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田原摩耶
田原摩耶

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【総集編版】誰のもの※【↑100/19,500文字/阿賀松+阿佐美×齋藤/3P】

 ここ最近不思議なことがある。妙に阿賀松が優しいのだ。いや……優しいというか、何もないというか。  本来ならば当たり前なのだろうがあの男にとって何もないということ自体が異様にすら思えた。  とまあ、そんな感じで珍しく平和な日々が続いていた。  他に変わったことと言えば、相変わらず阿佐美は部屋を空けている。ちゃんと帰ってきているには違いないようだが、それでも顔を合わせない日が続いていた。寂しくない、わけがない。寧ろどこで何をしてるのか気になったが流石に授業もある中一晩中起きているわけにもいかない。  ……そろそろ眠るか。少しだけ阿佐美を待ってみたがやはり睡魔には抗えることができなかった。アクビを噛み締め、テレビを消した俺はそのままベッドまで移動する。そして布団を被ろうとしたとき、玄関口で音がした。  阿佐美が帰ってきたのだろうか。そう体を起こし、開いた扉に顔を向けたとき。扉を潜るようにして入ってきたその長身の影に息を飲んだ。  目の醒めるような真っ赤な髪、そして――。 「よぉ。……なんだ? もうおねんねか。早すぎねえか?」  ガキかよ、と笑う阿賀松伊織に俺は頭の中が真っ白になる。  夢か幻覚か。頬を抓るが、夢ではない。お構いなしにベッドに腰を掛けてくる阿賀松に、完全逃げ遅れた俺は改めて現状を再確認し、青褪めた。 「あ、あの……詩織なら部屋にはいないです……けど……っ」 「ああ、知ってる。お前に会いに来てやったんだよ、ユウキ君」 「お、れに……っ?」  ――ああ、嫌な予感。 「ああ、お前に」と、静かに続ける阿賀松。ベッドの上、二人きりの部屋の中。完全に見失った逃げ場とタイミング。 「っ、先輩……ッ」  伸びてきた手に殴られるのかと咄嗟に顔を覆うが、痛みが来ることはない。それどころか。前髪を掻き上げるように額を撫でられる。  顔を見られてる。こちらを覗き込む阿賀松の視線が痛くて後退るように身じろぎすれば、伸びてきた腕に腰を掴まれる。そして半ば強引に抱き寄せられるのだ。 「何逃げてんだ? ……わざわざテメェの彼氏が会いに来てやったんだろうが、寧ろ持て成せよ」  ……彼氏って、まさかと思うが自分のことを言ってるのか。馴染みない単語に違和感を覚えるが、そんなことを言われても俺には元よりそんなスキルはない。……それに、持て成すって……。 「っ、待っ、ぁ……ッせ、んぱい……」  寝巻き代わりのスウェットの下、滑り込む掌に腰から脇腹を撫で上げられ堪らず声が震える。  やっぱりそれ目的じゃないか。そんなことだろうと薄々感じていた、この男が俺に会いに来るなんてサンドバッグか『これ目的』なのだから。わかっていたはずだけど。 「んぅ……ッ!」当たり前のように唇を重ねられる。噛み付くように口を抉じ開けられ、舌を吸い出されるのだ。あっと言う間に熱を持ち始める咥内、舌と唇のピアスが掠める度に頭の芯がずくりと蕩けるようだった。 「ん、ぅ……ッん……っ」  顎を固定され、喉奥まで挿入される肉厚な舌に口を閉じることすら許されなかった。顎を掴まれ、更に深いところまで嬲られる。 「っ……ふ……ッ」 「もっと口開け。……舌、お前から絡めろよ」  後頭部を撫でられ、至近距離で囁かれればそれだけで頭の中がいっぱいいっぱいだった。  言われた通りに「ん」と舌を突き出せば、阿賀松に噛み付かれる。そして口の中触れるその舌に言われるがまま俺は見様見真似で舌を絡めた。  こんなことするのはおかしいと頭で理解していたが、逆らって酷い目に合わされるよりかはましだ。そう、やり場の失った手で自分の服を掴む。目を細めた阿賀松は笑ってるのだろうか、満足そうに更に深く舌を絡めるのだ。 「っ、ん、ぅ……ッ、ん、……」  頭の中がぼんやりとしてくる。片手で服を脱がされそうになり、抵抗することも忘れていた俺は覆い被さってくる阿賀松の体重を受け止めきれずにそのままベッドへと押し倒されるのだ。 「っ、せ、んぱい……っ」 「いい顔だな、ユウキ君。……そんなに久し振りのキスは気持ちよかったか?」  濡れた唇を舐められ背筋が震えた。少しでも離れた唇がもの寂しい、なんて思いたくなかった。そのまま、すり、と頬を手の甲で撫でられる。機嫌がいい阿賀松には逆らうべからずだ。そう、拒むことを止め、近付いてくる阿賀松を受け入れようとした矢先だった。  バタバタバタ!と廊下の外が酷く騒がしくなる。そして。 「あっちゃん!!」  血相を変えた阿佐美が部屋に飛び込んできた。今まさに及ぼうとしていたタイミングに帰宅する阿佐美に青褪める暇もなかった。 「し、お……ッ」 「おお、遅えぞ。詩織ちゃん」 「な、にやって……」 「見てわかんねえのか、なあ、ユウキ君? お前の口から教えてやれよ、あいつに」  閉じることを忘れていた太腿を撫で上げられ、ふるりと体が震えた。ただの触れ合いとは違う、明らかな意思を含めたその触れ方に体がじんと熱くなる。阿佐美の目の前だ、必死に声を殺そうとしたとき。 「あっちゃん」と阿佐美は静かに、それでも怒ったように阿賀松を止める。 「あっちゃん、俺の部屋でそういうことしないでって何度も言ってるよね」 「何度もなぁ? そんなに気になるんだったらならお前も混ざればいいだろ?」  え、と息を飲む。何を言っているのか、この男は。前々からろくでもない思考回路をしているとわかっていたが今日は余計拍車掛かっているように思える。 「お前が嫌なのはテメェの部屋がヤリ部屋にされることじゃなくて、こいつが抱かれてんのを黙ってみてるしかできねえことが、だろ。なら一度混ざったら同じだ」  何を言っているのかまるで理解できない。固まる俺の横、阿佐美がわなわなと震えていることに気付いた。そして。 「ま、ざるわけないだろ……ッ!」 「うお、お前んなでけー声も出せんのかよ」  怒った阿佐美に阿賀松は楽しげに笑う。 「……はいはい、仕方ねえな」 「ユウキ君、また明日な」と乱された前髪の下、俺の額にキスを落とした阿賀松はそれだけを言ってそのままベッドから立ち上がる。まさか本当に変えるのか。部屋から出ていく阿賀松を見送っていたときだ。 「……っ、ゆうき君……」  名前を呼ばれ、はっとする。そうだ、俺、とんでもないところ見られたんだった。 「っ、し、詩織……っ俺……」 「ゆうき君、ごめん……っ」  変なところを見せてしまってごめんなさい、とこちらから謝ろうとしたときだった。頭を下げる阿佐美にぎょっとする。 「俺がもっと早く戻ってきてたたら……っ、本当にごめん、一人にさせて……」 「い、いや……詩織のせいじゃないよ……というか、あの、ありがとう……」  寧ろこちらから言われるがまま舌を絡めてた、なんて言えるはずがない。心配してくれる阿佐美に申し訳なくてまともにその顔を見ることができなくなる俺に、阿佐美は不安そうに俺を見た。 「ゆうき君……でも……」 「あっ、あの……けど、大丈夫なの?阿賀松先輩にあんなこと言って……」 「……大丈夫だよ」  そう、俺の前髪を直してくれる阿佐美。擽ったさに思わず目を閉じれば、その指は動きを止める。そして、「ゆうき君」と息を吐くように名前を呼ぶのだ。 「……ごめんね、俺のせいだ」 「えっ?」 「……俺、お風呂入ってくる」 「し、詩織……っ」  呼び止めるよりも先に浴室へと向かう阿佐美。  ぱたんと扉が閉まる。一人取り残された俺は中途半端に火照った体の熱を持て余していた。それを誤魔化すように俺は布団を被った。  せっかく寝れそうだったのに……全部あの男のせいだ。一人布団の中で悶々と頭を抱えながら俺は必死に自分の体を落ち着かせることに専念する。  ――翌日。  いつの間にかに眠っていたようだ。窓の外から聞こえてくる小鳥の鳴き声。  起き上がろうとして、体を抱き締めるようにがっちりと回された腕に気付く。……びくともしない。 「……ん、ぅ……」  阿佐美だろうか。……こんなことするのは阿佐美しかいない。  背中から感じる体温にこそばゆさを感じながら、俺は寝ぼけ眼のままその腕を外そうと掴む。 「し、おり……?」  そろそろ離してくれ、と腕をやんわり掴むが離れない。それどころかシーツの中、大きな掌に腿を撫でれ息を飲んだ。 「っ、……ぅ、ん……っ」  なんか、変だ。阿佐美も寝ぼけているのか、徐々に付け根へと上がってくるその掌に違和感を覚え、咄嗟に振り返って止めようとしたときだった。片方の掌が俺の顎を掴む。そのまま顔を上げさせられ、ぎょっとした。 「っ、な、……んぅ……っ?!」  カーテンの締め切られた薄暗い部屋の中、当たり前のように唇を重ねてくるその男に逃げる術もなかった。やつの無駄に鍛えられた硬く長い足に体を閉じ込められれば離れることもできない。長い前髪が目元に掠める。 「っ、ん、ぅッ……っふー、ッ、むぅ……ッ」  阿佐美がこんなことするはずない。ぬるりとした舌、その中央に埋め込まれたピアスが唇に触れた瞬間昨夜の出来事が蘇る。 「……な、んれ……っ」 「ハハッ、ひでえ顔。詩織ちゃんじゃなくて残念だったか?」  笑う阿賀松に血の気が引く。なんでこの男が、阿佐美は。混乱する頭の中、阿賀松はそんな俺を無視してちゅう、と唇を甘く吸うのだ。それだけで否応なしに体は反応してしまう。 「っ、ん、ぅ……ッ!」  もし隣のベッドに阿佐美が寝ていたら。そう思うと血の気が引いた。  起き抜け、まだ覚醒しきっていない体には思うように力が入らない。やめてくれ、と阿賀松の胸を押し返そうとするが腕ごと掴まれ、更に深く唇を重ねられれば声すら上げることができなかった。 「……ッ、ん゛……ッ、ぅ、……っや……ッ、は、んむ……ッ!」  太く長い舌が入ってくる。咥内の粘膜をしゃぶり尽くされる。舌ごと引きずりだすように吸われれば、それだけで頭の中が真っ白になって口の中の舌に意識すらも掻き乱されるのだ。 「っ、は、ふ……ッ」  ぢゅる、と唾液を舐め取った阿賀松はそこで俺から唇を離す。口を閉じることを忘れ、暫く呆けていた俺の唇を親指で撫で、やつは笑った。 「なるほどなぁ? ……通りで俺が来んの嫌がるわけだ」 「……え……」 「詩織ちゃんとこんなことしてんのか? ……毎朝」  どくり、と心臓が脈打つ。阿賀松の『こんなこと』という言葉が何を指し示しているのかすぐにわかった。わかっただけに余計困惑する。 「ち、が……ぁ……っ?!」  違います、と言い掛けて下着の中に入ってくるその手に息を飲んだ。今のキスだけで反応し始めていたそこを問答無用で握られ、ぶるりと腰が震えた。 「っ、せ、んぱ……ッ! ……っ、待って、ください……ッ!」 「なんだ? ……期待してんのか? まあ昨日ちゃんと構ってやれなかったもんなぁ? あいつのせいで」 「俺も、お前のこと犯したくてさぁ……あのあと他の奴抱いても全然収まんねえんだわ」一緒だな、と耳元で笑う阿賀松にカッと血が集まる。  腰にずり、と押し付けられる硬く、質量のあるそれに堪らず腰を引こうとするが腕が邪魔で身動きが取れない。 「なあ、続きしようぜ。詩織ちゃんなら暫く帰ってこねえからさ、ゆっくりできんだろ?」 「……なあ、ユウキ君」耳の裏側を舐められ吹き掛けられる熱い吐息に背筋が震える。  拒否権など最初から用意されていないというのにこうして俺の名前を呼ぶのは嫌がらせのつもりなのか。  問答無用、スウェットのゴムを引っ張るようにして滑り込んできた指に思いっきり臀部を揉まれる。ゴツゴツと骨張った指先が谷間に食い込み、咄嗟に腰を浮かせて逃げようとするが、抱き竦めるように腰に回された阿賀松の腕は硬く、ちょっとやそっとでは外れそうにない。 「っ、まっ、先輩……ッ」  待ってください、と言うよりも先に、谷間に這わされたその無骨な指先に肛門を撫でられる。何を、なんて言われなくても体がすぐに察知する。  窄まったそこを執拗に撫でられ、そのままぬぷりと埋め込まれる指にぎょっとして堪らず阿賀松の腕にしがみついた。 「……なんだ、閉じてんな。最近ここ使ってねえのか? 処女みてえになってんじゃねえか」 「っ、ぁ、……ッ、や……めて、くださ……ッ」 「呂律が回ってねえな。なんて言ってるか聞こえねえ。俺が目ぇ覚まさせてやるよ」  どこから取り出したのか、そう阿賀松の手に握られてるボトルを見て血の気が引いた。  というかなんでこの部屋にそんなものがあるのか考えたくはない。大方この男が勝手に持ち込んだところなのだろうが、今ここでそれを取り出すということは。 「ッ、ひ……っ!」 「っ、ほら……じっとしてろよ。それとも痛いのがお好みか?」  ベッドの上、下着ごと剥かれ、うつ伏せに頭を押し付けられる。自分がどんなことになってるのか考えたくもない。……痛いのなんて、以ての外だ。  ふるふると首を横に振れば、背後で阿賀松が笑う気配がした。そしてすぐ、剥き出しになった下腹部に伸びてきた手に肛門を拡げられる。そして、そこに直接注ぎ込むかのようにどろりとした常温の液体を垂らされる。 「っふ、ぅ……っ!」 「なら、よぉく慣らさねえとな」 「っ! ぁ、や……っ!」  溢れるそれを指で絡め、阿賀松は楽しげに人の肛門に指を挿入するのだ。粘ついた音がやけに煩く、耳を塞ぎたくても体内に響くその音は増すばかりだ。わざと中を掻き混ぜるようにぐるりと内壁を撫で上げられたと思えばそのまま更に執拗にローションを塗り込まれる。  硬い指先が触れるだけで腰が震え、指から逃げようとするががっちりと固定された腕は離れない。 「っぅ、あ……ッ」 「詩織ちゃんに慣らしてもらっとけよ。いちいち解さねえといけねえだろ、なあ?」 「っ、し、おりは……そんなんじゃ……ッ!」 「あ? 何? ……なんて言ってっか聞こえねえな」  ぬぷ、ぬぽと腹の中で響く下品な音は更に激しさを増す。痛みがない分余計どうにかなりそうだった。かき回されるごとに中に溜まったローションが溢れ、余計俺の下腹部を濡らす。  気持ちいいわけがない、こんなの。  そう思いたいのに、長い指は的確に俺の弱いところを集中して刺激してくるのだ。  くの字に曲がった指の腹で前立腺を撫でられれば、じんと性器が熱くなる。まずい、と逃げようとするが、やつはそれを見逃さなかった。 「っひ、ィ……ッ! ぅ゛ッ、んんぅ……ッ!」 「ああ、そうだったな。……ユウキ君はここ撫でられんのが好きだもんなぁ?」  三本目の指が捩じ込まれ、強弱つけて愛撫されればそれだけでどうにかなりそうだった。びくびくと震える腹を撫でられ、吹き込まれる吐息に汗が滲む。恥ずかしくて顔を上げることもできなかった。勃起した自分のものを服の裾で隠すので精一杯だったが、恐らくそれも阿賀松からは丸見えなのだろう。 「っ待っ、ぁ……ッ! や、め……っ!」 「何がやめろだよ、腰浮かせて何言ってんだ?」 「く、ぅ……ッ!」  腹の内側から指で嬲られ、あっという間に限界近くまで責め立てられる。頭の中がじんじんと痺れ、指責めに耐えられずガクガクと小刻みに痙攣する下腹部から滴り落ちる雫を拭うことすら出来ず俺は目の前の枕にしがみついた。 「っぅ、……っう、あッ、ぁ、待って……待ってくだ、さ、ぁ……ッ!」 「目ぇ覚めたか?」 「っ、は、ぃい……っ!」  無心で何度も頷けば、阿賀松は「そうかそうか」と笑いながら俺の腰を更に持ち上げるのだ。 「じゃ、丁度いい」  後少しで絶頂を迎えそうなときだった。引き抜かれる指に堪らず声が漏れる。急に快感から逃れた意識に呆然としていたときだった。指で解され、熱を持っていたそこに硬いものが押し当てられる。 「っ、ぁ……あ……っ」それがなんなのか、確認しなくてもわかった。尻の谷間、擦り付けるように乗せられたそれは恐ろしいほど熱い。 「ユウキ君、目ぇ覚めたんだろ? ……自分で広げろよ」 「っ、は……い……っ」  この男に逆らうことなど既に頭から抜け落ちていた。低い声で甘く囁かれればそれだけで下腹部がじんと痺れたように疼くのだ。  意識せずになんていられるはずがなかった。どろどろに濡れた自分の下腹部に恐る恐る手を伸ばす。背中を向けている今、どんな状況か理解もしたくなかったけどそれでも俺は命じられるがまま既に解されていたそこに恐る恐る指を這わせた。ぬるりとしたローションの感触。それを無視して左右の尻を掴み、肛門を拡げる。 「ん……っ、ぅ……」 「はっ、お前さぁ……期待しすぎ。ケツの穴ひくひくしてんの丸見えだぞ」 「……っ! ぁ……っ」 「っ、そのまま、しっかり拡げとけよ」  恥ずかしがる暇もなかった。エラ張った亀頭が拡げたそこに押し付けられる。その質量に思わず唾を飲み、背筋がぴんと伸びた。これから来る快感に胸が反応する。熱い。心臓も、痛い。  頭を抑えつけるように俺を捕えた阿賀松はそのまま腰を動かした。――瞬間。 「ん、ぅ……――〜〜ッ!!」  ずぷ、と音を立て埋まる亀頭に堪らず俺は奥歯を噛みしめる。呻き声とともに空気が漏れ、目の前の枕に顔を埋めた。 「っう゛、ッひ……ッ!」 「……っ、すげえ熱……ッ」 「っは、ぁっ、く……ぅ……ッ!」  抜いてくれ、そう言いたいのに声が出ない。  腹の中、ローションでどろどろに濡れたそこは阿賀松のものを呑み込むのだ。一気に滑るように奥まで突かれればその衝撃で呼吸をすることもできなかった。腰掴まれ、揺さぶるように奥を執拗に突き上げられ目の前が白ばむ。 「っぅ゛、ぐッ! ぅ、ぬ゛……ッ、抜い゛、ッぃ゛、ひぎ……ッ!」  喉から阿賀松のものがでそうなほどの衝撃だった。両肩を掴まれ、更に隙間なく腰をぐりぐりと押し付けられれば快楽から逃げることすらもできない。  負荷に耐えきれずにガクガクと痙攣する下腹部は甘く痺れ、あっと言う間に勃起したそこが阿賀松の動きに合わせて揺れる。 「ッ、ハ……っ、やっぱ最高のケツだなお前」 「っ、せんぱ、ぁ゛ッ、あっ、や……ッ!」 「……っ、随分と可愛い声、出せるようになったじゃねえか。……おらっ、もっと腰上げろ」 「ぅ、ひィ……ッ!」  抉じ開けられる。手首を掴まれたまま犬のような体勢で背後から犯される。濡れた音が先程よりも粘り気を増す。グチャグチャと耳元で響く粘着音。太く硬く勃起した性器で内壁全体を何度も擦られればそれだけでどうにかなりそうだった。 「っ、ぁ、せんぱっ、ぁ……っ!」  次第に抽挿の感覚が短くなる。腹の奥を突き上げられる都度頭が真っ白になり、何も考えることができなかった。  もう少しゆっくり、と言葉を続くこともできず、縋り付く思いで視線で懇願すれば何を思ったのか阿賀松は俺に唇を重ねるのだ。 「ん、っ、ぅ……ッ! ふ、……ッ、ぅ、……ッ!」  肌のぶつかる音が響く。咥内、体内を同時に阿賀松に犯される。この腕から逃がれることなどできなかった。  絡められる舌に意識ごと奪われ、皺がなくなりそうなほどこの男のもので摩擦され、犯されていたときだった。いきなり部屋の扉が開いた。 「――……え?」  あ、と思ったときには全てが遅かった。  夢中になっていたお陰で玄関の物音に気付けなかったようだ。扉の前、ベッドの上で阿賀松に犯されてる俺を見て阿佐美は手にしていた買い物袋を落とした。 「な……に、して……ッ」 「なにって、わかんねえのか? セックスだよ、セックス。……っ、こいつが朝っぱらから発情してたからこうしてケツの穴犯してやってんだよ」 「なあ?」と、逃げようとしていた腰を強く引かれ、更に最奥を抉られ堪らず悲鳴が漏れる。  阿佐美が見ている。それだけで全身の血の気が引くのにこの男は止めるどころか興奮したように腰の動きを速めるのだ。 「ッ、ぁ、待っ、ァ……ッ!」 「ははっ! なんだぁ……? 詩織ちゃんに見られて感じてんのか? 流石だな、ユウキ君は……ッ」 「ぅ゛、ぎ……ッ!」  止めないと、やめさせないと。阿佐美にこんなところ見られたくない。そう思うのに、獣染みた体勢で体の奥深くを抉られるだけで何も考えられなくなり、ただ受け入れることだけで精一杯になる。 「っ、ぁ、ぃ゛……ッし、おり……ッ!」  見ないで、見ないで。そう言葉を絞り出そうとする都度太く勃起した性器で臓器ごと押し上げられ、言葉すら発せなくなるのだ。  ピストンに耐えきれず、ガクガクと痙攣する下腹部。いつの間にかに情けなく勃起したそれが阿賀松の動きに合わせて揺れるのがより一層俺を惨めにさせた。 「逃げるなって、おいコラ……ッ!」 「ぁ、ん゛ぅ……ッ! ふ、ぅう゛……ッ!」  両腕を引っ張られ、脱臼しそうな痛みに驚いて体が強張る。その感覚すらこの男にとっては興奮剤になるのだろう。  痛みに呻けば、「伊織ッ」と阿賀松が声を荒げた。 「……ッはいはい、文句なら後で聞いてやるからもうちょい待てよ。……っ、そのまま……」 「ッぅ、ひ、ィ……――ッ!」  そのまま締め付けとけよ、と耳元で阿賀松が笑う。瞬間、隙間なく挿入された性器が腹の奥で跳ねるのを感じた。  息を吐く暇もなかった。直腸へと注ぎ込まれるマグマのような熱に耐えられず俺は目の前のシーツにしがみついた。ドクドクと脈打つ性器、そして腹の中を満たされ苦しさのあまりに喘いだとき、阿賀松は俺から性器を引き抜いた。同時に、栓を失ったそこからはごぽりと中に溜まっていた精液が垂れる。 「っはぁ、せ、んぱ……ッ、ん、ぅ……ッ」  脚を閉じることすらもできないまま、阿賀松に抱きかかえられる。向かい合うように膝の上に座らせられ、阿賀松の服が汚れるのではないかと青褪めるが阿賀松は気にした様子もなくそのまま俺の腰に腕を回し、抱き寄せるのだ。そして赤い舌がぺろりと俺の唇を舐める。ピアスの硬い感触にびくりと腰が揺れた。 「ほらユウキ君、詩織ちゃんにちゃんと言ってやれよ。誘ったのは自分からだって」 「っ、……ぁ……」 「――……それとも、詩織ちゃんと俺を間違えましたってか?」 「……ッ!」  その言葉にどくりと心臓が大きく跳ねた。顔が熱くなる。違うと言いたいのに、恥ずかしさのあまり言葉が突っかかって出てこない。  背中に突き刺さる阿佐美の視線を感じ、余計顔を上げることができなかった。そんな俺の背筋、なぞるように阿賀松の硬い先がゆっくりと降りていく。 「お前がちゃんと責任取ってやんねえから俺がこうやって直々に可愛がってやってんだろうが。……なあ、ユウキ君?」 「っ、お、れは……ッ」 「ちげえだろ? ……可愛がっていただきありがとうゴザイマス、だ」  言ってみろ、と耳元で囁かれれば逃れられない。こんなの、不可抗力だ。阿佐美の前だとは言え、この男に逆らうことは細胞レベルで出来ないと叩き込まれている。 「ぁ、あ……りがとう、ございます……」 「っ、ゆうき君……」 「おい詩織ちゃん、ちゃんと聞いたか? ……可哀相になぁ、お前がちゃーんと相手してやんねえからだよ」 「まだ口寂しそうにしてやがる」と、腰を撫でるように臀部まで降りてきた指はそのまま谷間を割り広げ、まだ口の開いたままのそこにつぷ、と指を挿入される。  問答無用で奥まで入り込んでくるその太い指の感触に堪らず腰が浮く。凝りを指の腹で押されればそれだけでびり、と背筋が震えた。堪らず目の前の阿賀松にしがみつきそうになるのを見て、阿賀松は笑うのだ。 「っ、ぅ……ッ、ぁ、や……ッ!」 「おーおー、とろとろでいい感じじゃねえか。ほら、見えるか詩織ちゃん。こんな名器、有効活用しねえ方が勿体ねえだろ」  阿佐美から見た俺がどんなにみっともないことになっているのか自分でも考えたくなかった。  それでも閉じることすらもできない。ぐに、と内側から左右へと拡げられた肛門の中、体内に残った阿賀松の残滓が音を立てて絡みついてくるのだ。 「っ、ぁ、……ッ」 「ほら、ユウキ君。テメェのケツだろ自分でお願いしろ、『挿れてください』ってな」  詩織ちゃんに、と笑う目の前の男に血の気が引いた。この男は正気か。正気なのだ。わかってる。だからこそ余計恐ろしかった。  そんなことできない。見られてるのだけでも顔から火が吹き出そうなほどなのだ、そんなこと。 「言えねえなら俺が言ってやる。――詩織ちゃん、こいつ犯せよ」 「っ、な……」 「まさか出来ねえわけねえよな」 「俺の命令が聞けないのか?」顔を見なくても阿佐美がどんな顔をしてるのかわかる。  その声には俺にも伝わるほどの困惑が滲んでいた。それは俺も同じだ。  何を考えているのかなんてそんなこと、この男に対して求めても無駄なのだ。常識もクソもない、気紛れで飽き性で自分本位。 「伊織……っ、俺は……」 「出来ねえなら指しゃぶってそこで見とけよ。お前の可愛い可愛いユウキ君、お前の代わりに死ぬほど可愛がってやるからよ」 「っ、伊織……ッ!」  言うや否や指を引き抜かれ、そのまま腰を持ち上げられたかと思ったとき。肛門に宛てがわれるそれに息を飲んだ。待ってください、と言う暇もなかった。腰を掴まれ、一気に奥まで挿入される。 「っ、ぎひ……――ッ!!」熱した鉄杭に脳天まで貫かれるような衝撃に文字通り意識が飛んだ。噛み締めた奥歯の奥から漏れる獣染みた声が自分のものだと理解することに時間がかかった。 「ぉ゛ッ、ぐ、ひ……ッ! ィ、あ゛ッ、待っ、へ……ッ! せん、ぱ、ァ゛ッ!」 「伊織っ、やめろ! ……っ、やるから、頼むからそれ以上乱暴なことは……ッ!」  阿佐美が何を言ってるかわからなかった。それでも慌ててるのが声から分かる。俺は、阿賀松から落とされないよう、少しでも挿入の衝撃を和らげようと腰を浮かそうとするので精一杯だった。けれどその都度阿賀松に下から突き上げられ、力が入らず余計体重がかかり衝撃を和らげるどころか強まるそれに意識ごと持っていかれそうになる。  そんな俺の腰を抱きかかえたまま、阿賀松は「おっせえよ」と笑った。瞬間。 「っぁ゛……ッ、ひ、ぅ゛ぐひ……ッ!!」  中でグチャグチャに混ざり合う先走りと精液の音が更に激しさを増す。ピストンの度に溢れ、体内で粟立つそれらは余計抽挿を手助けし、更に奥まで本来ならば誰にも触れられるはずのないそこを亀頭で押し上げられるのだ。 「っ、ん、う、ぐぅ……ッ!」 「っ相変わらず汚え声だな……っもっと詩織ちゃん興奮させてみろよ……ッ!」  笑う阿賀松の言葉すらもわからない。結合部から伝わるその振動に頭がどうにかなりそうだった。  口から臓物が溢れるのではないだろうかという乱暴な挿入に快感を感じる暇もない。それでも固く勃起した幹に前立腺を押し上げられ、何度もカリで押し上げられ摩擦されるだけで性器は簡単に持ち上がってしまうのだからどうしようもなかった。 「伊織っ」と制止する阿佐美の声も無視して阿賀松はピストンを早める。  既に先程よりも勃起したそれは既に準備していたのだ。やばい、出る、待ってくれ。  獣染みた性行為から逃れる術もない。阿賀松に抱き抱えられたまま、俺は二度目の射精を直腸で受け止めることになった。  内側から粘膜を焼き尽くすようなあまりの熱に耐えきれず、四肢から力が抜け落ちる。倒れそうになる俺を抱き寄せた阿賀松に項を舐められたとき、ごぷりと音を立て腹の中のものを引き抜かれた。 「ッ、ゔ……ッひ、ぐ……」堰き止めるものもなく、太ももから伝い落ちる精液を隠すことすらもできなかった。抉じ開けられ、捲れ上り腫れ上がった後孔を指でなぞられ堪らず声が漏れてしまう。 「ッ、伊織、お前……っ」 「テメェがヤんねーから俺が代わりにこうやって可愛がってやってんだろうが」 「なあ?ユウキ君」そう、阿賀松は同意を求めるように俺の顎を持ち上げ、頬に軽くキスをした。まるで恋人どうしかのような仕草であるがそれだけでも俺にとっては充分恐怖対象だ。 「っ、ぅ、ご、めんなひゃ……」 「やめろ、伊織……っ」 「なあにがやめろだ? 人を強姦魔みてえな言い方しやがって。……それに、ちげえだろ?」  唇を掴まれ、薄皮ごとぐにぐにと柔らかく揉まれる。抵抗する気力すらない。されるがままになっていると、ふいに阿佐美と目があった……ような気がした。  阿佐美は何かを堪えるように歯を食いしばり、俺から視線を反らした。そして。 「……ッ、ゆうき君から手を離せ。……俺がやるから」  まるで悪い夢を見てるかのような空間の中、阿佐美の声だけがやけにはっきりと頭の中に響いた。  やるって、何をだ。散々掻き乱された思考は麻痺していたが、それでも阿賀松が楽しそうに笑っていることだけはわかった。 「なんだ? やっぱお前も勃起したのか、可愛いユウキ君を見て」  目の前、近付いてくる阿佐美に全身が硬直する。やるとか、やらないとか。まさか、と逃げようとするが、背後の阿賀松に捕まえられた体はびくともしない。 「……っ、し、おり」  俺の前に傅く阿佐美に息を飲む。長い前髪の下、僅かに覗いたその目は確かに申し訳なさそうで。 「ッ、ゆうき君、ごめん」 「しおり、待っ……ッぅ……見ないで、お願いだから……ッ」  止めようとするが、阿佐美は聞く耳持たずに俺の腿に手を伸ばすのだ。そして、そっと優しく足を開かされればつい先程まで阿賀松のものを加えさせられていたそこが開き更に中のものが溢れる。 「……大丈夫、ゆうき君は悪くないよ」 「っ、ぁ、う」 「――……悪いのは、俺だ」  剥き出しになった内腿に優しく口付けられ、その柔らかな唇の感触に体が震える。長い前髪が掠めるだけでもこそばゆさと恥ずかしさでどうにかなりそうだったのに、阿佐美は優しく慰めるように唇を落としていくのだ。 「ぁ……ッ、ん、ぅ……ッ」  恥ずかしいのに、見ないでと思うのに。まるで汚くないとでもいうかのように躊躇いなく触れる阿佐美に愛されているかのような錯覚を起こしてしまいそうになる。この異様な空気がそうさせてしまうのだろう。 「詩織ちゃんは俺と似て優しいぞ、よかったなァ? 可愛がってもらえて」  耳元で阿賀松に囁きかけられ、はっとする。  阿賀松がいなければまだよかったのかもしれない。二人に挟まれ、阿賀松ならまだしも阿佐美の前で痴態を晒すのは耐え難いが阿佐美の優しさと気遣いが辛うじて俺の精神を保っていてくれた。けれど。 「っ、待っ、そこは……ッぁ……ッ!」  腿の付け根まで這い上がってくるその指に驚いて思わず阿佐美の手のひらに手を重ねる。待ってくれ、と懇願したとき。  阿佐美が口を開いた。そして唇の隙間から覗く長い肉厚な舌が、既に芯を持っていたそこに這わされるのだ。 「っ、ん、ぅ……ッ、ぁ、う……そ……ッ」  舌の中央に埋め込まれた金属の球体が転がるように尿道に触れた瞬間、電流のような快感が全身に走る。咄嗟に阿佐美の肩を掴んで引き剥がそうとするが、俺の腿を掴んだまま阿佐美は亀頭部分を咥えそのまま舌を這わせるのだ。 「……っ、ぁ、し、詩織……ッ!」  熱く濡れた粘膜に、最も弱いところを包み込まれてしまえば逃げることすらもできない。  優しく舌で舐られ、堪らず情けない声が漏れそうになるのを慌てて口を手のひらで覆い堪えた。 「ん、ぅ、うっ、……っ、ふ……ッ」  濡れた音が響く。そんなところ、汚いのに。それなのに阿佐美は尿道の窪みからカリの凹凸部分まで隈なく舌を這わせた。  熱くて、性器ごと溶けてしまいそうなほどの熱に包まれる。あっという間に固くなったそれの根本を優しく掴んだ阿佐美は、そのまま犬のように裏スジの太い血管を舌でなぞるのだ。 「っ、ひ、ぅ……ッ! ぁ、待っ……ん、っ、ぅ……ッ!」 「詩織ちゃんの口は気持ちいいか?」  頑張って声を殺そうとしても出てしまう。恐ろしいほどだった。阿賀松の問いにこくこくと頷き返せば、阿賀松は笑い、そして俺の口に噛み付いた。 「っ……、ぁ、んむ……ッん、ぅ……っ」  何故、何故こんなことになってるのか。舌を吸い出されたと思えば甘く舌先を噛まれ、角度を変えて執拗に深く唇を貪られる。  上と下を同時に舐る舌の完食に脳髄は甘く痺れ、漏れ出そうになる声ごと阿賀松に飲まれるのだ。 「っ、ふ、ぅ……ッ!」  腰を阿賀松に掴まれたせいで快感から逃れることすらできない。口輪筋で性器全体を締められ、じっとりと濡れた粘膜全体で文字通り食われる。舌全体で弱いところを重点的に責め立てられれば、持続的な刺激に耐えられずに内腿がビリビリと痺れ、腰が震えた。  だめだ、詩織、これ以上はまずい。頭のてっぺんまで徐々に這い上がってくる快感を察知し、咄嗟に阿佐美を離そうとするが阿佐美はやめない。 「ん゛ッ、ぅ……ッ! ふ、ぅ……ッ! ぅ、んむ……ッ!」  呆気なく限界の壁は決壊する。窄めた舌先でずろりと裏スジから亀頭までを嬲られながら先っぽを吸われた瞬間溜まっていたものが溢れ出し、阿佐美の口の中に出してしまったのだ。  射精しながらもガクガクと痙攣する下腹部。阿佐美は驚くわけでもなく、当たり前のようにそれを飲み込むのを見て血の気が引いた。 「し、おり……ッ!」 「っ、……ゆうき君……ごめんね」  全身の血が熱くなる。今すぐ吐き出してくれ、と言葉を続けようとして、途切れた。性器、睾丸のその奥に阿佐美の太く骨張った指が触れたのだ。待って、と言う言葉は口にできなかった。 「っ、ひ……ぅ……ッ!」 「うわ。イッたばかりだってのにえげつねえことするな、お前」 「……ゆうき君には痛い思いさせたくないんだよ」俺は、と阿佐美の指先がまだ精液の感触の残ったそこに捩じ込まれる。散々犯され、ぐずぐずになったそこは容易に阿佐美の指を根本まで飲み込むのだ。  ぐるりと指の腹で内側の感触を確かめるように撫で上げられれば、それだけで腰が大きく震えた。 「っ……苦しい……? ……っ、ゆうき君」  ちゅぷ、と腹の中で恥ずかしい音が響く。首を横に振れば、阿佐美は「良かった」とほっとしたように息を吐くのだ。そして次の瞬間、腫れ上がったままの前立腺に指先が触れる。散々阿賀松に押し潰されたそこは少し触られただけでも恐ろしいくらい感じてしまうほど敏感になっていた。 「ッ、ぁ、し、しおり……待って、詩織ッ、し、ぉ……ひっ、ぅ、ひ……ッ!」 「……伊織、やりすぎだよこれ。中、腫れ上がってる」 「ユウキ君のケツが良すぎてなぁ? お前も試してみろよ、俺が暖めてやったからよ」  阿佐美は呆れたように息を吐き、そして優しく中を撫でる。指が掠めるだけで瞼裏にばちばちと火花が散るようだった。 「っ、し、おり……っ、ぃ、ゆ、ゆび、抜い……ッ! ひ、ィ……ッ!」 「……ごめんね、もう少しの辛抱だから」 「ぁっ、ひ、ぐ……ッ!」  阿佐美の唾液と精液でどろどろに濡れた性器。その尿道口からは止めどなく半濁の体液が垂れた。  痛くないし苦しくない。阿佐美が俺に気を遣ってくれているのはわかる。けれど俺にとって乱暴にされるよりも耐え難いものだった。 「ぅ、あ……ぁ、……ッ!」 「……っ、ゆうき君……ッ」 「ッ、ふ、ぅ……ひ……ッ! ィ、や、……抜い……ッ! ぅ、あぁ……ッ!」  快感を逃がそうとぴんと爪先に力が入る。攣りそうなほど痙攣する腿を掴まれ、優しく背中を撫でられ、先程よりも緩急をつけて中を摩擦されればぐちゅぐちゅと腹の中で泡立つ精液が潤滑油代わりになって更に俺を追い立てるのだ。 「っは、ぁ……ッ、ぁ、ん、ぅ……ッ!」  詩織、詩織。待ってくれ。そう、目の前の阿佐美の腕を掴み、必死に止めようとするがろくに力が入らない。ただしがみつくことしかできない俺を抱き締め、至近距離、気付けば鼻先同士がくっつきそうな距離で阿佐美に見つめられていることに気付く。 「ぁっ、ん、ぅ……む……ッ!」  見ないで、というよりも先に唇を舐められた。  ぺろりと舌を這わされ驚いて口を開けば、そのまま恐る恐る唇を重ねられる。  これは、まずい。ちゅう、とぎこちない仕草で唇を啄まれ、そのまま深く唇を重ねられれば気付けば抵抗するのも忘れていた。  肉厚な舌が唇を割って舌に触れる。己の精液の味を知る余裕もなかった。イキそうになりながらも、それでも阿佐美を受け入れようとすれば阿佐美の体が僅かに反応するのがわかった。 「っ、ふ、ぅ……ッ、ん、ぅ……ッ!」 「ゆ、うき君……ッ」  舌を吸われ、舐められ、遠慮がちに絡められていた舌は次第に動きが大胆になっていく。後頭部を抱き寄せられ、更に求めるように深く舌根ごと絡め取られてしまえば文字通り溺れた。  阿佐美の熱に充てられどろどろに溶けた思考の中、腹部がビクビクと痙攣する。最早自分がイッているのかもわからないほど、快感の波は収まる気配がなかったのだ。  とうとう指先から力は抜け、ずるりと腕が外れれば阿佐美は俺から舌を抜いた。そして、阿佐美に抱かれたまま犬のように浅い呼吸を繰り返すのが精一杯だった。 「っ、ご……ごめん、俺……ゆうき君、大丈夫?」 「おいおい、何満足した顔してんだ? お前のそれ、まさかそのままにするつもりかよ」 「……もういいだろ、これ以上は……」  そう阿佐美の腕が離れそうになり、俺は咄嗟に阿佐美の服を掴んだ。自分でも何をしてるのかと驚いた。それでも理性が正常に機能していない現状、自制することもできなかったのだ。 「……っ、ユウキ君……」 「し、おり……っ」  鼻先数センチ先。前髪の下、見開かれる阿佐美の目と確かに視線がぶつかった。  何をしているのだ、俺は。  わかっていた。それでもこのままでは収まりが利かなかったのだ。  ――しおりがいい。  そう阿佐美にだけ聞こえる声で口にした瞬間、噛み付くように唇を重ねれる。 「やっぱやる気満々じゃねえか」  押し倒された阿佐美の肩越し、こちらを見下ろしていた阿賀松の笑う声が頭上から落ちてきた。  ◆ ◆ ◆  ベッドの上。足を閉じることすらも忘れ、俺は阿佐美にしがみついていた。散々弄られ、既に抉じ開けられていたそこに阿佐美のものを挿入されれば明らかに指とは違う質量のものに堪らず全身が跳ね上がる。それでも気遣うようにゆっくりと腰を沈めてくる阿佐美に俺は必死に声を殺すのだ。 「ん、く、ぅ……ッ」 「っ、ゆうき君……ッ痛く、ない……?」  吐息混じり、こわごわと聞いてくる阿佐美に俺は何度も頷き返した。その言葉にほっとしたような顔をする阿佐美は、そのまま優しく俺の腰を撫でるのだ。 「……ッ、動くよ……」  浅い位置を亀頭で抉じ開けられ、そのままゆっくりと奥まで押し開かれる。逃げようとする暇もなかった。阿佐美にしがみつき、口から息を吐いて受け入れようとするが力を抜くなんて器用な真似俺にはできない。  手を重ねられ、指を絡め取られるように握り締められる。阿佐美が動く度に声が漏れ、恥ずかしいがそれを堪えることもできなかった。 「ぁッ……ひ、ぅ……く……ッ」 「ごめん、もう少し……っ、だから……」 「ふ、ぅ……ッ!」  奥歯を噛み締めれば空気が漏れる。もう少しって、どれくらいなんだ。  腹の奥が満たされていく。圧迫感以上、得体の知れない感覚に堪らず俺は阿佐美の手を掴む。 「ぁッ、ひ……ッ、しおり……ッ」  ゆうき君、と俺の名前を呼ぼうと開いたその唇に自分の唇を押し付ければ、絡められる指先に力がぐっと入る。 「……ッは、んぅ……ッぅ、ふ……!」 「っ、ゆうき君、……ッ」  吐息が混ざり合うほどの距離。確かめるように頬を撫でられ、目尻から溢れる涙を舐め取られる。  恥ずかしくてたまらないのに、阿佐美に優しくされればそれだけで満たされてしまうのだ。  中で阿佐美のものが更に大きくなるのを感じ、腰が震えた。阿賀松の前だということも忘れて阿佐美にしがみつき、「もっと」とキスを強請ってしまうのだ。  詩織、詩織。と何度も声にならない声が漏れ、阿佐美のものを受け入れようと腰を動かせば阿佐美の顔が、手が強張るのだ。そして、息を吐くようにゆうき君、と俺の名前を口にする。全身がいつの間にかに汗で濡れていた。それでも阿佐美は構わず俺を抱き締め、腰を早めたのだ。 「っぁ、く、ッ……ぅっ、あ、しおり……っ!」 「ごめん……っ、もう少し、だから……ッ」  このまま、と腿を掴まれる。食い込む指先。ごめんね、と見詰められ、応える代わりに背中にしがみついたときだった。ガチガチに勃起した下から突き上げられた瞬間体が大きく反り返りそうになる。それを捉え、阿佐美はそのままピストンを繰り返すのだ。 「ぁっ、し、お……ッ、り、し……おり……っィ、ひ……ッ!」 「ごめんね、……っ、ゆうき君……ッ」 「……ッ、ひ、ぅ……ッ!」  ごめん、と何度もうわ言のように繰り返す阿佐美の腰の動きは緩くなるどころか呼吸同様間隔が短くなっていく。相当気遣ってくれていたのだろう。覆い被さってくる阿佐美に抱き締められれば逃げることなどできなかった。唇を甘く噛まれながら、繋がった中を塗り替えるように犯されるのだ。中で残った液体が混ざり合うような感覚を感じながらも俺は必死に阿佐美にしがみついて振り落とされないように堪えたのだ。  熱が競り上がってくる。もう限界だと思っていたのにまだこれ以上大きくなるのかと息を飲んだときだった、腹の中で奥深く挿入されたものが跳ねた。あ、と思ったときには遅かった。  腰を引き、中から性器を引き抜かれたと思った瞬間、下腹部に熱くどろりとした液体がぶち撒けられる。 「っ、ご、ごめ……ッ」 「あーあ、ぶっかけるなら顔にすりゃいいのに」  煙草休憩をしていた阿賀松は咥えていた煙草を勝手に用意した灰皿に押し付けて火を消す。そして、ベッドに乗り上げ、そのまま俺の俺の体を抱き上げたのだ。 「よぉーやく終わったかよ、待ちくたびれただろうが」 「っ、あっちゃん……なにを」  嫌な予感がして逃げようとするも、腰にまるで力が入らない。阿賀松の膝の上へと跨がらせられたと思えば、口を開いたままのそこに二本の指を捩じ込み、そのままぐに、と大きく左右に割り開かれぎょっとする。 「っ、ぁ……な、に……ッ」 「……何ってそりゃ、まさかこれだけで満足したなんて言わねえよな?」  太い指で中を掻き回され、堪らず喘いでしまう。待ってくれ、少しだけでもいいから休ませてくれ。そう懇願するが、やつは楽しげに笑うばかりだ。 「今度はお前が下だ。ほら、這いつくばれよ。バックで犯してやる」 「その間、空いた口で詩織ちゃんの、綺麗にしてやれよ?」と悪魔のようなことを言い出す阿賀松に血の気が引く。  待て、待ってくれ。そう止めたいのに声が出ない。背後、ぱっくりと開いたそこに押し当てられる硬く熱いその感触。それに気付いたときにはもうすでに逃げられなかった。一気に根本まで貫かれ、喉奥から自分のものとは思えない甘い声が漏れてしまう。 「っ、ぁ、……ぉ゛……ッご……ッ」  何度中に出されたのかも分からない。  阿賀松が満足するまで付き合わされるハメになったのは初めてではない。それでも、こうして阿佐美が巻き込まれてるとなると話は全く別になってくる。  腹の中ではもうすでにどちらのものかも分からないほど中で混ざり合っていた。  精液で汚れたシーツの上、四肢に力も入らない俺は阿賀松に羽交い締めにされたままバックで貫かれ、絶頂を迎える。精液はもうでない。シーツの上、透明な液体が飛び散るのを見て阿賀松は「とうとう獣だな」と笑うのだ。  自分が飽きたり満足すれば阿佐美に回され、阿佐美は憐れむような顔をして俺の体をタオルで拭いてくれる。恥ずかしいが、それ以上に阿佐美が勃起しているのを見るとそのまま放置することができず、自分から阿佐美に迫ってしまうのだ。  阿佐美は優しいから俺が言い出さなければきっと自分で処理するつもりなのだろう。  それならばと、固くなった阿佐美の下腹部に触れ、そのまま性器を取り出す。  ゆうき君、と何度も止められるのを構わずええいままよと阿佐美の真似をして咥えるのだ。  そんなことを繰り返し、どれくらいが経ったのだろうか。阿賀松が転がり込めば数日は拘束される。そして阿佐美と二人きりになったとき、俺たちは自慰の延長のような性行為をするようになったのだ。 「っ……ゆうき君、今日は……やめとこう? 連日で疲れてるだろ、あっちゃんのせいで」 「大丈夫だから、俺……っ、詩織なら……」 「…………ッ」  喉仏が上下するのを見て、あ、と思ったときには手を握り返されていた。  存外阿佐美はしつこいこと、そして本人も理解してるのだろう。阿佐美の方から俺に無理強いすることはなかったが、それでも一度スイッチが入ると俺を離そうとしないのだ。  前髪を掻き上げられ、目尻に、頬に、唇を押し付けられる。愛おしそうに額をくっつけられれば、堪らず俺は阿佐美の唇にキスをするのだ。  阿賀松のせいである。なにもかもが変わってしまった。作り変えられてしまった。それなのに、この関係が嫌ではないと思ってしまう自分も相当毒されているのだろうか。  玄関口で扉が開く音がする。俺と阿佐美以外でこの部屋の鍵を開けられる人物は一人しかいない。 「なんだ? また乳繰り合ってんのか? 俺も混ぜろよ、詩織ちゃん」 「あっちゃん……先にそのタバコ臭い服着替えてよ」 「ああ? うるせえよ、ユウキ君のが先だ」  なあ?とやってくるなり顎を掴まれ、当たり前のように唇を重ねられる。言われた通りに口を開き、阿賀松の真似をするように舌を絡め返せば、そのまま阿賀松は更に深く俺の後頭部を押さえつけてくるのだ。 「っ、ん、ぅ……ッ、ふ……っ」 「あっちゃん」 「っ、ん、は……うるせえ……妬いてんのか?」 「別に、違うけど……」 「嘘つけ。せっかく二人きりだったのを邪魔されて悔しいって顔じゃねえか。……ま、今日の最初はお前に譲ってやるからそう拗ねんなよ」 「なあ、ユウキ君?」そう臀部を揉まれ、ぶるりと腰が震えた。見下ろしてくる阿賀松。  この男に対する恐怖が完全になくなったわけではない。それでも今は、この男の目に見据えられると恐怖よりも別の感情が湧き上がるのだ。  するりと尻の谷間に這わされる太い指に息を飲み、そして俺は阿賀松に視線で促されるがまま服の裾を持ち上げ、阿佐美に腰を突き出すのだ。 「詩織……好きにしていいよ」  以前の俺達はどんな風に会話をしてどんな風に二人の時間を過ごしていたのか今では思い出せない。  けれど、それでもいい。そんなことを思いながら、俺は自ら下着を脱いだのだ。  おしまい

【総集編版】誰のもの※【↑100/19,500文字/阿賀松+阿佐美×齋藤/3P】

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