小人体験学習が始まってから3日がたった。今日も今日とて、ドールハウスの中の俺は一人、暇を持て余してゴロゴロしていた。 体験学習期間は、小人役の生徒は登校しなくてよいという決まりとなっている。小さい体の生徒が学校に連れてこられると、思わぬ事故を招く可能性があるからだ。そのため、大きな綾瀬が部屋を出るのを見送ってからは、綾瀬が夕方に帰ってくるまで一人でドールハウスに取り残されていた。 「…暇だ」 ご主人様の帰りを待つペットの気分だった。綾瀬が部屋にいないと、本当に何もすることがない。一度ドールハウスの外に出て家の中を探検してみようとも考えたが、綾瀬の注意を思い出してやめた。「「高山っち、危ないから外に出ちゃだめだよ~」」という綾瀬の言葉を忠実に守っていた。…実際、部屋の中に虫でもいたらどうなるか分からない。この小さな家の中にこもっているのが無難だろう。 ズンッ、ズンッ、… 「…!帰ってきた」 遠くの方から重い足音が聞こえてくる。誰かが階段を上がってくる音。2階には綾瀬の部屋くらいしかないので、間違いなくご主人様のお帰りだった。 ゴロゴロしていたベッドから跳ね起きて、窓の方に向かう俺。その行動が、飼い主を待つ犬の動きと全く同じであることに気づき、自分で恥ずかしくなる。 ガチャンッ!! ズウゥン…ズウゥン……! 「「ただいま~」」 間延びした声を部屋の中に大きく響かせながら、巨大な飼い主が帰ってきた。今まで静かだった部屋の中に、巨人が引き起こす爆音が響き渡る。時が止まっていた部屋の中が、綾瀬の帰宅により一気に動き出す。 ズンッ!!ドスンッッ!! 窓のすぐ外に踏み下ろされる、藍色の靴下。2つ目の音は、恐らくバッグを床に投げ捨てた音だろう。 そして、 ガタンッ!! 「「たっだいま~♪元気にしてた??」」 天井の屋根が外され、その代わりにご主人様の大きな顔で埋め尽くされる。ニコニコの表情で、中にいる俺に呼びかける。 「あ、ああ、元気だったよ」 8時間ぶりに見る綾瀬の顔に妙な気恥ずかしさと嬉しさを覚え、ややしどろもどろに返答する。 「「えへへ、いい子いい子」」 綾瀬の巨大な手が伸びてきて、その大きな人差し指で俺の頭やお腹、背中を優しくさすってくる。 「あ……」 大きくて力強い指の、柔らかな感触に気持ち良さを覚え、思わず声が漏れてしまう。綾瀬の指で優しく撫で回されるのが気持ちいい。温かい指に抱擁されているような感触に、ずっと浸っていたい。 「「あはは、そんなに気持ちいい?」」 目をつぶって綾瀬のなでなでを受けていた俺の姿を見て、綾瀬は笑いながら俺の頭に優しくぽんぽんと指を当てる。 「「ちょっと着替えるから、待っててね~」」 「あ、もっと……」 離れていく巨大な指先に思わず出てしまった台詞の違和感に気づき、自分で頭を振る。何を言っているんだ、俺は。クラスメイトになでなでされて、もっとやってほしいと思うなんて…。 そんな俺の様子には気づかず、綾瀬は部屋の向こう側まで行って、制服の上着を脱ぎ始める。脱いだブレザーをベッドに放り投げ、そのままYシャツのボタンをひとつづつ外していく。 「ん…?綾瀬、ドールハウスに目隠しするの忘れてないか…?」 体験学習が始まった一昨日、そして昨日は、綾瀬が部屋で着替える時は必ずドールハウスの窓に目隠し用の服なりタオルなりがかけられていた。今は飼い主と小人の設定だが、普通に男女のクラスメイトなのだから当たり前だ。…しかし、今日はそれを忘れているみたいだった。いや、それとも、もう小さい俺の前で着替えることを何も思っていないのだろうか。 何にしても、覗いてはいけない。なるべく窓から距離を取り、他のことを考えようとする。 プチ、プチ、…ファサッ…… …外から、衣服が擦れる音がする。Yシャツのボタンが全て外され、脱いだような音。巨人の着替えの音は、小人の家の中に大音量で響いてくる。否が応でも、今綾瀬がどんな格好をしているか想像してしまう。 カチャッ…スルスル…… ベルトが外され、スカートが下ろされたような音。クラスメイトの着替えの音を聞かされることが、こんなにもえっちだなんて。俺は興奮を抑えきれず、少しづつ窓の方へ近づいていき…綾瀬にバレないよう、窓の端の所から少しだけ顔を出した。 「うわ…すご……」 「「~~~♪」」 窓の外の遠くの方に、上下下着姿となった綾瀬がそびえたっていた。白く可愛らしい下着を纏い、お気に入りの曲を口ずさみながら、クローゼットに制服を閉まっている。数日前まで普通のクラスメイトだった綾瀬の、下着姿。それを、綾瀬の部屋の中で、こんなローアングルから見上げている。異様に背徳感のある行為だった。 「………」 思わず、綾瀬の胸部に目が行ってしまう。騒がしくて、女の子らしさを教室ではほとんど見せなかった綾瀬。その綾瀬の胸が想像していたよりも大きく見え、ドキドキで鼓動が早くなってくる。あんなに、大きかったのか。あいつの胸って…。 「「よーいしょっ」」 変な掛け声と共に部屋着に着替えていく綾瀬。夕日に照らされ、美しく輝いていた白い素肌がパーカーの中に隠れていく。太くそびえたつ美しい太ももが、その質量からは考えられない程軽々しく上空へと上昇し、グレーのラフな短パンにするすると脚が通されていく。今俺がいる家など一踏みで壊せてしまいそうな強大な脚が「「ドンッ!ドンッ!」」と床に下ろされ、家の中がガタガタ揺れる。…綾瀬の着替えにすら翻弄されてしまう、今のサイズ差。その圧倒的な力の差を実感しつつも、綾瀬の美しい着替え姿を見られたことに、俺は感謝していた。 「「おまたー♪…あ、窓塞いでおくの忘れてた。高山っち~、覗いてないよね~?」」 いつもの調子で高い所からからかってくる綾瀬。 「いや、見てないよ…」 自分の着替えがクラスメイトに見られたかもしれない状況なのに、そんな程度なのか。…本当に、俺のことを同級生として何も思わなくなっているのではないか…?そんなことを考えつつも、 「「ほらほら、出てきて!今日はやらなきゃいけないことがあるんだよー」」 という綾瀬の言葉に従い、俺はドールハウスの玄関を出たのだった。 ------ 「「今日のカリキュラムはねー…」」 綾瀬は部屋の中で立ちながら、学校でとってきたノートをペラペラとめくる。その足元に来るように言われた俺は、ビルのようにそびえたつ綾瀬の顔を、首が痛くなるくらい見上げていた。…何か話をするなら、もうすこし高さを合わせてほしい。このサイズ差では、お互いの生活圏があまりにも違いすぎる。 「「"小人の恐怖を体験しよう"、だって!」」 「小人の恐怖…?」 綾瀬が話しているのは、小人体験学習の日替わりのカリキュラムだった。1週間の体験学習では、生徒がより小人の気持ちを理解するために、日替わりでこなすべきカリキュラムが設定されていたのだった。一日目が「小人用食事を食べること」、二日目は「飼い主の帰りを待つ小人の気持ちを体感すること」、だった。 「それって、どういうことだ…?」 「「えっと、なになに…"飼い主役の生徒は、自分の身体の部位の大きさを見せつけたり、かざしてみたり、音を立ててみたりしてください。人間の大きさや何気ない行動が如何に小人にとって恐怖か、体感してもらいます"。……んー、なるほどなるほど」」 うんうんと頷く綾瀬は、 「「要するに、こういうことかな?」」 ドールハウスのリビングを埋め尽くすほど大きな素足を軽々と持ち上げ、 ダァァンッッ!!! 「ぎゃあぁぁぁっっ!!」 いきなり、身体のすぐそばに巨人の足が踏み下ろされ、俺は本能的に逆方向へ転がった。 「「おっ、高山っち素早いね~♪」」 綾瀬が楽しそうな声で、足の指をぐにゃぐにゃさせる。 「ちょっ、やめろよ、本当に怖いんだから…!」 一瞬で死の恐怖を感じさせられ、心臓が跳ねるように鳴っている。床に踏み下ろされた足の質量、風圧を間近で食らい、あの足に踏みつぶされていたらどうなっていたか、実感として分からされていた。 「「へー、こんなんでも怖いんだね。じゃあこれは?…ほれほれ♪」」 ダァンッ!!ダァンッ!!ダァンッ!! 「いやっ、やめてっ、あやせっ!!!」 俺の身体の左右で、交互に足を踏みつける綾瀬。巨大なプレス機が轟音を立てて何度も何度も床に着地する。地面がびりびりと振動し、右の足の風圧で飛ばされたかと思えば、今度は左の足の風圧で逆方向へ転がされる。 「「あははっ、高山っち、オーバーリアクションすぎでしょ!ほらっ、ほらっ♪」」 ダァンッ!!ダァンッ!!ダァンッ!! 「おねがっ、やめっ………」 床を転げまわる俺に無邪気にツッコミながら、俺の四方八方を素足で踏みしだいていく。俺がある方向へ転がれば、その目の前に美しい巨人の足がズドンッ!!と降り立つ。素足は床に押し付けられてむにゅんっ…と形を変え、床にどれほどの圧力がかかっているかが分かる。どこへ行っても巨大な足の爆撃。俺はパニック状態になり、気づけばひたすらうずくまって体を震わせていた。 「「ちょっと高山っち、そんなに~?ちょっと足踏みしただけじゃん♪」」 綾瀬は何も分かっていない。綾瀬の一挙手一投足が、小人の俺の命を簡単に奪えてしまうくらい、危険なものであるということに。こんなに怯える俺の姿を見てもなお、俺がふざけてリアクションしていると思っているのだ。…まさか自分の軽い足踏みが、同級生の男の子に本気で怖がられているなんて、思いもしていないのだろう。 「「ほら、早く立ち上がって!体験学習にならないでしょー♪」」 あくまでクラスメイト同士のじゃれ合いのようなテンションで、俺に話しかけてくる綾瀬。それによって俺はやや現実に引き戻され、 「う、うん。大丈夫、大丈夫…」 と、強がってしまったのだった。 「「じゃあこんなのは?よっと♪」」 ブゥゥンッ!!! 「ああぁぁっっ!!」 いきなり巨人がこちらに向かってしゃがみこみ、俺は綾瀬の股間に潰されるのではないかと思い再び後方に転げる。転がった俺に、綾瀬の股間部が生み出した風が容赦なく吹き付ける。どことなく甘い匂いが周囲に散乱し、今自分の上にそびえたつ股ぐらが女の子のものであることを理解する。 「「今のとさっきの足踏み、どっちが怖かったー?」」 「ひぃっ……」 小人の俺から見上げる、しゃがんだ綾瀬の巨大な姿。しゃがんだことで太ももがむにゅぅ…♡と形を変え、それがより太ももの肉の豊満さ、質量の大きさを際立たせている。そんな太ももに左右から睨まれ、正面には一面グレーの布地。信じがたいことにそれはしゃがんだ綾瀬の股間部であり、しゃがんで引き伸ばされた短パンの布地が、その奥にあるものの形を鮮明に映し出している。その巨大さといったら。俺の身体の大きさよりも軽く大きいのだ。そんな股間部から、上空に向かって綾瀬の上半身がそびえたつ。さらにその上にある綾瀬の顔など、もう別の世界にいるように見えた。 「「他に怖いことってなにがあるかな?」」 「い、いやだっ…!」 次の"怖がらせ"の内容を無邪気に聞いてくる綾瀬。しゃがんだ巨体に囲まれた状態でそんなことを言われ、本能的な恐怖を感じた俺は、ドールハウスの方へ向かって一心不乱に走り出した。 「「あ、逃げたっ!…じゃあ、追いかけちゃおっかなー♪」」 「ひぃぃ……」 後方から浴びせられる巨人の声に怯えながら、ひたすら足を動かして走る。ドールハウスに入ってさえしまえば大丈夫だ。あそこまでたどり着けば…! バチィィンッッ!!! 「ぎゃあああぁぁぁっっ!!!」 走っていた俺のすぐ横に、ご主人様の右手が思い切り振り下ろされる。激しい打撃音が至近距離で炸裂し、鼓膜が破れそうになる。さらに、 バチィィンッッ!!! 「あ……ああ……」 俺の身体の何倍もあろうかという巨大な左手が逆側の床に叩き込まれる。あの手にもし叩き潰されていたら。俺の身体など、虫のように粉々にされていただろう。…叩き殺される恐怖に犯されながら、それでも何も反抗できない無力感に襲われる。俺のちっぽけな身体では、この大きな大きなご主人様には絶対に抗えない。全て、綾瀬の気の向くままなのだ。 「「高山っち、追い詰めたぞ~♪」」 ハイハイの状態になって、床に着いた両手の間にいる俺に向かって言葉を投げかける綾瀬。怪獣ごっこでもしているようなテンションで、眼下の俺に向かって嬉しそうに笑いかける。 「「がおー♪」」 グゥゥンッッ!!! 「ひいやあぁぁぁっっ!!!!」 ものすごい勢いで、綾瀬の巨大な顔が目の前まで近づけられる。あまりの迫力に悲鳴を上げ、腰を抜かしてしまう。 「「んふふ…」」 床に両手をついたまま顔を小人に近づけた綾瀬は、にやにやしながら鼻先の小人を大きな目で見つめる。 「ひっ……」 ありえないくらい至近距離まで近づけられた、綾瀬の整った顔。しかし、一昨日机の上で顔を近づけられたときとは全く状況が違っていた。…まるで、獲物を狙う肉食動物に睨まれたような気分。綾瀬の巨大な顔のパーツの一つ一つが、その大きさが、ただただ怖い。何をしても、綾瀬の身体のどの部位にも勝てない。綾瀬が俺を食べると言ったら、本当に食べられてしまう。…目の前にいるのはクラスメイトの女の子だというのに、錯乱した俺はそんな恐怖に支配されていた。 「「ほらほら、食べちゃうぞー♪」」 ガチンッ!!ガチンッ!! 綾瀬が唇を俺の目の前まで持ってきて、わざと音を立てて歯を噛み合わせる。俺の身体を簡単に嚙み砕けるであろう強靭な歯が、恐ろしい音を立てている。その奥に見えるおっきな舌は、簡単に俺を唾液の海へ沈め、味を絞り出し、全身の骨をひねり潰してしまうだろう。 「あ……あ………」 言葉も出ないほど恐怖を感じていた俺は、 「「…え?高山っち、それ……」」 腰を抜かした体勢のまま、気づかないうちに、失禁していたのだった。 「「…ちょ、ごめんごめんっ!!そんなに怖かったなんて知らなくて…!」」 惨めに失禁したクラスメイトの男子を見て、綾瀬は慌てて眼前の俺に向かって謝る。…いつもの綾瀬のテンション。怖い巨人ではなく、優しく小人を飼ってくれるクラスメイト。そんな雰囲気に戻ってくれて安心するも、下半身の震えは止まらず、おもらしは依然垂れ流しの状態だった。 「「ふ、拭いてあげるね…!ティッシュ、ティッシュ…」」 慌ててティッシュを取り、びしょ濡れになった俺の股間を優しい手つきで拭いてくれる綾瀬。先ほど死の恐怖を与えられた巨人に、優しくおもらしの介抱をされる。羞恥と屈辱と安堵で頭がおかしくなりそうだった。 「「…そんなに怖かったんだ?高山っち」」 話しかけてくる綾瀬に対し、 「………」 あまりの恥ずかしさに、俯いて応えない俺。 「「ごめんごめん、怒らないでよ~。…ほら、お詫びしてあげるから…んー♪」」 温かい唇がふにゅうっ…♡と優しく押し当てられる。綺麗できめ細やかな唇の表面が俺の身体にくっついては離れ、またくっつく。俺を慰めるように、何度もフレンチキスに包まれる。ご主人様の唇に抱きしめられ、少しづつ全身の震えが取れていく。 「「よーしよーし」」 唇で俺の身体を捉えながら、俺の頭を人差し指の腹で優しくなでなでする綾瀬。さらに、中指の腹で俺の背中を何度もさすってくれる。優しく投げかけられる声と、全身を撫でまわされる気持ち良さ。俺は完全に恐怖から解放され、目の前の飼い主の優しさ、美しさ、可愛さに、心をわしづかみにされてしまっていた。 「「んっ…!…んふふ、高山っち、意外と甘えんぼさんだねー♪」」 思わず唇に抱き着いた俺を、綾瀬は軽いノリで受け止めてくれる。その女神のような包容力に、俺は同級生としての恥ずかしさも捨てて、夢中で身体を摺り寄せるのだった。 ------ その日の夜10時。ドールハウスの小さなお風呂で体を洗い流した俺は、いつものように学習机の上に乗せられ、同じくお風呂上りの綾瀬と談笑していた。 「「それでさ、今日の体育でね~」」 今日学校であった面白い話を嬉々として語る綾瀬。その話を聞く俺は、綾瀬の顔をまともに見ることもできず、ぎこちなく相槌を打つ。 …クラスメイトの女の子の目の前でお漏らしをしてしまうなんて。それも、ちょっと戯れに追いかけられたり食べる振りをされたりしただけで。一部始終を綾瀬に見られ、さらには大きな指と唇で優しく慰められてしまった。思い出しただけで、恥ずかしさで死にたくなってくる。 唯一の救いは、綾瀬がそれを全く気にしていないようなテンションで会話してくれているという点だけだった。 「「それにしても、身体が小さいってだけで私の動きがそんなに怖いんだね~」」 「っ……!いや…まあ…」 突然その時のことを言及され、しどろもどろに返答する。…忘れてくれていると思ってたのに。 「「これからはちーちゃんにも気を付けないとな~」」 「…ちーちゃん?」 「「あ、言ってなかったっけ?私が今飼ってる小人さんだよ」」 「え…綾瀬、小人を飼ってたのか?」 完全に初耳だった。綾瀬の家では小人を飼っていたのか。…確かに、小さくなった俺への対応がどこか慣れた雰囲気だったような。別に本人も隠してたわけではないのだろう。このご時世、小人を飼っているというのは犬や猫を飼っているのと同じくらい普通のことだった。 「「うん、隣の部屋で飼ってるよー。女の子なんだけどね、ちっちゃくて可愛いんだよねー♪」」 「そ、そうなのか…」 "ちっちゃくて可愛い"という台詞を俺の方を見ながら言われると、少しだけドキッとする。 「まさか、さっきみたいにその子を怖がらせたりしてないだろうな」 「「してないよ~。女の子だもん、可愛そうじゃん♪…高山っちは男の子だからあんなことしたんだよ~?結局怖がっちゃったけどねー♪」」 「ぐっ……」 うりうり、と指でつんつんつつかれる。そのことを言われると、何も言えなくなってしまう。 「「まあ、もし高山っちを飼うなら優しくしてあげるよ♪」」 「え…俺を飼うって…」 綾瀬の言葉に、鼓動が少し早くなる。…綾瀬に飼われることになったら、どうなるのだろう。あの巨体をいつも見上げながら生活し、たまに机の上で優しく撫でられながら話しかけられる。綾瀬の良い香りに常時包まれながら、一生面倒を見られるのだ。 もし、俺が「飼ってほしい」と言ったら、綾瀬はなんて言うだろうか。 「「あははっ、冗談だよ!そんな微妙そうな顔しなくていいでしょ~♪」」 「あ、いや、別に……」 考え込んでしまった俺を、嫌がっていると勘違いしたみたいだった。…変な想像をしてしまった。綾瀬に飼われ始めてから3日、生活の全てを綾瀬の元で行うようになってから、おかしな感情が芽生え始めているような気がした。 「「あと4日だからがんばろーぜ♪」」 「うん、そうだな。がんばろう」 「「終わった後にみんなの話聞くの楽しみだなー」」 「あの、綾瀬、今日のことは…誰にも言わないでくれると……」 「「そうだね…どーしよっかなー♪」」 「いや、頼むって…!」 小さな俺の身体をちょんちょん小突きながら、にまにまと煽ってくる綾瀬。…正直、気を遣われるよりもいじってくれた方がありがたい。綾瀬はいつもふざけているが、約束はちゃんと守るタイプ…だと思う。今も、あえて俺をいじくって軽い雰囲気にしようとしてくれているのだろう。 「「体験学習終わったらアイスおごってよ!そしたら黙っといてあげる♪」」 「わかったわかった、何でもおごるよ」 「「いえーい♪」」 そんな綾瀬のさりげない優しさが俺の心を包み、どんどん染み込んでいくのを感じた。 ------ その日の夜中、何となく目が覚めた。 「12時か…」 ドールハウスの室内に設置された時計を確認する。この時間は、もうとっくに綾瀬は寝ている時間だ。というより、綾瀬が11時頃に就寝するので、俺もそれに合わせてベッドに入っている。 「……」 何となく、窓の外の様子を伺う。外には女の子の部屋とは思えない程広い景色が広がっており、その最奥には巨大なベッドが鎮座している。その上に、巨大なベッドに見合うだけの体格を持った綾瀬が寝ているはずなのだが、 「…?いない…」 ベッドの上には綾瀬の姿が無かった。 「トイレにでも行ってるのかな」 …だが、5分、10分と経っても綾瀬は部屋に戻ってこなかった。…どこへ行ってしまったのだろうか。この時間だと、綾瀬の家族も全員就寝しているはずだ。実際、綾瀬の部屋の外からも物音は聞こえてこない。 「……」 何となく眠れなくなり、俺はドールハウスの玄関から外に出る。 「ドアが…」 綾瀬の部屋の巨大なドアが、少しだけ開いているのが見える。いつも綾瀬がぴっちりドアを閉めていくので、綾瀬が学校に行っている時間などは俺は部屋の外に出ることができなかった。…ただ、今は開いている。 「……」 広い世界に少しだけ好奇心を覚え、俺は部屋のドアまで100m程歩き、わずかに開いたドアの隙間から外に出た。 そこには、だだっ広い廊下の世界が広がっていた。 「あそこの部屋、電気ついてるのか…?」 廊下の向こうの方にあるドアの隙間から、光が漏れているのが見えた。俺は光に吸い寄せられるように、ドアの元まで歩いていく。 たどり着いたドアはぴったり閉まっていたが、下の隙間が空いていて、そこから光が漏れていた。…今の俺の大きさなら、這って進めば入れてしまうだろう。 「……」 ここまできたら、入ってしまえ。比較的軽い考えで俺は身体を這いつくばらせ、その部屋の中に侵入したのだった。 「よいしょっと」 ドアの隙間を抜け、這っていた身体を起こした俺は、大きな部屋の空間を見上げた。 「あ、綾瀬…」 部屋の壁にもたれるように座っている綾瀬の姿が、正面に見えた。ちょうど、座っている綾瀬の真横から見ているような形だ。その綾瀬は両手をお椀のようにして広げ、その上に乗っている何かを見つめている。 「小人…なのか…?」 綾瀬の手のひらの上に、人間の形をした小さな生き物があおむけに転がっているのが見える。もしかして、あれが綾瀬が言っていた"ちーちゃん"なのだろうか。 「「ちーちゃん…♪」」 囁くような声を、手のひらの上の飼い小人に投げかける綾瀬。その声のしっとりとした響きに、いつもの綾瀬とはどこか違う雰囲気を感じる。…よく見ると、綾瀬の手の上の小人は、服を一切着せられていない。 「「ん…♡」」 綾瀬が、小人に向かって大きな唇を優しく押し当てる。仰向けの状態で寝転がっていた小人は、その口づけを受け入れるように手を伸ばし、綾瀬の口元に抱き着く。小人に向けられた巨大な愛と、それを受け入れる小人の小さな愛。この対格差キスを互いに受け入れていることが、雰囲気から見て取れた。 …綾瀬のおっきな唇でキスされたときのことを思い出し、身体が熱くなる。綾瀬は小人とキスすることに慣れていたのだろうと、今更ながら納得する。 と、次の瞬間、 「「れぇーー♡…ちゅぷっ……ちゅぱっ」」 「あ………え……」 唾液が弾けるいやらしい音が部屋に響き渡り始める。…綾瀬が、小人に舌を這わしている。あの大きくてぬらぬら光る赤い舌を、小人の華奢な身体に押し当てるように、何度も舐め上げている。小人の足先から顔面までをねとぉっ…♡とゆっくり舐め上げたかと思えば、唇をすぼめて小人の足や腕に吸い付き、可愛らしいリップ音を響かせる。 単なるペットに対する愛を明らかに超えた、性的な粘膜接触。あの綾瀬が、自分で飼っている小人に対してこんなことをしていたということが、衝撃だった。学校ではそういう性の影を感じさせないような明るい振る舞いで、先ほどの会話でも「ちっちゃくて可愛い」くらいのことしか言っていなかったのに。知らない綾瀬の一面を目撃した俺は、小人に顔をうずめる綾瀬の様子を夢中で見つめていた。 「「あむっ……ちゅっ、…ちゅぅぅ…♡」」 綾瀬が小人の顔に吸い付く。小人の首から上が、綾瀬の口の中にすっぽり入れられてしまった。その状態で、綾瀬はちゅっ…♡ちゅっ…♡と大きなキス音を立てながら、小人の顔の味を吸い出していく。 「あ、…あやせ……」 小人の呼吸を支配するような、大胆な可愛がり。唇にちょっと力を入れたら小人の首が折れてしまいそうな、圧倒的な体格差。その状態で、容赦なく舌を擦りつけられながら、ちゅぱちゅぱ吸われてしまう。…あの小人は、怖くないのだろうか。いや、絶対に怖いはずだ。…綾瀬はその怖さを恐らく分かっているはずなのに、それでもこんな行為をしているのだ。 俺が知っている綾瀬が超えなかったラインを、超えてしまっている目の前の綾瀬。急に綾瀬が他人のように見えた俺が感じたのは…極度の興奮だった。 「はあっ……はあっ……」 ありえない程股間が膨れ上がっている。部屋に綾瀬の淫靡なリップ音が響くたびに、股間が呼応して大きくなっていく。何故、ここまで自分が興奮しているか分からない。…ただ、あの明るく優しかった綾瀬が、体格差を活かして強引に小人を愛撫している光景が、俺の被虐的な興奮を異様に煽っていた。 「「…ぷはぁっ……。…足、掴むね♪」」 自分の口内空間から小人を解放した綾瀬が、色っぽい囁き声で、手のひらの上で唾液まみれになった小人に話しかける。小人は息も絶え絶えな様子で、綾瀬の手のひらのベッドに倒れ込みながら、必死で空気を吸っている。そんな小人の苦しそうな表情にもお構いなしで、綾瀬は小人の両足を、右手の指と左手の指でそれぞれ摘まみ上げた。 (あんな…物みたいな持ち方……) 綾瀬の指に足を摘まみ上げられ、小人は逆さ吊りの状態となる。ぷらん、ぷらん、と綾瀬の顔の前で振り子のように揺れる小人。生き物としての尊厳を無視したような、少し乱暴な持ち方。小人はそのまま両足を強制的に開かせられ、綾瀬の顔の前で無防備な股間をさらけ出すこととなった。 「「かわいーよ、ちーちゃん…♡」」 はあぁ…♡と綾瀬の口から吐息を股間に浴びせられ、逆さ吊り状態の小人は小さな身体をびくっ、びくっ、と震わせる。 そして、 「「はぁむっ…♡」」 巨人の淫らな唇が、か弱い小人の小さな股間に、乱暴に吸い付いたのだった。 「「ちゅぱっ…、ちゅぷっ…、んぅーー♡」」 先程までの舐め方とは明らかに違う、激しい愛撫。大音量で部屋に響く綾瀬のいやらしいキス音の合間に、「ああぁぁんっ!!いやぁっ!!」と、微かに小人の女の子の絶叫が聞こえてくる。その声さえすぐに、ちゅぱっ…♡ちゅぷっ…♡と綾瀬が出す音にかき消される。…小人の女の子が嫌がっているのかは分からない。いや、多分お互いに求め合ってはいるのだろう。でも、この体格差であんな激しい愛撫をされたら、絶対に苦しい。絶対に怖い。 (あれがっ……俺だったらっ……) 俺は、膨張した股間を必死にしごき始める。綾瀬に見つかるかもしれない、という懸念が頭に浮かばないくらい、我を忘れていた。もし俺が、あの小人みたいに、綾瀬に犯されたら。物みたいに雑に摘ままれ、逃げられないまま巨大でふっくらした唇を押し当てられ。そして、絶叫する声もかき消すほどの音を立てながらちゅぱちゅぱ吸われるのだ。俺は犯される恐怖に怯え、叫び、そしていつもは明るくて優しい綾瀬に支配されることに、興奮を覚えるのだろう。 「「んんっ…♡ふぅっ……♡…んー…♡」」 綾瀬が寝間着の上から、自分の股間を擦り始める。右手で小人の両足を軽々と摘まみ、小人の全身を自分の唾液で丹念にコーティングしながら、左手で自分の股間を慰めている。小人を自分の自慰行為として使うような綾瀬の姿を見ながら、俺はぐちょぐちょに犯されている小人に自分の立場を重ね、部屋の隅で虫のように自慰を行う。 「「ああんっ…♡……んんぅ……イクっ…♡」」 信じられないほど色っぽい喘ぎ声がどんどん大きくなり、俺が立っている床、そして空気がびりびりと痺れだす。綾瀬の自慰行為が起こす現象に翻弄されていることがさらに被虐心を煽り、こみ上げてくる射精感に頭が真っ白になっていく。 そして、 「「あっ、んんんぅぅっ……!!…くぅっ……♡」」 絶頂に達した巨人の艶めかしい音、そして快感に身をよじらせた綾瀬が起こす大震動が、射精寸前の俺にトドメの刺激を与えた。 「あああぁぁっ……あや…せ……」 今まで感じたことのない強さの快感を覚え、射精しながら腰が抜けてしまう。巨大な綾瀬が、イった直後にその巨体をびくんっ、びくんっ、と震わせるたびに、同じ部屋にいる俺にもずんっ…ずんっ…と振動が伝わってくる。小人から見れば、飼い主の自慰行為はまさに災害級だった。 「「はあっ……ありがとね、ちーちゃん…♡」」 綾瀬は唾液と涙でぐちょぐちょに濡れた小人に優しくキスをする。 「「じゃ、洗ってあげるから洗面所いこっか♡」」 そう言った綾瀬は、小人を優しく手のひらで包み込みながら、ずんっ…、ずんっ…、と振動を響かせながら立ち上がった。 そのまま、ビルのように巨大な綾瀬が大質量の脚を持ち上げ、 ズウゥゥンン……!! と、ドアに向かって一歩を踏み出した。すなわち、ドアのすぐそばにいる俺の方角へ。 「やばっ…ちょっと待って……綾瀬っ!!!」 とっさに逃げようとするも、次に綾瀬が振り上げた足は、既に俺がいる場所に影を落としていた。 「あああああぁぁぁぁっっっ!!!」 ズウゥゥンン……!! 「あ…ああ………」 1m横に振り下ろされた、巨大なプレス機。無意識に綾瀬が踏み出した一歩は、わざと俺を怖がらせた時とは違い、容赦ない衝撃と風圧を生み出す。俺は10数m程吹き飛ばされ、床の上を惨めに転げまわる。 「げほっ、げほっ……」 床に打ち付けた腹を抑えながら、俺を跨ぎ越した巨人の後ろ姿を見る。肌色の塔のような脚と、グレーのパーカを纏った上半身。足元の俺に一切意識が無いことが分かる後ろ姿だった。 ガチャッ……!!バタンッ!! ズウゥンッ…ズウゥンッ… 綾瀬は部屋を出てドアを閉め、地響きを立てながら廊下を歩いていった。 「………」 呆然と、部屋に取り残される。 小人への容赦のない愛撫、犯し方。足元の小人へ無意識に行う、容赦のない踏みつけ。綾瀬が小人の俺よりも何十倍も大きくて強いことを、思い知らされる。 (俺がもし…綾瀬のペットになったら…) あんなことを、してもらえるのだろうか。 激しく愛をぶつけられ、犯され、最後は優しく介抱される。絶対に抵抗できないことを教えられつつ、恥ずかしくなるほどの愛を注がれ、飼い小人としての立場を、優しく、じっくりと分からされていくのだ。 「…綾瀬……」 俺は小人体験学習3日目にして、"飼い小人"として心身を支配される小人の気持ちを、理解できたような気がした。 ---続く---