指の腹で撫でられるだけで腰が震える。 「っ、は、ぁ……ッ」  もういい、早く楽にさせてほしい。そんなこと口が裂けても言えない。  思わず自分から腰を動かし、栫井の腕にそっと触れようとしたときだった。顎を掴まれ、そのまま口を塞がれる。 「ッ、ん、ぅ……ッ! っは、」 「……っ、堪え性もねえのな、お前」 「っ、ご、め……ッ、む、ぅ……ッ!」  喋ろうと口を開けば、更に奥まで舌を絡め取られる。覆い被さる栫井に、キスされながら前立腺を指の腹で転がされる。文字通り息をできない。  思わず腕の中藻掻けば逃さまいと更に身体を抑えつけられ、快感のあまりに更に凝るそこを刺激されるのだ。 「ん、っ、う゛……ッ!」 「……っ、は……なに逃げてんだよ」 「う、あ……ッ! っ、まっ、ぁ……ッ! ひ、ッ!」  体温で溶けた潤滑剤は栫井の指に絡み、更に滑りを良くするのだ。乱暴にされると痛いはずなのに、潤滑剤の助けもあってその刺激までもが気持ちよく感じてしまい背筋が震えた。  既に勃起した性器が腰の痙攣で震え、先っぽからとろりと先走りが腹部へと垂れていく。 「っ、ふ、ぅ……ッ! ん、んんっ!」 「……は、慣らす必要ねえな。これなら」  片方の手で亀頭を弾かれ、堪らず声が漏れる。快感が増す度にずんと重くなっていく下腹部に腰が震え、無意識に力がこもった。 「汚えな、漏らしすぎだろ」 「っ、も、もう止め……ッ、ひ、いッ!」  我慢などできなかった。中を掻き回され、執拗に前立腺を揉まれれば呆気なく射精する。  勢いよく飛び散る精子を腹の上に伸ばし、栫井はそのまま指を引き抜いた。  脱力し、そのままベッドに倒れ込んだとき。栫井がベルトを緩めるのが見えた。  まさかこのまませるのか。 「待っ、栫井……ッ!」  少し休ませてくれ、と片腿を浸かんでそのまま持ち上げてくる栫井に懇願しようとすれば「うるせえ」と一蹴される。そして、柔らかくなり皺が伸び切ったそこからとろりと体温に溶けた潤滑剤が溢れ出した。  そこに押し付けられる感触と重量、熱にひくりと喉が鳴る。 「っ、は、ぁ……っゆ、ゆっくり……っ」 「さっきからごちゃごちゃうるせえな、今更ぶってんじゃねえよ……ッ」 「んぉ゛、ぐ……――ッ!」  膝裏を掴まれ、そのまま持ち上げられた腰。柔らかくなった肛門に宛てがわれた亀頭はそのまま体重をかけられ沈んでいくのだ。  あまりの衝撃と熱、内側から硬く勃起した性器で拡げられていく感触に耐えきれず、俺は目の前の栫井にしがみつく。 「ッ、い、ぎなり……ッ、待っ、ッふ、ぅ、ぐ……ッ!」 「は……ッ、ゆる、もっとちゃんと締め付けろよ」 「ッ、ぅ゛ひ……ッ!」  そのまま更に体重をかけるように奥の奥まで圧迫されれば、下腹部から爪先にまで力が入る。受け入れることだけが精一杯な状況、これ以上動かないでくれと目で訴えかけるが、ちゃんと伝わったかは定かではない。  それどころか、逃げようとしたところを腰を掴まれ更に一気に奥まで挿入される。 「ぉ゛……ッ、――ッ!!」  肉の潰れるような音とともに、耐え難い感覚に思考からなにまでぶっ飛びそうになった。  そのまま短いストロークで抽挿を繰り返される度に視界は白く点滅する。軋むベッドの上、一方的に与えられる快感に内股の痙攣が収まらなかった。 「……ッ、今度は締めすぎだ、力抜けよ」 「ッぉ゛、む゛ッ、ひ、ッ、……ッ、抜いッ、ぎ……ッ!」 「なんて言ってるかわかんねえよ」 「ッ、ふぅ゛う゛……ッ!!」  下腹部を抑え込むように異物を飲み込んだ腹を掌で抑えつけられれば、より鮮明になる栫井の性器の感覚に震えた。血管の筋、そこに流れる血液の音までも聞こえるほどだ。 「っど、まっ、ぁ゛ッ、も……ッ、息が、……ッ!」 「は……っ、うるせえなあ……」  腰を打ち付けながらも苛ついたように舌打ちをする栫井。そして次の瞬間、思いっきり腿を掴まれ、ベッドの上に転がされる。  繋がったままの大勢で、そのまま栫井の腕に閉じ込められたとき、更に深く下から突き上げてくる性器に堪らず喘いだ。 「名前も知らねえやつと寝てるやつが偉そうな口利いてんじゃねえよ」 「ッは、ぁ゛……ぅ、ッ、うぅ゛」 「聞こえてんのか?」 「ぁ゛、ぐッ!」  寝ながらの状態で背面から突き上げられる。先程以上に隙間なく詰まった性器が中で擦れるたびに声が溢れ、逃げようとすれば俺の首に腕をかけた栫井はそのまま更に腰を深くねじ込んでくるのだ。 「ぁ、あ゛ー……ッ、う゛、ひ……ッ」 「汚え声」 「ご、め゛……ッ、な゛さ、ぁ゛……ッ! ひ、ぅ゛……ッ!」  シーツを手繰り寄せ、しがみつこうとするが耐えられなかった。どくどくと流れ込む鼓動に、熱。亀頭で奥をこじ開けられて最奥の突き当りまで執拗に押し上げられるだけで背筋はびくりと伸び、喉の奥からは自分のものと思えない酷い声が出てくるのだ。  そんな俺に萎えるどころか更に興奮した様子で栫井は俺を羽交い締めにし、奥まで犯した。  腹の奥に注がれる精液、結合部から溢れる白濁も無視して、栫井は更に腰を動かすのだ。 「ふ、ぅ゛う゛……ッ!! な、な、ッ、んで、まだ……ッ」 「……言っただろ、溜まってんだって」 「ッ、ぅ゛あ゛ッ、ぁ゛……ッ!」  じゅぶ、ぐじゅ、と腹の中で精液が掻き混ぜられ、先程までの激しいピストンとは違いそれらを肉壁に塗り込むようにねっとりと腰を動かされればそれだけで逃げることできなくなるのだ。  熱を蓄えたまま、濡れた音を立てる腹部を掌で柔らかく撫でられれば圧迫感のあまりに青ざめる。ほして、そんな俺を見て栫井は微笑むのだ。 「……約束通り、玉ん中空になるまで付き合えよ、齋藤」  耳朶を甘く噛まれ、息を吹きかけられる。そのまま下腹部を抑え込まれ、根本まで隙間なく挿入された状態で腰を撫でられるとびくりと全身が震えた。  はい、と答えることもできないまま、朦朧とした意識の中栫井に付き合わされることとなった。  ◆ ◆ ◆  非日常も続けば日常にはなるようだ。  阿賀松から捨てられてどれほど経っただろうか、俺は志摩と過ごすようになり、表向き平穏な生活を送ることになっていた。 「齋藤、俺といるとき携帯触んないでって言ってるでしょ」 「あ、ごめ……っ、ん……」  言い終わるよりも前に、志摩に唇を塞がれる。それに答えるように俺は口を開き、舌を招き入れるのだ。  いつものように志摩の部屋に行き、志摩に抱かれるような生活を繰り返していた。おかげで他の名前の知らない人たちに絡まれることは少なくなったが、志摩は一度始めると長いので少し億劫ではあった。  けれど、気持ちよくなれるのならまだましだろう。  身体を触れられればあっという間に性感のスイッチを切り替えられるのだ。  キスから始まって、触れ合って……今ではいつもの流れではあったが、大分性行為自体の抵抗は薄れているのは自分でもわかった。 「っ、志摩……」 「っ、は、珍し……どこで覚えたの? それ」 「……え?」 「舌、前だったらずっと奥で縮こまってたのに」 「ん、む……っ」  どうやら俺が積極的にキスに応えたのが引っかかったらしい。舌の根ごと絡め取られ、ぢゅぷ、と音を立てて先っぽを吸われる。ぞくりと背筋が震え、膝から力が抜け落ちそうになったところを志摩に抱き止められるのだ。そして、そのままベッドに寝かされる。 「っ、志摩……電気、消して……」 「はいはい。俺は齋藤の顔見れた方が興奮するんだけどね」 「は、恥ずかしいから……」  そう口にすれば、志摩は「分かったよ」と笑って照明を薄暗くする。 「これでいいんでしょ」 「……うん、ありがとう」  付き合うというのが未だに理解できないが、性欲を発散したい志摩となるべく波風を立てたくない俺の利害は一致している以上この関係が一番丁度良かった。とはいえど、やることといえばデートではなく“これ”くらいだ。  恋人というよりもこれは世間一般的に言うセフレが近いのではないか。なんて思いながらも俺は志摩の性器を咥えるのだ。この味にも最近抵抗がなくなってきた、それどころか匂いや先走りで濡れた肉質感を見ると腹の奥にあるものを擽られるような、そんな気持ちになるのだ。  慣れは大事だ。――順応性も。  志摩が満足するまで付き合ってる間にあっという間に夜も更けていた。  志摩がシャワーを浴びてる間、その水音を聞きながら俺は携帯端末を開いた。そして、栫井からのメッセージが入っていることに気付いた。  内容は今から栫井の部屋に来いということだった。俺は『わかった』とだけ答える。  そんなことしてる内にシャワーを浴びた志摩が戻ってきた。 「なにしてたの?」  ――これも、平穏のためだ。  後ろから抱き着いてくる志摩に頬を寄せながら、「ううん、なんでもないよ」と志摩に笑いかけた。  おしまい

【総集編版】阿賀松に捨てられたビッチ齋藤ルート※【↑500/18,000文字/志摩×齋藤/モブ×齋藤/栫井×齋藤】

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