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ルフAA
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突如現れた信仰国の兵になって非信者を滅ぼす話~裏切り侵略編~

 大陸にて繁栄を極める豊かな国。民衆たちがBGM感覚で聞き流す、聞きなれた声から知らされる世界情勢のニュースは、例えそれが突拍子もない内容であったとしても、気に留めるものは少なかった。 『有名な島国の半分を占拠し、残る街に壊滅的な被害を与えた信仰国を名乗るテロ組織は、依然として勢力を拡大し……』  都市部中央の交差点を見下ろす様に、設置された巨大モニターからニュース原稿を読み上げるキャスター。続けて映し出された、合成にしか見えない怪獣映画のような映像を見上げる彼らの動きの流れを止めることは無かった。一人を除いて。 『こちらは、信仰国を名乗るテロ組織によってアップロードされた映像です。島国が開発していた新兵器でしょうか? 何やら、巨大な筒状の物体から白いビームのような何かが放出され、建物を飲み込んでいっているのが見えます。専門家の間では幼稚な特撮映像だ、と言う意見が多く……』 「すごい……! 最高の景色じゃん……」  パーカーのフードを深く被る少女。彼女は、映画館の唯一の客のようにモニター内の映像を食い入るように見上げていた。  憧れの心を瞳に映し出しながら、自身の気持ちを癒すような、圧倒的すぎる暴力に引き込まれていく。だが、この場は激しい往来のある首都の大都市部。小柄な少女の視界は、目の前しか見えていない、彼女が最も嫌う思考を植え付けられてきた者たちによって、遮られていた。 「チッ……」    スーツを着たサラリーマン風の男が、少女と軽くぶつかる。彼女の舌打ちが聞こえたのか、一瞬見下すような冷たい視線を下に向けると、表情を変えずに納得した様子で去っていった。明らかに当たった事に対してではない、彼女個人に対して向けられたその感情に、少女は今更怒りを覚えることはなかった。ただただ、不快に感じ、自らの尊厳を守る様に”同族”の思考を否定していた。 「リン。またこんなところで……。ほら、いくわよ」  声を発したのは、人ごみの流れに逆らい現れた、群れに紛れ込んでしまいそうな姿の女性。フードの少女は、呼ぶ声がするほうに顔を向けると、優しそうな笑みを以て返した。 「なーんだ。お姉ぇ、か」  二人の女性は一言ずつのやり取りを終えると、群れの中へと消え去っていった。  各地で信仰国の行動が世に出つつある中、その先兵となる少女たちはその準備を宮殿内で進めていた。そういえば聞こえはいいが実際は、敵国を侵略する兵器である当の本人たちは、まるで遊園地にでも遊びに行くような、軽い気分で毎日を過ごしていた。だが、その全員が体のラインがハッキリと映し出される、ピチピチの戦闘スーツに身を包んでいた。  一足先に任務を与えられた二人の少女もその様子に例外はなかった。今まさに、侵略という名の虐殺、一方的な蹂躙行為を行うための道中であっても、個室内では心地よい揺れに身を任せながら、お喋りが続いていた。 「……それで言えばスズカ、この前のあれもさ、山に囲まれた街だからって、安全だと思ってた裏切り者ども。最初は、全部跡形もなく踏み潰してやろうと思ってたけど、チンポで消費したのは正解だったよね~」  年相応の和気あいあいとした様子で話す、元気さの源のような小麦色の肌を純白の戦闘スーツで隠す少女は、その対比のような鮮やかな黒髪ショートヘアを揺らしながら、あどけない顔をもう一人へと向けた。 「あ~あの、精液で処分してやった街のことね。確かスコアも5万くらいで気持ち……いい感じだったし……まぁ、選ばれし戦科の神使兵として、生やしたモノで処分するのは当然の行為ですから。サキはしっかり楽しんでたみたいだけどね」  スズカと呼ばれた、深紅の戦闘スーツに身を包んだ、藤色ストレートの髪の少女は、その表情に相応しい冷たいオーラを纏い、言動を取り繕いながらも、隠せない頬のゆるみを見せる。そんな彼女の態度を意識してか、クールな姿勢を崩すような一言を、思い出を語る様に続けた。 「もちろん、楽しんだけどさ。でもスズカにだって大好きな、キスしながら小さいのと一緒に優しく扱くのしてあげたじゃん~いっぱい射精してたし♡」   「あ、アナタだって私とキスするの好きじゃない! ……」  スズカが、焦りを見せながら反論しようとした次の瞬間。二人の全身に響き渡る様な、優しい少女の声がそれを遮った。 「スズカちゃんも、サキちゃんも~もう着いちゃったよぉ~」 「やっぱり、この大きさだと早いね~確か今回の任務は潰しちゃダメなところがあるみたいだから、降ろすとき気を付けてよミサ~」  部屋の天井に向かって話しかけるサキに返事をするように、部屋内が大きく揺れる。それに特に驚く様子も見せずに、二人は準備を始めた。  サキとのやり取りをしていた少女。黒髪おさげに眼鏡のミサと呼ばれた少女も彼女たちと同じく、侵略兵器の一人であった。だが、戦闘スーツは身に着けておらず、色白の発達した四肢を剥き出しにし、地平線広がる青空の元に立っていた。  その姿で恥ずかしがる様子も見せず、むしろ堂々と正面を向く彼女の、視界に広がる無限の青。そこから、少し視線を落とし彼女が認識したのは、砂粒のような灰色の地面と緑色の地面であった。 「ふぅ~そういえばそうだった。街中に勢いよく落とすところだった……じゃあ、この海……あ! こんなところに丁度いい島~♪」  辺りをキョロキョロと動かす彼女の視界に入ったのは、見落としてしまいそうなほど小さな緑の点であった。大気を揺らしながら、その巨体を降ろすと、見定めるように目を通した。 「うん。この大きさなら、ギリギリ入りそう」  呟きながら首を立てに小さく振った彼女は、数百人が村を作り暮らす島へ背を向ける。続けて、ミサは尻の位置を調節するように腰を動かし、力むように力を入れた。  数十秒前まで、快晴の青空と熱いほどの太陽光を浴びていた人の住む世界が、月明りすらない闇夜に染まる。突如発生した巨大な地揺れと荒波によって怯えていた島民に、追い打ちをかけるように訪れたその漆黒を創り出したのが、少女の下半身であることに気付ける要素はなかった。  少女が力を込めた瞬間、真っ暗闇の中に、光る円形状の何かが現れる。その光に照らされて、透き通るような薄いピンクのような空が数百人の前に晒された。 「んっ♡ 勢いあまってオナラとか出ないように今日つけないと……ふっ」  ミサの声に合わせるように、島に微振動が襲い、光る物体が上下に一定の間隔を以て移動する。一人の少女が肛門に刺したモノを放り落とす動作。それが、ただ途方もなく巨大というだけで、圧倒的な恐怖と神々しさを作り出していた。 「いいかんじっ♡ もう出そう♡」  同じ距離を上下運動していた光の物体が、ドンドンと勢いを付けて島へと迫っていく。もはや神秘的とも言えるこの体験に、島民は祈る様な姿勢で頭を地面につけていたが、次の瞬間には光に飲み込まれるように消えていった。 ヌルッ♡ ドン!!!  島の端、村の一部に光る物体が着地すると同時に、途轍もない衝撃波を発生させる。物体の質量で圧し潰したのちに、発生したその一撃の威力は、島に生けるものはおろか、木々すらも全て消し去るほどのものであった。  何もなくなった島とも呼べない地面を征服するように横たわる物体。その光る物体に、一瞬にして消し飛ばされた島の住人達が唯一救われたことは、それが、少女の肛門の動きによって排出された超巨大アナルプラグであったということを、知らずに死ぬことができたことだろう。 「ふぅ~よし♪ 被害を出さずに降ろせた♪」  失敗せずに役割を果たせた彼女の気持ちを表しているのか、それともアナルプラグの排泄によって消滅した島を嘲笑っているのか、しゃがんだままの姿勢で肛門を大きくヒク付かせたミサは、しばしの休憩を持ってから立ち上がった。 「中の二人とも~大丈夫だった?」  腰を上げ振り返るころには、島には紅白色のミニチュアサイズの人形が合図しているのがミサの視界に入る。確認の言葉を投げかけながらも、その様子を見てそっと胸を撫でおろした。 「それじゃあ、私はここで待機してるから」  途方もないサイズの超巨大少女と言葉を背にしながら動き出した二人の巨人は海を超え、街の入口にまで足を踏み入れていた。超級の揺れを受けてなお、焦る様子を見せなかった街の住人が、二つの異様な人型兵器を目にした瞬間からパニックを引き起こす。瞬く間にして阿鼻叫喚となった街内。その中にある車や逃げ遅れた人たち、無意識に踏み潰しながら二人の意識は会話の中にあった。 「それで、任務はこの国出身の神使兵の人と合流する、だったよね。特徴とか言ってたっけ?」 「ええ、主様自ら赴かれて仲間にしたっぽくて。確か、見た目は姫カットのコ、だったはずよ」 「で、中心部でちょっと暴れて合図する感じでいいんだよね」 「あれ? 時間じゃなかったかしら……いや、それは前の任務だったか……」  作戦内容を互いに確認し合いながら、街の中心を目指すサキとスズカ。曖昧な内容の会話に集中力を持っていかれていたからか、二人の一色に輝くスーツはビルや家屋の残骸が付着して汚れていた。 「とりあえず着いたけど、どうする?」 「いつもみたいに宣言して、適当に遊びましょ」  仁王立ちの紅白の巨人が二人。女性らしい体をハッキリと映し出しながら、聳え立っていた。 「みなさん、こんにちは~愚かにも、我々の信仰国に逆らった愚かなゴミどもの君たちを、侵略ついでに滅ぼしに来ました~宣戦布告されても逃げなかったんだから、ちょっとは抵抗して楽しませなさい……ね!」  慣れた様子で宣言を終えたサキは、目に付いたビルを勢いよく蹴り付ける。倒壊などという生易しい状態ではない、跡形もなく粉々になった建物には、まだ多くの人が取り残されていた。  その惨状を目の当たりにした、街の人々は目の前の紅白色の女神たちから少しでも逃げようと、更に現場を混乱させていた。  純白であったはずのスーツを、その面影を残さないほどに瓦礫と人の残骸によって彩る。少女の健脚によって、脚の届く範囲全ての高層建築物が破壊されていたのだが、木端微塵にしてしまえる力を持つ彼女の攻撃にしては歪な形でそれらは残っていた。 「よっと♪ お~い、そっちに逃げると危ないよ~」  パニックになった群衆は、瓦礫の山を避けて集団移動を続ける。まるで、何かに誘導されるようであったが、脳のリソースが逃げるということに全て使われている人間たちは、異変に気付くことはなかった。  ドズゥゥン!! グシャグチャグシャ!!!!  無事な道路が捲りあがる衝撃と共に、深紅の巨大な柱が地面に突き刺さる。その下は、同色の彩りの中でも更に濃く、生々しい色の海が出来上がり、遠目から見るとブーツにも見える柱を染め上げていた。 「フフッ♪ やっぱりゴミムシ共はまとめて一気に踏み潰すに限るわね♪ このブチブチって一気に弾ける感触は本当に最高ね」  一瞬にして作り上げられた紅色の池。その面積を広げるようにスズカは足を左右に動かした。 「だから言ったのに~♪ やっぱり、反抗しようなんて言うムシケラ以下の頭しかない奴らなんてその程度の頭なんだね~♪ スズカ、一匹も逃がさないでよね♪」 「この私を誰だと思っているのかしら? フタナリチンポ用のゴミムシはまだいっぱい居るし! コイツらは全部殺すに決まってん……じゃん!」  ズン!! プチィ! ドズン!!! グチャ!  薙ぎ払うようにや、脚を大きく振り上げての一撃など、楽しむようにして、靴底のシミを増やしていく。街の人たちはその光景を地面から目撃するたびに、恐怖し単一的な思考で瓦礫の周りを逃げ回っていた。  その地獄絵図の中で、瓦礫の隙間から見るたびに人数が減っていく群れを観察する影があった。 「そこの方! こっちです! それにしても……ひ、酷い……いくら敵国だからって私たち人間をまるでアリを潰すみたいに……」  群れから外れた、生き残りの市民を瓦礫の陰に誘導するOL風の女性。彼女の漏らした一言に、その空間にいる一同は、深く息を飲んで頷いていた。だが、そんな状況でも、建物の一部だったモノを蹴りながら、つまらなさそうにする少女がいた。 「り、リン。あなただけ、あなただけが頼りなのよ。あんなのと戦うのは初めてだと思うけど、祖国の為に頑張って……あいつらを……」  あらゆる感情を抑えながら、少女の背中に向かって語りかけるように呟く女性。乗り気ではない少女であったが、その言葉が終わるのを待って振り返ると、深く被ったフードを外した。 「わかったよ、お姉ぇ。仕方がないから、出来るだけやってみるよ……」  渋々といった様子で返事をした少女は、瓦礫の陰から身を出すと。目を閉じて力を全身に込める。銀髪の姫カットと呼ばれる、形が綺麗に切り揃えられた髪がハタハタと揺らめきながら、拡大されるようにその姿を変えていった。  一瞬にして、破壊を繰り返す巨大な侵略兵器とほぼ同じ大きさの女神として街に君臨する。その姿は、気だるそうな面影はなく、敵を威圧する強そうな印象を受ける表情へと変わっていた。来ている服も破けたのか当然変わっており、黒の、俗にいうスクール水着のような服を身にまとい、アンバランスな装飾の施された厚底ブーツを履いていた。  サキとスズカの二つの戦闘兵器は、破壊活動を止め、突然現れた少女に釘付けになっていた。そんな二人を睨むように見つめるリンは、息を大きく吸い込み、何かを口走ろうとしたが、発せられたのはサキの声であった。 「あ~あなたが今回の任務の人ですね♪」  新たな巨人と最も距離が近かったサキは、爽やかな笑顔を作りながら近づいていく。並び立つような距離まで近づいた時、それぞれの国の巨大兵器の大きさに違いがあることに気づいたのであった。 「あれ? 少し小さい……かな? まぁいっか♪ 待ってたよ~♪ アタシはサキ。それで、向こうの赤いのがスズカだよ~あなたの名前は?」  敵対宣言を勢い良く行おうと思っていたリンは、目の前の頭一つ大きい女性の馴れ馴れしい態度に、面を食らったように圧倒される。頭で整理していた言葉を完全に見失った彼女は、目の前のサキと名乗る女性の言葉につられて答えていた。 「は、はい。わたしはリンっていいます……えと、その……」 「ふ~ん、リン、ね。早速だけどリン、ちょっと好きに暴れて見せてよ」 「えと、そう言われてもどうしたらいいか……それに……はじめてで」  数秒前まで、弄ぶように地面の人をブーツで潰していたスズカが、その存在に興味をなくした様子で新たに現れた巨人に話しかける。戸惑うリンに助け舟を出すように、サキが続けた。 「とりあえず、アタシたちもそうなんだけど、自分が”一番強く想ってる事”を、体現させるの。それが、あれば簡単に出来ると思うよ~♪」 「自分が強く思っていること……」  後ろから手を回し、耳打ちするようにリンに話しかけるサキ。認識が合っているのかは分からないが、リンはその言葉を反復するように小さくつぶやくと、自身の足元で逃げ惑う同胞の人間を見下ろし、凝視していた。 (こんな馬鹿みたいなクズ連中の為に合わせて、しかも、守ってあげなきゃいけないの?)  彼女の中で、一つの答えに近づく。天性の才能か、いたずら心なのか、サキはさらに後押しするように耳元で囁くと、リンの葛藤の震えが止まった。 「ほら、イケ♡ 同族だからって気にすることないよ♪ アタシだって、裏切り者の同族。何人潰したか覚えてないし~♪」  スンとしたように、全身の力みがなくなったリンの脚が、ゆっくりと持ち上がる。金属部が太陽光によって照らされ、圧倒感を増す厚底ブーツは、その靴を作った国の同胞へと勢いよく降ろされたのであった。  ドズゥゥン!! プチッ!  こけたまま起き上がれずにいる、四散したパニック状態の人間たち。その一人が漆黒の巨塊によって弾け飛ぶ。だが、その靴の構造によって、潰れた感覚が同胞の巨大少女の感覚器官に届くことはなかった。 「潰れた……よね」  一歩前に出された足を見つめながら、状況を再認識しようとするリン。それを邪魔するように現れたのは、赤い浮遊する大地にて腰を抜かす、爪程度の大きさの人間であった。 「捕まえて握り潰すとか、結構いい感じに楽しめるわよ。はい」 (踏み潰した時は何も感じなかったけど、潰れる感触ってどんなのだろう……手なら絶対わかるはず……)  突き出された手のひらに向かって手を伸ばすリン。転がすように移された、怯える小さな存在を見て彼女は、得体のしれない高揚感に襲われたのだった。 「そのまま指を閉じるだけで、簡単に~プチってなっちゃうから、大丈夫だよ♪ 難しそうだったら、何かおもってることでも言いながら勢いよくやっちゃうのもいいかも~」 「鬱陶しいんだよ! わたし以下の癖して......! お前らゴミみたいなの……! オラ! 死ね!」 バキバキ! グシャ!  先ほどまでのコミュニケーション上手ではない少女の姿からは想像できないほどの、高圧的な声色と言葉に相応しい力で拳を握る。巨大な色白の少女の掌が三人の前に晒されると、そこには赤い粘液とプレス機で圧し潰された様なペースト状の何かが転がっていた。リンは自身の掌の中で起こった出来事を理解すると、怯えるどころか、むしろ多幸感を覚えていた。 「流石ね。私たちがわざわざ来ただけのことはあるわ。ねえ、その手かして……特別に舐めてあげる」  垂れる藤色の髪を抑え、アイドルのように整った顔が汚れた右手に近づいていく。優しい暖かい感触と共に、ベトベトとした不快感が消えていくのを、敏感になった神経で感じ取っていた。油断したら声が漏れてしまいそうな、絶妙な感覚だったが、長くは続かなかった。リンが次に、意識を視界に向けた時には、目の前の紅白の女神が身を寄せ合っているところであった。 「んへぁ♡ 主様に逆らう無能なゴミムシの癖にっ♡ 味は悪くないわね♡」 「んちゅぁ♡ アタシは♡ んっ♡ スズカとのキスだから美味しいのかも♡」  舐めとられた粘液と、原型の分からない肉塊を相互に口内へと転がしながら、互いを求めるように動く二人の巨人。その、神々しいとも愛おしいとも思えるそのやり取りに、ただリンは夢中になって見つめていた。  三体の巨大な少女たちが一点に固まる中、瓦礫の陰から全てを見ていた、女性を始めとする生き残りの住人たちが絶望の眼差しを向けていた。 「まさかそんな……! リンが……裏切るだなんて……」  仲間であったはずの銀髪の巨人が裏切った現実を飲み込むOL風の女性。その巨人と同じ髪をした彼女の言葉に、後ろに続く十数名全員が希望を無くしたように怯え切っていた。女性は俯き、何か一言零すと、振り返り、ふり絞ったような可能性の選択を提示した。 「ここからでは、あの巨大な侵略者たちが何をしているのか分かりませんが、動いてない今がチャンスです! このエリアで一番近いシェルターに逃げ込みましょう!」  妙に高揚した顔つきであったが、その彼女の威勢の良い一言で、希望が見えたように明るくなる住民たち。足がすくんで動けなかった人たち含めて全員が、隙間の陰から体を出すと、女性に続くようにして走り始めた。  六本にもなる巨大な多色の巨柱の後ろを通り過ぎ、塞がれていた唯一の道へと進むことが出来た住民たち。大通りを抜けた先にある公園内のシェルター入り口が見え始めたその矢先、止まっていた、地響きが大きく再開し始めたのだった。  何とかギリギリの所で、安全と思われる扉内へと飛び込む数十人の群れ。その全員が、絶妙なタイミングで、先頭を仕切ってくれた女性に感謝していた。 「みなさん、無事でよかったです。ここならもう安全です。安心して大丈夫ですよ」  微笑み、無事を共有する女性のその姿は、まさに女神のように映っていた。その女神を筆頭に、既に数百と存在する避難民たちと合流する。ただの広い空間に色白の電球が眩しいくらいに存在する場所を彩っていたのは、三人の巨大兵器による破壊活動の映像であった。  避難民の一部が新しくやってきた同胞を歓迎するなか、映像に釘付けになっている多くの人間が口々に悲観的な言葉を零していた。そこに映っていたのは、幼子のように指導を受ける救世主になるはずであった巨人の姿であった。  頭一つ小さなその巨人は、紅白の侵略者の動きに合わせて、逃げ遅れた大勢の人が残っている建物を蹴り上げるように吹き飛ばしていた。住民たちが目の前で見た光景、それが上から取られたであろう、今視界に映像ではその表情がハッキリと映っていた。 「なんて……いい顔してるのかしら……」  最も近かった避難民に微かに聞こえる程の声で呟く救世主の女性。一瞬恐ろしくも感じる言葉であったが、そう表現してもおかしくない程、映像に映る銀髪少女は口角だけを上げる、笑みとも呼べない高揚した表情をしていた。  その時であった。 ピピピピピ  けたたましい、アラームのような音が、女性の腕から鳴り響いた。緊張感が解れないシェルター内に響いたその神経を逆なでするような音は、全員を怯えさせたが、女性の優しい笑顔と説明に全員が安堵の表情を見せた。 「申し訳ございません。仕事のアラームが設定しっぱなしだった見たいで。少し大きく設定しすぎましたね」  軽く慌てる様子を見せつつ女性は、腕時計のスイッチを押す。落ち着くためか、可愛げのある深呼吸を見せる彼女を見て、軽い笑いも起きる中、女性は遮る様に映像の前へと姿を移した。 「さぁ、時間も来たことですし、みなさんには死んでもらいます♪」  笑顔で行われた突然の宣言。一気に場がパニックになるかと思いきや、一部が場を和ますための冗談であると感じ取ったことから、妙な空気だけが残る。それを、嘲笑うように見た女性は言葉を続けた。 「やはり、素晴らしい主神様のお考えが分からない愚民は処分すべきですね……こんなゴミと同じ存在というのが気持ち悪くて仕方がありませんが、主神様の御命ですので巻き込んで殺してあげます♪」  そこにいた誰もが、言葉を理解する前に、目の前の女性がドンドン大きくなっている事実に脳が支配されていた。数秒も立たずに天井に彼女の頭が付くと、建物が倒壊し始める。その時になってようやく、阿鼻叫喚の悲鳴が聞こえ始めたのであった。壁近くにいた避難民が女性の下半身で圧し潰され始める頃には、既に倒壊した瓦礫の下敷きになって息絶える者が発生していた。  彼女から最も遠く離れた出口付近に固まっていた住民たちは、自分たちを守った女神が、大きくなっていきシェルターごと、逃げ延びた人々を殺していることを理解できずにいた。だが、次の瞬間には絶望感に支配され、気付く間もなく、一緒に巨大化するパンストとふくらはぎの間で磨り潰されていった。 「ふぅ~♪ あはは! 巨大化ってこんなに気持ちのいいものなのねぇ♡」  シェルターを内部から粉々に破壊した彼女は、天に届きそうなほどの腕を伸ばし体を開放させる。その姿を見て、パニックにならずに驚くだけでいたのは、この国で三人だけであった。 「え、何あの人……もしかして、敵?」  三人のうちの一人である白の巨大兵器であるサキが目を丸くしながら、言葉を漏らす。それにすかさず反応したのは、リンであった。 「も、もしかして……お、お姉ぇ……?」 「あら、リン。あなたにそんな素質があったなんて♪ 見直したわ」  振り向いた女性は真っ先にスク水姿の少女に目をやると、優しく微笑みを向ける。続いて、憧れの存在を見つけたファンのような目つきに変わった女性は、強い眼差しのまま足を大きく踏み出した。  数秒前までいたシェルターの残骸を巻き上げ、気にする様子もなく、雑居ビル街を突っ切って走る彼女。パンプスの破壊力に為すすべなく、崩れ去る太ももにも満たない大きさの建物が、初めて巨大になった同胞の女性によって踏みにじられていった。 「あなたが、サキ様とスズカ様ですね♡ 主神様への忠誠、ご活躍は常に目にしておりますわ♡」  頬を赤く染め、へり下しながら、サキの掌を両手を握り仕えるような姿勢になる。反応に困っている三人を見て察した彼女は、その勢いを殺さずに言葉を続けた。 「申し遅れました。ワタクシ、主神様に忠誠を誓うことを許されたレイと申します。恐れ多くも、敵国となってしまった愚かなこの国の者ですが、どうかよろしくお願いいたします」  さらに堅苦しい挨拶により、二人は固まったように動かなくなる。反応のない彼女たちに疑問の表情を浮かべたレイであったが、突っ込むようにリンが加わった。 「な、なんでお姉ぇが……だってお姉ぇこの国の秘密軍事顧問で……わたしが適合する唯一の巨人兵器だから、あいつら倒せって……」 「実はね、お姉ちゃん、信仰国になる前の国に遊びに行っていたとき、あの御方と出会ってね。その時に忠誠を誓ったのよ♪ そこからは、主神様の利益になる様に自分なりに行動してたってわけ♪」  面食らったリンにバトンを渡されたように、意識を取り戻す紅白色の巨人。先に言葉を発したのはスズカであった。 「姫カットが特徴の仲間って、アナタの事だったのね……てっきりこの女の子の事だと思ってた。とりあえず、合流したから帰りましょ……」 「指定の時間に、巨大化する手筈になっていたと思うのですが……まぁいいじゃないですか♪ さぁ、みなさんで思う存分暴れましょう♪ 反逆者共は全員処刑です♪」  言葉を最後まで聞かずに、動き出したレイは、躊躇なく、その脚をあらゆる場所に振り降ろし始める。二人の侵略巨大兵器たちによって、滅ぼされるはずだった、一国の都市部の街は、対抗の希望と思われていた二人の同胞によって、更に悲惨で、跡形もない攻撃を受けることになるのであった。


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