“何?何?何?もう終わりじゃなかったの?” そう思っている私の体は横にされ、また木箱に入れられる。 “ヤダっ、ヤダっ、ヤダっ!怖いのもうヤダっ!!” 声も出せず体も動かせず意思表示のできない私の思いは届くはずもなく、木箱に箱詰めにされていく。 目の前のスタッフは私を物のように扱い淡々と白い緩衝材で私の視界を白一色にすると、木箱に蓋をした。 “ヤダっ、出して!出してよ!” 私はまた木箱に緩衝材と一緒に圧迫されながら詰め込まれ、恐怖しか感じない電動ドリルの音を聞きながらも木箱に閉じ込められた。 そして、木箱にテープが貼られると木箱ごと持ち上がりコンテナの奥へと積み込まれるのだった。 そこから私は息苦しさと圧迫に耐えながら木箱から出してもらうのをひたすら待つしかなかった。 先ほどとは別の刑事の声が近づいてきたかと思うと私を発見してくれた。 「いました!こっちです!」 「大丈夫ですか?すぐに助け出しますね」 刑事役の俳優さんの顔はハッキリとは見えないが優しく声を掛けられた。 そしてすぐにラバースーツを着た女性にすり替わったのだろう。 先ほどの優しく声を掛けてくれた刑事役の俳優さんの声がどんどん遠ざかっていく。 私は緩衝材の入った木箱から出され、立たされると、また大きなビニール袋を被せられてガムテープを巻かれる。 もう助けを求めても無駄だとは分かっている。 怖くても苦しくてもキツくてもこれに耐えるしかないのだ。 私は人としての権利を全て奪われてマネキン人形にされているのだから。 あと3回同じように箱詰めされれば、この仕事は終わる。 そう思うことしかできなくなっていた。 3回目以降のことはよく覚えていない。 とにかく覚えているのは、圧迫され苦しくて真っ暗闇の木箱に閉じ込められてはしばらく出してもらえないこと。 中でも電動ドリルの音は閉じ込められているのかも、解放されるのかも分からず、ただただ恐怖でしかなかった。 気づけば私は潮の香りを感じ、遠くの波の音を聞きながらうつ伏せに横たわっていた。 “撮影は終わったの?” 取り敢えず、もう木箱に詰められない事に私は安堵した。 つづく