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単行本2巻発売裏話&弱者を主人公にする意味

連載中の「限界独身女子ごはん」の単行本第2巻が本日発売されました。

応援してくださるみなさまのおかげで、現状3〜4巻までは本にしてもらえるつもりで先の話も描いています。売れてくれ(切実)


今回の表紙について気づいた方もいるかもしれないのですが、現在甚大な被害を受けているニコニコでのバナーイラストと構図が全く同じなんですよね。


実はこの表紙、単行本1巻の表紙として一番初めに描き下ろしていたもので、カラーまで仕上げた挙句に「なんか雰囲気がピンとこない」という理由で一度ボツになったカットなんです。


もともとは連載前にバナー用のイラストを作るよう言われてラフを描いていたのですが、どうせ作品の顔になる絵ならそれをそのまま単行本表紙にできるようなイメージにしようと考えていました。


こちらが当時描いてた状態のもの。


全体として見た時になんか雰囲気が違いますよね。色味もそうなんですが、背景を細かく描いてないんです。担当氏に「バナーとして作品の雰囲気を伝えるなら十分だけど、表紙としては使いづらい気がする」と言われ、結局そのとき別案として出していたラフを1巻の表紙として仕上げることになりました。


当時はまだ連載も始まってすらいない状態だったのでなにがダメなのかよくわからないまま今の今まで熟成させていたのですが、いざ一年以上描き続けて自分で感じたのは「思ってたより暗いばっかりの作品じゃないな」ということ。

2巻までの間に美夜子さんもわずかながら状況が変わっているし、あまりに暗く隔離された世界観の絵だと手に取ってもらえないんじゃないかということで、全体の雰囲気を明るく、より現実に近い背景も入れようとして手直ししたのが今の表紙です。


全然印象ちがうよね。

よくよく見るとお箸の角度がちょっと不自然だったりするのはラフを描いた当時の未熟さの名残です(というか今気付いた)。




さてここまで雰囲気を明るめに変えても、美夜子さんをいわゆる「弱者」として見せる構図はおそらく今後も変わらないと思います。表紙で幸せそうな顔もしない。

かなしいかなこのキャラクターが幸せで安定した勝ち組の生活を取り戻すことは永遠にないのである。

なぜでしょうか。


この作品に限らず、物語の主人公というのは必ず誰もが共感してしまうような普遍的な生きづらさ、悩み弱みを抱えているものです。

お金がないとか、日々の仕事が辛いとか、美味いものが食いたいとか、信じてた人に裏切られたとか、死ぬのが怖いだとか。

チートでハーレム作ってるなろう系転生主人公ですら、一番最初に「現世ではロクな目にあっていなかった俺」という強力な負の共通項を描いているからこそ、そこから異常なまでの角度で這い上がるストーリーを受け入れられているわけです。


もしこれが「現世で金も恋人も持って幸せに暮らしていた俺が異世界でもやはり無双して幸せになっていく話」だったらどうでしょう。

クソむかつくよね。勝手にやってろリア充がって思うよね。


アイドルやVtuberが恋人バレしたら怒られる理由もこれです。

恋人がいなくて寂しい人生を送っている弱者たちが、恋人がいて幸せな人生を送っている異性の勝ち組を応援する気になるでしょうか。

どうしたって見下されてる気がしちゃうと思う。そうでなくとも、自分が求めても持っていないものを持っている人の言葉や想いは届きにくいものです。共感材料がないから。


美夜子さんの周りには魅力的な男性キャラをあえて登場させていません。外見だけは美少女として描いている彼女の前にそんなものを出したら否が応でもそれらがくっついてしまう未来を想像してしまうし、そうなると美夜子さんは幸運が降って湧いてきた勝ち組女性に見えてしまいます。

妹の真陽は姉と真反対の成功者ですが、姉に過剰な施しはしない天邪鬼気質なキャラとして描いています。もしシスコンの妹が無職の姉を養う話になっていたら、やはり美夜子さんはただ生まれの運が良いだけで立ち直れる勝ち組人間だと認識されてしまいます。


物語の主人公というのはあくまで生きづらい人生をはいずって、立ち直るとしても最終的には自分の力で境遇を変えていかなければダメです。その姿が力強くて魅力的に見えるのです。

人間、最初から幸せそうにしている人を応援しようという気にはなりません。

我々の生きづらさを同時に背負ってくれてるキャラクターだから目が離せないのです。その最たる例がイエス・キリストだったりもする。

そんなわけで美夜子さんが完全なる安寧を手にする日は残念ながら未来永劫おとずれません。

そういうどうしようもない幸の薄さもこのキャラクターの魅力なのだと思います。


とはいえ人間らしいささやかな充足感が日々を支えるという救いはあります。

我々もそうですよね。とりあえず仲のいい友だちと話せた日、美味しいものを食べられた日、自分を一つ肯定できる理由が見つかった日。

そういう栄養をちょこっと摂取できる作品を今後も作りたいと思ってる。



あと2巻の単行本で修正できなかった作画ミスを見つけたら全力でスルーしてくださいお願いします後生だから

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Comments

絵がまるで今と仕事辞める直前との対比みたいになりましたね。 先生も仰られる様に、作品への雰囲気が当初考えていたものと変化していった感じが表れているようです。 またどん底に落ちて這い上がる作品は人気ですが、言われてみれば成功しててさらに成功する作品はあまり見ないし、逆に棚ぼたや順風満帆にドラマ性は皆無ですよね。 映画ならアイアンマンでさえ「成功→危機的状況→這い上がる」の構図ですし、這い上がる・もしくは成長の軌跡というのはとても魅力を感じる流れです。 (アイアンマンはカリスマ性も高いからちょっと違うかもしれないけれど...。) 美夜子さんが幸福になることは永劫無いと方針を発表されておりますが、それでも今までのように、会社勤めの時は気づけなかったであろう小さな出来事を経てどんな変化があるのか、これからも続きを楽しみにしております。 また予約した第二巻が到着するのを待ちつつ、到着後の読み返しで改めて美夜子さんの軌跡を辿るのが今から楽しみです♪

瑞穂 仁

ありがとうございます よかった☺️

的場りょう

電子版、購入しました 少しずつ明るく?変化していく回とマッチした表紙だったと思います

matsurida

いつもありがとう!

的場りょう

電子版ですが、早速2巻購入しました。カバー裏のあるあるにふふっと笑ってしまいました。 ゲーマーズ特典もぜひ手に入れたいので、本日店舗に寄ってみます。

おいもちゃん


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