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田原摩耶
田原摩耶

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【総集編版】ひみつのおやすみじかん※【↑300/9,800文字/テミッド×伊波】

 ――某日、ヘルヘイム寮のとある一室にて。  あまりにもやることがなく、「さてどうしようか」とテミッドと話し合った結果、テミッドとともに寮内を探検することになったのだが。 「ふおお……」 「ふかふか、です……伊波様」 「ああ、すごいなこれ……っ! ほら見てテミッド、俺の身体すごく跳ねる!」 「わ、あ……っ! すごい、伊波様……っ!」  今は使われていないという空き部屋を覗けば、そこには大きなベッドが存在していた。  王様ベッドならぬ魔王様ベッドというやつか。余程の体躯の持ち主がここにいたのかもしれない。ぼよんぼよんとトランポリンのように跳ねながら、側でうずうずと見守っていたテミッドに「テミッドも来いよ」と手招きする。 「ぼ、ぼくも……っわ!」  恐る恐るベッドに飛び込むテミッドだったが、思いの外弾力性のあるマットに驚いたようだ。そのままぼよんと跳ねるテミッドの手を取る。 「はは、テミッド捕まえた!」 「い、いなみ様……っ!」 「二人寝転んでもこんなに広いのすごいよな、流石魔王様ベッドだ」 「ん、は、はい……」  ごろんと寝転がり、伸びをする。硬いのに柔らかくて、衝撃はきっちりと吸収する。人間界にいた頃ではなかなか味わうことのできない、魔界ならではな不思議なベッドだ。  おまけに寝心地は最高だ。そのままうつらうつらしそうになっていたとき、すん、と近くて鼻が鳴るのが聞こえる。  なんだろうかと目を開けば、こちらをじっと覗き込むテミッドと目があった。 「うおっ?! どうしたテミッド」 「いえ、あの……伊波様の匂いが近くて……」 「あ、ご、ごめん! ……嫌だった?」 「いえ、その……いい匂いで、その、ぼ、ぼく……」  そう、もじもじと寝転がったままテミッドが身動いだときだった。テミッドのお腹がきゅるきゅるとなんともか細い悲鳴をあげるではないか。 「あ、お腹減ったのか?」 「うぅ……ごめんなさい」 「いいって、俺もお腹減ってたし。それじゃ、ハウスメイドに頼んでなにか飯用意してもらうか?」 「……ぁ、あの……その……」  先程からなんとなくテミッドの様子がおかしい。  そのままもぞもぞと近付いて来るテミッドに、「ん?」と身体ごと振り返ろうとしたときだった。  そのままテミッドがむくりと起き上がったかと思えば、気付けば俺はテミッドに押し倒されていた。 「っ、い、伊波様……ご、めんなさい……」 「え、な、なんの謝罪……っ?!」  少なくとも、俺はテミッドに謝られるようなことはしていないのだけれども。  そう困惑したときだった。テミッドの顔が近づいて来て、そのまま恐る恐るぺろりと頬を舐められる。人間の体温よりも少し低めなその冷たく、それでいてしっとりと濡れたざらついた舌の感触に驚いた。 「ひぅ……っ?!」 「……っん、ちょ、ちょっとだけ……」 「ぁ、こ、こらっ! テミッド……っ!」  すんすんと鼻を鳴らしながら、さらに頬から首筋へと犬みたいに舌を這わせてくるテミッド。  犬ならまだしも、テミッドは美少年だ。流石にこの絵面はまずい、と慌てて止めれば、テミッドの長い前髪の下、大きな目がうりゅ、と潤む。 「う、うぅ……っ、ごめんなさい……」 「お、怒ってないから……ただちょっとびっくりしただけ」 「いなみ、さま」  うりゅりゅ、と更に潤むその目に、俺はちくちくと罪悪感が刺激されるのを感じた。  ああ、やっぱり駄目だ。俺はテミッドのこの顔に弱い。 「……わかった……少しだけなら、いいぞ」  観念し、制服の詰め襟の留め具を外す。そのまま大きく首筋を晒し、俺はテミッドに身体を許したのだ。  グールであるテミッドにとって、人間の身体はご飯のようなものだ。  とはいえど、グールの中でも特殊な育て方をされたテミッドは人間の肉を食べない。その代わり、汗などの体液を好む、というのは今まで一緒にいて分かっていたことだ。  そんなテミッドの習性を忘れて、距離を詰めすぎた俺にも否がある。   「……っ、は、ぁ……む……っ」  馬乗りになったテミッドは俺の襟を掴んだまま、大きく開かれた首筋を丹念にしゃぶりついた。  時折首にかかった首輪を邪魔そうに噛み噛みしながらも、執拗なほど皮膚に滲む汗を丁寧に舐めとっていくテミッド。 「っ……ふ、……っ、ぅ……」  ただ舐められているだけだとわかっていた。意識しないように目を瞑るが、どうしても皮膚の上を滑る舌の感触に呼吸が乱れた。 「……ん、……っ」 「いなみ、さまの汗……おいしいれす」 「そ、うか……っん」 「ずぅっと、こうしていたい……」  可愛く、いじらしい言葉とは裏腹に、骨の髄までたっぷりと味わうようにぢゅる、ぢゅぷと音を立てて俺の首筋を唾液でべろべろに汚していくテミッドに頭がふわふわしてくる。  華奢な身体とは裏腹に強い力で腕を押さえつけられたまま、鎖骨に溜まって垂れる唾液を追いかけるようにそのままシャツの更に奥まで追いかけてこようとするテミッドにびくんと身体が震えた。 「は……っ、テミッド……っ、」  テミッドは本当にただ汗を舐めて匂いを嗅ぎたいだけなのだろう。一心不乱に貪られるからこそ余計中途半端に熱は掻き立てられ、下半身が熱を持ち始める。そんな俺に気付いていないのだろう、テミッドはそのままごく自然な動作でシャツの上から胸に鼻先を押し付けてきて、下腹部が震えた。 「っ、ん、ぅ……っ!」  胸はまずい、と堪らず仰け反ったときだった。いきなり部屋の扉が開く。  そして、 「伊波様、こんなところにいたのか……って、おい、何をしている!」  聞こえてきた低い声に、ベッドで抱き合っていた俺とテミッドはびくりと固まった。  あろうことかそこには用事から戻ってきた黒羽がいたのだ。 「あ、う」 「あっ、お、落ち着いてください黒羽さん、これはその……っ、誤解です!」 「そこまでいけば、誤解もなにもないだろうが……ッ!!」  確かにそれはそうだ。  その後、ただ戯れてる内に度が過ぎてしまったと説明し、しっかりと俺とテミッドは黒羽に怒られることになった。  俺が誘ったようなものだ、とぼとぼと自分の部屋に帰っていくテミッドを見てると流石に申し訳なくなったが――正直、黒羽に止めてもらえてよかったと思う。  きゅっと熱を持ち始めていた下半身を隠しながら、俺は必死に自分を落ち着かせるのだった。  ◆ ◆ ◆  ――その日の夜。  そろそろ眠ろうかとうとうとしていた矢先だった。コンコン、と控えめに叩かれる部屋の扉。  誰か来たのだろうかと扉を開けば、そこには赤髪の少年――テミッドが立っていた。その腕には部屋から持ってきたらしい枕が大事に抱えられている。 「いなみ、さま」 「テミッド? どうしたんだ? こんな時間に」 「眠れなくて、その……」  恥ずかしそうに枕に顔を埋め、もじもじと赤面するテミッドに「ああ、そういうことか」と納得する。  俺もホテルとか泊まったとき、いつものベッドと枕じゃないと寝れなかったしなあ。  昼間、黒羽に怒られたときのことを思い出したが、あれはテミッドのお腹が減っていただけだし、多分大丈夫だろう。 「ほら、入れよ」  そう扉を開き、俺はテミッドを自室へと招き入れた。  テミッドに甘えられると、なんだかまだ幼い兄妹に甘えられてるときのことを思い出して放っておけなくなるのだ。  お節介なのかもしれないけど、こうしてテミッドが頼ってくれるのは純粋に嬉しい。  ――寝室。  昼間のベッドほどではないけれども、それでもこの部屋のベッドの俺とテミッドが並んでも充分な大きさだ。  枕を抱えたままベッドへと潜ってくるテミッド。布団の中でその手が触れ合う度に少しどきりとした。 「テミッドの身体、やっぱり冷たいよな」 「いや、ですか?」 「ううん、ひんやりしてて気持ちいい。俺、体温高い方だから」 「伊波様、ぽかぽかで気持ちいいです……ぼくも、溶けそう」 「はは、こらテミッド……っ! 急に触られたらびっくりするだろ?」  ぴとりとこちらへと身を寄せてくるテミッド、そのこそばゆさとひんやりとした感触に思わず笑ってしまう。  こういうスキンシップ、最初の頃のテミッドからしてみれば考えられない。それほど懐いてくれたのだと思うと素直に嬉しいが、どうしても昼間のことを思い出して頭の中で黒羽が『節度を保つように』と目を光らせるのだ。  ……節度、節度なあ。  まあ、これくらいなら子供のじゃれ合いだと思えば……。  そんなことを考えながら、「くすぐったいだろ」とやんわりとテミッドから身体を離そうとするが、もぞりと離れようとした分更にテミッドが近づいて来るのだ。  背中越し、そのままぴとりと抱き着いて来るテミッドに少し驚いた。 「……っ、て、テミッド?」 「いなみ、さま……熱い……」 「テミッド……っ、この体勢はちょっと……」 「伊波様、ぎゅっとしてくれるの好き……僕も、お返ししたいです」  薄暗い部屋の中、ぽそぽそと耳元で囁かれる声に身体の奥がじんわりと熱くなっていく。  この場合、この距離を意識してるのは俺だけだ。テミッドの純粋な好意を受け取らないわけにはいかない。 「ん、わ、わかった……んっ、ぅ」  そういうことなら――。  そう背後のテミッドを振り返ったときだった。ちゅ、と唇を軽く押し当てるようにキスをされる。  ぎょっとするのも束の間、すぐに唇を離したテミッドは楽しそうに無邪気に頬を綻ばせる。 「……えへへ、いなみさまと、ちゅー……」 「っ、こ、こら、テミッド……っ、ん、う……っ」  照れたように笑うテミッドは、再び俺の顎を掴んで唇を重ねてきた。先程はぶつかるくらいの軽いキスだったが、今度はキスというよりも唇の感触を確かめるようなそんな執拗なキスだった。  ――ただのじゃれ合いだ、人間界と魔界ではキスの重みも違うのかもしれない。  だとしてもだ。 「っ、ん、ぅ……っ、ふー……ッ」    ちろりと唇の薄皮を舐っていた細く長い舌は唇をこじ開け、俺の咥内へと入ってくる。  執拗に粘膜中を舐め回され、じんわりと分泌される唾液は溜まり、開いたままの唇から溢れそうになる唾液ごとテミッドは啜って飲み干していくのだ。 「ふ、ぅ゛……っ」  もっと、とねだるように喉の奥の奥まで長いテミッドの舌が伸びてくる。  口の中這わされる異物感に耐えきれず、全身が緊張し、びくびくと震えた。待ってくれ、と言いたいのにテミッドは喋る暇も、息づく暇も与えてくれない。 「は……っ、んむ……いなみ、さま……唾液もおいひい……れふ」 「っ、ん、ぅ゛……っ! ふ、……ッ!」  ぢゅる!と下品な音を立て、舌ごと吸い上げられた瞬間、ぴんと背筋が伸びる。身体が熱い。ずるりと舌ごと引っ張られ、咥内中の分泌液をテミッドに舐め尽くされる。  そこでようやくテミッドは俺から唇を離した。 「……っ、ぷは、……はあ……っ、て、みっど……っ、待って……ッ」  これ以上は、まずい。  捕食のようなキスに手足が痺れ、喉が酷く乾いた。青ざめる俺を前に、テミッドはとろんと蕩けたような目で俺をじっと見据えるのだ。 「汗……」  そして、すんすんとその形のいい鼻先が近付いて来る。頬に流れる生理的な涙を汗だと思ったようだ。そのままべろんと頬を舐めるテミッドに、「ひゃう」と声が漏れた。 「っ、ん、や、ぅ、テミッド……っ」  涙の跡を辿るように舌を這わされ、そのまま目の縁にキスをされる。その行為に全身はあっという間に熱くなり、汗が滲む首筋に再びテミッドは顔を埋めるのだ。 「テミッド……っ、だめだ、これ以上は……っ」  テミッドは男だ。それでもお人形みたいに綺麗な見た目をしてるテミッドにこんな風に色々されて反応するなという方が難しい話なのだ。  パジャマの下、テミッドから口の中弄られてる内に熱を持ち出した下半身にテミッドも気付いたようだ。背後から伸びてきたテミッドの手にぷに、と勃起したそこを鷲掴みにされ「あう」と情けない声が漏れてしまう。 「ま、待って、テミッド……っ! そ、そこは……っ!」 「……?」 「ぁっ、待っ、う、や、……ぁ……ッ!」  玩具かなにかのように掌全体で握られ、そのまま柔らかく雑な手付きで揉まれるだけで太腿がびりびりと震えた。  逃げようと前屈みになれば、更に追い打ちをかけてくる愛撫未満の刺激に呆気なく俺はイカされるのだ。 「ふ、ぅ……――〜〜ッ!!」  ぎゅっとつま先を丸め、そのまま布団の中で呻く俺。下着の中に射精する俺に気付いたようだ。すん、と鼻を鳴らしたテミッドはそのままがばりと起き上がり、そして俺の上からシーツを剥ぎ取るのだ。 「っ、ぁ、や、テミッド……」  隠すものもなくなった下半身、テミッドは俺の股の間に潜り込むように興味津々になって顔を埋めてくるのだ。 「いなみさま、これ……なあに?」 「そ、それは……っ、ぁ、だめだ、テミッド……っ!」 「……ここからも、いい匂い、します」    射精したばかりのはずのそこは、テミッドに顔を擦り寄せられ再び汚れた下着の中でむくりと反応し始めてしまったのだ。  ああ、まずい。これ以上はただのじゃれ合いでは済まされなくなってしまう。 「っ、や、だ、駄目だって、テミッド……っ!」  そう、すんすんと下腹部に顔を埋めてくるテミッドの肩を掴んで咄嗟に止めれば、「だめ、ですか?」とテミッドはこちらを見上げる。  しゅんとしたその顔で見つめられるとなんだか罪悪感が込み上げてくる。 「だ、だって……これは……」 「……い、いなみさま、やっぱり僕と寝るの、や、ですか……?」 「いや、その、そういうんじゃなくて……っ」  テミッドが喋る度に息が吹き掛かり、その感触にだけで反応してしまう下半身に顔が熱くなる。  頭を擡げ、そのままぷに、とテミッドの顔に当たるそれをテミッドはそのままどさくさに紛れてちろりと舐めるのだ。 「っ、こ、こらっ! テミッド……っ、ん、ぅ……っ!」 「伊波様、らめ、れふか……?」  遠慮がちに細い舌先で裏筋を舐められ、どっと汗が吹き出すようだった。  こんなの、よくない。テミッドの教育にだってよくないのに、テミッドの舌先でちろちろと先っぽを擽られると理性が溶けてしまいそうになる。  ただ、触れ合ってるだけだ。べつに、変なことはしていない――魔界の基準では。ということならば。 「……っ、す、すこし、だけ……なら」  黒羽さんにバレたらどうしよう、と片隅にあった心配も、テミッドにちゅぷ、と亀頭を咥えられると吹き飛んでしまう。  俺の言葉に嬉しそうににこーっと破顔するテミッドに、なんだかもう俺は悪いことをしてる気がしてならなかった。  もう、遅い。  ベッドの上、起き上がった俺の下半身を捉えたままテミッドはそのまま俺の下半身を至近距離で見つめていた。 「伊波様のおちんちん……」 「そ、そんなこと言わないでくれ……っ」 「ん、かわいい……っ、ぴくぴくしてて、美味しそう……」 「た、食べちゃだめだからな! 匂い嗅ぐだけなら……ッぁ、く」  流石にフェラはまずいと良心の末、一旦テミッドを満足させるために匂い嗅ぐだけなら、という約束の元、好きにさせることになっていたのだが。  ちゅ、とそそり立った性器の裏筋に唇を押し付けられ、軽く吸われただけで腰が震えた。 「こ、こら、テミッドっ!」 「あぅ……ご、ごめんなさい……つい……」 「っ、ついなら、まあ……っ、んん……っ! って、人の話聞いて……っ、ぇ、ひ……っ!」  ちゅる、と先端から滴る先走りを零さないように舌で拭い取っていくテミッドに堪らず仰け反る。そのままカクカクと震える腰を掴んだまま、テミッドは鼻で深く呼吸をし、うっとりと目を蕩けさせるのだ。その薄い唇からどろりと唾液の塊が垂れ、それを舐めとるのも構わずテミッドは夢中になって俺の性器に顔を寄せる。 「はー……っ、ん、ご、めんなさ……っ、ぼ、ぼく、匂い、我慢できなくて……伊波様のここ、すっごくいい匂いで……っ、お、いしそ……っ」 「だめ、っ、舐めるのも……っ、匂いだけだって……っ!」 「ちゅー……っ、ちゅーもらめ、れふか?」 「だ、……っ、ぁ、う……っ!」  怒られたら一応はやめてくれるらしい。舌を引っ込めた代わりに、ちゅうちゅうと赤ん坊みたいに性器の側面から根本、睾丸へと吸い付いてくるテミッド。  相当我慢してるのだろう、抑えてくれてるだろうがその吸引力は凄まじく、皮ごと引っ張られるような刺激に全身が震える。 「っは、ぁ……っぁ、だ、め……吸っちゃ……ッ!」 「いなみさま……っ、ん、いっぱいいい匂いする、……っ、ここからも、もっといっぱい嗅ぎたい」 「ぁ……っ、ひ、ぅ……っ!」  テミッドの華奢な指が俺の太ももを掴み、もっとと言わんばかりに股を大きく開かせ、さらに奥まで顔を押し付けてくる。  睾丸の更に奥、硬く閉じていた肛門にテミッドの舌がちろりと触れた瞬間、汗が吹き出た。  そこは、まずい。  そう、「テミッド」と声をあげようとしたとき、唾液でどろどろに濡れたテミッドの舌はくちゅくちゅと入り口をこじ開けようとしてくるのだ。 「っ、ぁ、だ、め……っ、だめ、テミッド……っ」 「あ、ぅ……っ、い、なみさま……僕……っ、だ、駄目な子……です、いなみさま、ごめんなさい……っ、いなみさまが美味しそうで、ぼく」  ぼく、と譫言のように呟くテミッドは興奮したみたいに更に顔を押し付ける。睾丸に鼻先が推し当たり、顔のいい少年が夢中になって俺の下半身にむしゃぶりついてる図はあまりにも異様だった。  テミッドのこれは所謂グールとしての本能――食欲の部分が大きいのだと思っていた。  けれど、もぞもぞと腰を震わせるテミッドを見て俺はそれだけではないと理解する。  ――発情してる。 「い、なみさま……」  顔を上げたテミッドはねだるように体を押し付けてきて、そのままちゅぷ、と人の下半身をしゃぶった口で俺の唇を軽く吸うのだ。 「っ、ん、ぅ……っ、ん、ん……っ!」  こじ開けられた舌伝いに大量の唾液を押し流され、溺れそうになる俺の唇をふやけるまでねっとりと味わう。抱き締めるようにくっついてくるテミッド。剥き出しになった下半身に押し付けられてくるテミッドの下半身に呼吸が浅くなる。  恐らく、テミッドはこれの発散の仕方もわからないのだろう。太もも、開いた股の間にごりごりと押し付けられる固くなった下腹部の感触に汗が滲んだ。 「っ、ぅ、……あ……っいなみさま……」 「っ、お、ちつけ、テミッド……っ、ぉ゛……っ、待って、ん、っぅ……っ」 「は……っ、いなみさま、もっと……」  射精の仕方もわからないのだろう。それでも、俺の匂いが性的興奮に繋がるということだけはわかってるらしい。首筋を舐め、そのまま鎖骨から更に胸元まで顔を埋めてくるテミッドにびくりと体が硬直する。 「ぁ、……っ、テミッド……」  いっそのことちゃんと性行為のやり方を教えるべきなのか、いや流石にそれは一線を超えるのではないか――そんなことを稽えている間にもシャツの上から汗で滲んでいた胸に舌を這わせてくるテミッドに驚いた。 「ふ、ぅ……っ、く……っ!」  わけもわからないまま、赤ちゃんみたいに尖った部分を咥えては柔らかく噛んでくる。その度に更に大きく腫れ上がり、つられて反応してしまう下半身。  そんな俺に嬉しそうにしながらはっはっと呼吸を浅くしたテミッドは更に咥えたまま乳首をこねくり回し、美味しそうにしゃぶりついた。 「っ、だ、め、だって……っ、テミッド……っ!」 「ん、む、……おちんちん舐めてない……ここも、らめれふか……?」  覆いかぶさってくるテミッド。その潤んだ目で見つめられるともうなにが正解か分からなくなってきた。  それどころか、まあ胸くらいなら、と思ってしまう自分もいた。フェラじゃないなら、セーフか。 「な、なめる、だけだからな……」  つくづく俺はテミッドに弱い。 「……っ、ふー……っ、ぅ……は……っ! ひ、ぅ゛……っ!」  夜も更けていく中、俺はもう時間の感覚はなかった。唾液と汗でべろべろになったシャツは中途半端にめくられ、脱がされたまま俺はテミッドに抱き締められたまま永遠に胸をしゃぶられていた。  ふやけてしまおうが関係ない、ざらついた舌先や指で長時間愛撫され続けた片胸だけ異様にぽってりと腫れ上がり、そこをちゅうちゅうと吸い上げながらテミッドは俺の体を抱きしめていた。  そして、テミッドは行為をやめようとせず文字通り一晩中俺を味わう。  これならば普通に抱かれた方がましだ。  高められた状態で永続的に刺激を与えられ続け、自分から言い出したものの性器は匂いを嗅がれるだけ。そんな寸止めの状態で胸や脇、臍を舐められ続け、ぴくぴくと脈打つ性器は乾くことなくとろとろとカウパーを流すことが精一杯だった。 「っ、……ん、む……っ、ぅ……」  時折テミッドが寝間着越し、膨らんだ性器を俺の腰や足に擦り付けて快感を得ようとしてるのはわかった。意図してではなく、こうすることが気持ちいいと分かったからだろう。俺にバレないように腰を押し付け、俺の項の匂いを嗅ぎながらカクカクと腰を震わせるテミッドが何度射精したのかはわからない。それでも俺は敢えてそれを気付かないフリをし、止めなかった。 「っ、いなみ、さま……伊波様……っ」 「ぁ、……っ、ん、ぅ、……っ、ふ……」 「すき、です……やさしくて、柔らかくて、甘くて、いい匂い……いなみ様……っ」  何度目かのキスはこちらから口を開き、招き入れた。咥内を弄られることで得られる刺激が、今の俺にもっては大きかった。  挿入してほしい、と言えない代わりにテミッドの舌をねだる。キスだけならば、きっと黒羽も怒らないだろう。快感で塗り潰された頭の中、そんなことを考えながら俺はテミッドに乳首を扱かれながらも舌先同士を擦り合わせた。 「は、いなみ、さま……っ、ん、ぅ」 「き、きす……はいいから、もっと……」 「……っ! は、はい……っ!」 「ん、む……っ」  覆いかぶさってくるテミッドはそのまま長い舌を絡め、更に密着してくる。  ぢゅぷ、ぐちゅ、と音を立て、舌を包み込むように扱かれる。それが気持ちよくて、俺はされるがまま、抵抗することを忘れてテミッドからのキスを受け入れていた。 「ふ、ぅ」  キスに夢中になってる間に、溢れた唾液は胸元まで、垂れていた。それを塗り込むように這わされたテミッドの手に胸をぐに、と摘まれ、柔らかく引っ張ったり指の腹で潰されたりしながら俺達は夢中になってお互い舌を絡めあわせるのだ。  シーツの中はどんどん溢れる体液で匂いが籠もっていく。恍惚としたテミッドに貪られ続けながら、俺たちは一晩中《おままごと》に興じていた。  ――挿入はしてないのだから大丈夫だ。  そう思っていたが、挿入しないことが逆にどれほど辛いのか散々分からせられることとなった。  長時間の行為の余韻は凄まじく、朝を迎えても尚まだ全身はテミッドにむしゃぶりつかれたような感覚と熱が残ったままになっていた。  気付けば隣にはテミッドが健やかな寝顔で眠っていた。すぴすぴと寝息を立てるテミッドに抱きつかれたまま、甘勃ちしたままの下半身と悶々とした気分のまま起き上がる。  ……今度からはテミッドのために夜食を用意して置いておこう。  疲労感と淫らな気分が抜けきれないまま、俺はどろどろになったままの下着の感触に頭を抱えた。  それに、とテミッドの下半身に目を向ける。  記憶が曖昧だが、気持ち悪くなってテミッドは服を脱いだらしい。眠りながらも勃起してる性器を見て、なんだか申し訳ない気分になっていた。  ……少しだけならば、と恐る恐るテミッドの下半身に顔を寄せる。  そのままそそり立つ性器に恐る恐る唇を近づけ、先っぽを咥えようとしたときだった。  寝室の扉が開いたのは。 「伊波様、おはようござ――」 「あ」  います、と言いかけていた黒羽は、立った今まさにテミッドの下半身を咥えようとしていた俺を見て硬直した。  まずい、と青ざめたとき、むにゃ、とテミッドが「うー……」と手探りで俺の体に抱きついた。  まだ寝ぼけてるのだろう、半眼のまま、テミッドは「いなみさまの匂い」とむにゃむにゃしながら俺の胸に顔を埋める。 「ま、テミッド……っ、んん……っ! ちょ、待って……黒羽さん、これは誤解――」 「……話ならば後からしっかりと聞かせていただきます」  ――これは、相当怒ってる顔だ。  俺は黒羽からの説教が長引くのを覚悟し、心の中でテミッドに謝罪した。  おしまい

【総集編版】ひみつのおやすみじかん※【↑300/9,800文字/テミッド×伊波】

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