XaiJu
ておぴ
ておぴ

fanbox


男性国民12年身体検査~36才ぱ/ぱの場合~(前編)

「男性国民12年身体検査」とは政府が発足した大規模な男性の発育及び健康の調査の名称である。身長や体重、身体機能に生殖能力――これまで平均的とされてきた数値はあまりに古すぎる統計に基づいたものであり、そろそろ新たな統計を取るべき、というのが政府の主張であった。近年の少子化や男性由来の不妊の増加をかんがみて調査は早急に実施すべき、とも。 全男性のデータを集めるのはあまりにも時間がかかりすぎるし、それを遂行する人員も足りない。妥協策として政府はランダムで選ばれた男性国民の一割を調査対象とし、調査への参加を法律を以って義務と定めた。加えて調査対象は十二歳刻みで12才から72才までの男性と限られ、同じ選出プロセスを12年間行い、あらゆる個体のデータを集めるという。12才グループは主に発育や運動能力の計測が行われ、24・36才グループでは生殖能力をより重視、48才から72才グループでは健康状態や病気の発生率などを中心に調査する。 ちょうど今年、俺は36才。そして息子のコウキは12才。なんという偶然か、俺と息子の両方が調査対象に選ばれてしまった。調査は先月開始したばかりで、実際の検査内容の詳細は送られてきた冊子の情報しかない。 「普段はくじ運悪いのに、こんな時だけ当たっちゃうなんて笑っちゃうね」 嫁の茶化しに俺は苦笑いで返す。 「まったくだよ、まさか俺だけじゃなくて、コウキまで選ばれるなんて……」 「どれどれ、コウキのやつ見せて」 コウキ宛に送られてきた冊子を嫁はふむふむと頷きながら流し読みした。 「『性器を含む体の測定を行うので、脱衣しやすい服でお越しください』だって。それと、検査中は親は同伴できないんだって。まぁ、いちいち親が一緒だったら人でごった返しちゃうもんね」 「えー、僕ちんちん見られるの?そんなのやだよ……」 コウキはもじもじと両手を股に突っ込んだ。 「なぁに言ってんの、お医者さんに見せるだけでしょ。なんにも恥ずかしくないよ――ねぇ、パパ」 嫁は俺に同意を求めてきたが、コウキの気持ちは理解できた。もうじき息子は中学生、そろそろ体の変化を感じたり性への意識が芽生える年頃だ。そんな時に、いくら医療従事者とはいえ、裸を見られるのが嫌なのは仕方のないことだ。 「やだよなぁ…まぁ、父さんも裸見られちゃうみたいだから、一緒に頑張ろうな。そうだ、検査が終わったらコウキが好きなもん食べに行こう、どうせ昼飯前には終わるだろ」 「……うん、頑張る……」 「パパのはなんて書いてあるの?」 嫁が「見せて」という風に手を出した。 「ん?あ、あぁ……まぁ大体同じことしか書いてないよ。どうせ検査内容なんて同じだろ」 「……ふーん、そっか」 「にしても、コウキと検査の日時が一緒でよかったよ。一度で済むし」 「そうだねー」 俺はさりげなく自分宛てに届いた冊子を折りたたみ、ズボンのポケットにしまった。幸いにも嫁は気にしていないようだ。 『精液採取を含む生殖能力検査を行うので、検査前の48時間は射精をお控えください』 その文言が恥ずかしく、俺は冊子を嫁に見せたくなかった。ましてや息子の前でするような話でもない。俺は生殖能力検査について黙っておくことにした。 にしても、精液採取ってどういうことだ?なんでそんな事までしなきゃいけない?俺は内心うろたえていたが、息子が不安そうな手前、戸惑いを顔に出すわけにはいかなかった。 「検査なんてすぐ終わるだろうから、あんま心配すんなよ、コウキ」 「…うん、分かってる……」 そうして検査日間近まで俺たちは検査の話すらしなかった。 ~ 検査会場は大きなホテルの一角で行われるているらしい。コウキと二人でホテルに着くと、ロビーの端っこに『男性国民身体検査 受付』と書かれたテーブルが設置されていた。すでに五・六人の男が並んで順番を待っている。 「父さん、僕なんか緊張してきた」 「お前は本当に緊張しいだな……それより、昼飯何食べるか決めたのか?」 「うん、サイゼ」 「そんなんでいいのか?」 「うん」 俺たちの番がくると、受付の若い女性が丁寧に検査の説明と案内をしてくれた。ほとんど前もって知らされていた情報だったので、説明はスムーズに進んだ。 「親子そろって選出されるなんて、とてもおめでたいですね」 「そう、ですかね?」 「12才グループの検査はおおよそ一時間で終わりますが、36才グループは人によっては時間がかかるので、息子さんの方が先に終わるかもしれませんね。説明は以上ですが、他に質問などはありますか?」 「…いえ、特には」 「では、息子さんはこの奥、左側一つ目の部屋、お父さんはそこからもう二つ先の右側の部屋に進んでください。係の者がいるので、指示に従ってください」 「はい」 「では、男性国民身体検査へのご協力、ありがとうございます。どうぞ頑張ってきてください」 「は、はい……」 廊下を進み12才グループの大部屋につくと、息子は相変わらず不安そうな顔をしている。 「じゃ、後でな。先に終わったらロビーで待ってろよ」 「うん、じゃあね」 部屋をのぞき込むとすでに大勢の12才児でにぎわっている。多くはパンツ一枚の姿で並ばされている。 36才グループの大部屋につくと、体の大きさが違うだけで、12才グループの部屋と同じような光景が広がっていた。大勢の36才の男たちがパンツ一丁で別々の列に並ばされている。 「どうぞこちらへ、登録番号を拝見しますねー」 「あ、はい」 受付で渡された名前と登録番号の書いたカードを若い男性係員に差し出した。 「確認させていただきます……はい、大丈夫ですね。このカードは検査中の身分証明として使用するので、無くさないようお気を付けください。測定をスムーズに進めるために下着姿での順番待ちとなっているので、そちらで脱衣をお願いします。検査が終了後、再びこの部屋に戻り、着衣していただくという流れなので、服と靴はここでお預かりします。脱衣が済みましたら、あちらの①番の列に並んでください」 「はい、分かりました」 係員の指した脱衣エリアではすでに複数の男たちが靴を脱いだり、ベルトを外してズボンを下ろしたりしている。脱衣エリアと言っても仕切られているということはなく、周りから丸見えの大部屋の一角に椅子が並べられているだけだ。 俺は早速靴と靴下を脱ぎ、Tシャツも脱いで椅子の背もたれにかけた。立ち上がってズボンを下ろしながら、俺はなぜか周りが気になってしまった。普段はジムや銭湯にも行かないので、人前で脱衣するのなんて成人してから初めてかもしれない。紺色のボクサーパンツ一丁で服をたたみ、靴と一緒に係の者に預けた。引き換えに登録番号の書いたプラスチック製の腕輪を手首にはめられた。 「1番の列っと……」 列は三つあり、どれにも十数人の男たちが並んでいる。目指す先は病院で見るような白いカーテンで仕切られていて、その奥に検査をする医療スタッフがいるようだ。こうして下着一枚で並ばされているとまるで小学生の頃の健康診断のようだ。だが、景観は幾分むさくるしく、なんだかオス臭い匂いが漂っている。 なんとなく周りを見渡すと多種多様な男たちの体を目の当たりにした。皆俺と同い歳なのに体格はガリガリからデブまでいるし、筋肉の付き方や体毛の濃さも様々だ。腕にタトゥーをしているやつもいるが、やはりあっちの業界の人間なのだろうか。そんなやつでもパンツ一枚にされるとなんとも言えない間抜けさが拭い切れないのだから、最近腹の出始めてきた俺なんかは尚更だらしなく見えるだろう。 一人、また一人とカーテンの向こうに消えていき、ゆっくりと列が進んでいく。前に並んでいる男の毛深いふくらはぎを眺めていると、カーテンの向こうからくぐもった話し声が聞こえた。確か前情報では軽い問診もされると書いていたが、いったい何を聞かれるのだろうか。「性器の測定」――って、つまりはチン長を図るってことだよな――をやるのは分っているから、ある程度心の準備ができているが…… そうこう考えを巡らせていると、いつの間にか自分の番になっていた。 「どうぞ、お入りください」 係員に言われ、俺はカーテンの向こうに足を踏み入れた。 「失礼します……」 「はーい、どうぞどうぞ、そちらに掛けてください」 白衣を着た若い男性医師が迎えてくれた。隣にはクリップボードとペンを持った無表情の若い女性看護師が立っている。 「この度は国民身体検査にご参加いただきありがとうございます、医師の牧野です。彼女は看護師の沼田です――記録係として同席します。すみませんねー、そんな姿で待たせてしまって。どうしても時間が押してしまうので」 「いえ、大丈夫です」 俺は勝手に中年の医師にみられると想像していたので、軽い調子の若い医師に迎えられ驚いてしまった。見た感じ俺より年下なのではないか。最近はこんな、「ジムで撮った自撮りをインスタに上げている」ような爽やかな医者もいるのか。 「まずは問診から始めていきます。少し答えづらい質問もあるかと思いますが、ここで集めた情報はプライバシーを厳守して厳重に管理されるので、できる限り正直に答えていただけると助かります」 「分かりました」 「では初めに、持病や体の障害などはありますか?」 「いえ、特には」 「大きな手術などをされたことは?」 「ないですね」 医師は手元のプリントを確認しながら質問をして、横の看護師がスラスラとペンを動かした。 「次は成長に関しての質問なんですが、何歳ぐらいでセイツウしましたか?」 ……セイツウ…?と言うと、やはり…―― 「……精通、ですか」 「はいー、覚えてる範囲でいいので」 「あぁ、そうですね……11才ぐらいですかね」 「ほー、結構早かったんですね。お子さんが一人いるとありますが、初体験は何歳ごろでしたか?」 「初めては……確か17の時です」 「お相手との関係は?」 「えーと、その頃付き合っていた彼女と」 「同性との性経験はありますか?どんな些細な事でもいいので、例えば一緒に自慰行為をしたとか」 「いえ、まったくないですね」 女性看護師は相変わらず無表情で俺の回答を書きとっている。 「なるほど。ではペニスについてですが、真正包茎、仮性包茎、露茎の中で一番自分に当てはまるのはどれですか?」 「あー、露茎ですね」 「包皮が完全に剥けたのは何歳ごろでしたか?」 「んん、はっきりとは覚えてないですけど……14才ぐらいだったかと」 こんな質問ばかり、いったいいつまで続くんだ?医師の持っている紙を裏側から覗くと、ページいっぱいに文字が敷き詰められていた。 「ここ最近のセックスの頻度はどのぐらいでしょう?」 「えー……二か月に一度くらいです」 「それはいけませんねー、風俗やヘルスなどはご利用になられます?」 「いえ、そういうのは妻が嫌がるので」 「そうですかー、適度なセックスは男性の健康には必須なんですが、ご家庭があるとなかなか難しいですよねー」 「……はい…」 「セックスレスではないので、まだ安心ですね。では、セックス中、射精までに何分ぐらいかかります?」 「……えっ?……あー、そうですね…30分ぐらいかと」 「膣内の刺激だけで射精に至りますか?それとも、手で刺激しないと射精できないとか?」 「多少は手で刺激しますけど、えー……基本ナカでイけます…」 「コンドームなどの避妊具は使用しますか?」 「はい、ゴムをつけます、子供はもう作らないつもりなので」 「そうですかー……ナマの方が男性の満足度ははるかに高いんですが、致し方ないですね。では、自慰行為はどのぐらいの頻度で行いますか?」 「あー……週に二回程度、です」 「自慰方法についてですが、亀頭を直接刺激しますか?」 そんなことを聞いていったいなんのデータになるというんだ。看護師とはいえ、女性に聞かれている手前、俺はさすがに恥ずかしくなってきた。 「……そう、ですね、ローションを使って。でも、時間のない時は皮オナで済ませます」 「自慰中はエッチな画像や映像を使用されますか?」 「使用しますね……」 「射精までは平均で何分ぐらいかかります?」 「……あ、うーん……20分ぐらいで……」 「ふむふむ」 「あの、これっていったい何のためのデータなんですか?」 「あぁ、すみませんね、ズケズケとプライベートなことを次々と。実は近年、自慰による刺激に慣れていまい、セックスがうまくできなかったりセックスで射精できないという事例が増えていまして。皆さんには自慰行為の詳細を聞くことで改善法を模索していきます。すでにお子さんのいる方の自慰行動も大事なデータになるので、全員に同じことを訊いています」 まさかセックスやオナニー事情を初対面の人間にここまで聞かれる日がこようとは……ましてや異性にまで…… 「奥さんの妊娠に関してですが、不妊などで悩むことはありましたか?」 「……いえ、子供を作ろうと決めてからすぐにできた気がします」 「それはそれは、旦那さんが元気な精子を作れて奥さんは幸せ者ですね。最近は多いんですよ、男性由来の不妊。まぁ、生活習慣を改善することで治るケースも少なくはないですが」 「はぁ……」 「これで問診は終わりです。次は身体検査をするので、まずその体重計に乗ってください」 その体重計は医者でよく見る身長も同時に計測できるもので、頭上に下ろすバーが上についている。俺が体重計に乗ると医者はバーを下ろし、メモリを調整した。 「はいー、ちょっとだけ顎引いてくださいね、そうそう……身長172、体重は……65キロ。降りていただいて大丈夫ですよ。では、つぎは……」 医者はまたプリントを確認した。 「性器の測定を行うので、そのままパンツを下ろしてください。立ったままでお願いします」 おぉ、分かってはいたが、やはりチンコを測定されるのか。見られていることはあまり意識しないように俺は言われた通りパンツを下ろし、医者の前に陰部をさらけ出した。 〆 後編へ続く……→ https://teopi.fanbox.cc/posts/4973887

男性国民12年身体検査~36才ぱ/ぱの場合~(前編)

More Creators