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ドルフィン『裏』ファン感謝祭・序章

◇ I


ワアアアァァァァッッ!!


夕陽が照らすオレンジ色の空の下、巨大なスタジアムに響き渡る歓声。


観客席から数万を超える観衆たちの熱い声援と視線が集まる中、水上バイクのようなマシンに跨り、スタジアムの中央に広がる巨大な海水プールの上をまるで滑るように駆け抜けていく少女たちの姿があった。


みちる

「いくわよ、入華! 準備は良い!?」


入華

「はい、センパイ! 私たちの練習の成果、しっかり見せましょう!」


スロットルを回し、水上に弧を描きながらマシンを加速させていく赤い髪の少女と、銃を構え、狙いを定める青い髪の少女。


彼女たちの視線の先に、同じくマシンに跨った美しい長髪の美女2人組の姿が映る。


氷織

「来ますよ、シュネー。回避と同時に仕掛けます」


シュネー

「了解だ、ヒオ。近距離から散弾で牽制し、まずは相手の態勢を崩す。みちるくんは狙いは確かだが、乱戦にハマると弱いからね。悪いけど今回も弱点を突かせてもらうよ」


知的な雰囲気を帯びた小柄な少女はそう言いながら、前方の相手が察しない程度に態勢を低くし、マシンの後ろで浅く銃を構える。


そんな彼女の前でマシンに跨るモデルのようにスラッとした長身の美女は、前に意識を集中しながら、ハンドルを強く握り、相手に負けないほどスロットルを強く回した。


2つのマシンのエンジン音が唸りながら徐々に間合いを詰め、銃の射程圏へと近づいていく。そして、


氷織

「今です! シュネー!」


シュネー

「任せろヒオ、やぁぁぁっ!」


ドンッ!ドンッ!


操縦者の合図と共に、即座に銃を正面に構え、敵に向かって立て続けに散弾を撃ち込んでいく小柄な少女。


だが対する赤い髪の操縦者は臆することなくスロットルを回し、マシンを加速させると、ハンドルをその場で勢いよく、ほぼ90°に切り返した。


シュネー

「何!?」


舵が真横に切られ、マシンが高速でターンを決めると同時、小柄な少女の前で前方に立ち登る大きな水の壁。それは正面から打ち込まれた散弾の威力を一度に打ち消し、さらに2人の前から敵の姿を覆い隠した。


いるか

「センパイ!」


みちる

「ええ! これが私たちの特訓の成果、はぁぁっ!」


驚く小柄な少女の目の前に、立ち上った水の壁の向こうから、マシンからジャンプし、空中で銃を構える青い髪の少女が姿を現す。そして彼女の銃口が相手のマシンの姿を捉えると、その引き金を強く引いた。


ドン、と音を立て、相手のマシンに向かってまっすぐ、力強く伸びていく弾道。

だが、


氷織

「ふ、やりますね。ですが、まだまだです!」


水の壁から現れた青い髪の少女が引き金を引くと同時。相対するマシンの操縦者は微塵も動揺することなく、スロットルをさらに回して加速し、水の壁に沿うようにハンドルを切りながら相手が生み出した波の力を利用して、まるでサーフィンボードのようにマシンを操りながら波の上を高速で真横に滑らせていく。


放たれた弾丸はちょうどマシンの背後を掠め、そのまま水面へと直撃し、ドォンと大きな音と共に高い水柱を立てた。


ワアァアアァァァァッッ!!


少女たちの激しい攻防に観客たちの声で湧き立つ会場。


プールの中では、攻防を繰り返すマシンの後方からさらにそれぞれ2台目のマシンが駆けつけ、援護射撃や防御を繰り返しながら再びそれぞれ間合いをとっていく。


熱い戦いが繰り広げられ、観客席も熱気に包まれる最中。会場の中ほどにある席に、紙コップに入ったコーヒーを片手に涼しい顔で会場のプールを眺める、1人の中年男性がいた。


???

(ふぅん、これがジェットバトルか。確かに動画で観るのとはまるで迫力が違うな)


歳は30代中盤〜後半程度。黄色いタートルネックのインナー白衣を思わせるような薄手の白コートを身に纏い、グレーの長髪を後ろで箒のように雑に束ね、中年にしては比較的引き締まった細い体でスラッとした長い足を前に組んでいる。


男は四角いメガネ越しに目の前で何度も立ち昇る水柱や水飛沫を眺めがら、手に持っていたコーヒーをすすると、足元に置いたビジネスバッグから板状の端末を取り出して指で起動させながら、会場の真ん中に取り付けられた巨大なモニターへと目線を映した。


そこでは進行役のMCの少女たちの実況音声と共に、会場の各場所に取り付けられたカメラが捕らえた水上で戦う選手たち、通称『ドルフィン』の姿が大きく映しだされていた。


ワアアアアァッッ!!


未だ熱い攻防を繰り広げる選手たちに沸き立つ観客たち。その度にモニターには彼女たちの勇姿が拡大されたリプレイ映像で映し出され、観客、それも特に男たちの視線が一堂に集まる。


映像と共に流れてくるのはMCたちの感想とテクニックの解説。だが周囲の男たちの関心はどうやらそこではないと、メガネの男は彼らの声や動きの雰囲気から察していた。


メガネの男

(まぁ目的はそこだろうな。ふふ…)


男が再びコーヒーをすすりながら眺めるモニターの映像。そこには今、最も彼らの興味を惹くものがアップで映し出されてる。


映像に映るのは先ほどプールの上で華麗なターンを決めた、赤い髪の少女。緑色のシュシュで横にまとめた髪を靡かせながらマシンに跨り、衣装はスポーティなデザインながらも露出が多く、ぴっちりとした水着調のスーツが適度に鍛えられたしなやかな肉へと健康的に食い込んでいる。そして何より一番目を引くのは、


ドォォォンッ!!


いるか

「ひゃあぁっ!」


観客の男たち

「おぉおぉっ…!」


マシンが揺れる度に同じくらい…いや、それ以上に激しく揺れる、まるで熟した果実のようにはち切れんばかりの大きな胸。


周囲の観客に釣られ、自分までつい前のめりになって見入ってしまうほど興奮を掻き立てる映像に、男も思わず股間がピクンと反応するのを感じた。


メガネの男

(ふぅん彼女がKIRISIMAの新人ライダー、『咲宮いるか』か…。はは、写真で観るよりも凄いな。デビュー戦の時よりさらに育ってるんじゃないか。さて次は…)


揺れる2つの大きな果実に夢中になりながら画面に釘付けになる男たちの前で、切り替わりながら映し出されていく他の選手たち。男は映像に合わせながら、手に持った板状のデバイスで選手たちの情報を見ていく。


メガネの男

(あの青い髪のショートカットがKIRISIMAのガンナー、都条みちる。そして2台目のマシンに乗っているのが、以前から活躍中の陽南杏里と彩戸詩絵か)


デバイスに表示された情報を指で弾きながら流すように見ていく男。


そして彼の視線は会場のモニターに表示された、KIRISIMAと対戦する相手チーム、『KAZAMI SEA TEC』へと移る。


メガネの男

(相馬楓にKAZAMIの令嬢、風見エレン。そしてあれが有名な氷の絶対女王、永雪氷織か。なるほど、確かにあれは強そうだ。それに顔もスタイルも良い、あれは男性ファンもさぞ多いだろう)


氷織がアップで映像に映る度、熱を帯びながら硬さを増していく自分の股間。同時に隣に座る若い男の股間もズボンの上から分かるほどヒクヒク動いているのを見て、思わず薄笑いがこぼれそうになる。


メガネの男

(…と、いかんいかん)


男は冷静さを取り戻すため紙コップの中に残ったコーヒーをぐい、と飲み干すと、最後の選手のデータをデバイスに表示した。


メガネの男

(そして彼女が絶対女王のパートナーにしてKAZAMI SEA TECのブレイン、シュネー•ヴァイスベルグ。ふふ…まさかこんな形でキミの顔を再び拝む日がくるとはね)


ドォォォンッ!!


凄まじい轟音と水飛沫と共に試合終了を告げるSEが会場に鳴り響く。どうやらデバイスに目を通している間に試合の決着がついたようだった。


ワアアアアァッッ!!


盛大な紙吹雪と勝利サインと共に、観客たちの大歓声に迎えられながら会場のモニターへと映し出される勝利者たち。


どうやら試合はKAZAMI SEA TECの勝利に終わったらしく、会場から飛び交う祝福に勝利者であるKAZAMIは堂々と手を振り返し、敗れたKIRISIMAもファンたちの声援に向かって懸命にお礼の言葉を投げかけていた。


メガネの男

(…さて、そろそろ行くとしようか。まだワダツミに来てすぐだ。動く前に街のこともよく調べておかないとな。〝彼ら″の保管場所も探さないといけないし…)


まだプログラムには選手たちへのインタビューや試合のプレイバックが残っているものの、メガネの男は特に興味も持たずに荷物をまとめて席を立ち、出口の方へすたすたと歩いていく。


通りすがら目にする観客の男たちは、いずれもインタビューを受ける濡れた姿のドルフィンたちや彼女たちのリプレイ映像に夢中になり、邪な感情でも湧き立たせているのか、まるで今にもズボンを突き破りそうな程、立派なテントを股間に立てていた。


メガネの男

(ふ、エロ猿どもめ…)


男はスタジアムの出口へ続く階段を登り、一番上の通路に立つと、観客席で色めき立つ男たちを見下すように振り返る。そして会場全体を見渡しながら、ふ、と小さく笑みを溢した。そして、


メガネの男

(まぁ楽しみにしているがいい。君たちが股間の中で滾らせるその欲望は、もうすぐ叶うことになるよ。とっておきの形でね)


会場を熱い熱気で包みこむエロ猿たちに向かい、心の中で語りかけるように呟きながら小さく笑みを浮かべる男。そして彼はモニターの中でMC役の美女2人にインタビューを受けるドルフィンたちに再び目を映す。


まるでアイドルのような可憐な容姿に、スラッと手足の伸びた若く健康的な肉体。そして何より目を引くドルフィンたちの豊満なバスト(シュネー含め一部例外もいるが)


そんな少女たちの魅力的な体つきを観て、男は彼女たちがこれから体験する出来事を想像し、思わず股間にぶら下がったモノがググっと力強くズボンの生地を持ち上げるのを感じた。


メガネの男

(はは、これじゃ僕も連中と変わらないな。まぁこれから色々楽しませてもらうよドルフィンたち。そして待っていろ、シュネー•ヴァイスベルグ…)


そうして男は再び出口の方へ身を翻すと、手に持っていた紙コップをくしゃりと雑に潰してゴミ箱の中に放り込むと、まだ熱気に包まれる会場を静かに後にするのだった。



ドルフィン『裏』ファン感謝祭・暗躍編Ⅰに続く

ドルフィン『裏』ファン感謝祭・序章

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