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田原摩耶
田原摩耶

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【総集編版】酔狂と狂騒※【↑100/12,000文字/花鶏+南波×準一/3P/飲酒】

「大分南波も準一さんに馴れてきたようですね」  最初はそんな話がきっかけだった。  確かに言われてみればまだ目は逸らされるものの一緒の部屋にいても発狂したり逃げ出したり泣き喚かれることはなくなっていた。花鶏の言葉にぎくりと南波が震える。 「馴れたってか、……その、あいつらよりはましだってわかったっていうか……」 「今更すぎませんか? それ」 「っるせぇ!! 元はと言えばテメェが……!!」 「おや、私のせいにするとは……南波、私は最初からあれほど言っていたじゃありませんか。準一さんは良い方ですよ、と」 「……っ、チッ、んなこと知ってるっての……」  苛ついたように足を組み直す南波の言葉に俺はというとジーンときていた。だってそうだ、ここまでくるのにどれほど掛かったか。  絶対花鶏や幸喜のせいで余計遠回りになった気もするが、それでも南波に認められたと思うとこう……あれほどこちらを警戒していた野良犬が俺の手から餌を食ってくれたようなそんな喜びがあった。 「ならば今夜は親睦会ですね、子供たちは元気にお外で遊んでる頃でしょうし我々は大人の時間を楽しみますか」  生前と死後を計算に入れた場合恐らく俺が一番年下なのはさておきだ。よっこいしょ、と花鶏はソファーを退け、その下から現れた謎の扉からなにかを取り出した。  その手持たれてるのはやけに高そうな年代物のワインだった。 「お……ッ! いいもん隠してんじゃねえか!」 「他の方には秘密ですよ、これは南波の男性恐怖症回復の兆しが見えたことへの祝杯です。……今まで色々ありましたが私も友人として喜んでるのですよ、南波、貴方が成長したことに……」 「カマや……花鶏……」  絶対この人カマ野郎って言いかけたな。馴れた手付きでワインのボトルを開けた花鶏はそれぞれのワイングラスに注いでいく。 「……って、俺もいいんすか?」 「ええ勿論、貴方のお陰でもあるんですから」 「どうぞ」なんて目の前のテーブルにそっと置かれるグラス。そもそも死んでるのにワインの味なんてわかるのか。いやわからない、あくまでもこの空気を楽しめということなのだろう。南波はというと既に横でガブカブ飲んでいたので半ばやけくそになりながら俺は「いただきます」とそのグラスに口付けた。  喉越しも口触りもいつの日に飲んだワインと同じなのかもわからないが、美味しい。確かにそう感じた。 「口に合いましたか?」 「……はい、美味い、と思います」 「そうですね、私達には味覚も嗅覚もありませんので。……ですがそう感じたのなら出した甲斐がありました」 「おい花鶏、瓶ごとくれよ」 「貴方は洋酒の呑み方がまるでなってませんね。ちゃんと舌と喉で味わうんですよ、いくら味がわからないとはいえ安酒とは違うんですから」  お行儀が悪いですよ、と花鶏は開いた南波の足を叩いて閉じらせていた。……平和だ。そうしんみりとしながらもちびちび酒を煽っていたのが深夜十二時前。場の空気に酔い易い人間というのはどこにでもいるが、どうやら南波がその類のタイプのようだ。三十分もしない内に既に酔いが回っている南波に今更驚きはしないが、久し振りに楽しそうな南波を見れて嬉しい気持ちの方が大きかったのかもしれない。  机に突っ伏して酒瓶を抱き抱えてる南波を眺めていると、不意に隣に花鶏が腰を下ろす。 「隣、失礼します」ただ隣に座られただけだ、それなのにぎくりとしてしまうのはこれはもう脊髄反射のようなものだ。ソファーなら他にもあるのにわざわざ隣に座る花鶏に正直俺は気が気でなかった。 「全く、相変わらず南波は寝汚いですね……おや、準一さんはあまり酔われてないのですね」 「……まあ、南波さんほど弱くはないんで」 「へえ、そうなんですか」  ふわりと甘い花の匂いがする。なんの花かもわからないが、嗅ぎ馴れた匂いだ。この匂いを嗅ぐと駄目だった、意識しないようにしても脳の奥から無理矢理引き起こされるのだ。 「いつの間に南波と仲良くなったんですか?」  するりと伸びてきた白い手が太腿に置かれる。驚いて顔を上げれば、すぐ鼻先に花鶏の顔があり、一瞬、息が止まりそうになった。 「……私のことは避けるというのに。……ふふ、妬けますね」  長い睫毛に縁取られた黒い目が俺を捕らえて離さない。記憶が重なる。思い出したくもない記憶と。 「っ、花鶏さん……」 「南波がいれば私がなにもしないと思ったんですか?」 「……っ、……あんた……」 「大丈夫ですよ、南波はすやすや眠ってますので。……ああなると暫くは起きないはずです」  この色情霊、ドスケベジジイ、言いたいことは山ほどあったが耳元で囁かれて太腿から足の付け根までをねっとりと撫で上げられればそれだけで感覚が呼び起こされるのだ。……この男に抱かれた思い出したくもない記憶を。やめろと抵抗しても構わず、結局最後まで犯された感覚すらも。  意識しては駄目だ、考えては駄目だ。そうわかってるのに嫌でも脳裏を支配するのだ。 「っ、いい加減に……ッ、ん、ぅ……」  しろ、と言い終わる前に唇を塞がれ、れろ、と舐められる。まずい、と思ったときには既に遅い。引き離そうと伸ばした腕ごと絡め取られ、逃げようとする腰に腕を回され抱き寄せられるのだ。 「っ、ん、ぅ……ッ! ふ、……ッ!」  ぢゅ、ちゅ、と耳障りな音が響く。薄皮ごと舐るように這わされる舌は固く閉じる俺の唇を抉じ開けようとしてくるのだ。それでも首を横に振り、拒もうとすれば花鶏は俺の鼻の頭を摘む。  俺にはそれだけで効果覿面だったのだ。死んでいるとわかってるはずなのに条件反射で苦しくなってしまいます口を開いた瞬間捩じ込まれる舌。花鶏さん、と声をあげる暇もなかった。頬を挟まれ、ずるりと口の粘膜を舐るように奥へと侵入してくる舌にぎょっとする。  捕まったら終わりだとわかってても逃げられない。 「っん゛ぅ、んん……ッ!」  南波のイビキが響く部屋の中にぐちゅぐちゅと濡れた音が響き渡る。逃げようとすればするほど深く舌を絡まれ、舌の先っぽをぢゅるっと音を立てて吸われればそれだけでぞくぞくと背筋が震えてしまうのだ。息が苦しくなってフーッフーッと動物みたいに鼻で息してると、花鶏が笑った。 「息継ぎが下手なところも愛らしいですね」  うるさい、と言い掛けて、再び唇を塞がれる。指を絡められ、膝が当たって、押し倒されてると気付いたときには遅い。花鶏から逃れられない。深く唇を貪られ、逃げることもできずに花鶏に捕食されていたときだ。 「ぉ、お、お前ら……何やってんだ……ッ!!」  眠っていたはずの南波が目を覚ましたのだった。最悪ではあるがまだこれはましだ、寧ろ助けてくれるなら猫の手でも借りたいというやつだ。  南波さん、と助けを求めようとしたとき、花鶏に口を塞がれる。今度は手でだ。 「丁度いい、南波。貴方も混ざりますか。……その不便な体質を治すいい機会ですよ」  俺はそのとき花鶏が何を言ってるのかまるで一ミリも理解できなかった。  それが、数分前のことだ。 「っ、ふ、……ッぅ……ッ!」  何故、何故こんなことになってるのか。口と腕を縛り上げれ、マグロよろしく身動きの取れない俺の足元には南波がいて、そして頭上からは花鶏がにこにことこちらを見下ろしていた。 「いいですか、南波。貴方のその男性に対する恐怖心は恐らく危害を加えてくるという思想からくるものです、なのでこうして手足を縛り動きを封じ込めれば……どうですか? このように人相の悪い準一さんですが普段のような怖さはないでしょう」 「っ、た、確かに……」 「ふ、ぅ゛ーッ!」 「おや……いけませんよ準一さん、その紐を噛んでは。猿轡の方がよろしかったですか?」  そうするりと伸びてきた細くしなやかな指先に唇を撫でられ背筋が震えた。嫌だ、と首を横に振れば花鶏は満足そうに目を細め、そして南波に視線を送るのだ。 「……手足も出ない、声も上げれない。こうなれば貴方が怖がるものは何もないというわけですよ、南波。分かりますか?」 「おい、カマ野郎……っでも、これじゃ……」  そう南波がなにかを言いかけたときだ、花鶏はどこからか取り出したワインの瓶を手にし、そのまま南波の口に突っ込んだ。瞬間。 「っ、ごぶッ!!」どぼどぼどぼと口から溢れる量の赤ワインが南波の開いた胸元に落ちていく。こぼれたワインの赤黒いシミが辺りに血溜まりのように飛び散るのもお構いなし、中身を南波が飲み干したのを確認して花鶏は微笑んだ。 「南波、貴方も試したくないですか? 自分がどこまで可能だと。もしかすればこのまま克服することもできるのではないかと」 「……っ、こ、克服……?」 「ええ、例えば」そう、花鶏が言いかけたとき。いきなり背後から胸を鷲掴みにされぎょっとする。 「ん゛ぅ……ッ!」 「男に馴れ、貴方があれほど欲していた女性の代替品として使用できるようになれば貴方のやり場のない性欲も発散することになりますよ」 「な、なるほど……お前天才か……ッ?!」 「っ、ぅ゛……ッ! ん゛ん゛ッ!!」  さらりと人でなしのクズみたいなことを言ってる二人に血の気が引く。というかどこを触ってるのだ。やめろ、と背中を丸めて仰け反ろうとするが縛られてるせいで上手く動けない。それどころか。 「……可哀想で愛らしい準一さん、精々私を楽しませてくださいね」  するりと髪を撫でるように耳の裏まで指先でなぞられ背筋が震えた。  ああ、この男は本当に悪趣味だと。南波の理性を酒で溶かして俺を暇潰しの道具にするのだ。許せるわけがあろうか。そうだ、最も油断してはならない相手だとわかってたはずなのに。  南波もいるなら、と油断した一時間前の自分の愚かさを恨まずにはいられなかった。 「良いですか南波、いくら準一さんとは言えど弱いところというのは他の部位に比べて感じやすくなるものです。乱暴な真似はせず、優しく可愛がってあげてくださいね」 「このように」と無遠慮に胸を揉まれ、堪らず仰け反る。やめろ、と声を上げるものの口に噛まされた猿轡のお陰でまともに言葉を発することも出来ない。  花鶏は身を攀じる俺を見てはくすくすと笑い、そして衣類越し、生理現象として硬くなるそこを撫でるのだ。そのもどかしい感触に堪らず腰を浮かしたとき、花鶏はそのまま抱き締めるように掌を這わせる。 「ん、ぅ……ッ!」 「そのように胸を突き出さずとも好きなだけ触って差し上げましょう。……貴方は指先で転がされるのがお好きでしたね」  んなわけあるか、お前がしたいだけだろう。  そう言いたいのに言葉は発せない。円を描くように指先でやんわりと潰すように揉まれるだけで口の中に唾液が滲むのだ。最初はなんでもなかったただの飾りのような場所だったのに、この男のせいで性感帯の一つだと無理矢理脳に叩き込まれた今反応せずにいられなかったのだ。 「っ、ん、ぅ……ッ! ふ、……ッうぅ……ッ!」  執拗に転がされ、更に硬く凝る胸の突起物。その周辺を撫でられれば執拗な愛撫で感度を高められたそこはもどかしさに腰が震えた。  南波が見てるのに、こんな。こんなこと。  平常を取り繕おうとしても、薄手のシャツ越しにぷっくりと主張する胸を隠すこともできない今俺は口の中の轡を噛み締めて声を殺すのが精一杯だった。 「最初は豆粒ほどでしたのに……今ではもう立派な性器ではありませんか」  吐息を吹き込むように囁かれ、鼓膜がじんと痺れるのだ。辱められて興奮する趣味はない。  それなのに花鶏の言う通り、今では指で摘み、扱くことができるほど腫れた円柱状の勃起乳首をシャツの上から扱かれ体が震えた。薄皮の下、芯を持ったそこは指で軽く触られただけでも腰がじんじんと熱く疼き出し、呼吸が浅くなる。 「っ、ん、ぅ……ッ! ふ、ぅ……ッ!」  限界まで突き出し、尖った乳首を弾かれ、転がされ、何度も何度も勃起するそこを執拗に弄り倒される。腰が浮き、熱が集まる。嫌だ、まずい、このままでは。喉元まできた快感に、堪らず爪先に力が入ったときだった。  ぱっと花鶏の手が離れるのだ。爆発直前まで腫れ上がっていた射精感は行き場を失う。あと少しで達することができたのに、急に解放され目を白黒させる俺に花鶏は柔らかく微笑みかけてくるのだ。 「ああ、駄目ですよまだ達しては。……今宵の目的は南波の恐怖症克服のための手引きですから、貴方が気持ちよくなるためのものではありません」 「っ、ぅ……」 「そのような愛らしい顔をしてもいけません。……待てくらいはできるでしょう?」  まるで幼い子供に語り掛けるような口調で花鶏は俺の頬に唇を落とし、そして限界同然の胸から手を離したと思えばいきなり服の裾をたくし上げるのだ。限界まで腫れ上がったそこに布が擦れ、堪らず仰け反るが花鶏は構わず俺の胸を曝すのだ。 「ふ、ぅ……ッ!」  自分で自分の体がどうなってるのかなんて知りたくもなかった。南波の目の前、首元まで大きく捲り上げられた服の下、剥き出しになった胸元に南波の息を感じた。  見ないでくれ、そう思っても南波の視線は逸らされるどころか一点を見つめたまま離れない。 「っ、まじか……」 「……南波、準一さんが寂しそうですよ。触れ方は女性と同じですよ。傷付けないように優しくそっと触れてあげてくださいね」  南波の喉元、その喉仏がごくりと上下するのを見て俺はまな板の上の鯉はこんな気持ちなのだろうかと呑気に考えてしまった。 「っ、ぅ、……ッふ、ん、ぅう……ッ!」  犬に噛まれたと思えば耐えられる。そんな風に考えていたときもあったが流石にこれは無理だと悟った。  背後には花鶏、そして目の前には覆いかぶさる南波。間に挟まれた俺はというと花鶏に羽交い締めにされ逃げることもできずに南波にもみくちゃにされていた。  余程女体が恋しかったとはいえ、俺の体は女体からは掛け離れてる。こんなもの幻想だ。胸筋を乳房に見立てて揉まれ、乳輪ごと乳頭を舌で嬲られる。唇で挟まれ、噛み付くように吸われるのだ。尖った歯に甘く噛まれ、片方の胸も指で挟まれながらも引っ張られる。童貞ではないとはいえだ、南波の触れ方は明らかに男に対するものではない。それなのにも関わらず南波の手によって既に俺は再び限界まで追い詰められていた。 「っ、まじかよ、顔とチンポ見なきゃ全然いけるわ……巨乳、全然あり」 「本当、貴方の見境のなさには辟易しますね」  しかしまあ、と花鶏の視線がこちらへと向けられる。口を塞いでいた猿轡を外した花鶏は、唾液でどろりと濡れたそれに舌を這わせるのだ。 「……ふふ、確かに既に貴方の体は受け入れる準備が出来ているようですね」  口を閉じることもできなかった。ぽっかりと開いた唇からは浅い呼吸が繰り返し漏れ出、痛いほど張り詰めた下腹部の奥は酷く熱を持っているのを感じた。全てまやかしだ。騙されてはならない。分かっているのに、唾液で濡れ、痛いほど愛撫されしゃぶり尽くされた乳首にふうっと息を吹きかけられただけで脳の奥からどろりとしたものが溢れ、視界が滲む。はぁ、はぁ、と犬みたいに喘ぐ事しかできない俺。その下腹部に伸びてきた花鶏の手に腿を掴まれ、そのままぐい、と開脚させられるのだ。 「っ、ぅ、あ……ッ」 「酷い匂いですね、雌の匂いがしますよ。盛りのついた雌犬の匂いです」 「……ッ」 「女人のように胸を弄られただけでこのような恥ずかしい染みまで作ってしまうとは……ふふ、本当にどうしようもない方ですね」  必死に隠そうとしても膝の頭を掴まれ、大きく開かれるのだ。ぱつぱつに詰まった股間部分を花鶏の細くしなやかな指がすうっと撫でていく。  今すぐにでもジッパーを下ろして自分のものを扱き上げたい、そうすれば得難い快感に覚えることができるとわかっているのにそれができないのだ。快感を限界まで高めては肝心のそこはろくに触れることすらされず、酷くもどかしい。それでも今、花鶏が触れてる。 「っ、あ、とりさ……ッ」 「どうされたんですか? そのような苦しそうな顔をして」 「っも、……」 「もう?」 「っ、ぅ……お、俺……ッ」  触ってほしい、もっと、奥まで。  そう喉まで出かかって、堪える。相手は花鶏だ。それに今は南波もいる。けれど体までは堪えることができなかった。腰が震え、無意識に花鶏に擦り寄ろうとしていたことに気付いたときには遅かった。「いけませんね、準一さん」とやんわりとした口調で花鶏に叱られる。そして。 「貴方の役目は南波の女役ですよ。こんなものなくとも貴方ならば快感を得ることができるでしょう?」 「っぅ……ぁ……ッ!」 「南波におねだりしたらどうですか? ……さあ、こんなときは何ていうんですか?」  大きく足を開かされ、閉じることも許されないまま花鶏は俺の太腿に触れる。それだけなのに、付け根に落ちていく掌の感触により神経は鋭利になり、花鶏の指一本一本の動きに思考が乱されるのだ。さあ、と耳元鼓膜に直接吹き込まれる呪いの言葉。 「ぉ……奥、触って……下さい……」  南波さん、という声は言葉にすらならなかった。一時の気の迷いだ。そう自分で言い聞かせることでしか自分を保てない。それか、全部花鶏の――この男のせいだと。 「肛門となると男女そう形は変わらない、性差なんて些細なものでしょう?」 「寧ろ前立腺が存在してる分、男の方が弄り甲斐があって楽しいというものですよ」ねえ、南波?と耳元で笑う花鶏の声が直接染み込むようだった。  それはあんただけだ、と言い返してやりたかったのに、つぷ、と挿入される指に驚いて咄嗟に口を覆った。 「っふ、……っ」 「あっつ、つか……キツ……」 「そうでしょう、準一さんは処女のままですから」  南波の指が入ってくる。言われて力を抜こうとするがそもそもどうすればいいのかすら分からない。見た目よりも異物感が強い、ゴツゴツとした指に怖気づいて逃げそうになる腰を掴まれれば思わず息を飲む。 「っ、準一さん、痛いか?」 「……ッ、……!」 「声も出せないほど……?!」  首を横に振れば上手く意思が伝わらなかったようだ、青褪める南波に慌てて更に首を振る。  南波に俺だと意識させたくないためになるべく声を出さないようにと思ったのに、これでは意味がない。 「大丈夫ですよ、南波。締まりは生娘同然ですが私のものもちゃんと咥え込んだことありますので。指くらい二本三本いけるでしょう?」 「っ、でも……」 「いいんですよ、遠慮しなくても。準一さんは貴方のためにここまでしてくださってるんですから」  この男と、花鶏を睨もうとしたとき。追加される指に思わず腰が触れた。  ぬちぬちと音を立て中を解され、あくまで俺を気遣うような指使いが余計もどかしくて呼吸が浅くなる。  こんなところが感じるなんて今まで考えもしなかった。それなのに、この館に来てからその常識が塗り替えられる。 「ッ……ぅ、ふ……ッ!」 「いけません、そのように唇を噛んでは。……南波のために我慢してるのですか?」  凭れかかれたその背後、俺の体を抱え、背後から覗き込んでくる花鶏に唇を撫でられぎょっとする。感じてる顔を見られたくなくて顔を逸らそうとしたとき。 「いじらしい方ですね」 「っ、んぅ……ッ」  当たり前のように唇を重ねられる。触れるだけのキスだ。まるで手持ち無沙汰を紛らわすように伸びてきた手はするりと胸元を撫で、そのまま無防備になっていたそこを揉まれるのだ。 「おい、何……ッ」 「……手が止まってますよ、南波」仕方ないですね、と俺から唇を離した花鶏はそのまま南波の手を掴むように更に己の指を挿入してくるのだ。 「っ、ひ……ッ!」 「あ、おい! 花鶏、ま、待て……っ!」 「ここ――睾丸の裏の辺り、指の先に当たる固い感触があるでしょう? ここが、準一さんの性感帯です」 「ここを優しく撫でてあげてくださいね」そう笑いながら南波の指を使って中、それもピンポイントで弱いところを撫でてくる花鶏に俺は堪らず仰け反った。 「待ってください」とか、「やめてください」とか言おうとして声を殺す。それを見て意地の悪い笑みを浮かべた花鶏は指を引き抜くのだ。  少しもの寂しさを覚えたのを見抜かれたのか、背後で小さく花鶏が笑う気配を感じ俺は慌てて顔を抑える。そのとき。 「っ、ふ、……ッぅ……ッ!」  馴れたのか、花鶏のレクチャーでコツを掴んだのか知らないが先程よりも幾分大胆になる南波の指につい声が漏れそうになる。  我慢しようとしても抗えない。そもそもここまで解す必要はないはずだ。もういいからさっさと突っ込むなりして終わらせてくれ。そう南波の腕をつい掴んだとき。 「……ッ、ま、ッて、南波さ、ぁ……ッ!」  更に執拗に柔らかく揉むように刺激されれば堪らず声が出てしまう。待って、わりとまじでやばい。緩急を付けて時折くるりと円を描くようになぞられただけで腰が震え、下腹部にじんじんと集まる熱、快感に抗うことすらできない。 「っ、く……ぅ……ッ!」  粗暴な見た目よりもずっと優しい手付きに余計混乱する。「痛くないですか?」と聞かれ、俺は首を横に振ることしかできなかった。 「ふふ。そんなに南波の指は美味しいですか?」 「っ、ぁ……っ、や、……ッ」 「い、嫌ですかっ?!」 「南波、覚えておきなさい。準一さんの『嫌』と『もっと』は同義語ですよ」 「っ、ま、まじか……」  んなわけあるか、と言い掛けて、更に追い打ちを掛けられ息を飲む。 「っ、ぁ、く……っ、ふ……ッ! ぅ……〜〜ッ!」  触られてもいない性器は既に頭を擡げ、その先端部からどろりと溢れる精液に気付いたときには恥ずかしくて直視することもできなかった。いつの間にかに射精したのかすらもわからない。それでも、的確に快楽を拾い上げてくる南波の指責めにより快感は持続し、休む暇もなかった。 「っ、ふ、……ぅ……ッ」  びくびくと小刻みに痙攣する腰、散々中を弄くられた内壁はもっとと言うように南波の指に絡みついていることに気づいたが自分ではどうすることもできない。  そのとき、背後から伸びる花鶏の手に腰を捕えられる。そしてそのまま腿を掴むように這わされた白く細い指は鼠径部から膝裏を撫でるように脚を開かされるのだ。 「準備は出来ました。……さあ、南波にたくさん突いてもらいましょうか」 「……ぁ、とりさ……ッ」 「貴方も限界でしょう? 南波」 「ッ……!」 「さあ、準一さん。自分から招き入れるんですよ」 「その手で、自分で」そう、耳元で囁かれる言葉にぶるりと背筋が震える。萎えていると思っていたのに、既に膨らんでいた南波の下腹部を見て言いようのない気持ちになる。喜んでいるとは思いたくない。これは、南波のためだ。そう自分に言い聞かせる。 「ほら、早く」 「っ待、待ってください……っ!」 「なんですか?」 「あ、花鶏さん……お願いが……」 「私に?」いいでしょう、なんですか?とどことなく嬉しそうに耳を寄せてくる花鶏に俺はそっと口を寄せた。これは俺のためではなく、南波のためでもあった。 「とはいえ、今更……と思いますけどね」  花鶏には南波に目隠しをしてほしいと頼んだはずだった。途中で萎えるなんてことになったら申し訳ないし。そう、目隠しだけをお願いしたはずなのに。 「っん゛、ぅ゛〜〜ッ!!」 「あ、花鶏さん……縛りすぎです」 「まあこれくらいの方が丁度良いでしょう、この狂犬には」  目隠しどころか手足を縛られ、おまけに猿轡まで噛まされている南波は怒り狂うように身を捩っているが縄がきつくて動けないようだ。おまけにこれを一瞬でやってしまう花鶏が今はただは恐ろしい。 「それに、興奮のあまりに貴方を壊されても嫌なので」 「壊され……?」 「ああ、お気になさらず。ほら、跨ってください」  するりと腰を撫でられ堪らず喉がひくりと震えた。そうだ、どちらにせよ免れないのか。  ……南波さん、すみません。そう口の中で呟きながらそう膝の上に跨る。 「っ、ふ、……ぅ……ッ」  南波の呼吸が近い。……南波には何も見えてないのだと思えば先程よりも幾分は気が楽だった。恐る恐る南波の下腹部、膨れたそこに手を伸ばし、下着から引き摺り出す。直視しないように目を瞑るが触っただけでもその硬さ、覆うように浮き上がった血管がわかり、無意識の内に呼吸が浅くなる。 「ぅ……ッ」  猿轡で開いた南波の口から呻き声が漏れる。  びくんと震える性器に心臓が高鳴る。なんか痴漢みてーだ。思いながらええいと半ばヤケクソに俺は自分で開いたそこに南波のものを押し当てようとする。……が、目を瞑ってるせいか上手く入らない。 「っん、ぅ……ん……ッす、みません……」  つい、そう謝りつつ俺は自分の背後に目を向ける。わかんねえ、わかるわけねえよ。こんなの。なるべく指で穴を広げ、亀頭を押し当てようとするが先程よりもどんどん溢れてくる先走りでぬるぬると滑り、おまけに力も加わってうまく行かない。  ど、どうすんだこれ……。そうもたもたしていた矢先だった。ぶちりと何かが引き千切れる音が聞こえた。 「え?」と顔を上げた瞬間だった。大きく、分厚い掌に臀部を鷲掴まれた。それが南波の手だと気付いたときには遅かった。 「っひ、ぎ……ッ!!」  なんで、嘘、つか。 「おや、どうやら引き千切られたようですね」 「待っ、ぁ゛ッ、なんばさ、待っで、ぅ゛ッ、ぐ!」  内臓が出る。  一気に奥まで突き上げられた衝撃に耐えられずびんと背筋が伸び、逃げようとする腰を更に捕まえ、南波は俺を押し倒すように体位を変えてくるのだ。  ケツを持ち上げるように浮かされ、容赦なく挿入される性器。苦しいはずなのに、それ以上に驚いて状況が飲み込めず、奥を亀頭でずんずん押されるだけであれほど我慢していた汚い声が漏れてしまうのだ。 「ぁ゛ッ、待っ、ぁ゛ぐッ、なんばしゃ……ッ! 死ぬッ、しぬ、から……ッ! 抜い……〜〜ッ!」  南波の腰の位置まで下半身掴み上げられ、やべえ体位で犯される。痛いのに圧迫感と相まって頭に血が昇って全神経が下腹部に集まるのだ。  緩まるところを知らないピストンに助けを求める暇もない、「まあやっぱりこうなりますか」とやや離れたところで花鶏が傍観してるのを見て助けてくださいと声を上げようとするがそれも掻き消された。 「な、んばしゃ」せめてゆっくり、と声を上げようとしたとき、片手で目隠しと猿轡を外した南波の目を見てぎょっとする。 「っ、準一さん、俺の女になってくれるんだよな?」  頭は最早回らない。ぜえぜえと乱れた呼吸、思考の中、確かに俺はこの女っ気もクソもない館で南波のため女役をやらされたが、でもこれは。ぐるぐると回る思考、情欲と酒気で濡れた南波の目に見据えられ俺は何も考えられなくなる。はひ、と回らない呂律で返事をした瞬間。 「ん゛ぅ゛うッ!」  びくんびくんと跳ねる腹部、ぽたたと落ちてくるそれが自分の精液だと理解するよりも再びピストンを再開させる南波に言葉を失った。  それからはもう地獄だった。俺は、花鶏が南波の女関係に苦言を呈す理由を身を持って知ることになる。  獣のようにひたすら犯され、後半は声も出なかった。女というより肉だ、オナホだ。人としての尊厳すら踏み躙られ、俺は今まで南波が使い捨てにしたという顔も知らぬ女子たちに思いを馳せるのであった。  ◆ ◆ ◆ 「ほんっっっとうにすみません!! 殺してください! 俺みたいなゴミがッ!! 準一さんになんて……あ゛ぁ゛ッ!!」 「……もういいですから、それに、あのときはお酒も飲んでたし……」 「とはいえ随分と楽しそうに準一さんを犯してましたが」 「お、俺は……なんてことを……」 「気持ちよかったでしょう?」 「すげえスッキリした……」 「……………………そっすか」  事後。何度か射精して満足して爆睡したあと酒も抜けたようだ。目を覚ましてから記憶はあったらしく、ずっとこの調子だ。  花鶏の部屋を出てからもずっと死にそうな顔して行く先行く先土下座してくる南波にどうしたものかと頭を抱えていたとき。 「えーなになに? どうしたの? 南波さんがまたなんかヘマしたの?」  出た。見たくない顔ナンバーワン。ちなみにツーは花鶏だ。 「おや、いいところに来ましたね、幸喜。実は南波が準一さんで男を克服することができたんですよ。……一時的ですが」 「っ、ちょ、花鶏さん……!」  なんてことを言い出すんだ。笑顔で答える花鶏に血の気が引く。こんなことを言えばあの好奇心キチガイの幸喜が興味を持ってしまうのでは……。 「ええ? まじで? すげーじゃん、やるなぁ南波さん!」 「ひっ! さ、触んなクソガキ!」 「なあ、それ俺にも見せろよ」 「え……」 「だーかーらー、俺にだけ見せないなんて酷いだろ? 今まで南波さんの恐怖症克服に散々手伝ってやった俺にさぁ? ……だから、今度は酒抜きな」 「やれよ、ここで」にっこりと笑ったまま南波に肩組みする幸喜。その目が笑っていないことに気付いたときにはもう遅い。デジャヴ。――地獄はまだ続いていた。  おしまい

【総集編版】酔狂と狂騒※【↑100/12,000文字/花鶏+南波×準一/3P/飲酒】

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