10月31日。 今日は夜から毎年恒例の生徒会主催のハロウィンパーティーが行われる。 その日の俺はというと、前日から寝れずにいた。 理由はわかっている。 そのパーティーには仮装必須といういかにもハロウィンらしい独特なルールが設けられていたのだけれど、勿論そんな仮装について全然わからない俺はある人間を頼ることにしていたのだ。 ――先週。 「志摩、あの……聞きたいことがあるんだけど」 「俺に?どうしたの?そんなに改まって」 「その……来週のハロウィンパーティーのことなんだけど……」 「ああ、生徒会が主催のあれね。……あれがどうしたの?」 「あ、えとその……一応、会長に誘われたんだけど……」 「……は?」 「それで、仮装って言われてもどういう格好したらわかんなくて……それで、志摩ならそういうこと詳しそうだったからちょっと教えてもらおうかなって思ったんだ」 どうせ会長の名前出した時点で嫌な顔をされるだろうというのは重々承知していた。 案の定ニコニコしていた志摩の顔が一転して不機嫌顔になるが、ここで折れてはならない。 ……だって俺にはこの手のことで気軽に相談できる人間は志摩くらいしかいないのだ。 「ぁ、あ、あの!確かに誘われたのは会長にだけど……その、変なことはないから……ただ顔を出すだけで……志摩も行くなら一緒にどうかなって……」 あくまで誘えば志摩は少しは機嫌が良くなるだろう、そう思って慌てて付け足せば志摩は少しだけ考え込む。 「……俺はついでってこと?」 「ち、違うよ!」 「……ふーん、会長会長言ってるのがちょっと引っかかるけど……要するに、仮装の衣装をどうにかしてくれって話でしょ」 「……う、ぁ、あの……いつもどうしてるかとかそういうの教えてくれるだけでいいんだけど……」 「別にいいよ、そんなフォローは。そうだ、なんなら俺が見繕ってあげようか」 今度は志摩の言葉に俺が驚く番だった。 「え?」と目を丸くする俺に、志摩は勝手に「決定ね」とか言い出す。 「いや、流石にそれは悪いっていうか……」 「ハロウィンパーティーは来週だったね。……それまでに用意できたらいいんでしょ?齋藤の服のサイズも分かってるし、当日には渡せるようにしておくね」 全く人の話を聞いていない。 「あの、志摩」狼狽える俺に、志摩は「こうとなったら早速探してこないとな」とか言いながらさっさとどっかに行き出すのだ。この時点で俺は嫌な予感しかなかった。 けれど、確かに志摩の仮装の変な力の入り具合を考えると志摩に任せておくのが安心な気もするが……なんなんだ、どう見ても何かを企んでる顔だった。あれは。 そして、当日。 「齋藤、それじゃ俺の部屋に来なよ」 その日の授業がすべて終わるなり、俺の咳までやってきた志摩はそう笑った。 結局なんの衣装を用意したのかも何も聞いていない。「それはお楽しみでしょ」と言って頑なに教えてくれなかったのだ。 正直良い予感がまるでしないのだが、志摩の部屋にはルームメイトの十勝がいる。 十勝が不在ではない限り大丈夫だろう、そう願いながらついていった志摩の部屋。 俺が部屋に足を踏み入れるなり志摩は、扉に内側からロックし、更にチェーンを掛けるのだ。 「え」と凍り付く俺に志摩は一言。 「十勝のやつなら明後日まで帰らないだろうから大丈夫だよ、気にしなくても」 何を気にするようなことがあるというのか。 扉を背に、ニッコリと笑う志摩に俺は楽観視してはホイホイついてきた自分を呪った。 ◆ ◆ ◆ 「志摩、やっぱりこれ、俺無理だって……似合わないよ……」 「そんなことないよ。ほら、ちゃんと鏡見てみなよ」 「む……無理……恥ずかしいってば……」 「今更俺に照れる必要なんてある?こんなのよりもっと際どい格好も見てきた俺に対してさ。」 そう言って、姿見の前、背後に立つ志摩は俺の頭にベールを乗せながら微笑むのだ。……すごくいい笑顔である。 志摩の渡したいもの。それは紙袋に入った衣装一式だった。半ば強制的に着替えさせることになっものの、俺は酷く後悔していた。 まともだと思い着てみれば明らかに足りないパーツ。長い丈のワンピースのような形状。最初はなんだと思ったが、志摩の載せたベールを見てそれが所謂シスター服だと気付いた。 白タイツやとてもじゃないが男用ではない下着まで入ってた時点で薄々嫌な予感していたが間違いない。 「志摩は……ずるいよ、自分だけ普通に仮装して……」 「齋藤が自分じゃどんな格好したらいいかわかんないとか言うからでしょ。それが嫌なら最初から自分で考えときゃよかったんだよ」 そう笑う志摩。その赤い唇から覗く鋭い牙に心臓がざわつく。いつも下ろしてる前髪を上げてるせいかまるで違う人みたいに見えるのだ。 皺一つないタキシードをきっちり着込んだ志摩は吸血鬼のコスプレをしてるらしい。コスプレというよりも、あまりにも徹底した着こなしに違和感よりも気味が悪いほど似合ってるという感想が先に来てしまう。 「ほら、ちゃんとタイツも履くんだよ」 「待っ……じ、自分で履くから……っ!」 「履き方わかんないでしょ。ほら、椅子に座って」 「う……」 なんで志摩は履かせ方が分かるんだ、という疑問はさておき。用意した椅子に人を座らせ、足元へと跪いた志摩は手袋越し、薄手のそれを手に俺の爪先に触れた。 そのままそっとつま先からぐっと伸ばすように履かされれば、素足に密着するその薄い布のフィット感に違和感を覚える。膝から上、裾の中へと手を入れるように引き上げられ、ぎょっとする。 下着が見えそうになり、咄嗟に裾を押さえれば志摩は笑う。「何をそんなに恥じらうことがあるのか」そう言われてみたいで、顔が熱くなった。 「……でも俺を頼ったのは正解だよ。だってほら俺の見立て、良すぎない?齋藤には絶対これが似合うって思ってたんだよね」 もう片方のつま先にもタイツを履かせ、そのまま一気に股の上まで引き上げられればあまりにも無遠慮な志摩の手に驚く。が、それも一瞬。すぐに志摩の手は離れた。その代わり、下腹部を包み込む違和感も温もりとともに溶けてしまう。窮屈だけど……女の人はいつもこんなものを履いてるのか。そう考えると酷くドキドキして……気が気でなかった。 「どこで、こんなもの見つけてくるんだよ……」 「いいんだよ、そんなことは気にしなくても。……それよりも、ほら、せっかく着替えたんだしパーティーに行く前に恒例のあれでもやっておこうか」 「あれ?」 俺の首元に小ぶりの十字架がついたネックレスを引っ掛け、志摩は俺の顔を覗き込んでくる。赤い唇が綺麗な弧を描く。 「……トリック・オア・トリート、俺的は甘いもの好きじゃないから悪戯の方がいいんだけど?」 最初からそのつもりだったのだろう。 絡みついてくるそのその目は、志摩が『ろくでもないこと』を考えてるときの目だ。 この展開は正直予想できていた。だから、予め俺はいくつかお菓子を用意していたのだ。 「悪いけどお菓子なら……」 脱いだばかりの制服を拾い、そのポケットを弄る。けれど、そこに入れていたはずの飴玉が入っていない。 「あれ、ここに用意してたはずなのに……」 「ああ、それなら俺が片付けておいたよ」 「……えっ?!」 「だっていらないでしょ、準備してたらつまらないし」 さらっととんでもないことを言い出す志摩。 俺が着替えてる間に制服を回収しに来ていた志摩に違和感を覚えていたが、まさか裏で他人の持ち物検査をしていたなんて。 無茶苦茶だ……。しかも横暴だ。 「ってことで、悪戯していい?」 「……最初からそのつもりだったんだろ」 「よく分かってるね」 ふ、と笑う志摩はタキシードのポケットから小袋を取り出した。その中にはクッキーが数枚入ってるようだ。 可愛らしいかぼちゃの形のそれを一枚取り出した志摩は、「ほら、口開けて」と促してくる。 なんでお菓子?と思いながらも、俺は志摩に促されるまま口を開いた。 「……っ、あ……」 口に入ってくるそれをおずおずと唇で咥える。瞬間、ほんのかな甘みが咥内に広がった。 「俺お手製かぼちゃクッキーだよ。どう?美味しい?」 「……うん、美味しい」 「もう一枚どうぞ」 「……ありがと……って、あの……これが悪戯?」 「そうだよ、悪戯。それとも何?もっと過激なことした方が良かった?」 「そ、そんなことないけど!……寧ろ、こっちの方が嬉しい……けど、悪戯っていうのは……」 変な気がする、と言いかけたときだ。 二口、三口とサクサクのそれを咀嚼していると、不意に、心臓の鼓動がやけに煩くなるのを感じた。 最初は違和感。けれど、バクバクと高鳴る心臓に怖くなって胸を抑えたとき、じわじわと体温が上がっていくのを感じた。 「………………?」 熱い、暑い。暖房のせいかとか、部屋に熱がこもってるのかとか、この衣装が厚いからかもしれないとかいろいろ考えたが、それ以上にこの感覚には覚えがあった。 デジャブ。 指先が震える。全身を巡っていた熱が下腹部に集中していくのを覚え、思わず俺は志摩を見た。 「……し、志摩……」 「ん?どうしたの?」 「……何か入れた?」 「どうして?」 「……なんか、このクッキー食べたら……変な感じになる……」 「変な感じって何?」 「っわかんない、けどなんか……変だ……美味しいのに、食べたら……お腹の奥が……」 言葉にし難い違和感だった。 けれど、普通にしているときに突然そんな感覚になることはない。これでまるで、まるで、内側から見えない何かに愛撫されてるかのような奇妙な感覚だった。抗えない熱について俺は、以前も志摩相手に似たような覚えがある。 「酷いなあ、それ、俺が変な細工したとでも言うつもり?……俺がそんなことするわけないでしょ。変なのは齋藤なんだよ、こんな格好してるから変な気起こしたんでしょ」 「違……っ」 「違わないよ。人のせいにするなんて非道いよね、齋藤は」 白々しい。前科があるくせにいけしゃあしゃあと言ってのける志摩は拗ねてみせながら、そして、立ち上がろうとした俺の肩を押し付け、再度座らせられるのだ。 「あーあ、せっかく楽しい気分だったのに傷ついちゃった。齋藤、ちゃんと謝ってよ。人のせいにしてごめんなさいってさ」 「……っ、俺は、別に……」 悪いことはしてないはずだ。 背後に立つ志摩に、「齋藤」と肩から腕のラインを撫でられる。それだけなのに、布越しの志摩の手の感触に酷く体が震えた。 「っ、や、やめ、志摩……っ、」 「……パーティーまでまだ時間はあるでしょ。ねえ、齋藤。せっかくだし俺とも遊ぼうよ。……どうせ、あそこじゃ邪魔しかいないんだからさ」 片方の手で顎の下を撫でられ、竦めた首根っこを掴まれて耳朶に触れるだけのキスをされる。 「志摩、いい加減に……ぃ……っ」 してくれ、と言うよりも先に、耳の凹凸に這わされる濡れた舌先に震える。 熱い舌。窪みのその隅々までなぞる 粘膜の動きに堪えられずに椅子から降りようとしたが、反対側の頭を掴まれそのまま固定されてしまう。 「そういえば齋藤は、悪戯してほしいって言っていたね」 耳の穴から直接鼓膜へと浸透するその声に全身が跳ね上がる。吹き掛かる吐息の距離に耐えられなかった。 今ならわかる、志摩が用意したクッキーこそが悪戯なのだと。それに気づかずにアホ面で美味しい美味しい言っていたのは俺だ。そのときの発言を掘り返され、死ぬほど恥ずかしくなる。 「それは、もう……っ」 「やっぱりナシは無しだよ。……そんなに悪戯されるのがお好みなら、応えてあげなきゃいけないよね」 背後からするりと伸びてくる志摩の手が胸元へと伸びる。十字架が落ちるそこの形を確認するように平らな胸板を撫でられ、息を飲んだ。厚手の布越しとはいえ、こんな服装をしているせいだろうか。余計、いけないことをされているような気分になるのだ。 「や、めて……志摩……っ」 体の上を這う志摩の手を掴み、引き離そうとすれば頭を掴まれたまま唇を塞がれる。 舌が、唇に触れる。ぎゅっと紡ぐが、執拗に這わされる硬い舌先に抉じ開けられ、そのまま喉奥へと舌を捩じ込まれた。 「っ、んッ……ぅ、んん……ッ!」 舌の根を捉えられ、粘膜同士を執拗に擦り合わされる。 異物混入クッキーにより熱を帯びていた下腹部に甘い痺れが走り、呼吸すらも奪われ酸欠に視界が眩んだ。 甘みが増す。熱い舌に蕩けそうになる。 たかが口づけ、そう思いたいのに、志摩にねっとりと舌を愛撫されるだけで頭の奥がじわじわと熱に侵され、何も考えられなくなる。 「……は、ふ……っ、ぅ……」 志摩の舌に翻弄されながら、椅子に縫い付けられたままの体を弄られる。胸から腹部、臍の辺りまでゆっくりと降りてくる手の動きに神経が反応し、あっちこっち行く意識に結果何も考えられなくなってしまうのだ。 血液が集中し、タイツの下、窮屈になる下腹部に気づいたとき、あまりの恥ずかしさに顔が熱くなった。膨らみ始めてることを志摩に気付かれたくなくて膝を擦り合わせて必死に隠そうとする。 けれど、そんなこと志摩の位置を考えれば無駄なことだとすぐにわかったはずだ。それすらもわからないくらい俺の意識は混濁していたらしい。 「……っ、ん、ぅ……ッ!」 伸びてきた志摩の手に思いっきり膝を掴まれ、そのまま大きく足を開かされる。瞬間、ロング丈の衣装の下、不自然な膨らみが顕になり、血の気が引いた。 俺から唇を離した志摩は、楽しげに喉を鳴らす。 「何をもじもじしてるのかと思いきや……」 「い、やだ……見ないで……っ」 「……いやいや、そんな格好してるのにさあ、駄目でしょ。なんでそんなに興奮してるの?」 「それともまさか、これも俺のせいだっていうの?」皮肉混じり、志摩の指先が膨らんだその先端部分を軽く押しつぶす。瞬間、衣装下の性器に刺すような快感が走り、堪らず俺は背筋を仰け反らせた。 声すらも出なかった。ただ少し軽く押しつぶされただけなのに、それだけで強い快感を覚えてしまう事実にただ恐怖を覚え、同時に頭が真っ白になるのどのその刺激に酷く心臓が反応する。 「――ッは、ぁ……ッ」 「……少しだけ遊ぶつもりだったけど……そんな状態でパーティーに行かせれるわけないでしょ、齋藤」 「ぁ、や……嫌だ、し……ま……っ」 まずい、と思ったときにはもう遅い。力が入らない四肢、スカートを捲し上げるその手に、足をばたつかせて逃れようとするが最早ソレは不可抗力だ。 タイツ越し。膝上から内腿を撫でる手袋越しの手の感触に息を飲む。焦らすようになかなか局部に触れようとしない手に、二重のもどかしさを覚えてしまう自分に嫌悪を覚えた。それ以上に、楽しむように他人の股倉を弄るその手が恨めしくて堪らない。 「ふ、ぅ……っ」 「はは、齋藤……今また大きくなったね。……そんなに早く触ってほしの?……本当、聖職者とは思えないね」 違う。好きでこんなことしてるわけじゃない。 そう言いたいのに、口を開けばみっともない声が溢れてしまいそうで、唇を噛むのが精一杯だった。 わかっててわざと人が嫌がることを言って反応を愉しんでるのだろう。意識したくないのに、嫌でも志摩の手に全神経が反応してしまうのだ。 スカートの下を這う志摩の手が下着に触れたときだ。ピタリと志摩の手が動きを止めた。 「……あれ、齋藤、俺が用意した下着は?」 驚いたような顔をしてそんなことを聞いてくる志摩に、俺は呆れ返った。志摩の用意した下着といえばあれだ、総レースの中身が見えそうなほど透けたほぼ下着の役割を果たしていないような布切れのことを言ってるのだろう。 「っあんな、の……履くわけ……」 「履いてないの?……せっかく俺が齋藤に似合うものをわざわざ用意してあげたのに?」 「はぁ……傷付くな」そう、大きな溜息をつく志摩。その横顔には先程までの上機嫌な色はない。 まさかそんなことで臍を曲げるなんて思っていなかった俺は、一瞬にして纏う空気が変わる志摩に内心慄いた。 「待っ、志摩……ひッ」 スカートの下、勃起したそれを下着の上から鷲掴みにされ堪らず息を飲む。 そのまま掌全体で圧迫するように握られれば、全身の毛穴から汗がぶわりと滲んだ。 「っ、ぁ……や……っ」 「これは罰だよ齋藤。……俺の好意を受け取ってくれなかった罰」 「っ、やめ、志摩……っ」 弱点であるそこを機嫌の悪い志摩に掴まれる。それ以上の恐怖があるだろうか。 恐る恐る志摩の腕を掴んで懇願しようとするが、指先で柔らかく全体を刺激された瞬間、その言葉は途切れる。 「ぁ゛ッ!……ひ、ぅぐ……ッ!」 「また大きくなった。……そんなに触ってほしかったの?……俺に。本当、シスター失格だよね」 「俺は、し、すた……じゃ……っぁ、あ゛ッ!ぁ、ひ、や……ゆ、び……や、め……ッ!」 先走りで濡れた下着で擦るように中の性器を扱かれれば、スカートの中に籠もった水音がグチャグチャと響く。逃げたいのに、腰を引こうにも椅子の上では逃れられない。開いた股の間、衣装の下で激しく刺激されるだけで腰が痙攣し、萎えるどころか量を増す先走りに全身の熱が上がる。 「っ、ふふ、すごい濡れてるよ、齋藤。齋藤って本当こういうプレイ好きだよね、すごい、俺の手袋までドロドロだ。……本っ当、全部台無しだよ」 椅子の上、身悶える人の体を押さえ込み、志摩は笑う。言葉とは裏腹にその口元には加虐的な笑顔が浮かんでる。 最初からこのつもりだったくせに。睨みつける暇もなかった。ただ脳味噌を塗り潰すほどの快感に下腹部の熱は決壊寸前まで迫り上がってきていた。 息をつくことも忘れていたのだ。必死に足を閉じようとするが、志摩がそれを許さない。 「ひ、ィ、ぎ……!」 必死に奥歯を噛み締め、声を殺そうとする。代わりに開いた口の端から止めどなく唾液が溢れ、どろりと糸を引くそれを志摩は躊躇なく舐め取るのだ。 そのまま唇を重ねられ、唇を噛まれ、歯列をなぞられ、その間も激しく性器を愛撫され、獣じみた声が漏れる。それを嫌がるどころかもっと聞かせろと言わんばかりに志摩は俺の口を開かせようとするのだ。 額から汗が流れる。体が痙攣する。射精がしたいあまりパンパンに膨れ上がった玉を志摩に柔らかく揉まれた瞬間だった、全身がぶるりと震え上がり、大量の熱が下着ごと志摩の手を汚した。 我慢するなんて器用な真似もできない。断続的に吐き出されたそれは志摩の手から滑り落ち、下腹部を濡らす。 「っ、は……齋藤……」 ぺろりと唾液を舐め、唇を離した志摩は虫の息の俺を見て、目を細めた。名前を呼ばれ、体が反応する。 衣装を汚してしまった。黒い衣装でも分かるほどの不自然な染みが染みるのを見て、わざわざ衣装を用意してくれた志摩への申し訳なさとこんな格好では会長たちの前に出れないという絶望感、そして浅ましい自分自身に絶望する。 「っ、ご、め……んなさ……っ」 「どうして謝るの?」 「だって、せっかくの……服が……」 「へえ?自分のことよりも衣装の心配するなんて……まだ随分と余裕があるみたいだね」 「……だって、パーティー……っ」 そもそも、そのために志摩にお願いしたのだ。 志摩のせいだとはいえ、堪えられなかった俺にも非がある。そう思うと酷く自分が堪え性のない淫乱のように思えてきて、泣きたくなった。そんな俺に、志摩は汚れた手袋を捨てる。 そして、いつの間にかに落ちていた前髪を鬱陶しそうに掻き上げる。表情は、不機嫌なときのそれだ。 「……齋藤さぁ、もしかして俺が本当にパーティーに行かせると思ったの?」 「……っえ?」 「最初からあんなところに行かせるつもりなんてないよ、俺は」 「っ、な、に……言って……」 言葉を失う。 パーティー前まで、と言っていた志摩の言葉をそのまま鵜呑みしていた俺にとって、志摩の言葉ら衝撃的だった。 凍り付く俺の下着を掴んだ志摩は、それを乱暴に剥ぎ取る。抵抗を忘れ、あっという間に脱がされた俺はスカートを抑えるのが精一杯だった。 そして志摩は、固く握り締めた俺の拳に自らの手を重ねるのだ。手袋越しではない、血の通った志摩の手の感触に全身が強張った。 「……普通に考えてさあ、そうじゃなきゃこんな可愛い格好させるわけないでしょ。本当……齋藤って馬鹿だよね」 だから、行かせられないんだよ。 そう笑って、志摩は俺の首から落ちる十字架に唇を落とした。流れるような仕草に目を奪われるのもほんの一瞬。 壁にかかった掛け時計の針は、イベント開始時刻を指していた。 「そ、んなこと……」 「寧ろ、俺が本当に連れて行ってあげると思ってた齋藤の頭にもびっくりなんだけど。……俺の性格、知ってるくせにさ」 「ッ、ぅ、や」 「ああ、この衣装のことだっけ?大丈夫だよ、最初から汚すつもりだったから好きなだけ汚しても」 「安心した?」なんて悪びれもせず笑う志摩に血の気が引いた。冗談ではない。安心する要素は一つもない。 逃げないと、そう思ったときには何もかもが遅かった。 重ねられた手を握り締められる。 絡みついてくる骨っぽい指に、その谷間を擦られるだけで全身に微量の電流のような甘い刺激が走った。 息を飲む。ただ触れられてるだけなのに、まるで敏感な部分を触れてるかのように全身の神経が反応するのだ。 「……大分効いてきたみたいだね」 「っ、し、ま……ッ」 「そんな不安そうな顔をしなくても大丈夫だよ。あのクッキーにはちょっと珍しい甘味料使ってるだけだから。……齋藤が想像してるような危ないものじゃない、ただちょっと……感度が良くなるだけだよ」 こんな風にね、と腿を掴み上げられる。 咄嗟に反応が遅れてしまい、大きく開いた足のその間、裾を大きく捲り上げられぎょっとした。 志摩、と慌てて足を閉じようとするが、それよりも先に膝裏を掴まれてしまい、とうとう動けなくなった。 下着を奪われたそこを隠すものはない。強制的に顕にされるそこへと向けられる志摩の視線に、顔が、全身がカッと熱くなる。 「み、ないで……ッ!」 「何言ってるの。見せるための衣装なんだからさ……ほら、隠さないで。それとも、椅子に縛り付けられたい?」 「……っ、……」 顔は笑っているが、志摩の言葉が冗談ではないことは俺がよくわかっていた。縛られたら最後、何をされても逃れられないような真似だけは避けたい。 口を噤む俺を見て、志摩は「学習、するようになったんだね」とクスクス笑った。 「賢い齋藤、そのまま自分で足を持っててよ」 「……っ、な……」 「隠さないで、ちゃんと俺に全部見えるように持つんだよ。……賢い齋藤ならできるでしょ?」 暗に、従わなければ拘束する。そう言われてるようだった。なんで、志摩の言うことを聞かなければならないんだ。そう思うが、ここで抵抗したところでこんな状態ではまともに敵わないというのを分かってしまった。 志摩の視線を感じ、恥ずかしさのあまり顔を上げることもできなかった。 ……これだけでも耐え難いほどの羞恥だというのに、俺に自分から股を開けというのか。こいつは。 嫌だ、絶対嫌だ。そう思うのに、俺が渋れば渋るほど志摩の期限が悪くなるのが分かって……怖かった。 ただ、足を持ってるだけだ。それだけで機嫌がよくなるなら……ましだ。そう自分に言い聞かせ、唇を噛んで沸きそうなくらいの羞恥を堪える。そっと自分の内腿を掴み、お腹にくっつけるように両足を持ち上げた。必然的に背もたれに倒れ込むような体勢になる。滅多に他人に見せることのないその部分を今、明るい部屋の中で他人に晒してるという事実に死にそうになった。 「……っこれで……いいの……?」 志摩の顔を見たくなかった。部屋の装飾品へと視線を向けたまま声を絞り出す。情けなく震えてしまうが、言い直す気力もなかった。 志摩は、笑う。そして、膝をついて俺の前へと屈んだ。 近くなる視線にぎょっとするも束の間、這わされる指は下腹部を包むタイツを引っ張りずらされる。 その力に堪えきれず走る電線。むき出しになる下腹部に唇を寄せ、キスをしてくる志摩に慄いた。 「……齋藤、今日の齋藤可愛いね。素直で、ちゃんと俺の言うこと聞いてくれるなんて……明日は土砂降りかな」 至近距離で見られてるだけでも耐えられないのに、下腹部を中心にキスを落とす志摩に頭がどうにかなりそうになる。 志摩が喋る度に吹き掛かる吐息を感じ、こそばゆさに身を攀じる。早く、早くこの狂った時間を終わらせてくれ。そう思うのに志摩はなかなかそこに触れようとはせず、寧ろそこを避けるようにその周囲に触れるのだ。 「っ、……ぅ……っく……」 射精したばかりにも関わらず、意識するあまりに下腹部に熱が溜まりだしてることに気づいた。 志摩の眼下で頭を擡げ始めるそこに、思わず手を離して隠しそうになってしまうが、股の間にある志摩の顔に気づいて、寸でのところで思い留まる。 「……齋藤、今出したばっかなのにもう勃起してきたんだ?見られるの好きなの?」 「っ、ち……が……っ」 「ああ、それじゃあ……早く触ってほしいんだ」 「ッ、あ……?!」 指先で軽く裏筋をなぞられ、堪らず情けない声が漏れてしまう。それだけでお腹に力が入ってしまい、ぎゅ、と締まるそこに志摩は手を伸ばした。 離れていた唇が近付き、窄みにキスされた瞬間、俺は耐えられずに志摩の頭を掴んだ。 「や……っ、だめ、だ……ッ!」 髪が乱れるのも構わず、志摩は俺を一瞥だけし、それから更に顔を寄せる。鼻先が当たる感触を覚えた瞬間、ぬるりとした熱い舌がそこへ押し当てられ、ゾッとする。 「っ、嫌だ、志摩っ、やめろ、志摩……ッ!」 唾液をたっぷりと垂らされたそこを固い舌先で擽られ、背筋が震える。息を飲む。駄目だと思うのに、俺の体は志摩に慣れすぎていた。 潤滑油代わりの唾液を塗りつけられ、こじ開けるように入り込んでくるその異物に堪らず腰が揺れる。 「っ、ぁ……嫌だ、し、ま……ッ、志摩……ッ!」 揺れる腰を捕らえられ、更に顔を寄せる志摩。 息が、近い、熱が、音が。 粘膜同士が擦れ合い、志摩の舌によって強制的に解されていくそこに唾液を流し込まれ、打ち震える。人の体温に侵されるような感覚。 志摩の舌で内壁を嬲られるだけでその箇所は甘く痺れ、何も考えられなくなる。丹念に解される。それが今は苦痛でしかない。丁寧に中を愛撫されるほど、疼きは増す。 「っは……っ、ぁ……ふ……っ」 おかしい、こんなことしてる場合ではないのに。 志摩の変なクッキーのせいだろう。そうに違いない。だって、こんなことをされて、もっとしてほしいなんて思うこと自体がおかしいのだから。 「……可愛い、齋藤。いつもそうやってしてたら……可愛いのに」 「っ、し……ま……っ」 「酷い顔だね、それじゃあ……シスター失格だよ」 言葉とは裏腹に、志摩は楽しそうに笑う。押し拓かれたそこから、志摩の唾液がどろりと溢れてくる。それを指で拭い、志摩は濡れそぼったそこを左右へと割り開いた。 外気に触れる粘膜、それに反応してお腹の奥がキュンと反応する。 「そんなに挿れてほしかったの?……ここ、すごいヒクヒクしてるよ」 「ち、が……っ」 「違わないでしょ」 そう、片手で器用にベルトを緩め、ジッパーを下ろす志摩。瞬間、窮屈そうにしていたそこから性器が溢れるのを見て、無意識に息を飲む。 「ここ、物足りないんでしょ?だから珍しく大人しく股開いて待ってたんだよね」 言葉で嬲られる。否定することができなかった。勃起したそれを見て、何も考えられなかったのだ。。 志摩のものから目を逸らせない。舌では届かない場所を思いっきり擦られたい、何度も奥を叩き潰されるように掻き回されたい。そうしなければこの疼きが収まることはないだろうとわかっていた。 「……っ、本当……ここで否定しないなんてさぁ……そういうところだよ、齋藤……っ」 冷ややかな笑みを口元に浮かべ、志摩は俺の腰を掴み、持ち上げる。そして、暗転。 ずるりと背中が擦れ、志摩の肩越しに天井が視界に入った。 「……齋藤……っ、好きだよ」 窄みに押し当てられる亀頭の感触に打ち震える。先走りと唾液が混ざり、猥雑な音が響く。捲くれたスカートの裾。いつの間にかに破れていたタイツを気遣ってる暇もない。 局部へと擦り付けられる感触に息を飲んだ。 瞬間。 「――ッ、ひ、ぐ……ッ!」 焼けるような熱が内部へと捩じ込まれる。 舌とは比にならない、ガチガチに勃起したそれは凶器にも等しい。 息苦しさ、想像以上の質量とその熱に堪らず喘ぐ。耐えるように自分の足を抱いた。食い込む指先。濡れた、肉の潰れるような音がお腹の中で響く。熱い。熱くて、それ以上に失ったピースがようやく嵌められたような充足感を覚える自分に震えた。 「っ、う、ぁ……っ、あぁ……ッ!」 浮いた歯の奥、声が漏れる。 志摩がゆっくりと腰を進める度に全身が反応する。確実に抉じ開けられ、内側から舐るように摩擦されるだけで脳髄が溶けるような感覚に陥った。 「っ、……し、ま……っ志摩、しま……っ!」 「……齋藤……っ」 「っ、ぅ、ぅんん……っ!」 唇を重ねられた。柔らかいその唇に何度も角度を変え、噛み付くように貪られる。 腰が動く。半分以上入ってきているそれが自分の中で更に大きくなり、脈打つ鼓動が流れ込んできた。 「っ、は……ふ……っぅ……っ」 志摩の舌は甘く、熱い。絡められる舌先に舐められるだけで頭の奥がじんじん痺れて、何も考えられなくなった。 いけないことをしていると分かってても、すでに全ては俺の手の届かないところにあったのだ。 「っ、んっ、ぅ……!……っ、ふ、ぅう……っ!」 腰を抱かれ、根本奥深くまで腰を打ち付けられれば一瞬何も考えられなくなった。思考が飛ぶ。他人のモノでぱんぱんに満たされた腹の中、ただ口の中を弄られながら俺はそれを感じていた。「入っちゃったね」と、唇を小さく離した志摩は俺の目を見詰めながらそう呟いた。 「……っ、は……熱いな、すごい……蕩けそう……」 「っ、ぁ、ひ……っ」 「……齋藤……動くよ」 うんともすんとも言う余裕があるわけない。 ただ満たされるその感覚に寄っていた矢先、奥まで埋まっていたそれを一気に抜かれそうになり、体ごと引っ張られそうな感覚に陥る。咄嗟に志摩にしがみついたのもつかの間、今度は奥まで腰を打ち付けられ、声にならない悲鳴が漏れた。 「ひっ、んぎっ!っ、ぃ、ひ……ィ……!」 「っ、齋藤……っだめ、俺の手握って、ほら、ここ。ねえ、齋藤、気持ちいい?は、……ッ、腰浮きっぱなしだよ……っ?ねえ気持ちいい?」 「っぁ、動かな、ぃ……ッひ、ぐ……ぅう……ッ!っに、ぬ、かな、い、でぇ……っ中、だ、め……っなか……こすっちゃ……ッ!」 「嘘。ここの裏側、こうやって先っぽでゴリゴリされるの好きでしょ齋藤……っ、ねえ?気付いてる?頭で潰す度に中痙攣してるの、俺の咥えてさぁ……っ?」 「ぉ、あ゛ッ!ぁ、や、ぁ゛あ、しまっ、ぁ、や……だめ……っむ、り、待、っぃ、ぁ、いや、抜いっ、ひぅう!」 何も考えられなかった。腹部、その裏側を亀頭の先端で擦られ、潰され、執拗に愛撫される。それだけで自分の体ではないみたいに全身の毛穴という毛穴から汗が吹き出し、喉の奥からは出したくもないみっともない声が溢れるのだ。強烈な快感に瞼の奥は熱くなり、やり場のない快感に堪らず志摩の腕にしがみついた。 熱い。呼吸する度に喉がひりつく。汗が流れる。気持ちいい。気持ちいい。……怖い。 「は、ぁ゛……あ、お゛ッ、ぁ、ぁああ゛……ッ!」 「……っ、齋藤……ふふ、本っ当酷い顔だね……っ駄目でしょ、仮にもシスターなんだからさぁ……そんな顔しちゃ……っもっと、我慢しないと……」 我慢。それをどうやってするのか、どんなものだったのか、それすらもわからない。何もわからない。ただ突き上げられる度に得られる快感だけが確かで、ぐちゃぐちゃに突き上げられるだけで自分がただの肉塊に為ってしまったかのような錯覚すら覚えた。首から垂れる十字架を手に取った志摩はそれを掴み、ぐっと俺の首を引っ張り起こす。 「そんなんだから、俺に付け込まれるんだよ」 細い鎖が首に絡みつく。リードかなにかのように引っ張られ、締まる器官、その息苦しさに耐えられずに口を開けば志摩にキスをされた。その間も結合したままの下腹部からは濡れた音が響き、全身で感じる志摩の存在に恐怖すらも塗り潰される。 苦しい、けれど頭がぼんやりしてきて、無意識に突き出した舌を性器のように唇で愛撫されるとそれだけで気持ちよくてただ無我夢中で志摩にしがみつく。細いチェーンが食い込む。痛みを痛みと感じる部分はすでに麻痺していた。 「っん゛、……っふ、ぅ゛……お゛ほ……ッ」 空気を求めるように舌を突き動かせば、微笑む志摩に舌を絡め取られる。吹き込まれる息。それでも確かに迫り上がってくるなにかに視界が霞み始める。体が反応する。首に絡みつく細いそれを引っかき、むしり取ろうとした瞬間、チェーンが壊れた。落ちる十字架。硬直していた下腹部を思いっきり抑え込まれた。 志摩が射精したのはほぼ同時だった。 「――〜〜ッ!!」 一気に流れ込んでくる酸素を吸う暇もなかった。体の奥へと注がれる精液は受け止めることができず、腿から流れ落ちた。 ◆ ◆ ◆ パーティーは既に終わり、日付も既に変わって新しい月を迎えていた。 それでも、志摩は俺を開放することはなかった。 「……齋藤ずっと垂れっぱなしじゃん。……汚しては良いって言ったけど、限度ってものがあるでしょ」 「っ、……ご、めん、なひゃ」 「嘘。いいよ、齋藤のなら……っ、いくらでも汚していいよ」 ベッドへと移動してからも、何度中に出されたのかもわからない。 射精したかと思いきや、体を触れられてるうちにまたすぐに勃起するのだ。何度も中を擦られ、熱を持ったそこは腫れ上がってるに違いない。満足したのかはわからない、ようやく俺の体から引き抜いた志摩に俺は終わったのか?と内心不安になりながら体を動かそうとした矢先。 伸びてきた志摩の手に、衣装の上から腹部を思いっきり押さえつけられる。 「っ、い……ひ……ッ?!」 瞬間、散々中に出され、溜まっていた精液が品のない音を立て一気に溢れ出す。垂れ流れ、吹き出し、シーツまでも汚すその白濁。不意打ちに堪えきれず、飛び上がる俺を見て志摩は笑った。 「いやらしいな、齋藤は。よく似合ってるよ、その格好。だらしない齋藤らしくてすごく……興奮する」 足首を掴まれ、ベッドへと引きずり倒される。大きく足を広げさせられ、長時間の性交で変形したそこから溢れる精液ごと舐めとる志摩に血の気が引いた。 萎えていたと思ったものが既に勃起してるのが目に入ったのだ。 「ぁ……あ……や、めて、やめ……」 「何言ってるの。……掻き出さないと後からお腹壊して辛くなるのは齋藤だよ」 「っ……ひ……ぅ……ッ」 優しい声とは裏腹に、自分の欲望を隠そうともしない志摩に心臓が跳ねる。自分の限界が来てるのはわかっていた。それでも、志摩の底無し欲望に充てられると釣られて反応する自分の体がなにもよりも怖かった。 「触れただけでヒクヒクしてるね、ここ。……もしかして、まだ足りない?」 「ち……が……ッ違、おれ……も……っ」 「……本当、はしたないシスターさんだね。……良かった、人前に出さなくて。こんなに似合う齋藤見られたら、どこぞの変態連中が食い散らかすだろうし」 その変態の中には自分は入っていないらしい。 言いながら、捲れあがった内壁に三本の指を捩じ込み、指の腹で中を撫で回される。収まっていた熱が蘇る。挿入される異物に嫌でも反応してしまうのがわかって、恥ずかしかった。 「ぁ……ん、ぅう……ッ」 何度目かもわからないキスを交わす。まるで恋人かなにかのように愛しそうに唇を啄み、舌を絡められる度に恐怖も焦りも全部溶けてしまうのだから恐ろしい。 濡れた音が響く。悪い夢を見ているようだった。ふわふわとした意識の中、それでも志摩に触れた箇所、そこに残る甘い痺れだけは確かに現実だった。 「っ、ん……ぅ……んん……」 これ以上は、無理だ。そう言わないと本当に死んでしまいそうなほどの底なし沼の中、キスされるだけで自分が何を言おうとしていたのかもわからなくなる。 ベッドのシーツに寝かされる。指を引き抜かれれば、ぽっかり空いたような物足りなさを覚えた。 「っ、ん、……ふ……っ」 志摩、志摩、志摩。何も考えたくなかった。ただ抱き締められ、わけがわからなくなる程抱かれ、恋人のように名前を呼ばれる。何故俺がこうして志摩の背に腕を回してるのかもわからない。 下腹部、擦り付けられる膨らみを感じながら身を捩った時、腰に回された志摩の手に背筋を撫でられる。その手に体を預けていたとき、志摩は俺を抱きしめたまま微笑んだ。 「齋藤、いいこと教えてあげる。 ……あのクッキー、本当は何も入ってないんだよ」 【Happy Halloween!】