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あんどん丸
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相撲部、秘密の居残り特訓!(11)

(11)


 俺と武田は土俵の上で向かい合い、腰をかがめ、両手を土俵におろした。


 いわゆる仕切りというやつだが、フリチンの状態だと、言うまでもなく、とんでもないことになる。


 後ろから見たら、ケツの穴が丸見えのはずだ。


 幸い、織田先生は、行事のように俺と武田の真ん中に立っているから、実際には誰も見る者はいない。いないが、羞恥心を煽ることには違いない。


 けど、武田と目を合わせた瞬間、俺の心は猛々しい力士モードに切り替わった。「こいつにだけは、絶対負けねえ・・・」。俺の心に闘志が沸き起こっていく。



 するとどうだろう。全裸であることが…まったく覆いのない状態でケツも股間も堂々とさらけ出し、文字通り体ひとつで世界と対峙していることが、むしろ誇らしげに思えてきた。


 俺は、今、男だ・・・。そんな気持ちがふくれあがってくる。


 武田の糸目は相変わらず表情が読みにくいが、こいつも、いつも以上に燃えているのが分かる。


「はっけよーい・・・のこった!」


 織田先生の号令と共に、俺たちは上体を起こし、中腰になった。


 本来なら、猪突猛進型の俺は、ここで一気に廻しを取りにいくはずだ。


 しかし、今回は廻しがない。それは、いつも通りのやり方では、勝てないことを意味する。相手の出方をよく見て、瞬時に戦略を練る必要がある。


 俺と武田は向かい合ったまま、互いの出方を探り合った。


 時間にすればそれは数秒ほどのことだったろうが、驚くほど長い時間に感じた。


 運動選手が極度の集中に達した時、周囲の動きがスローモーションに見えることがあるという。「ゾーンに入る」とかいうらしいが、今の俺はまさにそんな状態だった。


 今、土俵という宇宙の中で、俺と武田は向かい合っていた。俺は武田のことを凝視した。あらためて見ると、こいつはでっけえ。ぶっとい骨格の上に、たっぷりの筋肉とほどよい脂肪が乗っかっている。


 武田の表情は凛々しかった。俺も武田も相撲部員にありがちなブサイク顔だ。俺がブタなら、こいつはイノシシといったところか。だが、俺は今、闘志をみなぎらせた武田の表情を凛々しいと感じていた。


 はりつめた瞬間を破ったのは、武田の方だった。


 武田はでっけえ体で、俺に一直線に向かってきた。相手の廻しがとれないとなると、突っ張りで相手を土俵の外に押し出すのが正攻法だ。


 こいつのパワーは、正直、すざましい。日々のぶつかり稽古では、正直圧倒されっ放しだった。


 だが、今度ばかりは負けねえぞ!


 俺は、全身とマラに力をみなぎらせて武田の突っ張りにそなえた。


(続く)

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