XaiJu
阿井上夫
阿井上夫

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リリリク

「教導官の補佐…ですか? 僕が?」

「うん、引き受けてくれないかな?」


M78星雲、ウルトラの星は光の国。

若きウルトラ戦士ウルトラマンジードは、ウルトラマンメビウスから相談を持ち掛けられていた。

宇宙警備隊の隊長であるゾフィーからの指令でとある惑星に教導官としてメビウスが派遣されることになったのだが、人手が足りないためジードにも補佐役として同行を頼みたいらしい。


「僕よりもゼロとかの方が適任じゃないですか?」


ジードはかつて共に戦った先輩ウルトラマンの名前を上げた。

自分の実力に自信がないわけではないが、他人に何かを教えるというのはほとんど経験がない。

そんな自分よりもかつてギンガやオーブに稽古をつけた経験があるゼロの方が相応しいのではないかとジードは思ったのだ。


「生憎とゼロは予定が入っていてね。近々行われる宇宙警備隊の入隊試験の実技試験官を担当することになってるんだ」

「へぇ、あのゼロが試験官……」

「しかも相手は大事な愛弟子だからね。他の任務は受けられないってさ」

「え、弟子?」


この頃のゼロはとある見習いウルトラ戦士に半ば強引に弟子入りを志願されその対応に苦慮していた。

ゼロ本人は頑なに否定していたが、メビウスから見れば既に仲のいい師弟にしか見えなかった。


「彼ならきっと入隊試験を乗り越えるだろう。そうすれば君とも会う機会が来るだろうから、その時は仲良くしてあげてほしい」

「は、はい。分かりました」


詳しい事情は分からないが、とにかくゼロは来られないらしい。

そういうことならば補佐役を引き受けるのも致し方ない。


「それで目的地はどんな星なんです?」

「あぁ、行き先は惑星フース。20年ほど前にも他のウルトラ戦士が派遣された事がある星さ」


 ◇◇◇


惑星フースの警備隊舎の一画に作られた模擬戦場。

そこで汗を流す複数人の隊員たち。

彼らは模擬戦場の中央に陣取るメビウスに立ち向かっては返り討ちに遭っていた。


「バラバラに攻撃していても無意味だ。もっと仲間との連携を意識して、人数の利を活かすんだ」

「は、はい!!」


メビウスの指導に隊員たちが答える。

そこから少し離れた場所では二人の戦士が対峙していた。

一見すると互角に見える試合だが、見る人が見れば片方は戦うことに消極的なのが分かるだろう。

しばらく続いた模擬戦は片方が床に崩れ落ちたことで終わりを告げた。


「ま、参りました…、降参です……」


変身が解けウルトラマンから人間の姿に戻った朝倉リクは、模擬戦場の床に倒れ込みながら白旗を上げた。

荒い息を吐きながら自分を下した相手を見上げる。

「はぁ…はぁ…、どうでした? 私も意外とやるでしょう?」

「はい…、正直驚きました…」


リクを見下ろしながら笑みを浮かべる少女の名はリリ・アーカイヴ。

まだリクより年下の少女だか、れっきとしたフースの警備隊員である。


(まさかこんな女の子がここまで戦えるなんて……。完全に油断していた……)


見れば少し離れた場所ではメビウスが大勢の隊員相手に少しも引くことなく立ち回っていた。

それに引き換え自分は目の前の少女ひとりにこの様である。

自分の不甲斐なさに落ち込むリクにリリが語りかける。


「でもリクさんが本気を出していたら、私なんか手も足も出なかったと思いますよ」


変身を解いたリリの言葉にリクは気まずそうに苦笑した。

「……ッ、き、気付いていたんですね。僕が本気じゃなかったの……」


たしかにリクは模擬戦で全力を出していなかった。

ただしそれは決してリリを侮っていたわけではない。

彼女にケガをさせないためのリクなりの気遣いだったがまさか見抜かれているとは思わなかった。


「わかりますよ。だって私の知っているウルトラマンはもっと強かったですから」

「僕以外のウルトラマンに会ったことがあるんですか?」

「えぇ、以前に少しだけ……」

そう語るリリの表情にはそのウルトラマンへの様々な想いが込められているように見えた。

自分がこれまで多くの出会いや戦いを経験してきたように、きっと彼女にも色々な過去があったのだろう。

彼女の言うウルトラマンがどんな人物だったのかリクは気になったが、あまり深く詮索するのも良くないと思いそれ以上は聞かなかった。


「ところでリクさんが本気を出さなかったのは、私が女の子だったからですか?」

「え、えぇ…、まぁ……」


話題が最初に戻りリクは曖昧な返事を返すことしかできなかった。

やっぱり自分には教導官など荷が重かったのだろう。


「ダメですよ。女の子だって戦えるんですから。こういう時にはそういう遠慮はしちゃいけません!」

「……っ!」

リリの言葉にリクはかつて自分と共に戦ってくれた女性たちのことを思い出した。

ライハやモア、湊アサヒ……。

彼女たちのことを知っていながら、リリが女の子というだけの理由で手を抜いてしまった。

彼女の頬を伝う大粒の汗を見れば、彼女がこの模擬戦にどれだけ真剣だったかはよく分かる。


「……そう…ですよね。すいません、僕が間違ってました」

「ふふ、次からは気をつけてくださいね」


まるで子供を窘める母親のように微笑むリリ。

自分の方が年上のはずだが、リクはもしも自分に母や姉がいたらこんな感じなのかと不思議な気分になった。

それを口にするのは流石に気恥ずかしかったのか、リクは気を取り直して立ち上がるとジードライザーを構えた。


「リリさん、もう一戦しませんか? もちろん次は手加減なしで!!」

「望むところです! 次も負けませんよ!!」

リリもそれに応えるように左腕のブイレスを掲げる。


その様子を離れた場所から見守っていたメビウスは安心したように自分の担当に戻った。

ジードは新世代のウルトラ戦士を担うと共に、まだ見ぬ新たなウルトラ戦士の先輩として彼らを牽引していくべき存在だ。

今回の経験もきっと彼の成長に繋がることだろう。


 ◇◇◇


その後、任務を終えたメビウスとジードは警備隊員たちに見送られながら帰路についた。


「リリさん、色々とお世話になりました。ありがとうございます」

「お礼を言うのはこっちのはずなんですけどね。でも、どういたしまして。いつかまた会いましょうね」

「はい、必ず!」


笑顔で握手を交わしながら再会を約束するふたり。

朝倉リクとリリ・アーカイヴ。

ウルトラマンベリアルと深い縁を持つふたりが互いにそのことを知るのはもう少し先の話である。

リリリク リリリク リリリク リリリク リリリク リリリク

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リリちゃんって本当天使

リリ好きなひと


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