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体格差もあり実力も天と地の差……そんな、無謀に思える挑戦。
「野獣」ゴウスケがチャンピオンとして君臨する地下格闘技場のとある選手の「カナメなら選手登録できるんじゃないか?」という言葉に、カナメがその気になったのがきっかけだった。
「ほぉ、この俺に挑戦とは、大したもんだ」
「うるせぇっ! どうせ勝てないって思ってんだろ!?」
……時は少し、さかのぼる。
「だから、絶対に認めない、つってんだろ! クソガキ!」
「なんでだよっ! もう何度もアンタと試合してんじゃんかよっ!!」
「何度言わせやがる! うちにお前みてぇななよなよしたガキはいらねぇ、つってんだ! 見る側の気持ちも考えろや、ぶっ飛ばすぞ!!」
「なよなよなんかしてねぇよ! 顔に傷だってあるし! お、男らしいだろ!?」
選手控室にて、カナメとゴウスケはほかの選手が見守る中で言い争っていた。
カナメがこの地下格闘技場にて選手として本登録し、試合に出場したいということ。……それを、ゴウスケが断固として断ったことだった。
「ここの地下格闘に出てる選手! ……アンタも!かっけぇって思ってた! 最初に俺を誘ってくれたのはそっちだろ!?」
「……とにかく、テメェは俺が呼んだ時だけ、ここで戦ってやりゃいいんだ! 客は「保護者」がいねぇと不安でみてらんねぇんだよ!」
「わけわかんねぇ! 俺っ、もう何回もここで試合したじゃんかよ!!」
カナメにとって、ゴウスケの存在は敵としても大きく、そしてそのゴウスケが王者として君臨する地下格闘技場は、自分をひとりの不良として強く自認するカナメにとって、強く興味を示す場所でもあった。
ここで猛者たちと、観客たちと熱い試合を行う。ゴウスケの試合への招待を受けたり、時に臨時の選手として参戦したりを続けて、カナメの好奇心はますます強くなっていた。
「そこらのやつらよりは強ぇんだぞ!
ア……アンタには……敵わねぇけど……、それでも! 俺が頑張ったらお客さん盛り上がってくれてたし! わかってんだろっ!」
「本登録となると話は別だ!!
はっきり言ってやるよ、お前みたいにか弱い野郎を、ジョバー枠以外で試合にだすわけねぇだろうが!!」
「ぐぅ……!!」
ゴウスケの容赦のない言葉に、カナメは言い返す言葉をなくす。ゴウスケが無理だと言えば無理だと運営の人間たちがカナメに告げたのも、口論の原因であった。
実際、その口論の後ろで、ゴウスケの前にカナメに散々ごねられたプロデューサーもやれやれといった顔でゴウスケの言葉に頷いた。
「野獣」と称されるゴウスケがチャンプとして君臨する、このリングには、図らずも粗野で逞しいファイターが集い、獣が獣を襲うかのごときその野性的な危険さが人気の秘訣でもあった。
……今のカナメでは、どうしても格闘技場の空気に合わない。実力とは別に最年少であること、また顔つきや体つきも試合の空気にギャップを生み、本登録したとしても陰湿な弱い者いじめのような試合を繰り返すようになるだけ。
どうしてもというなら、自分とプロデューサーが認めるまでカナメをそれなりに鍛えてから。
ゴウスケの言葉は、暴君らしからぬ合理的で筋の通ったものだったが、カナメにはどうしても、ゴウスケに比べ小柄で華奢な自分をバカにしているようにしか聞こえなかった。
「そっちから俺に挑むとは……、ま、何度もあったか。覚悟はできてんだろうなぁ、クソガキ」
「へっ、KOされても、約束忘れんなよ! 俺が勝ったら本登録認めてもらうからなっ!!」
「ゴウスケに勝つ」。カナメとゴウスケは譲らぬ言い争いの末に、カナメが選手として本登録する条件をまとめたのだった。
ゴウスケはまるで負ける気など感じていない。実際にカナメとは何度も試合をしており、当然のように連戦連勝。まさに子守のようなもの。
だが、カナメは持ち前の負けず嫌いさで、怯えなど全く見せず、ゴウスケの前に立っていた。
(はっ、その蛮勇だけは、認めてやってもいいんだがな……)
決してカナメを嫌っているわけではないゴウスケは、仕方がないとはいいつつ、どこか嬉々として、グローブを叩き合わせるのだった……。
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yukibou
2024-04-10 13:19:36 +0000 UTCマゼンタ
2024-04-10 10:36:52 +0000 UTC