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世界的スーパーモデルな超絶イケメン中性的高身長むちむち爆乳ハイスペ美女との幕間いちゃらぶ日常風景~同棲生活初日編~

ぼんやりと、クッションを膝の上に抱えながら、テレビから流れている雑多なバラエティ番組を見る。

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淫魔女王からの手紙

拝啓、小さな勇者様へ。 本来ならば私から貴方様のお側に出向き、直接お話するのが礼儀なのですが、姿も見せずにこうしてお手紙での一方的な連絡になってしまった事をお許し下さい。 まず、先日の勇者就任の儀式、大変お疲れ様でした。 まだ幼い貴方様にとって、大勢の大人に囲まれて退屈な式典を過ごすのは、多大なストレスだったかと思います。 本当は結界を蹴破って欠伸を堪えている貴方様を連れ去り、そのまま膝枕で癒して差し上げたかったのですが、あまり大々的に騒ぐと後が面倒ですから、泣く泣く外から貴方様の可愛らしい正装姿を眺めるに留める事に致しました。 そんな風に憎らしくもある式典でしたが、貴方様の体のサイズに合わず少しだぼついた袖の式典服姿はまさに垂涎ものでございましたので、個人的にはありがたく思う側面もあります。 なお、そのお姿は勝手ながら記録水晶に留めさせて頂いており、城に帰ってからも眺めて楽しんでおります。 そうして儀式も終わり、女神からの加護も正式に受け、聖なる武具も王から賜りましたね。 ぴかぴかの聖剣にはしゃいでいた貴方様のお姿も堪らなく愛らしく、ついつい護衛騎士を吹き飛ばしながら姿を現して頭を撫で回してあげたい衝動に駆られてしまいました。 本当に貴方様と対面して話せないのが残念でなりません。 さて、旅の準備も終わり、明日からはとうとう旅に出られるのでしょう。 勇者の血筋を引く貴方様は、勇敢かつ逞しく、不屈の心と優しき博愛の精神を持ち前に旅路を進まれる事と思います。 きっと、行く先々で貴方様はあらゆる困難を打ち破り、その先で出会った人々と絆を育むのでしょう。 若芽が生える平原を行き、小川の流れる森を抜け、乾いた砂漠を越えて、広い大河を渡り、極寒の雪原を駆け、数多の苦難辛苦を乗り越え城へと向かう姿は、目を閉じれば瞼に浮かぶようです。 そうして旅をしていれば、争いに巻き込まれる事も少なくはないでしょう。 その度に慣れない剣を振り、世のため人のため、時には自らを蔑ろにしてまでも魔物を打ち倒そうと、貴方様は思っているに違いありません。 貴方様が英雄譚に記された古の勇者の閃光の如き剣さばきに憧れ、幼き時分から森で木刀を振るっていた事も知っています。 時には朝から晩まで、夢中で剣の腕を鍛えていた事もありましたね。 恥ずかしながら、私はある日偶然目撃したその健気な姿に心打たれ、草葉の陰からこっそりと覗いておりました。 が、しかし。 それらの冒険譚は紡がれる事はありません。 貴方様の旅は、長くても日没までには終わるでしょう。 何故ならば、大変言い難いのですが、貴方様では魔物には勝つ事が不可能だからです。 貴方様が、もし不可視かつ光速の一撃を見切る事ができるなら。 亜空すら切り裂く魔法を防ぐ事ができるなら。 オリハルコンすら凌ぐ鱗を断ち切れるなら。 地中深くのマグマも、絶対零度の冷気すらものともしない表皮を攻略することができるなら。 それら全ての能力をお持ちになっているのならば、話は別です。 けれど、いくら勇者の力を継いでいるとはいえ、人の身に過ぎない貴方様では、どれだけ力をつけても我々の身に傷をつける事は不可能でしょう。 もしも貴方様が、魔力も膂力も精神力も、人の身における限界まで鍛えたとして、それでも。 貴方様は、戦いの才に関しては神童と言われていましたね。 齢十二にして鉄を断つほどの剣技を身につけ、更には稲妻が迸る神速の一振や、燃え盛る炎を巻き上げる豪放な一撃をも習得なさいました。その力は、最低級の魔物を追い返すくらいならば事足りるでしょう。 しかし、我々のような上位魔族には、例え人間界において英雄と謳われるような戦士を打ち倒すに過剰なまでの技だったとしても、柔らかな春風がそよいだほどにしか感じません。 更に、貴方様にとっては好ましくない事実にはなりますが、正式に勇者が誕生したという事実は今や魔界中を駆け巡っています。 その噂は魔王城にも届き、面倒な事になる前にすぐさま処理をしろと、魔王様から私にも直々に命令が下りました。 恐らく、この指令は私以外の最高位魔族にも下されているのでしょう。 勇者様は、先日から夜の闇が深くなっている事をご存知でしょうか。 人里でも、ランプ程度の光では一寸先も見えないと噂になっているそうです。 これは、不動要塞と謳われる龍王がその身を起こした事が原因なのです。 龍王のあまりに強大な力は、世界中の龍脈すらも乱させてしまいます。 その影響で魔素が闇を纏い、夜の暗闇を殊更に翳らせているのです。 ただ起き上がるだけで、その巨躯に秘めた魔力が世界中へと溢れ、天空を覆い尽くすような怪物に、貴方はどう対抗すると言うのでしょうか。 そんな暗い夜の中、月が爛々と紅く輝いている事はご存知だと思います。 重なった厚い雲すらも貫き、紅い光が差し込む雲居の空は、何方の目にも異様に写った事でしょう。 それは、ここから西の海を越えて更に西方の、半冥界と呼ばれるアンデッドの楽園に居を構える吸血姫が力を行使している証左に他なりません。 恐らく、幾らかの直系の配下を連れて、紅い月の下を蝙蝠に身を変えながら、羽ばたき進んでいるのでしょう。 尚、念の為に言っておきますが、彼女らに陽の光や聖水などは効きません。 聞いた話によると、それらをあまり長時間浴びると、荒い毛糸のセーターを地肌に着た時のように少し肌がちくちくとするそうですが、命に別状などは一切ありません。 そのくせ不死かつ超常の再生能力を持ち、一度人間を噛めばそれと同じだけの力を持つ尖兵を作り出す事ができるのです。 もしも彼女らが街へと向かえば、その街はどれだけの防衛力や軍事力があったとしても、十分と持てばいい方でしょう。 世界中の森の木々や動物が活性化して、次々と魔物化しているのを知っておられますか? 四本の脚で地を駆ける狼は野性的に靱やかな筋骨を持ち、かつ女性的な膨らみを蓄えた美女となり、大きな花を咲かせる白百合の草本は蜜と花粉を蓄えて男を誘う艶めかしいアルラウネとなりました。 普段は傍観主義で、人間への攻撃行為と言えば、迂闊にも里に入り込んだ者の貞操を食い荒らすくらいしかしないエルフですが、一度その牙を向けば森という森を魔界化させてしまうなど訳もないのです。 特に、エルフの女王にもかかれば、その任務を遂行するのに一日も時間を費やす事はありません。 魔族の中でも人間に対してかなり温厚と言われる彼女らですが、命令さえあれば勇者である貴方様を捕らえるためだけに、世界中の森そのものを魔物にしてしまうほどの強硬手段を取るとは私ですらも予想外でした。 たった一日で荒野にある街が幾つも消えたのはご存知でしょうか。 獅子が、大熊が、餓狼が、たった一つでも災害に近い脅威をもたらすそれらが、徒党を組んで暴れ回ったかのように、街は壊滅していたと聞きます。 城塞は打ち倒され、弩は引き裂かれ、防衛の為の柵などは跡形もなく壊されているほどの惨状は、日が落ちてから昇るまでの僅かな時間で行われました。 たまたま近くに居た私の配下の話によると、街があった場所からは、瞬きをする間に忽然と人間が消え去ったと言います。 その電撃が走るような侵略に、人間は全く対応できません。 何せ、その街には今でも干しかけの洗濯物や、湯気の上がった飲みかけのコーヒーが置いてあるのです。 それらを放り投げることも、ましてや零すこともなく、人々は巣へと連れていかれました。 彼女らが行った蹂躙劇の迅速さは、全く人智を超えたものなのです。 故に、人間達もその情報を共有できるはずもなく、今も街が急速に消えつつあることを、その隣の街の住人ですら気が付いていないのです。 そして、その地響きを鳴らすような行軍は、勇者である貴方様に出会うまで、人の居る街という街を虱潰しに蹂躙して回りながら続けられます。 まるで放たれた大砲の弾のような勢いで、獣人の群れが荒野を駆け巡り、その抜群の統率によって、勇者が居る街に当たるまで、人里という人里から人間を攫いつくし。 そして、攫った人間を婿にして、獣人の優れた繁殖力により兵士を増やす。 単純ながらも、これ以上なく有効な戦術です。 それに、貴方様というたった一人の人間が、どうして対抗できましょうか。 この他にも、数限りない種の魔族が、命令によりその力を行使しようとしています。 かく語る私も、淫魔の女王として、8ケタに届く数の配下に侵略命令を出したばかりです。 我々は戦闘能力はさほど高くないとは言え、人間の細腕から繰り出される剣戟や鉄砲に負けるほど貧弱ではありません。 その他にも、内容は後述しますが、とある淫魔の能力により人間は絶対に我々に抵抗することはできません。 人々は、むしろ向こうから我々にその身と心を捧げ、心酔しながら領地も何もかもを投げ出すでしょう。 そんな魔族達が数限りなく貴方の下へと押し寄せています。 貴方が今、この手紙を読めているのならば、それは砂漠の砂から狙った一粒を拾い上げるような奇跡に他なりません。 そして、この手紙を読み終わったならば、その数刻後には魔族の軍勢が貴方を攫いに来るでしょう。 その数は、おそらく数千、あるいは数万。 勇者様を抱える王都へ、直接殴り込みを掛けるのですから、その程度の数は下ることはないと考えるのが妥当でしょう。 もしも運が悪ければ、いくらかの種族の連合軍が合流し、更に軍勢の数は数万に膨れ上がる可能性も十分にあり得ます。 勇者様が住む王都には、戦闘訓練を十分に修め、一端の兵士として戦いに出ることができる人間は何人いらっしゃるでしょうか。 そうでなくとも、銃火器の撃ち方くらいは理解している見習い兵士や、あるいは家にある包丁を持って襲い掛かる程度はできる、健康で丈夫な成人している一般人は。 きっと、そこに住まわれている貴方様ですら、その正確な数は理解していないでしょう。 答えは、それぞれ前から34869人、42687人、263587人です。 ええ、そうです。 貴方様に関する全ての情報は、私が全て握っております。 淫魔とは、好いた殿方の情報を集める事──悪く言えばストーキングが、誰よりも得意なのです。 貴方様の昨日の食事メニューも、貴方様が湯浴みする時に体をどこから洗うのかも、貴方様がいつ何がきっかけで精通したのかも、私は全て存じております。 情報を握る事の戦術的な意味は、貴方様もきっとよくご存知でしょう。 話が逸れましたね。 そう、実際に戦えるであろう人数は、それだけなのです。 ここから、戦意喪失して逃げ出す者、夜襲だったなら準備も抵抗もできず戦線に入れない者を除けば、どれだけの数が残るでしょう。 そして、もしも戦闘員の数を最大値に見積もって、万全の状態で我々を迎え撃ったとしましょう。 その場合、我々の被害は、いかほどになるでしょうか。 答えは、0です。 ええ、きっかり、完璧に、0。 鎧や服の破れすらなく、死者や怪我人も出るはずがなく、どうしようもなく0なのです。 それほどに、人間と我々の間には、断崖絶壁のような、絶望的に巨大な戦力差があるのです。 勇者様が、自ら望んで行った事とは言え、今日まで厳しい鍛錬を積んできたことはよく知っているつもりです。 同年代や年下は愚か、熟練の兵士長や王家の近衛の騎士隊長にも勝る、天下無双のその剣には、並々ならぬ誇りと自信があるとお見受け致します。 しかし、無駄なのです。 この顔も知らない魔族からの忠告に、嘆いても、怒っても、せせら笑っても構いません。 けれど、事実として、どうしようもなく。 その刃は、我々の喉元に突き立てるには、あまりにも脆く儚いものなのです。 それは、例えるなら、豆鉄砲で人を撃ち殺すような。 あるいは、蚊の口針で人間を刺し殺そうとするような、そんな無謀な夢物語。 急所がどうだとか、弱点がどうだとか、そういう次元の話ではないのです。 ですから、人間の皆様は、きっと今から日が落ちてから昇るまでの間に、全て降伏することを余儀なくされるでしょう。 そう、この世界に住まう全人類が、一日で。 海の上の島国も、森の奥にひっそりと栄える集落も、熊の一匹も居ない極寒の地を開拓する人々の街も。 我々の手に堕ち、地上の支配種から一転し、魔族の愛玩奴隷種族としての生を歩むことになるのです。 それは、勇者である貴方様も、避けられない定めです。 いえ、一般人よりも魔力がずば抜けて豊富で、お身体も非常に頑丈で、一日中走り回ることができる体力も持ち合わせている貴方様は、きっと優先的に魔族から狙われるでしょう。 そうでなくとも、勇者という肩書を持つ人間の希望の象徴を手中に収めることは、軍略的にも重要な意味を持ちます。 ですから、貴方様がこの手紙を読んでいるこの瞬間は、きっと人間として生きられる最期の日なのでしょう。 今、貴方様は、どんなお顔をして、どんなお気持ちを抱いているのでしょうか。 青褪めて、震え、この手紙を取り落としてしまっているでしょうか。 あるいは、何も考えられずに茫然と、思考を放棄してしまっているでしょうか。 ですが、どうか希望を失わず、自棄にならず、この手紙を読み進めてはいただけないでしょうか。 私は、貴方様にとある提案を持ち掛けたいのです。 私は、貴方様を愛する者として、貴方様が最も望む選択肢を与えたいのです。 それを理由に、こうして私は、手紙をしたためているのです。 もしも、ここまで読んで頂いたなら、きっと僅かでも私の言葉を信じてくれているのでしょう。 まずは、その寛大なお心に最大限の感謝を申し上げます。 では、端的に結論を申し上げます。 明日の明朝、もしもまだ王都が陥落していなかったなら、私は貴方様の下へと真っ先に向かいます。 その時、抵抗せずに、ただ私に抵抗せず首輪を着けられて下さい。 それによって、貴方様を私の所有物である証を、他の皆に見せつけます。 ええ、馬鹿馬鹿しいことを求めているのは、私も存じております。 自ら進んで敵の奴隷になるだなんて、論ずるにも値しない愚かな行為でしょう。 ですが、貴方様にとっての最善の選択肢は、それしかないのです。 いくら知恵を絞っても、いくら自問を続けても、現時点で出せる答えはそれしかありません。 貴方様が魔族の手中に下り、愛玩奴隷として一切の権利を奪われることは、どうしても回避できないという事です。 ならば、魔族の中で最も貴方様に寄り添うことができる者に隷属するのが、最も良い選択なのではないでしょうか。 私の下においでくださるのならば、私は貴方様の尊厳を庇護し、ありとあらゆる権利を認めましょう。 牢の外に出ることも、食事をすることも、睡眠を取ることも、風呂に入ることも、貴方様が望むのであれば、全て叶えて差し上げます。 名目上は奴隷、あるいは捕虜ですが、貴方様は実質私の旦那様として、淫魔の中でも最も高い身分の人間として、丁重に扱われることでしょう。 ですが、他の物の手に貴方様の身柄が渡ったなら、その保証はできません。 貴方様は、永久に陽の光を見る事もできず、永遠の凌辱を味わうことになるでしょう。 その責め苦の内容がどうなるのかは、私には一切分かりません。 ただ、一つだけ断言できることがあります。 貴方様が、魔族の奴隷へと成り下がったが最期。 死ぬことも狂うことも許されず。 ただ、悠久の時を、無限の快楽と、安寧と、多幸に浸されて。 一切の苦痛を取り除かれた、理不尽に幸せなだけの気の遠くなるような生を、送ることになるでしょう。 さて、恐らく貴方様は、ここで大きな疑問を抱いたことでしょう。 魔族は人間を憎み、連れ去った者をいたぶり殺すのではないのかと。 ここで、人間が魔族に抱いている誤解についてお話しておきます。 そもそものお話になりますが、魔族は人間のことを敵対視していません。 我々が貴方がたを疎ましく思っていたり、憎んでいたのならば、何故今まで進攻もせずに生かしておいたのでしょうか。 強大な力を持っている我々が、人間という種を消し去るのには、庭の雑草をむしるほどの労力も使いません。 人間と言う種族がここまで繁栄したという事実は、そのまま魔族が人間を恨んでいないという事実の裏付けになるのです。 ならば、何故魔族は、時折人間を攫う事件を起こすのでしょうか。 その答えは、至極単純です。 我々が、人間を愛しく思っているからです。 人間を愛しすぎるがあまり、我慢できずに家まで連れ込んで、どろりとヘドロのように粘ついた情欲を叩きこんでしまうからです。 もっと端的に言いましょう。 粘着ストーカーの偏執レイプです。 相手に強烈な恋心を抱くがあまり、後をつけて家を特定したり、使用済みの下着を奪ったりした挙句、ついには拉致監禁して犯しまくり、結婚を承諾させてしまうという顛末です。 よくある人間さんの誤解のように、決して、住処で人間を頭からバリバリと食らい尽くしているわけではありません。 まあ、ある意味では男は食われているかも知れませんが。 そういった欲望は、全ての魔族が普遍的に持ち合わせているものであり、それは私も例外ではありません。 むしろ、淫魔という種族は、その傾向が特に強いと言われています。 そして、それはきっと、事実なのでしょう。 貴方様に対する感情が、今こうして貴方様を想いながら文を綴るだけで、胸から溢れ出して止まらなくなりそうになります。 気が付けば、私の持っている筆は貴方様を褒め称え、ありとあらゆる言葉を尽くして恋慕の情をありったけ紙面に落とそうとしてしまいます。 私を少しでも気に入ってもらおうと、娼婦のように卑しくも、私の持つ豊満な肉体や、自慢の伽の技巧について語ろうとしてしまいます。 貴方様に、そんな事をお伝えしている場合ではないのに。 ……けれど、貴方様も男の子です。 きっと、結婚して妻とする相手に、格別に美しくてとびっきりすけべである事を求めるのは、何ら不思議ではないですよね。 人間さんが密かに憧れ、表向きは嫌悪しながらもこっそりズリネタにしている淫魔の、下品なほど豊満な雌肉について、気にならないはずはないですよね。 貴方様は、おっぱいが大きい女性がが好きであると知っています。 お尻も同様に、肉厚でむっちりとしているのがお好みなのでしょう。 全て、存じ上げております。 私ならば、そこらの女には到底負けやしない、この世でもっとも心地よい堕落を詰め込んだような、ふくよかで艶やかな、性の極みをお見せすることができますよ。 なにせ淫魔の最上位種ですから、お夜伽で満足できないという事はあり得ません。 魂まで蕩け落ちる究極の快感を、ご覧に入れましょう。 それに、私と結婚すれば、魔界でも五本の指に入る権力の女王との玉の輿です。 毎日贅沢の限りを尽くし、極上の美酒や頬が落ちるようなご馳走を、目も眩むような従者の美女を侍らせながら、踊りやら音楽やらを興じつつ、浴びるように飲み食いするのはお嫌いでしょうか。 きっと、私の手元においでくだされば、これ以上なく幸せにしてみせるのですが。 ……ああ、申し訳ない、そんな余計な事を書いている場合ではありません。 そう、こういった人間をとことんまで堕落させ、甘やかし尽くしてしまいたい欲求は、全ての魔族が持っています。 それこそ、毎日その感情を持て余して、作れる予定もない旦那様との結婚生活を夢見ながら、人間さんに喜ばれるようなふかふかのベッドや金銀財宝をかき集めるのは日常茶飯事です。 お恥ずかしながら、私の居城にも、貴方様に捧げるための様々な魔道具が、二部屋分みっちり詰まるほどに積み上げられています。 貴方様に、この世の物とは思えない、想像もつかないほどの究極の幸福を与えられるような、珠玉の逸品を揃えておりますので、ご期待下さいね。 しかし、そうして人間さんを婿に迎え入れようと思っても、そうすることは滅多にできません。 何故ならば、人間界に住む人間さんを攫うことは、魔王様からきつく禁じられているからです。 許されていることは、魔界に迷い込んだ人間を襲うことだけ。 ですから、人間界から直接誘拐している多くの魔族は、あまりの人間さん愛おしさに我慢できず、ルールを破って愛を伝えに行っているのです。 魔王様は我々が束になっても敵わず、むしろ四天王ですら十把一絡げに薙ぎ払うことができるほど強大で、有無を言わせない恐ろしいまでの威厳のあるお方なのですが、それでも命を破って人間さんを抱きしめに行ってしまいます。 その意味が、お分かりでしょうか。 それを分かりやすく例えるなら、齢10になるほどの非力な少年が、護衛騎士が集まる中で王室に飛び込み、ナイフの切っ先を国王に向けるようなもの。 殺されてもおかしくないどころか、殺されて当然とすら言える状況でも、しかし、そうしてしまうのです。 顔は少々仏頂面で愛想が無く怖いですが、内面はとてもお優しい魔王様が同胞を殺すわけがありませんが、それを実行した魔族は、それこそ決死の想いだったのでしょう。 なにせ魔王様は、最も重視すべき法としてこのルールを定めているのですから。 ならばなぜ、魔王様は人間界に進出することを強く封じたのでしょうか。 それには、一つの大きな理由がありました。 それは、人間という種を繁栄させることです。 人間は、古代から人口を増やす一途を辿り、世界中にその生息圏を広めています。 今やその人口は数十億にも上り、まさに地球上の支配種と言える栄えぶりです。 しかし、今から数千年前は、そうではありませんでした。 たった数十ぽっちの極めて少人数の集落が、ぽつぽつと住みやすい平地にあるだけの、まだ数の少ない種族だったのです。 その時には、我々魔族はすでに人間という種に目をつけており、人間界にお邪魔する計画を立てていました。 しかし、それには一つ問題点がありました。 そこに居る人間さんを全て攫ってしまうと、例え魔族がたくさんの人間の子を産んでも、人間さんの数が圧倒的に不足し、魔族間で人間さんを争奪する争いが生まれかねないということです。 そこで、魔王様は一度人間を放置して、そのまま自然に任せて数を増やさせ、来るべき時に備えるという策を取りました。 人間の繁殖のシステムからして、我々の感覚で言えば瞬きするくらいの間、ちょっと放置しておけば指数関数的にその数は増えるはずです。 そして、その目論見は当たり、今日人間は魔族の数に匹敵するほども個体数を増やしたのです。 こちらに住む魔族は、いつも業を煮やしておりました。 早く人間を甘やかさせろ。 早く人間といちゃらぶ激甘新婚生活を送らせろ。 早く人間の周りを魔族ハーレムで囲みまくって一秒の隙間もなくどろっどろの快楽浸しにして脳みそ使い物にならなくさせろ。 そんな声が噴出し、人間さん甘やかしフラストレーションが溜まった頃。 つまり、今日。 その時は、訪れました。 勇者様が正式に勇者として認められたことによる、全軍出撃命令。 つまり、人間さんを全員魔界に連れ去り、快楽の限りを叩き込み、ぐっちゃぐちゃに甘やかす事への許可証です。 それはそれは、魔族たちは湧き上がりました。 生きている意味、悲願の成就。 そう言っても差し支えないほどの喜びに、彼女らは嬉々として人間界を飛び回り、見染めた旦那様を持ち帰るのです。 ですから、今日。 人間という種は、事実上の滅びを迎えます。 その後に残るのは、底なしの泥濘にいつまでも沈むような快楽と、幸福と、退廃だけです。 今後、人間は永久の時をかけて、魔族の愛撫に屈し続け、ただ精を吐くだけの存在となるでしょう。 そして、それは勇者様。 貴方様も、例外ではありません。 いえ、むしろ、貴方様がその身に受ける多幸と快楽は、そこいらの人間とは比べ物にならないほどのものになるでしょう。 貴方様は、これ以上なく不幸かつ幸運なことに、勇者という役割を与えられてしまいました。 勇者とは、つまり、我々魔族を滅ぼすための剣そのもの。 剣を向け、害をなす、危険な反乱分子なのです。 もちろん、実態はそうではありません。 貴方様の剣技がいくら優れていようとも、貴方様の魔術がいくら優れていようとも。 生まれたての幼い魔族の子供にすら敵わないという事は、誰もが知っています。 それは、例えるなら、小さいヒヨコが龍の群れにじゃれつきに来るようなもの。 貴方様を可愛らしく思う者は居れど、恐ろしがる者や、憎く思う者などどこに居ましょうか。 とは言え、貴方様が勇者であるという事は、覆しようのない事実です。 故に、我々は、貴方様を無力化、もしくは処刑しなくてはなりません。 貴方様が、勇者としての力の一切を行使できなくなったことを以て、この侵攻は幕を閉じるのです。 ですから、貴方様は、人間の中でも最も重い責め苦──もとい、極限の甘やかしを受けることになるでしょう。 絶対的な無力化とは、一切の反抗のリスクを無くすことを言います。 それがどういう意味か、お分かりでしょうか。 例えば、ここに一本の鉄砲があったとしましょう。 これから一切の殺傷能力を奪うには、どうすればいいでしょうか。 内部の火薬が発火しないよう、水につけて湿らせたり。 あるいは、砲身を叩き折ったり。 とにかく、銃弾が飛ばないようにすればいい。 ──違うのです。 それでは、まだまだ十分ではありません。 修復されたり、復元されたりするリスクがある限り、その鉄砲は無力化されたとは言えません。 ですから、パーツを一つ一つ分解し、叩き割り、腐食させ、磨り潰し、燃やし、その塵を方々に散らばるように捨てて。 これで初めて、最大限に危険性を失わせたと言えるでしょう。 それと、同じなのです。 貴方様を閉じ込めて、聖剣を奪い、魔術を使えなくさせただけでは足りません。 指の一本まで動かせず、ただ横たわり、惨めに体をびくつかせながら吐精するだけの存在に成り果てるまで。 多幸感だけに脳を支配され、一切の思考を封じ、肉欲と快楽と幸福以外のことを完全に貴方様の世界から消し去るまで。 甘やかし、甘やかし、甘やかしつくし。 そうして初めて、貴方様は存在を許されるのです。 恐ろしいでしょうか。 そんな末路は嫌だと、そうお考えでしょうか。 ええ、きっとそうだと思います。 ですから、私がこっそりお助けして差し上げます。 貴方様の処遇は、最も早く貴方様を捕縛した者が決めることができます。 私が貴方様を真っ先に捕らえられれば、貴方様をお救いする権利は、私にのみ与えられるのです。 もしも貴方様を私の城に招き入れることを許していただけるなら、その後はよしなに、今までよりもずっと何不自由ない、極楽のような生活をお約束致します。 ですが、先程も申し上げた通り、貴方様は最重要捕虜の一人です。 当然、処分を下した後には、魔王様の御前に貴方様を差し出し、無力化されていることを確認されなければなりません。 あの魔王様の眼を誤魔化すことはできませんから、その時だけは確実に、どうしても貴方様をとことん魅了し尽くして、意識が混濁するほど甘々な廃人にしてしまわなければいけないでしょう。 ですから、その時だけは、貴方様を極楽のどん底に叩き落すことをご容赦下さい。 頭が変になってしまうほど、有り体に言えば気が狂うほどの快楽を、淫魔の女王として貴方様に与えます。 先に言っておきますが、それから抗おうとしないで下さい。 あまり正気を保とうと腐心なさりますと、かえって正気のまま発狂するほどの多幸を受けてしまうことになるため、逆効果です。 どうか、身も心も蕩けるままに、その快感を素直に受け入れて下さい。 そうして貴方様を壊した後、貴方様の身柄を受け取ったら、それから治して差し上げます。 精神の修復を行い、心の中に溜まった魅了魔術の残穢を吐き出させた後──この時も、一週間ほどの時間を通して、毎日ベッドの上でむっちりと雌肉漬けにして蕩けるような搾精を、休みなく延々と行います。予めご了承下さい。なお、この時は配下の淫魔も加わってのハーレム肉海搾精となることが予想されますが、彼女らに「もっときもちいきもちいする?」「もっともっと、しあわせ~……♡♡♡ってなりたい?」などと唆されても反応を示さないでください──貴方様を来賓として、また、私の旦那様としてお迎え致します。 そうなれば、外に出ることは少々難しいかも知れませんが、貴方様は晴れて自由の身です。 城内にある全ての施設や物資、または無数の配下の侍女を使い放題に使っていただいて構いません。 しかし、もしも貴方様が、処置を施した後に、人生を捨てて退廃に染まり切った快楽地獄、多幸中毒の生活を送りたくなったのであれば、私はそれを尊重します。 私は、結局のところは魔族であり、淫魔です。 貴方様のような人間が、人間として尊厳を重視した生活を送りたいと思うことを理解しても、納得することは決してありません。 それに、貴方様に究極的に快楽だけを重視した、最も幸福で気持ちいい人生を捧げられたらと思うと、今も下腹部がきゅうっと締め付けられ、胸にじんわりと熱いものが込み上げます。 私は、貴方様の選択を、全て尊重致します。 しかし、これだけはお伝えさせて下さい。 快楽に全てを呑み込まれることは、決して怖いことではございません。 ですから、どうか、その選択を恐れないで下さい。 話を戻します。 貴方様を幼児退行させるための手段ですが、これには淫魔の特別な能力を使います。 淫魔という種族が、格別に情念深いということはお話しましたね。 その精神が擦り切れてしまいそうな恋慕を、淫魔は常に人間に対して抱えていますが、それと同じだけの感情を、そっくりそのまま目の前の人間に植え付けることができるのです。 私が貴方様に感じている愛を、貴方様も私に向けて感じます。 そしてそれは、別個体の淫魔からも重ねて掛けることができます。 つまり、抱えているだけで潰れてしまいそうな恋心を、貴方は数多の淫魔に向けて同時に感じさせられてしまうのです。 そして、それら無数の淫魔から、同時に同じだけ愛をぶつけられます。 貴方様が好きだと思っている全ての淫魔は、貴方様の事が同じだけ好きなのです。 狂愛を向けるにふさわしい、とびっきりの美貌と肉体、女としての魅力を詰め込んだ完璧な雌達は、全員がハーレム容認派。 貴方様を全員で愛情たっぷりに犯し、養い、生活の全てを甘やかしで満たしてくれる。 その幸福、快楽、興奮が理解できるでしょうか。 いえ、きっと、今は分からないでしょう。 貴方様が考えているその想像の何億倍も、この状況は天国なのです。 なにせ、その多幸は、比喩でも何でもなく、魂を蕩かしてしまうほどなのですから。 そう、貴方様の魂は、ここで一度どろどろに融解させられます。 貴方様は存じていないと思いますが、あまりにも幸福を感じてしまうと、人間の魂は炙られたチーズのように溶けてしまうのです。 その快感、多幸感たるや、まさに筆舌に尽くしがたく。 ただ、肉体そのものが崩壊して、体の芯から指の先まで溶け、自分という存在そのものが壮絶な快楽と共に消えて無くなっていくような。 そうして、魂が蕩け落ちてしまえば、貴方様の精神は全く無防備になってしまいます。 その魂を、私が吸精の技を使い、ちゅるりと取り込んでしまうのです。 そうなってしまえば、貴方様はもうおしまい。 魂を永久に私に囚われ、転生する権利すら失い、永遠に私に魅了され続け、搾精され続ける眷属未満の存在に成り下がってしまいます。 ですが、逆に言えば、私が預かった貴方様の魂は、また貴方様の器に返すことができます。 とは言え、一度は幸福に蕩け切った魂ですから、多少の後遺症は残ってしまいますが──具体的には、私への永久に治療不可能な最深魅了がかかってしまいます──考えうる限りこれが最善の形である故、何卒お許し下さい。 それと、これは余談になりますが、魂そのものを吸精される感覚は、それはそれは心地よく、気持ちいいそうです。 実際に私がその感覚を知っている訳ではありませんが、話に聞くには──極限の快楽と幸福が、おぼろげになる感覚と共に、途切れなく続いてゆくような、そんな感覚だ、と。 それを言葉にして例えるならば、地獄の底で体を引き裂かれ、炎に炙られ、刃に切り裂かれ、臼に磨り潰され、凍てついて砕け散り、一秒と耐えられないありとあらゆる苦痛を受け続ける──その、全く逆。 悶絶するような快感が、幸福が、絶え間なく襲い続け、苦痛とは真反対の感覚に満たされるそうです。 さて、貴方様をお救いする手筈は、以上となります。 少々貴方様への負担が大きいように感じますが、こればかりは我慢していただくしかありません。 それに、選択の権利があるというだけ、他の幹部に捕まるよりずっとずっと貴方様のことを憂慮していると、私が言うのも何ですが、そう思います。 他の幹部に捕まれば、これよりももっともっと容赦なく、非人道的に、ただ快楽と安楽だけを突き詰めた、聞くだけで射精してしまうほどのおぞましい甘やかし漬け生活が待っているでしょう。 もしも連合部隊に捕まれば、もう最悪です。 最上位魔族が、力を合わせてハーレム搾精を行うなど──それこと、本当に貴方様が肉体まで蕩けてしまうやもしれません。 そう、ですから、私に捕まることは、唯一残された救いなのです。 貴方様が、この世界で人間で居るための、最後の細い蜘蛛の糸なのです。 ──とは言え、正直に申し上げますと、きっと貴方様は人としての在り方を捨て、私に更なる快楽を求めて縋りつき、精液袋として一生を捧げるであろうと、そう予想します。 何故なら、魂が蕩けるほどの幸福を、拒めるはずがない。 手を伸ばせば、あの病みつきになるような麻薬じみた多幸快楽が手に入るのに、それを自ら捨てるなど、人の理性では到底不可能だからです。 ですが、それでも。 貴方様にとっての「希望」は、これしかないのです。 それがどんなに細い糸でも、掴むしかないのです。 剣を取り、最後の抵抗をするも自由です。 全てを諦め、道行く魔族に体を差し出すも自由です。 一縷の望みをかけ、そこから逃げ出すも自由です。 ですが、結末は全て同じです。 貴方様は、魔族のモノになり、永久の時を慰み者として生きるしかないのです。 ならば、その中でも楽な選択をするのは、決して愚かな判断とは言えないでしょう。 貴方様の聡明な判断を、期待しております。 そして、貴方様がご無事であることを、心よりお祈り申し上げます。 淫魔族女王より 敬具

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二月は何も投稿できなかった事のお詫び/新作投稿しました

こんにちは、だいこんです。

先月は何も投稿できず、本当に申し訳ありませんでした。

支援して下さっていた方々には、この場を借りて深くお詫び申し上げます。

そして、先月更新できなかった分、今月は先程の先読みを含めて2回の更新を行いたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。


さて、前々から進捗を上げていた新作ですが、この度ようやく完成いたしました。長かった、本当に長かった執筆でした。思えば半年ほども向き合っていましたね。ああ、つかれた……。

という訳で、先読みとして500円プランの方用に投稿致しましたが、実はまだタイトルが決まっていないのと、まだ手直しの余地がある初稿ですので、よろしければ誤字脱字や展開の矛盾など指摘していただけると幸いでございます。いい感じのタイトルも募集中ですので、タイトルが思い浮かんだ方や、コピーライターの方、糸井重里さん等は、ぜひコメントにタイトル案をお送りください。お待ちしております。


また、二週間後にpixivに投稿する際は、ちょっとしたオマケのエピローグも付け加えたいと思っているので、500円プランに入って頂いている方も、ぜひpixivの方も読んでみて下さいね。ホテルから帰ったあとの二人の様子を書く予定なので、お楽しみに。


そして、ちょっとした続きのお話も、全体公開した後に300円プランの方用にご用意したいと思っておりますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。まだ何をやるかは具体的に決まっていないので、こちらも案がありましたらコメント欄に書いていただけると、採用させていただくかも知れません。


次回のpixiv投稿作品は、むちむち偏執女の後編を予定しておりますので、そちらもよろしくお願いします。人間ヒロインが続きますね。どっちもほとんど淫魔みたいな描写されてるけど……。


さて、今回の雑記は以上となります。

もし良ければ、三月も僕のFANBOXを支援していただけると、泣いて感謝致します。三月だけに、サンガツってね。

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短編性癖詰め合わせ.1

~眼光強めのニヤケ面で釣り目な巨大カジノの甘サド魔族支配人さん編~ ほら、お手手が震えているよ? しっかりカードを握って、呼吸を整えて、目線も手元に集中させてはいけない。 そんな体たらくでは来る運も来ないし、勝てる勝負も勝てなくなってしまう。 ……フフ、これほど親切にアドバイスをしているのに、それを無視してそんなに泣いてしまいそうな顔をするなんて、キミも愚かな子だね。 これではまるでまな板の上の鯉、まさにポーカーにおいての「FISH」そのものだ。 この場所では格好の食い物に他ならない、肉をたらふく付けた極上のエサ、あるいは葱を背負った鴨と言うべきか。 ……ん、二枚交換するんだね? ……クスッ♡ ああ、いや、すまないね。 真剣勝負の最中に吹き出してしまうなんて、水を差すような真似をしてしまった。 どれ、では謝罪の代わりとして、とっても健気で負けず嫌いのキミに、勝負のコツを教えて差し上げよう。 ギャンブルに大事なのは、強い心だ。 それは例えるなら、強固で頑強な城塞。 悲劇的なまでの不運、あるいは奇跡的な幸運を悟らせない、何重ものブラインドなのさ。 だから、ほら……勝負を仕掛けるとしても、その決意を悟らせてはいけないんだ。 私も、二枚交換しよう。 なんて……こんな風に、何でもない余興のように、勝負の手は打たなくてはいけない。 さて、私は……どんな手から、どんな役を狙って、どんな形になったと思う? キミがそれを予測できる材料は、そう多くない。 一つは、交換した手札の数。 一つは、今までに既に交換され、捨て場に置かれたカード。 一つは、レイズかコールかの駆け引き。 そしてもう一つは……私の態度、表情、動き、呼吸。 私の様子を観察して、そして浮かび上がった、表情の裏の自信さ。 どうだい?キミの目には、私の心はどう映る? 役が揃って一安心? それとも、ブタを必死に誤魔化している? フフ……まあ、私の手札を看破するのは、ちょっとキミには難しいだろう。 おっと、私は何もキミの未熟さを嘲笑っている訳ではないよ。 私は一応、それなりの場数を踏んでいるからね。 一時は賭け事だけで、まず間違いなくキミが一月に稼ぐ金額よりも多いくらいのお金を、一晩で稼いでいたんだ。 まあ、それだけで人並み以上の生活を送れていたという意味では、私はその道のプロと言っても良いだろう。 そういう人間同士の勝負ではね、表情を読めないなんてのは当たり前。 例えるなら、プロ野球選手でピッチャーならば、全員当たり前にマウンドからキャッチャーミットへノーバウンドで球を投げられるというような、技術以前の大前提なんだ。 それを見破られるようでは、この世界では生きてはいけない。 キミが私の表情を察することができないのは、言ってしまえば当然のことなんだ。 だからね。 今、キミに出来ることは、私の表情を苦心して見つめることじゃない。 キミの表情を、キミの手の内を守ることなんだ。 ……フフ、当ててあげようか? さっきも言ったけれど、随分と意を決した顔で、二枚交換していたね? 手元に残っているのは、三枚。 つまり、この三枚は、残すべきという判断を取ったわけだ。 当然、ブラフを抜いて考えるなら、同じ数字か階段状の数字。 または……フラッシュを狙うために、図柄が同じものを残した。 クク……♡表情は動かさなかったね♡偉い偉い♡ まあ、ほんの少し眉が動いたのと、自然な範囲で泳がせていた目線が突然動かなくなったのは気になるけれど……♡ ……おっと、無駄話をし過ぎてしまったね。 さあ、二度目のカード交換の時間だ。 キミのチップはぴったりミニマムベットの分しか残っていないから、これがラストゲームとなる可能性は十二分に秘めている。 そうなれば……キミの全ては、私のモノ。 キミの資産だけじゃない、人権までもが、奪われてしまうんだ……。 フフ、よく考えてカードを選ぶんだよ。 ……ああ、私は、このままで構わない。 この手で、確定。 これで、キミと勝負させてもらおう。 ……フフ、ククク……♡ さあ、選びたまえよ……♡ 最大手を狙う?それとも、安手にしておくかい?♡ もっとも、そのどちらを狙うにしても、運を天に祈るしかないだろうがね……♡ ……ふむ、一枚交換だね♡ そうだね、その心は、さしずめ…… ……いや、もうキミの心を覗こうとする必要もないか♡ だって、キミはどちらにせよ、降りることなんてできないんだものね♡ 私と、そのなけなしのチップをかけて、勝負するしかないんだ♡ だから、私も降りる必要はどこにもない♡ 最もリスクのない、最小ベットでの勝負♡ 私は負けても、ただこの山の一角が削れるだけ♡ 対して、キミは負ければ全てを失う♡ 崖っぷちのクリフハンガー、死神の鎌を首に添えられたキミは、生き残って大逆転を見せてくれるかな?♡ さあ、そろそろ運命を決してしまおう♡ ラストゲームとなるか否か、勝負と行こうじゃないか……♡ では、まずはキミから、その手札を出してもらおうかな♡ ……どうしたんだい?♡ 早く、キミの手の内を見せておくれ?♡ ……クク、震えていては分からないじゃあないか♡ ああ、それとも、あまりの興奮に、体の動かし方を忘れてしまったのかな?♡ 分かるよ、私にも経験があるんだ♡ 信じられないような天運が舞い降りて、全身を打ち貫かれるような衝撃が走り……♡ 呼吸の仕方も忘れて、ただただ歓喜に打ち震え、全身にアドレナリンが行き渡って、ただ震えることしか出来ないんだ♡ ね、きっとキミもそうなんだろう?♡ まさか、実力や技術の差はあるにしろ、運試しのギャンブルで一度も勝てずに終わってしまうはずがないもんね♡ ツキや流れなんてまやかしさ、結局のところ、賭け事は蓋然性のあるものだ。 確率は、どうしたって収束する、してしまう。 だからこそ、ギャンブルというものは公平であり、その中で取捨選択をするという、戦略のゲームでもあるんだ。 そう……。 キミが、よっぽど。 天から見放されていなければ……♡ フフ、ククク……♡ ウッフフフ……♡ ほら、お手手を前に出して、そしてトランプの札を皆に見えるように、表向けるんだ♡ そろそろ、決着といこう……♡ 観衆のバニーガール達も、待ちくたびれてしまっているよ♡ ほら、見えるだろう?♡ 慰み者が堕ちてくるのを、今か今かと、体をまさぐり合いながら待っている姿が……♡ ねえ、覚えているよね、最初の忠告♡ あの巣穴……バニー達の巣窟に堕ちれば、もうキミの人権は剥奪されたものと見なされる……♡ そうなれば、一生、永久に……♡ カジノの備品として、バニー達の玩具にされるだけの、ペット未満の惨めな生活を送らされるんだ……♡ 首輪を着けられ、部屋に閉じ込められて……♡ 脚で踏まれて、尻に押しつぶされ、胸に溺れて……♡ そうして、くすくすと嗤われながら、みっともなく射精することしか、キミには許されないんだ……♡ もう二度と太陽の光を見る事は無い、搾精奴隷生活……♡ 死ぬまでそんな人生を強要させられるなんて、考えただけでも身の毛がよだってしまうね♡ ああ、けれど、キミには関係のない事か……♡ そうだよね♡だって、ブラックジャックやルーレット、ハイアンドロー……あらゆるゲームで十度も勝負して一度も勝てないなんて、そんな不運あるはずがない……♡ キミは当初の想像通り、50億という目も眩むような資産を手にして、晴れ晴れと大手を振り、ファーストクラスのリムジンに運転手を付けて、勝利の美酒を呷りながら帰路につくんだ♡ フフ、ククク……♡ああ、それもそのはず……♡そもそもこの勝負だって、初めからちょっとしたサービスのつもりだったんだよ♡ 大体、十本勝負で一度でも勝てば50億円を支払うなんて、自信が無ければそんな破格の条件で相手を募集するはずがないだろう?♡ それも、入り口の誰でも見える場所で、大々的にパネルなんか出してさ……♡ けれど、みーんなそれを一瞥しては素通りしてしまうんだ……♡ まあ、それも仕方ないと言えばそれまでなんだけど……♡ 私はね、普段は支配人という立場だから、もうギャンブルの場に姿を出すことは滅多にないけれど、それでも賭け事を多少嗜む人間ならば、未だに誰も私に勝負など挑んでこないんだ……♡ もちろん、私は人生で一度だってイカサマをした事なんてないさ……♡ それに、今や流浪の博打打ちじゃなく、自分のカジノを持つ一端のオーナーだからね……♡ そこで妙な噂が流れても困るだろう……?だから、尚更イカサマなんてするはずがないのさ……♡ でも、それでも誰一人として私に勝負を仕掛けない……♡ 何故か分かるかい?……♡ ギャンブルが得意な人間はね、リスクの管理が上手いんだよ♡ 賭けるチップと報酬が見合ってないものを見分ける嗅覚が鋭いし、分の悪い賭けはそもそも行わない……♡ そう、毎日何千人という腕利きのギャンブラーが訪れるこのカジノで♡ 誰一人として、50億という報酬が♡ イカサマでも何でもして、一度でも私を打ち負かすという、たったそれだけの行為に対して♡ 割に合わないと、そう誰もが確信していたんだよ♡ フフ……♡まあ、強いギャンブラーというものは慎重さが要……♡ 悪く言えば、臆病なんだよ……♡ だから、いつも退屈していたんだ、私は……♡ 上からこのホールを見下ろして、ただ挑戦者を待ちわびる日々……。 いつしか腕すらも錆びついてしまわないかと、そう思っていたんだ……。 ああ、けれど、そんな中で!♡ ふらりと現れた、一人の可愛らしい男の子!♡ 少し不安げに、周りをきょろきょろと見回しながら、おろおろとテーブルを眺めては離れてゆく、一匹の迷い猫……!♡ そう、キミという勇者が現れた!♡ ああ、その顔を見たらすぐピンと来たよ……♡ この子は私を愉しませてくれる子だってね……!♡ フフフ、そして、やはり私の人を見る目は衰えていなかったんだ……♡ キミの傍に駆け寄って、軽く誘ってあげたら、キミはすぐに了承してくれたね……♡ ククク、いくら私が直にキミをそそのかしたとは言え、あんなにコロッと頷いてくれるとは……♡ そんなにも素直では、身ぐるみを剥がされて、人としての権利までしゃぶり尽くされてしまうよ……?♡ なんて、その忠告も既に手遅れなんだけどね……♡ フフフ、ああ、ああ……♡とうとう泣き出してしまったね……♡ でも、泣き落そうったってダメだよ♡ 勝負は勝負、契約は契約なんだから♡ 破産するならきっちりと、その対価として人権を差し出さないと……♡ クク、ウフフ、ほら、早く手札を出しなよ……♡ ほら、ハリー、ハリー……♡ ……ん? ……ごめんなさい、許して? ……何でもするから、助けてほしい? ……フフ、アハハ、アーッハッハ!!!♡ いや全く、随分と面白いジョークを言うじゃあないか!♡ あんなにも優しく、いくらでも逃げ道を用意してあげたのに!♡ こんなにも優しく、考えうる限り最も楽な終わりを用意してあげたのに!♡ 一度のゲーム毎に、ここで降りるかとあれだけ聞いてあげたのに!♡ キミを労働奴隷として、まともな食事や寝床も与えず、衰弱死するまでこき使うこともできるというのに、私はキミにただ惨めでキモチイイ想いをしていればいいと、これほどまでに慈悲に満ちた最期を提案してあげているのにかい!?♡ クク、ククク……!♡ ああ、やっぱりキミは素晴らしいな……!♡ 私の目に狂いは無かった……!♡ 私はね、キミのような、狂おしいほど愚かで運がなくて、騙されやすくて素直で情けない子が……!♡ 勇気を出して勝負に挑み、初めは希望を抱きつつも、それをどんどんへし折られて、最後は絶望しながら命乞いをする姿を見ると、クフ、クッフフ……!♡ もう、子宮が疼いて、下着が使い物にならなくなるほど、ぐしゃぐしゃに濡れてしまうんだよ……!♡ はぁ……!♡その信じられないほど邪悪なものを蔑みつつも畏怖する目……!♡ 堪らないな、本っ当に……!♡ こればっかりは、ポーカーフェイスでは抑えられそうにもないよ……!♡ ああ、でもこれはキミが悪いんだよ……?♡ キミがほんのちょっと、私の好みから外れていれば……♡ キミがほんのちょっと、少しだけクレバーであれば……♡ 私はキミを見逃してあげたのに……♡ そう、キミがダブルブルの真ん中に突き刺さるように、心の底から欲求を煽る、私がちょうど望んでいた、可愛くて可愛くて最高に好みな男の子でなければ、札束の入ったアタッシュケースでもお土産に持たせて帰らせてあげたのにね……♡ フフ、あるいは、途中で今まで負けた分のチップを背負ったまま帰っていたのなら、私も見逃してあげたのかもしれないな……♡ ん?フフ……♡確かに、途中で勝負から降りれば、キミの持っている財産と稼ぎからして、一生馬車馬のように働いては返済に追われるだろうが、それでも永遠にベッドルームでカラダを売る羽目にはならずに済んだだろう……?♡ ククク……♡まあ、あれだけ借金苦の末路を語って脅してあげたら、キミがこの勝負から降りる訳が無いとは分かっていたけどね……♡ フフフ、そうだよ……♡私は最初から、キミの姿を見た瞬間から、キミがこうして奴隷に堕ちることを確信していたんだ……♡ ああ、何て可哀そう……!♡ 邪悪な魔女に騙されて、永久にバニー達のメートル越えきつきつ爆乳の谷間に、えっげつない舌使いのお口まんこに、むっちり太く肉付いた太ももオナホに、どんな男でも1ピストンで射精狂いにさせてしまう魔の膣穴に、悶え狂いながら一秒の休みもなく犯されてしまうなんて……!♡ フフ、なーんて……♡ 何度も言うが、これは完全なフェアプレイ……♡ イカサマもカードの操作もない、ただ単なる実力と運の勝負なんだ……♡ だから、私を恨むというのはお門違い……♡ もし恨むとしたら、自分の不運と実力を恨むんだね……♡ ク、ククク……♡ ああ、その顔……♡ やり場のない怒りと絶望に震える仕草……!♡ はあぁ……♡少しイってしまったな……♡ フフ、フフフ……♡ さあ、もう十分だろう……♡ キミの心を踏みにじるのも、そろそろおしまいにしてあげようじゃあないか……♡ ほら、もう諦めて楽になろう……♡ なに、キミも男なら、見目麗しくてすけべな格好をした、豊満な体形の女とハーレムセックスしたい願望くらいあるだろう……?♡ 彼女らは皆、ヒップもバストも当然のようにメートル越えの、極上のバニーガール達だ♡ そういうマゾヒスティックな趣味が無くとも、バニー達の巣穴は楽園と形容してもいいはずだよ♡ まあ、その代わりに、ウサギじみた底なしの性欲も折り紙付きだけどね……♡ フフ、額に汗が滲んでるよ……♡ 少し、雄らしい匂いも濃くなったかな……?♡ 期待、してしまってるのかい……?♡ クスクス……♡ それなら、さ……♡ 早くその手に握ったモノをバラまいて、楽しいことをしようよ……♡ 大丈夫、悪いようにはしない……♡ 私は、ただキミを快楽漬けにして楽しみたい……♡ その為に、キミが欲しいだけなんだ……♡ 酷いことなんてしないよ……?♡ 痛い事や苦しい事、辛い事なんて以ての外さ……♡ そもそもの話だが、そんな表に出せないようなことをするために奴隷を飼うのなら、50億もあれば何人でも買えてしまうんだからね……♡ フフ……♡急にこんな事を言い出すのは怪しいと思うかい……?♡ まあ、これは私なりの謝罪さ……♡ さっきはあれだけ、キミの心を蹂躙するような真似をしてしまったからね……♡ だから、ほら……♡ せめて、ベッドの上では、優しくしてあげるよ……♡ 甘く、蕩かすように……♡ 無数の柔らかな乳房に埋もれながら、代わる代わるバニーの巨尻に種付け……♡ あるいは、その逆……顔をお尻に潰されながら、濃ゆいフェロモンを嗅がされて、にゅらつく乳の柔さに、肉棒を芯まで解されるような恍惚を味わいたいかい……?♡ ほら、カードをそこに広げて、こっちにおいで……♡ もう、怖いのはナシにしよう……♡ フフ……♡ ワンペア、か……♡ ああ、良い子だね……♡ 存分に胸に甘えるがいいよ……♡ ほら、バニー達もおいで……♡ あまぁいフェロモンの溜まった住処へ、連れて行ってあげよう……♡ クスクス……♡ いっぱい、いーっ……ぱい♡ 可愛がってあげようね……♡ フフ……♡ ああ、もうそんなに蕩けた顔をしてしまって……♡ バニー達のフェロモンに当てられて、とぷとぷ甘イキしてしまったかな……♡ あーあー、バニー達も目の色を変えて、すっかり本気で共有お婿さんにするつもりだね……♡ それではお部屋に入ってから持たないよ……?♡ 十分……いや、五分でバニー達に眷属契約を結ばされてしまうと見たね……♡ クスクス……♡では、私も部屋で首輪と淫紋の鏝の準備をしてこようかな……♡ ……ああ、ところで、キミは終ぞ私の手札を確認しなかったね♡ 私の役は何だったと思う……?♡ なーんて、もう顔中を乳房に埋められて、聞こえてもいないだろうが……♡ 実は私の手札はね、全くのブタだったんだよ♡ 完璧に役ナシの、ワンペア未満♡ 私の誘惑に負けず、勝負さえできれば、ほんの少しでも延命できた……いや、これは勘だけれど、ここで負けていたら、流れを引き寄せられてしまっただろうね……♡ けれど、キミはキミの意思で勝負を捨て、私の庇護下に飛び込んできてしまった……♡ キミは、一生かかっても見る事さえない大金より、私に支配されることを選んだんだ……♡ クク、いやはや全く、キミは本当に愚かで、私好みの可愛い子だよ……♡ そんな可愛い旦那様は、私が責任を持って……♡ 永久に、快楽の底に沈めて……♡ キモチイイとシアワセ以外、何も考えられないようにしてあげないとね♡ ああ、愛しの旦那様……♡ ~常に傍をまとわりついてくる全身真っ黒ヤバ後輩ちゃん編~ おやおやおやァ……? 嗚呼嫌だ嫌だ、この明朗快活、歩いた後には雨も止むと言われたワタクシですら見ているだけで辛気臭くなる、痩せガエルにも劣った面構えの男がいらっしゃると思えば……。 イヤハヤ、これはこれは、ワタクシがこの世で最も敬愛してやまない、愛しのセンパイ様ではございませんか! 駅かどこかで見覚えがあった顔なものでしたから、センパイかと思うより先に、一瞬構内に張り出されている指名手配書で見た写真の顔かと間違えてしまいましたが……いやしかし、それにしたってヒドイお顔ですねェ? まるで……そう……。 こう、地獄の底で苦痛に喘ぐ亡者のような悲哀が……いや、違いますねェ……それよりももっと……。 ふゥむ……人智を超えた怪物に追われた哀れな被害者が、死を目前にしたためた手記を連想させる……いや、これもピンと来ませんねェ……。 しかし、イヤハヤ、そう考えると大したものでございますねェ。 ワタクシは、そんじょそこらのマックで本質を突いた話をしてネットのバズの題材にされた挙句に嘘松などと叩かれるような一般的なジェーケーよりは、語彙という分野において……それも人間の悲哀や絶望などといったものを表現することにかけてはほぼ趣味の範疇でございますから、多少なりとも自信があったのですが……。 いや全く、貴方の顔ときたら賞賛の一言! まさかこのワタクシを以てして、その消沈ぶりの一割も言語では表現できないと思わせるとは、流石! この学園のスゥパァアイドル、文武両道にして眉目秀麗、素行の優秀さは折り紙付き、オマケに男性垂涎の肉付きで誰もを悩殺してしまうワタクシが、2022年1月現在において最も信頼または親愛の情を抱く人間なだけは有りますねェ! ……オヤ、今日と言う今日は本当にメンがヘラでございますかァ? いつもならココイラでDVの一つや二つが行われるトコロなのですがねェ。 そうワタクシを無視してサメザメと大息を吹かされると、いくら知人にこぞってハートレスと言われるワタクシと言えども、センパイに合わせてションボリでございますよォ。 ……で、結局のトコロ、何が原因なのですかァ? ……はァ、当ててみろ、ですかァ。 そうですねェ……まァ、センパイの顔から察するに……。 ……まァ、当てずっぽうですから、外れてても気を悪くしないで下さいねェ? アクマでもこれは、一般的な男子高校生というモデルケェスにおいて、貴方ほども落ち込むような事案を考えただけで、何も貴方を貶めたり辱めたりするという意図はァ…… はァ?良いから早く言え? 全く、蝶よ花よと愛でられる女子高生に酷な事を仰いますねェ……こちとら意外と心がおセンシティブでございますから、性差による膂力差のある男性に怒られると考えると夜も眠れないほど怯え散らかしてしまうというのに……。 ハイハイ、予防線も御託も結構でございますか。 それではァ……例えば……。 "ちょっとばかし気に入っていて、顔はそんなにタイプじゃないけど告白されたらOKする程度には好意も性欲も抱いている、良い子ちゃんで気の弱くて庇護欲を煽ってくる割に胸は大きめの同じクラスの子に屋上に呼び出され、これはもしかしたら告白されるんじゃあなかろうかと期待を胸に、普段は全く気にも留めていない身だしなみを整えながら向かったら、件の女子があからさまに挙動不審な様子で待っていたから『これは来たんじゃないか?』と思いつつも呼び出したのは相手だしこっちから何かを言うのも違うなと思って、あの子が彼女になったらどんなデートとかするのかなぁなんて皮算用をしながらもじもじと体を捩っている彼女が口を開くのを待っていたら、その子が意を決したようにこちらを向き、その瞬間急に真っ赤だった顔がペンキをぶっかけたように青ざめて、脚を恐怖でガクガク震えさせながら「ごめ、ごめんなさい……!!!」と突然謝られて弾かれるみたいに逃げられた" ……ってなトコロでしょうかねェ? クク、フフフ……! ッフ、フハ、アーハッハッハァ!!! あァ、図星!ソレはソレは、珍しいこともあるモノで!!! クク、ゲホッ、痛いじゃァありませんかァ……♡突然襟首を掴まれては、ぐッ、首が締まってしまいますねェ……♡婦女暴行は重罪ですよォ……?♡ フフ、あァ、見ていのたか……ですかァ? いやァ、まさかまさか、そんなそんな……! そんな、クフッ、当然の事じゃアないですか……♡ 勿論、当然、語るまでも無く! 見てましたよォ!!!じィっくりと、けれどバレないように、センパイからだけは死角になる位置で!!! 当然じゃアないですかァ!!!センパイが、あんな、あんな!!! あんな売女に汚されるなんて、黙って見てられる訳がないでしょうが!!! あァ、思い返したら腸が煮えくり返る!!!あの、あの腐れ女が!!! 丁度屋上なんて誰も見ていない場所だったんだ、嗚呼しまった、殺しておけば良かったんだ!!! 今からでもそのドブに吐き捨てられたゲロよりも臭い阿婆擦れの匂いを追って、生爪でも剥いでから縊り殺しておくべきか!!! フフ、クヒヒッ、あァ、今すぐにそうするべきだ、一刻も早くそうしなければ!!! ……フフ、なァんちゃってェ♡ ……重いデスよォ、センパイ♡ しっかし、そんな血相変えてワタクシを押し倒すなんて、お顔に似合わず情熱的♡ クフフ……♡ワタクシも一匹の雌でございますから、どうにもこうして、つよォい雄に組み伏せられると、こう、胎の底にずゥんとクる感覚がありますねェ……♡ まァ、今の状況で惜しむらくは、ロマンチックな体勢ではなく、凶悪犯を確保する特殊部隊のような押し倒し方なことくらいでしょうかねェ……♡ フフ、そんなにワタクシの演技は堂に入ってました?ハリウッド級? 安心して下さいよォ、このワタクシが感情に任せて直接手を下すなんてスマァトじゃない真似、する訳がないでしょオ? クク、殺しなんてしたら、もう二度とセンパイはワタクシに会ってくれませんよねェ? そうなれば、ワタクシがこの世で生きている理由は、宙を舞うホコリの一粒分だってありはしませんからねェ。 ……えェ、まァ、死にますよォ。 それはもうコロっと、止める暇も無く。 センパイが今ここで、ワタクシと一切の縁を切って、二度とその面を見せないようにしろと仰るのなら、その様を実際にお目にかけますよォ。 あァ、もし汚い死に様なんて見たくも無いのなら、愛しい愛しいセンパイの為に出血大サァビス! 永遠に誰にも見つからないと、この頭脳明晰なワタクシがお墨付きの場所で、誰にも知られずひっそりと死んで差し上げちゃいまァす! クフフ、何てセンパイ想いな後輩なんでしょう、ワタクシったら! ……フフ、イイですねェ、その気っ色悪いモノを見る目……♡ センパイはワタクシのことを、心の底から全く理解できない化け物だとお思いになっておられる……♡ えェ、えェ、全く構いませんとも……♡ ワタクシはセンパイに、ちょっと本気で吐き気がするほど気持ちの悪い、見ているだけで寒気がするキッショい女だと思われたくらいではめげたりしない、恋する一途な女の子なんですからねェ……♡ クク、甘ずっぱァい青春ですねェ……♡センパイがだァい好きな恋愛小説みたい……♡ クフフ、あァ、センパイどちらへ行かれるので?♡ どこまでもお供しますよォ♡なんてったってワタクシは、可愛い可愛いセンパイだけの後輩なんですからねェ♡ ……フフ、誰かにこの事を喋ろうったって、無駄ですよォ……♡ ワタクシの普段の振舞い、知らないでしょ? それこそ明朗快活、素行優秀、リィダァシップに溢れていて、二年間ずーっとクラスの室長。 成績は誰より優秀で、国内トップの難関国立大の法学部も期待されていて、運動能力も悪くない……。 その上、アナタもよォくご存じの通り、容姿は端麗で体つきも雄好みのする、猿にも例えられるほど性欲盛りの男子高校生には堪らない肉付き……♡ そのおかげで、同じ学年どころか、上級生の人にもよく告白されるんですよォ……♡ ホラ、知ってるでしょ……?♡イケメンかつヤリチンで噂の、サッカー部のキャプテン……♡ あの人にも、呼び出されて告白された事あるんデスよォ……♡ フフ、ククク……!思い出すだけで笑いが込み上げて来ますねェ……! あんなにヤリモクを隠そうともしない目付きのくせに、いけしゃあしゃあと、ワタクシの明るくて優しい性格に惹かれた、だなんて……! はァ、本っっっ当、男ってカスでございますねェ……♡ あれだけ私の胸をガン見しておきながら、あんなことを本気で言えるんですからねェ……。 まァ、お察しの通り、そのクズは一寸ばかし軽いトラウマになるくらい、こっぴどくフっておきましたが……。 ……ン?おやおやァ?♡ 安心、しましたかァ?♡今、ほんのちょっとだけ、ワタクシが男に靡かなかった事に、安堵の情を抱かれた?♡ ククッ、フフフ……!♡ あァ、あァ、そうですかそうですか!♡ あはァ……♡ なァんか、センパイとの子供が欲しくなっちゃいましたねェ……♡ 屋上、カギ掛ければ誰も来ないか……♡子供を作るにはうってつけですねェ……♡ ン?どうしましたァ? ……そんなに不思議なコト、ワタクシ言いましたァ? ただ単に、センパイがカワイくてエッロい仕草をしてきたから、ワタクシがセンパイをブチ犯したくなっただけじゃないデスかァ。 センパイだって、ワタクシが今からスカート降ろしてパンツを脱いでセンパイに渡したら、あァこいつブチ犯してもOKなんだなって思うでしょォ? ……あァ逃げないで下さいよォ♡ そんな苦虫を噛み潰してじっくりよォく味わったみたいな顔しなくったってイイじゃありませんか♡ クフフ、それでェ?♡ どこに逃げ込むおつもりなんですかァ?♡ さっき言ったこと、もう一度リピィトして差し上げましょうかァ?♡ ワタクシとセンパイの言葉、周りはどちらを信じるでしょうねェ♡ まァ、ハッキリ申し上げますと、ワタクシが今ここで全裸になってセンパイに襲われたと叫べば、多少状況証拠に不備があろうとセンパイは話も聞かれず牢屋にブチ込まれるとワタクシは思いますよォ?♡ 教室の中でいつも大人しくしていて、格別に問題も起こさないけど友達も少なくて、先生にも特に好かれていないセンパイが、このワタクシの言葉を覆せますかねェ?♡ それも、ワタクシに無理やり屋上でレイプされそうになったから匿ってくれ、だなんて……♡ クク、まァ、そう言ってやれば、明日からちょっと先生から優しくされるかも知れませんねェ♡ 気が触れたと思われて、腫物を扱うように、優しく……♡ クク、ウッフフ……!♡ ……ン?あの告白してきた女の子が証言してくれる? あァ、あの雌ですかァ。 無駄だと思いますよォ? アレ、焚きつけたのはワタクシですからねェ。 と、言いますか……雇った? あの子、ぜェんぜんセンパイの事好きでも何でもないですよォ。 ただ、ワタクシが告白っぽいことしてくれって頼んだだけデスね。 ……フフ、そうですよォ♡ 何故って、そんなの……♡ センパイの無様な姿を見たいからに決まってるじゃァないですかァ……♡ あァ、本当、思い返すだけで、カラダが震えますねェ……♡ あの、心底弱り切った姿……!♡ はあァ……♡本当に、心から不格好で、見苦しくて……♡ ……ウフ♡怒りました?♡ブン殴りたくなりました?♡鼻っ柱を叩き折って、二度とこんなクソみたいな事をしでかさないよう、徹底的に痛めつけて二度と逆らえないようにしたくなりました?♡ ええ、ええ、そうでしょうとも♡それは極々自然な感情の動きなのですよォ!♡ もちろんそれを引き起こしたのは、他でもないこのワタクシ!♡ワタクシが全て悪いということは、誰の目から見ても一目瞭然、火を見るよりも何とやらですねェ!♡ ですから、ほら、屋上へ行きましょうかァ?♡それとももっと誰の目も無くて、人道も倫理も無視しきったコトをしたいデスかァ?♡ それならワタクシの家、ワタクシの部屋にでも行きますかァ♡ そこで心おきなく、この生意気で乳とケツばっかりデカいクソ女の腹を、思いっきりブン殴ってスッキリ致しましょう!♡ それとも、腕や脚を折って二度と使えなくするのでも、顔にバットを叩きつけたり硫酸をブッ掛けたりで二目と見られない顔にして、雌としての価値をドン底に叩き落とすのでも大歓迎ですよォ……♡ ねェ♡そうしましょう♡ほらほらァ♡善は急げデスよォ♡ 釘とかハンマーとかあるし、ホームセンターにでも寄りますかァ?♡お金ならあるだけ出しますし、お望みなら適当なところから借金もしちゃいマスよォ♡ 財布はこの、ブレザーの内ポケットにいつでもインしてますからねェ♡あ、キャッシュカードの暗証番号は9973デスよォ♡ 何時でも何処でも、フフ、呼べば来るATM兼オナホとして……♡センパイに使って欲しいなァ……♡ 烏滸がましくもちょっとだけワガママを言わせて頂くと、できればお金をふんだくる時は真夜中の3時とかがイイですねェ……♡ あと、ワタクシがセンパイの居る場所に着いたら、遅せぇって言って一発理由も無く殴りつけてほしいデス……♡ あ、勿論凶器を使って頂いて結構ですよォ♡一生残るタイプの後遺症もウェルカムどころか、むしろ潮を吹いて悦んじゃいますねェ♡ それでェ……♡一生懸命貯めた金をブン取られた後はァ……♡ ご褒美代わりに、前戯も無しでレイプされて……♡ただただセンパイがスッキリする為だけの便所扱いされてェ……♡あっはァ……♡ それでェ……♡そうして暫く便利な奴隷扱いされた後はァ……♡ 最期は色んなところを痛めつけられすぎて……♡なるべく死なないように苦痛を味わいながらもぐったり衰弱死させれられてェ……♡ まだ生暖かい死体を、使えねえなって蹴り飛ばされながら、そのまま死姦させられるのとかァ……♡ ッはァ……♡ヤァァッバ……♡ 想像しただけで、脳みそぐっちゃぐちゃのバカオナホになるゥ……♡ ァは♡待って下さいよォ……♡ 逃げないッ……♡でッ……♡ ッフ♡足腰砕けてッ♡歩けないッ……♡ ……ァー……♡あの、すみませェん……♡ センパイ、これはマジのお願いなんですがァ……♡ ちょっと、雑巾とか、どこかで貰ってきてくれません……?♡ 足元、水溜りになっちゃってェ……♡ あ、大丈夫、ワタクシの粗相なので、拭くのはやります……♡ ……一応、センパイの中であるかどうかも分からないワタクシの名誉の為に弁解させて頂きますが、失禁じゃないデスから……♡ あ、尚のこと悪い……♡クフフ……♡ あァ、スイマセン、では失礼して……♡ ……ン?これ、雑巾じゃなくてタオル……? ……センパイの、匂い……。 ……そんなところ見せられないから?一刻も早く? ……ウフフ、ウッフフフ♡ クク、ッヒ、エヘ、キシシィ……♡♡♡ あァ……♡本ッ当、センパイって最悪デスねェ……♡ 憎たらしいなァ……♡はァ……♡ コレ、洗って返しマス?それとも、このままの方がお好みで? あ、くれるんデスか?♡ヒヒッ、ラァッキィー……♡ はァ~……♡センパイのタオルの神々しい香りが、ワタクシの汚らわしいニオイで掻き消されるゥ……♡ あァ……♡本当、今すぐワタクシの腕とかヘシ折って頂けたら、今日ほど幸せな日は無いなァ……♡ ……ン?だってェ、愛するセンパイに、直々にワタクシなどというクズを罰して頂けるんデスよォ? しかも、その痛みが尾を引いて続く程、その傷跡が痛々しく残るほど、ワタクシはセンパイから罰を受けた日のコトを色濃く思い出せるじゃあないデスかァ……♡ 右腕が動かないと認識する度に、あァ、あの日ワタクシはセンパイに、直々に折って頂いたんだなァ……♡って、これ以上ないシアワセに包まれるんデスよォ? ……フフ、吐きそうなお顔♡ まァ、いいデスよ♡理解されなくても♡ それよりも、センパイに私を罰して貰える方がよっぽど大切デスからね♡ フフ……♡そんな事する気はありませんかァ?♡ まァ、センパイは人を殴るのとか嫌いそうデスもんねェ♡ それなら……とりあえずは、便利な財布兼オナホとして使うのはいかがデス?♡ フフ……♡それもお嫌デスかァ……?♡ 強情なお方デスねェ……♡ワタクシがこんなにも頑張って、ワタクシを痛めつける事への罪悪感を減らそうとしているのに……♡ クスクス……♡焦らされるのも嫌いではありませんから、構いませんけどねェ♡ まァ、精々ゆっくりと、蝕むとしましょうか……♡ 早いところ、マトモじゃなくなって下さいね♡ センパイ♡

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進捗.5

むっちゅぅぅぅ……♡♡♡


──っっっ……!!!♡♡♡

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新作の進捗.4

目をひん剥いて驚く男を押しのけて、どすりと勢いよく僕の隣に座る。 今度こそ体がぴったりと密着するほど、腰と腰がくっつくほどに身を寄せて。 「キミは真っ白なままなのが魅力なんだ。だから、こうして」 そして、握り拳を形作ったままの僕の手の中に、そっと指を入れ込んで、解くように開く。 そのまま指と指を絡めて、きゅっと、優しくきつく、決して離れられない程度の力で、握る。 僕の右手と彼女の左手を、まっすぐ向き合ったまま、指の隙間に指をねじ込むようにして。 ──恋人繋ぎ。 それは一般的にそう総称される、手と手の繋ぎ方。 文字通り恋人同士が、それも格別に愛情の強いカップルが行うような行為を、渚さんは涼やかに笑って行う。 「私が繋いでおいてあげよう。これでキミの右手は、私を愛することしかできなくなってしまったね」 ──う、う…… 相変わらず、渚さんの行動は、心臓に悪い。 あまりにも滑らかな、最高級のシルクで出来ているかのような手触りと、愛おしいように吸い付く潤いを兼ね備えた指が、張り詰めていた僕の感情を途端に塗り潰してしまう。 しかし、そんな甘い空気は長くは続かない。 「……おいおい、渚さんよ、そんなに俺らをほっとかれると寂しいぜ?」 隣の男が立ち上がり、渚さんを上から見下ろす。 最早下衆な感情を隠す様子も無い。 今からお前を襲って、無理やりレイプする。 目は口程に物を言うという言葉がぴったりなほど、男は太い腕を見せびらかして、下衆な笑みを浮かべた。 ──っ……!そうだ、渚さん……!こいつら危険です!早く逃げましょう! テーブルの向こう側に座っている奴等も立ち上がり、集団でレイプすると言わんばかりに邪な目を向ける。 囲んで殴って押さえつけて、自分の都合のいいようにこの女を従える。 倫理観を無視すれば、この上なく手っ取り早くて確実な方法だ。 体格では絶対に敵わない幾多もの人間に囲まれて、見下ろされる。 そんな絶体絶命の状態になって、僕は、途端に恐ろしくなり震えあがる。 今から起こるであろう惨劇にも、渚さんが汚されてしまう事にも、それから人間をここまで狂わせてしまう渚さんの魔性にも。 しかし、こんな状況になっても、渚さんは悠然とカクテルグラスを薫らせて、動こうとしない。 綽々と構えて、ただ平然と、優雅に流し目を向ける。 「んー……何で?」 ──いや、あいつら渚さんのことを無理やり犯そうと……!って言うかそのカクテルも飲んじゃダメです!薬が入ってて……! 必死に捲し立てる僕を尻目に、渚さんはくすりと笑う。 まるで静かなバーのカウンターに座っているかのように落ち着き払って、そのまま。 ──あ、や、ちょ……! カクテルグラスを口につけ、傾ける。 美味しそうに、ゆっくりと、ゆっくりと、味わってから喉に落としてゆく。 唇から離し、かたん、とテーブルにグラスを置いたとき、その中身はもう既に空っぽで。 そして、ふう、と一息つくと、渚さんは。 「うん、知ってるよ」 と、一言。 何でもないように、そう言った。 ──……! 目の前が真っ暗になってしまうような、衝撃。 気を失ってしまいそうなほどの驚愕に、僕の頭と視界がぐらりと揺れて、それと対照的に奴らはますます気を沸かせる。 女性を前後不覚にして、性に飢えたサキュバスのように淫欲を剝き出しにさせて、誰とでも、それこそ男性器さえ持っていればゴブリンのような容姿の男とであろうとまぐわってしまう、そんな媚薬。 それを理解しながら飲んだとあれば、それは男たちのレイプ願望に合意の意を示したに等しい。 「……うん、あー、これは、凄いね。今すぐ、ぐっちゃぐちゃに掻き回してほしいかも」 僕と彼ら、そのどちらの反応にも気に留めることなく、渚さんは深く息を吐く。 恐ろしいほど艶めかしく、顔を紅潮させて、桃色の吐息を一つ。 有り余る性的衝動にぶるりと震えて、こちらに流し目を向ける。 ──……っ!♡ その目線に、彼女よりも僕の方が、強く震えを起こす。 それは、今までの渚さんのような、理知的な光を宿しながら、春風のように何物にも縛られない、温かくも優しげな瞳ではない。 身震いするような淫蕩さや、一目見て「食われる」と思わざるを得ない、自分より遥かに上位の存在だと確信してしまう強者のオーラがそこにはある。 普段の雲のような掴めなさから一変して、『ここにこの世で最もお前を悦ばせられる存在が居る、だからお前は私に魅了され尽くして、全てを捧げて、私に抱いてもらい、依存して、堕ちろ』、と。 そう言わんばかりの、傾国の娼婦ですら唸るような絶対的強さと気高さ、そして決して抗えない雌性を、フェロモンと共に撒き散らしている。 れろぉり、と肉厚な舌で、これまた厚く淫らな唇をなめずる彼女。 淫魔と言って遜色ない、むしろ淫魔すら凌ぐようなエロスをこうもさらけ出されては、男も女も関係ない。 渚さんを抱く。 媚薬を自ら飲み干した、あの淫乱そのものの身体をした、最高の抱き心地の雌を。 どうしたって、例え性器が不能であろうとそう決意せざるを得ない、渚さんという女がそこに居るのだ。 男たちは、フェロモンの匂いにつられる虫のように、ふらふらと惹き寄せられる。 はち切れるほどに膨れ上がった期待と、同じくはち切れそうな性器と共に。 ──う、くそ…… とにかく渚さんを庇うように、僕が身体で彼女の前に立ちはだかるが、もう彼らは、渚さんに受け入れられる事を疑いもしていない。 彼女以外の不純物は目にも入らず、僕を片手でぐいと押しのけると、ただ彼女に手を伸ばす。 ──渚、さん……! 青ざめて、彼女の名を呼ぶ。 当たり前の事だが、僕は渚さんにとっては友達とすら思われていない、ましてや彼氏でも何でもない存在だ。 しかし、彼女があんな奴らに汚されると考えると、巨大鉄球を後頭部に振り落としたような、血の気が引くほど強い衝撃で脳内が真っ白になる。 しかし、無情にも男は止まらない。 まずはそのたわわな胸、明らかに100cmの大台を悠々と超す巨大な肉塊を、手のひらから溢すように揉み潰そうと、手を伸ばす。 今から味わえる、無上の肉感を思いながら、その手が徐々に近づいて。 その手を、渚さんは、じっと見つめる。 媚薬の淫気にあてられて、性器や性感帯への刺激を縋ってでも求める、今の渚さん。 女なら、例え男性という男性に対して嫌悪や憎悪を撒き散らし、男性は全員性犯罪者予備軍であるから人権を奪った挙句去勢して牢屋にぶち込め、なんて喚く極端なミサンドリーであっても、男に土下座すらして男根を求めるほどのセックスドラッグを丸々一錠摂取した、渚さんは。 男の手を優しく取って、にっこりと笑って。 「──ぐあっ!?」 「汚い手で、私に触らないでくれるかな?」 逆側に、腕ごと捻り上げた。 めしりと、音がするほど。 ──え……? 全員の、時が止まる。 男の手を、拒んだ。 それは絶対にあり得ない、それこそ夏場の乾いたプランターの土が水を拒むような、抗えるはずがないものなのだ。 けれど、渚さんは望んでやまないはずの男の愛撫に目もくれず、むしろそれを自ら拒絶した。 男は痛みにうずくまり、渚さんを睨みつける。 しかし、その目にあったのは怒りというよりは、困惑。 何故、どうして、という思いであった。 そんな男に対して、渚さんは冷たい目線で、見下ろして言う。 「キミたちみたいな薄汚い奴らは、同じようなつまらない下衆と乳繰り合ってなよ。私はキミみたいなのとセックスするのはまっぴら御免だからさ」 先程までの表情とは一変し、感情がすっかり抜け落ちたかのような表情。 侮蔑や嫌悪を通り越して、一切の興味を失ったのか、もはやそちらを向きもせず、淡々と語る。 それに対して、男たちは悔しそうに、あるいは焦燥しているかのように押し黙る。 渚さんが思い通りにならなかったからか、あるいはあれだけ媚びるように豊かで淫らな渚さんの身体に触れられなかったからか。 しばし無言で、顔を見合わせた。 しかし、そうしていたのも束の間、男たちは顔を見合わせたまま可笑しそうに笑い、勝ち誇ったように声を荒らげる。 「ハハハ、何だよ、お高くとまりやがってよ!」 「大人しく俺たちに従ってりゃいいのによ、抵抗するんなら痛い目見せて言うこと聞かせなきゃなぁ!」 「ああ、店員なら呼んでも無駄よ、この店はアタシらとお友達だから!」 ゲラゲラと下品に笑う男たち。 こちらの抵抗が無意味である事を確信し、鼻の下を伸ばして、雌を手籠めにする愉悦を今か今かと待ち望む。 彼らは数の利からか、あるいは渚さんの性差による膂力、そのおまけにくっ付いている僕の弱さを知っているからか、ほんの少しも逃げられる心配などしていない様子だ。 その態度が癪に障るが、しかし、事実として、僕らを囲む男たちから抵抗しながら逃げおおせるというのは全く現実的ではない。 ──渚さん……! 振り返って、渚さんの名前を呼ぶ。 とにかく僕はどうなったっていいから、貴方だけでも逃げてくれ。 貴方のよく切れる頭で、僕をどう利用したっていいから。 そんな意味を込めて、必死に目線で伝えるが、当の渚さんと言えば。 「んー?どしたの、そんな顔して?お腹でも痛いの?」 じゃあ、この余ったカクテルも飲んじゃうね、なんて惚けた事を言いながら、もう一つのグラスを揺らしている。 その様子を見た男たちは、渚さんをまだ状況を全く理解していないバカ女、あるいは分かっていながら俺達を煽る淫乱だ、なんて囃し立てながら、袖を捲って襲い掛かる。 ──くそ、近づくな……! いかにもケンカ慣れしたファイティングポーズを取る男たちに、武者震いでなく震えを起こす手を押さえつけ、僕も奴らに合わせて拳を握った。 端から勝とうなどとは思わない。 ただ、渚さんが逃げられる時間を、ちょっとでも稼ぐ。 そんな決意を抱きながら、奴等に相対した。 しかし、そんな決意は、呆気なく崩される。 後ろから腕を引かれ、椅子に座らされてしまったのだ。 そう──それは、他でもない、渚さんの手によって。 ──渚、さん……? 思わず振り返り、彼女の顔を見る。 その目は、少しとろんと蕩けつつ、しかし。 ──確かに、獰猛な鷲のような。 奴らの驕りきって油断した目とは違う、冷酷かつ無慈悲な狩人じみた、絶対的な力量差から生まれる、絶対的王者の光があった。 「危ないよ、座ってなきゃ」 渚さんは、手に持ったカクテルグラスを、つ、と優雅に傾ける。 一頻り口の中で転がしてからそれを飲み干すと、ふ、と息を短く吐き、振り返らずグラスをこちらに渡した。 そのまま、肩にかけたバッグからヘッドフォンを取り出し、キャスケットの上から被り。 「あ?何だ?ヤる気かよ?」 「ふふ、冗談でしょ?あれだけクスリ飲んでて力が入ると思ってるの?」 「立ってるのもフラついてキツいんじゃねえの?安心しろよ、俺が今楽にしてやるからさ」 プレーヤーから音楽を流し、足を肩幅に開いて、男に対して斜めに構える。 手はだらりとリラックスさせて垂れ下げて、ごく自然に。 ──危ないですよ、逃げましょうよ。 本来ならば、そんな事を言うべきなのだと思う。 けれど、目の前で悠然と立つ渚さんを、その威容をみると、そんな言葉も引っ込んでしまう。 最早逃げようなんて思いもせず、ただ彼女に熱視線を送る。 渚さんは、振り返って薄く微笑み、少々恰好を付けたように。 「……じゃあ、特等席で見せてあげようかな。キミの分のお酒は私が飲んじゃったけど、おつまみでも飲みながら楽しんでね」 「舐めやがって、このアマ!」 弾かれたように、掴み掛かる男。 彼女はその手を取り──男を悠々と上回る膂力で、体ごと捻じ伏せる。 「うおっ……!?」 どよめく室内。 絶対的なアドバンテージだと思われていた、単純な腕力で、負けた。 しかも、媚薬を飲んで力が入らないであろう女に。 相対する渚さんは、それが当然、分かり切った事であるという様子で、優しく裾を叩く。 あくまでもその自然体な構えを解くことなく、ゆっくりとキャスケットを被り直して。 「さあ、来なよ。最後にちょっとだけ、遊んであげる」 ──そこからは、圧巻だった。 ワルツでも踊るような動きで、男たちの攻撃をことごとくいなしては、軽く足を払うなり、拳を逸らせて後ろの男に当てるなり、あるいは相手の勢いを利用して鳩尾に肘をめり込ませるなり。 あくまでも優美なスタンスを崩すことなく、しかしその動きは明らかに男たちより力強い。 身のこなし、技量などは言うまでもなく、まるで少し先の未来が見えているかのように、拳が、足が当たらない。 囲まれている事を全く問題にせず、むしろ男たちの攻撃同士をぶつけ合わせたりして、疲労やダメージが溜まっていくのは奴等の方ばかり。 全くもって、相手にならない。 素人目に見たってそれは明らかなほどの力量差は、戦っている彼らにとっては絶望的なほどに如実なものなのだろう。 どう考えたって、いや、考えるまでもなく、ちょっと押せば組み伏せられるはずの、細っこい雌に、自らのアイデンティティ、唯一の雄としての魅力であるはずのケンカで、負ける。 彼らの猛攻を、つまらないとばかりにあくび交じりに受け流すその様は、彼らのプライドを粉々に打ち砕き、絶望させるには全く十分なものだった。 男たちは、最初は威勢よく、顔をニヤつかせながら渚さんに勢いよく掴みかかっていた。 なるべくその珠のような柔肌を傷つけないように、殴ろうとはしなかった。 それは、言ってみれば男故の覆しがたい性差、今まで行ってきた鍛錬や殴り合いの実績からなる驕りとも言える。 実際に、男たちの筋肉のついた体や、ケンカ慣れした動きなどは、それなりに真面目に鍛えていたからこそのものだったのだろう。 しかし、その全ては、目の前の細っこい雌に、容易く打ち砕かれる。 女をモノにするために、男にマウントを取るために、必死に磨き上げた腕っぷしは、小馬鹿にするようにいなされた。 それは、男からしてみれば、自分という存在を全否定されたのと同じように思えたのかも知れない。 「ん……もう終わり?」 そうして、結局のところ。 渚さんは、ほんの少しも傷ついていないどころか、ほんの少しの息切れだって起こしていない。 囲んでレイプするなどと息巻いていた男たちは、床に膝をついて肩で息をしていると言うのに。 「うーん、キミにちょっと格好いいところでも見せられたらな、なんて思ったんだけど、これじゃ見世物としても三流がいいところだね」 女たちは、隅で小さく縮こまっている。 元々男たちのおこぼれを貰う予定だったのだろう、奴らが敵わないと分かった途端、騒ぎ立てるのをやめて静かになってしまった。 男は床に倒れ伏し、女は大人しく黙りこくる。 先程まであれほど粋がって、有頂天な傲慢さを見せていた、彼らが。 どの要素を抜き出したって、天地がひっくり返っても優勢は変わらないと、そう固く確信を抱いていた彼らは、ただ渚さんが常軌を逸して強かったというたった一つのイレギュラーのせいで、ここまでこっぴどく叩き潰された。 その光景を見て、彼女は大きくため息を吐いて、僕の隣に座り直す。 ──何と声をかければいいのだろうか。 あまりの光景に打ちのめされて、声が出ない。 「んー……退屈だったね。疼きを晴らすどころか、よっぽど鬱憤が溜まってしまったな」 渚さんは、僕の方をじっと見つめる。 ──しかし、何故、渚さんはここに戻ってきたのだろう。 奴らを倒して無力化したのなら、そのまま帰ってしまえばいいじゃないですか。 そう思うが、声が出ない。 幾分か紅潮して、尚且つ気怠さを感じさせる、ダウナーな耽美さ、淫靡さをこれでもかと詰めた彼女の表情にノックアウトされ、張り付いたように声帯が動かない。 「こういう品も配慮も倫理もない人間はいつもそうなんだ、下卑た性欲を無理やりぶつけようとする癖に……私を少しも満足させることも無いほど、つまらない」 ちら、と侮蔑混じりの目が眼下に向く。 射殺すような目線で、一瞬全員を視界に捉えた後は、すぐに興味を無くして僕の方に向き直る。 「あんなに自信満々に、不愉快な欲望を浴びせてモノにしようとするのに、欠伸が出るほど退屈なんだ。せめて、その欲で私を楽しませてくれるなら、喜んで誘いに乗ると言うのにね」 すり、とその指が僕の顎下を撫でる。 いやに猥雑に、蛇腹が絡むような緻密さで。 「けれど、何故か私に欲を向ける人間は、ベルトコンベアで流れてくるものを眺めることよりも予想通りで陳腐なんだよ、見た目も、その欲望の中身すらもね」 しんしんと静かに、僕を透かして後ろ側、男たちへの蔑視を大いに含んだ微笑みを絶やさずに、清流が流れるが如く。 早瀬さんは頬杖をつき、ただ語る。 「だからね、私は、私に言い寄る輩が好きじゃない……ううん、嫌いなんだ」 男たちは、何も言い返さない。 よほど先程の蹂躙劇が身体に堪えたのか、あるいは何も言えないほど自尊心がズタズタにされたのか。 黙って渚さんの侮蔑を受け止めている。 ──これは、彼らだけでなく、僕にも同じように当てはまる事ではないだろうか。 彼らほど腐ってはいないが、それでも僕は凡百の、つまらなくて予想通りの人間と言えないだろうか。 そう思うのだが、渚さんの行動がそうは思わせてくれない。 する、と渚さんの手が僕の後頭部に伸びる。 あまりに自然で慣れた動きで、反応すら出来なかった。 頭ごと抱くような動きに、当然だが渚さんの身体と僕の顔面の距離が近くなる。 卒倒してしまいそうになるほど、蠱惑的な肢体が、文字通り目と鼻の先に。 「そんな奴等にはさ、女をおかしくする媚薬で狂いそうなほど発情したって、指一本触れさせたくないんだ」 頭を抱かれたまま、彼女の指先が、僕の顎を持ち上げた。 ──ああ、逃げ場がないなぁ。 なんて、彼女の双眼いっぱいに僕の顔だけが映っているという状況に現実味がなさ過ぎて、漠然と考える。 例えば、もしも彼女が、僕にキスなんてしようとしたら。 全く抵抗できないまま、奪われるだろう、唇を。 まあ、全く有り得ない、可能性のない事だけれど。 ──そう、有り得ない事だ。 彼女と僕が、口づけをするなんて。 けれど、何故だろうか。 「つまらなかったり、私の興味をそそらない奴は、ほんの一瞬も触れさせない。さっきちょっと力の差を見せてあげるために組み合ってあげたのは、かなりの大サービスだったんだよ。もっとも、その男は床に這いつくばってるようだけど」 ──近い。 僕は後ろに引こうとしているのに、渚さんがやけに前のめりになって、鼻と鼻がくっつきそうなほど、近い。 その瞳に吸い込まれそうなほど、唇に吸い寄せられそうなほど。 渚さんは、近づく。 際限なく、これ以上は彼女と僕の間に隙間が無くなってしまうというくらい。 ぺろり、と渚さんは舌で唇を濡らす。 てらてらと潤いに溢れ、むちゅむちゅと艶やかで肉の乗った唇を。 ──あれ、って言うか、僕は渚さんに触れてる……向こうから触れられてる…… なんて、今更、ふと気が付いた。 それが意味するところなんて、初めから一つだったのかも知れない。 「……だから、キミは特別」 あーん、と彼女は控えめに口を開ける。 捕食する直前の獣のように、その仕草を、僕の目の前で。 ──え、あ……? 混乱して頭を真っ白にする僕と、一切の躊躇なく迫る彼女。 僕が一切逃げようとしないのを確認して、ふっと微笑んでから。 むちゅう、ちゅ……♡ ──!?!?!? 熱く、濃厚なベーゼを、一つ、二つ。 見せつけるように、格別に濃く。 唇を、しっとりとねっとりと、深く柔肉がめり込むほどに押し付けて。 感触を味わって、その目は満足げに歪んでいた。 その一方で、僕はと言うと。 ──柔らかい、肉厚、って言うか、渚さんと、今……!? 目を白黒させて、その快さに戸惑うしかない。 眼前に広がる彼女の顔、そして唇に広がる異様なまでの心地よさ、中毒性。 それが意味する事なんて、もう渚さんとキスしているということ以外存在しない。 しかし、その状況のあり得なさに、どうしても脳が理解を拒んでしまう。 ──ぷは。 一体どれほどの時間唇を合わせていただろうか。 一分程度、いやもっと短かっただろう。 けれど、僕にとっては一分にも一時間にも思えていた。 しかし、それでも渚さんとのキスが名残惜しく、思わず離れる唇を追ってしまう。 そんな僕を、渚さんは優しく後頭部を撫でて、認めてくれる。 恋人にするかのような甘い態度に、どうしても脳が蕩けてしまうような多幸感を覚えてしまう。 もう、行動が唐突すぎるとか、そんな事はどうだっていい。 ただ、僕は渚さんに夢中になってしまう。 当たり前だろう、渚さんにキスされて、メロメロにならない人間なんて地球上のどこを探したって存在しない。 「……うん、いいね。かわいいじゃん」 すり、すり、と手のひらが頭を撫でつける。 ひたすら甘く、どこまでも肯定するような手つきに、口ぶり。 奴らを見るのとは全く違う、どこか熱と湿り気を帯びた目線に、腰が浮く。 乞い願うような、縋るような目線が、集まる。 あと一歩、ほんの少しでも進めば天国に行けるのに、それを檻越しに見せつけられるしかない囚人のような、そんな目線。 それを、渚さんは目だけで一蹴し、また僕の頭を撫でる。 もう、流石に、自覚するしかない。 口づけされて、頭を撫でられて、好ましげな言葉をかけられて。 「私に……分かりやすい欲望や攻撃を向ける人間は、好きじゃない。例えば、そこに転がってるような人間はね」 ぐっ、と。 力強く、けれど紳士的に。 渚さんは、僕の肩を抱き寄せる。 「けど……キミは違う」 渚さんの細身な、しかし儚げではない肩に、僕の頭を乗せられる。 そうなれば、彼女の女性らしすぎるほど女性らしい、柔らかな体と全身で密着することになるのは必然だ。 発情しているからか高めな体温、腕に当たってむんにゅりと、意味が分からないほど滑らかかつ柔らかに潰れる乳肉。 それに、つんと鼻を刺すほど甘い、雌臭いとしか形容することができない饐えた匂い。 ほんの一、二時間も前、この居酒屋に来た彼女が漂わせていた、柑橘を思わせるような爽やかな匂いはどこにもなく、今はむっと蒸れてこってりと甘ったるい淫臭ばかりが鼻腔を満たしている。 渚さんは、僕の肩に手を回し、少し体を傾けて、僕の耳に口を近づける。 ふぅ、と熱く湿った吐息が、僕の耳を濡らした。 身震いを止められないほどの性的なぞくつきに、脳がますます液状化を止められない。 もう、どれほど情けない姿を晒しているのだろう。 顔を真っ赤にして、涙目になって、極度の緊張と興奮から体を震わせて。 どんなに慈悲深い女性からも幻滅されそうな姿を、渚さんに正面からじろじろと眺められる。 「……ふふっ」 ひとしきり僕を観察した渚さんは、ほころぶように笑いを漏らした。 けれど、それは嘲りからではなく、心から愛おしそうな声で。 それから、ひとしきり、喉を撫でられる。 ギャングの親玉が愛猫にそうするように、絶対的な力量差、手が届かないほど上位の存在に愛玩される喜びを植え付けられる。 もう、溶けてしまう、全身。 耐えられない、何もかもが。 目を回し、ひたすら身を固くする僕に、渚さんはますます笑みを深める。 にまにまと好色げに、感情が溢れそうなほど口角を上げて、渚さんは僕の耳にぴっとりと唇を付けた。 「……ねぇ、ホテル、行こうか」 ──っっっ!?!?!? ぞわりと、背筋が粟立つ。 ペニスから先走りをぴゅっと漏らすほど、いや、先走りで済んだのが奇跡と言えるほど艶めかしい囁き。 鼓膜にべっとりと張り付いて、脳を直接揺さぶる至近距離の誘惑に、腰すら震えてしまう。 「ね……キミもさ、私のことえっちな目で見てたよね」 身体を反らして逃げようとする僕を、渚さんは決して逃がさない。 肩を抱いて、より強く、耳に濃厚なベーゼをするように。 「ああ、責めているんじゃないんだ……。ただ、これは、確認しているだけだよ」 喉元を、かりかりと爪で緩く掻かれる。 猫や犬をじゃらすような手つきは、僕が彼女のモノであると錯覚させる。 「キミも、私とシたい……ホテルでしっぽりと愛し合いたい、私のカラダでめちゃくちゃに射精したいって思ってるか……その、確認」 悔やむような歯軋りの音がした、ような、気がする。 あるいは、嘆くようなため息の音。 恐らくは、向こうで指を咥えてこちらを眺めている奴らの音なのだろうが、そのほとんどは自分の心臓の音にかき消されてしまう。 「ほら……頷くなり、横に振るなりしてみなよ……」 左右から、僕を慣れさせないようにだろうか、渚さんは交互に囁く。 ぞくぞく、ぞくぞくと、寒気がするほどの興奮が、おびただしい量の脳内麻薬と共に駆け巡る。 「でないと……そのまま連れ去って……完全合意持ち帰りレイプ……してしまうよ?いいの?」 ぐ、と腰を掴まれる。 ギラつき、据わった目を向けて、震える腰骨を。 ──多分、いや、絶対に、渚さんは本気だ。 これ、抵抗しないと、抱かれる。めちゃくちゃにされる。 けれど、動けない。 石膏で固められたかのように、首がうんともすんとも動かない。 「……じゃあ、嫌なら抵抗してね。しないなら、連れてくから」 ぐい、と腰に回された手で引き上げられ、体が持ち上げられる。 軽々と、まるで小さな子供を立たせるかのように。 先程男たちを返り討ちにしていたことからも知っていたが、それにしても、その細腕からは考えられない力だ。 間違いなく、彼女に本気で襲われたら、勝てない。 男たちにすら勝てなかったのに、それらを纏めて手玉に取る彼女になんて、勝てるはずがない。 そう考えると──どうしても、胸の奥が疼く。 「腰、ふらふらしてるね。ふふ、まるで立場が逆みたいだ。キミが媚薬を飲まされてて、私がキミにクスリを盛ったレイプ魔……」 へたり込みそうになる腰をなんとか支えてもらい、よたよたと歩く。 渚さんが言う通り、本来は逆。 僕が彼女を介助しなきゃいけないのに、僕が彼女に支えられている。 そんな状況を情けないとすら思えず、脳内を駆け巡るのは──渚さんの話。 性に奔放で、むしろ女性を快楽に堕としてしまうようなセックス慣れした男が、技巧なんて一つも使わないで壊された。 渚さんの女体は、それほどに、おぞましいほどに、破滅的に気持ちいい。 そんな渚さんが、僕を──抱くと言っている。 男を、靴下越しの脚一本で、性癖も何もかもを捻じ曲げた渚さんが。 それなのに、童貞で女性経験が一つもない僕が、ただで済む訳がない。 ──壊される、徹底的に、人生がめちゃくちゃになるまで。 恐ろしい。肝が冷える。全身が竦み上がる。 けれど、それ以上に。 ──絶対、気持ちいい……♡♡♡ 渚さんという極上の女性に、愛情を持って壊される。 それがどれほどの快楽か。幸福か。 それは、きっと僕の些末な想像力では1%も夢想できないほどで。 「……ぜんぜん、抵抗、しないね」 ふー♡ふー♡と、渚さんの服の裾をきゅっと握って、ただ俯く。 誰が見たって、そこに否定のニュアンスがあるとは思わないだろう。 ふらつく僕の腰を持って、渚さんは出口へと向かった。 「あ……」 それを地べたからただ眺め、とにかく負の感情を込めた目で睨む男。 小声を漏らし、必死に縋ろうと、渚さんの足を掴もうとする。 しかし。 「……何、邪魔しないでよ」 渚さんはひたすら冷たく、冷酷に、無慈悲に、あしらうだけだ。 「私は今から、この子一人だけと、ホテルでセックスするの。この子だけに、胸を吸わせたり、お尻を揉ませたり、望むままに私の身体を使わせて、愛してあげるの」 渚さんは、僕を抱いたまま、ゆっくりと見せつけるように、頬にキスを落とした。 その光景に、男は、男たちは、絶望的な表情を浮かべる。 本当は、自分たちがそうなるはずだったのに。 自分たちが、そのためだけに準備をしたのに、しかしその非合法的な準備のために、実った果実は冴えない男に全て奪われてしまう。 けれど、逆に言えば、僕は。 天女のような肉体を抱くという権利、極楽にも昇るような望外の幸福を、独り占め。 あの男たちになす術もなく摘み取られていたかも知れないものを、僕だけが、みっちりと、とことん味わえる。 他の誰が、どれほどの地位を手に入れたって、どれほどの金を積んだって、絶対に手に入らないこの権利を。 彼女の気まぐれで、何の対価も与えられず、ぽんと与えられたのだ。 渚さんが見下ろしている、地面に這いつくばった奴等には、絶対に与えられない権利が、僕だけに。 「キミたちみたいなクズは、キミたち同士でクスリでも盛って脅し合ってサカってなよ」 目線という目線を無視しきって、渚さんは、僕を抱いたまま、個室を後にする。 最後に、肩越しに振り返って言葉を残しながら。 「……警察には通報しないであげる。というより、そこまでの興味も無いし。その代わり、二度と近づかないでね」 そう言い残すと、渚さんはゆったりと僕の髪を手櫛で解いて。 「フフ……じゃあ、行こうか」 僕を引き寄せたまま、それをひけらかすように店を出た。 腰を卑猥にすり撫でて、今からこの雄と交尾する、と手つきで主張しながら。 その後に残ったのは、放心した男たちの静寂。 声にもならない後悔を噛み締めて、涙を飲む音だけが残された。 「結局、あんまり飲めなかったな。いっぱいお酒飲むつもりだったんだけど」 多くの人が行き交う中で、店の軒先に垂れ下がった巨大提灯──中身はもちろん電球──を見ながら、渚さんは呟いた。 電飾で彩られた歓楽街は、会社帰りのサラリーマンや学生でごった返しており、居酒屋の中ほどではないものの、賑やかな喧騒がある。 それもそのはず、ちらりと腕の時計を見れば現在時刻はもう八時を回っており、今は酒飲みにとってはゴールデンタイムと言える時間だ。 駅近くのこの通りは、見渡す限りずらりと飲食店が並んでおり、そのほとんどが酒を飲むことを主目的にした店となっている。 ところどころには飲みの締めに寄るであろうラーメン屋などもあるが、圧倒的に多いのは居酒屋だ。 オフィス街と住宅街のちょうど間にあるこの場所は、一杯引っかけたいサラリーマンが寄るのにちょうどいいのだろう。 実際に、今ここを歩いているのは、ほとんどがスーツを着た人間だ。 彼らは小太りだったり、あるいは細身だったり。 赤ら顔をしていたり、あるいは白い顔をしていたり。 同じような服装ではあるが、老若男女、千差万別な人間がここを闊歩している。 そして、それら様々な人間たち。 彼らには、たった一つの共通項が存在する。 「んー……やっぱり見られるね」 それは、目線。 この世に二つとない美爆乳をゆさゆさと揺らし、くねりくねりとセックスの象徴のような豊満な尻をたぷたぷ振りたくる渚さんの動きは、果たして無意識なのだろうか。 そんな欲情を煽って仕方ないクソエロボディだけでも目を集めるというのに、彼女ときたら殺人的なほど顔がいい。 酒に酔って理性の緩まった人間が、更に人だかりの集団心理に掉させられれば、性欲の籠った目を向けるのも仕方ない事だろう。 そして、その目は当然、渚さんに連れ添って歩いている僕にも向く。 明らかに親密な情を向けられているように腰を抱かれエスコートされている僕に突き刺さる、嫉妬や羨望の感情。 顔を歪めてこちらをじっとりと睨む彼ら彼女らは、分かりやすすぎるほど明らかな性的期待を抱いていた。 酸っぱい葡萄の感情も湧かないほど、渚さんの身体の性的魅力、もっと言えば乳肉や尻肉の熟れ具合は、赤熱したマグマを見ればそれを熱いものだと直感で理解できるように、見ただけで確信できるものだ。 あの太く柔らかな脚に、スイカほどもある爆乳に、むっちりとズボンをぱっつんぱつんに押し上げている尻に、ペニスを挿し込めばどれほど気持ちよく射精できるだろう。 あの麗しく端正な顔で、艶やかなワインレッドの唇で、シミ一つないパールホワイトの肌で、情熱的な愛を囁かれながら秘所を擦られたら、彼女に生殖能力なんてありもしない事は明白だと分かっていても子宮を屈服させずにはいられない。 立場も名前すらも知らないが、彼女のためならば人生の全てを捧げ、女王様に傅く奴隷にだって成り下がる、いや、奴隷にならせていただきたい。その許可が欲しい。 それほどに、喉から手が出るほどその立場が欲しいというのに。 そんな彼女に腰を抱かれ、あまつさえ捕食していただけるというこの世で最も幸運なオスがそこに居る。 自分たちに、既に彼女のお気に入りの先約が居ることによって、少なくとも今は希望がない事を見せつけられては、意識せずとも顔が怨嗟に歪んでしまうのは仕方ないことなのかもしれない。 しかし、いくらその気持ちが理解できるとはいえ。 あの男たちほどではないものの、しかしあの男たちとは比べ物にならない圧倒的な数の人間にきつい負の感情を向けられて、少しだけ優越感に浸るとともに──恐怖を感じてしまう。 「……ちょっと路地裏の、人の少ない道を行こうか」 渚さんは、そんな目から守るように一際強く僕を抱き寄せ、囁いた。 その横顔を見て、僕ははっとする。 いくら無事だったとは言え、渚さんはこれよりも苛烈で、もっと直接的に危害や恐怖を与えられる犯罪に巻き込まれていたのだ。 それも、サカった猿のごとく下卑た性欲を丸出しにした集団が、薬を盛った挙句に暴力で押さえつけて犯そうとしたという、最も悪意に満ちた欲望を剥き出しにして襲われたという悪辣な事件。 そんなものの被害にあったのだから、本来そういう目線に恐怖心を抱くのは渚さんのはずなのに、かえって僕は彼女に気を使われて、あまつさえ庇われ守られている。 ──あの、渚さんこそ、大丈夫ですか? 思えば、さっきもそうだった。 僕一人では何も出来ないくせに一丁前に男たちに抵抗して、それを渚さんに守ってもらって。 そして、更にこうして気丈に振舞っている渚さんこそが内心で深く傷ついていて、それに気づけずまた黙って守られていたとしたら。 僕はなんて情けなくてどうしようもないんだと、絶対に後悔するだろう。 ──あんな事があった後ですし、その、気分が優れなかったりしたら…… だから、もし自分に何かできる事があれば、手伝いたい。 そう思い、声をかけたのだが。 ──え、と…… 当の渚さんは、その言葉に触発されて、笑顔の仮面を外して怯えを露わにしたり、あるいは怒りや悲しみを見せてくれたり──などという事は全くなく。 むしろ、喜色満面。 大好物のごちそうを前にしたような、あるいは格別にイイ女を抱く前の、何人もの人間を食ってきた肉食プレイボーイのような顔つきで。 ──あの、ちょっと……? 辛抱たまらないといった様子で、じっくりと舌なめずりをする渚さん。 急に何か、狩猟本能のようなもののスイッチを入れてしまったかのような、踏んではいけない地雷を踏んだような感覚に襲われ、ネガティブな視線を向けられるのとはまた違うベクトルの恐怖に後ずさろうとする。 けれど、腰は相変わらず渚さんの手に抱かれたままで、ちっとも逃げられない。 そんな僕に、渚さんは実に愉快そうな表情を浮かべ、暴君が捧げものの宝物を鷲掴むように、僕の顎を乱雑に掴んで、上向かせる。 僕よりも幾分か高い渚さんの長身から見下ろされたうえ、その作り物じみて美しい顔と顔を合わせられ、気圧されてしまう。 「ああ、本当に、キミったらひどいなぁ……。全くキミは、私よりよっぽど、悪魔だよ……」 熱に浮かされ、うわごとを呟くように、渚さんは誰に言うでもなく独りごちる。 何かに取り付かれたかのような狂気的なまでの笑みを浮かべ、静かに呼吸を乱す渚さんは、明らかに──発情していた。 顔を上気させ、息を荒らげ、いつもの余裕たっぷりな態度が嘘のような荒々しい手つきで、こちらを逃がさないように脚まで絡められてしまう。 「…………」 ──あの、ちょっと……? 渚さんはそのまま腕を引っ張り、黙って歩き出す。 その手つきは渚さんらしくないような──と言えるほどの付き合いはまだ無いのだけれど──思わず怖気づいてしまうほど有無を言わせない強引なもので。 ──どう、しましたか……? その様子に、何か怒らせてしまったのかと思い声をかけるも、返事はちっとも返ってこない。 渚さんはただ一心不乱に正面を向き、何かを探るように目を左右に動かしているだけだ。 ──やはり余計なお世話だったかな、僕なんかに心配なんてされたくなかったのかな。 なんて不安を抱いてしまうが、けれどその懸念は他でもない渚さんによって既に払拭されている。 それは、その目付き。 人間にもしも発情期があったなら、その時はこういう目付きになるのだろうというほど完璧に発情しきった、ハートマークすら浮かんだ、目。 それを爛々と光らせながら、ずかずかと人波を突破するように、進む。 一刻も早く目的地にたどり着きたいと言わんばかりに、走り出す一歩手前くらいの早歩きの歩調で。 ──僕は、どこに連れて行かれるのだろう。 ほぼ拉致されているくらい腕ずくに手を引かれて、何やら汗が噴き出す。 困惑して、勘ぐって、期待して、冷や汗と興奮を半分ずつにした汗を。 沈黙したまま、されるがままに引っ張られ続ける。 緊張からか恐怖からか、内心では目を回すほど焦りながら。 そうして押し黙っていると、渚さんは突然、直角に進む方向を変える。 ──何もない、壁の方に向かって。 繁華街の端の、店の四半分ほどはシャッターの降りた、少しさびれた場所。 そのまた閉まった店と店の隙間、ちょうど全く何もないそこへ、渚さんは迷わず突き進む。 止める暇もないほど戸惑いのない動きに、かえって僕が戸惑ってしまい、抵抗する時間も無かった。 連れられるがままに体を壁と壁の隙間に潜らせて、更にぐいぐいと奥へと進む。 ──いよいよ、僕は狼狽してしまう。 何故ならば、ここには正真正銘何もない。 隠れ家的な飲み屋も無ければ、野良猫のたまり場でもない。 それとも、ただ狭くて入り組んだ道とすら言えないこの路地裏を抜ければ、何かあるのだろうか。 そう思ったが、渚さんは道半ばで立ち止まる。 ここが目的地なのかと辺りを見回すが、ここにあるものと言えば壁と室外機くらいで、店の裏口すら見当たらない。 けれど、渚さんは、それに満足しているようで、にやりと不敵に笑っている。 全くもって都合がいい、ここでなければいけない。 そんなニュアンスが、その笑みから伺える。 ──あの、何故、こんな場所に…… あまりに不思議で、とうとう僕は直接渚さんに尋ねた。 けれど、彼女は何も言わない。 代わりに、その瞳が。 下手な言葉よりよっぽど雄弁に、語っていた。 ──追い詰めた。 あ、と。 言葉が漏れる。 ああ、そうだ、こんなところに連れてくる意味なんて。 考えるまでもなく、一つしかないじゃないか。 「今更、気が付いたのかい?」 頭の横を掠めて、勢いよく渚さんの両手が壁につく。 それは所謂、両手壁ドンの体勢。 「本っ……当に、愚かだね、キミは……」 正面からは渚さんに見下ろされ、後ろは壁。 横は渚さんの腕に逃げ道を塞がれ、逃げ場がない。 渚さんから、刀の切っ先を向けられるように、鋭い眼光で刺し貫かれる。 あまりの威圧感、あまりの圧迫感に、腰がへたり込んでしまう。 「おっと……怖気づいたのかな?フフ……」 ずるずると、壁にもたれかけた腰をずり下げる。 そのまま地面に座り込んでしまうかと思ったが、それすらも叶わない。 股の間に差し込まれた彼女の膝が、強制的に僕を起立状態にさせる。 「ああ、こんなに苛立ってしまうなんて、いつぶりかな……。もしかしたら、生まれて初めてかもしれないね……」 逃げられない。 もう、どうしたって、どう動いたって。 詰んでしまった駒のように、ここから一歩も動けない。 「何だい?そんなに怯えた顔をして……。これ以上私を苛立たせるつもりかい?」 顔を近づけた渚さんが、首筋をれろぉり♡と一舐めする。 じっとりと、獲物の味を確かめるように。 「こうなったのも、キミが悪いんじゃあないか。キミが、こんなにも、こんなにも私を……」 何故、どうして、急に。 そうして混乱するとともに、頭の中の冷静な部分が既視感を抱く。 ──あれ、この状況、どこかで……。 こんな、正気を失った渚さんにどうしようもなく追い詰められて、狩りをする獣のように容赦なく襲われるなんて、絶対に一度たりともあり得ない状況だ。 夢か妄想か、それに準ずる何かで見ただけじゃないのかとも思うが、しかしこれは絶対に経験していると言い切れる。 そう、確か、これは。 忘れもしない、忘れられるわけがない。 「誘惑、したんだから……♡」 居酒屋を出る直前、薬を飲まされた渚さんが。 僕に、キスを迫る直前の──。 「ん、ぁ……♡」 ──あ、ちょ、待っ……! むっちゅぅぅぅ……♡♡♡ ──っっっ……!!!♡♡♡

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新作の進捗.3

「これは、いつの話だったかな」 「あまり定かではないのだけれど、確か数ヶ月前くらいだったと思うのだけれど」 「まあ、それは別にいいか。とにかく……」 「私は、たまにモデルの仕事をしているんだけどね」 「そうすると、芸能事務所に行かなくちゃいけないんだ」 「そこは幅広く芸能事業を行っているところでね」 「そこにはモデルの人も居れば、アイドルや俳優の人だって居るのさ」 「もちろん普通はモデル以外の人と関わる事はあまり無いのだけれど」 「その時は、たまたまその人が別の撮影で同じスタジオに居たんだ」 「その人は……まあ、名前は伏せておくけれど、かなり有名な人でね」 「この前は、ゴールデンタイムのドラマにもいい役柄で出演していたそうだよ」 「イケメンで有名とか、とある雑誌のアンケートでは抱かれたい俳優ナンバーワンだったとか……」 「まあ、色々自慢されたから嫌でも覚えてるだけで、私はあまり面白い人だとは思わなかったのだけど」 「それでも、君達よりはよっぽど見てくれは優れてると思うよ。客観的な事実としてね」 「それで、彼は確かに色んな女性を抱いていてね」 「ちょっとでも琴線に触れるとホテルに連れ込んで、抱いてしまうんだ」 「抱かれたい俳優ナンバーワンだなんて言われているけど、実は本当に、抱いている俳優ナンバーワンなんだ」 「女性は彼のような男の色気には弱いそうでね、事務所で知り合った人から聞いても、彼の顔や雰囲気に関しての評判は随分と良かったよ」 「けれど、それ以上に評判が良かったものがあるんだ」 「それはね、彼のセックスだよ」 「彼は所謂床上手と言おうか、とにかく女性をモノにするのが本当に上手くてね」 「実は、彼の仕事のほとんどは枕で手に入れたそうなんだ」 「俺と寝た女で、俺に潮を吹かされなかった女は居ない。なんて言ってたっけ」 「彼には、そう……ハメ撮りという物も見せてもらったよ」 「彼の人柄はそう面白いと感じなかったけど、あれは中々面白いものだと思ったよ」 「確かに、彼に抱かれている女性は、それはそれは気持ちよさそうにしていたんだ」 「イヤホンで音も聞かせてもらったけど、人はあんな叫び声を出すんだなと思ったくらいでね」 「脚をピンと張って、腰を仰け反らせて、死ぬ間際の断末魔みたいに、『イ゛く゛イ゛く゛イ゛く゛ぅぅぅ~~~っ♡♡♡♡♡』ってね」 「本当に、何か狂気的なものを感じるような、泣き叫ぶような……」 「特に顔なんて、見れたものじゃなかったよ」 「女として同情してしまうような、そんな顔だった」 「それを見せて、彼は得意げに言ってきたんだ」 「俺と寝た女は皆こうなる、そのハメ撮りで俺はコイツらを脅すんだ」 「若社長の女も、敏腕プロデューサーも、全員俺の性奴隷だ」 「だから、お前も俺に従え」 「お前の仕事を無くすのも、お前についての悪評を雑誌に流すのも、俺の指示一つで出来るんだ」 「そんな危険でメリットのない事を、賢い奴らがするはずないって思うだろ?」 「分かっていてもやめられないのさ、何故なら女は俺のチンポに抗えないから」 「お前も女に生まれた限り、俺には絶対に勝てない」 「雌として生まれてきた事を感謝するほどイかせて」 「俺の、セフレにしてやる……って」 「まあ、ちょっと、いやかなり、気持ち悪いよね」 「けど、確かにその動画の女性は気持ちよさそうだったんだ」 「だから、仕事がどうとかはどうでもいいけど、そっちにはほんのちょっとだけ興味があった」 「別に私は、自分の初めてが誰にどうとかはあんまり気にしないし」 「動画をばら撒くぞー、なんて言われたらその時はその時でどうにかすればいいし」 「そもそもそういう行為にに興味もあったから」 「セックスするのは嫌だけど、手淫やら何やらのテクニックだけ味わってみて」 「まあ、気持ちよくなければ帰ればいいやって思って、誘いに乗ってみる事にしたんだ」 「かなり性格は気持ち悪かったけど、幸い顔立ちに嫌悪感を感じたりはしなかったからね」 「まあ、性格の悪さと性的快感は関係ないし」 「一応、彼も女を食うのに手馴れているだけあって、こっちから望むまでは無理やり行為はしないみたいだった」 「力ずくでするまでもなく、前戯をすればその快楽をもっと味わおうと向こうからねだるから……なんだろうね」 「まあ、私もそうなれば、その時はその時かと思って」 「それで、彼とホテルに行ったんだ」 「隣で歩きながら風俗街に入ってね」 「色んな人に見られたよ、今からアイツがあの女を抱くんだって」 「彼もそれに慣れてたとは思うんだ、アイドルとか女優とかアナウンサーとか、熟練のAV女優なんかも手篭めにしてたみたいだし」 「けどね、彼は歩いてる途中、童貞みたいに股を押さえてよたよた歩くんだ」 「明らかに異常なぐらい興奮しちゃって、エスコートなんてできないし」 「ホテルの受付とかも、彼が役に立たなかったから私がする事になったからね」 「なんでそんなに緊張するかって言うとね」 「いくら女を抱いたって」 「私みたいな女は、抱いたことが無いからなんだよ」 「行き交う女のどれよりも顔が良くて」 「どんなグラビアアイドルとも比べ物にならないぐらい体つきの優れた、女」 「結局のところ、彼が抱いてきた女って、それなりの女だったんだ」 「彼とちょうど釣り合うぐらいの、世間からすると美人で体もいい女」 「けど、それは私には絶対に敵わない」 「それぐらいは、いくら君達にでも分かるよね?」 「けれど、彼は途中まで、理解できなかった」 「今際の際まで驕ったまま、私も同じように手篭めに出来ると思ったんだ」 「けれどね、来る途中に気付いちゃったんだ」 「私の胸が、ただ大きいだけじゃなくて」 「普通の女とは比べ物にならないくらい感触のいい、ふわふわの肉マシュマロみたいな肉が」 「みっちりと、ぎっしりと、隙間なく」 「蕩けるみたいに柔らかくて、ぷるんと葡萄の実が弾けるみたいにハリのあるそれが」 「たっぷり詰まっている事に、ようやく気がついたんだ」 「私なんて、女なんていつでも抱けるから」 「いつものように、ちょっと犯せばすぐ堕ちるから……って、驕っていたから、気付かなかった」 「適当に流し見で、エロそうだと漠然と思っただけで、注視しなかったから」 「私が、今まで抱いた女とは、生き物として違うという事に」 「ぜーんぜん、気が付かなかった」 「お尻だってそう」 「今まで幾度となく犯してきた、あんな肉とは全然、完璧に違う」 「指を埋めればめり込んで、むにゅうりと指の隙間からまろやかに溢れて」 「犯せば腰を柔らかく包みながら跳ね返して、腰振りをどこまでもアシストしてくれる」 「生殖器として、抜群に優れた、お尻」 「それは、今まで抱いた女とは、全く別のシロモノだったんだ」 「けれど、それを彼は、ただの上玉の女だと、そう勘違いしてしまった」 「その違い、彼のミスを例えるなら、そう……」 「皆より早く九九を覚えたぐらいの、ちょっと得意げな男の子が」 「今ならどんな問題でも解けるぞってイキがっているところに」 「線形代数の、2次形式の問題を解かせるような」 「それぐらい、次元の違う事だった」 「……なんて、そんな風な事を、後から彼が言っていたよ」 「ただその時は、私のカラダにひどく興奮してしまって」 「今からこれを抱ける、このどこから見たってセックスに長けた肉体を、抱ける」 「そう思ってしまうと、もう頭の中がそれだけになってしまうんだ」 「隣に、手を伸ばせば触れる距離に、その極上の肉があって」 「それは、今まで星の数ほどの女を抱いたからこそ、理解できてしまう」 「これを抱いたら、もうそこいらの女なんて、抱けなくなる」 「これと比べたら、今まで抱いた人気グラドルの膣なんて、くり抜いたコンニャクと同じ」 「それほどの、次元の違う、女」 「この機会を逃したら、もう二度と、こんな雌を味わうチャンスなんて訪れない」 「そう、確信してしまう」 「だからこそ、部屋に着いた時」 「もう、彼は茹で蛸みたいになってしまっていてね」 「今からこの女を使う……いや」 「この女を堕とすなんて、無理だ」 「今からこの女に、壊してもらう」 「そう考えると、もう腰が砕けてしまって」 「へたりこんでしまうんだ」 「彼はあれだけ百戦錬磨を豪語してたのに、ただ私と歩くだけで、情けなくそんな風になってね」 「けれど、最後の抵抗で」 「これを逃したら、もう死にたくなるほど後悔するから」 「震える手で、童貞くさい手つきで」 「必死にエスコートしようと、上着を脱がせるとね」 「彼は……その場で、蹲ってしまって」 「びゅーっ……っとね」 「それだけで、射精してしまったんだ」 「私はまだ、下着姿にもなっていなかった」 「ただ、薄着のシャツ姿になっただけ」 「けれど、彼は……そこに浮く、ブラジャー」 「それを見て、暴発したのかな」 「で……私はね」 「なんか、ひどく興醒めしちゃって」 「こんなにも、私の姿を見ただけで射精しちゃうのにさ」 「セックスで満足なんて、出来るわけないかって思って」 「もう、帰ろうとして」 「でも、そうするとさ、みっともなく泣きながら縋ってきたから」 「鬱陶しかったし、ちょっと可哀想かなって思って」 「でも、あんまり触れられたりはしたくなかったから」 「靴脱いで、靴下履いた足で顔を踏んづけてあげたんだ」 「そうしたら、そのまま匂いをたくさん嗅がれて」 「そして……射精しまくって、気絶しちゃったんだ」 「それを見て、ああ、男のヒトって、そうなんだって思ったよ」 「女を何人抱いただの、どれだけ気持ちよくしただのって言ってたのに」 「けど、そうなっちゃったから」 「男のヒトってみんな弱くて、壊すのなんて簡単なんだなぁって」 「それで、その人はもう動かなくなっちゃったから」 「その人に嗅がれた靴下だけ、履いてたくなかったから置いていって、帰ったんだ」 「気持ち悪かったし、もう会うこともないかなぁって思ってさ」 「それで、その後は……業界から居なくなっちゃった」 「後から聞いた話だけど、あれから全然女の人を抱かなくなっちゃって」 「たまに抱こうとしても、勃起もしないしセックスもてんでダメなマゾになっちゃったし」 「元々演技がそこまで上手くもないのにコネで出演が多かっただけで、普段の態度も良くなかったみたいだから、そのまま干されちゃって」 「今はもう、どこで何してるかも分かんないんだって」 「あの人、セックスだけは上手かったそうだから」 「一回ぐらい味わってみたかったんだけど」 「それが、あんな風になっちゃったんだから」 「だから、私はまだ処女だよ」 「それで……君達は何人、どんな女性を抱いたのかな?」 「私を満足させられるのかい?」 「私として、それに耐えられるのかい?」 「私を……どうにかしてくれるのなら、楽しみにしているけど」 「もしも君達が、彼みたいに大した事が無かったら」 「その後の人生は、保証出来ないよ」 「二度と、女の子なんて抱けないまま」 「一生、永遠に」 「私のカラダを夢見ながら」 「満足出来ないまま、一人自分を慰めて」 「弱々しく、マスターベーションに耽るだけの、情けないマゾヒストになってしまうだろうね」 「最も……自慰でイく事が出来るかすらも、保証できないけど」 ──からん、と。 彼女が悠然とグラスを傾け、水で口を潤すと、溶けた氷が音を鳴らす。 その音がくっきりと聞こえるほど、場はしんと静まり返っていた。 男たちは、女たちは、いつから黙っていただろうか。 もう誰もかもが口を結び、膝の上で手を固く握っている。 その目は血走ったようで、息も全力疾走した後のよう。 彼女の話は、ちょっと火遊びを齧っているだけの、童貞に毛が生えた程度の人間にはあまりにも淫靡なものだった。 自分の全く知らない、味わったことも無い、次元の違う雌から与えられる快楽。 それは想像するに余りあるもので、生物の根源的な欲求をどこまでも煽って燻らせる。 今ならば、永久の命よりも無限の富よりも何よりも、ただ彼女を抱きたいと、そう思わずにはいられない。 彼らの理性は既に千切れ飛んでおり、言わば無防備に眠りこけたシマウマを前にした、三日も飲まず食わずのライオンのような状態である。 あとは、いつ飛びかかるか、それだけ。 そして、それはもちろん。 正真正銘の童貞である僕にとっては、今まで体験したことのない興奮となって襲いかかる。 ただでさえ性行為に幻想を抱きがちで、本当のセックスを知りもしない僕。 しかし、彼女との行為は、想像なんてどこまでも上回る。超えてしまう。優に超越してしまう。 そう確信を抱いて、それは絶対に間違っていないと本能がそう断定した。 脳の血管がブチ切れそうなほど勃起しながら、ちら、と目を前に向ける。 僕の正面に存在する、見るだけでどんなポルノよりも情欲を煽るその女性は、明らかにこちらを誘っているかのようだった。 目の前1m以内という、全ての男が垂涎して望むだろう絶好のスポットにいる早瀬さんは、その薄布の服の胸をぱたぱたとはためかせる。 それだけで空気がむっと甘いピンクに染まるかのような、異様なフェロモンが漂った。 それはきっと気のせいで、ただ彼女の飽和した艶美がそう誤認させただけだ。 だが、何故だか彼女が持つ性臭を詰め込みに詰め込んだ、やりすぎなほどの雌臭さが確かに鼻をついた。 流し目にこちらを見る彼女。 そのあからさまに誘うような目を見るだけで、股座がいきり立つ。 彼女はただ妖精のようにくすくすと笑って、この場にいる人間を、ひどく惑わせる。 彼女の語った話を、嘘だと断じたい。 ただ彼女の話を虚言だと、そう思い込みたい。 けれど、彼女の話を嘘だと信じるには、彼女の語り口はあまりにも真実味を帯びていた。 常識からすれば有り得ない、あまりにも鮮烈すぎる女体の、その色香とフェロモン、肉感と淫気の話が。 彼女のあだめいた声質と、しかし平然と世間話でもするようなどこか超然とした態度は、震え上がるほどの蠱惑があった。 それと同時に、平坦なトーンで語るからこそ、彼女の計り知れない恐ろしさが垣間見える。 早瀬さんにとっては至極当然、そうなって当たり前と言わんばかりに。 それに、聞いた事がある。 とある俳優が、芸能界から突如として消えた話を。 見たこともある。 インターネットに流出した、モザイク混じりの『不適切』な動画を。 それがメディアに流出した時には、既に隠し無しの本編動画も出回っており、今でもそういったサイトに行けば見れるそうだ。 それを見たであろう人間がSNSでその事を語り、そのうち話の本筋から外れ、男の性技を褒め称えて、女の快楽を羨んでいたのも記憶に新しい。 ちゅ、とカクテルグラスに刺さったストローを吸う唇が、てらてらとラメが混じったかのように照り輝く。 ちゅぱ、と口を離すと、ぷるりとした弾力を示すように震え、いかにも艶々といやらしい。 それに注視していると、舌がぺろりと、ゆっくり焦らすように拭う。 それを例えるならば、下品であるが、女性器の周りを指でなぞって男に媚びを売る娼婦のようとしか言いようがない。 彼女の淫らな口は、最早それほどに純粋な、セックスアピールとなっていた。 こんな話の後だからだろうか、彼女の一挙一頭足に、どうしても僕を勾引する色が映る。 普段の、もっと言えばここに現れた時の、美しさやスタイリッシュさは、決して失われてはいない。 むしろ、逆。 それらの異常なまでの発露が、妖艶の極みのような彼女の魅惑を引き立ててしまっているのだ。 ギラギラと、言葉すら失って、今にも飛びかかってきそうな男達。 そこに向かって、くす、と余裕綽々な笑みを漏らす。 挑発的に、誘うかのように。 男からしても女からしても、極めてそそる仕草。 しかし、少しだけ疑問が残る。 ──何故、そんな急に、男を誘惑するような真似を? ここに来た当初は、もっと……興味の無さそうな、クールな様子だったはず。 本当にただ、全員を誘って欲望のままに乱交でもするつもりだろうか。 しかし、どうもそうではなさそうで、何か企んでいるような、その態度はハニートラップにも似ているような。 そんな疑念を抱きかけるも、それを脳内に留まらせるだけの理性はもうない。 ただただ、劣欲がペニスに募る。 早瀬さんにあてられた雄はどうしようもなく、もうそれしか考えられない。 「ねぇ……」 異様に静かな座敷に、早瀬さんのどこかねっとりとした粘つきがある声が響く。 誰もが彼女の言葉に注意を注ぎ、一字一句聞き逃すまいと耳を傾ける。 何を言うのか、何を提案するのか。 瞬き一つ、身じろぎ一つせずに待ち構える僕達に、彼女は口端を釣り上げて言った。 「そろそろ……席替えでもしない?」 ──席替え。 その言葉で、静かに場が燃え上がる。 ギラつく眼差しが、俺こそが、いや私こそがと叫んでいる。 今から殺し合いでも始めるかの如く、その目付きは狂気的なまでの執着が映っており、欲望に取り憑かれた様子が見て伺えた。 席替えとは、何か。 それは読んで字のごとく、席を変えることである。 しかし、合コンという場において、それは全く別の意味を持っている。 告白、ならびに好意を示すという、言わばカップル成立への第一歩。 この場においては、たった一人だけが天国へと向かい、残りの全員は死ぬよりも惨めな地獄へと落ちるデスゲームを意味する。 席替えのルールは、極めてシンプルだ。 誰かが座り、その隣に誰かが座る。 たったのそれだけだが、故に駆け引きが生まれ、明確な意思が示されるのだ。 誰かがそこに座って、もしもその隣に自分から早瀬さんが来てくれたなら。 また、誰かが座って、その隣に彼女を誘って、しかし座ることを拒否されたのなら。 前者ならば、天国。 少なくともそこに嫌悪の意思はなく、少なくともそれから特等席でコミュニケーションを取ることができるという、絶対的な特権を得られる。 逆に後者ならば、正気では耐え難い地獄だ。 自分との会話を拒否され、他の人間があの極上の美女と仲良さげに話しているところをまざまざと見せつけられる。 気が狂いそうなほどの嫉妬と羨望、あるいは悲哀を抱えながら、ただ唇を噛んで時が過ぎるのを待つしかないのだ。 僕達は胸をはやらせて、テーブルの横に出る。 そわそわと、転校したての小学生が初めて教室に入る時のような、それを何百倍にもしたような。 俺の隣に座ってくれるかも、なんて根拠のない自信を抱きながら、つま先を床に叩きながら。 今から誰かが特等席に座ることを許されて、残りの全員は地獄へ叩き落とされる。 それをたった一人選ぶのは、ただゆらりと立って、不敵に笑うあの女性。 早瀬さんが、その全てを決める。 彼女には、誰もが疑うはずもないほど、その権利があった。 もちろん、僕だって、その権利を賜りたい。 彼女の隣で、ただ座ることを許されたい。 彼女に僕という存在を承認されたい。 拒否されたくない。 彼女が僕を毛嫌いしていないという確証を得たい。 ──けれど、だけれども。 この中で、たった一人、早瀬さんに選ばれる人間とは。 言い換えれば彼女のお気に入り、彼女に目をかけられた、最も魅力のある人間なのだ。 果たして僕がそうなろうなどというのは、それは大層な思い上がりである。 だから、まずは。 誰かが埋めなければならない隙間を、埋めよう。 一人目という、彼女の隣に座れる可能性が最も低い場所を、僕が埋めてしまおう。 たまたま彼女の正面に座れただけでも幸運だったのだから、そう多くを望むことはない。 しかし、僕以外の誰を、彼女は選ぶのだろうか。 それをこの奥まった席で、物見遊山といこう。 ──そう思っていると。 するりと、それに追従して。 向こう側の、まだ誰も座っていない席ではなく、こちら側に向かって。 誰かが、座りに来る。 向かいのレーンが0人で、こちらのレーンはこれで2人。 それが意味するのは、つまり彼女は明確に、僕の隣に座りたくて来たという意味で。 その女性は、壁に体を押し付けるほど席を詰めた僕に対して、ほんの数センチだけ隙間を空けて座る。 例え体に触れてしまっても、事故としか言いようがない距離感で。 「……や、よろしく」 ──っは……!? 長いまつ毛。女神のような美しい顔立ち。抜群のスタイル。 もう見間違えようがなく、その女性は。 ──早瀬、さん…… 「ん、渚って呼んでいーよ」 触れるほど近く、そこに彼女は座る。 早瀬……いや、渚さん。 体温を感じるほど、柔らかな甘い香りを感じるほど、近い。 今までの人生で、こんなに近くに女性の顔または体があったことが無い。 それが渚さんほどの美女であれば尚のこと、ある訳がない。 それくらい、もう死んでしまいそうなほど、近い。 何十センチ、何センチという距離感で、渚さんは僕の顔を覗き込む。 男女問わず、性別構わず等しく人間をかどわかし、一目と見ればたちまち虜にしてしまう、そんな顔がすぐ傍に。 渚さんはどこか悪戯っぽく、かつアダルティックで煽情的な表情をしながらも、何も言わない。 ただひたすらに、こちらに首を傾けて、可笑しそうに懐っこく微笑むだけだ。 ──はっきり言って、心臓が持たない。 ただでさえ密接するほど近くに渚さんが居て、しかも僕に向かって柔らかく好意的な表情を向けているのだ。 画面越し、紙面越し、あるいは何メートル先から人の肩越しに、ようやく何気なく佇む姿を見られるような渚さんが。 僕だけに、頬杖をついて、無防備に甘えるような微笑みを向けている。 そう、渚さんは、僕に好意的な目を向けている。 あの、高嶺の花という言葉ですら言い表せないほど、どうしたって手の届かない場所で光を一身に浴びながら咲き誇る渚さんが、路傍の雑草である僕に。 どうせそれは、馬鹿な男によくある、あの美女は自分に気があると身の程も知らずに思いあがるような勘違いだろう。 普通に考えれば、それは当たり前の話だ。 勝手に心を奪われて、勝手に勘違いした僕が、勝手に告白して、そんなつもりじゃなかったとバッサリ切られて玉砕する。 僕と彼女に許される関係性というのは、せいぜいその程度が関の山。 そうだ、そうに違いない。 だから、勘違いしちゃ駄目だ。 そう必死に言い聞かせるが、そうするには渚さんの表情はあまりにも柔和で、あまりにも美しすぎた。 だからと言って、視線を少しでも下げると、もうそこは底なしの桃源郷。 とことん雄の理性を駄目にして、がむしゃらに抱き甘える事しか考えられなくなる、淫魔の肉の巣窟──渚さんの、余裕でメートル越えの、乳肉がある。 たぷり、とぷり、柔肉が呼吸に揺れている。 ただ手に持っただけのプリンが、どうしても発生する微弱な手の揺れに呼応して震えるように。 彼女は意図して僕を誘惑しているのではなく、ただそこに生きているだけでどうしようもなく雄を誘惑し、生殖本能を苛立たせてしまう。 渚さんはただ、生まれついての極上雌であるだけだ。 更にいうと、渚さんは、お酒を飲んで暑くなったのだろうか、上着をはだけている。 それがどれだけ男の本能を擽るかなど、最早語る必要すらないだろう。 渚さんの服の下、黒いインナーはぴっちりと窮屈で、ボディラインをこれでもかと強調する。 それ故に浮かび上がる、腰のくびれと対極的な、はち切れそうなほどの雌性。 もっちりとインナーの食い込みに反発しながらも、固体とは思えないほどふにゅりと容易に変形する蕩めきと言ったら、ない。 その見た目の感触は、手に取るよりもある意味で魔性を帯びており、視覚から理想を超えるほど理想的な、全男性が垂涎して夢見る感触を訴える。 ──抱きたい。 どうしたって、そこにある乳房に対して、例え不能の男性であろうとも、その欲求に抗える筈がない。 誰の目があるとか、それに相応しい場所ではないとか、法律がどうのこうのとか、そういった事を一切合切無視して、あの夢みたいな乳房に抱き着いて顔をうずめたい。 あの、どう見たって僕の頭程度ならすっぽりと後頭部まで包めてしまうほどの、肉がみっちり詰まりに詰まった雌肉クッションに甘え尽くしたい。 とめどなくそんな欲望が沸き起こり、僕を破滅させようとする。 そうして一生を棒に振ったとしても、一度でも渚さんの体に触れられたなら、もう構わない。 そんな事を本気で思ってしまうほどに。 渚さんの魔的な蠱惑はそれだけに留まらない。 もっと下に目を向ければ、スカートの意味を成していないほどのスカートと、すべすべと眩しく輝く太もも、もっと言えば豊満な下半身が存在する。 間近で見るからこそ分かる、そのむっちりとした肉感は、失礼だがセックスの権化としか言いようがない。 座布団にむちむちと潰れた尻肉の、餅のような粘り気を帯びた淫肉の具合は、腰のぶつけ具合を想起させずにはいられない。 全くもって、何もかもが極上。 どこか男性性を感じさせる顔立ちのくせに、体つきは雌そのものなのも、格別にそそる。 もしも彼女が望むのならば、確実に、間違いなく、国が傾く。 そう断言できるほどの、普通の人間になんて触れられるわけがない、究極的なまでに雄を悩殺するカラダ。 もしも渚さんと一晩を共にする権利がオークションに掛けられたなら、石油王が、あるいは超巨大企業の社長が、今まで蓄えた全ての地位と財産を投げ打つだろう。 冗談ではなく、少なくとも僕には、そう思えた。 そして、もし、もしも。 そんな人の体が、すぐ目の前、数センチ指を動かせば触れうる範囲にあったなら。 どうなるだろうか。 どうなってしまうだろうか。 そんな事は、あえて想像するまでもない。 頭が沸騰するほどの興奮、脳みそが擦り切れるほどの獣欲が殴り掛かるように理性を打ち砕くだけだ。 ふー、ふー、といかにも昂っている荒い息を繰り返し、不躾にも視姦をやめられない。 ブラックホールのように視線を吸い込む彼女の淫らな肉が、今ですらたぷたぷと揺れている。 わきわきと、湧き上がる情動のままに、その雌性の塊を捏ね回すリハーサルをして。 やがて、その手はゆっくりと、無意識のまま彼女に吸い寄せられて── ──いや、駄目だ、やめろ! 自分のしそうになった事に我ながらぞっとして、手を引っ込める。 それと同時に、下に下に吸い寄せられる視線を、気力を振り絞って上へと戻した。 しかし、そこにはもちろん顔がある。 渚さんの、寒気がするほどに怜悧な顔立ちが。 どくどくと、心臓が跳ね回る。 殺し屋から銃口やナイフの切っ先を向けられるより、あるいは世界的な音楽コンクールで楽譜を忘れた時より、それよりも何百倍も緊張して、もう頭はすっかり真っ白。 ただ、あんなにじろじろと見てしまって絶対に嫌われたとか、体のどこを見てもアダルトビデオなんて比べ物にもならないほどえっちだったとか、顔を青くしたり赤くしたりして。 そして、そんな僕を見て、またも渚さんはくすくすと楽しげに笑う。 「ふふ……えっち」 笑い交じりに、全く咎める様子もなく、詰る。 それは嫌悪して責め立てるような声色ではなく、むしろ悩殺するかのような、恐ろしく妖艶かつ誘うような色で。 「見るだけなら、別にいいよ」 照れるでもなく、堂々と、惜しげもなく。 彼女は、その言葉がどれほど危険なのか理解しているのだろうか、そう言った。 そして、彼女の殺人的行為はそれだけに留まらない。 するりと身を寄せ、僕の膝に手を置いて、顔を耳元に近づけて。 「まあ……ちょっとぐらいなら、許してあげるよ。触るのも」 ──────!!! いよいよ心臓が止まりそうになり、体もまともに動かせない。 わたわたと、出来の悪い3Dポリゴンみたいに腕を動かして、彼女を押し戻そうとするも、既に彼女は定位置に戻っている。 ──もう、何が何だかわからない。 僕を誘惑して、根こそぎ金でも毟り取るつもりなのだろうか。 だとしたら、やりすぎだ。 こんなにも、オーバーキルをする必要がどこにあろうか。 もう、もう、僕には渚さんしか見えない。 靡いたような態度をこんなにも見せて、なんて残酷な人なのだろうか。 とにかくその淫らな悪魔──もとい渚さんから視線を外したくて、彼女の顔を透かして後ろを見る。 そこにあったのは、恐ろしく殺意に満ちた顔、顔、顔。 ぽっと出の冴えない野郎に奪われた怒りと憎しみを見るからに募らせた、そんな表情が幾つも並んでいる。 鬼のような、いや、それよりは亡者のような、嘆きと妬みの感情が淵から溢れてきそうな、そんな顔。 そして、それらと目が合うと、止まった時が動き始めたかのようにばたばたと、醜いほど奪い合って、ガタガタと机を揺らしながら。 やがて一人の男が隙間を縫って、渚さんの隣に、自分から座りに行く。 これまた渚さんに触れそうなほど傍を陣取って、身を乗り出して、彼女が僕にそうしたように、その顔を覗き込むように。 「あの、渚ちゃん?そんな男よりさ……」 「早瀬さん、ね」 ──両断。 今まで聞いたこともないほど冷たい声で、そちらを向きもせずに。 その男にはもっと距離を取るようジェスチャーを取りながら、僕にだけ、やたらと猫なで声で話しかける。 「あ、キミはいいからね。渚さんでも、渚ちゃんでも、渚でも、なーぎんでも」 愕然と、呆気に取られた顔で、男は固まる。 見ていて少し可哀そうなぐらいスッパリと断られて、嫌悪の意思を示された。 そして、近寄るなと手で合図され、僕のようにすぐ傍で彼女を見つめる事すら許されない。 そんな男の顔を、僕すらも唖然と見ていると、渚さん──僕は、本当に、そう呼んでいいのだろうか。あの男にはあんなに容赦なく名前で呼ぶなと突っぱねたのに、僕だけは良いのだろうか──は、その視線を遮るように手で彼の顔を隠す。 そして、もう片方の手で、僕の顎をそっと持ち上げると。 「はい、キミが見るのはこっち」 渚さんの顔と、僕の顔が向かい合うよう、強制的に向きを直される。 それは、所謂ところの顎クイというもの。 顔そのものを持たれ、まるで僕自身が渚さんの所有物にされたかのよう。 そして、そのまま渚さんの色気溢れる顔を強制的に見せつけられて、動悸が収まらない。 「フフ……ねえ、知ってるかい?顎というのは非常にデリケートな急所でね、そこに触れられて嫌がらないというのは、深い信頼……または、深い愛情を持っている証なんだよ」 ──は、あ、え…… 酸素の足りない金魚のように、僕はひたすら口をぱくぱくさせる。 いや、実際に酸素は足りていない。呼吸がままならない。 そんな僕に追い打ちをかけるかのように、渚さんはくすりと笑って続ける。 「おや……それを聞いても、キミは私の手を振り払わないんだね。それは、受け入れてくれる……という意味で捉えていいのかな?」 ──……!!! フフフ、と余裕たっぷりに笑いながら、彼女はようやく手を放す。 やっぱりキミは面白いね、なんて上機嫌にカクテルを呷りながら。 ──もう、混乱するしかない。 こんなの、流石に、どう考えても。 ……好意がある、としか、思えない。 せめてもの抵抗として、その裏にあるかも知れない思惑を探ってみるも、そもそも彼女には策略を張り巡らせる意味がない。 何故ならば、僕から毟れる程度のものは、彼女ならいくらでも手に入れられるから。 だから、つまり、これは。 彼女、渚さん自身の。 素のまま、ありのままの、好意。 そう結論付けるしか、ない。 何故、どうして、僕に。 僕が何をして、何故、そうなったのか。 ぐるぐると自問自答を続けても、答えなんて出るはずもなく、ただひたすらに、渚さんの色気に目が回る。 そうして、目を回していると。 渚さんしか見えなくて気づかなかったが、いつの間にか、僕達は囲まれていた。 他の参加者達、渚さんとお近づきになりたくてここに来た彼ら彼女らに。 もう渚さんの隣というVIP席を奪われた以上、あとの席順はどうでもよかったのだろう。 最早、それを争った形跡すらも無かった。 「…………」 血涙を流しそうな形相で、彼らは僕を睨んでいる。 その気持ちは、痛いほど理解できる。 僕が向こうの立場だったら、到底耐えきれないだろう。 けれど、それで僕を睨んだって、仕方ないじゃないか。 だって、理由とか理屈とかはともかく、こうして迫ってきているのは、渚さんの方なのだから。 そう声を上げたいが、そんな事をしたら火に油を注ぐだけだ。 だから、僕はもう、生まれてこの方初めて受けるような濃度の嫉妬を、黙って受けるしかない。 目だけで人を殺せるような視線を何とか受け流して、彼女が満足するまで、ここで黙っているしか。 「……ん?どうしたの?お酒もっと注文する?」 しかし、その元凶と言うべきか、彼女はとんと悪意の目線を気にしない。 さらりと普段通りの爽やかな笑顔で、店員を呼ぶボタンを押す。 「キミも何か頼む?このカクテル美味しいよ?」 もう、彼女の眼には、僕以外の人間は映っていないようだ。 渚さんは、ひたすら僕だけの方を向いて、楽しそうに喋っている。 「知ってるかい?この青いライチのカクテル、楊貴妃って言うんだけどね。キミも、嫌いじゃなければ一緒に頼む?」 ──あ、は、はい……。 もう、内容は半分も理解できていない。 ただ、眼前いっぱいには渚さんの嬉しそうな顔があり、その後ろには大勢の悔しそうな顔があり。 もう二重の意味で、心臓が持たない。 頼むから、もう、どうにかなってくれ。 心底そう願っていると、とうとうこの情念渦巻く場は動き出す。 「……あ、ちょっとお花摘んでくるね」 それは他でもない、渚さんの手によって。 最も望ましくない、考えうる限り最悪の方に動き出す。 渚さんは、何の躊躇もなくすっくと立ちあがって、通路側へと歩き出した。 思わず、待って、と言わんばかりに渚さんに向かって手を伸ばす。 まるで、親がちょっとでも離れる事を極端に嫌う幼児が、愚図って追いすがるかのように。 その例えは実際にその通りで、この場において彼女は僕を唯一庇護してくれる、子供から見た親のようなものであった。 彼女という唯一のストッパーが居るからこそ、僕はこの場で五体満足で居られる。 けれど、渚さんが居なくなった以上、僕という目の上のたんこぶを、生かしておく道理は無い。 彼女はそれを知ってか知らずか──いや、聡明な彼女が知らない訳がない。 絶望する僕を置いて、彼女は。 「んー、事務所の人から電話が入ってるね。ついでに電話してくるから遅くなると思う。じゃあ、多分十分ぐらい席を外すから、私のカクテルとキミのカクテル、間違えないように置いといてね」 と、スマホを見ながら言い残し、通路の奥へと消えてゆく。 ひらひらと振られた彼女の手のひらが、いよいよ見えなくなったその瞬間。 「なあ、おい」 地の底から響くような、男の声がすぐ傍から聞こえる。 渚さんが居なくなったと見た途端、僕と男の間に空いた距離を一気に詰め寄ってきたのだ。 「お前さ、マジで殺すぞ」 ぐい、と胸襟を掴まれて、首が締まる。 男の声色は、もはやその言葉が脅しでも何でもない事を伝えていた。 その男の怒りや妬みは凄まじかっただろう。 なまじ近くに寄ったからこそ、彼は明確に渚さんの体に触れる事を否定され、また間近で僕という陰気で魅力のない男が渚さんと触れ合っている場面を見せつけられたのだ。 自分がそこに居たはずなのに、何故あいつが。 なんて思ったかは定かではないが、心底怒り狂っている事には変わりない。 多分、殴られるだけでは済まない。 それこそ五体満足で帰れる保証も無い。 救いを求めた訳ではないが、テーブルを挟んで向こう側、他の参加者が座っている方をちらりと見る。 けれど、それを見ている他の参加者は、目の前で起こりかけた犯罪を止めようともしない。 むしろ状況は劣勢も劣勢、彼ら彼女らの目線という目線が、殺せ殺せと男に語り掛けていた。 ──ああ、本当に、死んだかも。 そう心の中で独り言ちて、ぎゅっと目を閉じると。 「すいませーん、ご注文の楊貴妃2杯ですー」 店員さんが、青いカクテルの入ったグラスを手に現れた。 それを見て、男はひとまず状況が悪いと判断したのか、僕の首から手を放す。 渚さんの席と、一応僕の前にもカクテルが運ばれ、場には異様な沈黙が流れた。 この場にあるグラスは、二つ。 渚さんが頼んだものと、渚さんに勧められて僕が注文したもの。 きっと彼らも、勧められれば喜んでそれを飲もうとしただろう。 しかし、そもそも彼らは、渚さんに一言でも、飲むかと聞かれはしなかった。 言い換えれば、それは自分たちが渚さんの眼中にないという証であり、彼らの腹を煮やす種。 そして、それが僕の目の前だけにあるということは、それもまた、言い換えてみれば。 ──それが嬉しくない、なんて口が裂けても言えない。 渚さんという、誰もが認めるカリスマで、そして誰にも靡かない、雲の上の存在としか言えない憧れの存在に特別扱いされる優越感というのも、もちろんある。 しかし、それ以上に、ただ単純に、それは渚さんに認められている証左に他ならない。 ただ、この場においては、嬉しいのと同じだけ恐ろしい。 それがある事によって、命の危険すら生まれるほどに。 男たちは、黙って僕を睨んでいる。 胃が縮み上がるような沈黙。 そんな時間は、僕から見て左斜めの女によって破られた。 「そうだ、良いのがあるわよ」 わざと大げさに抑揚を付けた声だった。 その声で注目を集めた女は、いやにニヤついた、いかにも厭らしい下卑た笑みを浮かべて、持っていたバッグから──錠剤を取り出す。 見た目はごく普通の、白いタブレット。 故に、その効果は分からず、それがかえって恐怖を煽る。 ──飲まされるのだろう、僕が。 睡眠薬だろうか、もしくは人体に有害なものだろうか。 どんな物でも、こいつらなら持っていてもおかしくはない。 少なくとも、他人に無理やり薬を飲ませるような人間の頭がマトモな訳がないからだ。 身構えていると、その薬は僕の隣の男の手に渡る。 僕はごくりと生唾を飲み込んだ。 しかし、男は僕の方には見向きもしない。 彼が手に取ったのは──渚さんの、カクテルグラス。 「なァ、知ってるか?これ。まあ、お前みたいな陰キャは知らねぇわな」 ニヤニヤと、男たちが、女たちが、自分以外の全員が、笑っている。 まさに悪計というべき不気味な笑い顔は、背筋に奇妙なぞくつきを走らせた。 何か、自分が考えているよりも、もっとおぞましく悪意に満ちた事が起こる。 その醜悪な笑みを見ていると、そんな確信をどうしても抱いてしまい。 そして、その予感は、現実のものとなる。 「お前さ、レイプドラッグって聞いたことある?」 ──……お前っっっ!!! 男が言ったその言葉、その意味を理解した途端、僕は脳の血管が切れるほどの激昂に襲われ、何も考えられずに男に掴みかかる。 しかし、その手はいとも簡単に掴まれて、抑え込まれてしまう。 この男の見るからに筋肉のついた太い腕に、僕の細い腕で敵う訳がなかった。 「おー怖い怖い。けど弱ぇな」 抵抗も空しく、薬はぽちゃりとグラスに落ちて、見せつけるようにゆっくりと溶け、沈む。 青く溶けたそれは、やがてカクテルの青色と混じり、もう僕のグラスのそれと見分けがつかない。 男はマドラーで一度それをかき回すと、下衆な笑いと共に言う。 「そいつはスッゲーよくキく媚薬でな、いっぺん飲んだらあの渚でも構わず俺らのちんぽにしゃぶりつくぜ」 ──……ッッッ!!! 一瞬、ほんの一瞬、脳裏に浮かんだ映像をかき消す。 駄目だ、それだけは、何としても。 「あのお高くとまって、エロ肉見せつけてる癖に誰にもヤらせねぇカッコツケ女を、俺らで輪姦せると思うとマジ興奮するわ」 げらげらと、下品で道徳心の欠片もない笑い声が響く。 額には冷や汗が流れ、指先は凍えたかのように震えている。 ──もう、僕はどうなってもいい。 とにかく、渚さんだけは、こいつらの毒牙に晒してはいけない。 僕は、そっと腰ポケットに手を入れて、そこにあるスマホを取り出そうとした。 「おっと、余計な事すんなよな」 が、それは男に阻まれる。 スマホは男の手に渡り、そのまま両手で、呆気なく。 ──ぺきり。 間抜けな音を立てて、上下に二つ折り。 頼みの綱は、いとも簡単に投げ捨てられてしまった。 「分かってんだろうな?妙な真似したり、大声出したりしたら」 ぐい、と顔面を鷲掴みにされて、三白眼でぎろりと蛇睨み。 「お前のことぶっ殺して、渚もボコって無理やりレイプすっからな」 外道め。 そんな意思を込めて、真っ向から男を睨み返す。 正直、もう僕がどうこうされるのはどうだっていい。構わない。 ただただ、渚さんを卑劣に貶めようとしている目の前の奴らに、はらわたが煮えくり返っている。 その怒りを、目の前の男も感じ取ったのだろう。 しかし、ちょっと鍛えた中学男子にも腕相撲で負けるような人間に凄まれて、まさか先程の言葉を撤回しようと思うはずがない。 仔犬が必死に威嚇しているような、チグハグな滑稽さを揶揄するように、更に男は汚らしい言葉をぶつける。 「後で渚のことラブホに連れ込んで全員で犯すからさ、お前も来いよ。渚が俺らのオナホになるとこ特等席でみせてやっから」 ──僕は、今までの人生で人を殴った事なんてないし、一時の感情の爆発で人を殴るような人間を、どちらかと言うと見下していた方だった。 「ああ、もちろんお前は渚には指一本触れさせねえけどな!渚が俺らに犯されてるとこ指咥えてみてろよ!」 ──野郎っ!!! しかし、いよいよ、脳の血管がブツンと切れた音がした。 もはや危険など顧みず、なりふり構わずに殴り掛かる。 アドレナリンが放出されているのだろう、周りの動きがいやにスローモーだ。 ゆっくりと、吐き気を催すような笑みを浮かべた男の顔面に、僕のぎこちない握り拳が向かう。 その間、様々なことが脳裏を過る。 渚さんの身が危ないとか、店に迷惑がかかるとか、暴行罪がどうのとか。 もし僕が冷静だったなら、そのどれか一つでも顧みて、必死に自分を落ち着けていただろう。 しかし、今は。 ──ここは店内で、個室とは言え衆目もある。どれほど奴らが強くとも、数の利があろうとも、渚さんを無理やり手籠めにするような真似はできない。 ──確かに店に迷惑はかかる。しかし、どうせこいつらを警察に突き出したって迷惑はかかるのだ。今更ちょっと暴力沙汰の事件があったぐらいが何だ。 ──実刑判決がなんぼの物だ。情状酌量、もっと言えば執行猶予が付けば御の字だ。 兎も角、こいつだけは殴らねば気が済まなかった。 全く頭に血が上っており、冷静とは180度真逆の精神状態だった。 この後、少なくともこの男に、僕が殴って与えた痛みの、少なくとも何十倍もの苦痛を返される事は分かっていた。 そのもっと後、就活やら何やらのありとあらゆる場面で面倒ごとが付きまとう事なんて、自覚していない筈がなかった。 しかし、それでも。 それでも、ここでこの男を殴った事は、これから先の人生のどの瞬間でも、一度たりとも後悔はしない。 そう、確信を抱いていた。 だから、このまま、殴り抜く。 そう意思を込めて、全力で拳を振り抜いた。 けれど。 ──っ……! 止められた。 何の躊躇も、少しの戸惑いや憂いも無く、持てる全ての力を乗せた殴打は、いとも簡単に。 確かに僕は、生まれてこの方暴力とは無縁で、モヤシの名を欲しいままにしている絵に描いたような貧弱文系男だ。 そんな男の、いかにも殴り慣れていないテレフォンパンチとは言え、しかし。 僕は、僕の拳を防いだその手を、ほんの少しも動かすことすら出来なかった。 その拳は、男の顔を捉えて、そのまま殴り抜こうとした拳だ。 男の顔面まで到達して、なお止めないように、それだけの力を入れて殴った。 体を弓なりに反らして、全身で、渾身の威力を込めて。 だが、その手のひらはまるで、地中深くまでがっちりと埋まった巨岩のように動かない。 全身の力を込めて、顔が真っ赤になるほど押しても、地面に杭打たれていると錯覚するほど微動だにしない。 不甲斐なさと悔しさを誤魔化すように、手の奥にある男の顔をせめて睨みつける。 ニヤついているだろう、小馬鹿にしているだろう。 そう思い、顔を上げると。 ──……っ!? 「……くく、ふふふっ」 すらりとしなやかな、白魚にも似た細い指。 透き通るように白く、ごつごつとした男のそれとは対極的に柔らかな腕。 薄布一枚も纏わせずに、堂々と露わにした華奢な肩。 そして、何よりも尋常ならざる別次元の美しさを携えた、神話の女神のような顔立ちは、誰がどう見たって見紛うことなどあり得ない。 「もう、駄目だよ?そんな事をしたら、キミまでワルモノになってしまう」 男の後方から、音もなくぬっと現れた彼女──渚さん。

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新作の進捗.2

──と、このお話はここで終わり。 漫画やアニメじゃあるまいし、ここから彼女とのラブコメディのようなストーリーが始まる訳でもない。 あの日の事は、ただ僕にとっては奇跡的な思い出に、彼女にとっては覚える意味もないただの気まぐれして過ぎ去ってゆくだけだ。 そもそも僕と彼女には元から接点なんてないし、これから接する事もないだろう。 彼女はその類稀な才能と美貌で人々の羨望の目を集め、特別な才能などもない僕は薄暗い日陰を歩くだけだ。 恋人同士は言うまでもなく、例え友人としての関係ですらまるで釣り合わないだろう。 だから、もう彼女と関わる事はもうない。 彼女がまた僕に話しかけたりする事など有り得ないし、僕から彼女に声をかけたりもしない。 彼女とは住む世界が違うから、そんな機会も二度と与えられたりしないのだ。 そう、思っていたのだが……。 「ハーイ、じゃあ、今日の出会いに感謝して~?」 「「「カンパーイ!!!」」」 ──か、乾杯……。 座敷席の隅っこで縮こまりながら、周りを見渡す。 隣を見ればちょっとくすんだ金髪に、格闘技で鍛えたと豪語していた筋肉質な腕。 染み付いているのだろうか、少しタバコの匂いがするジャケット。 正面を見れば、少し茶色がかったロングの黒髪に、淡めの中間色でまとめたワンピース。 あまり詳しくないので分からないが、見た感じでは薄めの化粧で、唇だけは濃いめかつ潤いを強調した赤色。 パッと見は清楚そうな見た目だが、こんな場所に来るのだから、どうにも猜疑的な目で見てしまう。 そんな男女ばかりがずらりと横並びになって、僕の眼前に見えるのは。 「……乾杯」 控えめに、ゆっくりと杯を上げる、背の高い美女。 深く冷たい青色の瞳に、パッキリとシャープなまつ毛が目を引いて、刺すように鋭い目元とギリシャ彫刻じみた輪郭が、整いすぎているほど整ったマニッシュな美貌を強調する。 肌は相変わらずすべすべと絹のように滑らかで、最早言うまでもないが、胸もメロンほどの大きさと蕩けるような肉質を持ち合わせて、まるで男の精を啜って生きるサキュバスのよう。 そう、言うまでもなくその女性の名前は──早瀬渚。 集合の時間ぴったり、全員が揃ったその後に音もなく現れて、あまりの美しさに空気そのものを凍てつかせた彼女を、まさか見間違うはずがない。 彼女の形容は、場末の安居酒屋にはまるで似つかわしくなく、例えるならばドブ池の中に虹色の羽を持った孔雀が居るような、そこに存在するだけでそんなチグハグさを感じてしまう。 それは、女性が並ぶ側の席に座った時も同じで、言っては悪いが彼女らに対して全く釣り合っていない。 ちょっとあの子より美人だとか、ちょっとあの子よりスタイルが良いとか、そういう次元の話ですらない。 子供の落書きをくしゃくしゃに丸めたちり紙と、一等品の和紙に人間国宝が描いた絵画の価値を比べるのが馬鹿らしいように、最早比較にすらならないほど、彼女は絶対的な輝きを放っていた。 それを見た男達は、もう馬鹿みたいに口を半開きにして、彼女の歩き姿を眺めるしかない。 女達ですら、その溢れそうな色香に当てられて、視線を釘付けにされる。 嫉妬の感情や、男を奪われるかも知れないという焦燥感すら、もう感じる事もできないのだろう。 あまりに生物として圧倒的すぎる差に、僕達はもう為す術がない。 そうして彼女が──何の因果か、僕の正面に座った時、この会場においての女王が決定する。 全員から、一身に媚びるような目線を受ける早瀬さん。 彼らも、彼女らも、誰もかもが。 早瀬さんただ一人と、お近づきになりたい。 それだけが、この集会の意味なのだ。 そんな至極当然の事を、ただ彼女の登場だけによって、再確認させられた。 早瀬さんは、ごく稀に気まぐれに合コンに参加するそうなのだが、彼女が来る合コンは男女問わず参加希望者が殺到し、噂によるとその倍率は人気アイドルグループのコンサートにも勝るほどになるらしい。 もちろん僕は合コンなどに行くタチでもないし、主催者の人間とのコネなども持ち合わせてはいない。 こういうものを開催するのは、得てしてバーベキューやサーフィンを好むようなステレオタイプの陽気な人間であるが、生憎日陰者の自分にはそういう人間は友人には居ないのだ。 ……いや、一人だけ居るか。 早瀬さんと初めて話した時に時に中庭で一緒に居た、あの友人。 丁度この合コンに来ることになったのも彼奴のせい──もとい、彼奴のおかげだ。 そもそも、アイツは成人しているとは思えないほどスケジュールにだらしない。 そんなだから、今回も合コンが再試とダブルブッキングしていたとかで、急遽行けなくなってしまうのだ。 ──まあ、そこまでは別にいい。 人数が不足すると不都合だからと、迷惑にならないよう代役を立てるのも、その相手からの了承があるのなら良いだろう。 だが、よりにもよって、何故代役に僕を選ぶ。 しかも、代役の僕にも、幹事の男にも、直前まで全く何の連絡もなしに、だ。 「まずは何頼むー?」 「とりまポテトフライと、あとサラダと……」 「唐揚げ食べたい人ー?」 「はーい!私食べたいです!」 表面上は明るく、いかにも『合コン』という雰囲気で、彼らはメニューを決めている。 しかし、何となく、既に刀の切っ先を向けて牽制するようなプレッシャーが充満していて胃に悪い。 それは、ある意味で当たり前の事ではある。 たった一人の極上の女、それもこれ以上に優れた雌など間違いなく地球上のどこにも居らず、また出会える事も絶対にない、こんなにこってりとフェロモンと艶に溢れた、例え牢屋にぶち込まれたって諦めるなどと考える事もできないような女を、これほど大勢で取り合っているのだから。 「んで、えーと……君も食べる?」 ──あ、頂きます……。大皿もあるみたいですけど、そっちで頼みます? 「あ、マジ?んじゃそうしようか」 「唐揚げと竜田揚げの合盛りもあるからそれにする?」 「あとポテトフライも大皿で頼みましょうよ」 ──あ、じゃあ、通路も近いので僕がまとめて頼んどきますね。 「サンキュー!他何か頼みたい人ー?」 彼らの目は、全く僕には向いていない。 何故かは知らないがこんな場所に迷い込んだ、芋っぽい陰キャなんて相手なんてする価値はない。 そう思っているかどうかは知らないが、少なくともここに居る全員は、僕への興味関心は全く持ち合わせていないようだ。 まあ、その方が僕としても助かる。 別に彼女が作りたい訳でもないし、見知らぬ人達と交流を深めたい訳でもない。 下手に干渉されずに済むのなら、人見知りの僕にとってはありがたいという物だ。 しかし、全く何も話さないというのも不自然というものだ。 適当に、場が円滑に回るようには動いておこうとそれぞれ好みのメニューを記憶する。 僕は本来の合コンの目的を遂行しようともしない、呼ばれてもいない邪魔者なのだから、それくらいの罪滅ぼしはして然るべきだろう。 「で、渚ちゃんは何食べるの?」 表情には出さないように、一人そんな事を考えていると、近くの女性が少しそわそわしながら早瀬さんにそう尋ねる。 その質問に対する周りの反応は分かりやすいもので、一遍に視線が早瀬さんの方に向いた。 彼女が何を言うか気になるとか、あるいは彼女がこう言ったらどう返せば最も好意的に思われるかとか。 そういう事を脳内でシミュレートしているのだろうな、と容易に察する事のできる彼らの必死な表情は、言い換えれば彼女の人を惹きつける魅力の表れなのだろう。 やはり、この合コンは全員が──はっきり言ってましまえば、早瀬さんを狙っている。 男はもちろん彼女の体を狙うだろうし、女性も彼女の端正かつボーイッシュな顔立ちに骨抜きにされている。 下手な男性よりも、と言うか、この居酒屋に居るどの男よりも、早瀬さんの方が男性的な魅力に長けているだろう。 男である僕からしてもそう思うのだから、彼女の性を逸脱するほどの美貌は、女性からしてみれば堪らない妖艶さとして映るに違いない。 「おつまみか……そうだね……」 早瀬さんは、白魚みたいに細い指でメニュー表を捲る。 下を向いて、少しばかり伏し目がちに細めた目は、何か妖しげとすら思える艶やかさを孕んでいる。 ごくりと、隣の男が自然と唾を飲んだ。 ──気持ちは、分かる。 ただ何を注文するか悩む姿が、何故あそこまで人を駄目にする魔性を放っているのだろうか。 「あー……うん、決めた」 ぱたん、とお品書きを閉じて、彼女が僕の方を見据える。 その瞬間、空気がなんとなく張り詰めるのを感じ取った。 彼ら、または彼女らにとって、ここからが戦場なのだ。 誰が早瀬渚を射止めるか、そこに向けてのドラッグレース。 彼女への返事のスタートダッシュ、最初の一言をどう切り返すかと、誰もが前のめりになって── 「なめろうと、梅水晶がいいな」 ──全員が、クラッシュした。 脳内のデータベースにない初見殺しな名詞が飛び出して、構えていた分強く出鼻をくじかれて立ち直れない。 ──……あー、美味しいですよね。あんまり見かけないですけど。 会話に空白ができないよう、当たり障りのない返事をとりあえず返す。 周囲もそれに乗っかり、俺も好きとか、私も見かけると食べますとか、なんでもない返事で後に続く。 「フフ……どちらも美味しいよね。知ってるかい?なめろうは、皿を舐めるほど美味しいからなめろうという名前になったそうだよ」 それに対して、あくまでもマイペースに、早瀬さんは豆知識で返す。 にこやかに、相も変わらず悪魔じみた美しさで。 けれど、崩されっぱなしの人々は、それに対して相槌を打つしかない。 初めはあれだけ意気揚々と騒いでいた彼らが、もう既に彼女の特有の雰囲気にたじろいでいる。 恐らくは場を回す事に慣れているであろう彼らに全くペースを掴ませず、渦潮が船を飲み込むように、この場は彼女が支配してしまった。 「なめろうはね、千葉の郷土料理だから、そこに行けばよく置いてあるんだ。特に漁場が近い場所だと新鮮で美味しくてね……」 高級なワインをくゆらせるようにお冷の入ったコップを揺らしながら、喋喋と語る彼女。 その声はハスキーながらも耳触りがひどく滑らかで、いつまでも聞いていたくなるセイレーンのような魔性を秘めていた。 ハープが流れるような音を出す喉を時折水で潤して、それがこくりと喉を通るのがいやに艶めかしい。 彼女の人間離れして美しい形貌と相まって、恐ろしいほどに目が離せなくなってしまう。 ──ああ、やっぱり、凄まじいな……。 流暢に言葉を紡ぐ彼女を見て、深くそう感じ入る。 はっきり言って、彼女が語っている内容は彼らが望んでいるものではないだろう。 現に彼らは、皆どことなく歯がゆそうな顔を隠せていない。 けれど、誰も彼女の言葉を否定したり、遮ったりはしない。 不快に思って苛立ったり、興味を失って聞き流したりもしない。 いつの間にか深く心を惹き込んで、完全に会話──というか、一方的に語っているだけではある──の主導権を独占している。 もう、このたった数分で理解できた。 早瀬さんが突飛な言動を、あるいは格好をしている理由が。 彼女には、空気を読む必要が全くないのだ。 何故ならば、その場の空気など、意識せずとも一瞬で支配してしまえるから。 彼女がそこに居る限り、その場において自然で当たり前なのは全て彼女で、その他の存在はそれに口出しする権利は全くない。 こうして対峙して、そして話をしてみれば、そう思わざるを得ない。 ──とは言え、彼らにとって聞きたいのは、決して郷土料理の蘊蓄ではない。 もっとパーソナルな、早瀬渚という女について知りたいのだ。 だから、一人の男が先陣を切る。 得体の知れない美女について、少しでも手がかりを掴むために。 「……あ、もしかして、渚ちゃんって千葉出身なの?」 ──行った。 その場に居る誰もがそう思う。 しかし、その心許ない反撃に対して彼女はあまりにも無慈悲で。 「……?違うけど、どうして?」 ……そっか。 そう微かに呟いた声が、喧騒に消えていった。 ──あー、そろそろ注文取りますか……。 助け舟を出すようにそう言うと、最も喜んだように見えたのは、早瀬さんだった。 「あ、それならむかごの天ぷらも貰っていいかい?抹茶塩でお願いしたいのだけれど」 これは大皿無いのかな?なんて言う早瀬さんは、なんと言うか、間違いなくこの場を最も楽しんで乗りこなしている。 それを見て、僕は少しだけ助かったなと思う。 もう彼らは早瀬さんをどう攻略するかに夢中で、僕のことなど忘れきっているだろう。 ──抹茶塩なら、頼めば無料で貰えるらしいです。何個か頼んでおきますね。 「うん、お願い」 にこにこと、無邪気な顔で笑う彼女。 少女然とした可愛らしさと、壮麗な格好良さを兼ね備えていて、やはり息が詰まるほど美しい。 その笑顔を見ているだけで、心臓がずくんと跳ねて、かっと熱くなる。 ──早瀬さんと付き合いたい。 不躾というか、身の程も知らずに強くそう思ってしまうくらいには、彼女は魅力的すぎる。 ただ美しいだけでない、何かふらふらと惹き付けられてしまうような、異様な色気とフェロモンが、早瀬さんには存在する。 くらくらするような官能さは、男に諦めを許してはくれない。 彼女の持つ魅力は、あまりにも残酷すぎた。 ──けど、やっぱり僕になんて、どう考えても無理だ。 釣り合いもしなければ、彼女が僕に興味を持つことも無いだろう。 同じ参加者からすら見向きもされないのだから、どんな人間からも選ぶ権利を持つ彼女が、わざわざ僕を選ぶ理由もない。 少なくとも、ここに居る参加者から、もっと言えばこの世界の人間から全てを出し抜いて、彼女から最も魅力のある男だと思ってもらう。 それが、この世界にたった一人だけが得られる、早瀬渚の恋人になるための条件なのだ。 言い換えれば、彼女の恋人になれたのなら、それはこの世界の誰よりも魅力のある人間という事になって。 ──まあ、現実的ではないよな……。 熱くなりかけた体を、氷でよく冷えた水で冷やす。 お近づきにはなりたいが、無理に近づいて離れられるのはもっと嫌だ。 ──唐揚げと竜田揚げの合盛りと、サラダとポテトフライ、これらは大皿でお願いします。それから、単品で、えーと、なめろうと……。 ちら、と早瀬さんの方を向く。 注文する僕をじっと見ていたのか、ばっちりと目が合った。 「梅水晶と、むかごの天ぷら。抹茶塩も付けてね」 店員さんにそれを伝える訳でもなく、ただ僕に話しかけてくる。 甘えるように笑って、お前が繰り返して言え、と言わんばかりに。 ──だ、そうです。……一応、抹茶塩は人数分頂けますか? しかし、僕はそれを受け流して、応じない。 何故彼女はこんなにも懐っこいというか、男を誘う蠱惑さがあるのだろうか。 無意識下でそれをやっているのなら、いよいよもって彼女は魔女だ。 はっきり言って、これ以上彼女の正面に居るのは心臓が持たない。 前を見れば、彼女の天女のような麗しい顔が、寄りすがるように甘えた表情を見せている。 酒に酔って、少し瞳がとろんとしているのだろうか。 元来持っている鋭く中性的な端正さと、淫らで艶やかな女性らしさが、どうにも僕には耐え難いほど究極的なバランスで混じりあって、眺めているだけで鼓動がおかしくなってしまう。 それに、周りからの視線が痛い。 何故お前のような冴えない男が、早瀬渚の気を引いているのか。 憎悪と嫉妬を隠しきれない、殺意すらこもった目が、明らかに僕に向いている。 違う、僕はただ彼女の正面に居るだけで、何もしていない。 早瀬さんが僕に興味なんて持つはずがないのはあなた方もよく分かっているだろう。 そう思いつつ、彼らの誤解を解くには方法がない。 故に、僕は彼女から向けられる視線を意図的に気づかないふりをしながら、早く誰か席を代わってくれと祈るしかできない。 ちら、と横を見ると、彼らも張り切って話題を提供している。 趣味がどうだとか、休日はどんな事をしているかだとか。 正面の早瀬さんから常に視線を外しているのも不自然だし、僕もそちらの話題に乗らせてもらおう。 知り合いでもない人間と楽しげにパーソナルな話をするのなんて、はっきり言って大の苦手だが、幸いにもそれへの嫌悪感は脳に回ったアルコールが何とかしてくれそうだ。 隣の男のする自慢混じりの格闘技の話に、あまり興味は無いが相槌を打った。 「~~で、その喧嘩売ってきたヤツを俺がまとめてブチのめして……」 「女なんて今までン十人抱いたし、みんな俺のブツの虜になって……」 「私も女のコとセックスするの結構好きで……」 「女だからこそ女のイイところが分かるって言うかぁ……」 ──それから数十分ほど経つと、場も温まって会話が弾み始める。 しかし、その内容はと言うと、はっきり言って聞くに耐えない。 自分の雄としての優位性を示したいのか、ご自慢の腕っ節で誰を殴ったとか、あるいは自分がどれほどセックスが上手いのかとか。 犯罪自慢とセクハラ話ばかりが延々と続いて、いくら何でもげんなりしてしまう。 今どきこんなステレオタイプな不良崩れがまだ淘汰されずに存在しているのか、と感心すらしてしまう程だ。 そして、女の側もそれは同じで、随分下世話な話ばかりを嬉しそうに語っている。 最早男など眼中に無いと言わんばかりにあからさまに早瀬さんの方を向きながら、女と女のセックスの良さを語る姿は、その清楚ぶった格好とはかけ離れた下品さだ。 誰も彼もがマウントを取り合い、性と暴力の話に明け暮れる。 それを自分のアピールポイントだと言わんばかりに振りかざし、それを下劣な性欲と合わせて好みの女にぶつけている。 それをお前にしてやる、俺様の所有物にしてやる。 そんな驕り高ぶりをひけらかした上からの目線で、そこには様々なハラスメントが折り重なっていて、しかしそれがこの場においては、それが魅力となるステータスとされていて。 なんと言う治安の悪さ。 合コンとは、こうなのか。 カルチャーショックに慄きつつ、食欲は完全に失せているがサラダをつまむ。 何か口に入れているとアピールすれば、喋らなくて済むからだ。 「てゆーか渚ちゃん腕ほっそいねぇ~!」 「握力どのぐらい?20ぐらい?俺70ぐらいあるんだけどすごくね?」 「俺も素手でリンゴ割れるわ~!簡単だよなあれ」 男たちはゲラゲラと笑いながら、その太い腕をわざわざ腕を捲ってまで見せつける。 早瀬さんの細腕と比べるように、厭らしく目線を向けながら。 その様子に、俺達はその気になればお前を無理やり犯せるんだぞ、という言外の主張を感じるのは下衆の勘繰りだろうか。 彼らはその腕が余程誇らしいのか、触ってみてよとしつこく早瀬さんに迫っている。 その様子に、ただの自慢だとしても少々しつこいなと僕から見ても思ってしまう。 早瀬さんは、そんな彼らをあまり相手にせず、適当に受け流しているが、彼らはそれでも止まらない。 「てかさぁ、渚ちゃんってやっぱめちゃくちゃ乳デカいよね」 「おっぱいデカい女ってぇ、性欲めっちゃ強いらしいよ」 そうしていると、話はどんどんエスカレートし、遂には早瀬さんへの直接的なセクハラに発展した。 視線は彼女の胸に向けながら、ゲラゲラと下卑た笑い声を上げ、自分達の性欲の玩具にする気満々に、聞いているだけで胸焼けのような不快感がするような言葉を、なんの遠慮もなしに投げかける。 「渚ちゃんもさぁ、やっぱヤることヤってんの?」 「まあ、見るからに性欲強そうですしねぇ」 いかにもドロドロと粘つく欲望に満ちた、品のない笑い声が響く。 いくら何でもこれは可哀想だ、そろそろ止めるべきか。 いや、僕が知らないだけで、合コンとは本当にこういうものが当たり前なのか? だとしたら、それを知っていて渚さんは参加したのだから、止めるのも変かもしれない。 「今まで何人とヤったの?」 「てかさぁ、この中でヤるなら誰がいい?」 「俺めちゃくちゃセックス上手いしアレもデカいよ」 「やだぁ、渚さんはこんなバカ男よりも女の子の方が好きですもんねぇ?」 ──しかし、どう考えても怖いし不快だろう、これは。 例え場を白けさせたりして、最悪僕が殴られても、それで済むのならやっぱり止めた方がいい。 早瀬さんにその手が向かう前に、僕が代わりに被害を請け負うなら結構な事じゃないか。 ──よし。 そうして、僕はようやく意を決する。 小さく深呼吸をして、震える両手を押さえつけて、なるべく毅然と、声から怯えが悟られないように。 あの、ちょっと──。 笑い声に負けないくらいの声量で、そう口に出す。 いや、出そうとした。 しかし、それは止められた。 他でもない──早瀬さんに。 早瀬さんは僕が口を開くよりも先に、手のひらを小さくこちらに向けて制止する。 僕の心を読んでいたかのように、しかしこちらを向きもせず。 彼女は落ち着き払った様子で、普段通りに、言った。 「そうだね、他人よりもそういう欲は強いと思うし、興味もあるよ」 ──その言葉に、僕は愕然とする。 早瀬さんは、彼らに迎合するように、性の話に自分から乗りかかったのだ。 途端、彼らの目線がいやに粘度を帯び、期待と情欲が嫌らしさと入り交じって、明確に早瀬さんを獲物と捉える。 最早その目付きは口よりも「犯す」「食い散らかす」「セフレにする」「あわよくば自分のテクで都合のいいATM兼オナホにしてやる」と語り尽くしており、男である僕から見ても吐き気がしてしまう。 しかし、そんな事態を招いたのは、他でもない早瀬さんだ。 彼らがそのどす黒い欲望を隠す必要もないと、そう察させたのは、早瀬さんなのだ。 全身の血液が引いてゆく。 背筋がぞくぞくと寒い。 心臓がいやに痛む。 手先の震えが止まらない。 早瀬さんは、確かに奔放な人だ。 正直に言えば、その格好だけを見て痴女だと判断するのも理解できる。 彼女の事を奇人の痴れ者と嘲る人だって居る。 しかし、彼女には彼女なりの信念があり、誰にでも股を開くような女性ではない。 そう、思っていたのだが、現実はそうでもないのだろうか。 欲のまま、男と見るとホテルに誘うような事も、あるのだろうか。 「とある人と、そういう事をしようとした時もあるんだ」 ──ああ、やはり、そうなのか。 行きずりの、とは違えども、僕の知らない僕よりも優れている男と。 ……いや、そもそも僕だって早瀬さんの事を深く知っている訳ではないか。 ただ、ちょっとあの時話しかけられて、舞い上がっていただけだ。 それを、あたかも自分は早瀬さんの事を理解しているように勝手に思い込み、結局彼女の事を自ら知ろうともしなかったのは、それこそ他でもない僕じゃないか。 これは、僕がただ、彼女を格別に神聖視して幻想を押し付けていただけなのだ。 そうか、この場において、早瀬さんから最も距離が離れているのは、僕だったのか。 そもそも彼女は自らの意思でここに来たのだ。 嫌々ながらこの場所に現れた僕には、一番遠い存在じゃないか。 考えてもみれば当たり前の事が、ひどく胸を刺す。 落胆、悲哀、絶望。 失恋未満の届くはずもないしょうもない片想いに、トドメを刺された気分であった。 涙すら流しそうな僕は、ただ黙って下を向いている。 酒場特有の喧騒すらも、聴覚が朧気で聞こえない。 「けれどね」 それでも、彼女の金糸雀のような声だけは、やけにクリアに耳に届く。 その声は、今までの流れをまるで断ち切るような、そんな声だった。 早瀬さんがただ一言言ったのは、転回の接続詞。 ニヤニヤと、色気立って揉み手をする奴らの手が止まる。 「結局、しなかったよ。いや、出来なかったというのが正しいのかな」 顔を上げて、正面を見た。 そこには、相も変わらず、凛と美しい顔があった。 しかし、少なくとも僕には、彼女が── 「これは、少し前のお話なんだけどね」 ──静かに、怒っているように見えたのだ。

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新作の進捗.1 改訂版(前回の投稿とそんなに変わってないので読み飛ばしてもOKです)

「なあ、早瀬渚って知ってるか?」 講義と講義の間に空いた90分の空き時間を潰している時分、友人が僕に問いかける。 その言葉に、僕はパックジュースのストローから口を離して、馬鹿にしているのか、と返事をした。 まあ、流石のお前でもそうだわな──と、友人はベンチの背もたれに体重を掛けた。 彼は、僕の事を過分に世間知らずだと思っている節がある。 確かに僕は、彼のように流行りのファッションがどうのとか、芸能人の誰と誰が結婚したとかのゴシップなどには聡くない。 インターネットに触れている者なら誰もが知っているはずの、動画サイトの再生回数を見ればカンマが2つも3つも付いている曲のサビすらも聞いた事がない。 それでも、この大学に通っている限り、あの早瀬渚の事を知らないなんて事があるはずが無い。 リアルでもインターネット上でも有名人だからとかそういう次元の話ではなく、一度その姿を見たらそれを忘れる事など不可能だという意味で。 そう言うと、彼は僕よりも幾分太い、日焼けした腕で僕の肩を小突く。 「何だよ、干物みてーな顔しといて、意外とアイツの事狙ってんのか?」 まさかお前がロールキャベツ系男子だったとはねぇ、なんて一人呟いて、彼はスマートフォンをポケットから取り出す。 どうせまたSNSで女の自撮りでも見ているのだろう。飽きない男だ。 僕は干物でもなければロールキャベツでもない、そんなに食って美味い男なはずがないだろう。 自虐半分に言い返して、僕も同じようにスマートフォンを取り出した。 手持ち無沙汰ついでに、友人の揶揄の意味が何となく気になったからだ。 ロールキャベツとやらの意味はよく分からないが、どうせ褒め言葉ではないだろう。 それに、あの早瀬渚に関する話であれば、大方意味の想像はつく。 ……やはり、そうだ。 彼女に関する事で、かつ男がする話なんて、たった一つに限られる。 生殖適齢期の雌の、豊かに実った肉を美味しく食べる。 なるだけ魅力的な、あるいは人畜無害そうな皮を被り、相手を油断させて。 彼女を取り巻く男は皆そんなものであるから、食い物にされる側という意味で、むしろ料理に例えられるのは彼女の側なのではないだろうか。 しかし、そんな風に身体を狙われるばかりで、誰にも内面を見られないのは少しだけ哀れだなと思ってしまう。 衆目のある大学の構内ですらあからさまにボディタッチを狙う男に、セクハラそのものの会話しかしようとしない男。 彼女の周りにはそんな男しか見ないものだから、それもまともな男を寄せ付けなくしている原因なのかも知れない。 それに関しては、可哀想だと思う。 しかし、同時に理解もできてしまう。 彼女を付け狙う男の心理、また彼女に性欲を狂わされる理由が。 ──早瀬渚。 僕と同じ大学に通っていて、学年も同じく三年生。 とはいえ、僕と彼女は何の関わりもない。 僕から彼女に話しかけようとしたことも、ましてや話しかけられたことも無い。 彼女の服装はいつも奇抜で、所謂パンク系──僕はファッションに関しては全く興味が無いのでよく知らないが、確か彼女の取り巻きの誰かがそんな事を言っていた──のものをよく着ているのを大学内でも見かける。 またその顔立ちも、一月に何億と稼ぐようなトップモデルに負けないほど整っている。 吸い込まれそうなほどに大きくて綺麗な黒い瞳に、瞳に負けじとはっきり存在を主張する長いまつ毛。 すらりと高い鼻立ちに、艶々と瑞々しい真っ赤なリップ。 中性的なその風貌は、女性アイドルどころか男性アイドルなどと比べても匹敵するような、性別すら超越した美しさと言えるだろう。 その甘いルックスから、彼女のSNSアカウントには国内外問わず数十万人のフォロワーが居るらしい。 確かに、彼女のその顔立ちと美的センスは、何か強引に人の目を奪うものがある。 彼女の持つ世界観というか、纏っている独特な雰囲気というか、誰にも出す事ができないオンリーワンな空気感は、強烈にパンチがありながらも下品では決してない。 彼女の持つ魅力を引き立てるその美しさは、思わず足を止めて見入ってしまいそうなほどだ。 全くファッションに疎い僕ですらそうなのだから、その方面に興味がある人間なら尚更なのだろう。 事実として、有名雑誌の編集者にスカウトを受けて読者モデルとして採用されていた事もあるそうだ。 ネットニュースでもその美貌が話題になっており、SNSでもしばらく彼女の話題で持ち切りだった事を覚えている。 そんな風に、彼女の美しさは、今や誰もが疑いようもないほどに認められている。 しかし、もしも。 もしも、そこに一つだけ。 ただ一つだけ文句をつけるとしたら── 「……おい、見ろよ、あれ」 ──友人が、突然ひそひそと声を落として僕に話しかけた。 そして、僕だけに見えるように、屈めた体で隠しながら、中庭のメイン通路の方向を指差す。 いつも豪快な、悪く言えばデリカシーに欠ける彼が、何かから隠れるように声をかけるとは珍しい。 そんな事を考えながら、指先を追うようにして首を動かすと、そこには。 「フーン、フーン、フフーン……」 ──くるり、くるり、とバレエのステップを踏むように。 軽快な鼻歌を歌いながら、一人の女性が現れる。 雪のように白く染められた髪に、一房編み込まれた黒いエクステ。 頭には黒革のキャスケットを被り、つばの部分にはサングラス、帽子の内側にはヘッドフォン。 オフショルダーかつへそ出しでモノトーンの半袖シャツに、半ばホットパンツじみた丈のショートスカート。 彼女が着こなしているのは、まるで大学という場所に相応しくない、派手で奇抜なパンクファッション。 それ故にか、その周りには誰も居ない。いや、まともな神経の人間であれば、あれに並び立つ事などできない。 それは揶揄するような蔑む意味ではなく、むしろその全く逆。 彼女という存在の持っている、奇異ながらもカリスマ性のある魅力のためだった。 彼女の登場によって、ただの休憩所、学生の溜まり場と化していた中庭が、映画のワンシーンのように変わり始める。 木々からの木漏れ日をスポットライト浴びて、まるで中庭全てが彼女の独壇場かのような。 そんな空気を纏いながら、くるくるとターンして、ゆっくりと遊歩道を闊歩する。 もしも彼女以外がそんな事をすれば、頭のおかしな奴が馬鹿馬鹿しい真似をしていると総スカンを食らうに違いない姿。 しかし、それは早瀬渚がするからこそ、スーパースターの路上ショーのように成立していた。 「……すげぇな」 ──凄い。 別に隠す必要もあまり無いが、何やら邪魔してはいけないような気がして、自然と声を抑えて話す。 例えるなら、ミュージカルの舞台を見ている時に、マナーを知らなくとも雰囲気で大声を出してはいけないとすぐに理解するような、そんな感覚。 「いや、マジで凄いわ……」 ──……ああ。 そして、もう一つ。 そこにプラスして含まれるのが──盗撮を働いているかのような、やましさ。 彼女の姿を眺めるだけのその行為が、何かひどくいやらしい淫行をしているかのような。 そんな感覚を、どうしても覚えてしまう。 彼女が躍り跳ねれば、同時に豊かすぎるほど豊満な媚肉が跳ね回る。 ぼかさずに具体的に言うのなら──乳が、尻が、太ももが。 それはそれは、全身の肉という肉が、どこに目を向ければ良いのか分からなくなるほどに踊り狂う。 早瀬渚は、スタイルがいい。 それは、彼女を知る人間ならば誰もが頷く言葉である。 実際に、彼女を知らない人間に彼女の事を紹介しようとする人間は、そう言うのだろう。 しかし、実際のところ、その表現は正しくない。 包み隠さずに、迂遠な表現を避けて言うのならば。 ──早瀬渚は、もう立ってるところを見てるだけで気が狂いそうになるほどちんぽが苛つくような、全身エロ肉まみれ交尾専用クソエロオナホ体型の、歩くだけで猥褻物陳列罪になるようなセクハラ誘発待ったなしの、男に媚びすぎたボディラインを見せつけてくる天性のドスケベ女である。 ……と、どうしたってそういう言葉になってしまう。 遊歩道を歩く彼女を、覗き見するように横目で眺める。 歩くだけでむちっ♡むちっ♡と音がしそうなほど、エロ漫画から飛び出したとすら思えるような、所謂『雌』の部分をひどく強調した体型が目に毒だ。 彼女を見て精通を引き起こした子供が果たして何人居るのだろうか。 あるいは、彼女の見るからにもちもちと抱き心地の良さそうな、雌の魅力をひたすら濃く凝縮した身体に性癖を狂わされて、並のグラビア程度では勃起すらも出来なくなった男はどれほど存在するのか。 最早言うまでもなく、巨大かつ柔らかな乳。 彼女の小顔と比較するのはもちろん、男の大きな頭と比べたってまだ乳の方が大きいとすら思えるほどの馬鹿みたいな質量は、まるで乳牛のよう。 たっぷりと、まったり蕩けるほどクリーミーな脂肪を蓄えて、ひたすら視覚で男に媚びを売る。 その雌として極まった柔らかさは、見た目からしてすぐに理解できる。させられてしまう。 とろとろとした感触はまるで何日も煮込んだ肉の脂身のようで、触れば力を込めずとも指の隙間にすら満ち渡るのが本能的に分かる。 何故ならば、その短すぎてカーテンのようになってしまっている服の下。 そこに位置する乳肉が、動けば動くほどに、弾んではたわむ。 歪むとか揺れるとかの次元ではなく、余りすぎた駄肉が──ひしゃげて段差を作るのだ。 見ただけで分かる、余裕でメートル越えの胸。 そんな乳肉がただ存在するだけで、男なんてどうしようもなく狂わされてしまうのに、彼女ときたらそれだけではない。 重たそうに、だっ……ぽ♡だっ……ぽん♡と、歩行などの動きから一呼吸置いてもったりとした動きを見せる、質量兵器のような乳肉。 そして、それを支える下半身は、もちろん。 それ相応に、太く逞しく、ケトルベルのような重量に持ち堪えるための肉が付くというのが定めなのだろう。 彼女の下半身は、明らかに太かった。 男性である僕と比べても、尻も脚もふた周りほど太くて分厚い。 だが、それは決してデブだとかそういう意味ではない。 生物として正しく、眩しいほど健康的に肉が付いた結果だと言えるだろう。 何故ならば、彼女のボトムスから見える太もも。 それは柔らかくむっちりと脂肪が付きつつも、艶々と輝くようなハリがあり、活発さを感じさせるしなやかさも兼ね備えていた。 若い女性特有の瑞々しい肌の艶めきや、脚に力を込めた時の筋肉の動きなども、彼女の持つ快活な脚力を示すものに他ならない。 だが、しかし。 筋肉もあり、動くことに支障はないが、そこには胸の大きさと比例するように、確かに柔らかな脂肪がたっぷりと付いている。 脚を閉じれば、太ももと太ももがむっちりとくっ付いて、むちむちと犇めくくらいには、たっぷりと。 そこにニーハイなどを履けば、もう凄まじい。 美脚効果だの何だのと知らないが、恐らくは元々キツめになるようになっているのだろう。 それを彼女が履けば、繊維がぐいっと引き伸ばされて、黒色の薄い生地に彼女の肌色が透けてしまう。 更にそこに乗りかかるようにして、締め付けられた駄肉が、ニーハイの上からぷにゅりと溢れる。 もっちりと柔らかく、しかし筋肉質な、雌っぽさと健脚を奇跡的なバランスで同居させた御御足。 すべすべと頬ずりしたくなるようなそれの魅力がソックスによって引き立てられ、男はどうしてもむしゃぶりつきたくなるような衝動にかられてしまう。 しかも、彼女が好んで履くのは超のつくミニスカートやホットパンツであるため、それを常に晒しているのだ。 ただでさえ、それだけで垂涎もののポルノ映像であるのに、歩けば脚が地面に付くたびに、むちっ♡左右にぐいぐいと肉が食い込む始末。 そんなものを見させられて、まだ誰も逮捕者が出ていないというのは奇跡である。 そんな風に、ただ立つだけで隙間なく閉じた媚肉が腰振り用オナホに変貌するという、並外れた媚雌の具合。 セックスを象徴するかのようなその肉を上になぞれば、そこには当然、尻がある。 ただでさえ肉の盛られた太ももの付け根よりもずっとずっとエロ雌肉に塗れた肉尻は、まるで淫魔が魅了するかのように種付け欲を煽って仕方がない。 男性の根源にある、子供を産みやすそうなデカ尻への孕ませ欲。 彼女の広い骨盤に乗ったとろとろふわふわの雄媚び肉を見ると、それだけで金玉がぐつぐつと精液を煮詰めて、より濃ゆい子種で確実に彼女を孕ませようとするかのような、それほどの昂りを感じてしまう。 そんな風に、本能のまま腰を叩きつければあまりの肉厚さにばすんっ♡ばすんっ♡とクッションを殴りつけるような音がしそうなほどのそれを、彼女は遠慮もなく振りたくる。 むっち♡むっち♡と張り詰めたスカートに尻の割れ目まで浮き上がらせ、まるで交尾をねだる雌猫のように、やたらと腰をくねらせて歩くのだ。 捏ねたての餅のような孕み頃の極上の雌特有のそれを、どれだけ過剰に乗せれば気が済むのかと言うほど乗せて、見せびらかす。 彼女の歩き姿をオカズに、一体何リットルの精液が無駄になったのだろうか。 そう思わずにはいられないほど、その姿は淫猥そのものだった。 その他にも、語ろうと思えば彼女のエロスなんていくらでも語る事ができる。 例えば、その短い服から覗くヘソだとか。 脚ほどでは無いが、平均的な女性よりかは太めでそこそこ筋肉のある二の腕だとか。 まるっきり服から放り出されたすべすべの肩だとか。 語り始めればキリがなく、そもそも言ってしまえば彼女は全身セクシャルのカタマリなのだから、彼女への欲望なんて尽きるはずがない。 その立ち姿だけで、もっと言えばごく一部のパーツへのズーム画像だけで、マスターベーションを行えと言われればそんなに簡単な事はないと言いきれる。 それほど、彼女の持つ女性的魅力は底なしなのだ。 例えば、もしも彼女のスタイルをそのまま絵に書き起こしたなら、それを公共の場所に公開する事すら出来ないだろう。 そんな交尾するための部位だけに肉を蓄えた、男の下卑た性欲をデフォルメして書き起こしたかのような、都合のいい性奴隷じみた肉体を公に出すとは何事だ。青少年への教育に悪い。まるで女が性処理の道具のように扱われて不愉快だ。 そんな文句が出てきたって何らおかしくはない。 冗談でなく、本気でそう思ってしまうほどのボディは、まさに圧巻としか言い表せない。 と、そんな風に男ばかりから羨望の目線で見られ、同性の人間からは疎まれそうな彼女であるが、実際はそんな事もなく、女性からの人気も非常に高い。 有り体に言えば、同性にもよくモテる。 良さげな男の心を軒並み奪われ、どうしたってその抱き心地が良いに決まっている肉体と比較されざるを得ない。 そんな早瀬渚という女が居るだけで恋人探しは困難を極めると言うのに、だ。 その理由は何なのか。 答えは簡単である。 彼女は、脚が長すぎた。 ウエストが細すぎた。 そして何よりも、顔が綺麗すぎた。 彼女の身長は、女性としては格段に高い。 何せ、男性の平均身長程度は背の高さがある僕よりも、頭一つ分は高いくらいである。 数値にすれば、190センチに届くか届かないかというほど。 そして、その身長の内訳は大半が長い脚を占めており、腰の高さなどは僕などと比べ物にもならないほどだ。 そして、全体の豊満な肉付きに反して、ウエストはそれを無視するかのように細い。 もちろん、スレンダーさを売りにしているモデルに匹敵するほどに細くはない。 ほんの少し、キツめに締めたベルトに肉が乗っかるくらい、ぷにぷにとした柔らかさも兼ね備えている。 しかし、その上下に存在する、途方もない大きさの乳肉と尻肉に比べたら、もっと肉を付けてもいいと感じるくらいには細いと思ってしまう。 もちろん単体で見れば普通くらいの細さなのだが、胸も尻もウエストと切り離して見る事が出来ないから、自然と比較してしまって細身に見えているのだ。 そんな要素は、男性だけでなく女性にとってもウケがいいと言える。 事実として、それらは彼女の人気を支えるための武器になっているのだろう。 しかし、そんなモノははっきり言ってオマケに過ぎない。 彼女の人気の秘訣とは、大半がその顔立ちにある。 ハッキリとした目元は、鋭利に研ぎ澄まされながら軽く吊り上がっており、それだけでスタイリッシュな印象を受ける。 それに付随する長いまつ毛は、猛禽の爪のようにはっきりと濃く、これまた彼女の端正なルックスを彩っている。 均整の取れたすらりと高い鼻梁、鮮やかなルージュの口元と合わせて、彼女の甘いマスクは端麗さを極めていた。 クールでありながらもどこかミステリアスな雰囲気を感じる、見事なまでの眉目秀麗さは、男はもちろんのこと、女性までもを虜にしてしまうのだ。 いや、むしろ彼女のようなシャープな顔立ちは女性こそ好むだろう。 女性の気持ちには些か疎い僕ですらもそう察するほどに、彼女の中性的な美麗さは明らかに異彩を放っていた。 時折、くるりくるりとキャスケットを指で回しながら、彼女はふらふらと歩く。 キャスケットの中にあるウルフカットとヘッドフォンを覗かせて、鼻歌交じりの散歩道。 我がもの顔で歩いきながら、徐々にこちらに近づいてくる。 低めのハスキーなハミングが、木の葉のざわめきと混じって耳心地がよい。 そうして少しばかり聞き入っていると、ふとその鼻歌に聞き覚えがある事に気が付いた。 曲名は思い出せないが、メジャーな曲の一節だったような気がする。 ああ、これは、そうだ、確か。 ──モーツァルト。 ぽつりと、そう呟く。 ぴたりと、早瀬さんの足が止まる。 中空を漂っていた彼女の視線はこちらにぴたりと固定されて、じっと僕の目を見つめてくる。 そして、にまりと面白そうに口端を吊り上げて、こちらに向かって一直線。 すたすたと、迷いなく歩み寄る。 座っている僕に向かって、真っ直ぐに。 しまった、と思って、僕は遅れて口を覆う。 何もまずいことは無いのだが、それでも、冷や汗をかくくらいに焦燥してしまう。 なんと言うか、例えるならば、それこそスターの路上ライブを僕の何気ない一言で中断させてしまったかのような。 そんな僕の脳内をよそに、彼女は僕の真正面に立ち、見下ろす。 僕の顔を覗き込むように、その端麗な美貌を惜しみなく近づけて。 そのあまりの美しさに、圧力すら感じて仰け反る僕に、彼女は離れた分だけ顔を寄せて、言う。 「……当たり」 何が、とは言えない。 けれど、多分、その鼻歌はモーツァルトの何かの楽曲だったのだろう。 しかし、そんな事よりも。 ──おっぱいでっかい。顔がいい。肌すべっすべ。めちゃくちゃイケメン。下から見ると胸で顔が見えづらい。何センチあるんだ。 そんな事ばかりが頭の中でぐるぐるして、全く何も考えられない。 何せ、あまりにも顔が良すぎる。近すぎる。 そして、ちょっと目線を下にすれば、呼吸で起こる震えすら見えるほどに近く、その爆乳が鎮座している。 「キミ、クラシックとか聞くの?」 心臓が、ばくばくと煩い。 目が回りそうになるほどに混乱して、その顔からただ視線を外さない事にばかり尽力して。 だから、まともな返事も出来ず、首を横に振るしか出来なかった。 あまりに情けない姿。 けれど、彼女は嘲るでもなく、慈母のように、あるいは小悪魔のように、悪戯っぽさと慈愛が同居した微笑みを見せる。 少なくとも、そこからは悪意や軽蔑などは感じられない。 それどころか、むしろ、そこにあるのは。 「ふぅん、そう……」 ──面白い。 自惚れでなければ、そういう感情で。 彼女はすっと目を細めてから、おもむろに。 より近く、耳の傍まで、そのぷるりとした唇を、寄せる。 いよいよ喉元に刃を突きつけられたような、処刑寸前の罪人にも似た極度の緊張で、頭の先から足の指まで鉄みたいに固まってしまう。 彼女の吐息すら聞こえるほど、彼女の顔が傍にある。 最早、目線なんて追えるはずがない。 ただ、目をぎゅっと瞑って、今から起こるであろう、何かに耐えようとする。 もしかして、もしかすると。 何度も何度も、有り得ないシミュレーションが胸中を駆ける。 彼女の真っ赤な唇が、僕の、僕を。 しかし、絶対にそれは有り得なくて、何故ならば、そんな理由なんてどこにも無くて。 でも、それなら、彼女は、何でこんなにも。 きっと、誰がどう見ても、僕は分かりやすく混乱していただろう。 そんな僕を見てか、耳元で、くすりと妖艶な笑い声が聞こえた。 そして、その後に続く、音。 それはもちろん、ちゅっというリップ音──などではなく、全く別のもの。 かき鳴らされるエレキギター音と、女性の高音シャウト。 彼女のハスキーボイスとは似ても似つかない声と、突然の荒々しい音に、僕はすっかり拍子抜けしてしまう。 肩からがくりと力が抜けて、訝しむような目で、音の発生源であるすぐ隣を見た。 そこにあったものは、くすくすと口元を軽く抑えて可笑しそうに笑う彼女の顔と、片側だけ耳から持ち上げられたヘッドフォン。 抑えるものが無くなったスピーカーから流れた曲が、僕の耳に聞こえていたらしい。 唖然とする僕を後にして、彼女はすたすたと歩いてゆく。 ヘッドフォンをつけ直し、上からキャスケットをもう一度被って、とんとんと軽く跳ねながら。 やがて彼女が見えなくなると、広場に喧騒が戻り始める。 声を潜めて噂をするように、ひそひそと、ざわざわと、動揺と混乱を隠しきれないような、疑問形ばかりの声色で。 そんな彼ら、または彼女らは、一つの方向に目を向けて何かを話している。 目線だけではなく、時折指すら差しながら。 その方向とは、もちろん僕の方。 彼女のワンマンショーであるはずの舞台に、あろう事か何故か男が上げられたとあっては、疑問が尽きないのも無理はないだろう。 だって、僕ですら何故彼女が話しかけてきたのかも分からないのだから。 そうして、ここに居る全員が全員僕の方を向いて噂話にふけるという、最高に居心地の悪い状況が出来上がる。 しかし、ここから離れる気にはなれない。 本当に、死ぬほど疲れたから。 何故かは分からないが、フルマラソンを走った後くらいに疲れた。 素性の知れない、何を考えているか分からない美女に迫られるというのは、かくもくたびれるものなのか。 精神が衰弱したように、へろへろとベンチに腰掛けた尻がずり下がった。 「おい……お前……!」 そうして精神力を使い切ってベンチにもたれる僕を、友人はゆさゆさと容赦なく揺さぶる。 「あの早瀬渚が、男に、自分から話しかけたぁ!?お前、何したんだ!」 鬼のような喧騒の友人に、いよいよ襟首を掴まれぶんぶんと振り回される。 知らない、そんなこと僕が聞きたい。 そう言い返す体力もなく、彼のされるがままにがくがくと頭を上下される。 「おい、聞いてんのか!一大事だぞ!早瀬渚が、男に興味を持ったんだぞ!これがどれだけ凄い事か……!」 ──やめろ、シャツがちぎれる……。 何とかそれだけ絞り出して、僕はぐったりと力を抜いた。 そして、彼女との会話を反芻する。 ああ、やっぱり、どうしても。 興味が無いようなフリをしても、こうして彼女に話しかけられると、やっぱり好きにならざるを得ない。 だって、卑怯だ。 あんな色気と、美しさと、可愛らしさをぶつけられたら、無理だろう、そんなの。 「おい、おいったら!」 相変わらず激昂する友人をよそに、ふと思い出す。 ──そう言えば、モーツァルトを鼻歌で歌ってたのに、ロックを聞いてたのか? それはまた、音程もリズムも全然違うのに器用だなぁ……と朧気に思い、僕はそろそろ彼の手を振りほどく事にした。

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新作の進捗.1

「なあ、早瀬渚って知ってるか?」 講義と講義の間に空いた90分の空き時間を潰している時分、友人が僕に問いかける。 その言葉に、僕はパックジュースのストローから口を離して、馬鹿にしているのか、と返事をした。 まあ、流石のお前でもそうだわな──と、友人がベンチの背もたれに体重を掛けた。 彼は、僕の事を過分に世間知らずだと思っている節がある。 確かに僕は、彼のように流行りのファッションがどうのとか、芸能人の誰と誰が結婚したとかのゴシップなどには聡くない。 インターネットに触れている者なら誰もが知っているはずの、動画サイトの再生回数を見ればカンマが2つも3つも付いている曲のサビすらも聞いた事がない。 それでも、この大学に通っている限り、あの早瀬渚の事を知らないなんて事があるはずが無い。 インターネット上でも有名人だからとかそういう次元の話ではなく、一度その姿を見たらそれを忘れる事など不可能だという意味で。 そう言うと、彼は僕よりも幾分太い、日焼けした腕で僕の肩を小突く。 「何だよ、干物みてーな顔しといて、意外とアイツの事狙ってんのか?」 まさかお前がロールキャベツ系男子だったとはねぇ、なんて一人呟いて、彼はスマートフォンをポケットから取り出す。 どうせまたSNSで女の自撮りでも見ているのだろう。飽きない男だ。 僕は干物でもなければロールキャベツでもない、そんなに食って美味い男なはずがないだろう。 自虐半分に言い返して、僕も同じようにスマートフォンを取り出した。 手持ち無沙汰ついでに、友人の揶揄の意味が何となく気になったからだ。 ロールキャベツとやらの意味はよく分からないが、どうせ褒め言葉ではないだろう。 それに、あの早瀬渚に関する話であれば、大方意味の想像はつく。 ……やはり、そうだ。 彼女に関する事で、かつ男がする話なんて、たった一つに限られる。 生殖適齢期の雌の、豊かに実った肉を美味しく食べる。 なるだけ魅力的な、あるいは人畜無害そうな皮を被り、相手を油断させて。 彼女を取り巻く男は皆そんなものであるから、むしろ料理に例えられるのは彼女の側なのではないだろうか。 しかし、そんな風に身体を狙われるばかりで、誰にも内面を見られないのは少しだけ哀れだなと思ってしまう。 衆目のある大学の構内ですらあからさまにボディタッチを狙う男に、セクハラそのものの会話しかしようとしない男。 彼女の周りにはそんな男しか見ないものだから、それもまともな男を寄せ付けなくしている原因なのかも知れない。 それに関しては、可哀想だなと思う。 しかし、同時に理解もできてしまう。 彼女を付け狙う男の心理、また彼女に性欲を狂わされる理由が。 ──早瀬渚。 僕と同じ大学に通っていて、学年も同じく三年生。 とはいえ、僕と彼女は何の関わりもない。 僕から彼女に話しかけようとしたことも、ましてや話しかけられたことも無い。 彼女の服装はいつも奇抜で、所謂パンク系──僕はファッションに関しては全く興味が無いのでよく知らないが、確か彼女の取り巻きの誰かがそんな事を言っていた──のものをよく着ているのを大学内でも見かける。 またその顔立ちも、一月に何億と稼ぐようなトップモデルに負けないほど整っている。 吸い込まれそうなほどに大きくて綺麗な黒い瞳に、瞳に負けじとはっきり存在を主張する長いまつ毛。 すらりと高い鼻立ちに、艶々と瑞々しい真っ赤なリップ。 中性的なその風貌は、女性アイドルどころか男性アイドルなどと比べても匹敵するような、性別すら超越した美しさと言えるだろう。 その甘いルックスから、彼女のSNSアカウントには数万人のフォロワーが居るらしい。 確かに、彼女のその顔立ちと美的センスは、何か強引に人の目を奪うものがある。 彼女の持つ世界観というか、纏っている独特な雰囲気というか、誰にも出す事ができないオンリーワンな空気感は、強烈にパンチがありながらも下品では決してない。 彼女の持つ魅力を引き立てるその美しさは、思わず足を止めて見入ってしまいそうなほどだ。 全くファッションに疎い僕ですらそうなのだから、その方面に興味がある人間なら尚更なのだろう。 事実として、有名雑誌の編集者にスカウトを受けて読者モデルとして採用されていた事もあるそうだ。 ネットニュースでもその美貌が話題になっており、SNSでもしばらく彼女の話題で持ち切りだった事を覚えている。 そんな風に、彼女の美しさは、今や誰もが疑いようもないほどに認められている。 しかし、もしも。 もしも、そこに一つだけ。 ただ一つだけ文句をつけるとしたら── 「……おい、見ろよ、あれ」 ──友人が、突然ひそひそと声を落として僕に話しかけた。 そして、僕だけに見えるように、屈めた体で隠しながら、中庭のメイン通路の方向を指差す。 いつも豪快な、悪く言えばデリカシーに欠ける彼が、何かから隠れるように声をかけるとは珍しい。 そんな事を考えながら、指先を追うようにして首を動かすと、そこには。 「フーン、フーン、フフーン……」 ──くるり、くるり、とバレエのステップを踏むように。 軽快な鼻歌を歌いながら、一人の女性が現れる。 雪のように白く染められた髪に、一房編み込まれた黒いエクステ。 頭には黒革のキャスケットを被り、つばの部分にはサングラス、帽子の内側にはヘッドフォン。 オフショルダーかつへそ出しでモノトーンの半袖シャツに、半ばホットパンツじみた丈のショートスカート。 彼女が着こなしているのは、まるで大学という場所に相応しくない、派手で奇抜なパンクファッション。 それ故にか、その周りには誰も居ない。いや、まともな神経の人間であれば、あれに並び立つ事などできない。 それは揶揄するような蔑む意味ではなく、むしろその全く逆。 彼女という存在の持っている、奇異ながらもカリスマ性のある魅力のためだった。 彼女の登場によって、ただの休憩所、学生の溜まり場と化していた中庭が、映画のワンシーンのように変わり始める。 木々からの木漏れ日をスポットライト浴びて、まるで中庭全てが彼女の独壇場かのような。 そんな空気を纏いながら、くるくるとターンして、ゆっくりと遊歩道を闊歩する。 もしも彼女以外がそんな事をすれば、頭のおかしな奴が馬鹿馬鹿しい真似をしていると総スカンを食らうに違いない姿。 しかし、それは早瀬渚がするからこそ、スーパースターの路上ショーのように成立していた。 「……すげぇな」 ──凄い。 別に隠す必要もあまり無いが、何やら邪魔してはいけないような気がして、自然と声を抑えて話す。 例えるなら、ミュージカルの舞台を見ている時に、マナーを知らなくとも雰囲気で大声を出してはいけないとすぐに理解するような、そんな感覚。 「いや、マジで凄いわ……」 ──……ああ。 そして、もう一つ。 そこにプラスして含まれるのが──盗撮を働いているかのような、やましさ。 彼女の姿を眺めるだけのその行為が、何かひどくいやらしい淫行をしているかのような。 そんな感覚を、どうしても覚えてしまう。 彼女が躍り跳ねれば、同時に豊かすぎるほど豊満な媚肉が跳ね回る。 ぼかさずに具体的に言うのなら──乳が、尻が、太ももが。 それはそれは、全身の肉という肉が、どこに目を向ければ良いのか分からなくなるほどに踊り狂う。 早瀬渚は、スタイルがいい。 それは、彼女を知る人間ならば誰もが頷く言葉である。 実際に、彼女を知らない人間に彼女の事を紹介しようとする人間は、そう言うのだろう。 しかし、実際のところ、その表現は正しくない。 包み隠さずに、迂遠な表現を避けて言うのならば。 ──早瀬渚は、もう立ってるところを見てるだけで気が狂いそうになるほどちんぽが苛つくような、全身エロ肉まみれ交尾専用クソエロオナホ体型の、歩くだけで猥褻物陳列罪になるようなセクハラ誘発待ったなしの、男に媚びすぎたボディラインを見せつけてくる天性のドスケベ女である。 ……と、どうしたってそういう言葉になってしまう。 遊歩道を歩く彼女を、覗き見するように横目で眺める。 歩くだけでむちっ♡むちっ♡と音がしそうなほど、エロ漫画から飛び出したとすら思えるような、所謂『雌』の部分をひどく強調した体型が目に毒だ。 彼女を見て精通を引き起こした子供が果たして何人居るのだろうか。 あるいは、彼女の見るからにもちもちと抱き心地の良さそうな、雌の魅力をひたすら濃く凝縮した身体に性癖を狂わされて、並のグラビア程度では勃起すらも出来なくなった男の子はどれほど存在するのか。 最早言うまでもなく、巨大かつ柔らかな乳。 彼女の小顔と比較するのはもちろん、男の大きな頭と比べたってまだ乳の方が大きいとすら思えるほどの馬鹿みたいな質量は、まるで乳牛のよう。 たっぷりと、まったり蕩けるほどクリーミーな脂肪を蓄えて、ひたすら視覚で男に媚びを売る。 その雌として極まった柔らかさは、見た目からしてすぐに理解できる。させられてしまう。 とろとろとした感触はまるで何日も煮込んだ肉の脂身のようで、触れば力を込めずとも指の隙間にすら満ち渡るのが本能的に分かる。 何故ならば、その短すぎてカーテンのように服の下。 そこに位置する乳肉が、動けば動くほどに、弾んではたわむ。 歪むとか揺れるとかの次元ではなく、余りすぎた駄肉が、【ひしゃげて段差を作る】のだ。(・をルビ振りする) 見ただけで分かる、余裕でメートル越えの胸。 そんな乳肉がただ存在するだけで、男なんてどうしようもなく狂わされてしまうのに、彼女ときたらそれだけではない。 重たそうに、だっ……ぽ♡だっ……ぽん♡と、歩行などの動きから一呼吸置いてもったりとした動きを見せる、質量兵器のような乳肉。 そして、それを支える下半身は、もちろん。 それ相応に、太く逞しく、ダンベルのような重量に持ち堪えるための肉が付くというのが定めなのだろう。 彼女の下半身は、明らかに太かった。 男性である僕と比べても、尻も脚もふた周りほど太くて分厚い。 だが、それは決してデブだとかそういう意味ではない。 生物として正しく、眩しいほど健康的に肉が付いた結果だと言えるだろう。 何故ならば、彼女のボトムスから見える太もも。 それは柔らかくむっちりと脂肪が付きつつも、艶々と輝くようなハリがあり、活発さを感じさせるしなやかさも兼ね備えていた。 若い女性特有の瑞々しい肌の艶めきや、脚に力を込めた時の筋肉の動きなども、彼女の持つ快活な脚力を示すものに他ならない。 だが、しかし。 筋肉もあり、動くことに支障はないが、そこには胸の大きさと比例するように、確かに柔らかな脂肪がたっぷりと付いている。 脚を閉じれば、太ももと太ももがむっちりとくっ付いて、むちむちと犇めくくらいには、たっぷりと。 そこにニーハイなどを履けば、もう凄まじい。 美脚効果だの何だのと知らないが、恐らくは元々キツめになるようになっているのだろう。 それを彼女が履けば、繊維がぐいっと引き伸ばされて、黒色の薄い生地に彼女の肌色が透けてしまう。 更にそこに乗りかかるようにして、締め付けられた駄肉が、ニーハイの上からぷにゅりと溢れる。 もっちりと柔らかく、しかし筋肉質な、雌っぽさと健脚を奇跡的なバランスで同居させた御御足。 すべすべと頬ずりしたくなるようなそれの魅力がソックスによって引き立てられ、男はどうしてもむしゃぶりつきたくなるような衝動にかられてしまう。 しかも、彼女が好んで履くのは超のつくミニスカートやホットパンツであるため、それを常に晒しているのだ。 ただでさえ、それだけで垂涎もののポルノ映像であるのに、歩けば脚が地面に付くたびに、むちっ♡左右にぐいぐいと肉が食い込む始末。 そんなものを見させられて、まだ誰も逮捕者が出ていないというのは奇跡である。 そんな風に、ただ立つだけで隙間なく閉じた媚肉が腰振り用オナホに変貌するという、並外れた媚雌の具合。 セックスを象徴するかのようなその肉を上になぞれば、そこには当然、尻がある。 ただでさえ肉の盛られた太ももの付け根よりもずっとずっとエロ雌肉に塗れた肉尻は、まるで淫魔が魅了するかのように種付け欲を煽って仕方がない。 男性の根源にある、子供を産みやすそうなデカ尻への孕ませ欲。 彼女の広い骨盤に乗ったとろとろふわふわの雄媚び肉を見ると、それだけで金玉がぐつぐつと精液を煮詰めて、より濃ゆい子種で確実に彼女を孕ませようとするかのような、それほどの昂りを感じてしまう。 そんな風に、本能のまま腰を叩きつければあまりの肉厚さにばすんっ♡ばすんっ♡とクッションを殴りつけるような音がしそうなほどのそれを、彼女は遠慮もなく振りたくる。 むっち♡むっち♡と張り詰めたスカートに尻の割れ目まで浮き上がらせ、まるで交尾をねだる雌猫のように、やたらと腰をくねらせて歩くのだ。 捏ねたての餅のような孕み頃の極上の雌特有のそれを、どれだけ過剰に乗せれば気が済むのかと言うほど乗せて、見せびらかす。 彼女の歩き姿をオカズに、一体何リットルの精液が無駄になったのだろうか。 そう思わずにはいられないほど、その姿は淫猥そのものだった。 その他にも、語ろうと思えば彼女のエロスなんていくらでも語る事ができる。 例えば、その短い服から覗くヘソだとか。 脚ほどでは無いが、平均的な女性よりかは太めでそこそこ筋肉のある二の腕だとか。 まるっきり服から放り出されたすべすべの肩だとか。 語り始めればキリがなく、そもそも言ってしまえば彼女は全身セクシャルのカタマリなのだから、彼女への欲望なんて尽きるはずがない。 その立ち姿だけで、もっと言えばごく一部のパーツへのズーム画像だけで、マスターベーションを行えと言われればそんなに簡単な事はないと言いきれる。 それほど、彼女の持つ女性的魅力は底なしなのだ。 例えば、もしも彼女のスタイルをそのまま絵に書き起こしたなら、それを公共の場所に公開する事すら出来ないだろう。 そんな交尾するための部位だけに肉を蓄えた、男の下卑た性欲をデフォルメして書き起こしたかのような、都合のいい性奴隷じみた肉体を公に出すとは何事だ。青少年への教育に悪い。まるで女が性処理の道具のように扱われて不愉快だ。 そんな文句が出てきたって何らおかしくはない。 冗談でなく、本気でそう思ってしまうほどのボディは、まさに圧巻としか言い表せない。 と、そんな風に男ばかりから羨望の目線で見られ、同性の人間からは疎まれそうな彼女であるが、実際はそんな事もなく、女性からの人気も非常に高い。 有り体に言えば、同性にもよくモテる。 良さげな男の心を軒並み奪われ、どうしたってその抱き心地が良いに決まっている肉体と比較されざるを得ず、早瀬渚という女が居るだけで恋人探しは困難を極めると言うのに、だ。 その理由は何なのか。 答えは簡単である。 彼女は、脚が長すぎた。 ウエストが細すぎた。 そして何よりも、顔が綺麗すぎた。 彼女の身長は、女性としては格段に高く、僕よりも幾分か高いほどである。 数値にすれば、180センチよりも上。 そして、その身長の内訳は大半が長い脚を占めており、腰の高さなどは僕などと比べ物にもならないほどだ。 そして、全体の豊満な肉付きに反して、ウエストはそれを無視するかのように細い。 もちろん、スレンダーなモデルに匹敵するほどに細くはない。 ほんの少し、キツめに締めたベルトに肉が乗っかるくらい、ぷにぷにとした柔らかさも兼ね備えている。 しかし、その上下に存在する、途方もない大きさの乳肉と尻肉に比べたら、もっと肉を付けてもいいと感じるくらいには細いと思ってしまう。 もちろん単体で見れば普通くらいの細さなのだが、胸も尻もウエストと切り離して見る事が出来ないから、自然と比較してしまって細身に見えているのだ。 以上の要素は、男性だけでなく女性にとってもウケがいいと言える。 事実として、彼女の人気を支える要素になっているのだろう。 しかし、そんなモノははっきり言ってオマケに過ぎない。 彼女の人気の秘訣とは、大半がその顔立ちにある。 ハッキリとした目元は、鋭利に研ぎ澄まされながら軽く吊り上がっており、それだけでスタイリッシュな印象を受ける。 それに付随する長いまつ毛は、猛禽の爪のようにはっきりと濃く、これまた彼女の端正なルックスを彩っている。 均整の取れたすらりと高い鼻梁、鮮やかなルージュの口元と合わせて、彼女の甘いマスクは端麗さを極めていた。 クールでありながらもどこかミステリアスな雰囲気を感じる、見事なまでの眉目秀麗さは、男はもちろんのこと、女性までもを虜にしてしまうのだ。 いや、むしろ彼女のようなシャープな顔立ちは女性こそ好むだろう。 女性の気持ちには些か疎い僕ですらもそう察するほどに、彼女の中性的な美麗さは明らかに異彩を放っていた。 時折、くるりくるりとキャスケットを指で回しながら、彼女はふらふらと歩く。 キャスケットの中にあるウルフカットとヘッドフォンを覗かせて、鼻歌交じりの散歩道。 我がもの顔で歩いきながら、徐々にこちらに近づいてくる。 低めのハスキーなハミングが、木の葉のざわめきと混じって耳心地がよい。 そうして少しばかり聞き入っていると、ふとその鼻歌に聞き覚えがある事に気が付いた。 曲名は思い出せないが、メジャーな曲の一節だったような気がする。 ああ、これは、そうだ、確か。 ──モーツァルト。 ぽつりと、そう呟く。 ぴたりと、早瀬さんの足が止まる。 中空を漂っていた彼女の視線はこちらにぴたりと固定されて、じっと僕の目を見つめてくる。 そして、にまりと面白そうに口端を吊り上げて、こちらに向かって一直線。 すたすたと、迷いなく歩み寄る。 座っている僕に向かって、真っ直ぐに。 しまった、と思って、僕は遅れて口を覆う。 何もまずいことは無いのだが、それでも、冷や汗をかくくらいに焦燥してしまう。 なんと言うか、例えるならば、それこそスターの路上ライブを僕の何気ない一言で中断させてしまったかのような。 そんな僕の脳内をよそに、彼女は僕の真正面に立ち、見下ろす。 僕の顔を覗き込むように、その端麗な美貌を惜しみなく近づけて。 そのあまりの美しさに、圧力すら感じて仰け反る僕に、彼女は離れた分だけ顔を寄せて、言う。 「……当たり」 何が、とは言えない。 けれど、多分、その鼻歌はモーツァルトの何かの楽曲だったのだろう。 しかし、そんな事よりも。 ──おっぱいでっかい。顔がいい。肌すべっすべ。めちゃくちゃイケメン。下から見ると胸で顔が見えづらい。何センチあるんだ。 そんな事ばかりが頭の中でぐるぐるして、全く何も考えられない。 何せ、あまりにも顔が良すぎる。近すぎる。 そして、ちょっと目線を下にすれば、呼吸で起こる震えすら見えるほどに近く、その爆乳が鎮座している。 「キミ、クラシックとか聞くの?」 心臓が、ばくばくと煩い。 目が回りそうになるほどに混乱して、その顔からただ視線を外さない事にばかり尽力して。 だから、まともな返事も出来ず、首を横に振るしか出来なかった。 あまりに情けない姿。 けれど、彼女は嘲るでもなく、慈母のように、あるいは小悪魔のように、悪戯っぽさと慈愛が同居した微笑みを見せる。 少なくとも、そこからは悪意や軽蔑などは感じられない。 それどころか、むしろ、そこにあるのは。 「ふぅん、そう……」 ──面白い。 自惚れでなければ、そういう感情で。 彼女はすっと目を細めてから、おもむろに。 より近く、耳の傍まで、そのぷるりとした唇を、寄せる。 いよいよ喉元に刃を突きつけられたような、処刑寸前の罪人にも似た極度の緊張で、頭の先から足の指まで鉄みたいに固まってしまう。 彼女の吐息すら聞こえるほど、彼女の顔が傍にある。 最早、目線なんて追えるはずがない。 ただ、目をぎゅっと瞑って、今から起こるであろう、何かに耐えようとする。 もしかして、もしかすると。 何度も何度も、有り得ないシミュレーションが胸中を駆ける。 彼女の真っ赤な唇が、僕の、僕を。 しかし、絶対にそれは有り得なくて、何故ならば、そんな理由なんてどこにも無くて。 でも、それなら、彼女は、何でこんなにも。 きっと、誰がどう見ても、僕は分かりやすく混乱していただろう。 そんな僕を見てか、耳元で、くすりと妖艶な笑い声が聞こえた。 そして、その後に続く、音。 それはもちろん、ちゅっというリップ音──などではなく、全く別のもの。 かき鳴らされるエレキギター音と、女性の高音シャウト。 彼女のハスキーボイスとは似ても似つかない声と、突然の荒々しい音に、僕はすっかり拍子抜けしてしまう。 肩からがくりと力が抜けて、訝しむような目で、音の発生源であるすぐ隣を見た。 そこにあったものは、くすくすと口元を軽く抑えて可笑しそうに笑う彼女の顔と、片側だけ耳から持ち上げられたヘッドフォン。 抑えるものが無くなったスピーカーから流れた曲が、僕の耳に聞こえていたらしい。 唖然とする僕を後にして、彼女はすたすたと歩いてゆく。 ヘッドフォンをつけ直し、上からキャスケットをもう一度被って、とんとんと軽く跳ねながら。 やがて彼女が見えなくなると、広場に喧騒が戻り始める。 声を潜めて噂をするように、ひそひそと、ざわざわと、動揺と混乱を隠しきれないような、疑問形ばかりの声色で。 そんな彼ら、または彼女らは、一つの方向に目を向けて何かを話している。 目線だけではなく、時折指すら差しながら。 その方向とは、もちろん僕の方。 彼女のワンマンショーであるはずの舞台に、あろう事か何故か男が上げられたとあっては、疑問が尽きないのも無理はないだろう。 だって、僕ですら何故彼女が話しかけてきたのかも分からないのだから。 そうして、ここに居る全員が全員僕の方を向いて噂話にふけるという、最高に居心地の悪い状況が出来上がる。 しかし、ここから離れる気にはなれない。 本当に、死ぬほど疲れたから。 何故かは分からないが、フルマラソンを走った後くらいに疲れた。 素性の知れない、何を考えているか分からない美女に迫られるというのは、かくもくたびれるものなのか。 精神が衰弱したように、へろへろとベンチに腰掛けた尻がずり下がった。 「おい……お前……!」 そうして精神力を使い切ってベンチにもたれる僕を、友人はゆさゆさと容赦なく揺さぶる。 「あの早瀬渚が、男に、自分から話しかけたぁ!?お前、何したんだ!」 鬼のような喧騒の友人に、いよいよ襟首を掴まれぶんぶんと振り回される。 知らない、そんなこと僕が聞きたい。 そう言い返す体力もなく、彼のされるがままにがくがくと頭を上下される。 「おい、聞いてんのか!一大事だぞ!早瀬渚が、男に興味を持ったんだぞ!これがどれだけ凄い事か……!」 ──やめろ、シャツがちぎれる……。 何とかそれだけ絞り出して、僕はぐったりと力を抜いた。 そして、彼女との会話を反芻する。 ああ、やっぱり、どうしても。 興味が無いようなフリをしても、こうして彼女に話しかけられると、やっぱり好きにならざるを得ない。 だって、卑怯だ。 あんな色気と、美しさと、可愛らしさをぶつけられたら、無理だろう、そんなの。 「おい、おいったら!」 相変わらず発狂する友人をよそに、ふと思い出す。 ──そう言えば、モーツァルトを鼻歌で歌ってたのに、ロックを聞いてたのか? それはまた、音程もリズムも全然違うのに器用だなぁ……と朧気に思い、僕はそろそろ彼の手を振りほどく事にした。

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近況報告とか次回作予告とか本を作りたい話とか

おはこんばんにちは。だいこんです。

この挨拶はもう廃れたのでしょうか、あるいはまだ実況動画などで生き長らえているのでしょうか。最近ニコニコ動画見てないから分かりませんね。




最近はpixivの方では音沙汰無くてすみません。近頃は有償リクなどで疲れておりましたので、ちょっと執筆のペースをゆっくりにしていました。締め切りアリの仕事って重なると結構キツいんです。リアルの生活もあるからね。

ですが、全くもってサボっていた訳ではなく、実はまたゲームのライターのお仕事をやらせて頂いておりました。今回は内容の公開はできませんが、またゲームが完成したら宣伝などしたいと思います。




で、次の作品なのですが、友人にとある事を手伝ってもらったので、その対価として受けたリクエストのお話になります。これは聞いてみたところ全体に公開してもいいという事だったので、今度は全体公開になります。pixivに投稿するのは久しぶりですね。前回は7/31だったもんなぁ。

こちらは恐らくセリフオンリーかな?地の文ありでも映えそうなお話なので、ちょっと迷いますね。久々に地の文のお話も書きたいからそうしようかな。また決めておきます。

この作品の進捗は300円プランの方へ、全部書けたら500円プランの方への先読みもやりたいと思います。ちなみに、ちゃんとFANBOXへの投稿については友人への許可を取ったのでご心配無く。というかその友人500円プラン入ってくれてるしね。

こちらの作品のざっくりしたテーマは「サブカル女子」になります。今回のヒロインは人間だよ。




そして、続いては本を出したいというお話についてです。元々来年の夏ぐらいにコミケに出られたらいいなぁ、なんて考えておりまして、本にする用の題材も考え中なんですよね。しかし、当然僕は本なんて作った事が無いし、挿絵の依頼料金の相場とか、どの印刷所に頼めばいいのかとか、何文字を目安に書けば良いのかとか、分からない事だらけなので現在少々悩んでおります。

そこで、予行演習という訳ではないのですが、それまでに一冊くらいDLsiteで電子書籍として売ってみたいなぁと考えていたりしています。それはDLsiteに自分の本が並ぶという事への憧れもありますし、そこでちょっとノウハウを稼げたらいいなぁなんて皮算用もあります。あと正直言うとお金も欲しいからね。コミケに出ようと思うと印刷代とか移動費とか申し込み料金とかかかっちゃうから……。


そんな訳なのでちょっとアンケートを取らせて頂きたいのですが、この電子で売る作品はどういう形式にしたらいいでしょうか。pixivに上げたものの加筆修正詰め合わせとかなら恐らく早めに書けると思いますが、やっぱり完全新規の方がいいのかな?

加筆ありの再録ならある程度リーズナブル(500円くらい?相場が分からない……)になりますし、支援して頂いている皆様へも全文公開できると思います。

ですが、これには一つ問題点がございまして、それは有償リクエスト作品を勝手に二次販売してもいいのかという事です。ブクマ数の傾向から見ると、最近の有償リクエストの物が需要があるのかなと思いますが、それを許可も無く本にするのはいかがなものかと思います。もし許可を取ろうとしても、pixivのリクエストは匿名の方から送られたものも多いですし(一番ブクマ数が多い始祖九尾さんの話も匿名の方のリクエストとなっております)そもそもリクエストして頂いた方と連絡を取るのは規約違反になってしまいます。

だからと言って完全新規でお話を書こうと思うと、その分こちらの更新がおろそかになってしまいますし、値段も高くなると思います。申し訳ないですが、挿絵あり十万字とかになったら流石に1000円ぐらいは取らせてほしい……。


という事なので、良ければコメントでどういう感じのものを書いてほしいか言ってくれると嬉しいです。僕個人としては加筆修正版でやってみようかなぁと思っていますが、その場合はどの作品の続きが欲しいかも言ってくれると嬉しいです。


そんな感じですかね。ほな、乙ンゴねぇ。

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ダンジョン罠図鑑

快楽回廊(危険度★★★☆☆) ダンジョンに稀に生成されるトラップルームの一種。 長い長い廊下がひたすらに続くだけの部屋であり、その内部には凶悪な搾精トラップや凶暴性の高い魔物は生息していない。しかし危険度は5段階中で3と高めである。 その理由はこのトラップルームの脱出成功率の低さにある。 一度この回廊に足を踏み入れてしまえば、例え入った瞬間に後ろを振り返ってもそこに出口はなく、まるで今までずっと回廊を歩いてきたかのように廊下が延々と繋がっている。この廊下はどこまで歩いても果てがなく、自分の意思で出られたという報告は未だ一件も存在しない。 この狭い廊下には、左右に壁に埋め込まれた女体ゴーレムが一体ずつ等間隔で存在する。右側には上半身が、左側には下半身が、それぞれ男の情欲を煽るように性的な肉を突き出して静止しているのが特徴。どのゴーレムも活動状態にはなく安置されており、自ら動き出したという報告は今までにない。 そのゴーレム達はいずれも極上の女体を持つ美女であり、男にとっては堪らない肉付きと美貌が精神を揺さぶる。これは魔物や罠全般に言える事だが、特にダンジョンに潜る男性は長旅から性欲が溜まっており、より誘惑に惑わされてしまう。また、ゴーレム達はゆっくりと発情ガスを絶え間なく放出しているようであり、一時間も歩けば頭の中が性欲でいっぱいになり、自慰行為を抑えられなくなるという報告がある。この未知のガスに対する対処法は今のところ存在しない。 そして左右のゴーレム女体に挿入または挿乳してしまえば、ゴーレムは活動を再開し、上半身ゴーレムならその腕で、下半身ゴーレムならその足で、被害者の身体をがっしりと掴み壁の中に引き摺り込んでしまう。壁の内部は狭い小部屋になっており、中には一つの上質なキングサイズベッドと大量(10~30人)のゴーレムが存在する。この時のゴーレムは、自分が抱きついたゴーレムのクローンまたは本人だけで構成されている。このゴーレムは右側の上半身と左側の下半身とをくっ付けたような容姿をしているそうである。 そして、被害者はここで何日間もかけてハーレム搾精を味わい、無数の絶頂を味わう。この時のゴーレムの性技はまさに蕩けるような心地であり、冒険も忘れていつまでも浸ってしまいたくなるそうである。そうして何日間も拘束された後は、大体の場合、眠っているうちにまた同じ廊下に寝かされる。この時、実際にゴーレムに外に出された時の記憶はどの被害者も存在しないという。部屋から出される時の記憶にはゴーレムにとって何らかの不都合があると思われる。 そして、また被害者は外を目指し歩き、またゴーレムに抱きついてしまう。そして、いつしか目的は性欲に変わり、気分に合わせた最高のハーレム搾精をしてくれるゴーレムを探すことになってしまい、永遠にその回廊に囚われる。 が、ごく稀に搾精が終わった後にダンジョンの外に出される場合がある。このごく僅かな被害者のデータによりこの快楽回廊の情報が成り立っている。彼らは回廊の事をギルドに報告し、場所を教えた後、また取り憑かれたように快楽回廊へ戻ってしまう。 恐らく、これはダンジョンへ来る被害者を増やす為だと思われる。友釣りの餌のように男性をリリースすれば、より多くの男性を捕らえる事が出来るという判断を行っているのはダンジョンそのものか、または内部のゴーレムによるものかはまだ判断はつかない。しかし、彼女らの目的は今のところ果たされており、被害者は最低想定で月間300人は下らないとされている。 囚われた人間は未だ帰らないし、帰ることはできない。しかし、稀に放たれた被害者の話を聞くに、そこでの生活はまさに極楽のようであるらしい。しかし、聡明な諸君らはこの図鑑を見て自ら囚われに行くのではなく、理性と勇気を持って謎を解き明かす探究心を持って頂きたい。 ここに、現存する快楽回廊の場所を示しておく。未だ極楽に囚われる被害者を取り戻すために、是非役立ててほしい。 ミミックハウス(危険度★★☆☆☆) 宝箱に化けたミミックが大量に住むトラップハウスの一種。厳密には、トラップハウスではなく特殊モンスターハウスであるが、ミミックの持つ生態からトラップハウスに分類されている。 こちらから宝箱を開けなければ無害であるため、危険度は2と低めである。が、冒険に慣れていない者は、その見た目から警戒心より先に強い高揚感を覚えてしまい、結果としてこのトラップにかかりやすい。この性質のため、ミミックハウスには初心者狩りの側面があるとされている。またトラップに捕らわれた後、その冒険者を救出するのは困難を極めるため、危険度2の罠の中では特に警戒が必要である。 ダンジョンの隠し通路の先にこのミミックハウスが存在している事が多い。その隠し通路は、大抵は我々冒険者が見つけやすいように探知が簡単なものになっている。あまりに見つけやすい隠し通路には気をつけろ、という言葉が冒険者の間で共有されているのはこのためである。また、その隠し部屋への扉にトラップが着いていない場合も警戒を強める必要がある。宝箱を大量に配置しているような部屋の防護が、そんなに緩いはずがないからだ。 ミミックハウスの見た目は、未開封の豪勢な宝箱が30~50個ほど置いてある隠し部屋であり、内装も非常に豪華絢爛で、まるで宝物庫のような装いになっている事が多い。この時点で、正常な判断ができる冒険者ならば、これほどに見つけやすい隠し部屋にこれほどの量の未開封の宝箱があるはずがないと警戒を強める事だろう。 しかし、ダンジョンに潜る冒険者の目的は、ほとんどの場合は宝箱を見つけて一攫千金を狙う事である。そのため、無数の宝箱を見た時点で一も二もなく飛びついてしまうビギナーの冒険者は非常に多い。また、高位のミミックの場合は人間の警戒心を解く魔力を発していたり、強い魅了の魔力を垂れ流して、例え罠だと分かっていても開けざるを得ないような精神状態にしてくる事もある事が知られている。しかし、これは対魔力の装備をしっかり整えていればある程度は抵抗できる。だが、駆け出しの冒険者は装備を整えるほどのお金がなく、この魔力に抗えず罠にかかる事例が後を絶たない。これも、ミミックハウスの初心者狩りの性質に加担しており、ギルド内でも大きな問題とされている。 宝箱の誘惑に負けた冒険者がそれを開けると、部屋の中に居るミミック達は一斉に目を覚まし、部屋中の宝箱が勝手に開いてゆく。その時点でミミックハウスに繋がる扉や通路は完全に閉じ、獲物となった冒険者は密室に閉じ込められる事となる。また、ミミックハウスはダンジョンの奥まった場所にある場合が多く、エコー探知や魔力探知で場所を特定する事は困難を極める。実際に、今まで冒険者が捕らわれたミミックハウスを特定できた事例は、まだ四例しか存在しない。 ミミックとなる宝箱は大小様々であるが、ミミックの捕食行為の関係から、最低でも人が一人入れるぐらいの大きさがある。そのため、宝箱の大きさから宝物庫とミミックハウスの判別を行うのは有効な手法とされている。 宝箱を開くと、その中にミミックは生息している。その種類は多岐に渡り、大抵は女体の一部分が大量に詰まっている事が多い。例を挙げると、大量の手がペニスを包んだり乳首を責めたりするハンドミミックや、巨大な胸の群れに全身をパイズリして責められるティッツミミックがある。 いずれもサキュバスに負けずとも劣らないほどの性技と感触を持っており、冒険者はその柔らかな女体の感触に骨抜きにされてしまう事だろう。更に、射精すればするほどミミックの中の女体パーツは増えたり成長したりする事が知られている。例えばティッツミミックの場合は、ただでさえ巨大な乳肉が更に大きくなって、狭い箱の中を更にふくよかな乳肉で詰まらせてしまう。そうすれば、まるで淫魔の柔肉のような乳肉のむっちゅりとした中毒性の高い感触で強く圧迫される事になり、おまけに甘ったるいミルクフェロモンも味わわされて、更なる射精を余儀なくされるだろう。そうすれば、更に箱の中は乳圧に犯される乳肉地獄となり、しかし不思議と苦しさはなく、淫肉の淫らな触感だけを強く押し付けられる女体の天国となる。そして、ある程度の時間(数ヶ月~数年?要調査)犯され続けると、ミミックからミミックに移されて、別の女体パーツに犯される事になる。 そして、最後に移される一際大きい箱は最上位のミミックであり、レギオンミミックと呼ばれている。これは今までのミミックの集合体のようなものであり、中身は無数の女体の様々なパーツが複雑に絡み合ったものになっている。その肉を布団代わりにして横たえられると、肉壁の隙間からむっちむちに肉が乗った極上女体が何人も現れる。これは、今までのパーツ毎に分かれた女体ではなく、人間と同じように頭から足までついたものである。なお、その顔立ちは非常に美しく、一度見ればどんな男性をも虜にするものだと言われている。 そんな女体が無数に箱の中に現れ、その大きさから隙間が多かった箱は、女の肉でみっちりと詰まる事になる。その肉体はぬるぬるとローションをまぶされたようで、ぬめりと柔らかさを両立しており、ペニスを悦ばせる事に特化している。また、レギオンミミックはその意思によって、女体のパーツを箱の肉壁または本体となる女の体から自由に生やす事ができる。更に、彼女は今までのミミックと意識や成長度合いを共有しており、獲物の男性がどのパーツでどれだけ射精したかを記憶している事が研究により知られている。つまり、その男性が射精の量から手コキが特に好きと判断されれば、無数の手を肉壁や本体から生やして犯してくるのだ。これは傍から見れば少々グロテスクにも思えるかも知れないが、今まで多数の女体パーツに犯されて部位へのフェチズムを拗らせた男性にとっては堪らなく性的興奮を煽るものとなる。 そんなレギオンミミックは、どうやら獲物となった男性に対して強い愛情を抱いているようであり、内部の男性へ拙いながらも愛の言葉を囁く場面が見受けられる。今まで確認されたのは、「すき」「あいしてる」「きもちい?」「ずっといっしょ」「だんなさま」などの短い単語なため、知能はあまり高くないか、人間の言葉をあまり知らないと推測される。 また、箱の内部では無数の女体のハーレム状態となっているが、その女体は端末のようなものであり、意識や思考は共有している。しかし、レギオンミミックは、男性を奪い合うようにして貪るような深いキスをするように、お互いに対して嫉妬するような行動を見せる時がある。 このように、レギオンミミックは時折不合理な行動を取る場合があるが、これに対する明確なら答えは未だ出ていない。レギオンミミックが意識共有体である事は、彼女がデザインも数も自由に女体を作成できる事や、ミミック間での成長や記憶の関係から間違いないと思われるため、レギオンミミックのこの行動については、今も研究が続けられている。 レギオンミミック内部は、触れればすべすべと、揉めばむちむちと極上の感触を返す肉が無数に詰まっているが、これに囚われた人間はあまりの快楽から二度と箱から出ようとはしなくなってしまう。自分が一番気持ちいいと思う媚肉を無数に押し付けられ、むちむちと犇めく極濃女体にいつまでも浸り、下半身は淫肉に犯されながら口ではべろべろと濃密に愛し合うディープキスをする快楽は、男性にとってこれ以上ない極楽であり、それを一度味わえば抜け出そうなどと考えることは不可能だからだ。そうして男性とミミックは箱の中に永久に引きこもり、無限の時を肉の閨で愛し合いながら、極限の快楽と共に過ごす事になる。 そうして、男性が完全にレギオンミミックの虜になると、ミミックハウスはダンジョンから忽然と姿を消してしまい、脱出や救出は完全に不可能になってしまう。これは、男性から得た魔力から部屋ごと次元の狭間へと移動したからだと考えられている。この事から、レギオンミミックはたった一人獲物がかかればそれで十分に魔力を賄う事ができると推測される。 そうして出入口が消えたことで人間は完全に逃げ場を失うが、そもそもミミックハウスに一度囚われた人間がそこから出ようという意思を持つはずがないため、どちらにせよ脱出は不可能なものと考えられる。 ちなみに、ミミックの箱の内部は時が流れないようになっているため、内部の人間は強制的に不老不死になり、死という解放の瞬間すら奪われる。また、箱の内部と外部では時間の歪みが発生するため、蓋を開けるのに必要な力が計算上無限大となり、無理やり開けるのは実質不可能である事が知られている。つまり、一度囚われれば永久にミミックに搾精されるのは確実であり、死ぬことも出来ずに快楽の坩堝に封じ込められる末路を辿るしかなくなってしまう。 このため、今まで救出された人間も、実際は箱を持ち帰る事ができただけであり、内部から響く水音と嬌声は続いているため、厳密には救出されたとは言い難い。 このように恐ろしいトラップがあるため、ダンジョンの隠し部屋には十分注意したい。さもないと、永久に歪んだ時空の部屋でミミック達に搾精をされ続ける事になる。それは定命の人間にとってはあまりにもおぞましい結末である。 これからダンジョンへ赴く諸君らは、この悲惨な末路を心に留めて頂きたい。 無限闇(危険度★★★★☆) 極めて危険度が高いトラップである。その凶悪さから生還できる人間がほぼ居ないため、情報もほとんど存在しない。奇跡的にこのトラップから生還した冒険者は未だ一名しかおらず、今回伝えられるのはそのたった一つの例である。 本来ならばこの図鑑は様々な人から話を聞き、それらの情報を纏めてトラップの兆候を探り、冒険者へ注意を促すものだ。しかし、あまりに強力なトラップは情報がなく、対処が非常に難しくなる。冒険者諸君は、ほんの少しでもダンジョン内で違和感を覚えたら、即座に逃げる事を覚えて頂きたい。 さて、このトラップの発動方法であるが、それすら未だ判明していない。現在の論説では、単純な押下式のボタンや、感圧式の床であるという説が有力とされている。しかし、それならばボタンは消費されるものではないためダンジョンに残り続けるはずであるが、その痕跡が発見されたという事例は報告されたことが無い。もしかすると、我々には全く未知の方法で、このトラップは人間を感知しているのかも知れない。 しかし、それが何か分からなかったとしても、何らかのセンサーは存在するはずである。何故ならば、このトラップは四六時中垂れ流していれば、見た目ですぐに判別できるからだ。 このトラップの効果は至極単純で、超高濃度の闇を噴出するというそれだけのものである。しかし、そのシンプルさ故に強力であり、抜け出せない。時に凝ったトラップより何より恐ろしいのが、このように純粋に強力すぎる魔力を浴びせてくるトラップなのである。 もしこれを作動させてしまうと、闇は一瞬にして被害者の視界を包む。白く薄い紙を真っ黒いインクの中に漬け込むように、それは防ぎようがない。一秒も経たずに全身を覆い尽くすそれは、夜の闇よりもずっと暗くて深く、質量すら持って押し潰されるような感覚を抱くという。それは名前の通り無限に果てがなく続き、どこまで逃げてもまとわりついて逃れられないものだと直感的に悟ったと、帰還した冒険者は語る。 その闇の中に居ると、まず急激に平衡感覚を失い、自分がどちらを向いているか分からなくなってしまう。そして、次第に上下の感覚すらも失い、自分が寝転んでいるのか立っているかも分からなくなる。地面がどこにあるのか、もしかしたら自分はどこかに落ちているのか……と、それすらも理解できなくなり、次第に正気を失うような感覚を覚えたと、帰還した冒険者は言う。 この冒険者は、この時点でようやく何かがおかしいと気が付き、たまたま帯に提げていた極光のスクロールを広げ、闇に小さな光の穴を開けてそこから脱出することができた。その時に使ったスクロールはランクで言えばSS級の代物である。これは言うまでもなく並の冒険者が容易に持ち歩く事は不可能な、魔法の技術を極めたほんのひと握りの人間が、何日もかけてようやく一枚作成する事ができる超高価な物である。そんな戦略級のスクロールですら、闇の空間に人が何とか通れる程度の穴を開ける程度である事から、その場での詠唱で打ち破るのは到底不可能であると考えられる。 また、もしスクロールを持っていたとしても、それを使う事ができないかも知れないと帰還した冒険者は言う。先述のように、闇は夜のそれよりも濃く、また圧するような重さすら感じ、潜在的な恐怖を煽るように思われる。が、実際に彼が感じた感覚は真逆であり、闇の中ではまるで心地よく重い毛布に包まるような温かみと安心感を抱いていたと言う。暗くて深い闇の底への恐怖は全くなく、むしろその外に出る事がひどく億劫で、例えるならば冬の寒い夜に暖炉の火を消して屋外に出る事を嫌うような、その感覚を何倍にも重くしたような感覚がある。当然、そこから外に出ようなどとは考えもつかず、脱出するためにスクロールを使うのにもかなりの精神力を要してしまう。精神が未熟な者ならば、きっと闇の中に自分から留まってしまうだろうとは彼の談である。 しかし、それでも彼が帰って来られたのは、無数の視線を感じたからであった。実際に姿を見た訳では無いが、闇の中には無限に魔物が存在しており、今にも自分に襲いかかろうと目を向けている。歴戦の経験からそう感じ取った彼は、そこでようやくスクロールを開く事ができた。 なお、このように闇に姿を溶かして集団で襲いかかる魔物の存在は以前から何例か報告があり、その事例と今回のトラップでの事例が酷似している事から、このトラップは彼女らを召喚するための足掛かり、もしくは彼女らの住む世界とこちら側の世界を繋げるためのものであると推測される。 闇から現れる魔物についても、対策のためここに記しておく。 ダークスプークと呼ばれるその魔物は、普段は現世と幽世の狭間に住んでいる。次元の狭間に居を構える魔物特有のものとして、こちらの世界の法則や常識に縛られないというものがあるが、それは彼女らも例外ではない。その企画外の力から、彼女らに目を付けられた人間は確実に現世から連れ去られてしまう。いわゆる即死級の魔物である。 ダークスプーク達の行動範囲または出現範囲は、闇のある場所全てである。例えば日光を全て遮った真っ暗な部屋などは言うまでもなく存在する。その他にも、壺や樽の中、洞窟の奥深く、岩の下などなど、光が入らない場所ならばどこにでも居るとされている。上記に加えて、夜の間は蝋燭やランプを灯さないとどんな場所にも現れるため、彼女らの行動範囲は実質無限と言える。 また、彼女らは必ず群体で行動しており、一人で現れる事は決してない。と言うよりは、彼女らはレギオンのように複数の集合体がデフォルトであるため、群体の状態こそが自然なのである。 ダークスプーク達は、普通はこちら側の世界と交わる事なく存在しているが、何かのきっかけで彼女らを認識する、あるいは彼女らから認識されてしまうと、それからは一時の休みもなく付きまとわれてしまう。光が少しでもある場所ならば、彼女らは全く手出しして来ないが、もし一瞬でも闇の中に身を置いてしまうと、彼女らの住む世界に連れ去られてしまう。彼女らの追跡を振り切ったという事例は今まで一例も存在しないため、今のところの対処法は、光を絶やさない事だけである。しかし、ダークスプーク達は常に光を消そうと働きかけるため、どれだけ細心の注意を払っても、死ぬまで追跡を逃れるのは至難の業であると言えよう。無限闇のトラップから逃れた冒険者も、それから光源に幾重もの防護を重ねてダークスプークの追跡から身を隠していたが、帰還から一週間経った頃に忽然と姿を消してしまった。彼を最後に見た寝室に向かうと、光源は全て消えていたと言う。 もしダークスプークに認識された後、光のない場所に身を置いてしまうと、彼女らは闇の世界からこちら側の世界に溢れるようになだれ込む。身を包む闇が急激に濃くなり、その黒よりも更に濃い闇の色に彼女らの紫色の瞳が無数に浮かぶのがその兆候と言い伝えられている。そして、次第にその瞳達は近づき、また本来壁があった場所より更に遠くからも瞳が無限に浮かぶ。既にこの時点で、被害者は彼女らの住む世界に入ってしまっているため、例え極光の魔術を使っても、光が闇に呑まれてしまう。この状況から逃げる方法はない。 そして、瞳が眼前に現れると、ようやくダークスプーク達の姿が見えるようになる。彼女らは黒い肌にむっちりと駄肉が乗った、美しくもそれ以上にひどくいやらしい、淫らで艶やかな姿が特徴の夜魔にも勝る美貌と裸体を携えている。そんなダークスプークの姿を認識した時点で、被害者は既に彼女らの生肌の中に埋もれてしまっている事だろう。彼女らは闇そのものであり、つまり向こう側の世界に無限に存在する闇は、ダークスプークの裸体そのものなのである。彼女らの柔らかくも艶かしい潤いとむちむちとした淫らな吸い付きに溢れた女体が、闇がある限り被害者の男性の体に隙間なくまとわりつく。気が付けば顔は乳房に埋もれ、背中からは柔肌を押し付けるように抱きつかれ、腹はむちむちと肉のついた女の腹肉とくっつかれ、足は無数の太ももに絡められて、男性は触れるだけで興奮を煽って仕方がない極上の女体に完全に身体を呑まれてしまうのだ。そうなれば、どんな男性であろうと、女体の隙間で悶えながら精を延々と吐き出すだけの存在になってしまう事は想像に難くない。 そのようにダークスプークは男性の精を密着しながら搾る事を大層好むが、これは彼女らが淫魔に代表される夜魔族に近い生態を持っている事から、男性の精の味を好んでいたり、あるいは射精する男性の蕩けた表情や声を好んでいたり、また男性そのものに対して強い好意を持っているからだと推測される。しかし、彼女らが精を糧にして生きているのかどうかは定かではない。そもそもダークスプークという魔物が生命体であるかどうかも定かではなく、むしろ闇が形をもった概念的なものであるという説が有力である。そのため、ダークスプークは人間の精を嗜好品のように扱っているか、あるいは人間を快楽責めする事そのものが好きなだけであり、生命維持と男性を射精させる事に全く関係がないという可能性が高い。 また、ダークスプークが概念的な魔物であるという事に関して言うと、彼女らに寿命や朽ちるという概念が無いという事にも触れておかなければならない。例えば、ゴーレムなどは必ず物質でできているため、何年かかるかは分からないが、星が生まれてから活動を終えるまでくらいの膨大な時が経てば朽ち果てて動かなくなるという可能性が存在する(実際はゴーレムもその問題点を把握しているため、時を止める魔術を掛けられている場合がほとんどであり、この場合は理論上朽ちることはない)。しかし、闇という概念は宇宙が始まるその前から存在しており、また消える事が永久にないため、ダークスプークという魔物はどんな事があっても世界から消えることは無い。そのため、彼女らを倒す事は絶対に不可能なのである。 そんなダークスプーク達が住む世界は、ただ闇だけが無限に広がる世界であり、つまり無限の女体が隙間なくむっちりと犇めく世界である。これは旧神話に語られる冥界に近く、彼女らが住む世界は、太古に語られた死後の世界であるという説も存在する。旧神話によると、その世界にはただ闇だけが広がり、人間はそこでいずれ闇と永久に一体化して無に還るとされているが、これが何を示しているかは定かではない。少なくとも言えるのは、ここに囚われた人間は永久にダークスプーク達に犯される事になるだろうというだけだ。 無限闇のトラップを作動させてダークスプークに囚われた人間は、今もどこかにある次元で彼女の女体に全身を快楽と共に浸らせているだろう。次元を超えた先の世界というものは、我々人間には知覚する事ができない。更に、この世界ではない世界というものは無数に存在しており、囚われた人間をその中から探すのは全く不可能である。以上の事から、彼女らに囚われてしまえば、残念だが脱出や救出は絶望的であると言える。 もしも彼女らに捕まってしまえば、貴方は永久にダークスプークの、触れればむにゅりと沈んで跳ね返す弾力と柔らかさを両立させる極上の媚肉に沈むしかないのだ。その世界で貴方が出来ることは、ただダークスプークの肉に全身を包まれ、媚びるようにふくよかな、脂肪のついた淫らな感触の柔肉をむちむちと押し付けられる事。射精をとことん煽る乳房に顔を挟まれて、彼女の雌臭く蒸れた乳フェロモンだけを永久に吸わされて吐精する事。彼女の美貌と雌肉だけを視界に収め、終わる事の無いベロキスで彼女の甘い唾液を何度も何度も嚥下する事。逃れようと必死に身を捩ってはダークスプークの肉により深く入り込み、全身をまるで隙間なく押しつぶす淫肉にますます吐精を激しくする事。彼女らの落ち着いていながらも糖蜜のように甘くて媚びた声と耳舐めの音を聞かされる事。それから、いつの間にか代わる代わる自分を犯すダークスプーク達の膣肉、乳肉、口腔、もも肉、それらの違いを理解させるようにこってりと搾ってくる彼女らの雌肉のピストンに恍惚と喘いでは射精する事だけである。無限闇のトラップを作動させ、ダークスプークに捕まってしまった貴方にそれ以外の行動は決して許されない。身じろぎをしては射精するだけの、永い永い残りの人生が待っている。そうならない為にも、ダンジョンは一歩一歩油断せずに歩くべきである。 このように、ダンジョンには多種多様の危険な罠が存在している。魔物は人間の死を異常なまでに嫌うため、それらが貴方の命を奪う事はないが、その後には死ぬよりも恐ろしい快楽漬けの無限地獄が待っている。 ダンジョンには様々な宝が眠っており、人生を変えるほどのチャンスがある事は間違いない。しかし、そこには同時に人生を終わらせてしまう強い危険性も秘められているのだ。もしも貴方が魔物の罠にかかり、永遠の時を快楽漬けにされたまま過ごす事を嫌うなら、罠には十分に気をつける事をおすすめする。 本日紹介したのはこの三つの罠だけであるが、もちろんダンジョンにはこの他にも数え切れないほど様々な罠が存在する。それらは未だに人智の及ばない秘匿のされ方をしていたり、おぞましい快楽拷問をするものであったり様々だ。いずれにせよ、一度かかれば貴方の人生を終わらせるに十分な危険性を秘めている事は確かだ。それを防ぐためにも、ダンジョンに潜る際には、罠に対する知識と対策するための道具を十全に備えておこう。

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魔歴書房 奉仕族の歴史~奉仕族が奉仕族に至るまでの道程とは~

今や魔界にも人間界にも馴染み深く、街を歩けば見ない日は無いほどにありふれた種族となった奉仕族。 彼女たちは、常に正装たるメイド服に身を包み、的確な判断と読心力、性に関する事も関しない事も引っ括めたご主人様への奉仕によって男性を虜にする事で知られている。 その奉仕力は凄まじく、手練の奉仕族はご主人様が何かを言う前に、あるいは考えすらする前に心を読み尽くし、望む事を先回りして行ってしまうとすら言われている。 そして事実、奉仕族の奉仕を受けた人間は、全く脳や体を動かさず、雛鳥のように待っていれば極上の奉仕を受けられる事へのあまりの安楽と快楽に、どんなに精神が頑強な人間であろうとも例外なく幼児退行を起こしてしまう。 人間が一度味わえば麻薬のように離れられなくなる事は請け合いであり、いつの間にか主人である男性が赤ん坊のようになっている姿は、他の魔族から見ても舌を巻くほどだ。 更に、彼女らの容姿や体型は、これまた人を堕落させる事に特化している事で知られている。 いつ如何なる時でも──例えば主人である人間が胸に飛びついて甘えてきた時ですらも──表情を崩さず、クールな無表情に固定された顔は、その無表情が映えるように怜悧で鋭く、冷たくも美しい人形じみた美貌となっている。 そして、その冷たげな無表情に反して、ふくよかで女性らしい起伏に富んだ、雌の淫熱に溢れた体付きもまた特徴と言えるだろう。 特に胸や尻は魔族の中でも格段に肥沃に肉付きがよく、弾力がありながらも柔らかさに比重を置いた、とろとろと液体じみて蕩けるような肉質を持っている。 これらは、奉仕族のニーズに合わせた戦略的な進化の痕跡と見る事ができるだろう。 まず、奉仕族が長身かつ格別に豊満な肉体を持っている事に関して言うと、これは主人を蕩かして甘やかす為と、着痩せして見えるメイド服を着ても尚淫猥なボディラインを出すためであると言える。 奉仕族がメイド服を好むのは周知の事実であるが、彼女らはこれを自らのアイデンティティであると位置づけており、滅多な事では脱ごうとしない。 奉仕族は結婚式にまでメイド服を着てくるというのは有名な話である。 また、奉仕族は人間を甘やかしたがる事だが、特に人間をそのふくよかな雌肉と長身で包みたがる嗜好性が存在する。 彼女らの好む愛撫として代表的なのが、人間の全身を包み込みながら胸で頭を挟み込み、乳肉をアイマスク兼枕にして寝かしつける体勢の添い寝である。 これは奉仕族について記された数千年前の文献にも載っている伝統的な体位なのだ。 しかし、諸々のデータを照らし合わせると、この文献が書かれた頃の奉仕族はまだ体躯や胸が今ほど大きくなく、現在で言う下位淫魔程度のものであったという研究結果が現在では一般的である。 更に、おおよその文献を見ても、2500年程前には多くの奉仕族が自らに対してもっと大きな体躯を求めていた事が知られている。 その時代の奉仕族の手稿にも「ご主人様をもっとすっぽり覆ってしまいたい」と書かれている事から、奉仕族特有の嗜好そのものは昔から変わっていないと思われるが、それを行うだけの体躯は備わっていなかったのだ。 とは言え、現在の奉仕族が特別に大きいだけで、当時の奉仕族も身長は平均して二メートル程度はあり、一般的な男性よりは当然大きかった事は間違いない。 しかし、世代を重ねる毎にその欠点はみるみる克服され、年代が進むにつれ奉仕族の長身化は進む傾向にあった事が、奉仕族の身体測定を行った時の文献や、長命な魔界貴族からの証言からも得られている。 そして、1000年前には既に現在と同じ水準の肉体を持っていた事が確実であると判明している。 男性を肉体的に甘やかすには長身である方が都合がいい事は読者の諸君らも知っての通りである。 他の大きな体を持つ魔族も、その肉体の最も効果的な使い方として、覆い被さるようにして柔肉で甘やかす事を好む者は多い。 魔族は生まれ持った肉体から判断して、最も効率のよい搾精の方法を選ぶからだ。 しかし、奉仕族は元々が比較的小さな体付きであったにも関わらず、全身で包んで甘やかす事を好んでいた。 自らの体にそぐわない搾精方法を好み、そしてそれを行うために世代を重ね、意図的に進化したのだ。 これは極めて珍しい例であり、奉仕族の他には少数しか見られない。 また、奉仕族は当初は表情も豊かであった事や、奉仕も今ほど得意でなかった事が研究により明らかになっている。 古代の吸血鬼の日記には「あのメイド達は愛想は良いが家事は私よりも下手だ」という記述が多く見られ、これも年を経る毎に改善されていったようだ。 世代を重ねる毎に技術やメイドとしての心得を継承したことにより、奉仕族は現在のような奉仕のスペシャリストになっていったと考えられている。 特に現存する家事魔法の大半は奉仕族によって開発されたものである事が知られており、奉仕への研鑽を絶やさなかった事がここからも見て取れる。 それに合わせて表情も冷徹なものに変わっていったが、それが奉仕にどう関係するのかという疑問は現在でも議論されている。 当時の魔界貴族の記録にも、城働きのメイドの明るい態度に苦言を呈しているような記述は見られない。 ならば何故そのような進化がなされたのかと言えば、これは奉仕族の種族としての成り立ちが関係していると思われる。 そもそも奉仕族というものは、天使族や龍族のように最初からその魔族として存在していた訳ではない。 元々は淫魔族のメイドとして働いていた個体が、そこから独自の進化を遂げて派生した種族である。 3000年程前の魔界貴族には、巨大な城を作る事で自分の力を誇示し、人間や同族に対してアピールをするという文化があった。 現在も居住地となる城は大きい方がよいという風潮が貴族内には存在するが、それはこの時代の名残だと考えられている。 そもそも、元々魔界貴族の居城は小さくこじんまりとした物が大半であった。 たった一人で住むのであれば、そう多くの部屋を持つ必要がないからだ。 しかし、とある吸血鬼が気まぐれで巨大な城を崖の上に建ててみたところ、それを討伐するために愚かな人間──現在ではヴァンパイアハンターと呼ばれる者である──がわざわざ出向いてきてくれたのだ。 これは貴族界隈に大きな衝撃を与えた出来事であり、それを受けて貴族達はこぞって城を大きくした。 城が大きければ大きいほど、愚かで短絡的で可愛い人間は脅威度が高いと判断し、優先して婿入りしに来てくれる。 その証拠となるデータが貴族の間で共有されていたという背景もあり、そのインフレーションは留まる事がなかったと当時を知る吸血鬼も証言している。 しかし、基本的に孤独を好む魔界貴族にとっては、城を大きくする事は必ずしも好ましい事ではなかった。 独りでは管理が行き届かないのである。 当時は清掃魔術も存在せず、使っていない部屋の埃を払うという行為を魔術で済ませるには並外れた技術を要していた。 また、当然だが自らの手で掃除を行おうとすると莫大な時間がかかる上に、貴族はそのような行為は下民が行うものと考えているためやりたがらない。 しかし、実際に人間が来た時に部屋に埃が積もっていたら幻滅されてしまう。 かと言って城を小さくすれば、人間は来てもくれない。 であればどうすればよいか。 それを考えた結果、貴族達は一つの結論に辿り着いた。 それが、下位淫魔をメイドとして雇うことである。 幸いにも貴族達は裕福であり、淫魔を雇う程度の金銭あるいは貴金属などの物的財産には困らない。 更に言えば、下位淫魔は上位淫魔に魅力や人間探知の面で勝つ事ができず、ただでさえ人間界とのゲートが不安定で男日照りな時代では伴侶を中々持てずに暇を持て余していた。 それに加えて、お小遣いが欲しいとかメイド服に興味があるとかの需要も重なり、下位淫魔はこぞって貴族に雇われるようになったのである。 下位淫魔は、淫魔とはいえ魔族であるため、体力も魔力も家事を行うには十分であり、貴族からも重宝された。 淫魔を気に入った貴族からは報奨も多く与えられ、それにより淫魔はますます士気を高め、貴族に対して信頼を寄せて従順に従うようになる。 その循環が多くの城で起こり、また余談ではあるが貴族の城に固まっていた資金も回って、停滞気味の経済も好調の兆しを見せるようになった。 それにより、下位淫魔はより良い生活を送るようになり、魔族にしては控えめな体格も育つようになる。 それに合わせて魔力も高まり、奉仕のための魔術も、ごく簡単なものではあるが徐々に開発され始めていた。 つまり、メイドとして城で働いていた下位淫魔達は、その数十年という僅かな期間で現在の強力な奉仕族に一歩づつ近づいていたのだ。 が、この時点ではまだ奉仕族と呼ぶには程遠く、どちらかと言えばメイド淫魔というような、家事が得意で敬語が様になっているだけの淫魔であった。 表情も固くなく、身長もそれほど高くはない、体つきもスリムな雇われの淫魔。 それが、メイド淫魔にとっても貴族にとっても共通の認識だったはずだ。 だが、ここで転機が訪れ始める。 特に有力な貴族の下へ人間が現れるようになり始めたのだ。 当然貴族は喜び、勇む人間の武器を捻り上げて使い物にならなくした上で自室に招き、婿入りを迫った。 しかし、読者の方々もご存知の通り、貴族の態度は高圧的かつ威圧的であり、人間を怯えさせるばかりであった。 あれほど待ち望んだ人間を傍に置いておきながら、全く誘惑が成功しない貴族達。 ──そこに現れたのが、メイド淫魔達であった。 貴族にはない愛想の良さで人間の懐に潜り込み、淫魔らしい媚びた振る舞いでかすめ取る。 そんな事例が貴族達の間で無数に発生したのだった。 この情報は淫魔達の間を駆け巡り、貴族の下へ雇用してほしいという依頼が殺到する事態となる。 時には給料は要らないから働かせてほしいという明らかなヤリモクの淫魔すら現れる始末で、当然貴族はこれらの淫魔の言葉を突っぱねた。 それだけでなく、貴族の疑念の矛先は既に雇われていた淫魔へも向けられる事となる。 当然ではあるが、独り占めするはずだったお婿さんを奪われた貴族は怒り狂い、メイド達を解雇──しようとしたが、全てのメイド淫魔に対してはできなかった。 一度人間と関係を持った淫魔を旦那様と引き剥がすなど、非常に不本意ではあるが、両者にとって可哀想だ。 それに、城の管理や自分の身の回りの世話をするメイドが居る生活に慣れてしまったせいで、もはやそれが無い生活には戻れなかった。 貴族は、本音では旦那様を独り占めしたかったが、メイドをハーレムに加えるしか選択肢が無かったのだ。 とは言え、淫魔は元からハーレム推進派であるから夫を共有する事に抵抗はなく、旦那様の周りには何人ものメイド淫魔が暇なくまとわりつく事になる。 それを良しとしない貴族は、特に優秀で信頼の厚い者や、既に旦那様のハーレムに加わっている者を除き、余剰なメイドを解雇する事にした。 幸いにも淫魔達のメイドとしての熟練度は雇い始めた時とは比べようにもならないほどに高まっていたため、メイドの数を10分の1に減らしても問題なく運用できるほどになっていた。 余談であるが、明らかに余剰な労働力となったメイド達を今まで雇い続けていたのは、よく働いてくれるメイド達への恩義があったからである。 しかし、メイド達はこぞって主人の旦那様をこっそり誘惑するような背信行為を行ったため、容赦なく解雇される事となった。 その威光に従っている間は貴族は慈悲深いが、一度それを裏切れば情けは与えられない。 これは、貴族の価値観を象徴付けるような出来事と言えるだろう。 閑話休題。 さて、メイド淫魔達はこの出来事によって、城内に残り続けるエリートメイドと、城を追い出された元メイドに分かれる事となった。 城内に残ったメイドは言わずもがなメイドとしての業務を続ける事になるが、追い出された淫魔はもうメイドを続ける理由はない。 これからはただの淫魔として、人間を娶るための努力をしなければならない。 しかし、自分達は今まで、その為の誘惑の技術や性技は磨いて来なかった。 つまり、同世代の淫魔に比べると、雌としての魅力は劣る事になる。 元メイド達は考えた。 えっちがあまり上手くない淫魔の存在価値とは何だろうか、何を武器にするべきか。 当然、結論は一つである。 自分達が、メイドだったという事だ。 当時から、人間達のメイドへの憧れというものは大きかった。 メイドとは、自分に従順に従う女性であり、家事や清掃を全て肩代わりしてくれる人。 おまけに美人で、メイド服というフェティッシュな服を纏っていて、しかし金持ちしか雇えない。 更に言うと、金持ちの財産のおこぼれに肖るため、主人を誘惑して身ごもるメイドも多かったと聞く。 その噂は一般市民にも広がっており、メイドさんを雇えば一夜の過ちが起こる事もあると話題になっていたのだ。 その世論を嗅ぎつけた元メイドの淫魔達は、これ幸いと更にメイドとしての技術を磨き始めた。 今更えっちの勉強をしたところで、それは付け焼き刃だ。 それに、清楚なメイドと行為をするなら多少性に関しては不慣れな方が雰囲気が出るだろう。 メイドは清廉潔白なイメージを持たれているものであって、それを汚す背徳が男性の心を擽るのだ。 男性の心理を読み取る事に関しては右に出る者は居ないと評判の淫魔であるが、ここでもその能力を遺憾無く発揮し、自らの武器を磨くようになっていった。 ここで多くの淫魔がメイドとして生きる事を選ぶに至ったのは、淫魔がそもそもメイド業務を気に入っていた事も原因であると言われている。 男性を喜ばせる事を何よりも好むという性格上、他者、特に男性に奉仕する事に喜びを覚えるのは自然な事であり、だからこそ好き好んでメイドとしての技術を磨く事に没頭できたのではないだろうか。 さて、このようにメイドとして男性の下へ向かっ淫魔であったが、結論から言うとその目論見は大成功だった。 その頃は、昔よりは多少はマシになったがまだゲートが不安定であり、魔界から人間界に、またその逆の行き来も少なかった時代であった。 故に競争率は今よりも更に高かったが、メイド淫魔は高位魔族でないにも関わらず、高い嫁入り率をキープしていたと言う。 魔界から人間界に向かった淫魔は、持ち前の家事技術と清楚さや、人間とは比べ物にならないほど美しい顔立ちや豊満な肉付きを売りにして男性から引っ張りだこになるほど人気であった。 また、人間界から魔界に迷い込んだ男性に対しても、城働きで培った温和で柔らかな笑顔を武器に警戒心を解き、自宅へ連れ込んで奉仕する事で、何よりお嫁さんとしての魅力をアピールする事に成功した。 ここまでは順調であった。 しかし、その先へ進むための一手が足りなかったのだ。 メイド淫魔は、良くも悪くもメイドとしての修行ばかり積んできたため、旦那様を誘惑してベッドに連れ込むための手段が分からなかったのだ。 これは、致命的な問題であった。 家事は滞りなく行えるし、そこに関しては人間の女性には負けない。 しかし、このままでは独身の旦那様も痺れを切らして外に女を作ってしまう。 どうすればよいのか、メイド達は考えた。 この問題を解決するために、何をすればよいのか。 勇気を出して襲うか。 いや、わざわざ従順なメイドを雇うようなご主人様ならば、襲われるより襲いたいはず、つまり求められているニーズが違う。 だからと言ってぐだぐだしていれば本妻の座は勝ち取れない。 と、考えているうちに、メイド達は発想を転換させていった。 愛人でも別にいいか、と。 そもそも城の中に居た時は、貴族の旦那様の愛人になる事には抵抗は無かった。 ならば、旦那様を取り巻くハーレムの一員になれればそれでいい。 愛人というポジションも、それはそれで背徳感があって美味しいし。 そう考え始めた彼女らは、戦略を変えた。 向こうから、時間がかかってもいいから襲わせる。 そして性欲が我慢できなくなったその時に、ずぶずぶに甘やかして、その劣情を肯定してしまえばよい。 そうなると、こちらからの誘惑はそこそこにしておいた方が都合がよいとメイドは気付く。 何故ならば、あからさまに誘惑するタイプの魔族とそちらの方面で直接勝負しても勝てないからだ。 誘惑の技術が格別に高くないメイドは、他の誘惑の術に長けた魔族と競合はしたくない。 つまり、どうするか。 セクハラしたい、愛人にしてやりたいと思わせるような、あえて冷静な態度を取るのである。 つんと冷たい無表情で、床を拭くふりをしながら長身を屈ませ、大きく実った尻肉を見せつける。 ご主人様の隣をあえて胸が揺れるように歩き、 ばるるんと震える乳肉の柔らかさを視覚に訴えかける。 そのようなアプローチを行い、向こうから手を出させるという食虫植物のような誘惑を行うのだ。 そして、それを行うならば、なるだけ表情は変えない方がよい。 犯しがたい雰囲気を持つ女こそ手篭めにしたくなるし、靡かなさそうな雌こそ自分のモノにしたくなるからだ。 それを理解したメイド達は、意識して鉄面皮の表情筋を作るようになった。 これが現在にも伝わって、奉仕族特有の無表情となっていったのだ。 さて、話は変わって城に残ったメイドに視点を移す。 貴族の下で働く少数のエリートメイド達は、互いに研鑽を積みながら高いスキルを身につけていった。 現在も残る家事魔術を次々と開発し、より効率的で、より質の高い家事を行うようになり、更には瀟洒で可憐な立ち居振る舞いも身につける。 城のメイド達は、よりメイドとして完璧な淫魔へと成長していたのだ。 そして、それは図らずして女性的魅力と紐づき、貴族の旦那様を誘惑してしまう。 雇うメイドが減った事により、残ったメイドは受け取る賞与が多くなる事はもちろん、食事や睡眠などの生活環境も良くなり、体格もみるみる育っていった。 そのため、メイドとしての態度を抜きにしても、旦那様を誑かすには十分すぎるほど十分な淫魔となっていたのだ。 しかし、やはり貴族は上位魔族であるため、彼女が行う性的愛撫は男性にとっては気が狂うほど気持ちよく、また彼女自身の肉体や顔立ちそのものも男性にとっては理想の姿なのであった。 そのため、毎日貴族に愛されている旦那様から子種を与えてもらうのは容易なことでは無い。 淫魔が好む集団逆レでは、貴族一人から与えられる快楽にも届かない。 そこで彼女らが行ったのが、甘やかし幼児退行逆レであった。 貴族はその性格上、激しく貪るような、あるいは甘くいじめるようなサディスティックな行為を好む。 故に、その逆である、赤ちゃんをあやすような母性に満ち溢れた、甘やかしえっちを男性に施したのだ。 その目論見は成功し、貴族との行為とニーズが被ることも無く、旦那様から種を貰う事ができた。 ここで、メイド達にとっては予想外に嬉しい誤算が発生する。 貴族と交わり、上位魔族の魔力を少なからず含んだ旦那様の精は、メイド達の魔力を底上げして上位魔族に徐々に近づいていったのだ。 現在の奉仕族が魔族の中でも強力である理由は、貴族の魔力をここで取り込んだからなのである。 しかし、それを続けるうちに、メイド達にとって悪いかどうかは分からないが、違う誤算も発生した。 甘やかしえっちを続けるうちにその性癖が捻じれてしまい、いつしか母性が暴走するようになってしまったのだ。 その性癖は今日に至るまで治ってはおらず、奉仕族の偏執的なまでの母性は受け継がれ続けている。 さて、こうして城に残ったメイドと城の外に出たメイドは、それぞれ現在の奉仕族のルーツとなるような独自の進化を遂げていた。 しかし、その二つの特性はこの時点では交わっておらず、別々の嗜好性を持つメイド淫魔が、それぞれ二組あっただけである。 城外のメイドも城内のメイドも、それぞれ旦那様の愛人となり、どちらもその環境から出る必要もなかったからだ。 しかし、時が経つにつれ、そうでない者が現れた。 旦那様とメイドの間に生まれた淫魔の子供である。 彼女はもちろん成長すれば淫魔として旦那様を求める事になるが、その時に参考にするのが母親のエピソードだ。 淫魔は主に母親から誘惑や性交の技術を学び、それを受け継ぐのだ。 当然子を産んだメイド淫魔もそれは承知しており、いつかはその事を聞かれるだろうから、初めから花嫁修業として子供にメイドとしての心得や技術、誘惑の方法を教え込んだ。 そうして、第二世代のメイドが誕生した。 それらのメイドは、当然ではあるが親であるメイドから受け継いだ技術しか知る事ができない。 城内のメイドから生まれた子であれば、母性本能に溢れた甘やかしえっちを。 城外のメイドから生まれた子であれば、セクハラ誘発無表情雌肉振りの方法を。 親はそれぞれ一から編み出した誘惑の方法を教えるが、子供はそれを柔軟に吸収し、もっと多くの誘惑を覚えようとする。 そうして、城内生まれのメイド淫魔は城の外へ出向き、城外生まれのメイド淫魔は修行のために貴族の城の門を叩く。 互いが互いの環境へと身を投じていったのだ。 そうすれば、城内生まれのメイドも鉄面皮を持つ事になるし、城外生まれのメイドも母性本能を持つ事になる。 それぞれの文化が世代を超えて一つになり、貴族から受け継いだ強い魔力も全てのメイド淫魔に受け継がれてゆく。 そうして生まれた第三世代のメイドは、最早淫魔と呼ぶには程遠い生態を持っていた。 淫魔を軽く越す体躯に、淫魔よりも更に豊かな雌肉の数々。 身につけた家事魔術の数々に、強い母性本能と鉄面皮。 オリジナルから逸脱した彼女らは、既に新たな魔族となっていたのだ。 こうして、徐々に奉仕族は奉仕族としての特徴を得て、今日まで繁栄しているのである。 淫魔という、言わば魔族の中でもニュートラルなこの種は、その汎用的とすら言える生態も手伝って、そこから派生した魔族を多く生み出した。 その派生の歴史には、必ず合理的な理由が存在する。 今回のような奉仕族の派生ケースも、歴史を辿れば理屈が確かに存在しており、どこかのタイミングで急激に自然発生したものではない事が分かるだろう。 種の派生は、多くの場合、いくつかの世代を重ねて行われる。 そして、その元となった出来事は必ずどこかに存在する。 種の派生には、新たなニーズを切り開くための努力が根底にあるのだ。 これは、ゲートが安定して人間界と魔界が容易に行き来できるようになった現代でも起こりうる事である。 むしろ、大きな歴史の転換点となったゲートの安定という出来事は、必ず種の派生を引き起こすと断言できる。 いや、もしかしたら現在も、その進化の種はどこかで既に芽吹いているのかもしれない。 私達は、歴史が動く瞬間に立ち会っているのだ。 そこから何を学ぶか、何を感じ取るかは貴女方次第である。 だが、是非これを読んだ読者の方々には、旦那様を娶るための方法を今一度振り返って考えて頂きたいと思う。 それが、筆者である私からのささやかな願いである。

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メモ帳の奥に眠っていたウマ娘のss(非エロ)

「あ、マックイーンちゃん、今ちょっといいかな?」 「あら、ゴールドシップさんのトレーナーさん。ごきげんよう。嫌ですわ」 「まあまあ、そう言わずにさ。ほら、ロシアンたこ焼きあげるから」 「要りませんわ」 「六個中五個がねぇ」 「要りませんったら」 「カラシ入りなのよ」 「逆じゃないですの?」 「残り一個はワサビなの」 「じゃあロシアンでもないでしょう、全弾入ってるのですから」 「まあそれはそれとしてね、ホントに相談あんのよ。これは後でライスシャワーちゃんにあげるとして……」 「絶対におやめなさい。相談聞いてあげますから」 「実はゴルシの事なんだけどねぇ、最近様子変じゃない?」 「ゴールドシップさんが変じゃない時はないと思いますが」 「いやいや、そういう変じゃなくてさ、柄じゃない事してるってか」 「……あまり、思いつきませんが」 「ふーむ、おかしいな……」 「何かあったんですの?仲違いでもなさったのですか?」 「いや……俺の勘違いじゃなければなんだけど……」 「はい」 「プロポーズ、されてる気がしてさ」 「……は、プロ、ポーズ?」 「そうなのよ、あ、あとこれナイショのやつだからね。ゴルシには言わないでね。言ったら背中にでっかくゴエモンインパクトの刺青入れるからね」 「……は、はい、分かり、ました。けど、プロポーズですか?ゴールドシップさんが?」 「うーん、だと思うんだけどな……違うのかな……」 「……とりあえず、お聞かせ願えますか?」 「おうよ、五分で五百円な」 「帰りますよ」 「嘘だって、ごめんね。ほら、土下座」 「うわっ!おやめなさい!なんで貴方は躊躇なく土下座できるんですの!?」 「これはこの前の事なんだけどね」 「土下座したまま喋らないで下さいまし!?」 ~~~~~ 『おう、トレーナー。これやるよ』 『サンキューゴルシ。男子トイレの中に入ってまで渡したいものとは相当だね』 『おーよ、でもアンタも暇そうで良かったよ。トイレの中に居るヤツって皆忙しそうだしな』 『まあ、用を足す訳でもなく小便器の中のキャンディーみたいなやつ眺めてただけだからな』 『業務時間中にやるねぇ。タバコ休憩みたいな?』 『理屈としては全く同じ』 『そっか、ニコチン中毒には気をつけろよ!あと、そのぬいぐるみは冷凍庫に入れとけな!じゃああばよ!ゴルシちゃんワープッッ!!!』 ~~~~~ 「んで渡されたのがこのカリフォルニアロールのぬいぐるみなんだけどさ」 「ちょっと待って下さる?一度整理しますわ」 「五分で五百円ね」 「ならもういいですわ、多分考えるだけ無駄ですし」 「そうかい、ならボッシュートだね」 デデッデデッデーン…… 「えっ!?何の音ですの!?どこから!?」 「んでねぇ、このぬいぐるみがねぇ」 「教えてはくれないんですのね……というか、その、独特なデザインですわね、そのぬいぐるみ」 「キモイよな~」 「折角ぼかしたのに、貴方は……」 「こことか見てよ、目ん玉三つあるんだぜ」 「え?二つでは……あ、背中にも一つあるんですのね」 「奇数て」 「そのツッコミもどうかと思いますけど」 「んでさぁ、ここの糸の結び目なんだけどさ」 「はい、これがどうしたんですの?」 「この結び方だと解けやすいんだよね」 「そうなんですの?」 「うん、こういう物には一般的には使われないね。ここをこう引っ張るとね……ほら」 「あら、本当ですね。簡単に解けました」 「特殊な結び方でね、ある一方向からの力には強いけど、解き方を知っていれば簡単に解けるんだ」 「へえ……」 「それで、糸を解いてこの中に……ほら、やっぱり」 「これは……一本の髪の毛、ですの?」 「そう、多分ゴルシのやつ」 「何故……?」 「まあ、一つは呪術的な意味かな。昔から日本では髪の毛には強い呪いの力が宿るって言うしね」 「はぁ……」 「あと、西洋なんかでは髪の毛は愛する人に送るものなんだ。小説なんかでもよく出てくるよ」 「そうなんですの……あら?この髪の毛、黒くないですか?」 「そう、そこがポイントなんだね」 「では、これはゴールドシップの髪ではない……?」 「いや、これは染めてあるゴルシの髪だよ。触れば分かる」 「いや、一本だけでは無理でしょう……」 「そう?ゴルシのなら分かるけどな」 「どんな手の感覚してますの?」 「トレーナーなら皆担当のウマ娘のなら分かるんじゃない?」 「無理だと思いますけれど」 「そうかな……?まあ、ともかくこれは……ほら」 「何ですか、それ……保冷剤?」 「そ、押し当てると……白くなったでしょ?これは温度で色が変わるインクだね」 「本当ですね、黒かった髪が元の白色に……ですが、何故?」 「ありつつも君をば待たむうち靡くわが黒髪に霜の置くまでに」 「和歌、ですか?」 「そ、磐之媛命って人のね。所ジョージのお祖母さんなんだけど」 「大嘘吐かないで頂けますか?」 「意味はねぇ、私の黒髪が霜が降りて白くなっても、貴方を待ち続けますって意味なんだ」 「へぇ……それで、わざわざ髪を黒く染めて……」 「多分ね。冷凍庫に入れとけって言ってたのもこれがあるからだろうね。あと、和歌の意味からして、待ってるからプロポーズの返事はまだいいよって意味もあると思う」 「はぁ……回りくどいことしますのね……」 「あいつは最近ずっとこんな感じの事してくるんだよね」 「……返事は、どうしますの?」 「どうしよっかな~」 「……ちゃんと、考えてあげて下さい。ゴールドシップがこんなに心を許しているのは、貴方だけだと思います。あの子の理解者として、どんな結論でも、ちゃんと向き合ってあげて下さい」 「うん、分かってるよ……ところでさ」 「はい?」 「あいつがこんなに回りくどいことするのはさ、俺以外のやつにプロポーズしてる事を理解してほしくないからだと思うんだよね。恥ずかしいから」 「……なら、私は」 「うん、ゴルシにバレたらヤバいだろうね。背中にでっかくブリキ大王の刺青掘られるかもね」 「貴方、私を巻き込みたかっただけですの!?」 「うん。ごめんねごめんね~」 「心がこもってませんわ!?と言うか、どうしますの!?」 「どうにもならんと思うよ」 「何故そんなに諦めがいいんですか!」 「だって、ねぇ……」 ドドドドドドド…… 「おい!!!トレーナァァァ!!!オラァ!!!」 「あはは、メンゴメンゴ」 「避けるな!!!アタシの!!!純情を!!!」 「ゴメンザイムQ10だわ」 「待て!!!逃げるな!!!大塚製薬!!!」 「ははは、じゃあねマックイーンちゃん」 「全部の関節逆向きにしてやる!!!」 「……ウマ娘と、互角に追いかけっこしてますわね……。壁キックで屋根の上に登って爆走してますわ……」 「……トレーニング、しましょうか……」 次の日、朝起きるとマックイーンの顔には油性ペンで「肉」の字が十八個書かれていた。机の上には、達筆な筆文字で「罪と罰」とだけ書いてある半紙が置いてあったそうな。

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書きかけのssの導入

please don't touch anything because…… 「いや、すまないね。すぐに戻るからちょっとここで待っていてくれ」 同僚の女はそう言うと、無機質な鉄の扉を閉める。 重く、冷たく、厳重過ぎるほど厳重なそれ。 大きな警戒色の印刷で「立ち入り禁止」と書かれたステッカーが貼ってある見るからに危うげな扉は、がちゃりと大袈裟な音を立てた。 外界と完全に隔絶されたように、外から聞こえる全ての音が遮断される。 人が多く通る廊下から聞こえてくるはずの雑音も、一切ここには届かない。 聞こえるのは、耳煩わしいような機械の駆動音だけ。 落ち着かないような心地になり、慰みに周りをきょろきょろと見回す。 ──暗く古めかしい蛍光灯、無作為としか思えないような数列が書かれたホワイトボード、走り書きのようなメモが無数に貼られた壁。 人の気配を感じつつも、どこか理解の及ばない狂気的なものに触れたような、余計に落ち着かない気分になり、気が滅入ってしまう。 ああ、存外に面倒な事を頼まれた。 あいつがすぐに戻ってくるとはどうにも思えない。 ともすれば、僕をここに残したのを忘れてショッピングにでも出かけるのではないだろうか。 そもそも、僕はあいつが苦手なのだ。 頭は良くて優秀なはずなのに、行動はいつも突飛で突拍子もなく、軽薄かつ昼行灯で掴みどころがなくて。 そう心の中で愚痴を吐きつつ、ちら、と前を向く。 ──巨大なモニターに、これまた巨大な、鉄の塊のような何かの機械。 モニターには、都市を表しているのだろうか、デフォルメされたビル群。 そして僕の目の前の、今肘掛けにしているこの機械には、毒々しいほど鮮やかな赤色のボタン。 部屋の埃臭い雰囲気と相まって、薄気味悪く落ち着かない気分だ。 例えるなら、ミサイルの発射ボタンが目の前にカバーもなく存在するような。 しかし、ボタンが一つあるだけにしては余計なほど大きな機械だ。 大家族が見るようなテレビくらいの大きさのモニターと同じか、それ以上に大きい。 真っ赤で大きな、それこそ手のひらと同じほどもあるボタンが小さく見えてしまう。 それでいて、それ以外の部分は余らせて、ただの鉄に覆われている。 一体、何のためにこんなものがあるのだろうか。 ふと気になって、ボタンに近づいて観察しようとすると。 「ああ、キミ。そのボタンは、いや、それ以外のものも全て。 絶対に、何も、触らないように。 まあ、それを起動させるには複雑な手順が必要だから、キミがそれをどうにか出来るとは思わないが……。 でも、もしそれが起動すれば、取り返しのつかない事になる。だから、決して触らないでね。 じゃ、大人しく待っていてくれよ」 急に扉が開いて、同僚が顔を出し、早口で捲し立てて、また扉を閉める。 ますます気味が悪い。 この機械は何なのだ。 あの、何事も適当で、何とかなるよが口癖で、社用車をぶつけて大破させても、ミスで数千万の損害を出しても、そしてそれが原因で借金まみれになってもケタケタと笑うような同僚にあんなに真面目な顔をさせるこの機械は。 ──この赤いボタンを見ていると、背筋がゾワゾワする。 なるべく視界に入れないように、スマホを弄って時間を潰す事にした。 カチ、コチ、と時計の針が動く音がやけに耳に響く。 スマホの画面に全く集中できない。 じりじりと何かを削るような機械音が、何やら僕を嫌な気分にさせる。 暑いわけでもなく、むしろクーラーで適温に保たれているのに、脂汗が額に滲み出す。 ──ふう、とため息を吐いてから、ぱたんとスマホのカバーを閉じた。 本当に、嫌な気分だ。 この部屋は、何もかもが理解出来ない。 目の前のボタンも、モニターに映されたレトロゲームのグラフィックのようなビルの画像も、周りに点在する数字や英単語の羅列も。 全てが不快で、どこかおぞましい。 同僚に頼まれてから何分と経っていないが、既に逃げ出したい気分だ。 だが、ここに居ろと頼まれた以上、出ていく訳にもいかない。 仕方なく、椅子に座ったまま鉄の塊に寝そべる。 ……冷やっこくて気持ちがいい。 学生時代を思い出す感覚に、少しばかり心が落ち着く。 どうせあいつは中々帰って来ないだろうし、仮眠でも取ろうか。 ちらりとスマホを覗く。 ……ぴったり十九時。 そのまま自分の腕を枕に、そして機械音のノイズを寝物語代わりに意識を闇に落とした。 ──そして、数十分ほど経った頃だろうか。 かち、と指先で何かを押し込むような感触で目が覚める。 ぼんやりとした寝起きの頭で、その違和感のある感触の心当たりを考える。 ……何かを、押し込む? 背筋を冷やしながら、がば、と勢いよく起き上がった。 しっかりと、僕の手はボタンを押していた。 言い訳を許さないほど、奥まで押し込むように。 恐らく、無意識に何度か体勢を変えたのだろう。 背筋に氷を突っ込まれたような寒気がする。 この手を離したら、絶対にろくな事にならないという猛烈な予感。 恐る恐る、ボタンから手を引き剥がす。 ……頼む、何も起きないでくれ。 同僚の忠告も、悪ふざけの気まぐれであってくれ。 そう願いながら手を離すと。 かしゃり、と音を立ててボタンの下にスイッチが現れる。 オンとオフを切り替えるだけの構造の、ごく初歩的なスイッチ。 こちらもビビッドな赤色で、強い警戒色のものだ。 ……ひとまず、これ以外の変化は無い──と、思いたい。 だが、少し拍子抜けだ。 あれだけ脅しておいて、スイッチが一つ出てくるだけか。 まあ、剥き出しのボタンを一つ押せば取り返しのつかない事になるなんて、今時そんなにも甘いセキュリティ管理も無いだろう。 出てきたスイッチをじっと眺める。 ボタンを押したら、スイッチが出てきた。 そして、この機械にはまだまだ面積が余りまくっている。 それに、よくよく見たら、機械のあちこちにうっすらと何かが出てきそうな切れ込みも入っている。 これは何となくの予想だが、このスイッチをオンにしたら、また新たな入力装置が出てくるのではないだろうか。 そして、それを入力したらまた次の装置が出てきて、それを押したら次の……という、そういうもののような気がする。 そもそもこの機械自体、何か複雑な処理をしている様子はないし、繋がっているケーブルなんかを見てもタイプライターやモニターくらいのもので、大したものに接続されている様子もない。 ならばこんなにも大きな図体をしている必要もないはずだ。 そう言えば、前にもこんなものをあの同僚が作っていたな、と思い出す。 あいつは仕事もせずにガラクタ作りに没頭する事がよくある。 大抵は下らない玩具擬きだから、僕も仕事に集中しろと注意するのだが、奴は一度何かに熱中すると周りが見えなくなる。 なまじ仕事はやれば出来るだけに、困ったものである。 しかし、そう考えると、恐らくこれもあいつが作ったものなのだろうと想像がつく。 もしも自作したのなら、こんなにも大規模なものをよくぞと思う。 ある意味で感心しながら機械を隅々まで眺めると、あいつの書いたであろうサインがあった。 ほら、やつぱりそうだ。 こんな物をいつの間に作っていたのやら。 しかし、どうせあいつが戻って来たら、このけったいな機械の感想を聞かれるのだろう。 何やら知らないが、あいつは僕にやたらと絡んでくるし、こういう玩具をいつも僕にやらせようとする。 仕方ない、どうせ後でやらされるなら、暇なうちに付き合ってやるか。 そう思い、スイッチをオンにした。 すると、途端にけたたましくサイレンが鳴り響き、非常用の赤い照明が明滅する。 まるで大規模な災害が起こる時のような、あるいは爆撃を受ける前にシェルターに避難させる時のようなおどろおどろしい音と光。 ウー、ウー、というサイレンの音は、明らかにこの部屋だけでは留まらず、この施設全体に響くような凄まじいものだ。 遊びにしてはやり過ぎだ。 心の中で笑うあいつに悪態を吐きながら、この事態をどうにか収めようとスイッチを弄り回す。 オンからオフに、先程入れたスイッチをぱちんと切り替える。 しかし、サイレンは鳴り止まない。 ならば、このボタンはどうだろうか。 何でもいいから、とにかく皆の迷惑にならないように収まってくれ。 そう願いながら、半ば手を叩きつけるようにしてボタンを押し込む。 かちり。 そう小気味のいい音を出すと、ボタンもスイッチも引っ込んでしまう。 ──何か、取り返しのつかない事をしてしまったような気がする。 そんな猛烈に嫌な予感を感じると同時に、機械の左上から数字が書かれた紙が顔を出した。 【3】 【2】 【1】 何かを予感させる、しかしその予感が何なのかを考えるにはまるで少なすぎる時間のカウントダウン。 思考の余地すらを与えず、間髪入れずに。 上から爆音、それこそ巨大な爆弾が爆発したような音が響き、部屋全体がぐらぐらと揺れる。 僕は思わず耳を塞ぎ、顔を顰め、立っていられなくて椅子に座り込んだ。 あまりの音に、頭がキーンと痛み、耳鳴りが止まなくなる。 ──一体全体、何なんだ。 咄嗟に塞いだ目を開けて、目の前の機械と、そしてモニターを見て、僕は。 「え……?」 声を出して、固まった。 モニターに映っていたのは、巨大なハート型の雲と、それに吹き飛ばされたビル群。 それを見て脳裏に過ぎるのは当然、先程の爆音と振動だった。 ──まさか、いや、まさか、そんなはずが。 心臓がいやに早鐘を刻み、冷たい汗が背筋を伝う。 そんなわけが無い。まさか、こんなガラクタのボタンを押しただけで、何もかもが吹き飛ぶ、なんて。 口の中がカラカラに渇き、唾液も出ない。 外はやけに静かだ。音の一つも聞こえない。 まるで、そう、まるで。 爆発に巻き込まれ、吹き飛ばされてしまったような──。 「いや、そんな訳、無いよな……。こんな、訳の分からないボタンを押しただけで、そんな」 足ががくがくと震え、目には涙が滲む。 これは何かの間違いだ。 そう思いながら、目の前のモニターにもう一度目線を向けた。 モニターには、相変わらずハート型の雲と、ビル群の欠片。 唖然とそれを眺めていると、吹き飛ばされたその欠片が、逆再生のように元に戻る。 訳の分からない光景だった。 だが僕は、混乱のうちに、ああ良かった、という漠然とした安堵の感情を抱く。 けれど、その欠片は、元の形には戻らない。 元はビルの形をしていた欠片達は、次々と組み上がりながら──巨大な西洋城のような形になってしまう。 均整の取れたデザインでありながら、どこか常世のものではないような、そんな形。 例えるなら、そう、吸血鬼が住むような。 いや、それよりは、ファンタジーの物語で魔王が住むような、と言った方がより正確だろうか。 そんな僕の思考にマルを付けるように、モニターの城の周りにはデフォルメされたコウモリが飛んでいる。 ──これは、どういう意味なのだろうか。 全くもって回らない頭で、その意味を考える。 だが、こんな経験した事もない事態に対して答えなんて出るはずが無い。 しかし、答えのヒントと思しきものは扉の外から聞こえてきた。 バサバサと、翼をはためかせる音。 キューキューという、恐らくはコウモリの鳴き声。 それと、無数の甘ったるい若そうな女の声と、あとは男の嬌声。 もう、こうなると、正常な思考なんてまるで働かない。 異常事態が重なって、訳が分からない。 とにかく分かる事は、この扉の向こうでは、何故かは分からないが情事が行われているのだろうという事。 それだけは、理性ではなく本能で理解できる。 甘ったるく艶めかしく、股座がいきり立つような女の声と、それはそれは気持ちよさそうな男の声と、粘っこい水音。 明らかに、セックスしている。 それも、一人の男に対して多くの女が、寄って集って性的にいじめている。 顔も知らない扉の向こうの男は、とことん甘い嬌声を上げて、それを女の笑い声と甘い喘ぎに掻き消された。 もう、訳が分からなすぎて泣きそうだ。 とにかく、今の状況を判断できる材料が欲しい。 今、少なくともこの部屋が変わっていないという確信が欲しい。 そう考えて、くるりと後ろを振り向くと。 この埃臭い部屋は、まるで変わっていた。 いや、正確に言うと、部屋自体は変わっていないようだ。 しかし、この部屋と──どういう理屈かは全く分からないし、多分考えても仕方ない──恐らくはこのモニターに映る城のどこかの部屋と繋がってしまったようで、部屋の途中から先が完全に王宮になってしまっていた。 ──僕は、何を言っているのだろう。 自分でも理解が追いつかない。 部屋の先、王宮になっているそこには大きな玉座が鎮座していて、その上には──それはそれは、凄艶なほどに美しく、跪いてしまいそうなほどのカリスマを感じる美女が肘掛けに肘を付きながら座っている。 大きな赤色のマントに、豪華な装飾が施された服。 恐らくこの美女は、城の主なのだろう。 そして、その美女は、真っ直ぐこちらを見据えていた。 その深い金色の視線に射抜かれ、脳の奥か痺れるような心地を覚えてしまう。 ──危ない。危険だ。何がかは分からないが、彼女は絶対に。 理性が、本能が、警告を鳴らす。 美女が、玉座から立ち上がる。 たぷ、たぷ、と巨大な乳房を揺すりながら、僕に向かって近づいてくる。 ──やめろ、近づくな。 そう声を出そうとして、しかし吐息は声帯を震わせる事はない。 美女のあまりの威圧感、威厳に本能が屈服して、彼女に命令するという無礼を働けなかったのだ。 美女は、モデルのように自信たっぷりに、腰を艶めかしくくねらせながら近づく。 脳ががんがんと警鐘を鳴らしながらも、それに相反して股間はひどく熱くなってしまう。 むちつく媚肉の揺れといい、周囲に流れる甘い空気といい、何もかもが否応なしに生殖欲求を湧き立たせてやまない。 美女は、腕を高く上げて、ぱちんと指を鳴らした。 すると、それに呼応して、多数の──これまた豊満で美しい女達が虚空から現れる。 痴女のような格好をしたグラマラスな女、騎士のような鎧の身長の大きな女、貴族のような出で立ちの女。 女、女、女──。 いずれも肉付きのよい、長身で有り得ないくらいの美女だ。 そして、絶対に人間ではない。 人間にはないパーツ──例えば、犬のような耳や山羊のような捻れた角、ラバーのような見た目の尻尾──が所々に見えるし、何よりも人間にしては美し過ぎる。 彼女らは、一体何者なのだろうか。 それら得体の知れない女達が一斉に、舌なめずりをしながらこちらに向かって──襲いかかる。 獣性を剥き出しにして、交尾欲求を隠しもせず、紅潮させた顔で追い詰めるように近寄ってくる。 外からは、相変わらず言葉にならない男の嬌声──あえて文字に起こすなら、「あうぅぅ♡♡♡あぁあぁぁぁ♡♡♡いうっあぁあ♡♡♡」といった具合だろうか──が絶え間なく響き渡っている。 それはそれは、脳が腐れ落ちているとしか考えられないほどに気持ちよさそうな声。 快楽を与える女に、また快楽そのものに隷属しきったような音に、心底ぞっとする。 きっと、彼女らに捕まれば、僕も。 そう思い、慌てて逃げようとするも、あまりの迫力に腰が抜けて立てない。 牙を剥き出しにして、骨の髄までしゃぶり尽くすと言わんばかりの犬耳に尻尾の付いた女。 ただ静かに、研ぎ澄まされた刀の切っ先のような視線で、僕を舐め回すように見る高貴そうな格好の女。 ピンク色のハートが浮かんだ瞳で、正気とは思えないほど痴情に歪んだ笑顔を浮かべながらにじり寄る痴女のような服装の女。 ──食われる。 捕まったが最期、種の一滴まで搾り尽くされて、吸い尽くされる。 決して解放なんかしてはくれずに、永遠に性奴隷として彼女らに輪姦され続ける。 そう確信しながらも、蛇に睨まれた蛙のように動けない。 はー……♡はー……♡ 荒く発情した呼吸までもが耳に届くほど、彼女らは僕の傍まで近づく。 四方を囲まれて、もう全く四面楚歌。 彼女らは顔を見合わせ、瞳だけで語る。 ──誰から、食べる? ぞっと、背筋が震える。 ──逃げなきゃ、とにかく、逃げなきゃ。 強く、その思いだけが体を突き動かす。 立って、走って、とにかくあの扉を開けて逃げ出そう。 その考えだけが先行して、椅子から立ち上がろうとした時に──足が縺れて、転んでしまう。 ああ、もう、駄目だ。 そう思いながら勢いよく反転する視界には、女達のいやらしい笑みだけが映っていた。 ──いただきます♡ そんな声が聞こえたような気がして、理性とは裏腹に勃起しきったペニスが震える。 食べられる。 貪られ続ける。 良いように使われる。 分かりきった自分の末路を想像して、体の芯が凍えるように冷たく、かつ火照るように熱い。 ──くそ、なんで、こんな事に。 もう何でもいいから、誰か、何か僕を助けて。 そう思い、床に倒れ込みながら、伸ばしたその手に。 何かが、引っかかる。 がちゃん。 思い切り倒れ込んだ勢いのまま、その何かは引き倒されて──。 ~~~~~~~~~~~~~~~ 双子幸魔の添い寝リフレ「ニュームーン・ナイト・ホテル」 真っ暗な部屋の中、薄い布団を被って寝転ぶ。 気温は少し蒸し暑く不快で、ついでに言えばなんとなく体も痒い。 身体の熱気を放出するために寝返りをうち、ついでに近くの置き時計を眺める。 ──02:28 ちょうど丑三つ時か、とやけにはっきりした頭で考える。 確か、寝床に入ったのは……10時過ぎくらいだったはず。 最近眠りが浅いから、早めに寝床に入ったのだ。 眠いのに眠れない。 布団に入ると、何故か眠気が薄れてしまう。 そして、昼間になるとやけに眠くなる。 そんな感覚に悩まされて、もう何日経っただろうか。 そんな状況を打破するため、今日はぬるめのお風呂に30分浸かり、眠る前にはホットミルクを飲み、安眠の効果があるというアロマを焚いて、万全の体勢を整えた。 これ以上ないほど準備して、これで眠れなければどうしようもない。 そう断言できるくらい、お金も時間も使ったのだ。 しかし、それでもこのザマだ。 ふぅ、とため息を吐いて、またスマホへと手が伸びてしまう。 理屈はよく知らないが、寝る前のスマホはブルーライトがどうのこうので良くないらしい。 どのサイトや本を見ても、「スマホは寝る前には触るな」と口を揃えて書いてあったから、よほど悪い事なのだろう。 しかし、何もせずにただ目を閉じて寝転んでいるだけというのは、退屈すぎて苦痛とすら言える。 だから何か、何でもいいから情報を脳に詰め込んで暇を凌ぎたい。 空腹時に詰め込むカップ焼きそばのような、そういう気分でネットサーフィンを始める。 とは言え、何か調べる事がある訳でもない。 何となくツイッターを開き、流し見しながら一番上までつらつらとスクロールしようとして──ある広告に目が止まる。 『こんな時間までお疲れ様です。お仕事が終わりませんでしたか?それとも眠れませんか?』 淡いフォントの字幕と共に画面に映るのは、作り物のように美しい、黒髪の女性。 はっきり言って、芸能人やアイドルにも比べ物にならないくらいに可憐で、艶やかで、色気に溢れていて、可愛らしい。 彼女はただ座っているだけなのに、有り得ないくらいにその座り姿は女の色香に満ち溢れていて、見ているだけで胸が高鳴ってしまう。 それほどの美女が、薄く微笑みながら天蓋付きのベッドに座って、こちらに言葉を投げかけていた。 寝不足でぼやけた頭で、恐ろしく美人だな、と漠然と思う。 普段はSNSの広告なんて気にもかけないが、なんとなくその声を聞きたくて、気がつけば広告を開いていた。 『人間にとって、夜は眠る時間です。自然に身を任せていれば、とろんとした眠気が貴方を包む事でしょう。ですが、それでも貴方が眠っていないというのなら、それはそれなりの理由があるのだと思います』 ──それは、凪いだ湖の深い水底のような、冷たくも落ち着く声だった。 画面の中の彼女は、美しく艶めく黒髪を流しながら、静かな声で、落ち着くペースと声の揺らぎで、言葉をゆったりと紡ぐ。 その音は鼓膜から胸にするりと落ちて、一欠片の抵抗もなく染みゆくような声が、不思議なことに脳の波形を滑らかに撫で付けていく。 『もし貴方にとってそれが不本意な事であり、本当はすぐに眠りたいのならば。何の邪魔もなく、何の懸念もなく、温もりと安心のままに、すとんと眠ってしまいたいのならば、私達が……』 画面が、時間経過と共に暗くなる。 それに合わせて、いつしか僕もこくり、こくり、と船を漕いでいた。 スピーカから流れる彼女の声が、僕の心をハンモックに揺らしてくれるような心地を産み、やがて、瞼を重みに任せて閉じて。 『……おや、ふふ。私の声が、貴方の休息の一助となれたのならば、これより嬉しい事はありません。また、私が必要となれば、その時は……』 時間経過と共にスリープモードとなって、スマホからの声がぷつりと途切れる。 だが、それを僕が再度起動させる事は無かった。 「うーん……」 夕暮れ時の駅で、一人佇んでスマホを睨めっこをする。 今日の朝は、不自然なくらいにスッキリとした目覚めだった。 おかげで午後に眠くなることも無く、仕事も集中して行うことができて、定時に帰路につく事ができてしまった。 この時間はちょうど部活帰りの学生が多いようだ。 仲間内で広がりながら談笑しており、少しばかり居心地が悪い。 別に僕が縮こまる事も無いのだが、おじさんが青春の邪魔をする罪悪感は、あの小さくて粗末な椅子に座る快適さを大きく上回っていた。 ホームの隅っこで小さくなりながら、懐からスマホを取り出して、開く。 いつものように、電車が来るまでの無為な暇つぶし──ではなく、明確な目的を持って指を動かしていた。 SNSを開き、ページをひたすら上下させたり、あるいは僅かな情報を頼りに検索をかけてみたり。 それでも、情報は出てこない。 当たり前と言えば当たり前だ。 なぜなら、それに関する記憶は『絶世の美女』『落ち着いて眠くなる声』『暗い寝室の映像』くらいしか無いのだから。 しばらくスマホと格闘して、画面を睨みつけて、必死に脳を回転させて──人の波が前に動いたのを見て、慌てて自分も電車に乗り込んだ。 遅れて中に入った僕は、座席に乗ることはもちろんの事、つり革すら掴み損ねて、ただ立って踏ん張る事を余儀なくされる。 ──まあ、多少は疲れた方がよく眠れるだろう。 自分にそう言い聞かせて、そこから連想して思い出すのは、やはり昨日見かけたあの広告。 全く眠れる気配のない状態から、声だけで僕を寝かしつけてしまったあの女性。 今日、仕事をしている時には彼女の事ばかり考えていた。 そればかりか、彼女の声と姿を思い出すと、何となく幸せなような気すらしてしまう。 何としてでも、彼女に関する情報が欲しい。 気がつけば、それほどに僕はあの美女に心を奪われていた。虜になっていた。 年甲斐もない話だが、一目惚れ、というものかも知れない。 少なくとも彼女の容姿と声は、それを引き起こすに十分なものだった。 ──が、それほど惚れ込んでおいて。 彼女が何をしている人間なのかを僕は全く知らない。 おかけで、僕のスマホの検索履歴は『黒髪 美女』『黒髪 美人 ウィスパーボイス』だなんて馬鹿みたいなもので埋まってしまった。 こうして何度か検索して分かった事だが、僕の陳腐な語彙で表せる程度の人間は、この世にごまんと居るらしい。 全く彼女とは似ても似つかないような、そこそこの美女がわんさと画像になって現れてくれた。 しかし、そうなると、もう手がかりはあの広告だけだ。 あれは何を宣伝するものだったのだろう。 それは分からないが、あの寝室とベッドの背景と、彼女の言っていたセリフからして、睡眠導入に関する事なのは間違いない……と、思う。 けれど、安眠のための何某かなんて、それこそ黒髪美女よりも溢れているだろう。 電車の揺れに耐えながら、ふぅ、とため息を吐く。 またSNSに同じ広告が出るのを待つしかないか。 ──と、諦めがついて彼女の事を脳の引き出しに一旦仕舞ったところで、別の引き出しに入れてあった再配達の申し込みの事を思い出す。 こういうものは、忘れないうちに頼んでおいた方がいい。 仕事用とは分けてある個人用のメールフォルダを開き、宅配業者からのメールを探す。 すると、真っ先に目に入ったのは見覚えのない宛先からのメール。 と言っても、毎日毎日大量に送られてくるような、一億円の当選だの知らない女からのセックスのお誘いだのの詐欺のメールではない。 宛先を見ても、そういうメール特有のただランダムに打ち込んだだけの不規則な英数字の羅列や、明確に有名企業のそれに寄せたアドレスでもない。 ──newmoon-night-hotel@monsnet.co.aln ニュームーン、ナイト、ホテル。 つまり、新月の夜のホテル。 はてさて、全く聞き覚えのない名前だ。 しかし、ホテルからのスパムメールとは珍しい。 それとも僕が覚えていないだけで、何か出張でビジネスホテルに泊まる時などに、安くなるクーポンを手に入れるためにメルマガ登録などしただろうか。 ……なんだろう、少し気になる。 まあ、よしんば詐欺メールだったとしても、添付されたファイルやリンクなどを開かなければ大丈夫だろう。 そう楽観的に考えて、一思いにメールを開いてみる事にした。 ──えっ。 瞬間、電車の中だと言うのに思わず声が出る。 そのメール内にあった埋め込みの写真は、確かにあの広告と寸分違わぬスクリーンショット。 つまり、そこに居たのは見まごうこともないあの黒髪の美女であった。 そうか、きっと寝ぼけてあの広告をタップしてメアドの入力などをしていたのだろう。 全く記憶がないが、寝る前の記憶なんて得てしてそんなものだ。 昨日の自分に拝み倒すほど感謝して、遠慮なくホームページへのリンクを踏むと、そのホテルの詳細が明らかになる。 要するにそのホテルが行っているのは──添い寝リフレというサービスらしい。 とは言っても、えっちな事をする訳ではない。 アロマなどを焚いた部屋で、ただ女性と添い寝して、その温もりや安心感で安眠を促すのが目的であるそうだ。 思わず、ごくりと生唾を飲む。 まさか、あの広告の女性ほどの美女が添い寝してくれるとは思わないが、それでもと期待をしてしまっているのは確かだ。 それに、単純に寝不足を解消するのにも良いかも知れない。 人間の体温を感じるだけでストレスが何割も減るというのは有名な話だ。 何よりも、今までは多くの安眠グッズを試してきたが、女性との添い寝までは用意する訳にはいかなかった。 しかし、このお店ならば、それができる。 正直に言うと、女の子と添い寝するのはかなり小っ恥ずかしいと気持ちもあるが、試してみる価値はあると思う。 そして、料金も初回なら──なんと、2000円で部屋を出るまで永久フリータイムだそうだ。 つまり、時間さえ許すならば、3日ぶっ通しで眠り続けても構わないという事。 そんな低価格にも関わらず、サービスの品質は説明を見る限り決しておざなりなものではない。 添い寝をしてくれる女性スタッフさんはお客さんを癒すための専門の研修──添い寝の研修って何をするんだろうか──を受けているそうだし、ベッドも聞いた事もない海外ブランドの最上級品質のものらしい。 安眠のアロマも独自のもので、甘いミルクのお香だそうだ。 そんな高品質のサービスに対してあまりにも安い、地方の最安値ビジネスホテルにすら勝るほどの価格に少々の恐怖は感じなくもないが、どうもこれは初回限定価格らしい。 次からはちゃんと一泊で五桁円はかかるそうなので、そう考えるとリピートを前提とした強気の商売と言える。 それほど心地よいのだろうか、と考えるとますます興味が募ってしまった。 ──よし、行こう。近場なら今日行こう。 財布に残金の余裕があるか確認して、都内、いや関東圏なら家に帰らずホテルに直行する事を決める。 早速ホテルの場所を確認する……が、検索にかけても全くヒットしない。 マップ上にはもちろん、今見ているサイトすら引っかからない。 おかしいな、と首を捻りながらホームページからアクセス情報を探す。 すると、そこには。 ──最寄りのタクシー乗り場から、当ホテルへの無料送迎タクシーが出ております。是非そちらをご利用下さい。 と、それだけ書いてあった。 考えるまでもなく明らかに不自然というか、そもそも最寄りのタクシー乗り場なんてサイトを見る人によって全く違うと思うが、そうとしか書いていないから参ってしまう。 流石にそんなことは無いだろうとページを隅々まで探し回ってもホテルがどこにあるかすら全く情報がなく、ただ送迎タクシーで来いとしか案内がない。 参ったな、とぽりぽりと頭を搔いて途方に暮れる。 そして、そうこうしていると自宅の最寄り駅に着いてしまった。 そのまま電車に乗り続ける訳にもいかず、人の流れに身を任せながら自宅方向への出口へ向かう。 ──まあ、別に今日行かなければいけない訳でもないから、家に帰って調べよう。幸いにも今日はまだ早いからその時間はたっぷりとある。 そう考えながら、そう言えばこっちの出口にはタクシー乗り場があったかと思いついた。 まさか何の予約もしていないのに送迎タクシーが居るわけも無いが、折角だから覗いてみようとふらり立ち寄ってみると。 「お客様でございますか?」 突然に、そう声をかけられる。 驚いて振り返ると、そこにはフェイスベールを着けた、僕より頭一つ分以上も大きな長身の女が居た。 全身を黒い服に包み、顔にはこれまた黒い布を垂らし、明らかにマトモではない。 しかし、僕はその女性を見て、危険を感じるよりも先に。 ──美しい、と。 そう、思ってしまった。 そのどこかエキゾチックな黒服に包まれた肉体は官能的の一言に尽き、雌らしい起伏が途方もなく母性的な柔らかさを漂わせている。 そして、夜の闇が流れているかのような黒髪は、あの広告で見た女性に勝るとも劣らない艶めきがあり、不思議な色香が漂うかのよう。 更には顔立ちだが……これは、黒いフェイスベールに阻まれて伺い知る事ができない。 しかし、間違いなく天女のような絶世の美女であると断言出来る。 気がつけば、周りの喧騒が全く耳に入らなくなっていた。 それどころか、常世と隔絶されたような感覚すら感じる。 まるで僕を幽世に連れ去る異次元の存在であるかのような、彼女自身の持つ雰囲気がそうさせているのだろう。 彼女の持つ、心地よい闇色の雰囲気に呑まれて立ち尽くしていると、手をゆっくりと取られてどこかへ導かれる。 シルクの、いや、それよりももっと上質な、滑らかな肌触りの長手袋の感触が心地よい。 それに、その奥にある暖かな体温や、細くしなやかでありながらも柔らかな、女性特有の手の感触にどぎまぎしてしまう。 その手を振り払ったり逆らったりなんて考えることもできず、ただ彼女の淑やかな歩みに流されてゆく。 「……どうぞ、お入り下さい」 気がつけば、僕は黒塗りの車の前に立たされていた。 窓もフロントガラスも黒いスモークが張られた、暗闇が形になったかのようなタクシー。 黒一色で、見るも不気味な──はずなのだが、どうにも僕はそれに対して不信感や危機感を抱く事ができず、何故か気負うことも無くするりと後部座席へと座ってしまった。 音もなく、扉が閉まる。 運転手は、あのフェイスベールの女。 そして隣には、またフェイスベールの女が──これは同一人物なのだろうか。顔が見えない事も相まって見分けがつかないが、身体や容姿は先程の女と同じに見える──ただ座っていた。 「では、出発致します」 ──発進、したのだろうか。 あまりにも静かな上に、窓やガラスが黒く濁っており、外の景色が全く伺い知れないので分からない。 外にあるはずのビル群も、落ちかけてオレンジ色に輝く太陽も、行き交う人々や車も、何も見えない。 そもそも、視界がこれほど制限されているのに出発していいはずがない。 そんな事をすれば、事故を起こさない訳がないのだから。 本来ならば、そんな訳の分からない車に乗せられれば、気が気でないだろう。 しかし、何故か僕は落ち着いて、自室にいる時以上にリラックスした感覚を覚えていた。 隣の女を、ちらりと見る。 そして、ごくりと生唾を飲んだ。 横から見ると、その細身の身体に対して、突き出た肥沃な乳のラインが凄まじい。 ありえないほど馬鹿でかく、性欲ギトギトの自慰目的の漫画に出てくるように肥った淫肉なのに、どこか美しさや瀟洒さすら感じるほどに綺麗な溶岩ドームの形で、下品さは微塵も感じられない。 しかし、だからと言って性の雰囲気を感じさせない訳ではない。こんなむちつく淫肉を携えておいて、そんな訳がない。 シートにむんにりと潰れて横に広がった尻肉などは、まさに駄肉と表現するのがぴったりな、ただ柔らかいだけのセックス専用媚肉である事は明らかだ。 その情欲を誘うところばかりに肉がたっぷりと実った身体は、静かに音を昂らせて、狂わせる。 横から覗くだけでも見るからに極上な、妖しくてどこか仄暗い雌の色香をぷんぷん振り撒く女は、何も言わずにただ、じっと座っている。 そんな女に対して、僕は何となく、一つの確信を抱いていた。 ──恐らくだが、彼女は何をしても抵抗することは無い。 その無礼なくらいに突き出した乳を、もっちもっちと捏ね回しても、いきなりフェイスベールを捲って下品に吸い付くベロキスをかまして口を陵辱したとしても。 優しく受け入れて、ただそれだけ。 この車内のやけに静かな、無音より静かなほどの空気は変わらず、粘ついた官能によって湿度がただ増すだけだ。 「……宜しければ、着くまで、如何でしょうか?」 だからこそ、ぽんぽんと太ましい腿を叩く彼女の誘惑に、逆らう事はしなかった。 ふらりと彼女の傍に寄り、そのままぽむんと肉枕へ倒れ込む。 ぽよんと沈み、跳ね返し、暖かくて、柔らかい。 雌の肉々しい太ももの感触が、淫蕩な熱を持ちつつも、驚くほど安心して気持ちがいい。 不可思議な安堵感を抱いたまま、何の躊躇もなく顔をお腹側に顔を向け、その肉の犇めく三角地帯の匂いを嗅ぐようにして、身体を預けた。 「どうぞ、ごゆっくりお寛ぎ下さい……」

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何を書こうか迷ってます/それぞれのssの内容

こんにちは、だいこんです。

迷っています。何を書こうかと。

具体的には300円コース支援者様向けのものの題材で迷ってます。


アイデア自体は色々とあります。

これまで有償リクエストやお仕事の小説を書くことが多くて、自分で考えたプロットのものを投稿してこなかったんですよね。

なので、自分で思いついたアイデアを小説にする機会があまり無くて、メモが肥えるばかりでございました。

具体的には、一本のssとして書けそうな内容のメモが100個強あります。

なので、そろそろこれらを消化したいのですが、どうも「これだっ!」と思うものが見当たらないんです。100個強もあるのに。

これはえっちssを書いてる人あるあるだと思うのですが、ssのアイデアは思いついた瞬間の一番熱量がある時に書かないとダメなんですよね。後から見るとなんかつまらなく思えるのと、なにが書きたかったのかがぼやけちゃうので。

これが発酵と腐敗の違いなんですかね。わかんないけど。


で、迷ってるので、導入だけ色々書いてみてピンときた物を書く感じにしようかなと思い、今いろいろ書き囓る作業をしています。

導入を次々と書き散らかして、なんとなく概形を掴む感じで、その後の構成がちゃんとエロくなるか確認するみたいな。実際は言葉ほど大したものではないですけど。


そういう訳で、何個か導入がありますので公開すると共に、ここにどういう話かだけ書いておきます。

続きを妄想する際に一助となれば幸いでございます。


please don't touch anything because……


急に気取ったタイトル付けてスカしやがって、と思われるかも知れませんが、こちらのssは元ネタがあります。

そのまんま、「please don't touch anything」っていう謎解きパズルゲーム的なやつですね。確かsteamで売ってたと思います。3DのVRバージョンもあるとか。


このゲームがどういうものかと言うと、元ネタの方を検索してyoutubeか何かで動画とかを見て頂ければ分かると思うのですが、要はスイッチやボタンを押して世界を色々な方法で滅亡させるゲームです。

大体の人が最初に辿り着くエンディングでは、初っぱなから核爆発でビル群が吹き飛ぶのですが、今回のお話はそれのパロディなのでそのエンディングを踏襲して、かつ当然死人なんて出ないので、色々あって人外娘さんが溢れる世界になっちゃいます。

で、なんやかんやあって、最後はリセットのレバーを引いて……っていうのが導入までのお話です。


この先は、色々なエンディングを回収させられて、色々な方法で人外娘逆レ世界滅亡エンドを見せられて、その度に貞操からがらリセットのレバーを引いて。

そして、最後にエンディングを全て回収し終わったら……っていうやつです。


本編を読んで頂けたら分かると思いますが、原作のちょっとしたホラー風味が好きなのと、理不尽逆レものを書きたいなと思ったのでかなり暗めの雰囲気になっています。たまにはじっとり暗めなのもいいかなって。


ちなみに、こちらの作品はもうオチは決めていますが、直接的なえっちシーンは最後まで無いと思います。

これからめちゃくちゃ犯される……っていうのを示唆してフェードアウトするみたいな終わり方になるかなぁ。



双子幸魔の添い寝リフレ「ニュームーン・ナイト・ホテル」


こちらは見て分かりますね。何のパロディでもないです。いつものコテコテなタイトルは分かりやすくていいなあ。


こちらのプロットは、実はとあるdiscordのサーバーに既に投げてあるんですよね。なので、そのサーバーに居る方なら、もしかしたらタイトルでピンと来るかも。

そのプロットは別に隠してる訳でもないので、こちらに全文載せても全然良いんですけど、思いっきり中核になるセリフとかが入ってるのでハチャメチャにネタバレになってしまって、読むとじゃあ完成したやつも読まなくていいやってなるレベルで面白くなくなると思います。

なので、プロットはもし公開するとなるとこれを全文書いた後にプロトタイプとして公開する形になりますね。


で、あらすじなのですが、ここでは前述した通りネタバレとして面白くなってしまわない範囲での軽いものにしておきます。ご了承下さい。


まず、今回のヒロインは幸魔と呼ばれる種族の特殊なサキュバスになります。

こちらの幸魔さんは、サキュバスのように精をエネルギー源として摂取するのではなく、人間の感じる幸せという感情を糧とします。

なので、幸せを与えるために搾精する事もありますが、基本的には無茶な搾精をしたりはせず、するとしてもただ幸福を与えるためにゆったりと射精させてくれるだけの一見安全な生態をしています。

そんな幸魔さんの双子が、添い寝しながら癒してくれるというホテルに不眠症の主人公は連れられて……というお話です。


こちらのお話はオチはまだ決まっていないのですが、実はこれもあんまりえっちシーンを書く予定は無かったりします。

しかし、上のやつとは違って一応ちゃんと射精シーンはあります。

が、どちらかと言うと、これはえっち主体というよりかは幸福感とか多幸感とか安心感とかをテーマにしたssなので、それに絡めた感じの射精シーンになると思います。

なのであんまり抜き目的には使えないかも。ごめんね。



とりあえずはこんな感じでしょうか。

今日のところはこの二本になりますが、また後日に何本かの導入をまとめて投げると思います。

どれから書くかは自分でも分かりませんし、もしかしたら全く別のアイデアを思いついて書き始めるかも知れません。

ですが、自分の性格上、導入だけ書き終えたssは放っておくのが勿体なくてさっさと書く可能性が高いです。

しかし、確証はないのであんまり期待はせずにお待ち下さい。

そろそろ淫堕教の二話とかむちむち偏執女の後編とかも書かなきゃだしね。


と言うことで、今日はこのあたりでさようなら。

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同人ゲームの文章を書かせて頂きました!&読む前にちょっと注意書き

こんにちは、だいこんです。

タイトルにもある通り、今回はえっちなゲームに使う文章を書かせて頂きました!いえ~い!

実は結構前からこのご依頼は来ておりまして、ちょうど今日納品が終わったんですよね。そして、今回FANBOXに掲載してもいいと許可を頂きましたので、内容を上げさせて頂きます!

なお、こちらは宣伝として発売された時に全体公開するかも知れないので、500円支援者様向けに公開させていただきます。


で、書いた感想と致しましては、結論から言うとかなり難しいですね。普段は地の文ありの小説やセリフのみの小説を書いている僕ですが、ゲームの文章はまたそのどれとも違って大変です。けっこう苦戦してしまいました。

何故かと言いますと、キツめの文字数制限があるんです。

ゲームなのでもちろん文章はメッセージウインドウに表示されるのですが、そこに入るのが一行28文字で三行まで、つまり84文字しか無いんですよね。改行しちゃうともっと狭まるし。

なので、いつもみたいにグダグダと地の文を伸ばしまくるのも出来ないし、セリフの物量で押すのも出来ないし、テンポの事を考えると地の文やセリフが連続し過ぎても良くないし、説明セリフも感情描写も最低限にしなきゃいけないし、でもエロくしなきゃだし……とだいぶ頭を悩ませながら書いていました。エロゲーのライターさんって凄いんだなぁと思った次第です。


さて、今回書いたシチュとしては、愛情とかは無くレベルドレインと共にパイズリ搾精されて、そのあとレベル貢ぎ奴隷にさせられるような内容になっておりますので、苦手な方はご注意下さい。逆に言うとハードマゾの方は楽しめるかと思います。

今日掲載するのは誘惑に従う選択肢を選んだ時のシチュですが、これに抗って戦闘に入ってから負けると、えっちシーン自体は変わりませんが、負けた時専用のちょっとした魅了シーンも見られます。それは製品が発売された時に見てみて下さいね。


それではさようなら。

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八月の予定

こんにちは、だいこんです。

皆様いかがお過ごしでしょうか。八月はめっきり暑くて嫌になりますね。雪女さんや氷の妖精さんが彼女に欲しいものです。でもそれだと冬はちょっと困るか。


さて、今月の予定なのですが、投稿ペースはそこそこ上がると思います。というのも、実は僕はまだ学生でありまして、なので八月は夏休みなんですよね。ヤッピー。その上、皆様に支援して頂いているおかげでバイトにも行かずに済んでいますので、執筆活動にかなり時間が取れそうです。本当にありがとうございます。有償のご依頼も粗方終わりましたので、先月、先々月とコンテンツを上げられなかった分、今月はたくさん投稿しようと思いますのでご期待下さい。


では、今月のなんとなくの予定です。(これ、毎月やってるけど守れた例しがありませんね。話半分に聞いてやって下さい)


☆300円支援者様向けコンテンツ

・ちょっとしたss(昨日上げたような短めのもの)

なんとなく皆様も勘づかれていらっしゃると思いますが、最近はssを書こうと思うとめちゃくちゃに長くなるんですよね。直近の四つのリクエスト作品の文字数なんて、古い物から51562文字、55157文字、72813文字、47503文字ですからね。なげ~の。サキュバスシスターさんのお話とか、ノクターンに投稿する時に短編の上限文字数に引っかかって投稿できませんでしたからね。短編って70000字までなのね。

まあ、これはこれでボリュームがあって悪いわけではない……と思いたいのですが、50000文字もあったら読む気を無くす方も相当数いらっしゃると思います。と言うか、僕も50000字とか推敲する時に読みたくないし。誤字脱字は無いかな、とか話の整合性は取れてるかな、とか描写に矛盾はないかな、とか気を遣って読んでると、かなり集中力が削られて大変なのにシークバー動かなすぎて笑っちゃうんですよね。「いや、五条悟の領域展開かい」って深夜に一人でツッコんじゃう。フルマラソンで「いや~、めちゃめちゃ疲れたけど結構走ったよな……。折り返し地点くらいまでは来たかな?」って思ってたらデカデカと「5km地点」って書いてある立て札が見えた気分になります。一気に気が抜ける。


くだらない話を長々としてしまいましたが、要は5000~10000文字くらいの文字数に収める練習をしたいという事です。その文字数練習を投稿しますので、お楽しみ頂けたら幸いです。


・今まで書いたssの設定集や裏話

これまでの一年と二ヶ月ほどで、FANBOX限定公開のものを含めて31本のssを書きましたが、そのssのヒロインや世界観の設定について垂れ流したりもしてみたいな、なんて思います。

とは言っても、僕自身あまり設定を練らない方なのでそんなには書くこともないかも知れませんが。


・ssの書き方・テクニックなどのメモ書き

要は書き方講座的な、そういう物です。ただのインターネット落書きマンの僕なんかが偉そうに講釈垂れてもな……とは思いますが、自分のssを見返してより良いものを提供できるように研究する意味でもやってみたいと思っております。が、僕は特に何か難しい事を考えながら書いている訳でもないし、そもそも理系なので文章を書くことについて学んだことも無いし、何なら本も新聞も全く読まなくて文章についてあんまり触れてもいないので的外れな事を書いちゃうかも。まあ、素人なりの考えを書き出してみるという、今までよりもっとえっちなssを書くための修行のようなものを、折角なので共有できたらなというだけの試みですので、あんまり参考にはしないでね。


☆500円支援者様向けコンテンツ


・むちむち偏執女の後編

これ、早く書かなきゃなとは思っているのですが、まだ一文字たりとも書けてないんですよね。プロットは頭の中にあるのでとっとと書きたいところです。あんまり放置してると頭から抜けちゃうからね。


・淫堕教の二話

これは後々にどう繋げるかなどをちょっと思案中なのでもう少し時間がかかるかも。一応オチと言うか、結末は既に考えてあるので、そこに向けてどう進むかって感じなんですよね。考えてある設定とか、やりたいシチュエーションをどう活かすかとかも難しい……。

あと、連載って短編みたいに一話完結じゃないけど、一話の中に山場と次に繋げるための引きが必要なので大変なんですね。週間連載の漫画家さんとか凄いなぁ。


・モンスターハウスシリーズの新作

地獄の鬼娘さんのやつです。これは本当にお待たせしてしまっておりますね。ごめんなさい。と言うか、途中経過を発表したの二月なんですね。もうそんなに経ったの?こわ~……。てっきり五月くらいに発表したと思ってた……。

これは、しばらく展開に悩んで凍結してたのですが、ようやくいい感じの設定とシチュを思いつきました。なので、前に発表した進捗からはちょっと変更点があるかも。お楽しみに。



……と、やりたい事を羅列してみましたが、全部やるのはどう考えても無理ですね。多過ぎ。分身したいです。

あと、そのうち同人誌とかも作りたいし。絵の依頼とかいくらぐらいが相場なのかな?


と言うことで、この中のどれかをやるっていう感じです。一応優先順位の高い順に書いたのでご参考までに。

では、そんな感じで宜しくお願いします。

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魔王様の日記

下霞の月 28日 今日は、道端で人間の男を拾った。余の統治する領土で、それも余の城の近くで無警戒にうろつくなど言語道断だ。即刻配下に取り押さえさせて枷を嵌めてやった。 しかし、この人間はどこから現れたのだろうか。もしや、余を打ち倒す為に送られた勇者とか呼ばれるものなのだろうか。普通そういう者はこの魔界深くの城まで辿り着く前に他の魔族に娶られるため、この目ではまだ見たことがないのだが、なるほど確かに上質な魔力を秘めていて美味そうだ。しかし、こいつはやけに女神の力が篭った剣を持っていたが、余を見てもそれを鞘から抜こうともしなかった。そんな大仰な剣を持っておいて、何故使わなかったのかは分からぬが、そのあたりは尋問でもすれば分かる事だろう。まあ、そんな物を振られても傷一つ付かぬだろうが。 さて、余の城にほど近い場所を、よもや聖剣などを持ちながら闊歩しているという事で、本来なら処刑でもするのが道理なのだろうが、人間に対してそんな事が出来るはずもない。が、かといって放置する訳にもいかぬ。仕方がないので連れて帰る事にした。 連れ帰る時に人間はかなり怯えた様子で、泣き出しそうな顔をしていた。それを見た配下は必死にあやそうとしていたが、そんな事は必要ないと睨んでやると、かなり不満げな顔をしつつも棒付き飴を懐にしまった。そんな物をどこから取り出したのだろうか。大方空間接続魔法を使ったのだろうが、人間を泣き止ませるためだけにそのような大魔法を使うとはなんとも戯けた奴らだ。 さて、人間の処遇だが、所属やあのような場所に居た目的を聞き出すために尋問をしなくてはならない。適当な配下に任せて牢屋にでも閉じ込めておけばよいのだろうが、どうせ奴らは人間を甘やかす。尋問どころか質問にもならないだろう。なので、余の部屋にとりあえず連れ帰り、奴隷として飼う事にした。人間を奴隷として飼う魔王は例外なく堕落すると言われているが、下らない迷信だ。そんなものを信じるほど余は愚かではない。 人間に、まず間違いなく死ぬまでお前は余の奴隷として生きる事になるだろうと、そう伝えるといよいよ青ざめて泣き出してしまったが、やはり泣かれると余としても少々弱い。人間というものはどうしてこうもか弱くて可愛いのかが分からぬ。とりあえずは気が済むまでそうしていろと伝え、執務に戻ることにした。 しかし、こうして人間を間近で観察すると、やはり人間は可愛くてかなわぬなと思う。配下のように魔物としての本分を忘れ、人間をひたすら甘やかして可愛がるだけにならないようにしなくては。まあ、魔物は放任主義であるし、平和な魔界では余の仕事は多くないので、別に人間にかまけて仕事をほっぽらかしても何か特別に不都合がある訳でもないのだが。 下霞の月 29日 奴隷にした人間だが、執務から帰ると居心地悪そうに地べたのカーペットに座っていた。ソファーに勝手に座るのは良くないと判断したのだろう。愚かな人間にしては、中々立場を弁えた奴だ。気をよくしたので、今日からはそこのソファーなら使ってもよいと言ってやると、少しだけはにかんで余に感謝を伝えてきた。その後はしばらく地べたに座ったままソファーをちらちらと見つつ、余が何も言わぬと確認すると恐る恐るソファーに座っていた。 なるほど、人間とはかくも可愛げのあるものなのか。率直に言って、見ていてかなり気分がよい。余の事をある程度恐れ敬いつつ、適当に図々しいのがいい。配下が余を畏れるような態度とはまた違う、いかにも人間らしくおどおどとした態度は見ていて胸がすくような感覚だ。 人間は魔物にもよく懐くと聞くが、こやつも余に懐いたりするのだろうか。菓子でも与えてみるか? 人間はソファーの上で膝を抱えながら持て余したように座り──人間は小さいので、魔族の中でも身長の大きな余に合わせて作られたソファーは少々大きすぎたようだ。小動物じみている──しばらく余を見ながらじっとしていたが、いつまでも放っておく訳にもいかない。余は人間の隣に座り、尋問を開始する事にした。 結論から言うと、人間への尋問は拍子抜けするほど簡単に終わった。こちらの質問には特に反抗することも無く答える上、そもそも魔術への耐性が全くない為、心の中で何を考えているかも読心の魔術であけすけに見えるのだ。無防備な奴である。 こやつはどうも田舎の生まれで、戦闘の知識や腕も全くない、清々しいほどの一般市民らしい。早くに親を亡くして孤児院で育てられ、これから独り立ちというところだったそうだ。それが突然女神の啓示とやらを受けて勇者に仕立て上げられ、聖剣を持たせられた後にろくな説明も受けず、気付けば瞬間移動の魔術で余の城の周辺に放り出されたという事だ。 これらの事は質問すれば嘘偽りなく答えた。こやつはいかにも純朴で嘘をつくという発想もないようだが、尋問の必要が無くて楽でいい。頭を撫でてやると嬉しそうにしていた。本当に小動物のような奴だ。 こやつは確かに戦闘能力が全くなく、驚くべき事に鉄どころか岩すらも砕けないらしい。そんなに無力で生きていけるのかと不安にすらなるほど弱く、魔族に傷など一つも付けられないのは明白である。しかし、聖剣を持たせられているという事は、つまりそいつが勇者である事の証明であり、人間側からの宣戦布告である。これは我々も魔族として無視する訳にもいかない。 通常は勇者というものは自然発生する確率は極端に低く、数十年に一人居れば多い方である。それとは別に、女神からの啓示で勇者として後天的に覚醒する場合があるが、これは世界に10人しか同時に存在する事ができない。逆に言うと、勇者が死んだ(今までそんな事例は存在しないが)時や、勇者が魔族にエナジードレインの搾精を受けて勇者の力を吸われた(今までの勇者は全てこのパターンでやられている)時には他の人間が勇者になれるという事でもある。 別に勇者によって我々魔族が害される事はないが、一応人間と魔族は形式上の敵対関係にあるため、人間軍の尖兵となる勇者は倒さねばならない。そして、勇者の力を研究するため、出来れば生け捕りにしたい。いや、正確には生け捕りにした後に我慢できず搾精してしまって勇者の力を吸い出さないような理性の強い魔物に生け捕りにさせたい。我々魔族がそう考えている事は人間側も知っているはずなので、こやつは言ってしまえば生贄のようなものなのだろう。勇者はくれてやるからしばらく侵攻してくれるなという政治的な交渉材料にされたに違いない。哀れな奴だ。 今日分かったのはこれくらいだが、あまり一日で多くの事を聞いても人間には負担になるだろう。人間はストレスにひどく弱く、体も予想を遥かに超えて軟弱だと聞く。この日は尋問をこれで終えて、飯を食わせてソファーで寝かせてやった。故郷のベッドよりもふかふかだと喜んでいた。本当に可愛げのある奴だ。媚びているのだろうか。 下霞の月 30日 余が目を覚まして奴隷の様子を見ると、奴はまだすやすやと眠りこけていた。主人たる余よりも遅く起きるとは何事だ……と思うより先に庇護欲のようなものが湧き、もう少し寝かせてやるかとはだけた布団を直して、先に余の着替えを済ませた。我ながら少し甘いだろうか。しかし、こやつの幸せそうで無防備な寝顔を見るとどうも起こす気にはなれぬ。冷血無比たる余にここまで情を抱かせるとは、恐ろしい奴だ。 奴が起きた後は、共に朝食を摂った。奴はひ弱な人間であるから、三食きちんと摂らせねばならぬ。しかし、奴は奴隷であり、余は主人であるから、同じテーブルで食べる訳ではないし同じ食事内容でもない。余が豪勢な朝食を食べた後、奴は小さな奴隷用のテーブルでみすぼらしい食事を食べるのだ。 とはいえ、奴にとってはこの小さくて粗末なテーブルでも豪華に見えているようであるし、むしろ余の使っている家具は大きすぎるため、こちらの方が体格に会っていて使いやすいとすら思っているようだ。それに、食事の内容にも随分と喜んでいた。しきりに余に感謝しながら急いで頬張るので、喉に詰まらせないかハラハラしたものだ。チョコレートのクロワッサンとバターとジャムと葡萄のジュースだけの朝食がそんなに嬉しいのだろうか。喜色満面といった顔であった。 なんと言うか、こう、こやつを見ていると心の奥の柔らかくて敏感な部分を擽られるような心地だ。何でも喜ぶから世話のし甲斐があるし、仔犬のように見るからに懐きやすそうであるし、何か甘やかしたくなる本能が掻き立てられる。これは確かに人間の魔性だ。これを跳ね除けるのは魔族にとっては中々酷であろう。聞くところによると、あまりに愛おしく思い過ぎて人間の奴隷を情夫のように使ったり、あるいはこちらから悦ばせるように愛してやったり、あまつさえ結婚までする魔族も相当数居るそうだが、そんな事は言語道断である。 そう、余は魔王である。恐怖の象徴、そして絶対的強者でなくてはならぬ。人間に惚けて力を削ぐなどあってはならない。努めて心を鬼にしてこやつには接しようと思う。 ところで、人間には間食が必要と聞く。棒付き飴を拵えてきたのだが、食べるだろうか。 上焔の月 1日 そう言えば昨日は尋問をしていなかった事に気がつく。奴に飴を渡したら大層喜び、にこにこと頬を綻ばせていたが、それが悪い。思わず奴を膝の上に乗せ、頭を撫でくりまわしていたら一日が終わっていた。時空魔術の攻撃を受けたのかと思ったが、奴を撫で回す事に夢中になっていただけのようだ。この余にここまで牙を折らせるとは何とも恐ろしい。奴を膝の上に乗せて撫で回すのはこれで最後……いや、2日に1回2時間のみにする。 さて、昨日はすっぽかしてしまったので、今日こそは尋問をしなければならない。早速奴の警戒心を解き、嘘偽りなく答えさせるために膝の上に乗せてやり、なるだけ猫なで声で頭を撫でて質問してやる。 ちなみに、これは尋問のために必要な事であるため、前述の2日に1回というカウントには入らない。 尋問するとはいえ、こいつは何も知らないのではっきり言ってあまり聞くことも無かったが、一応好きな食べ物でも聞いておいた。甘いものが好きらしい。棒付き飴は無駄ではなかったようだ。 尋問に素直に答えられた褒美として、今日はバターたっぷりのクッキーを与えた。本当は余が執務の合間に食べるための間食であったが、まあ、たくさんあるし構わぬ。 与えるとリスのように両手で持ってサクサクと頬張っていた。余の膝の上で食べていたので欠片がぽろぽろと落ちていたが、それもまた愛嬌である。その程度で怒るほど余は狭量ではないという事だ。 そう言えば、尋問をしていない時は奴隷を放し飼いにしているが、少し退屈そうにしている。膝の上に乗せて執務している時は構ってやれるから良いのだが、余は魔王という立場もあるから会議などで席を外す事も少なくはない。魔族の言語で書かれた本は読めないだろうから、何を与えようか。こやつはまだ小さいから玩具が良いだろうか?検討の余地有り。 上焔の月 2日 起床すると同時に奴隷の寝顔を眺める。実に無防備な寝姿で、余に寝込みを襲われるなどと微塵も考えていないのだろうと容易に理解できる。この寝顔を朝から見ると実に和やかな気分になり、精神衛生上大変良いため、日課にする事をここに決めておく。毎日一時間ほど眺めようか。 ところで、そろそろ奴隷をソファーで寝かせるのも何となく心苦しいものがある。今度からは余のベッドで共寝でもさせてやろうか。人間は体が弱いからしっかり暖かくして眠らないとすぐに病気になると聞く。ソファーで眠っている時も上等な布団を掛けてやってはいたが、やはり人肌の温もりが一番よいだろう。奴隷は幼い頃の甘えたい盛りに親を亡くしていたそうだから寂しい思いもしているはずだ。奴は大人しくしているし、余が直々に慈悲を与えてやってもよい。 なお、これは決して可愛いから甘やかしている訳ではない事は明記しておく。……これはただ余が見るだけの日記だから、こんな事を書いたところで誰に文句を言われる訳でもなし、弁解する必要も無いか。 そう言えば奴の事は奴隷という立場にしてはいるものの、何かをさせている訳でもないという事に気が付いた。奴隷と言えば余が絶対的な主導権を握っているように聞こえるものの、何もさせなければただの穀潰しになり、余が一方的に飯を与えているだけという事になる。何か役割を与えてやらねば。 魔族が人間を奴隷にする理由は専ら愛玩するためだが、こやつはどうしてくれようか。労働奴隷にはさせられないし、やはり愛玩奴隷にでもしてやろう。あの小動物はペット程度が丁度よい。 という事で、これからは奴隷として役割を与えるため、毎日奴を腕の中に抱いたり、頬を撫でたりもちもちしたりする事にした。もちろん眠る時は抱き枕だ。繰り返すがこれは役割を与えるためであり、甘やかしている訳ではない。よって、2日に1回だけ膝の上に乗せてよいというルールは廃止する。 こやつは本当に抱くのに丁度よい。ぬいぐるみのようなサイズ感で胸の中にすっぽり収まるし、ほかほかと暖かいので抱いていて非常に心地よい。頬も柔らかいし小さくて可愛らしいし頭も丸っこくて撫でやすい。百点満点の愛玩奴隷だ。無限に甘やかして……いや、愛玩してやれる。やはりこやつは愛玩奴隷がぴったりだ。これからもそうしてやる事にする。 しかし、こうして抱いてやっても大人しくじっとしている、いや、それどころか嬉しそうな顔で甘えてくるというのは驚異的な人懐っこさだ。ペンギンでももう少し警戒心があるというものである。こんな間抜けでは外に出たらすぐに騙されてしまうだろう。余がしっかり見てやらねば。 上焔の月 3日 昨日から奴を抱き枕にして眠る事にしたが、とても良い。毎日やる。奴を招き入れた日からすべきだった。反省する。 奴を胸に抱いて眠ると、大変心が落ち着く。なんと言うか、いい匂いがする。懸念事項として、しっかり抱くと奴の頭が余の胸に挟まる事になるが、嫌がってはいなかったのでまあよいだろう。苦しくないとよいのだが。 それから、食事の時も余の膝の上に乗せて、余の食事を少し分けてやる事にした。余が手ずから食事を与えて、それを雛鳥のように食べるのを眺めるのが楽しいからである。結果的に奴隷の立場でありながら余と同じテーブルで、余と同じ食事をさせる事になるが、まあ別に構わぬ。その程度で気を悪くしたりはしない。そんな事よりも、明日からはあやつの好物を多めにするように料理人に言いつけておくのを忘れないようにしなければ。 さて、今日は直属の配下を集め、会議を行った。内容は、人間が喜ぶ玩具についてだ。その内容のため、呼び集めたのは人間の奴隷(または伴侶や恋人、拗らせた者だと息子や兄弟としている者も居るが、ここは呼び方や扱いの違いなので構わない)を所有している者に限った。 普段の会議ではやる気の"や"の字も出さないような奴らだが、余が議題を発表すると目を爛々と輝かせて様々な意見が飛び交った。かなり身のある会議となったので、普段の会議もこれくらい進むとよいのだが、と零したら目を背けられた。戯けた奴らだ。 ここに会議で出たアイデアを書き留めておく。 人間用に翻訳した本→本を読む文化が無い場合はあまり複雑な本だと取っ付きづらい。普段読んでいる魔術の専門書などは論外。余が書いた魔術の論文を読んでほしい気持ちもあるが、魔術は人間にとって馴染みがないから興味を抱かれるとは思いにくい。諦めるしかないか。後々どんな本を与えるかの会議も行いたい。 人間用にチューニングした魔法石→人間でも簡単に魔術が使えるという点では良いが、手からちょっと火を出せるくらいのものが果たして喜ばれるだろうか?人間は魔術に憧れるというが、もっと楽しげなものや派手なものの方が良いだろうか。例えば自分で花火のような光を自由に出せるものなどは取っ付きやすいと思われる。要検討。 人間用の玩具(トランプやチェスなど)→やはり人間には人間用の玩具が合っているという意見は最もである。しかし、例に挙がったものは二人ないし多人数で遊ぶものが多いように思われる。今回のコンセプトは余が不在の時に人間が一人で退屈を潰すというものなので、適当ではないかも知れない。やはり人間は誰かと遊びたいものなのだろうか。余が居る時は付き合ってやってもよいが、その時はかなり手加減してやらねばならないという懸念もある。保留。 世話係のゴーレム→確かに適当に遊び相手として互角に成立するくらいの知能にセットしたものを置いておけば、人間も適当に暇を潰せるし寂しくもないだろう。これなら二人で遊ぶチェスなども遊べる。しかし、ゴーレムは女型ばかりであるから、それに対して愛着を持たれると何となく癪である。あくまで主人として懐かれるのは余であるため、ゴーレムにそれを奪われるのは気に触るという事だ。不採用。 楽器や料理道具などの趣味のもの→趣味は暇を潰すにはもってこいであるため、中々よい。が、熱中しすぎて余が蔑ろにされる可能性が拭えない。そこだけ気を付ければ、成果物を余に見せてくれる事もあるだろうからかなり良い選択肢と言える。手作りのお菓子などを手渡してくれると考えると今から心が躍ってしまう。採用。 上焔の月 5日 一昨日会議を行って疲れたので、昨日は一日休みをとった。どうせ魔族なんてはなから他人の言う事を聞かない奴らだから、余がサボったところで大した影響もない。そもそも魔族に政治などほとんど無く、それぞれ好き勝手に暮らしている。そう考えると、社会性を重んじる人間を纏める王と違って、魔王というものは気楽である。 という事で、昨日はベッドに寝転び、ひたすら奴隷を可愛がってやった。奴はどうも抱きしめられるのが好きらしい。余の肉体や美貌の魅力に骨抜きにされ、蕩けきっていた。淫魔の身体に男が触れるとどうしようもなく魅了されて、言いようもなく惚れきってしまうと言うが、余の身体もそういうものなのだろうか。そう言えば、奴を胸の中にしまい込んでやると完全に恍惚の極みのような顔をして蕩けていたので、きっとそういうものなのだろう。そもそも余は寝る時は裸だ。それも作用しているのだろうと推測する。自慢であるが、余の肌はすべすべのもち肌であるし、身体はむちむちと豊満で、しかもくびれている所はくびれていてスタイルも完璧だ。ただの人間、それも童貞の男に魅了されるなという方が酷であろう。奴隷にそういう目を向けられるのも中々どうして気分はいいものだ。寛大な心で許してやる事にした。 さて、奴隷を悦ばせてやったところで、今日はちょっと執務を……と思ったが、蕩ける人間があまりにも可愛らしいので、今日も人間を甘やかす……いや、愛でる事にした。 ところで、恋仲でなくともキスくらいはしても良いのだろうか。頬にキスする程度なら構わぬと思うが、口に舌を捩じ込む深いものは駄目だろうか。……誰も見ておらぬか。こやつもどうせ拒まぬし、ちょっと口を嫐る程度は良いだろう。 執務は……まあ、そもそも急を要するようなものなら許可もなく現地の魔族が勝手にやっている。2日サボったくらいで何かが変わる事もあるまい。そもそも大した執務もないので問題は全くない。今日もたっぷり奴隷を甘やかし尽くして可愛がってやる。愛玩奴隷なのだからきっちりと役割を果たして貰わねば。 上焔の月 9日 さて、結論から言おう。 奴隷をベッドの上でいたぶり愛した。めちゃくちゃにした。3日、いや、4日ぶっ通しでした。邪魔が来ないよう結界も張ってやった。ベッドの上で蕩けて絶頂する奴隷が可愛すぎるからついついやり過ぎてしまったのだ。 そもそも、余が裸体を晒して寝転んでいるだけでも奴はかなり興奮していたようで、共寝をしている時も必死に可愛らしい男根を隆起させていた。その上で肉付いて太く真っ白で滑りのよい太ももを絡めていたり、奴の頭よりもずっと大きな胸で顔を挟み込んでたぷたぷと揺すって愛撫したり、匂いを脳に染み付けたりしてやったり、あるいは揉ませてやったり吸わせてやったりもしたので、とうとう興奮で吐精してしまったのだ。そのあまりに情けない顔と漏れ出すような喘ぎに、何か魔族としての本能が刺激されて、もう居ても立ってもいられないような心地になり、そしてそれを解消するにはこやつを甘やかしながら射精させるしかないと思ったのだ。 という事で、それはそれは飽きるほども射精させてやった。実際には飽きる事など余も奴隷も無いのだが、それは言葉の綾というものだ。 まずは、前々から思っていたようにキスをしてやった。口を深く重ね、啜るように吸いながら、何度も何度もしつこく口内をねぶり尽くす。そうすると、目を白黒させながら呆気なく絶頂するのだから堪らぬ。弱弱しく痙攣しながら腰を突き上げて空吐精する姿は、どうにも心の弱い部分を擽ってやまない。いい子いい子と頭を撫でながら、舌だけは蛞蝓のようにいやらしく、しかし甘く口付けのままに絶頂を重ねさせる。 愉しくて愉しくて、あるいは可愛くて可愛くて、愛おしくて愛おしくて、永久にでもやっていられる。そう思うと同時に、聡明なる余はこのままでは本当に永久に続けてしまうと気付いてしまった……が、まあ、その時はその時である。別にそこまで困りはしないだろう。すぐにそんな思考を外に追いやって、気にせず続行する事にした。奴隷を愛するのに邪魔な思考はどんどん追い出すべきである。 あとは、太ももでむっちりと挟み、その肉の重量に任せて奴隷の好きなように腰を振らせてやったりもした。そうさせながら、ぎゅっと奴隷の頭を胸に掻き抱き、深い谷間に頭を埋めさせて、しっかり甘やかしながら甘えさせる。すると、奴隷は狂喜して腰をへこへことへっぴり腰で振りながら、肉棒の赴くまま快楽を貪ろうとして、太ももの肉が奴隷の腰にぶつかりぶるんぶるんと揺れる。その時のいかにも余裕の無さそうな、児戯にも等しいような腰振りが堪らなく愛らしくて本当にかなわぬ。そうしてより深く頭を抱いてやると、より情けなく吐精するから人間というものは実に愛玩動物なのだと実感してしまった。 奴隷は余の胸を特に気に入っているようなので、もちろんパイズリもしてやった。奴の可愛らしい肉棒を胸で挟んでやると、すぐに恍惚に塗れた甲高い生娘のような喘ぎ声を漏らしながら、とぷとぷと精を漏らす。本当に弱い奴だ。人間の軟弱で勢いのない精が、いかにも漏らすという言葉が適切な勢いで吐き捨てられ、余の深い谷間から溢れる事もなく溜まるのは実によい心地である。締めたり緩めたり、互い違いに捏ねたり上下に揺らして腰を叩いたり、様々な方法で射精させたが、ただ胸で挟んでゆるゆると揉みしだき、本当に漏らすような甘やかしに甘やかした吐精が気に入ったようだ。喘ぎが覚束なくなるまで50度ほどそうして射精させた。 ……と、他にも口や尻肉の谷間、手や足裏など、射精させた事を事細かに書けばキリがないため割愛するが、人間をこうしてひたすらに甘やかして蕩けさせて射精させるのは何にも替え難い喜びがある事がよく分かった。人間を甘やかして業務をすっぽかすなど許されぬ事だと思っていたが、これからは配下のサボタージュも大目に見る事にする。これは我慢がどうとかいう話ではない。仕方がない事だ。あえて言うならば人間が可愛いのが全ての元凶と言えるだろう。この魔王たる余にここまで言わせるとは、本当に底知れぬ奴だ。 と、ここまで長々と奴隷を甘やかした事を書いたが、流石に処女は捧げていないという事をここに明記しておく。 処女を捧げる相手というのは、愛する者であり、尚且つ強くて優秀な遺伝子を持つ強者でなければならない。愛しているという部分はまあ構わないにしろ、魔王たる余が結婚する相手がひ弱で軟弱な人間というのは少しばかりいただけない。余が奴隷の人間が好きすぎるあまりに結婚までして、そのまま孕んだ拗らせ魔族であると知られれば、配下に示しがつかない。いや、奴隷に全く罪はないし、何か文句を言われれば余が直々に叩き潰すのだが……じゃあ良いのか?いやいや……うーむ……。 しかし、余と奴隷の子供か……可愛いし聡明な子になるのだろうな。顔が綻んでしまう。 上焔の月 17日 単刀直入に言う。 もう堪えられなくてセックスした。一週間くらい続けてした。蕩けて意識が朦朧としている間に結婚すると言質も取った。魔王たる余から逃げられると思うな。 そもそもの話として、正直に言うとあやつの事は完全に愛玩奴隷として見ていたからすっかり忘れていたが、あやつは元はと言えば女神に直々に啓示を受けた勇者である。勇者というものはそれだけで強者と言えるであろう。人間の遺伝子は確かに弱いものだが、それを取り込むメリットも確かにあるし、それが勇者のものであれば尚更よい。つまり、余が奴隷と結婚して子を孕む事は何ら問題がない。あるはずがない。なるほど、今から考えれば何も悩む事は無かったのか。 つまり、余が弱者である人間を押し倒して、その細い腕や華奢な首筋を見て、その見ただけで分かる被捕食者ぶりを感じながら、ハメ潰すような杭打ちピストンをしてぞくぞくと背徳感を感じる必要も無かった訳である。考えてみれば拍子抜けだ。こんなにも簡単なロジックに気づかないとは、余も冷静ではなかったという事か。 さて、人間とのセックスであるが。 非常に、これ以上なく、究極的に、最高に良かった。 あやつはお世辞にも男らしいと言えるような腰振りは出来なかったし、奴の肉棒も身体相応のサイズであるため、余の子宮口までも届かないほどであった。しかし、それを補って余りあるほどに、可愛かった。愛くるしかった。愛おしかった。思い出すだけで胸が苦しくなる。 余のあやつと比べれば倍ほどの幅がある尻肉に必死に腰を打ち付け、好き好きとしきりに叫ぶ姿は、いっそ凶悪なほど可愛かった。愛らしさの殺人兵器である。聖剣よりもよっぽど強い。 おかげで余も幸せな気分で行為に励む事が出来たし、あやつを鳴かせるために自ら腰を振りたくったりもした。あやつは随分といい声で鳴く。おかげでどうしてもいたぶってやりたくなる。全く、本当に魔族の嗜虐心を煽る天才のような奴だ。 杭打ちピストンの他にも様々ないたぶり方をしたが、その中でも覆いかぶさって奴の身体を全て余の肉で包み、肉の中でとめどなく果てさせるのはかなり好みだ。奴に全く逃れる手段がなく、なされるがままに吐精するしかないのがよい。10度ほども射精させると、流石に快楽が強すぎて抵抗しようとしてくるが、細腕でくにくにと余の胴を、マシュマロを潰した時ほどの反発力で押し上げようとするのには参ってしまう。あまりにも可愛すぎる。あれを本気でやっているのだから、本当に愛おしい奴だ。 さて、そんなこんなで奴は正式に余の伴侶とする事になった。そのうち結婚式でも挙式しようと思う。どれもこれも、あやつが可愛いのが悪い。 正式に結婚したら、あやつは奴隷ではなくなる故、もう少しまともな暮らしを保証してやらねばならないだろう。 例えば、食事は余と同じものにして、余と同じテーブルにするとか。 余が食べるように間食を食べさせたりだとか。 余が居らぬ時は、暇を潰せるように趣味の物を与えてみたりだとか。 余と同じベッドで、愛するように抱き合って眠るとか。 …………あれ、普段と変わらない、か? ……これは、もしかして、もしかしての仮説なのだが。 いや、ほとんど有り得ないような、にわかには信じられない話なのだが。 もしかして、もしかすると。 余は、元から人間を甘やかしていたのだろうか……?

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六月の振り返り&七月の予定

こんにちは、だいこんです。

結局六月は何もコンテンツをご用意できなくて大変申し訳ございませんでした。

ボツ案を一度投稿しました通り、書いていたものが全ボツになったのとpixivの方のリクエスト期限が迫ってきた事が原因です。支援して頂いている皆様には重ね重ね申し訳ない気持ちでいっぱいです。折角お金を払って頂いてるのにこの体たらくではな……


さて、気を取り直して七月の予定になります。

・サキュバスシスターさんのお話

先月から言っていた通り、サキュバスシスターさんと神父様の純愛逆レもののお話です。逆レした後に逆転したり、サキュバスさんがめちゃくちゃにイかされたり、あとサキュバスさん視点でお話が進んだりと僕の書くssの中ではかなり異色なお話になるかもです。

こちらは締め切りまであと五日となっておりますので五日以内に投稿します。頑張らなきゃ……


・セリフのみのお話

こちらはボツにしたアレですね。お話の大筋はそこまで変わらず、ああいうお話になりそうです。なら何でボツにしたんだよと思われそうですが、最初に会うサキュバスさんの口調とか雰囲気とか、色々変わってはいます。

こちらも途中まで書きかけで、かつ話の概形は決まっておりますので七月以内には必ず出します。

こちらの締め切りは実はとっくの昔に過ぎておりますのでpixivリクエストの方が終わり次第すぐ書きます。と言うか本来ならこっちを先に投稿するべきだったんですよね。締め切り過ぎてるので。本当にごめんなさい。


・何かファンボックス用のコンテンツ

支援して頂いている皆様のためにも何かはご用意したいです。やっぱり前回の時にも言って頂いた天使ちゃんねるのお話とかになるでしょうか。何か今まで書いたssのヒロインの設定とかでもいいかもなとかも思っていたりします。需要の高い方をやろうかな。

こちらはどのタイミングでやろうか少し迷っています。本来なら先月やれなかったので今すぐにでも書くべきなのでしょうが、さすがに締め切り五日前なのでそれはちょっと無理がありますし、それが終わったら本来の締め切りを延ばして頂いたセリフのみの作品をすぐ書かなきゃだし、またそれが終わった頃には多分七月も終わり頃だし……という感じであんまり書くための余白がないんですよね。

大学も行かなきゃですし……リアルの生活もあるからなぁ……就活やだなー……小説書いて生きていけないかな……。


と、七月はこんな感じでございます。支援して頂いている皆様には申し訳ございませんが、限定のコンテンツはもう少し後になりそうです。

それでも宜しければ、また見て頂けると幸いです。

それではさようなら。




P.S トイレに行くとケツから血が出るので病院に行きます。結果次第では入院とかになって締め切りを落とすかも知れません。その時はまたファンボックスやツイッターなどで連絡をすると思いますので宜しくお願いします。やだな~……。

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今書いてるやつのボツ(あんまり面白くないので見なくても大丈夫です)

もしもし、そこの貴方。 そうそう、貴方です。 こんな街外れの林の中でどうしたんですか? この街には初めて来た人間さんですよね? そんなにも黒髪が艶々で見るからにえっちで可愛くてかっこよくてすけべな人間さんなんて見た事がありませんもの。 宜しければ、お名前を伺っても? ……はあっ♡♡♡ んんっ、いえ、すみません。 あまりにも貴方のお声が麗しくて、耳が蕩けてしまうかと……。 あ、申し遅れましたね。 私の名前はルアール=レウ=ラスシヴィアと申します。 どうかお気軽に、ルアールとかシヴィとか、あるいはオナホとか奴隷とか、貴方のお好きなようにお呼び下さい。 ……?どうかなさいましたか? 何でもないなら、いいんですけど。 それで、貴方はどうしてこの街にいらしたのですか? やっぱりお嫁さん探しですか? それとも、単純に観光? あるいはハーレム作りに? ……違う?気付いたらここに? ふむ、なるほど。 ちょっとお聞きしたいのですが、貴方のお生まれはどちらです? ……ニッポン、ですか。 ちょっと聞いたことが無いですね……。 大きい国なんですか? 世界的にも有名な国、ですか。 繰り返してお伺いしますけれど、貴方は気付いたらここに居たんですよね。 うーん……これはやっぱり……。 えーと、まず落ち着いて聞いて欲しいのですが……。 貴方は、どうやら異世界からやって来た人間さんみたいですね。 ……まあ、突然言われても信じられませんよね。 ですが、この街ではごく稀にですがある事なのです。 強大な魔力を持つ者ばかりが集まる街ですから、魔力場の歪みが大きいんです。 それで、いつもは非存在次元と繋がっているワームホールがぽこぽこ出来るだけで問題は無いのですが、ごく低確率で存在次元と繋がってしまうワームホールが出現する事があって……。 と、すみません。長々と一人で話してしまいましたね。 えーと、要するにですね。 貴方は、この世界と貴方の住む世界を繋げる穴に吸い込まれちゃったみたいです。 元の世界に戻れないのか、ですか……。 その、申し上げにくいのですが……。 今のところ、異世界から迷い込んで来た方が元の世界へと戻る方法は見つかっていませんね……。 そもそも、無数にある異世界からたった一つの正解を見つけ出すのは相当難しい事なんです。 例えば、この季節は海の向こうの砂漠から風に乗って砂が吹いてきますけれど……。 この砂が砂漠のどの地点からやって来た砂なのか、ぴったり1ミリのズレもなく当てるなんて無理じゃないですか。 つまり、そういうお話なんです。 あ、いえ、そう肩を落とされないで……! まだ研究が進んでいないだけで、決して不可能な技術ではないはずですから……! もし貴方が本当に帰りたいと強く願うのなら、私達は協力を惜しみませんよ! 総力をもって、貴方の世界へ帰る事をサポート致します! ですから、全く開発されていない人間を異世界に返す技術も、諦めなければきっと完成するはずです! なので、気を落とさないで下さい。 ……えーと、そうですねぇ、気晴らしに街でも歩きますか? ね、何か美味しいものとか食べましょうよ。 きっと貴方の世界にはない食べ物とかもありますよ。 それに、少なくともすぐには帰れない訳ですし、しばらく暮らす事になるこの街を探索するのも悪くない選択だと思います。 ですから、ね? 私が案内しますから。 さ、行きましょう? この街の、この世界の事とかもついでに私が教えますから。 ……良いのかって、そんな心配なさらないで下さい。 可愛い人間さんには全身全霊をもって尽くす事なんて当たり前じゃないですか。 ですから、お気になさらずに、さあ行きましょう。 私達の、『淫魔の街』へ! さあ、ここがメインストリートです。 淫魔の街の名前通り、淫魔がたくさん居るでしょう? ……淫魔とは何かって? ああ、そうですか、貴方は淫魔の居ない世界から来られたのですね。 それはそれは、大変だったことでしょうね……お可哀想に……。 淫魔とは魔物の一種で……。 え、魔物も分からない? という事は、貴方が来たのは、人間だけの世界……? ……やぁっっっば♡♡♡人間しか居ない世界とか最高すぎる……♡♡♡ ……こほん、取り乱しました。すみません。 えーと、とりあえず、淫魔というのは人間さんのことが大好きな異種族だと考えて頂ければ結構です。 ほら、翼とか尻尾が生えてますよね。 生えていないのも居ますけど、あれもちゃんと淫魔ですよ。邪魔なのでしまってるだけです。 あと、見渡す限りみーんな身長が高くて、おっぱいとお尻、あと太ももがむっちむちで、とっても美人の女しか居ませんよね。 ほら、通りを歩いてるのも女しか居ないでしょう? 誰も彼も、おっぱいもお尻もメートル超えで、見るからにスケベな格好してますよね。 黒いぴっちりしたスーツに身を包んで、ボディラインが見るからに浮き出てます。 淫魔ってそういう種族なんですよ。 ほら、どこを見ても媚肉がたぷたぷ揺れて、男性の貴方には目の保養になる光景なのではないですか? ……ふふ、興奮してます? そんなの、ニオイで分かりますよ……♡ 初物の精の詰まった、最っっっ高に唆るニオイ……♡♡♡ ああ、理性がちぎれ飛んでしまいそう……♡♡♡ 気を付けて下さいね、淫魔はえっちと人間さんがだぁい好きですから……♡♡♡ すぐに人間さんをベッドに連れ込んじゃうドスケベばっかりなんですよ……?♡♡♡ そしてそのまま人間さんの使い魔になって、ご主人様の言うことをなんでも聞く雌奴隷に早変わり♡♡♡ そんな人間さんと結婚したがりの淫魔がうようよ歩いてますね♡♡♡ 淫魔って、人間さんに都合のいいお嫁さん種族なんですよ♡♡♡ ……人間を騙して精を搾り尽くして殺したりしないのか? なんでそんな事するんですか、人間さんを殺すなんてそんな、考えただけでもちょっと吐き気が……。 ……ええ、殺したりなんて絶対しません。誓います。なのでそんな事二度と言わないで下さいね。 まあ、貴方が言う通り精を搾ったりはしますけどね♡ 私達淫魔は人間さんの精が大大大好きなので♡ あまぁくて、ちょっと苦くて、青臭くて、とっても美味しくて……♡ だから、人間さんの精を搾るために、私達はこんなにスケベな身体つきをしてるんです♡ そして人間さんと結婚する為に、こんなオスに媚びた姿をしてるんです♡ ……ああ、精を搾るって言っても人間さんの体に影響のない範囲で、ですよ?♡ 人間さん自体もすっごく大好きですから♡ なので、淫魔は人間さんを見るとすぐにナンパするんですよ♡ すぐに擦り寄って、媚びを売って、少しでも気に入られようと近寄ります♡ ほら、今は私が魔力で威嚇してるので直接は来ませんけど、遠くからチラチラと見るからに発情した目付きで見ているでしょう? あれ、絶対帰ったら貴方をオカズにオナりまくりますよ♡ 貴方のあられもない姿を想像したり……♡ 貴方を無理やり組み伏せて犯すのを妄想したり……♡ あるいは逆に組み伏せられて犯される妄想をするマゾも居るでしょうね……♡ でも、そうして我慢できる淫魔ばかりではないと思いますよ♡ こうして無防備に首元なんて晒してる姿を見たら、もう何もかも堪らなくなって、直接ヤリモクナンパしにくる淫魔だって居るでしょうね……♡ ……あ、ほら、噂をすれば性欲ギトギトの目付きのヤリモク淫魔がやってきましたよ♡ 「ね、キミ♡♡♡そこのクッソスケベな体つきと黒髪と、あと匂いと……ともかく全部が淫魔好みする男の子の理想みたいなキミだよ♡♡♡」 「今、暇かな?♡♡♡暇だよね♡♡♡♡そんな初物ちんぽぶら下げて暇じゃない訳ないよね♡♡♡」 「お茶しようよ♡♡♡ね♡♡♡今すぐ行こう直行しようなんならホテル行こう♡♡♡」 「嫌なわけないよね♡♡♡自分で言うのも何だがボクは顔も身体もいいからね♡♡♡」 「女の子をナンパすれば百発百中で落とせるカッコイイ系の甘いマスクに♡♡♡」 「でっかくてもちもちでふかふかで♡♡♡一度触れれば病みつきになる124センチおっぱいに♡♡♡」 「腰の打ち付け甲斐のある無駄肉たっぷりめの128センチ媚びっ媚びデカケツに♡♡♡」 「そのくせ細くて掴みやすいバストの半分くらいの太さのウエストに♡♡♡」 「186センチの高めの身長でキミのことすっぽり包んでめちゃくちゃに奉仕してあげるよ♡♡♡」 「ね♡♡♡ね♡♡♡良いだろう?♡♡♡」 「初物よわよわちんぽからつよつよで淫魔でしか満足できないちんぽにしてあげるよ♡♡♡」 「はぁ♡♡♡はぁ♡♡♡だから早くホテル行こう♡♡♡」 「うぅっ♡♡♡くそっ♡♡♡まんこイラつく♡♡♡」 「あ゛~っっっ♡♡♡いい匂いし過ぎてキレそう♡♡♡顔も可愛くてドンピシャ好みだし♡♡♡」 「お願いだよぅ♡♡♡ボクを早くレイプして♡♡♡合意とか事後承諾でいいだろう♡♡♡」 「ふーっ♡♡♡ふーっ♡♡♡あんまり焦らさないでくれ♡♡♡」 「こんなに淫魔を誘惑して子宮ムラムラさせて孕みたがり本能呼び起こさせて♡♡♡キミはわるい人間だ♡♡♡」 「こらしめなきゃ♡♡♡ボクのおまんこで分からせてあげなきゃ♡♡♡」 「ほら♡♡♡ボクのかっちりしたスーツ引き剥がして♡♡♡れーぷ♡♡♡交尾♡♡♡無責任孕ませしていいから♡♡♡」 「公開レイプして♡♡♡おらおらってかっこいい腰振りでいじめて♡♡♡ボクに首輪も付けて♡♡♡」 「ああ♡♡♡我慢できない♡♡♡もうキミに理性崩壊の魔法掛けるからね♡♡♡強制的にボクをお嫁さん奴隷にさせるから♡♡♡」 はいはい、そこまでです。『テレポート』 大丈夫ですか?ごめんなさい、怖かったですよね。 あんなに詰め寄られて『レイプしろ~っ♡♡♡』って目付きと声色で迫られたら怖いですよね。 淫魔は種族柄、身長が高くて爆乳爆尻で腰ほっそい美人しか居ませんけど、あんな感じの王子様系イケメンで身長高くてスタイルのいい淫魔には特に気を付けて下さい。 ああいう手合いは大抵は性欲過多で人間大好きで隷属願望がとっても強い淫魔ですから。 あのまま私が介入しなかったら、間違いなくあの子が貴方の絶対服従雌奴隷になって四六時中くっついてきましたよ? 一人だったらあのまま貴方が即レイプでしたよ? されるのではありません、貴方がするんです。 勝手に付きまとって貴方のお精子をねだる卑しい雌犬淫魔をレイプする羽目になってました。 本当です、嘘じゃありません。 魔法によって訳わかんないままあの淫魔を往来のど真ん中でレイプしてましたよ? そしてそのままお嫁さん面して貴方の傍を離れずにお貢ぎしたり尽くしたりしてきましたよ? ストーカーオナホ淫魔と永遠に一緒に暮らすことになってたんですよ? 早速一人、お嫁さんが手に入っちゃうところだったんですよ? 貴方はもっと危機感を持って下さいね。 ただでさえ人間さんのオスとして淫魔に狙われるのに、そんなに可愛くてかっこよくて、何より艶めく綺麗な黒髪を持ってるんですから。 黒髪の人間さんは淫魔にモテモテなんです。 淫魔は見た通り、ピンク髪とか赤髪とか金髪とかカラフルな髪色をしていますけど、黒髪は一人も居ないんですよ。 ですから、黒髪は人間さん特有の素晴らしい髪色と見られているんです。神聖視すらされています。 なので、これからも貴方は我慢できなくなった淫魔にいちゃらぶレイプを懇願され続けるでしょうね。 私が魔力を放出して他の淫魔を牽制していてもあんなのが来るんですから、一人で歩いていたらこわーい淫魔に路地裏に連れていかれてセックス三昧ですよ。 ……よーしよーし、落ち着いて下さいね。怖いのからは私が傍に居る限りちゃんと守ってあげますから。 んー、じゃあ、落ち着くまでなでなでしてあげましょうか♡ なでなで……♡よしよし……♡ あー可愛い……♡♡♡さっきあんなに淫魔に怯えてたのに私にはもうこんなに懐いてる……♡♡♡ おばか過ぎて愛おしい……♡♡♡私が守ってあげなきゃ……♡♡♡ ん?いえいえ♡何でもありませんよ♡ それより、これでちょっとは分かりましたかね? 淫魔の街を童貞さんが一人で歩くと怖いんですよ? 何をしても許される雌奴隷にしてお嫁さんが強制的に一人、貴方のものになるところでしたね。 ですから、そんな事にならないように私からは絶対に離れないようにして下さいね♡手も繋ぎましょうか♡ うわっ♡♡♡人間さんの生お手手……♡♡♡ は~……♡♡♡もう一生手洗わない……♡♡♡ てかチョロすぎる……♡♡♡こんなのもう食べて下さいって言ってるみたいなものじゃないですか……♡♡♡ 絶対今日中に家に連れ込んで犯そ……♡♡♡ ん゛ん゛っ。いえいえ何でもないです。 それより、これからは信頼できる淫魔と歩いて下さいね。 でないと貴方の貞操なんて五分と持ちませんよ。 私が威嚇してもこれなんですから。 あ、一応言っておきますけど、淫魔に力で勝てるとは思わないで下さいね。 魔法で身体能力を強化できますし、そもそもそんな事しなくても素手で鋼鉄を引き裂けるくらいの力はありますから。 貴方なら指一本でも抑え込めますよ。 ですけれど、怯える必要はありません。 確かにああいうレイプ魔?みたいなのも居ますけど、淫魔は基本的には人間にとっても友好的です。 人間さんにはとっても優しいですよ。嘘じゃないです。 ただちょっと、愛おしい人間さんに尽くしたい欲が暴走して何もかもを捧げたくなっちゃうだけですから。 そんな淫魔が集まっているこの街は、基本的には人間さんにとって都合のいい、天国みたいな街なんですよ。 そうですね、お昼ですけれどお腹は空きましたか? うんうん、でしたら例えばちょっとそこの定食屋さんにでも入ってみましょうか。 そうしたら、私の言っている意味も分かるかと思います。 お金を持っていない?いえいえお気になさらず。 どうせこの街では、人間さんにとって必要ないものですから。 ほら行きますよ、人間さんがお腹を空かせているのに放ってはおけません。 では、お邪魔しまーす。 「ん、適当に空いてる席に座んな……」 「……って、黒髪?人間の男の子……!?」 「あ、ちょっと待ってて!えーと、そこの厨房から一番近いカウンター席空いてるから、良ければそこに座ってくれ!」 「……えーと、祭典用の最高級ワインはどこだっけ……」 「あ、盗まれないように魔術金庫に入れてたか……30年ものの100万はするやつだもんな……」 「……ほら、これ、食前酒だよ」 「頼んでない?いやいや、サービスだから遠慮なく飲んでくれよ」 「……もー、気にすんなって♡遠慮なんかしていい子過ぎるな……♡こんな男の子と家庭築いたら絶対幸せだわ……♡」 「あー、ほら、そんなに高くないやつだからさ、大丈夫大丈夫。ぐいっといってくれよ」 「……美味しい?♡良かったぁ♡」 「あー……♡生の人間は可愛さが段違いだなぁ……♡」 「いくらでも見てられる……♡媚薬とか出しても疑わずに飲むのかなぁ……♡」 「……っと、そうそう、人間くんはご飯食べに来たんだよな。見蕩れてる場合じゃないか」 「さあ、人間くん♡何を食べたい?♡」 「お肉か?お魚か?米か?パンか?麺か?」 「それともアタシを食べるか?♡ふふ♡」 「なんでも用意するから言ってくれよ♡」 「ん、お肉にするか♡ちょっとだけ待っててくれ♡」 「……ふーん♡ふーん♡可愛い人間くんに~♡アタシの料理振る舞う~♡」 「あー、生きてて良かった~♡あんなに可愛い人間くんが婿入りに来てくれるんだもんな~♡」 「……あれ?元から婚約してたんだっけ?そう言えばそんな気もするなぁ……」 「あんなに可愛い人間くんが私の料理を食べてくれるんだもんな……じゃあ婚約してないとおかしいよな……」 「あ、そうか、アタシとあの子はラブラブ幼馴染カップルでもう指輪も渡したんだっけ……?」 「多分そうだな、でないとあの子があんなに可愛い理屈が通らないもんな」 「よーし、そうと決まったところで、ステーキも焼けたな!」 「……ほら、お待たせ♡」 「腕によりを掛けた人間くんのためだけのスペシャルフルコースだぞ♡」 「さあ、遠慮せず食べてくれ♡」 「ん?なぁに、愛しい旦那様の為ならこれくらいわけも無いさ♡」 「ふふ♡なにせアタシはアンタの幼馴染にして最愛のお嫁さんだもんな♡」 「……違う?ふふ、照れなくてもいいだろ?♡」 「それよりほら、食べて食べて♡」 「……美味いか?♡そうかそうか♡」 「は~……♡道楽で始めた料理屋だけどやってて良かった~……♡」 「美味しそうに食べるなぁ……♡誘惑してるのか……?♡」 「なぁ、美味しいか?♡アタシの料理は気に入ったか?♡」 「……そうかそうかぁ♡気に入ったかぁ♡」 「あー、ダメだ、可愛すぎるなぁ……♡」 「無邪気にアタシの作った料理をこんなに美味しそうに食べてくれるし……♡こんなのもうプロポーズも同然だろ……♡結婚するしかないなぁ……♡」 「あ、そう言えばアンタはさぁ、何人くらいお嫁さんが居るんだ?♡」 「こんなに可愛くてかっこよくていい子なら1000人は下らないよなぁ……♡黒髪の極上遺伝子の男の子くんの種で孕みたくない淫魔なんか居る訳ないもんなぁ……♡」 「……え、まだ一人も居ない?は?」 「……それって、童貞……って事か?」

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六月の予定

こんにちは、だいこんです。

近頃はめっきり暑くなって嫌になりますね。本格的に夏が近づいてまいりました。寝苦しい僕の寝床にひんやりむちむちボディの巨大スライムさんがあらわれて毎日涼ませながら性処理してくれる事を願うばかりの毎日です。


さて、今月の予定です。

・SKIMAでのご依頼のセリフのみss

だいぶ前からご依頼を受けていたssです。大変申し訳ない事にすでに本来の締め切りは過ぎているので、ただ今全力で執筆しております。

内容はざっくり言うと高身長でむちむちなサキュバスさんのお話です。ハーレム要素も多少あります。

少なくとも15000字以上のボリュームになります。セリフのみなので50000字とかにはならないです。

・pixivリクエストの作品

これもかなり締め切りが近いので大変です。確かちょうど30日後だったかな。今書いてるのが終わったらこれを全速力で書きます。リクエストは締め切りが50日固定なのが辛すぎるな……もうちょっと余裕が欲しい……。

内容はサキュバスシスターさんのお話になります。実はpixivならリクエスト内容は他の人も見れるので、気になった方は覗いてみるのもいいかも知れません。

こちらは20000字のご依頼です。なるべく30000字以内に収めたいところです。

あと、リクエスト内容的に初めての女性視点のお話になるかも。女性が受けでイキまくるお話でかつ一人称視点なのは書いたことがないので頑張ろうと思います。けど初めてのものを書く時は大体pixivで検索して先人の皆様の小説を資料代わりに読み漁るのですが、今回はそんな時間も無いかも。どうしよう。


と、六月は多分こんな感じです。むちむち偏執女さんのお話の後編とか淫堕教の続きとかも書きたいけどそれは七月かなぁなんて思います。一日に15000字くらい書けたらいいんですけど、僕にはなかなか難しいです。マイク・Oさんとかどうやってやってるんだろう。腕が八本くらいあるのかな?


それと、申し訳ありませんがファンボックスの更新は少し遅れると思います。少なくとも中旬以降にはなりそうです。すみません。

ただ、折角お金を払って支援して頂いてるのに何も無しでは申し訳が立たないので、何らかのコンテンツは用意できたらなとは思っています。しかし、いつものように短編を書くとなるとかなり時間がかかるのでそこは考えどころですね。リクエストの締め切りが過ぎたら元も子もないですからね。

なので、短編を書くほどは時間をかけずに皆様へ提供できる、それでいてご満足頂けるコンテンツをなんとか絞り出して提供したいと思います。そんなのあるのかなぁ。

もしかしたら僕がツイッターで一時期なんとなく書いていた掲示板形式のssをここに投げたりするかも知れませんね。あれはネタさえあれば一日で書けるので。ただ皆様が興味あるかがちょっと分からないので一旦保留って感じです。悩み中。


と言うことで、良ければこんなのが見たい、知りたいとかがあればコメント欄に書いて頂ければ助かります。


六月はこんな感じでしょうか。忙しいけど頑張ります。よければ応援してくれると嬉しいです。

それではさようなら。

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『淫堕教』の淫らな信徒たち 一話後半

──と、ここまでが愚かにも女達に連れられてきた経緯だ。 道中も、彼女らに手を握られ、ふわふわした気分が落ち着くことは無かった。 危ないから逃げよう、なんて思う訳も無かった。 しかし、席に座ると幾分か冷静さも戻り、客観的に自分を見る事もできるようになった。 こんなのは──まあ、まるっきり何かの勧誘だろう。 しかし、よくもまあこんな上玉を用意したものだなと思う。 こんな女性に言い寄られたら、男なら誰でもホイホイとついて行ってしまうものだろう。 自分は女に興味ないから、などと冷笑を浮かべるよく居るキザぶった男なんて、絶対に逃れられない、それどころか僕より早く堕ちると断言する。 これは、ハニートラップが世界から無くならない理由そのものだ。 勧誘、そう、これはきっとただ僕を陥れるための勧誘だ。 そう思わなければいけない。 でないと、彼女らの言うことに何でも頷いてしまう。 甘い声で擦り寄られ、少し身体を押し付けられたら、馬鹿馬鹿しい100万円の壺でも買ってしまいそう。 そんな事、絶対に駄目だ。 けれど、それでも彼女らが喜んでくれるなら──と、どこかで思ってしまう自分が怖い。 そして、当然そこで会ったばかりなのにそんな事を思わせるこの女達はもっと怖い。 冷静になれ、惑わされるな、と自分に言い聞かせる。 両隣を見る。 肩が触れるか触れないかくらいの距離で二人が座っている。 ──鼻腔を彼女らの匂いが擽る。心臓は依然として早いリズムの鼓動を刻む。 駄目だ、誑かされてはいけない。 頭を軽く振って邪念を追い出す。 きっと退く気はないだろう。 僕を逃さないためのフォーメーションなのだから。 ──それで、話って何でしょうか……。 仕方ないので、自分から話を切り出す。 でないと、終わりそうもない。 では、とアリシアがわざとらしげに手を打つ。 さっきまでの雰囲気を変えるためだろうか。 自分から誘惑しておいて身勝手な、と思う。 「そろそろ、本題に入りましょうか。我々が、本日貴方様をここに連れてきた理由です」 アリシアは、懐からごそごそと何かを取り出す。 「まず我々は、こういった者でございます」 何やら胡散臭い数珠や都合のいい文句ばかり謳ったレジュメでも出されたらどうしようかな、と思ったが──幸いにもそれは、一枚の名刺だった。 「ほら、蓮花。貴女も出しなさい」 あーい、と気の抜けた返事をしながら、蓮花も懐から名刺を取り出す。 少し警戒しながら、二人の出したそれを受け取った。 ──淫堕教 司教 アリシア・A・オルドリッジ ──淫堕教 枢機卿 天羽生 蓮花 黒を基調にした落ち着いた金装飾の、しかしどこか妖しさを感じるデザインの名刺だった。 受け取ってまず、淫堕教という文字に警戒心を覚える。 見た限りでは、その後の役職らしきものを含めて、宗教組織のように思えた。 デザインを見た感じ、蓮花の方が少しばかり凝った装飾が施されているので、立場としてはアリシアの方が下なのだろうか。やり取りからはそうは見えないが。 しかし──淫らに堕ちる教えというのは、何というか、いかにもB級でかえって怪しすぎて清々しい程だ。 そもそもそんな字面を真っ直ぐ打ち出すというのは、まともな組織ではない証左に他ならないだろう。 ──しかし、彼女らも、また淫らに堕ちているのなら。 そのどんな男でも持て余すような肢体を、ただ美を打ち出すだけのモデルとして生きていくならばこれ以上なく武器となるであろうその容姿を、淫らな行為に使っているのなら。 と、心の中で少しばかり欲望が積もり始めると、まずアリシアが口を開く。 「さて、単刀直入に申し上げますが、我々は ──貴方様、使徒様をお迎えに上がりました」 その言葉に思わず顔を顰めてしまったのは、流石に仕方ないと思いたい。 怜悧な見た目からは想像出来なかったが、この女はどうも電波系の女のようだ。 そんな僕の心の中を見透かしたのか、蓮花はくすくすと笑う。 「あー、嫌そうな顔するんだぁ。まあどう考えても怪しいし意味分かんないしねぇ。これはアリシアが悪いから気にしなくていいよぉ」 蓮花、と咎めるようにアリシアが言うが、正直蓮花の方がどちらかと言うと話が通じるかもな、と思い始める。 なので、話を始めたアリシアの方ではなく、蓮花の方に続きを促す。 蓮花は愉快そうに笑ってから話を始めた。 「えーとねぇ、私達はキミを……まあ、要は宗教勧誘に来たんだぁ」 怖いねぇ嫌だねぇ、と何が可笑しいか知らないが一人で笑っている蓮花。 僕と、ついでにアリシアは困り顔だ。 ──えーと、それで、その宗教は何を信仰してるんですか? 別段興味がある訳でもないが、とりあえず聞かなければ話がいつまで経っても進まなさそうだったので、嫌々ながら尋ねる。 良くぞ聞いてくれましたぁ、と蓮花が嬉しそうに笑う。 笑顔が可愛い。 本当に、少なくとも顔は死ぬほど美人だな、と改めて思う。 「私達はねぇ、淫魔……つまりサキュバスを信仰している宗教なんだぁ。つまりねぇ……」 耳元に、ぬるりと蓮花が近づく。 「えっちな事をしまくってぇ……♡みんなで堕落してぇ……♡死ぬまで気持ちいいことばーっかりしていましょうって教えなんだぁ……♡」 体温すら感じるほどの囁き。 耳がぬるつくような粘度の高い声に、思わず体が強ばる。 しかし──その内容は、これ以上なく怪しい。 童貞の妄想みたいな馬鹿げた事を言われて、はいそうですかと信用する人間がどれほど居るだろうか。 ──しかし、蓮花という極上の美女にそう囁かれると、騙されてでも入信したくなるという思いが湧くのも確かではある。 目の前の緩めの服から覗く、長くて太い谷間。 極端に短いスカートから覗く、真っ白かつむちむちのミルクババロアみたいな太もも。 それで何人の男をだまくらかして破滅させてきたのだろうか。 悪魔の囁き、淫魔の騙り。 こういう手合いには、迎合してはいけない。きっぱり断るに限る。 ──えーと、宗教とかは入る気は無いので、もう帰ります。 そう言って、立ち上がる。立ち上がろうとする。 けれど、アリシアはぐっと腕を掴んで、 「存じております」 と、一言だけそう言った。 ──逃がさないつもりだ。 もしかして、無理やり僕をどうにかするつもりなのだろうか。 例えば、どこかに屈強な男が潜んでいて、断れば暴力をちらつかせるとか。 あるいは── 「ああ、言っておきますが、ここに居るのは私と、蓮花と、貴方様の三人だけです」 想像を終える前に、アリシアは口を挟む。 しかし、何故。 ここに居るのが二人だけならば、やろうと思えば押し退けてしまう事もできる。 その情報は、言う必要があったのだろうか。 アリシアは、紫水晶の瞳に浮かんだ紋章を妖しく光らせる。 「もちろん、それも存じております。貴方様はお優しく、よほど切羽詰まっていなければ女を無理やり押し退ける事などできないという事も」 ぞく、と背筋が凍る。 僕は、何も話していないのに。 心を読んだかのような彼女の言葉に思わずたじろいで、そのまま席に引っ張られ座らされてしまう。 「ですから、これも存じております。貴方様を間違いなく我々の宗教へ勧誘する方法も」 左右、二人の妖艶な美女が、ぴっとりと身体を触れさせる。 暖かい、彼女らの芯を持った体温。 柔らかい、女体特有の柔らかくふにふにと脂肪のついた身体の感触。 肩と肩を触れさせて、たったそれだけで、もう立てない。 どくん、どくん、と心臓が強く鼓動を刻み、送られた血が脳をかっかと熱くさせる。 触れただけ、肩から腕までくらいを服越しに触れただけ。 けれど、極上の女に左右を挟まれるというシチュエーションは、男である自分には耐え難いもので。 「ねぇ……ここに居るのは、正しく三人だけ……。私と、蓮花と、貴方様だけなんです。店員も……客も……絶対に来ません。貸し切りなので……」 途端、粘り気を帯びた水飴のような声でアリシアが囁く。 凛とした戦乙女のようなそれから、淫らな娼婦のようなそれへ。 ああ、これでは、まさか──。 「色仕掛け……ハニートラップ……。これが、貴方様を確実に勧誘できる術……。貴方様を極楽へと導く為の手段です……」 内ももを、すべすべと白い陶磁の指が艶めかしくまさぐる。 さわさわ、すりすり。 絶妙にくすぐったく、また性感を期待させるようないやらしい手つきで、ただ触れる。 時折指先だけでかりかりと優しく掻き撫でて、ぞくぞくとした感覚を植え付けるように。 時折手のひら全体で擦り撫でて、性的雰囲気を高めつつ性感を煽りすぎないように。 あくまで、擽ったい感覚と淫猥な感覚のちょうど中間。 そこをひたすら往復するように、彼女の手は滑る。 左右から、美女二人の感触と熱と、それと匂い。 甘いフェロモンを嗅がされて、敏感な太ももの内側を擽られる。 もう、ここはファミレスのシート席ではない。 キャバクラの──いや、性風俗のソファー。 最高級の女に金を払って媚びさせるような、そんな心地。 今から本番、膣内射精えっちしますよ。 そんな毒々しく甘ったるい空気感すら感じるように、彼女らは雰囲気を拵える。 ──ダメだ、流されるな。 そう思う。思いはする。 けれど、じんわりと登る彼女の手の性感からはどうにも逃げられない。 アリシアは、手を滑らせたまま、蓮花、と一言合図を出す。 「はぁ~い♡」 少し間の抜けた、子供のような返事。 そんな無邪気な声色を出しながら、服の胸部分をぐい、と引っ張って、その色気の塊のような深い谷間──思わず見てしまったが、こうして見せつけられると本当に深い──を僕に見せつけて、 「じゃあ今から私がぁ~♡ い・ろ・じ・か・け♡するねぇ……♡」 むぎゅ、と胸を寄せて見せた。 ただでさえ小さい服にみっちりと詰まった谷間がより強調されて、ぎちぎちっ……♡と肉同士が狭そうにひしめく。 谷間の、蕩けてくっつきそうな程に濃ゆい線が、右に左にとひしゃげてうねり、複雑な襞──つまり、名器と呼ばれるおまんこのように思えてしまう。 全くもって古典的な、ただセックスアピールをするだけの単純すぎる色仕掛け。 だが、それ故に、技巧を凝らして自らの身体を誤魔化すようなものよりも身体の魅力が伝わってしまう。 むちつく淫肉、たっぷりボリュームかつ極上質の駄肉が犇めく谷間を見せつけるという行為は、何よりも自分の武器を理解した行為だった。 だからこそ、僕は。 ──揉みしだきたい、吸いたい、挿れたい、犯したい、ぱふぱふされたい、捏ね回したい……♡ 改めてその乳肉をじっくりと見せつけられ、その完全さにすぐさま心を奪われる。 まん丸ですらなく、長い楕円を描くほど巨大なサイズ感。 それでいて、たぷたぷと柔かく、とことんまでに柔和な、コクのあるまろやかな肉質。 完全な駄肉でありつつも無駄のない、性欲を煽る為には完璧とも言える感触を視覚にさえ伝える。 男として、あまりにもチョロい姿。 ちょっと乳を見せればすぐに釘付けになってしまうそれは、まさに餌の見本のよう。 すぐに食い物にされる、惨めなオス。 そう思われる事は必至だろう。 そんな事は理性では分かっている。 このまま見続ければ、その蜘蛛の巣に囚われてしまう事も。 だが、本能として。 生まれた時から、一つの動物として子孫を残すという本能を持った男として。 これを耐えるのは、土台不可能な事だと断言する。 金を全て吸い尽くされるとか、良いように扱われる奴隷に成り下がるとか、そんな事は人間が作り出した後付けの理屈だ。 根本的に、「最高の遺伝子を持った雌を孕ませる」という使命に叶うはずがない。 だから、頭の中は。 揉みたい、揉みたい、両手でぐにぐにと愉しみ尽くしてやりたい。 きっと両手に吸い付いて、巨大なマシュマロを捏ねるような、いや、それよりももっと性的で幸せで──。 くすくす、と蓮花が蠱惑的に笑う。 目を三日月のように細めて、あからさまに食い物にしようとする笑顔。 妖狐のような視線が僕を絡め取り、よりずり下がってゆく服、そこから見える谷間を食い入るように見つめる。目を離せない。 「ほーらぁ……♡こんなにながぁ……くて♡ふかぁ……いおっぱい♡見たことないよねぇ♡入信してくれたら好き放題させてあげるよぉ……♡」 徐々に、徐々に下がる服。 山の全貌が、ゆっくりと晒される。 真っ白すべすべの、肌触りの最高なさらさらお肌が、その奥の粘つくスライムのような乳脂肪を包んでいるのがこんなに近くで見られる。男としてこんな幸せはない。 ああ、谷間に頭を埋めてやりたい。 こうして近くで見ると、本当に奇跡的なほどの魔乳だ。 スイカを二つ胸に付けているような、いや、それよりももっと大きい。 僕の頭よりも大きな、ふざけた大きさ。 もしかしたら、実物をよく知らないから分からないが、乳牛より大きいのではないだろうかと言うほどの肉房。 その谷間は、さぞや熱くて、蒸れて、フェロモンが溜まることだろう。 そこに頭をばふりと埋めて、深呼吸して。 谷間の乳臭い香りを肺いっぱいに吸い込めば、それだけで興奮し過ぎて射精してしまうだろう。 鼻息も荒く、ペニスを限界までいきり立たせながらそれをじっくりと穴が空くほど見つめる。 ブラの紐も見えるほど下げられて、あ、乳首、見える──♡ 「使徒様、しっかりして下さい。あんな女狐に騙されてはいけませんよ」 と、突然目を塞がれて、正気を取り戻す。 それは、アリシアの手だった。 「え~?なんで邪魔するのぉ?」 僕はここでようやくアリシアの事を思い出すと共に、こんなに容易く蓮花に心を奪われていたことに冷や汗を流す。 駄目だ、彼女の身体は男を誑かすのに特化し過ぎている。 僕が男であり、かつ性欲が存在する限り、彼女の誘惑から目を逸らすなんて無理だ。不可能だ。 それはつまり、彼女の色仕掛けを防ぐ術が存在しないという事を意味している。 けれど、アリシアはそれを止めた。止めてくれた。 だが、何故。 何故、わざわざ蓮花を邪魔したのか。 あのままだったら、僕はアリシアの思い通りに乳信、いや入信していたかも知れないのに。 一体、どんな恐ろしい思惑があって── 「何故邪魔したのか、と思われていますね?深い理由とか、そういうものが無ければ不自然な行為ですから」 またも思考を遮って、言葉を先回りしてアリシアが答える。 爛々と光る深紫が、文様と共に僕をただ射抜く。 「ですが、ただ私は──蓮花に使徒様が奪われてしまうのが気に食わないだけです」 あー、嫉妬だぁ、と蓮花がぶうたれるのを他所に、アリシアはふ、と微笑む。 ──蓮花とは違うベクトルで、本当に意味不明なほど美人だ。 女神像が、それもエロス神に仕えるような存在が命を持ったような、神聖さと性的さを兼ね備えた姿。 もしもこんな美女に、蓮花のように誘惑されたら、今度こそ理性が持たない。 「蓮花の色仕掛けより、私のハニートラップに引っかかって下さい、使徒様。」 唐突に、アリシアはブラウスのボタンを真ん中に手をかける。 蓮花にはワンサイズ劣るものの、比較対象がおかしいだけで世間から見たら超のつく爆乳と呼べる乳肉を収めたブラウス。 乳肉が大きすぎてパツンパツンに張ったそのブラウスの胸部から、ボタンを外そうとするが、あまりにもぎちぎちに乳肉が詰まりすぎて、弾けそうなほどボタンが張って苦心している。 ──あ、あ、あ……♡♡♡ ダメだって、見たらダメなんだ。 こんなおっぱい、見たら絶対に触りたくなる。揉みたくなる。犯したくなる。 そう思いつつも、やはり目は雄大な膨らみから離せない。 目線誘導の塊に、どうしたって抗えない。 アリシアは、少し苦労しつつもボタンを一つ外す。 ぱつっ……♡と音を立てながら──ボタンを外してできた隙間から、真っ白なお餅が飛び出した。 みっちみちに詰まりまくった乳肉が、ブラウスの穴から張り出して、見えるのは乳肉の土手。 もっちりとぷるつく乳オナホが、そこにはあった。 ごくりと生唾を飲み下す。 明らかに、ペニスを突き入れるに丁度良すぎる穴ぽこ。 盛り上がった、肉付きのいいまんこのような乳穴を晒して、アリシアはその芸術品のような美幌を崩さない。 それが、まるで性処理人形みたいでいたく興奮してしまう。 ぴっちり閉じた狭い穴。 ぎちぎちのブラウスに突然現れたオナホール。 自慰を知っている男なら、そこに突っ込めば腰が抜けるほど気持ちいい事なんて誰だって分かる。 きっと、知能の低い猿でもそこに男性器を突っ込んでしまうだろう。 それ程までに、魅惑の穴。 「使徒様、よくご覧下さい。アリシアの乳オナホです。少々狭いですが、かえって締まりがよく気持ちいいと思いますよ」 そこに、アリシアはゆっくりと人差し指を入れて見せる。 隙間もないほど狭いくせに、ぬぷぷ、と指を貪欲に受けいれ、滑るように入り込む。 乳肌の肌質が良いのだろうか、肉に引っかかりつつも挿入はスムーズで、まさに極上のオナホールを思わせた。 「如何でしょうか。自慰行為の為だけに、無遠慮に腰を振り使いたいとは思いませんか?」 そう言うとアリシアは更に中指を挿れ──くぱ、と谷間を開いて見せた。 むわりと、湯気ともフェロモンともつかない蒸気が立ち上る。 それと共に、深淵が見えないほどの奥深さがよく見えて、ペニスが苛立って仕方ない。 深い深い、ぎちぎちの雌肉を、犯す。 男としての本懐、極上肉への種付け。 限界まで興奮したペニスから先走りがぴゅるりと漏れ出てパンツを汚す。 使いたい。使いたくないわけが無い。 男なら誰でも夢見る余裕のメートル越え爆乳を、みっちり詰まったぱっつぱつ乳肉オナホールを、種付けレイプオナニーする為だけに。 寂しい手コキオナニーよりも、絶対に何百倍も気持ちよくて、充足感に溢れた乳肉種付け。 アリシアは、あくまでも静かに、事務的に。 自分の乳肉を使わせることを、望む。 「使徒様、宜しければ、このまま私をトイレにでもお連れ下さい。存分に、満足するまでお使いになれば、きっと使徒様も我々の教えの素晴らしさが理解できるかと思います。さ、使徒様──」 「ねぇ~!つまんないんだけどぉ~!アリシアばっかり構わないでよぉ!」 今度は横から蓮花の妨害。 後ろからかくかくと揺さぶられて、意識が逸れる。 また、ギリギリで引き戻された。 おかしくなって、彼女を言う通り乱暴にトイレに連れ込み、乳レイプする直前で。 「ほらぁ!れーぷするなら蓮花のおっぱい!キミ専用の種捨てごみ箱は私のおっぱいなの!」 そして、蓮花に乳肉を押し付けられる。 腕を組んで、無理やり谷間に挟み込まれてしまう。 むくれた子供っぽい顔とは対照的に、熟れに熟れた食べ頃雌肉。 ふわふわのとろとろで、どこまでも衝撃を飲み込むマシュマロおっぱい。 サイズ感だけでなく、感触まで、神乳。 極上すぎる成熟しきった雌肉に、脳が溶ける。 男の腕を易々と挟んで呑み込んでしまえる深すぎる谷間に、勃起が治まらない。 ああ、もしも、今彼女に挟まれているのが腕でなくペニスだったら。 そう思いながら、全神経を彼女に取られた腕に集中するしかできない。 けれど、また反対の腕をアリシアが奪う。 「いいえ、違います。使徒様が種汁をコキ捨てるべきなのは私のきっつきつの乳肉オナホです。もっちりと柔らかく、かつ弾力の詰まった刺激たっぷりめ乳オナホでこってり射精キメたいですよね?」 むっちりとした、柔らかくも反発するハリたっぷりの乳肉。 若々しい雌特有の、脂肪みだけでない肉の跳ねっ返りまで兼ね備えた、美味そうな肉がそこにあった。 ふかふかと柔らかい、とろとろの極上クッションに引けを取らないほど性的な、むっちりぱつぱつの肉を詰められるだけ詰め込んだ欲張りおっぱい。 こちらも腕を易々と挟めるサイズ感で、よりむっちりと肉感を擦り付ける。 「私のオナホを、是非お使い下さい。むらむらをすっきりさせましょう。お話は、それから致しましょう」 「はぁ~?使徒くんが使うのは私のおっぱいだよねぇ?おちんちんも頭もとろとろ~っ♡ってさせてあげるよぉ?」 ──あ♡♡♡あ♡♡♡あ♡♡♡ ムラムラが最高潮に達して、もう何もかもを種付け射精欲が上回る直前で──意識を散らされる。 でも、その散らされた先はまた極上の雌肉で。 こんなの、頭がおかしくなる。 もう、頭からは危険がどうとか怪しさがどうとかは完全に抜け落ちて、彼女らの肉体への懸想だけが残っていた。 けれど、だからこそ、彼女らを無理やり押し倒して犯すには至らない。 自分より、恐らくは筋力で劣る雌を、誰にも見られていない貸し切りラブホ空間でレイプすることはない。 こんな極上の雌に誘惑され、少なくとも言葉の上では完全に合意だったとしても。 何故なら──二人居るから。 どちらを犯せばいいのか、分からない。 どちらから犯したらいいのか、迷ってしまう。 蓮花の、柔らかたぷたぷこくまろおっぱいか。 アリシアの、ぱつぱつ詰まったむっちりおっぱいか。 どちらも最高峰で、だからこそ、頭が混乱して一線を超えずに済んでいる。 だが、そんな事、二人が気付かないはずが無かった。 「……迷われますか?」 ぽそり、鼓膜を直接震わせる距離でアリシアが呟く。 その声の甘さにまた脳が震えて、先走りをまた飛ばす。 「ふぅ~ん?迷ってるんだぁ?」 耳のすぐ側、吐息の熱さが感じられる距離で、蓮花がささめく。 ぞわぞわと背筋が甘く震えて、より興奮が高まる。 「では……具体的な数値で決められては如何でしょうか?」 「あぁ……なるほどねぇ♡ ね、さっき渡した名刺……裏返してみて♡」 言われた通り、傀儡みたいにそうする。 何の疑問も挟まず、そうすればより興奮させてくれるという期待と共に。 そして、そこには、その確信を裏切らず。 ──アリシア・A・オルドリッジ tall 189 age21 116-62-115 ☆おっぱいぱっつぱつ♡揉みごたえ抜群♡ ☆乳首責めすき♡使徒様あんあん鳴かせちゃいまーす♡ ☆フェラすき♡使徒様の腰が抜けるまで♡ねちっこいお口えっちでいじめちゃう♡ ☆騎乗位えっちだーいすき♡腰ぐりぐり♡円描きグラインドで使徒様めろめろ膣内射精確定♡ ──天羽生 蓮花 tall 173 age20 131-69-130 ☆お肉むっちりめ♡柔らかむちむち全身オナホボディ♡ ☆耳舐めすき♡えっろい水音で使徒様脳イキ♡空射精ぴゅっぴゅ♡ ☆寝バックすき♡使徒様の雄欲全開ガチピストン♡でおまんこ耕してほしいです♡ ☆パイズリだーいすき♡使徒様のデカマラすっぽり収めちゃう♡規格外むちむちおっぱいでヌキヌキさせて♡ と、馬鹿みたいな文字列が並んでいた。 表面の清廉なデザインとは対極的に、ピンクの淫蕩なカラーリングが特徴的な、あからさまに性的な絵柄。 一瞬、文字が認識出来なかった。 そして、それを読んで、内容を理解して、再度間抜けな声が漏れる。 スリーサイズと、好きなプレイの内容。 目の前にいるこの極上の雌は──右側の聖職者のような凛とした佇まいの女は、120近いデカパイにデカケツで、おっぱいに張りがあって、乳首責めが好きで。 そして、左側のこのどこか掴みどころのない女は、乳も尻も130の大台に乗るド迫力ボディで、耳舐めと寝バック、パイズリが好きで。 座っているだけで優雅なこの雌の、また色香に満ち満ちたこの雌の、赤裸々な性の部分。 いや、こんなのは信じるのも馬鹿げたものだが、でも、やはり。 馬鹿みたいに息を深く吸ったり吐いたりして名刺と顔をちらちらと見比べているのを見て、蓮花がくすくす笑う。 「それ、全部ほんとだよぉ♡私パイズリ好きなんだぁ♡」 たぷたぷっ♡と乳肉を揺すり、空パイズリの動き。 見えない肉棒を捏ね回し、ずぅりずぅり、臼で磨り潰すような動きを見せる。 ──ああ、あんなの、絶対気持ちいい♡すぐイく♡ 乳肉にのめり込み、乗り出すようにそれを見つめて、何度も生唾を飲み下す。 「ほ~らぁ♡上下にぃ~♡ずりずり~♡ パイズリはねぇ♡ゆったり精液上り詰めてぇ……♡精巣ぜぇんぶ空っぽになるまでぇ……♡少しずつ……♡何度も……♡どくっどぷっ……♡てイくのがいっちばん気持ちいいんだよぉ……♡」 ぬっ……ぱ♡ぬっ……ぱ♡ 腰に重くぶつけるような乳まぐわいの上下運動。 確かに、あんなに濃厚にズリ上げ、濃密にズリ下ろされたら、じっくり快楽を溜め込んで、それをゆっくりと零すように長い時間をかけてねっとりと絶頂感を味わうことになるだろう。 そんなの、絶対、気持ちいい──♡♡♡ 蓮花の方へ、身体も頭も傾く。 パイズリ、ふわとろの乳肉の、精液ごみ箱でパイズリオナニー。 それだけを考えてしまい、望み、企てるのを、アリシアが後ろから抱きついて止める。 「いいえ、一番気持ちいい射精とは、言うまでもなく膣内射精です。人間の雄は、おまんことのセックスに一番の快楽を感じるように出来ています」 むにり、とおっぱいが押し付けられる。 柔らかく、ハリがあって、暖かく、とにかく幸せ。 触覚から多幸感が押し寄せて、脳内が更に官能一色に染まり落ちる。 「分かりますか?にゅるにゅると愛液のぬるつきに塗れた襞の快楽が……。ペニスを揉みほぐすように蠢いて、貪欲に精を求める膣肉の悦楽が。くねり曲がった膣を押し退けて、ペニスでそれを蹂躙する征服感が……」 思い起こす、空想上のアリシアのおまんこ。 こんな、こんな見るからに最高の雌の性器が、名器でないはずがない。 味わったことのない、想像もつかない、複雑かつ繊細な快楽をみっちり教えてくれるはずで──。 「そして、最後は……子宮に、種付けです。雄の本懐、本能に染み付いた無上の快楽。上質な遺伝子を持った雌を孕ませるという悦楽。一度味わえば、病みつきになりますよ……」 ぶるぶる、とあまりの興奮に震え出す。 彼女の、最上級の遺伝子を、汚す。 神聖で不可侵な彼女のおまんこを耕して、耕して、卵子を奪う。 そう、僕さえ望めば。 それが、今なら、できてしまう。 彼女がいくらタッパが高くても、所詮は女。 押し倒して手首を掴んでやれば、抵抗はきっと無意味。 そうしてやれば、僕は、この女を── 「ねぇ♡どっち?♡」 「おっぱいにしますか?おまんこにしますか?」 ──いや、この女たちを。 目の前を乳肉をこれみよがしに揺らして挑発する牛乳女も、神聖そのものな顔をしておきながら股をはしたなく開いてセックスをせびる完璧体型女も。 人生さえ犠牲にすれば、食えてしまう。 誰もいない閉鎖空間に三人でやたらと密着して座り、更にあけすけな性的目的で僕を誘惑するという考えうる最大の据え膳。 目の前に最高のそれが二つ並んで、手招きしている。 となれば、それから悩むべきは。 ──目の前の圧倒的質量のパイズリを体験すべきか、雌の肉をとことん味わい尽くす膣セックスを体験すべきか。 もうこの時点で、既に僕の中に彼女らを置いて出ていくという選択肢は無いし、彼女らを食べ尽くす事は決定事項なのだが、しかし、どちらから。 最初の一番濃ゆい精液を放つのはどちらの肉に。 蓮花の乳まんこか、アリシアの膣まんこか。 息ばっかり詰まり、ちっとも決められずいつまで経っても迷い箸。 人生で間違いなく最高潮に隆起したペニスから先走りばかりどぷどぷ漏らす。 「……まだ迷うかなぁ?♡」 「単純に、好きな方で宜しいのですよ?いつも通り、貴方様が最初に射精したい方をお選び下さい。 ……ああ、それとも、もしかして」 後ろから、より強く、アリシアが抱き締める。 「……童貞、ですか?」 ──……。 咄嗟には答えられず、沈黙を返す。 けれど、それは何よりも雄弁な答えだった。 「……へぇ~♡そっかそっかぁ……♡キミ童貞さんだったんだねぇ……♡」 「確かに、その可能性をすっかり失念しておりましたね。てっきり使徒様は経験豊富な方だとばかり……」 アリシアはしなだれかかり、惜しげも無くその肢体を絡ませながら言う。 「そしたらぁ……♡最初を私達で済ませるのはやめといた方がいいねぇ……♡」 前からも、体重を全て預けるようにして蓮花が倒れかかる。 あまりにも巨大なおっぱいが、胸板でむぅ……んにゅり♡と甘く潰れる。 本当に、途方も無く甘い感触。 背中の弾力のあるそれとは違い、ひたすら深く沈み、取り込み、溶かす人喰いスライムのような深みに嵌る乳肉。 こんな深くて甘い乳肉に、ペニスを食い蕩かされたら、もう、絶対、極楽。 けれど、こんな乳肉を味わってはいけない理由とは何か。 何の理屈があって、これを我慢しなければならないのか。 ──ああ、それは、きっと。 「だってぇ……♡私達のカラダを味わっちゃったらぁ……♡もうまともなセックス出来なくなっちゃう……♡普通の女の子のカラダじゃイけなくなっちゃうよぉ……♡ それにぃ……♡絶対気持ちよすぎて狂っちゃう……♡すっごぉい快楽にぃ……♡頭ぱーになっちゃうからねぇ……♡」 やはり、そう。 こんなにも贅沢な雌肉と一度でも交わったら、他の女なんかと交わるのが嫌になるに決まっている。狂うに決まっている。 だが、そんなの、無慈悲過ぎる。 これほどの雌肉を前にして、我慢など出来るはずが無い。 苛立つペニスが、天にも登る極上の射精を求め、更に苛立っている。 もう、どうなってもいい。 例え、これから先の人生が彼女らに破滅させられても全く構わない。 どう考えても、彼女らとの麻薬よりも気持ちよくて中毒になる事請け合いの性行為に溺れ、ちょっと交尾をちらつかせられたら文字通り何でもする奴隷になるに決まっているが、それでも構わない。 まともに射精もできないクズの中のクズに成り下がり、どんなに高い金を払っていい女を抱いてもちっとも満足できない贅沢を覚えた単なる肉ディルドになっても、それでも。 僕は、もう我慢ならなくなり、とにかく目の前の女に襲いかかる。 遮二無二、やたらめったら、全身全霊の力で押し倒す。 押し倒そう──とした。 けれど。 「はぁい、ダメだよぉ……♡」 「駄目ですよ、使徒様」 その手は難なく掴まれて、ピクリとも動かない。 全体重を掛けて、脳のリミッターを外した状態でも、それでも。 それぞれ右と左の腕を、それぞれの女の片手に止められて。 そのまま、後にも引けないし前にも進まない。 単純な膂力でも、勝てない。 生殺し。 目の前、すぐ数センチ前にあんなに美味そうな乳肉がふるふる震えているのに、届かない。 今すぐ、両手で、力いっぱい、手の形がつくまで揉みしだきたいのに、触れない。 もう僕は泣きそうになり、必死に懇願する。 ──お願いします、触らせて……! その瞬間、二人の目が妖しく光り、ピンクの雰囲気が充満する。 「そんなに可愛くおねだりしてもぉ……♡だぁーめ……♡」 「そうですよ、貴方様が何と言っても駄目です。私達以外の女で射精できなくなれば、我々の組織に不利益ですので」 甘く、それでいてじっとりと、まとわりつく空気がやけに湿気ていて重い。 けれど、その身体に触れさせてもらえる気配はない。 気が狂いそうなほどの欲望に苛まれ、精神が崩れそうになる。 触らせろ。揉ませろ。犯らせろ。 頭痛がするほど性的欲求が燃え盛り、ペニスが猛る。 そんな僕の目の前に、突然、蓮花のスマートフォンがにゅっと差し出される。 「私達が初めてだと困るんだよねぇ……♡オナニーしか知らないキミにとってはぁ……♡気持ちよすぎて頭おかしくなっちゃうかもだし……♡」 ロックを流暢に解除して、写真のアプリを開く。 「だからぁ……♡下ごしらえ……♡ キミが私達とえっちしても大丈夫になるようにぃ……♡まずは初心者向けの女の子で慣れちゃおうねぇ……♡」 そこには──ずらりと、女のエロ自撮り。 どれを見ても、この二人にはほんの、ほんの少し劣るが、それでも芸能人並の美女ばかり。グラビアアイドル並のエロ雌ばかり。 もしかして、この女達の中から、好きな人を── 「まずはこの子からぁ……♡品定めしちゃおうねぇ……♡」 ぱ、と一番上の写真を開く。 布面積の小さいビキニに身を包んだ、目測で高校生くらいの褐色の女がそこには居た。 目の覚めるような美人だ。 目はぱっちりと大きく、快活な印象を与える。 しかし、だからこそ昏いエロスの感情を湧き上がらせる危うさも秘めている。 スポーツ少女の陵辱。 そんな題材のエロ画像なんてこの世に溢れ返っている事から分かるように、彼女のような健康そうな若いピチピチの雌にしか出せない性的魅力は確かにある。 身体付きだって、目を見張るものがある。 恐らく、僕の信用ならない目測だが、メートルを超えるか超えないかくらいの乳の大きさ。 この二人に麻痺しかけているだけで、彼女を見れば100人が100人爆乳だと言うだろう。 尻も同じく大きく、脂肪と筋肉が程よく混じりあった霜降りのように見える。 それが、引き締まった腹筋とのコントラストを描き、いやに艶っぽい。 後ろから、アリシアが顔を出して目を覗き込む。 「如何でしょうか。この女はお気に召しましたか?」 じっと、目をただ見つめられる。 不可思議な文様がぼんやり輝き、脳が揺さぶられるような錯覚に陥る。 「……ふむ。蓮花、次へお願いします」 はぁい、と気の抜けた返事と共に、次の写真へ。 今度は、所謂女豹のポーズを取る二十代半ばくらいの女。 熟れた肉体を持て余すような、成熟した雌のエロスがむわりと漂うようだ。 例えるなら、一晩ン千万の最高級娼婦とか、あるいは色気だけでのし上がった女スパイとか。 顔立ちは艶っぽく妖艶で、間違いなく街中を歩けば男なら誰もが振り向く美女。 いやらしく画面の向こうから挑発するような笑みを浮かべている。 胸や尻は大きく実り、熟した食べ頃のほぐれた肉を差し向けてきて堪らない。 犯し甲斐のありそうな、大きく実る豊満な姿に、ペニスが涎を垂らす。 「こちらの方は……なるほど。 それでは、次へ──」 それを、アリシアが顔色を伺うように見て、また次の写真へ。 SNSに上げれば即座に数万のブックマークが付いて性欲の籠った下卑たメッセージが届くような、そんな美女が次々と映される。 いずれも、むちむちと肉付く美しい女。 顔立ちが整っていて、肉が付くところには付いていて、すべすべの茹で卵のような肌を晒していて。 蓮花が画面をスワイプすればするほどに現れる、美しさだけで一財産築くことができるような、そんな女。 どんな男でも、無茶なものでなければ望む条件の雄をじっくり選り好みできる立場の、非常に優れた雌。 それを──逆に僕が、じっくり選り好みする。 どこを見ても射精欲を煽る、その写真を見てシコるだけでもめちゃくちゃに濃い精が大量に出るであろう雌を。 クールぶった癖に下品な肉付きのメガネ女。 いかにも援交してそうな金髪のギャル女。 少しミステリアスで理知的な雰囲気を出しているが裸白衣で台無しな理系痴女。 その他大勢、数え切れないエトセトラ。 とにかく色々見せつけられて、興奮を通り越してペニスを扱きたいという感情すら忘れる。 もう、女の肉でコかないと辛抱ならないから。 こんなものを見せつけられて、一人寂しい自慰に耽るなんて、そんなもので満足できるはずが無いから。 そして、もう何十枚目のものかも忘れたその写真の女。 少々野暮ったく、垢抜けないような雰囲気の、その女。 彼女はもちろん顔立ちは恐ろしいほど整っているし、身体もド派手なグラマラスさなのだが、どうにも根暗なんだろうなぁという確信が持ててしまう。 多分、自信のなさそうなポージングと、あまり手入れの行き届いていない長髪のせいだろう。 改めて、その下品な肉体をまじまじと見る。 むっちりたわめく乳肉や尻肉は見るからに駄肉というたぷつきで、よく見るとくびれたお腹も少し油断したラブハンドルが見える。 まあ、運動はできないだろう。 どう見ても、あれは筋肉とかではない。 ただ単純に、動きもせずに男に媚びるための肉を蓄えていただけ。 クソ美人でスタイルも男に媚びっ媚びのくせに、引っ込み思案な性格のおかげで男と付き合ったことのなさそうな、見た目からしてそんな女のくせに、肉付きからして性根がドスケベなのが隠せていなくてちんぽに悪い。 「……おや、お気に召しましたか?」 血走った目をしていると、隣からアリシアがぴったり触れて囁く。 「なるほど、確かに彼女は貴方様のご想像通り、暗めで人付き合いが苦手な性格でございます。男と付き合った事もございません。当然、処女です」 ああ、やっぱり。 だが、そうすると── 「ええ、そうですよね。 男を知らないドスケベボディを自分だけのものにしたいですよね。根本的に陰キャで悪どい男からの誘いを断れなさそうな、処女である事が奇跡みたいなむちむち女を食い散らかしたいですよね。そして、その性格からして身持ちはやけに固く、恋した男にしか処女は捧げないという理想を曲解して、あわよくば処女を捧げた男である貴方様を恋人であると勘違いさせて都合のいいセフレにしてやりたいですよね」 ──読まれている、心の中を、全部。 「少し野暮ったくて、地味で、垢抜けていない女なら卸しやすそうですからね。まだどんな男にも全く染まっていない、処女の塊のような地味女を自分の色に染め上げて、どっぷり依存させたいですよね。こんなにも雌として最高のポテンシャルを秘めているのに、それに気づかない愚かな男共に自分に染まって女を最大限に引き出した姿を見せびらかし、優越感に浸りたいですよね。そして、毎日毎日家に呼びつけて、恋愛経験値がゼロで恋人のイロハも知らない彼女をだまくらかして、恋人なら当たり前などと吹き込んで連日連夜ドスケベ交尾しまくってセックス狂いの膣内射精にさせて、自分から離れられない完全に都合のいいオナホ彼女にしたいんですよね。 ええ、ええ。存じておりますとも」 全て、考えてもいなかったことまで、暴かれる。 言葉にもできなかったそれらをつらつらと並べられた。 深層心理の奥底にある、穢れた願望までさらけ出されて、けれどそれらは全て間違いなく。 いやに胸が高鳴る。 そうする。そうしたい。 彼女の口から美しい声で紡がれた僕の言葉が、僕の嘘偽りない願望だからこそ、やたらと興奮を煽る。 「へぇ~……♡そんな事したいんだねぇ……♡ひどぉい……♡女の子の人生を踏みにじるみたいにして……♡全部を犯したいんだねぇ……♡さいてー……♡」 詰られる。当然の詰り。 同じ女として、人間として、されてはならない行為。 だから、止めなければならない、はず。 だけど、彼女の口ぶりはやけにいやらしく。 「最低……♡女の子の人生めちゃくちゃにしたいんだぁ……♡そんなの許されないことだよぉ……?♡ でもぉ……♡するなら今しかないよねぇ……♡こんな女の子ほっといたらぁ……♡絶対他のわるぅい雄においしくいただかれちゃうねぇ……♡ だからぁ……♡キミが守ってあげないと……♡先にお手つきにしておいてぇ……♡先に壊しておいてあげないと……♡ 誰も手出しできなくなるまでぇ……♡完璧にキミのモノにしておいてあげてぇ……♡この子の人生キミのモノにしてぇ……♡守ってあげよぉ……?♡」 もう、興奮で頭の血管が切れてしまいそう。 そのまま、意識すら失ってしまいそう。 ペニスはもう鉄のように固く、熱い。 はち切れてしまう。心も、身体も、何もかも。 「ねぇ……♡行くよね……?♡ この子、キミのモノにしに行くよねぇ……?♡」 蓮花が、歪んだ瞳でそう誑かす。 明らかに、冷静に考えるまでもなく、罠。 だが、そんな事、もう頭にはない。 脳は何かを考える機能を失い、ぐつぐつと耐えられない欲求に沸くのみ。 だから、そんな僕にできる事なんて──頷くくらいだった。 「はぁ~い♡一名様ごあんな~い♡」 蓮花は嬉しそうに笑い、深く抱きつく。 柔らかくふかふかのおっぱいが潰れ、その感触に暴発してしまいそう。 蓮花はすりすりと胸元に頬ずりして、猫みたいに甘えている。 その間に、アリシアはどこかへ電話をかける。 「もしもし、アリシアですけれど、今から使徒様をお連れしますので、最終儀式を執り行う準備をお願いします。……ええ、理性が完全に飛ぶくらい、よく解しておくように」 ピッ、と通話を打ち切り、アリシアはこちらへと向き直った。 「では、使徒様。我々の拠点、彼女の居る場所へと向かいましょうか。 ここからはほど近いですから、少々歩きづらいかと思われますが着いてきて頂けますか?それとも、タクシーでも呼びましょうか。ああ、もちろんお代は私が払いますから大丈夫ですよ」 「その間はぁ……♡私達がキミのむらむらを鎮まらせないようにぃ……♡たっぷりチン媚び囁きしてあげようねぇ……♡ ね、タクシーで左右から挟んでぇ……♡おっぱいみっとり押し付けてぇ……♡むらむらもっと高めたい……?♡ それともぉ……♡むっちりお尻とか撫で回したりぃ……♡おっぱい服越しにもみもみしたりぃ……♡街中をセクハラしながら歩いてぇ……♡私達二人を見せびらかしてぇ……♡優越感に浸りたいかなぁ……?♡」 どく、どく、と死ぬ前みたいに激しく心臓が脈動する。 これ以上ない、ありえないくらいの興奮。 二人の肩を借りて、よろよろ立ち上がる。 頭に血が上りすぎて、まともに立てもしない。 「さぁ、行きましょう」 「ね、行こ……♡」 肩を組むほど近い距離で、湿っぽいほどの声が脳を揺らす。 淫らで、堕落に満ちた、淫魔の声。 くらくらと色香に酔い、もう、何も考えられない。 ふらふら、連れられて、どこへ向かうかも分からない。 ただ分かるのは、少なくとも今から向かう先は。 「さぁ……♡」 「さぁ」 「「淫堕教へ、ようこそ……♡」」 ──そこは、おぞましい淫魔の巣窟というだけだった。

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『淫堕教』の淫らな信徒たち 一話前半(少し加筆はしましたがサンプルと大体同じなので飛ばしても大丈夫です)

伽藍堂のファミリーレストラン、その端の席。 二人の女性に挟まれるようにして、僕は座っている。 向かいにも席があるにも関わらず、両隣に。 それは、逃がさないという意思の現れだろう。 彼女らとは全く面識はない。 ついさっき出会った女性だ。 にも関わらず、両隣の二人は僕に熱っぽい目線を向けている。 美人局か、宗教の勧誘か。あるいはマルチ商法か、はたまた詐欺か。 何にせよ、ろくでもない事だろう。 しかし、それでも僕は浮ついた気分を止められない。 「一人でいる時に話しかけてくる奴には気を付けろ」なんて、大学生活で気を付ける事の一丁目一番地だ。 留年するな、とかカップラーメンばかり食べるな、とかの生活上の事よりも時に優先されて言われる程の。 大学に入学したての頃なんかは、僕も耳にタコが出来るほど聞かされた話だ。 ならば何故、ほいほいと言われるがまま着いてきてしまったのだろうか。 何故、僕は彼女らに警戒心を抱く事もせず惚けた顔をしているのだろうか。 その理由は、一重に。 「いかがなさいましたか?」 「どしたのぉ?何か頼もうよぉ?」 ──彼女らが、人間離れした程の極上の女だったからだろう。 僕は、昼ご飯を食べるため、ファミリーレストランへ向かっていた。 同じ学部の友人は毎日自炊しているそうだが、不精者の僕にはそんな真似はできない。 明日の分まで考えて材料を買い、時間を掛けて調理して、食べたらまた食器やら調理器具やらを洗って片して。 それだけ労力を掛けておいて、一人分だけ作るのなら、コンビニのパンを買った方が安い。 ならば、多少の健康を犠牲にして楽を買う方がずっといい。 僕は生まれつきの性根から、楽な方に流される人間なのだ。 そんな訳で、今日も真っ昼間の十二時半に起きた僕は、多少の罪悪感を目覚めから感じつつも腹を満たそうとしている。 まあ、大体の一人暮らしの大学生なんてそんなものだ。長期休みなら尚更。 なんて自分に言い訳をして、僕は寝癖も整えずに、ボロのスニーカーと古着でお決まりの店へ歩く。 だからモテないんだろうなと思いつつ、大学の前を横切った。 くぁ、と欠伸をすると、整髪剤の香りがする。 見ると、門の前にはスーツや和服を着た若者が集まっていた。 そう言えば、今日は入学式の日か。二年生は休みだから忘れていた。 見る限りでは、今しがた入学式が終わったところなのだろう。帰る人もちらほらと居る。 通りがかりに眺めると、キラキラと輝くようなフレッシュさに圧倒される。 早速友人を作ろうとする人、さっさと遊びたいのか散ってゆく人。 何にせよ、活き活きとしていて僕とは大違いだ。 思えば一年前、僕もあんな風だったか。 そのキメた髪型はいつ僕のような寝癖に変わるかな、と思いつつ僕は門前を通り過ぎた。 いくらかの新入生と道を同じくしながら街を歩く。 ここいらは栄えているから買い物でもしていくのだろうか。 僕も上京したての頃は目を輝かせて歩き回ったものだ。 元々田舎に住んでいたが、その時と同じように道のど真ん中をふらふら歩いていたら迷惑そうな顔をされたっけ。 都会は人が多い割に歩道が狭いから、片側に寄って歩くものだと知った時には驚いたな。 なんて思いながら歩き慣れた道を進んでいると、何やら人々の様子が変だなと思う。 道行く人が皆、ある一点を見つめているのだ。 まるで視線を固定されたかのように、一箇所をずっと。 サラリーマンの男性も、買い物帰りの女性も、子供だって、老人すらも。 そしてそのまま歩くものだから、そこかしこで人同士がぶつかっている。 「っと、すいません」 ──ああ、いえ……。 現に僕も、後ろを名残惜しそうに見つめながら歩く青年にぶつかってしまった。 そうして、やっと青年は前を向いて歩き出す。 そんなにぼんやりする程のものかね、と少しばかり心の中で嘲る。 ──何があるのだろうか。 老若男女問わず視線を奪い、惹き付けるのは一体何なのだ? 少しばかり興味が湧いて、ルートを変えてその視線の先に向かってみる。 幸い、道端の人々の目線を辿ればそれには容易に近づく事ができた。 なんだか案内板が出ているみたいだな、と思う。 しかし、そこまで人を虜にする物とは何がある? 煌びやかな宝石?路上パフォーマー? 面白いマジックでもしているなら、少しばかり暇つぶしに見ていきたいものだが。 うーん、と首を捻りながら歩くと、人だかりとまではいかないが人の集まりが見える。 立ち止まってそれを見る人々。 僕もその集まりに混じって、それに目を向ける。 さて、誰もかもを釘付けにする物とは何か。 その答えは、すぐに氷解した。 ──ああ、確かに、これは。 二人組の、女だった。 それも、人間とは思えないほどの美女。 一目見た途端にぶわりと全身に鳥肌が立つほどの、究極的にまで美しいそれが、悠然とただ立っていた。 ただ美しいだけではない。 それらの女は、何処を見ても──生殖欲求をとことん煽る、有り体に言えば滅茶苦茶にスケベな身体つきをしていた。 なんて下劣な身体だ。 どちらの女も乳はやたらとデカくて腰は細い癖に、尻肉が服を押し上げてその巨大さを誇る。 ちらりと覗く太ももは最高に肉が付いてもちもちと柔らかそうで太い。 これでは歩く性犯罪、身体を隠す服を着ただけの痴女だ。 教育に悪い、少年の精通を、男性の勃起を煽る身体をしすぎている。 彼女らはただ立っているだけだが、それでも警察に補導されてもおかしくはない。 本気で、僕はそう思った。 気がつけば、僕もその女達から目が離せない。 ただ立っているだけのそれらから。 誰かを待っているのだろうか、左の女性は目を閉じたまま芯を入れたように真っ直ぐに立ち、右側の女性は街灯に体重を預けている。 その、何と絵になる事か。 いや、どんな画家でも、この視界を超える絵は書けないだろう。 そう思うほど、絵の具のフィクションを上回るほどに、その女達は美しかった。 ──何かの、撮影? そんな声がどよめきから聞こえるが、そんなはずはない。 僕がもし、彼女らを撮影しろと言われたら──しっぽを巻いて逃げ出すか、舌を噛み切って死ぬ。 どう考えても、人間ではその被写体の美しさやエロスを最大限に引き立てる事はできない。 せいぜい、現実の劣化。 目の前に立つ彼女らの、纏うオーラを、雰囲気を、殺してしまう。 僕はカメラマンとしての知識や技術など一欠片も持ってはいないが、そんな確信があった。 それが被写体をありのまま、いやそれ以上に引き立てて写すためのプロならば、きっと尚更の事だろう。 右側の女性が、体勢を立て直す。 もたれかかってずり落ちた身体を戻し、街灯に身体を擦る。 その時、それを見ていた全ての男が股間を思わず押さえた。 その桃のような形の巨尻を、街灯を割れ目に挟むようにしてズリ上げたのだ。 まるで尻コキのような体勢で、ずりゅうぅ~っ……と艶めかしく一コキ。 それが、もしも自分の肉棒だったら。 それが、もしも自分に向けて行われた行為だったら。 そう思わせずにはいられない、どうにもAVじみた、猥褻な動きだった。 肉尻は、依然として街灯にむっちりと押し付けられ、食い込んでいる。 だぷんっ♡という音すら聞こえそうなほどのサイズ感、肉感の尻が。 ただの無機物が、名前も知らないあの女の肉を味わっている。 僕が、決して、一生味わう事ができないであろう、最高級のむちむち尻肉を惜しげも無く押し付けられている。 そう考えると、本気であの鉄の塊に嫉妬の念を覚えてしまう。 それと同時に、あの人肌の蒸れた熱が伝搬した鉄に、また雌尻のフェロモンがたっぷりと擦り付けられたあの部分に、出来ることなら頬擦りでもしてみたいとすら思う。 いや、実際にあの女がどこかへ行ってしまえば、周囲の目も振り切ってあそこにむしゃぶりつく男は必ず現れるだろう。 それほどに、女のそのケツズリの動きは観衆のペニスを苛立たせた。 そして、それと同時に、ゆさりと胸の巨大な肉房が揺れた。 一メートルなど悠々と超えるサイズのそれが、どだぷ……んっ♡と。 うわ、と声を出したのは僕だっただろうか。あるいは他の観衆だっただろうか。 エロスを体現したかのような、むしゃぶりつきたくなる乳肉が、あんなに揺れた。 ああ、知らなかった。 極限まで柔らかな、最上級の乳肉は、あんなに柔らかそうに揺れるのか。 「巨乳おっぱい揺らし動画♡」なんて馬鹿みたいなタイトルの、乳がデカいだけの大して美人でもない女が自己顕示欲を満たす為だけに男に性欲を向けさせる動画を、見た事がある。 ゆさゆさと手で上下に揺らし、確かにそれは揺れていた。 けれど、これは──絶対に、違う。 どゆん♡と何キログラムにもなる重みを見るからに感じさせながら、プリンを揺らしたような、あるいはドップラー効果のように動きに対して一呼吸遅れて乳肉の揺れが着いてゆく。 そのまま、ばるるん♡とたっぷり揺れ、その揺れが揺れを起こし、しばらく服の中でたぷたぷと震えていた。 あれほどの極上女体になると、震え方の一つまで違うのか。 興奮を通り越して感心までしていると──左側の女性、今まで目を閉じていた彼女が、ふと目を開いた。 腰まである金の髪の彼女。 その日本人離れした髪色や長身とスタイルから、外国生まれの方なのかなと思わせるその女。 物憂げな印象を与えるように半分だけ開き、その瞳が見える。 右目はサファイアを埋め込んだような、碧眼。 非実在性すら感じる、怖気すら感じるほどに美しい青だった。 そして、左目はアメジストのような紫色、だが──妙な紋様が入っている。 何とも形容し難い、瞳の色と合わせてどこか魔的なおぞましさを感じる形のそれ。 その威容は、超越した美貌と相まって、その姿を人外のものにも思わせた。 それと同時に、異常な納得を覚える。 ああ、この女性は──この瞳なんだ。 つまるところ、彼女は、人間ではないんだろう。 その考えは周りの群衆も同じだったのだろう、ざわめきが大きくなる。 しかし、その瞳から目を逸らす者は一人として居ない。 むしろ、見蕩れている。 その、人智を超えた美に。 そうして、そのオッドアイの女性に見蕩れていた頃、右側の女性が、ふと微笑む。 その瞬間、ざわめきはしんと静まり返った。 彼女は、その群衆に向かって微笑んだのだ。 その笑みのなんと艶めかしい事か。 にんまりと細められた目は悪戯っぽく、つり上がった口の端が心を捉えて離さない。 それは、まさに老獪な狐。 男を誑かす事を生業にしている、と言われても納得できる。 実際、ハニートラップとして彼女をけしかけられたら、きっとここに居る全ての人間を手玉に取るなんてわけも無いのだろう。 こちらは両方黒目で、髪も烏の濡れ羽色。 日本人らしい色に染まった彼女だが、やはり漂うのは異様なまでの空気。 彼女もまた、人間ではないと感じてしまう。 それでいて、恐ろしいとも思う事ができない。 それどころか、彼女に全て食われ尽くされたい、全て支配されてしまいたいという破滅的な願望まで湧き上がる。 オッドアイの彼女が、瞳を上げる。 それと同時に、何処へともつかず笑みを漂わせていた黒髪の彼女が何かを見据える。 その先にあるもの、それは。 ──へ? 多分、僕だった。 自惚れで、なければ。 四つ、瞳がこちらを向く。 心臓まで射抜かれるような心地。 頭が真っ白になる。 何故、僕を見ているのだろう。 真っ直ぐに、僕の目を。 群衆の目も、僕に向けられる。 驚きとか、猜疑とか、妬みとか。 だが、その幾多もの目線は、たった四つのあの瞳に比べれば塵芥も同じ。 じ、と見つめ合う。 それだけで圧倒され、屈服し、隷属してしまうような、それ程までの視線。 目を逸らしたくなるほどそれらの瞳は強烈に美しく、心を打つ。 しかし、逸らせない。 射止められたかのように。 こつ、と二人がこちらに歩み寄る。 都会の街中には有り得ないほどの静寂の中、二人の足音だけが聞こえる。 ざ、と人波が割れる。 モーセの海割りの如く、人々は道を開ける。 そして、目の前に二人が立つ。 ああ、やはり眼前に立つと全然違うな、とどこか他人事のように考える。 圧倒的な雰囲気とプロポーション、そして美幌を持つ二人の姿は、近くで見ても全く悪い部分が見えない。 よく見ればほんの少しシミがあるだとか、ちょっとだけ肌がくすんでいるだとか、そういった些細な不備すらもない。 ある意味リアリティがないなとすら思えるその姿は、至近距離で見れば見るほど、よりその美しさが見て取れる。 例えるならば、高名な画家の描いた絵画を引きで見ればそのバランスや構図に感嘆し、寄りで見ればその緻密さや完全さに見蕩れるような。 金の髪を風に緩くたなびかせ、オッドアイの彼女が一歩前に出る。 その高い身長や風貌はどこか神性すら帯びているようにも見え、ともすれば彼女は天使の類なのかとすら思ってしまう。 そう、例えるならちょうどどこかの美術館で見た宗教画のヴァルキリーのよう。 聖なる存在として人々を導く、戦乙女のような。 だが──それは正しい評価とは言えない。 人々を傅かせるその神聖さは、ただ彼女の一側面でしかない。 そう、神秘的で触れがたい存在であると同時に彼女は──どうしようもなく淫靡で、淫らで、下劣なのだ。 母性と言うよりかは男を誑かす為だけに、柔らかく服とひしゃげて、かつツンとハリがあり上を向くような理性を掻き乱す乳肉だとか。 多産の象徴とも言うべき、でっぷりと実りつつグミのような確かな揉みごたえのありそうな淫肉を蓄えた雌尻だとか。 運動能力を誇示するかのように太く肉づいて、柔らかく性行為向けの脂肪がむちつくと共に、カモシカのようなしなやかさのある筋肉すらも兼ね備える太腿だとか。 そしてその癖に、無駄な肉を削ぎ落とした細い腰だとか。 それらどうしようもなく下卑た、雄に媚びるための肉が、彼女の持つ神聖な雰囲気と相まってひどく劣情を煽る。 そして驚くべきは、その下劣なエロスと神聖さが互いを高め合い、同居している事。 その肉体は、ある意味人間より上位の存在であると示すようで神性を損なわず、かつその神秘的な彼女の雰囲気は、犯してはいけない存在を犯すその背徳感を演出する。 ああ、何と雄好みのする雌なんだろう。 そしてその服も、下卑た妄想を加速させる。 身体の線にぴったりとフィットした白のブラウスは、普通の人が着れば清潔感を与えるだけだろう。 しかし、その服は彼女の肉体を収めるにはあまりにも淫靡だった。 カジュアルでありつつもかっちりとした服は、普通なら性の気配など微塵も感じさせない。 肌を晒す面積は極限まで少なく、長袖は手首ほどまで素肌を隠している。 だが、それを彼女が着ると──爆弾じみた胸が、弾けてしまいそうなほどにぎっちりと詰まるのだ。 女性用という事もあり、胸の布は緩めになるよう設計されているであろうその服でさえ、明らかに悲鳴を上げている。 ぱつっ♡ぱつんっ♡と音すら聞こえそうな程に、彼女の駄肉は服を虐待しているのだ。 そして、その乳丘からそのまま下に降りて、カーテンのようになるはずの布は、服の生地が足りなさ過ぎて、乳袋のようにただおっぱいのシルエットを強調するだけ。 それが彼女の雰囲気、清廉な服装を──どうにもAVじみた、変態チックなものに仕立て上げていた。 澄まし顔に真っ直ぐ立ったあの女は、あれ程にまん丸でぱっつぱつの乳肉を、恥じもせず衆目に晒している。 どう考えても道行く男のその全てに、脳内で犯され、レイプされ、運が悪ければ本当に手を出されるという事は分かりきっているはずのドスケベボディを、あろう事か強調して見せつけている。 だから、あの女は──ド変態、淫乱、ちんぽ食い。 そう思われて然るべきだと、きっとここに居る男は思っているはずだ。 などと、あまりにも失礼な事を考えていると、そのオッドアイの女は口を開く。 「お待ちしておりました、使徒様」 凛とした、水面を打つような声だった。 目の前に立った彼女の、完璧とすら言えるその相貌にも劣らない、透き通った清水にも似たそれは、僕の鼓膜を優しく上質なシルクが撫でるように震わせた。 ──使徒? 聞き慣れない言葉がまず引っかかる。 そして、待っていたとは、僕を? 疑問が多くのしかかるが、ともかく今は──目の前の女がエロくて美しい。それだけしか考えられない。 すると、いつの間にやら後ろに回り込んでいた黒髪の女が耳元で囁く。 「もぉ、いきなりそんな事言われても分からないよねぇ?アリシアったらせっかちさんなんだからさぁ。くすくす……♡」 脳が溶けるように甘ったるい声だった。 先程の──多分、この女が言った言葉から察するに名前はアリシア──の声が清水ならば、この女の声は媚薬。甘い劇薬。飽和するまで砂糖を溶かした生クリーム。 そう思えるほどの、雌のフェロモンに富んだ声が耳を犯して、思わず振り向くと──。 にまりと笑う、妖がそこにはいた。 本能的に、喰われると思った。 この女は、人を食い物にして生きる淫らな化け物だ。そう直感的に感じた。 にま、と細められた目がひどく淫猥だ。 そして、その媚びるような雰囲気を隠そうともしない。 先程のアリシアが神聖なヴァルキリーなら、この女は女郎蜘蛛。若い男の精を啜るサキュバスだ。 その姿で、声で、匂いで、持てる全てで直接的に雄の本能を呼び起こし、そしてその肉壺で何もかも食べてしまう、そんな恐ろしい妖だ。 そして、それを知りつつも雄、つまりは僕も逃れる術はなく、むしろ喜んで身を差し出してしますような危うさすら、彼女の魅力を引き立てるスパイスになる。 それは彼女の肉体にも顕著に現れている。 アリシアの若々しくハリのある肉体に比べて、この女の肉は見た目にすらいかにも柔らかく熟れている。 たぷっ……♡と重力に従う液体じみた垂れ気味の乳。 腕すら全て飲み込んでしまいそうなほどの深い深い谷間、きっとこの世で最も柔らかなちんぽケースとなるであろうそれも。 身じろぎする度にふるりっ……♡と揺れてたぷつく、ただただ柔らかな尻。 腰を叩きつける妄想を、その肉のふかふかとした柔らかさにペニスを突き入れる空想を、どうしても抱かせる雄喰いのそれも。 ともすればだらしない程の、ぶっとく腿コキにしか使えない脂肪肉を付けた愛玩用太もも。 ぴっちり閉じた足にペニスを捩じ込み、雌に快楽の一つも与えずに、自分だけが勝手に敗北射精をキメるマゾヒズム全開の雄壊しを誘う悪辣なそれも。 むにむにと少々肉の付いた、しかし細身でくびれのあるウエスト。 所謂ラブハンドルと呼ばれるくらいの摘める肉は乗りながら、しかしモデルのように美しく、交尾する為の雌肉としても現代の女として好まれる容姿としても優れたその腹も。 この女は何もかもが性行為に特化した存在とも思える、言わば生まれついての性的搾取者、雄を誘う最高の撒き餌を身に備えに備えた淫魔なのだ。 そんな女が、最高級の花魁じみた妖艶かつ蠱惑的な美貌をすぐ顔の傍に近づけ、その淫らな本性を隠そうともしない表情を僕に向けて晒している。 そんなの──どうやったって、見蕩れてしまうだろう。 目の前の妖がにまりと笑みを深めた。 ふわりと甘ったるい香りがする。 糖蜜のような、クリームのような、とにかく濃厚かつ甘い、少し乳臭い、そしてその奥に生っぽい肌や汗などの雌の匂い。 これは、まさかとは思うが、この女の体臭なのだろうか。 こんな、雄どころか雌すらも誘い込むような香りで、生きているだけで人を誑かし続けるような女が、まさか実在するとは思っていなかった。 女はゆらゆらと揺れている。 メトロノームより不規則に、ゆらゆら、ゆらゆら。 背中に線が入ったように堂々と、ぴんと立つアリシアとは対照的な、人をどこか手玉に取るような動き。 その一挙一動にすら目を離すまいと見つめ続け、右に左に揺れる彼女の姿にますます魅了されてしまう。 その仙女や化生じみた美貌が、また性的な部分には肉付きながらも基本的には線は細く、全体的なシルエットのバランスを欠かない奇跡的なまでの身体付きが僕の心を捕らえて離さない。 アリシアとは対照的に、緩くて肌を見せるようなオフショルダーのニット服から、白い肌が覗く。 華奢な肩は、見るからにすべすべと柔らかそうで、抱き心地が良さそうだ。 しかし、それ以上に──緩い胸元から覗く、直線状の深い谷間。 胸板から伸びる、その線の始点だけが見えて、その先に続く馬鹿みたいに大きな膨らみに妄想が膨らむ。 滑らかな丘陵から、だぷんっと緩くカーブを描く巨大なそれ。 挑発するかのように、男の股間を苛立たせるように。 柔肉の豊満な膨らみを見せ、堪らない色香を振りまいて、しかし触れば犯罪で。 見せつけるだけ見せつけて、これでどれだけの男を破滅させたのだろうか、と思う。 乳肉の大きく前に突き出したその頂点部分から、そのまま布が垂れて乳カーテンを作り出し、すかすかに空いたお腹の空間や、布地が足りずに覗く臍を見れば更に。 女がゆっくりと口を開く。 あえて見せつけるようにゆっくりと、口を開けてからも少し間を置いて。 僕は彼女の声を少しでも聞き漏らすまいと、耳に全ての神経を集中させる。 その様子を見てから、女は喉を震わせ声を出した。 「ねぇ……キミ、今からご飯行くんだよねぇ?なら私達と一緒に行こっかぁ♡たくさんお喋りしようよぉ♡」 ──は。 目を見開いて言葉を反芻する。 ご飯、そう言えば食べに行くところだったな。この女たちに見蕩れて忘れていた。 いや、そんな事はどうでもいい。 僕は──食事に誘われた? この、望めばイケメンのトップアイドルでも経済界を背負う一流企業の社長でも、日本を牛耳る政治家でも裏社会を支配する非合法組織の親方でも、その美貌と肉体だけで手中に収められるであろう女に? ──単純に、何故?そこいらの、凡百の大学生の僕に? 僕が混乱していると、アリシアはため息を吐きながら女に言う。 「こら……。使徒様が混乱なされているではありませんか。せっかちは貴女の方でしょう、蓮花?」 蓮花と呼ばれた女は、まるで反省していなさそうに笑う。 それどころか、アリシアが怒ったー、などとおどけながら僕の背中に隠れてくる。 その蓮花の行動に、僕はひどくどぎまぎした気分だった。 なんと言うか、この蓮花という女──距離が近い。 それでいて馴れ馴れしいとかうざったいとも思えず、まるで人の心の壁をすり抜けて、自分のパーソナルスペースにするりと居座る猫のような、そんな存在だと思えた。 そんな蓮花は僕の背中に手をついて──服越しなのに手のひらが柔らかい、暖かな指先の体温に触れて胸が高鳴る──アリシアから隠れているため、僕は必然、アリシアと対面する事になる。 その神聖さとおどろおどろしさが同居したようなオッドアイに見つめられると、何となく全てが見透かされているようで少し恐ろしい。 そんな僕の心情もやはり透かされたのだろうか、アリシアはふぅ、と一息吐く。 「……そちらの蓮花が大変な失礼を致しており、申し訳ございません。ですが彼女の言うように、我々は是非、貴方様と一度席を同じくしてお話したいと思っております。如何でしょうか、この後には何かご予定はございますか?」 じ、と目を見てそう言われる。 逃がさない、とその目は言っている気がした。 多分、嘘を吐いてもすぐに彼女は気づくだろう。 何故か、そう確信を持っていたので正直に答える。 ──予定は、今から一人で食事に行くくらいしかないですけど……。 そう言うが早いか、右隣、すぐ顔の傍で僕の手を握って蓮花は言う。 「じゃあ一緒に行こぉ♡ね、いいよねぇ♡」 更にアリシアも僕の左隣に近づき、手を取ってどこか媚びるように言う。 「使徒様に無理強いは致しませんが、私からもお願い致します。共に、来ては頂けませんか?」 絶世の美女、テレビでも見た事のないほどの二人の極上の女。 それが両隣を占拠して、手を取って僕と食事に同席する事を望んでいる。 そんな状況、考えた事もない。 だからこそ、頭など上手く回るはずもない。 どう考えても怪しいとか、明らかに言うまでもなく100%罠だとか、そんな事を考える脳の隙間もない。 空恐ろしいほどの美しさの、こんな女達に挟まれてそんな事を考えられるはずもない。 甘い香りがする。 爽やかなシトラスのような香りと、甘ったるいクリームのような香りが混じり合う。 両手に感覚を集中せざるを得ない。 陶磁器のような白皙の指が、あまりに柔らかでしなやかで、人間のものとは思えない。 右を見ても左を見ても美女。 男の思考を全くダメにするような誘惑の微笑みと、気高い風格に溢れたエレガントな無表情に感情をぐちゃぐちゃに掻き乱される。 「ねぇ♡早く行こ♡」 「使徒様、ご決断を」 ますます耳元に口を近づけ、両耳がそれぞれ屈服する。 もう、頭の中は真っ白。 胸だけがどくどく早鐘を打ち、訳が分からない。 そんな状況で、僕は。 ──ぎこちなく、頷く事しかできなかった。 「ふふ♡きーまり♡じゃあ行こうねぇ♡」 蓮花は、それはそれは嬉しそうに顔をふにゃりと綻ばせ、僕の手を引っ張った。 「蓮花、使徒様のお手を引っ張っては失礼ですよ。……聞いておりませんね。すみません、貴方様との食事が楽しみなあまり、蓮花は少々昂ってしまっているようです。何卒、ご容赦頂けませんか?」 アリシアも僕の手を離そうとしない。 それどころか──恋人繋ぎに繋ぎ直し、ますます握りを深める。 もう、僕はすっかり彼女らに心を奪われていた。恋をしていた。 頭が沸騰するとはこのような心地なのだなと思った。 引っ張られるがまま、彼女らについて行く。 観衆の阿鼻叫喚の声が耳に入ったのは、しばらく歩いてからだった。

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高校生の頃に書いてた全年齢向け小説

目を開くのも億劫な程に、ぼんやりとした目覚めだった。 遠くで小鳥が鳴く声が響き、暖かな朝日が窓から頬を照らす。 その繊細な刺激で、自然と意識が覚醒したのだ。 全身を柔らかな感触が包んでいた。 頭の天辺から足の爪先まで、くるむようにして抱きかかえられている。 ふんわりとした抱かれ心地は、僕を際限なく安心させてゆく。 まるで、母親の胎内でぷかぷか浮かんでいるようだ。 特に、顔の辺りには特段柔らかな球体が当たっている。 むにゅむにゅ、ふかふか。 特上のクッションのような触り心地は微睡みを更に加速させた。 ああ、柔らくて気持ちいい。 ずっとこうして居たい。 それに、何だかいい香りがする。 花のような、果実のような。 嗅げば嗅ぐほど、中毒を起こしたように匂いを吸い込むのが止められない。 そうしてしばらく目を閉じたまま深呼吸を続けていると、突如頭を撫で付ける感触があった。 「起きたかい、兄さん。」 耳から脳に直接染み渡るようなハスキーボイス。 男女問わず魅了されてしまうような甘い声色は、僕だけに向けられている。 寝起きの無防備な脳には、その声は麻薬のようによく沁みて、心臓の鼓動が早まるのがよく感じられた。 僕は彼女に抱き締められていた。 2メートルを悠々と越す長身を惜しみなく巻き付けて、肉付きのいいグラマラスな肢体をみっちり押し付けられている。 別段これは珍しい事ではなく、僕は彼女のわがままで毎晩添い寝することを強いられているのだ。 「まだ起きる時間には早い。もう少し微睡んでいるといい。」 ゆったりと撫で付ける手はそのままに、頭の上から声が届く。 愛おしげにこちらの髪を梳く手には、確かに深い愛情が感じ取れた。 その手が伸びる根元へと、ゆっくりと顔を向ける。 そこには、涼やかな美貌を持った絶世の美女がにっこりと微笑んでいた。 「おはよう、兄さん。いい朝だね。」 「うん、おはよう。ジュピター。」 金色の瞳が僕を射抜く。 不思議な圧力のある眼光に気圧されると共に、彼女の人間離れした美しさの顔作りに思わず心を奪われる。 その姿は、まさに女神にも匹敵するような、神々しさすら覚える凄まじい美貌。 彼女に比べれば、前世で見たようなアイドルや女優など炉端の石に過ぎない。 ボーイッシュながらも女性的な可愛らしさ、凛々しい美しさも完璧なまでに備えた彼女の顔に、思わず魅了されてしまう。 もう何ヶ月も一緒に居るのに、彼女の美しすぎる顔つきには未だに慣れない。 その顔には慈しむような優しい笑みを浮かべているが、どこか跪いてしまいそうな程の威圧感がある。 もっと言えば、気を抜けば彼女の奴隷として服従し、崇拝するだけの存在になってしまいそう。 それは、彼女との生物としての格の差。 そして、圧倒的なまでのカリスマがそうさせていた。 窓から吹き込む風に、彼女のプラチナブロンドの髪がさらりと靡く。 まるで彗星の尾を物質に落とし込んだような神秘的な髪は、彼女のひざ裏あたりまで長く伸びていた。 ジュピターに言われた通り、まだ眠いし、朝も早いが、折角目が覚めてしまったので、もう起きてしまおうか。 そう考えてむくりと起き上がろうとすると、彼女のモデルのような長い腕に身体を巻き付けられ、再度ベッドに引き戻される。 上質だが、明らかに二人で寝るのには狭いこのベッド。 当然、そこに引きずり込まれると、落ちないようにぴったり密着する必要がある。 彼女は長身を限界まで巻き付け、肉体同士を絡ませ合う。 そして、頭を抱かれ、彼女の大きな胸の膨らみへと引き寄せられてゆく。 ぐい、と抱き寄せられ、ぐんぐんと巨大な胸へと近づいてゆく僕の頭。 首に力を込めて抵抗するが、彼女の膂力には適うはずもなく。 ふにゅん。 先程と同じ極上の感触が顔全体に広がった。 それに、桃のような蜜のようなこの香り。 さっき夢中で顔を押し付けていた彼女の胸に、またも舞い戻ってきてしまった。 顔を満たす気持ちよさに暫し放心していると、足と足を組みつかせられ、腰に腕を回し、すっかり完全に身動き出来ない体勢になってしまった。 「まだ起きるには早いよ。もっとこうしていようじゃないか。」 にんまりと笑いながら、彼女は言う。 こうなってしまっては、抵抗する術はない。 彼女は普段は物分りはいいのだが、僕とスキンシップを取ろうという時に限ってはテコでも動かない。 諦めて力を抜き、彼女の言う通りもう少し眠る事にした。 「ふふ、そうそう。いい子いい子。」 抵抗しなくなったのに気を良くした彼女は、口端を三日月形に歪め、頭をわしゃわしゃと強く撫でてきた。 口調も相まって子供扱いされているような気がして少し不服だが、彼女にとってはそれこそ僕は赤ん坊のような物なのだろう。 寿命から見ても、力の差から見ても。 「くふふ、やっぱりキミは可愛いなぁ……。」 僕の顔を眺めながら、彼女はそう呟く。 金色の眼差しが妖しい光を宿し始めた。 じっと、ただじっと、瞬きすらせずにただ見つめる。 これは、少しまずいかもしれない。 つつ、と頭をから首へと手をなぞり、頸動脈へと手をかける。 「暖かいね、キミは……。 そして、ここに、キミの暖かさの素がたっぷりと流れている訳だ。」 身体を抱き締める力が強くなる。 まるで、逃がさないと叫ぶように。 「ああ、兄さん……。 キミの血が、欲しいな……。」 ぐっ、と彼女の鋭い爪が皮膚に食い込まされる。 恐怖に目を見開くと、ジュピターの吸血鬼のような牙が目に入った。 「ねぇ、兄さん……。」 ジュピターはうっとりと目尻を下げて、顔を紅潮させている。 その目付きには剣呑な雰囲気を漂わせていて。 ぎゅっと、目をつぶる。 これから襲い来る痛みに耐える為に。 「っ…………」 首筋に牙を突き立てられるのを想像して、身体を固くさせる。 どうせするのなら一思いにやってくれ。 そう覚悟していたが、いくら待っても痛みはやってこない。 恐る恐る目を開くと、そこにはふるふると震えているジュピターがいた。 何事かと思い、声を掛けようとすると、 「くくっ…… くっくっくっ……」 彼女は突如笑い出した。 喉を震わせ、詰まるような笑い声。 幾つも、幾つも、笑い声が反響する。静かなこの部屋に染み渡る。 その様子に言いようのない恐怖を感じた僕は、ただ彼女に抱かれながら震える事しか出来ない。 彼女に牙を突き立てられるよりも強いもの恐ろしさを感じながら、彼女の顔を覗き込もうとする。 しかし、彼女は下を向いていて、その表情は伺えない。 くつくつ、という笑い声だけが耳に響き、恐怖はますます深まっていく。 何か、間違えてしまったのか。 そう口を開こうとすると、彼女はおもむろに顔を上げた。 「ああ、困るなあ……。 ああ、困った……。」 その目は、彼女の心象を表すように赤く血の色に染まっていた。 これは、彼女が強く興奮している証。 同時に、僕に危険が迫っている事の証でもある。 頭に回していた手を顎にかけ、くい、と顔を上に上げさせる。 強制的に目を合わさせる体勢。 不気味に紅く輝く目に気圧され、身体が上手く動かない。 それどころか、目線を外す事すらできない。 「キミを傷つけたい訳ではないし、一応冗談のつもりだったのだけど…… そんなにも可愛い反応されたら、我慢できなくなってしまうじゃないか。」 つつつ、と長い爪が首を掻き切るように優しく滑る。 ふー、ふー、と彼女の荒い息が聞こえる。 緊張に心臓がすくみ上がって仕方がない。 「ああ、ボクは前にも言ったはずだよ。 あまり誘うような真似はするなって。」 いつの間にか、彼女は俺を押し倒すような体勢になっていた。 首に手を掛けられ、皮膚を破らないくらいに爪を立てられている。 鋭い痛みと圧迫感が苦しい。 「痛いかい?苦しいかい? ごめんね。けれどキミも悪いんだよ。 ボクみたいな魔物に無防備な姿を見せてさ……。 そんなの、堪らなくなってしまうに決まっているだろう?」 凄惨な、されど美しい笑みは、不気味さを助長させる。 まだ外で小鳥が鳴いているのが、いやに遠くに聞こえた。 「ああ、愛してるよ、兄さん…… 愛して、愛して、愛し尽くして。 それでも、まだ足りない。 胸の中で渦巻く苦しさは増すばかりだ。」 頬に手を添え、すりすりと撫でられる。 まるで、宝物を隅々まで眺めるような目線。 顔の隅々までじろじろと興奮した目付きで鑑賞される。 ふと、手が止まる。 首を押さえていた右手も、頬をさすっていた左手も。 「……その細っこい首筋に齧り付いてしまいたい。 身体中を、隅々まで舐め回してしまいたい。 声も出なくなるほど、ぐちゃぐちゃに犯してしまいたい。 こんなにもボクは欲望を募らせているというのに、キミは全く無防備なものだね。 キミはどれだけ危険の中にいるか分かっているのかい?」 どんどん、紅く。 血が溢れ出すように目がどす赤い色に染まってゆく。 食われる。 本能はこんなにもアラートを出しているというのに、まるで身体は動かない。 彼女から溢れ出す強烈なプレッシャーにあてられてしまっているのだ。 「それをキミは、怯えるか弱い羊のように…… それも、狼の腕の中で。 これでは、食べてくれと言っているようなものじゃないか。」 歯を見せつけるように、嗤う。 ギラギラと白く光を反射して、僕の首筋を照らし出す。 抵抗は全く無意味。 僕はただただ恐怖に震えるしかない。 両の指が、首にかけられる。 気道に添わせるように、しなやかな白魚のような指が乗る。 力は込められていないが、精神的な圧迫感で息が苦しい。 「ああ……いいねぇ、その顔。この体勢。 ボクがほんの少し力を込めれば、キミは呆気なく死んでしまう。 キミの生殺与奪の権利は今、ボクが握っている訳だ……」 うっとりとした目線でくひり、と笑い声を漏らす。 彼女の言う通り、ほんの少しでもその手に力を入れれば、僕は死んでしまうだろう。 容易く、いとも容易く。 それこそ、蟻を捻り潰すよりも簡単に。 何故なら、彼女は人外の膂力を持っているから。 「どく、どく、と脈動が伝わるよ……キミの可愛い首筋から。 ……緊張、しているのかな。とっても早く、鼓動を刻んでいる。 生命を維持しようと、キミの無意識は必死に血液を送り込み続けている…… ああ、なんて愛おしい……!」 目を見開いて、叫ぶように一息に言う。 内なる衝動が抑えられない、といった風に。 その目は明らかに正気を失っており、いつ気が動転して縊り殺されるか分からない。 短く、短く息をつく。 僕も彼女も、興奮したイヌのように。 見るからに、彼女は興奮しきっている。 これでも、胸の内の魔物のしての衝動に耐えようと必死なのだろう。 ジュピターは、本来は優しく、気性の穏やかな女性だ。 だが、彼女の胸の中に渦巻く狂気的なまでの僕に対する執着は、時折こうして暴走してしまう事がある。 普段から押さえつけている、人の身には大きすぎる激情を、ただ僕という個人に向ける。 僕に出来ることは、ただ彼女の激情が収まる事を祈りながら、ただ待つのみ。 「さぁ、兄さん。 今日も、愛し合おう……!」 涎をぽたりと垂らしながら、背筋に寒気がする程に美しい、それでいておぞましい笑みを向けて、彼女は押さえつけた欲望を解き放つように叫びかけた。 ――彼女は僕に依存している。 捨てられて、空っぽだった彼女を受け入れ、愛し、家族として接する内に、段々と僕に異常な程の執着を向けるようになっていった。 そして、それを僕は拒む事が出来なかった。 そうすれば、彼女は容易く壊れてしまうだろうから。 そして、これから先も拒むつもりは無い。 それが、彼女を変えてしまった僕に唯一出来る贖罪だから。 彼女の名は、ジュピター。 姓はなく、ただジュピター。 僕の元いた世界で言う主神の名を冠する彼女は、事実、神にも匹敵する程の力を持っていた。 指を一振るいすれば、大地が震え、炎が巻き上がり、嵐が吹きすさび、海が割れる。 この世界を終わらせるには十分すぎる魔力を単身持つ厄災の象徴。 そして、人類に仇なす魔族を支配する魔王の、娘。 それが、彼女だった。 辺境の村の、これまた外れの一軒家。 そんな場所で、何故ただの村人である僕が魔王の娘である彼女と暮らしているのか。 そして、何故彼女にこんなにも愛を向けられているのか。 これは、僕がジュピターを拾った所から始まる物語である。

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投稿の順番が少し前後します/リクエスト作品について/300円支援者様向け投稿

こんにちは、だいこんです。

連載のお話をすぐ投稿する予定でしたが、思いのほか時間がかかっておりましてすみません。今えっちシーン(本番無し、直接性感帯に触れる描写少なめ)を書いておりますのでもう少々お待ち下さい。で、すぐ連載のお話を書きあげたいところなのですが、リクエスト作品の締め切りがあと二週間なので一旦こちらを優先させて頂きます。ご了承下さい。一文字も書いてなくてかなりピンチですが絶対に間に合わせますのでそこはご安心下さい。


リクエストの作品ですが、5000文字のご依頼という事なので、短めの短編に仕上げたいと思います。依頼の文字数からして多分依頼者様も読みやすいお話をお求めだと思うので、例の15000字の依頼のくせに50000字書いた九尾の話のように描写やプレイを盛り盛りにしたりはせず、描写も少しすっきりめにしてクドくならないのを意識して書きます。多分初期に書いた話に近くなるんじゃないかな?クーデレ長身彼女の話が6500字ですから、あれぐらいの温度感になるかも知れませんね。


そして、それらを二つとも書き上げたらなんとまた締め切りの近いSKIMAのご依頼があるんですね。割と大変でございます。嬉しい悲鳴ですねえ。皆様のおかげです。ありがとうございます。

ただ、それを書いていると300円支援者様向けコンテンツを書いている暇が無いなと思いまして、何か公開できるものは無いだろうかとメモ帳を探してみたところ、ちょうどいいのが眠っていましたのでこれを公開しようかなと思います。

それは、自分が高校生の頃に書いた非R-18小説なんですが、まあ僕自身はなるべく見たくはないものですね。いわゆる黒歴史というか、いやそこまでではないんですけど。ただやっぱり今見ると拙い部分に目は行きますし、ちょっとキツいな……という思いにもなるシロモノです。

修正してもいいのですが、今回はあえてそのまま投稿したいと思います。単純に時間がないのもそうですけど、昔の自分のままの文章って、言い換えれば今の自分には出せないものですしね。それを世に晒すのは精神的に厳しいものはありますが、是非読んで鼻で笑って頂ければ幸いです。

それではさようなら。

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『淫堕教』と淫らな信徒たち:一話 お試しサンプル

伽藍堂のファミリーレストラン、その端の席。 二人の女性に挟まれるようにして、僕は座っている。 向かいにも席があるにも関わらず、両隣に。 それは、逃がさないという意思の現れだろう。 彼女らとは全く面識はない。 ついさっき出会った女性だ。 にも関わらず、両隣の二人は僕に熱っぽい目線を向けている。 美人局か、宗教の勧誘か。あるいはマルチ商法か、はたまた詐欺か。 何にせよ、ろくでもない事だろう。 しかし、それでも僕は浮ついた気分を止められない。 「一人でいる時に話しかけてくる奴には気を付けろ」なんて、大学生活で気を付ける事の一丁目一番地だ。 留年するな、とかカップラーメンばかり食べるな、とかの生活上の事よりも時に優先されて言われる程の。 大学に入学したての頃なんかは、僕も耳にタコが出来るほど聞かされた話だ。 ならば何故、ほいほいと言われるがまま着いてきてしまったのだろうか。 何故、僕は彼女らに警戒心を抱く事もせず惚けた顔をしているのだろうか。 その理由は、一重に。 「いかがなさいましたか?」 「どしたのぉ?何か頼もうよぉ?」 ──彼女らが、人間離れした程の極上の女だったからだろう。 僕は、昼ご飯を食べるため、ファミリーレストランへ向かっていた。 同じ学部の友人は毎日自炊しているそうだが、不精者の僕にはそんな真似はできない。 明日の分まで考えて材料を買い、時間を掛けて調理して、食べたらまた食器やら調理器具やらを洗って片して。 それだけ労力を掛けておいて、一人分だけ作るのなら、コンビニのパンを買った方が安い。 ならば、多少の健康を犠牲にして楽を買う方がずっといい。 僕は生まれつきの性根から、楽な方に流される人間なのだ。 そんな訳で、今日も真っ昼間の十二時半に起きた僕は、多少の罪悪感を目覚めから感じつつも腹を満たそうとしている。 まあ、大体の一人暮らしの大学生なんてそんなものだ。長期休みなら尚更。 なんて自分に言い訳をして、僕は寝癖も整えずに、ボロのスニーカーと古着でお決まりの店へ歩く。 だからモテないんだろうなと思いつつ、大学の前を横切った。 くぁ、と欠伸をすると、整髪剤の香りがする。 見ると、門の前にはスーツや和服を着た若者が集まっていた。 そう言えば、今日は入学式の日か。二年生は休みだから忘れていた。 見る限りでは、今しがた入学式が終わったところなのだろう。帰る人もちらほらと居る。 通りがかりに眺めると、キラキラと輝くようなフレッシュさに圧倒される。 早速友人を作ろうとする人、さっさと遊びたいのか散ってゆく人。 何にせよ、活き活きとしていて僕とは大違いだ。 思えば一年前、僕もあんな風だったか。 そのキメた髪型はいつ僕のような寝癖に変わるかな、と思いつつ僕は門前を通り過ぎた。 いくらかの新入生と道を同じくしながら街を歩く。 ここいらは栄えているから買い物でもしていくのだろうか。 僕も上京したての頃は目を輝かせて歩き回ったものだ。 元々田舎に住んでいたが、その時と同じように道のど真ん中をふらふら歩いていたら迷惑そうな顔をされたっけ。 都会は人が多い割に歩道が狭いから、片側に寄って歩くものだと知った時には驚いたな。 なんて思いながら歩き慣れた道を進んでいると、何やら人々の様子が変だなと思う。 道行く人が皆、ある一点を見つめているのだ。 まるで視線を固定されたかのように、一箇所をずっと。 サラリーマンの男性も、買い物帰りの女性も、子供だって、老人すらも。 そしてそのまま歩くものだから、そこかしこで人同士がぶつかっている。 「っと、すいません」 ──ああ、いえ……。 現に僕も、後ろを名残惜しそうに見つめながら歩く青年にぶつかってしまった。 そうして、やっと青年は前を向いて歩き出す。 そんなにぼんやりする程のものかね、と少しばかり心の中で嘲る。 ──何があるのだろうか。 老若男女問わず視線を奪い、惹き付けるのは一体何なのだ? 少しばかり興味が湧いて、ルートを変えてその視線の先に向かってみる。 幸い、道端の人々の目線を辿ればそれには容易に近づく事ができた。 なんだか案内板が出ているみたいだな、と思う。 しかし、そこまで人を虜にする物とは何がある? 煌びやかな宝石?路上パフォーマー? 面白いマジックでもしているなら、少しばかり暇つぶしに見ていきたいものだが。 うーん、と首を捻りながら歩くと、人だかりとまではいかないが人の集まりが見える。 立ち止まってそれを見る人々。 僕もその集まりに混じって、それに目を向ける。 さて、誰もかもを釘付けにする物とは何か。 その答えは、すぐに氷解した。 ──ああ、確かに、これは。 二人組の、女だった。 それも、人間とは思えないほどの美女。 一目見た途端にぶわりと全身に鳥肌が立つほどの、究極的にまで美しいそれが、悠然とただ立っていた。 ただ美しいだけではない。 それらの女は、何処を見ても──生殖欲求をとことん煽る、有り体に言えば滅茶苦茶にスケベな身体つきをしていた。 なんて下劣な身体だ。 どちらの女も乳はやたらとデカくて腰は細い癖に、尻肉が服を押し上げてその巨大さを誇る。 ちらりと覗く太ももは最高に肉が付いてもちもちと柔らかそうで太い。 これでは歩く性犯罪、身体を隠す服を着ただけの痴女だ。 教育に悪い、少年の精通を、男性の勃起を煽る身体をしすぎている。 彼女らはただ立っているだけだが、それでも警察に補導されてもおかしくはない。 本気で、僕はそう思った。 気がつけば、僕もその女達から目が離せない。 ただ立っているだけのそれらから。 誰かを待っているのだろうか、左の女性は目を閉じたまま芯を入れたように真っ直ぐに立ち、右側の女性は街灯に体重を預けている。 その、何と絵になる事か。 いや、どんな画家でも、この視界を超える絵は書けないだろう。 そう思うほど、絵の具のフィクションを上回るほどに、その女達は美しかった。 ──何かの、撮影? そんな声がどよめきから聞こえるが、そんなはずはない。 僕がもし、彼女らを撮影しろと言われたら──しっぽを巻いて逃げ出すか、舌を噛み切って死ぬ。 どう考えても、人間ではその被写体の美しさやエロスを最大限に引き立てる事はできない。 せいぜい、現実の劣化。 目の前に立つ彼女らの、纏うオーラを、雰囲気を、殺してしまう。 僕はカメラマンとしての知識や技術など一欠片も持ってはいないが、そんな確信があった。 それが被写体をありのまま、いやそれ以上に引き立てて写すためのプロならば、きっと尚更の事だろう。 右側の女性が、体勢を立て直す。 もたれかかってずり落ちた身体を戻し、街灯に身体を擦る。 その時、それを見ていた全ての男が股間を思わず押さえた。 その桃のような形の巨尻を、街灯を割れ目に挟むようにしてズリ上げたのだ。 まるで尻コキのような体勢で、ずりゅうぅ~っ……と艶めかしく一コキ。 それが、もしも自分の肉棒だったら。 それが、もしも自分に向けて行われた行為だったら。 そう思わせずにはいられない、どうにもAVじみた、猥褻な動きだった。 肉尻は、依然として街灯にむっちりと押し付けられ、食い込んでいる。 だぷんっ♡という音すら聞こえそうなほどのサイズ感、肉感の尻が。 ただの無機物が、名前も知らないあの女の肉を味わっている。 僕が、決して、一生味わう事ができないであろう、最高級のむちむち尻肉を惜しげも無く押し付けられている。 そう考えると、本気であの鉄の塊に嫉妬の念を覚えてしまう。 それと同時に、あの人肌の蒸れた熱が伝搬した鉄に、また雌尻のフェロモンがたっぷりと擦り付けられたあの部分に、出来ることなら頬擦りでもしてみたいとすら思う。 いや、実際にあの女がどこかへ行ってしまえば、周囲の目も振り切ってあそこにむしゃぶりつく男は必ず現れるだろう。 それほどに、女のそのケツズリの動きは観衆のペニスを苛立たせた。 そして、それと同時に、ゆさりと胸の巨大な肉房が揺れた。 一メートルなど悠々と超えるサイズのそれが、どだぷ……んっ♡と。 うわ、と声を出したのは僕だっただろうか。あるいは他の観衆だっただろうか。 エロスを体現したかのような、むしゃぶりつきたくなる乳肉が、あんなに揺れた。 ああ、知らなかった。 極限まで柔らかな、最上級の乳肉は、あんなに柔らかそうに揺れるのか。 「巨乳おっぱい揺らし動画♡」なんて馬鹿みたいなタイトルの、乳がデカいだけの大して美人でもない女が自己顕示欲を満たす為だけに男に性欲を向けさせる動画を、見た事がある。 ゆさゆさと手で上下に揺らし、確かにそれは揺れていた。 けれど、これは──絶対に、違う。 どゆん♡と何キログラムにもなる重みを見るからに感じさせながら、プリンを揺らしたような、あるいはドップラー効果のように動きに対して一呼吸遅れて乳肉の揺れが着いてゆく。 そのまま、ばるるん♡とたっぷり揺れ、その揺れが揺れを起こし、しばらく服の中でたぷたぷと震えていた。 あれほどの極上女体になると、震え方の一つまで違うのか。 興奮を通り越して感心までしていると──左側の女性、今まで目を閉じていた彼女が、ふと目を開いた。 腰まである金の髪の彼女。 その日本人離れした髪色や長身とスタイルから、外国生まれの方なのかなと思わせるその女。 物憂げな印象を与えるように半分だけ開き、その瞳が見える。 右目はサファイアを埋め込んだような、碧眼。 非実在性すら感じる、怖気すら感じるほどに美しい青だった。 そして、左目はアメジストのような紫色、だが──妙な紋様が入っている。 何とも形容し難い、瞳の色と合わせてどこか魔的なおぞましさを感じる形のそれ。 その威容は、超越した美貌と相まって、その姿を人外のものにも思わせた。 それと同時に、異常な納得を覚える。 ああ、この女性は──この瞳なんだ。 つまるところ、彼女は、人間ではないんだろう。 その考えは周りの群衆も同じだったのだろう、ざわめきが大きくなる。 しかし、その瞳から目を逸らす者は一人として居ない。 むしろ、見蕩れている。 その、人智を超えた美に。 そうして、そのオッドアイの女性に見蕩れていた頃、右側の女性が、ふと微笑む。 その瞬間、ざわめきはしんと静まり返った。 彼女は、その群衆に向かって微笑んだのだ。 その笑みのなんと艶めかしい事か。 にんまりと細められた目は悪戯っぽく、つり上がった口の端が心を捉えて離さない。 それは、まさに老獪な狐。 男を誑かす事を生業にしている、と言われても納得できる。 実際、ハニートラップとして彼女をけしかけられたら、きっとここに居る全ての人間を手玉に取るなんてわけも無いのだろう。 こちらは両方黒目で、髪も烏の濡れ羽色。 日本人らしい色に染まった彼女だが、やはり漂うのは異様なまでの空気。 彼女もまた、人間ではないと感じてしまう。 それでいて、恐ろしいとも思う事ができない。 それどころか、彼女に全て食われ尽くされたい、全て支配されてしまいたいという破滅的な願望まで湧き上がる。 オッドアイの彼女が、瞳を上げる。 それと同時に、何処へともつかず笑みを漂わせていた黒髪の彼女が何かを見据える。 その先にあるもの、それは。 ──へ? 多分、僕だった。 自惚れで、なければ。 四つ、瞳がこちらを向く。 心臓まで射抜かれるような心地。 頭が真っ白になる。 何故、僕を見ているのだろう。 真っ直ぐに、僕の目を。 群衆の目も、僕に向けられる。 驚きとか、猜疑とか、妬みとか。 だが、その幾多もの目線は、たった四つのあの瞳に比べれば塵芥も同じ。 じ、と見つめ合う。 それだけで圧倒され、屈服し、隷属してしまうような、それ程までの視線。 目を逸らしたくなるほどそれらの瞳は強烈に美しく、心を打つ。 しかし、逸らせない。 射止められたかのように。 こつ、と二人がこちらに歩み寄る。 都会の街中には有り得ないほどの静寂の中、二人の足音だけが聞こえる。 ざ、と人波が割れる。 モーセの海割りの如く、人々は道を開ける。 そして、目の前に二人が立つ。 ああ、やはり眼前に立つと全然違うな、とどこか他人事のように考える。 圧倒的な雰囲気とプロポーション、そして美幌を持つ二人の姿は、近くで見ても全く悪い部分が見えない。 よく見ればほんの少しシミがあるだとか、ちょっとだけ肌がくすんでいるだとか、そういった些細な不備すらもない。 ある意味リアリティがないなとすら思えるその姿は、至近距離で見れば見るほど、よりその美しさが見て取れる。 例えるならば、高名な画家の描いた絵画を引きで見ればそのバランスや構図に感嘆し、寄りで見ればその緻密さや完全さに見蕩れるような。 金の髪を風に緩くたなびかせ、オッドアイの彼女が一歩前に出る。 その高い身長や風貌はどこか神性すら帯びているようにも見え、ともすれば彼女は天使の類なのかとすら思ってしまう。 そう、例えるならちょうどどこかの美術館で見た宗教画のヴァルキリーのよう。 聖なる存在として人々を導く、戦乙女のような。 だが──それは正しい評価とは言えない。 人々を傅かせるその神聖さは、ただ彼女の一側面でしかない。 そう、神秘的で触れがたい存在であると同時に彼女は──どうしようもなく淫靡で、淫らで、下劣なのだ。 母性と言うよりかは男を誑かす為だけに、柔らかく服とひしゃげて、かつツンとハリがあり上を向くような理性を掻き乱す乳肉だとか。 多産の象徴とも言うべき、でっぷりと実りつつグミのような確かな揉みごたえのありそうな淫肉を蓄えた雌尻だとか。 運動能力を誇示するかのように太く肉づいて、柔らかく性行為向けの脂肪がむちつくと共に、カモシカのようなしなやかさのある筋肉すらも兼ね備える太腿だとか。 そしてその癖に、無駄な肉を削ぎ落とした細い腰だとか。 それらどうしようもなく下卑た、雄に媚びるための肉が、彼女の持つ神聖な雰囲気と相まってひどく劣情を煽る。 そして驚くべきは、その下劣なエロスと神聖さが互いを高め合い、同居している事。 その肉体は、ある意味人間より上位の存在であると示すようで神性を損なわず、かつその神秘的な彼女の雰囲気は、犯してはいけない存在を犯すその背徳感を演出する。 ああ、何と雄好みのする雌なんだろう。 などと、あまりにも失礼な事を考えていると、そのオッドアイの女は口を開く。 「お待ちしておりました、使徒様」 凛とした、水面を打つような声だった。 目の前に立った彼女の、完璧とすら言えるその相貌にも劣らない、透き通った清水にも似たそれは、僕の鼓膜を優しく上質なシルクが撫でるように震わせた。 ──使徒? 聞き慣れない言葉がまず引っかかる。 そして、待っていたとは、僕を? 疑問が多くのしかかるが、ともかく今は──目の前の女がエロくて美しい。それだけしか考えられない。 すると、いつの間にやら後ろに回り込んでいた黒髪の女が耳元で囁く。 「もぉ、いきなりそんな事言われても分からないよねぇ?アリシアったらせっかちさんなんだからさぁ。くすくす……♡」 脳が溶けるように甘ったるい声だった。 先程の──多分、この女が言った言葉から察するに名前はアリシア──の声が清水ならば、この女の声は媚薬。甘い劇薬。飽和するまで砂糖を溶かした生クリーム。 そう思えるほどの、雌のフェロモンに富んだ声が耳を犯して、思わず振り向くと──。 にまりと笑う、妖がそこにはいた。 本能的に、喰われると思った。 この女は、人を食い物にして生きる淫らな化け物だ。そう直感的に感じた。 にま、と細められた目がひどく淫猥だ。 そして、その媚びるような雰囲気を隠そうともしない。 先程のアリシアが神聖なヴァルキリーなら、この女は女郎蜘蛛。若い男の精を啜るサキュバスだ。 その姿で、声で、匂いで、持てる全てで直接的に雄の本能を呼び起こし、そしてその肉壺で何もかも食べてしまう、そんな恐ろしい妖だ。 そして、それを知りつつも雄、つまりは僕も逃れる術はなく、むしろ喜んで身を差し出してしますような危うさすら、彼女の魅力を引き立てるスパイスになる。 それは彼女の肉体にも顕著に現れている。 アリシアの若々しくハリのある肉体に比べて、この女の肉は見た目にすらいかにも柔らかく熟れている。 たぷっ……♡と重力に従う液体じみた垂れ気味の乳。 腕すら全て飲み込んでしまいそうなほどの深い深い谷間、きっとこの世で最も柔らかなちんぽケースとなるであろうそれも。 身じろぎする度にふるりっ……♡と揺れてたぷつく、ただただ柔らかな尻。 腰を叩きつける妄想を、その肉のふかふかとした柔らかさにペニスを突き入れる空想を、どうしても抱かせる雄喰いのそれも。 ともすればだらしない程の、ぶっとく腿コキにしか使えない脂肪肉を付けた愛玩用太もも。 ぴっちり閉じた足にペニスを捩じ込み、雌に快楽の一つも与えずに、自分だけが勝手に敗北射精をキメるマゾヒズム全開の雄壊しを誘う悪辣なそれも。 むにむにと少々肉の付いた、しかし細身でくびれのあるウエスト。 所謂ラブハンドルと呼ばれるくらいの摘める肉は乗りながら、しかしモデルのように美しく、交尾する為の雌肉としても現代の女として好まれる容姿としても優れたその腹も。 この女は何もかもが性行為に特化した存在とも思える、言わば生まれついての性的搾取者、雄を誘う最高の撒き餌を身に備えに備えた淫魔なのだ。 そんな女が、最高級の花魁じみた妖艶かつ蠱惑的な美貌をすぐ顔の傍に近づけ、その淫らな本性を隠そうともしない表情を僕に向けて晒している。 そんなの──どうやったって、見蕩れてしまうだろう。 目の前の妖がにまりと笑みを深めた。 ふわりと甘ったるい香りがする。 糖蜜のような、クリームのような、とにかく濃厚かつ甘い、少し乳臭い、そしてその奥に生っぽい肌や汗などの雌の匂い。 これは、まさかとは思うが、この女の体臭なのだろうか。 こんな、雄どころか雌すらも誘い込むような香りで、生きているだけで人を誑かし続けるような女が、まさか実在するとは思っていなかった。 女はゆらゆらと揺れている。 メトロノームより不規則に、ゆらゆら、ゆらゆら。 背中に線が入ったように堂々と、ぴんと立つアリシアとは対照的な、人をどこか手玉に取るような動き。 その一挙一動にすら目を離すまいと見つめ続け、右に左に揺れる彼女の姿にますます魅了されてしまう。 その仙女や化生じみた美貌が、また性的な部分には肉付きながらも基本的には線は細く、全体的なシルエットのバランスを欠かない奇跡的なまでの身体付きが僕の心を捕らえて離さない。 女がゆっくりと口を開く。 あえて見せつけるようにゆっくりと、口を開けてからも少し間を置いて。 僕は彼女の声を少しでも聞き漏らすまいと、耳に全ての神経を集中させる。 その様子を見てから、女は喉を震わせ声を出した。 「ねぇ……キミ、今からご飯行くんだよねぇ?なら私達と一緒に行こっかぁ♡たくさんお喋りしようよぉ♡」 ──は。 目を見開いて言葉を反芻する。 ご飯、そう言えば食べに行くところだったな。この女たちに見蕩れて忘れていた。 いや、そんな事はどうでもいい。 僕は──食事に誘われた? この、望めばイケメンのトップアイドルでも経済界を背負う一流企業の社長でも、日本を牛耳る政治家でも裏社会を支配する非合法組織の親方でも、その美貌と肉体だけで手中に収められるであろう女に? ──単純に、何故?そこいらの、凡百の大学生の僕に? 僕が混乱していると、アリシアはため息を吐きながら女に言う。 「こら……。使徒様が混乱なされているではありませんか。せっかちは貴女の方でしょう、蓮花?」 蓮花と呼ばれた女は、まるで反省していなさそうに笑う。 それどころか、アリシアが怒ったー、などとおどけながら僕の背中に隠れてくる。 その蓮花の行動に、僕はひどくどぎまぎした気分だった。 なんと言うか、この蓮花という女──距離が近い。 それでいて馴れ馴れしいとかうざったいとも思えず、まるで人の心の壁をすり抜けて、自分のパーソナルスペースにするりと居座る猫のような、そんな存在だと思えた。 そんな蓮花は僕の背中に手をついて──服越しなのに手のひらが柔らかい、暖かな指先の体温に触れて胸が高鳴る──アリシアから隠れているため、僕は必然、アリシアと対面する事になる。 その神聖さとおどろおどろしさが同居したようなオッドアイに見つめられると、何となく全てが見透かされているようで少し恐ろしい。 そんな僕の心情もやはり透かされたのだろうか、アリシアはふぅ、と一息吐く。 「……そちらの蓮花が大変な失礼を致しており、申し訳ございません。ですが彼女の言うように、我々は是非、貴方様と一度席を同じくしてお話したいと思っております。如何でしょうか、この後には何かご予定はございますか?」 じ、と目を見てそう言われる。 逃がさない、とその目は言っている気がした。 多分、嘘を吐いてもすぐに彼女は気づくだろう。 何故か、そう確信を持っていたので正直に答える。 ──予定は、今から一人で食事に行くくらいしかないですけど……。 そう言うが早いか、右隣、すぐ顔の傍で僕の手を握って蓮花は言う。 「じゃあ一緒に行こぉ♡ね、いいよねぇ♡」 更にアリシアも僕の左隣に近づき、手を取ってどこか媚びるように言う。 「使徒様に無理強いは致しませんが、私からもお願い致します。共に、来ては頂けませんか?」 絶世の美女、テレビでも見た事のないほどの二人の極上の女。 それが両隣を占拠して、手を取って僕と食事に同席する事を望んでいる。 そんな状況、考えた事もない。 だからこそ、頭など上手く回るはずもない。 どう考えても怪しいとか、明らかに言うまでもなく100%罠だとか、そんな事を考える脳の隙間もない。 空恐ろしいほどの美しさの、こんな女達に挟まれてそんな事を考えられるはずもない。 甘い香りがする。 爽やかなシトラスのような香りと、甘ったるいクリームのような香りが混じり合う。 両手に感覚を集中せざるを得ない。 陶磁器のような白皙の指が、あまりに柔らかでしなやかで、人間のものとは思えない。 右を見ても左を見ても美女。 男の思考を全くダメにするような誘惑の微笑みと、気高い風格に溢れたエレガントな無表情に感情をぐちゃぐちゃに掻き乱される。 「ねぇ♡早く行こ♡」 「使徒様、ご決断を」 ますます耳元に口を近づけ、両耳がそれぞれ屈服する。 もう、頭の中は真っ白。 胸だけがどくどく早鐘を打ち、訳が分からない。 そんな状況で、僕は。 ──ぎこちなく、頷く事しかできなかった。 「ふふ♡きーまり♡じゃあ行こうねぇ♡」 蓮花は、それはそれは嬉しそうに顔をふにゃりと綻ばせ、僕の手を引っ張った。 「蓮花、使徒様のお手を引っ張っては失礼ですよ。……聞いておりませんね。すみません、貴方様との食事が楽しみなあまり、蓮花は少々昂ってしまっているようです。何卒、ご容赦頂けませんか?」 アリシアも僕の手を離そうとしない。 それどころか──恋人繋ぎに繋ぎ直し、ますます握りを深める。 もう、僕はすっかり彼女らに心を奪われていた。恋をしていた。 頭が沸騰するとはこのような心地なのだなと思った。 引っ張られるがまま、彼女らについて行く。 観衆の阿鼻叫喚の声が耳に入ったのは、しばらく歩いてからだった。 この後は、 ・ファミレスの中で二人がかりで淫語囁きボディタッチ誘惑 ・『淫堕教』がどんな場所なのか、何をする組織なのかの説明 ・主人公を勧誘する為に行われる甘い寸止めえっちで射精懇願 などを予定しています。 果たして主人公は誘惑に耐えきれるのでしょうか?そして『淫堕教』の目的は?諸々ご期待下さい。

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五月の予定とか

こんにちは、だいこんです。四月の予定も全然達成できてなくて本当にすみません。

根本的にスケジュールが甘いですね。そもそも月に四本ss書くのは自分の今のペースではちょっと厳しいという事をようやく理解しつつあります。今の自分では多分月二本か、書けて三本でしょうか。

何故こういう事が起きてしまったかと言うと、一日2000字くらい書ければ大丈夫かなと思ってスケジュールを組んだのですが、

・そもそも忙しくて書けない日がある

・プロットを組んだり考えたりしている間は本文を進められない

・書いても納得ができずに消してしまう

・毎日はモチベーションが続かないので休憩する日もある

という事から予定よりかなり進行が遅れてしまったというのが現状です。こうして原因を書き起こすと当たり前すぎる……僕アホすぎるな……。


さて、反省から始まってしまいましたが、今月の予定です。

連載のお話/『淫堕教』と淫らな信徒たち

これは四月に言っていたやつですね。タイトルは仮題なので後々変えるかもです。主人公に都合のいいえっちなハーレム宗教のお話です。これも四月中に書き上げる予定だったのですが、思ったより難航してしまいました。とりあえず導入は書けたので後で宣伝がてらお試しサンプルを投稿しようかなと思います。また、これは500円支援者様向けの先行公開コンテンツとなっておりますので、300円支援者様はすみませんが完結までお待ち下さい。凍結しない限りは後々全体公開致します。

あと、実は連載の企画が二つあってどちらか迷っていたので、ツイッターでアンケートを実施したのですが、これはアンケートに負けた方です。本当はもう一つの方を書こうかなと思っていたのですが、そっちはプロット考えたところ死ぬほど長くなりそうなのでちょっと後回しにさせて頂きます。何もかも無計画ですみません……いつかこれは治さないと身を滅ぼすな……

リクエスト作品二つ

pixivでのリクエスト作品と、SKIMAというサイトでのリクエスト作品です。pixivの方は締切が五月なので少なくともこちらは五月中に書きます。SKIMAの方はまだ余裕があるので六月かも知れません。どちらも内容は公開していいか分からないのでまだ伏せておきます。


ゴールデンウィークはいっぱい書く予定だったんですが、家族と色々したり雑多な課題があったりして案外書けませんでしたね……先が思いやられるな……

とにかく皆さんに満足して頂けるよう、クオリティを維持しつつ早く書くよう頑張ります!よろしくお願い致します!

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次に公開する500円以上の支援者様向けの全体公開ssについてのお詫びとお知らせ

こんにちは、だいこんです。

今月はモンスターハウスシリーズの新作を掲載する予定でしたが、誠に勝手ながら少し予定を変更させて頂きたいと思います。ごめんなさい。というのも、書きかけの内容を確認したところ、ちょっと展開が微妙だなと感じたので一度練り直す方がいいと考えたからです。こちらの作品を待って下さっていた方には大変申し訳なく思っております。

大元のコンセプトは変わらないので、展開の見直しには何ヶ月も掛かる事はないと考えています。なので具体的には、来月もしくは遅くて再来月までに完成させます。重ねて申し訳ありません。


ですが、今月も500円以上の支援者様向けに何のコンテンツも無いと、ファンボックスを開設してから一度も限定ssを提供できていない状態が三ヶ月続いた事になるので、流石に何か投稿したいと思います。ただ、500円以上のプランは全体公開するssの先読みがメインコンテンツなので、この先無料公開する予定の作品を考えなければなりません。


そこで、少し前から構想があった連載の作品を書いてみたいと思います。今のところ展開を考えているのは一話と最終話だけですが、プロットを全て決めてから書いていたらいつ公開出来るか分からない上、これ以外に全体公開向けのアイデアが無いのでとにかく書いてみたいと思います。


という訳で、おおよそ一ヶ月か二ヶ月に一話を目安に連載作品を書きます。500円以上支援者様のみの公開です。


連載作品は書いてから今までの話の都合を合わせたりする関係上、最終話まで書いてから全体公開をしたいと思っております。要するに、何か設定的な食い違いなどを後々修正するかも知れないから全部書いてから一度見直すという事です。なので、全体公開の作品は支援者様向けの作品と一部違う場面がある可能性があります。ご了承ください。


連載が最終話まで終わったら、一話ずつ一週間毎に全体公開致します。この一文が皮算用にならない事を祈りつつ、頑張っていきたいと思います。


最後になりますが、わがままばかり言ってすみません。支援者様方々を振り回すようで申し訳ないのですが、着いてきて頂けると幸いです。


それでは、今後とも宜しくお願い致します。

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奉仕種族褐色爆乳侍女との堕落宮殿暮らし囁きチュートリアル

もし──もし──? 聞こえていらっしゃますか? もしも聞こえていれば、返事を頂きたく──。 ……はい、ありがとうございます。 どうやら繋がったようですね。 術式は成功のようです。 さて、突然申し訳ございません。 いきなりの事で戸惑っておられるかと思います。 姿も見えず、声だけが届くというのは、不気味に思われる事でしょう。 何卒、ご容赦ください。 本来なら姿を晒し、貴方様の前に膝まづくのが礼儀なのですが、今はまだ、それも叶いません。 重ねて、申し訳ありません。 どうか、無礼をお許しください。 ……はい、私ですか? 私は、そうですね…… 奉仕種族の、魔物です。 一人の王を見定め、その方に集団で奉仕をする習性を持った魔物。 それが、私でございます。 ……はい、そうです。 確かに我々は皆、褐色の肌に大きな胸や尻を持っていますが……。 ……存じておられるのですか? 我々はそちらの世界に姿を現すことはありません。 我々の事を知っている魔物も同様です。 ですので、我々のことが書かれた文献なども存在するはずは無いのですが……。 ……インターネットの小説、ですか? フィクションの、言うなれば自慰するための官能小説? ……宜しければ、内容をお聞かせ願えますか? ……はい。 ……はい。 ……なるほど。 それは、もしかすると我々の同族に王として見定められた方が書いた日記のようなものなのかも知れませんね。 我々の種族の宮殿にお招きした王様の、一般的な暮らしと酷似しています。 それが、何らかの理由でそちら側の世界に流れ着いたのでしょうか。 ……はい。あのような暮らしを送られている方は、多くおられます。 貴方様の世界からも、多くの方が王として宮殿に招かれ、今も侍女の奉仕を受けながら暮らしております。 ……嘘ではありません。 突拍子もないお話で困惑されるかも知れませんが、事実として多数の人間が王宮に招かれています。 もっとも、それは貴方様や、そちらの世界に暮らす他の人間の方には感知できない事ですが。 ……どれくらいの人が、ですか? 貴方様の世界からは、そうですね。 元々存在していた人間の一割ほどが、王として招かれていきました。 もしかすると、貴方様の近しい方も、招かれていったのかも知れません。 ならば、何故それを知覚できないのか、というのはですね。 その方を王宮に招いたその瞬間に、その方が元から存在しなかったパラレルの世界に時空が切り替わるからです。 別の次元に人間が移動するという事は、本来の宇宙の法則から外れていますから、宇宙の防御反応とでも言いましょうか、世界はそれを修正するのです。 ……まあ、その辺りのお話は、貴方様が気になれば、追追致しましょう。 この度、貴方様に連絡させて頂いたのは── 貴方様を、王としてお招きする為です。 ……はい、我々の待つ宮殿で、淫蕩の限りを尽くした生活を。 堕落に満ちた、快楽と安寧だけを貪り尽くす生活を。 貴方様には、送って頂こうと考えております。 ……喜んで頂けたようで、何よりでございます。 ですが、申し訳ありません。 まだ、貴方様をお招きする為の準備が整っていないのです。 ですから、もう少々、お時間を頂きます。 どれくらい、ですか? そうですね……。 我々の住む王宮は、次元の狭間にあります。 そこは、時の流れが狂った場所です。 こちらの世界の時空とは少し違いますから、何とも言えません。 もしかしたら、一時間後かも知れませんし、一日後かも知れませんし、はたまた一秒後かも知れません。 ですが、少なくとも、一ヶ月後までには。 貴方様を、お迎え致します。 それまでは、貴方様のご友人に挨拶しておく等、後悔のないようお過ごし下さい。 さて、要件はこれだけではありません。 実は、新たにお招きし王となられる方には、少し問題がありまして。 それは、侍女に全てを委ね、完全に堕落し、快楽の限りを尽くす生活に初めは戸惑ってしまうという事です。 それは、例えば遠慮や羞恥、理性や倫理。 これら、そちらの世界でつつがなく生きるため培ったものが、邪魔をしてしまいます。 ……ええ、それらはこちらの世界では全く必要ありません。 貴方様は、ただ侍女の奉仕を受け止め、幸せや快楽を享受する事だけをお考えになればいいのですから。 ですが、例えば、貴方様は。 見ず知らず、突然目の前に現れた女に、セックスさせろと言えるでしょうか。 ましてや、例えば『その醜く肥えた乳肉を目の前でひたすらガニ股腰振りバカダンスで揺らしていろ』などと、命令できるでしょうか。 何でも命令していい女、都合のいい奴隷のような、そんな女だったとしても。 貴方様は、躊躇してしまうのではないでしょうか。 ……ええ、それは自然な事です。 こちらの世界では、そんな事を女に命令した事はないはずですから。 初対面の女にそんな事を言えば、同族の人間から罰せられ、鼻つまみ者にされるのは免れないでしょう。 ですが、徹底的に快楽を貪るためには、そんな理性は完全に捨てて頂きたいのです。 ですから、今から行うのは。 貴方様が、王宮にいらっしゃられた時に、気持ちよく命令を下せるように。 想像し、自分が本当にして欲しい事を答えて頂く、言わばイメージトレーニングです。 私が貴方様に、王宮での一日の生活を語り部のようにお伝えしますから、貴方様はそこでどうするのか、それを心の赴くまま、仰って頂きたいのです。 ……ええ、そうですね、簡単な事です。 では、早速始めましょう。 宮殿での生活、そのチュートリアルを──。 さて、一日の生活とは言いましたが、先程も申し上げた通り、宮殿では時の流れが捻れています。 ですから、正確に一日の始まりと終わりがある訳ではありません。 ですから、ここでは貴方様が目覚めてから眠るまで、その時間を一日と致しましょうか。 では、貴方様が目覚めた場面から始めましょう。 貴方様は、特別な理由が無い限り、我々が用意したベッドで寝起きすると思われます。 そちらの世界にあるどんな寝具よりも心地よく眠ることができる、王様に相応しい、特別なベッドです。 ふかふかと柔らかく沈み、かと思えばしっかりと反発し、人が何人でも寝れるほど大きく、どんな使い方をしても決して壊れず、また汚れもしない、そんなベッドです。 ですから、王となられた皆様は、おおよそこのベッドで眠られます。 しかし、貴方様はもちろん布団を敷いて眠ることもできますし、貴方様が普段使っている、匂いの染み付いた寝具の方が落ち着くとお思いになるならば、その寝具で眠る事もできます。 是非、貴方様のご自由に、お決め下さい。 ……我々が用意したベッドで眠られますか。 では、今回はそのパターンで考えましょう。 貴方様は、どこまでも大きなベッドに寝ています。 さて……貴方様は今、どのように寝ているでしょうか。 ……仰向け、または横向き、ですか。 なるほど、それも宜しいと思います。 ですが、申し訳ありません、これは私の言い方が正確ではありませんでしたね。 もう一度、お尋ね致します。 貴方様は、"無数の侍女を好きに扱える状態で"どのように寝ているでしょうか。 はい。侍女を、お好きなように、です。 ……添い寝をしてもらう、ですか。 その美貌を眺めて、頭を撫でてもらったりして、抱き着いたりもして。 はい、それも宜しいと思います。 侍女の美貌は、きっと貴方様を虜に致します。 どれだけ眺めても飽きない、人外の顔立ちですから。 それに、隣に侍女を寝かせて、その肉感的な身体を堪能しながら眠れば、よく眠れる事でしょう。 ええ、宜しいかと。 ですが──やはり、まだ侍女の扱いに慣れていないご様子ですね。 いえ、無理からぬ事でございます。 命令を何でも聞く都合のいい女を扱った経験など、貴方様にはまだありませんから。 それに慣れて頂くための練習です。 ですから、徐々に、貴方様の心の奥に眠る欲望を、さらけ出して頂きたく思います。 参考までに、今も王宮で暮らす王の様子をお伝えしましょうか。 例えば、雌肉クッション抱き枕。 貴方様の胸の中にすっぽり納まるほどの小さめな侍女を布団の中に連れ込み、そのむちむちとした肉体をぎゅっと抱きしめ、コクに溢れた雌肉を抱いて堪能しながら眠るスタイルです。 胸板にむんにゅりと乳肉が潰れ、柔らかく気色の良い感触を味わいながら、愛玩動物のように侍女を適当に可愛がり所有欲を満たす事ができます。 また、侍女の頭は丁度顎置きにもなりますし、髪の匂いを嗅ぐこともできます。 その場合は、抱き枕係の侍女は安眠効果のある香水を髪に付けて、貴方様の睡眠をサポート致します。 尻肉を掴み、柔らかな雌肉を撫で回したり揉んだりしてセクハラをし、胸の中で微かに吐息を乱す侍女の様子を楽しむこともできます。 背中が寂しければ、追加して侍女を呼び、背中から抱かせるのも良いでしょう。 それから、高身長どたぷん雌肉サンドイッチ逆抱き枕。 これは、その名の通り、侍女の中でも特に身長が高く、特に肉付きのいい侍女を二人ほど侍らせて眠るスタイルです。 貴方様よりも身長が高い、二メートルを超える体躯に両側から抱かれ、そのまま眠りにつきます。 大きな乳房に顔を前後から包まれ、谷間の甘い安眠フェロモンを嗅がせながら腹まで肉を押し付け、また足は太く脂肪のついた腿を絡めます。 全身をむちむち雌肉に包み、更には頭を撫でたり、ずりずりと乳肉を舐め付けるように顔になすり付けたりさせます。 こちらの体勢は、侍女の至高の肉体をとことん味わえると人気です。 存分に侍女の肉体に甘え、愛情たっぷり添い寝逆抱き枕をされながら、耳元で安眠囁きをさせるのも好まれます。 また、乳肉は特段大きく、頭の全てを包める侍女を呼ぶ事をお勧め致します。 その乳肉の狭間に頭を置けば、顔中が極楽の心地に浸れると評判です。 蒸れた乳肉の濃いフェロモンは、適度に暖かくてむわりと甘い香りなので、アロマ効果とアイマスクを兼ね備えています。 全身を包む雌肉に体重を委ね、意識まで委ねてしまえば、すぐに夢の世界へと旅立てます。 あとは、やはりハーレム肉布団でしょうか。 ベッドの上をシーツのみにして、侍女の雌肉だけを布団の代わりにするのです。 数多の侍女、大小様々なそれらの上に、貴方様は戸惑いなく寝転びます。 一人の侍女に覆い被さるように、または多数の侍女の上を交差して。 乳肉を枕にして眠ることもできますし、尻肉や腹や腿を枕にして眠ることもできます。 お好きなように、一番いいと思った位置で貴方様はお眠りになることでしょう。 掛け布団として、適当な侍女に指示することもできます。 ここは、大きめの侍女がよいと思われます。 自分の上に寝させて、その肉体の重みや柔らかさ、味を感じるのも良いでしょう。 この時、侍女は魔法によって重すぎないように体重を操ります。 適度な重みがのしかかる事により、安心感やむっちりとした肉感を感じる事でしょう。 寝返りをうてば、別の侍女の上に身体が移動します。 全く別の肉感を感じ、寝ながらにして侍女の肉の食べ比べのような感覚を味わえる事でしょう。 上に乗らせる侍女を次々に取っかえ引っ変えしても宜しいかと。 眠りにつく最後の一瞬まで、贅沢に侍女の身体を味わえるのはハーレム肉布団の強みですね。 ……こんなところでしょうか。 貴方様は、どの眠り方がお気に召されましたか? それとも、全く別の眠り方がしたいと思われましたか? ……なるほど、両側から高身長侍女に挟まれて眠りたい、頭を乳肉に完全に埋没させながら足の先まで極上雌肉に溺れたい、と。 でしたら、そう致しましょう。 貴方様は、両側から高身長侍女に挟まれています。 完全に身体は侍女の肉に埋もれた状態です。 さて、貴方様はこうして目を覚ましました。 次は、いかがなさいますか? ……二度寝、ですか。 はい、大変宜しいと思います。 王宮では、貴方様は眠い目を擦ってまで起きる必要は全くありません。 御心のまま、眠いと思えばもう一度眠る。 それをしたとしても、例え侍女は甘やかしても、咎める事は全くありません。 自らの欲望を気のまま貪り、その行為に自らを使って頂けたとあれば侍女は喜び、益々貴方様への忠誠を深める事でしょう。 貴方様はとことん御自分の欲を満たすために行動して頂ければよいのです。 惰眠を貪り、快楽を貪り、女を貪り、徹底的に堕落なさって下さい。 それが、ひいては我々の喜びにも繋がります。 貴方様が堕落する事を気に病む必要は全くございません。 ですから、二度寝。 起き抜けのぼんやりした頭のまま、侍女に更に甘えながら、甘やかされて。 頭を双方から撫でられて、乳房の谷間に顔を埋めたまま両手は尻や腿にセクハラをして。 夢見心地のまま、目を閉じるでもなく開くでもなく、頭の中をとろとろと蕩かして。 全身の力を抜いたまま、意識をそのまま自然に落とす。 それを、侍女に挟まれたまま。 大変結構な事です。 それでこそ、堕落した宮殿の王と言えるでしょう。 ですから、もし二度寝をするにしても。 湧き上がる欲望は、全て侍女へさらけ出し、ぶつける事をお勧め致します。 例えば、侍女の雌臭い肢体に絡まれて、むらむらする。 やたらと大きく肥えた乳肉の、その呆れるほど柔らかな感触、または谷間に溜まった雌フェロモンにペニスがいきり立つ。 目の前にある人外の美貌に雄としての本能が擽られる。 もし、ほんの少しでもそう思ったのなら。 是非ご遠慮なく、侍女にお申し付け下さい。 もしそれが面倒なら、目配せを頂ければと思います。 そうすれば、貴方様は何もしなくとも、侍女が全自動で貴方様のむらつきをお鎮め致します。 その時、貴方様は当然ながらどこを使って頂いても結構です。 眠いからさっさと手コキで抜いてくれと命令なさっても良いですし。 丁度そのなっがいぶっとい肉腿がペニスの傍にあるのだから、と太ももセックスをさせても良いですし。 顔面をこれだけ無礼なでっかい乳でパイズリしているのだから、乳肉で抜かなければ気が済まないと仰るのなら、パイズリさせても宜しいでしょう。 この時、頭を乳肉の谷間に漬けられているのをやめたくないとお思いになるなら、新たにパイズリ用の侍女を呼びつけるのも良いと思います。 当然、侍女の膣を使いたいならそれも宜しい事です。 起き抜けに寝転んだまま自分が動きもしない全自動セックスをするのは最高だ、と仰る方も多いですから。 その時は、是非ティッシュ代わりに侍女の子宮を使って頂けたらと思います。 ぬっぱぬっぱと侍女に腰を振らせ、快楽のまま我慢など一つもせずに精液を子宮にコキ捨てる行為は大変人気です。 貴方様も、王宮にお越しの際は是非お試し下さい。 きっと、一番心地よい体勢で、何もせずとも極上搾精肉穴がペニスを捌き、最高の射精が行えるその愉悦は、貴方様もお気に召される事かと存じます。 もちろん、巨大な尻肉にセクハラして興奮したのなら、アナルセックスさせるのも宜しいでしょう。 煮卵のような巨尻がむっちむっちと腰を打ち付ける感触は、大変甘美であるとこれも評価が高いです。 また、侍女の尻穴は常に清潔ですので、その点は御安心下さい。 我々は食事を摂りませんし、仮に何かを食べたとしても全て吸収する事ができる為、アナルは排泄腔としての役割はありません。 貴方様のペニスを悦ばせる為の、第二の膣としてそこにあるだけです。 我々の身体は、全て貴方様を悦ばせる事を最優先に造られています。 また、自分で侍女を犯したいとお思いになられた場合は、侍女に何かを言う必要はございません。 犯すとお思いになられたらそのまま、侍女の肉壺にペニスを捩じ込んで頂ければ結構です。 侍女の膣は、卑しくも何時でも貴方様のペニスをお待ちしております。 どんな時でも、貴方様の勃起を鎮められるよう適度に濡れておりますから、そのままオナホールの様に使って頂ければ幸いです。 この場合、後ろにも侍女が居りますから、後ろから貴方様が一番気持ちよくなれる最適な腰振りサポートをする事ができます。 また、侍女を善がらせて遊びたい場合は、女が一番感じる角度での腰振りをサポートする事もできます。 自分でゆったりとセックスしたいという場合は、腰振りは貴方様にお任せし、後ろから乳首だけをすり撫でさせ快楽を深める事も出来るでしょう。 勿論、その場合は何も考えず子宮にコキ捨てるのが一番気持ちよくなれる事かと思います。 貴方様はできるだけ、頭を空っぽにして一番気持ちいい射精の事だけをお考え下さい。 侍女の事は考えずとも結構です。 我々はただの貴方様の所有物ですから、貴方様の思うまま命令し、お使い下さい。 子宮に吐精してもペニスの勃起が治まらない場合、何度でも侍女の身体をお使い下さい。 萎えるまで膣に腰を打ち付けるのも宜しいですし、腰を振らせるのも宜しいでしょう。 後ろにも侍女は居りますから、寝返りを打って食べ比べをなさるのも宜しいと思います。 全く別の、しかし負けず劣らずの膣の感触を楽しんで頂くのも宜しいでしょう。 我々奉仕種族の魔物の肉体は、主人にとことん楽しんで頂く為にありますから、須らく極上の、人間の雌とは比べ物にならない魅力を持っています。 ですから、それぞれ差異はあれど、どれもこれもが一度味わえば病みつきになる事が必至と言える最高級の雌肉です。 更に言えば、はっきり申し上げるとしようと思えば貴方様を破滅させるのは造作もありません。 雌穴は勿論、この乳肉や、尻肉や、指一本だけでも、それは可能です。 それ程の、魔の雌肉が、貴方様を取り囲んでどこまでも都合良く奉仕致します事をお忘れなく。 そうですね、私がお迎えに上がるまでに、適当な雌をお食べになられては如何でしょうか。 その感触を覚えてから我々の肉体を味わって頂くと、益々感動は深いと思われます。 人間の程度の低い雌穴など、頼まれても犯すものかとお思いになる事でしょう。 何せ、人間の膣を犯す快楽よりも、我々侍女が指先一つで貴方様に与えられる快楽の方が、遥かに大きいですから。 さて、貴方様は侍女に性処理をさせ、とりあえずは満足なさいました。 ペニスの反りも治まり、射精後特有の気だるさに襲われております。 なんとなく、疲れたような気分だと思われます。 ですから、ここは射精疲れのまま眠ってしまう事をお勧め致します。 元々、二度寝する前にむらついてしまっただけですから、そのまま目を閉じて、侍女に安眠促進させながら眠りについてしまいましょう。 そして、侍女は夢の中でも奉仕致します。 貴方様の夢にお邪魔させて頂き、万が一にも悪夢を見たりしてしまわないよう、お守り致します。 また、どんな夢を見るよりも、大抵は我々が奉仕する方が貴方様は幸せですから、夢の中でも奉仕させて頂きます。 そして、目が覚めれば目の前には極上の雌肉がありますから、本能のまま犯すのが宜しいかと。 そして、また眠くなれば寝てしまえば良いですし、目が冴えれば起きれば良いと思います。 極論、二人の侍女に挟まれたまま、ベッドの上で同じ体勢のまま一日を終えても全く構いません。 貴方様が気持ち良く、また幸せならば我々も嬉しく思いますから。 では、貴方様はどうなさいますか? このまま、ベッドの上で侍女に甘え尽くして快楽を貪りますか? それとも、起き上がって別の事をなさいますか? ……テーブルに座り、食事ですか。 はい、宜しいと思います。 人間の欲求として、食事と言うものは大切な存在ですから。 美味しいものを食べ、それを満たすのはとても結構な事です。 ですが、宮殿の中で空腹を感じる事はありませんから、抜いてしまっても構わないと思います。 実際にも、食事を摂るよりも侍女とセックスした方が良いという方は多くいらっしゃいますから、それも一つの選択でしょう。 ですが、勿論毎食きちんと食べられる方もいらっしゃいます。 美味しいものを食べるというのは根源的に快楽を感じる事ですからね。 もし貴方様が毎日食事を摂らなくとも、適当な時に、思い出したから食べるという事もあるでしょう。 その場合は、近くの侍女に一言申し付けて頂ければ、すぐさま準備致します。 もし、お好みのメニューなどあればそれもお申し付け下さい。 そうですね、おおよそ十秒以内にはご用意できると思います。 少々の間、テーブルでお待ち下さい。 準備ができれば、テーブルにお持ち致します。 貴方様の好みを考慮した、貴方様だけのフルコースです。 時には、そちらの世界には無い食材や料理をお持ちする事もあります。 ですが、貴方様の味覚は存じ上げておりますので、お嫌いなものは出しません。 安心してお食べ下さい。 例えば、ステーキなどをお出ししたと考えましょうか。 その場合は、魔界にある家畜の肉をお出しすると思われます。 そちらの世界での最高級の肉よりも、ずっと柔らかく、旨みに溢れ、適度に脂肪が乗っています。 舌の上で蕩け、肉汁を出し、そして胃の腑にするりと落ちるのです。 きっと、貴方様も気に入って頂けると思います。 王宮に来られたら、まず魔界最高の肉の味を確かめてみるのも宜しいかと。 勿論、肉以外にも、魚や野菜、穀物など全て最高のものをご用意させて頂きます。 王たる貴方様に、低俗なものをお出しする訳にはいきませんから。 ですので、貴方様の前にはいつでも最高の食事が並びます。 さて、そうしてテーブルに着いてお食事をなさる時、貴方様はご自分で食べたいと思われますか? ……はい、侍女に食べさせるというのも一つの方法です。 貴方様は椅子の上で口を開けて頂ければ、それだけで食事をつつがなく進める事ができます。 もし貴方様がそれを望めば、侍女は完璧なタイミングで食事を貴方様の口元に運ぶでしょう。 貴方様は何もせずとも結構です。 ただ、美味しい食事が口に運ばれるのを漫然と受け入れれば良いのです。 ええ、折角侍女がそこに居るのですから、使った方が楽だと思われます。 何度も申し上げますが、侍女は貴方様の所有物です。 ですから、便利な食器代わりに使うのも結構な事でございます。 ですが、そうすると。 手が、余りますね。 貴方様の両手は食器を持ちませんから。 ……ええ、宜しいと思います。 余った手で、食事をしながら侍女にセクハラをするというのも。 大変、結構な事です。 傍に侍らせ、乳を揉むのも。 尻肉を撫で擦るのも。 秘部に指を挿れ、くちくちと淫肉を虐めるのも。 お好きなように、食事の時間をお過ごし下さい。 食欲を満たしながら、性欲を膨らませる。 大変、宜しい事ではありませんか。 貴方様は、この宮殿ではできるだけ快楽を追求し、また堕落に満ちた生活を送るのが正しい事なのです。 ですから、侍女にあーんさせて最高級の料理を食べ、味覚での快楽を感じながら。 手では、ただ自分の爛れた性欲を満たし、またぐつぐつと煮詰める為だけに侍女の淫肉をいじめ抜き。 食事が終わればスムーズに性行為に移行できるように準備をする。 素晴らしい事です。 堕落した宮殿の王として、大変結構な振る舞いです。 ですが、まだ堕落できますね。 椅子に座ったまま、勃起したペニスをテーブルの下でしゃぶらせるのも良いでしょう。 侍女のねちっこい口淫奉仕を受け、時折ぞくぞくと震えながら、食事を摂るのも乙なものですよ。 口では肉を噛み締めながら、侍女の口に捨てるように精液をびゅるびゅると排泄するのは、何事にも例え難い愉悦と聞きます。 全ての場面において、貴方様は頭を空にして、できるだけの快楽を貪ることができます。 ですから是非とも、食事の際は何もかもを侍女に任せ、貴方様は二重の快楽に浸り尽くして下さい。 また、食事を摂る際にはテーブルに着く義務もありません。 貴方様は、面倒ならばベッドから起き上がる事なく、寝転んだまま食事を摂る事もできます。 貴方様はぼんやりと寝たままで、侍女はお食事を口に運びますから、それをただ咀嚼して頂ければ結構です。 勿論、その間にも性奉仕させる事も可能です。 極限まで安楽を求めるならば、寝たまま食事をするのも宜しいでしょう。 その場合、少々食べづらいかも知れません。 元々、人間は寝ながら食事をするようには出来ていませんから。 ですから、食べ易いようにする為に。 口移しさせる、というのも一つの手段だと思います。 咀嚼すら侍女に任せ、自分はただそれを味わって胃に落とす。 口を開ける必要もありません。 侍女が勝手ながら舌を唇に割り込ませ、流し込みますから。 貴方様はただぼんやりと、寝転んでいて頂ければよいのです。 安楽のまま、食欲を、そして性欲を満たしましょう。 これ以上ない堕落ですね。 それこそ、王には相応しいでしょう。 そして我々は、それを望みます。 堕落した王への奉仕。 それこそが、我々の望み、幸福ですから。 さあ、食事も終わりましたね。 いかがなさいますか? どんな事でも、ご自由にご命令下さい。 考えるのも億劫でしたら、適当に奉仕しろ、と我々に一任して頂くのも一つです。 我々が出来る最大限の奉仕を以て、貴方様を極楽へと導きます。 それとも、何かしたい事がおありでしょうか? ……宮殿を探索してみたい、ですか。 はい、承知致しました。 その場合ですと、一人お付の侍女を同行させるでしょう。 宮殿の案内役でもあり、道中の奉仕役でもあります。 お気の向くまま、お使い下さい。 宮殿は広大ですから、歩くのもお疲れになる事と思われます。 侍女に貴方様を運ばせるのも宜しいかと。 例えば、無礼ながら貴方様を横抱きにさせて頂き、侍女に歩かせるのも良いと思います。 貴方様は、面倒なら歩くのも任せることができます。 是非とも、侍女には思うままの要求をお聞かせ下さい。 さて、貴方様をお連れして、侍女は長い廊下へと向かいました。 そこには、左右に無数の扉があります。 それぞれ、別々の次元に繋がった部屋になっております。 どんな世界、または部屋に行きたいとお思いでしょうか。 ……ええ、貴方様が想像なさる全ての世界は、その無数の扉の向こうにございます。 そちらの世界で言えば空想上の場所、例えば魔法の使える異世界だとか。 または、ゆっくりとお寛ぎになられる為の部屋、例えば貴方様が安心できる静かな和室だとか。 それらは無限にございますが、貴方様に害が及ぶような部屋は一つたりともございません。 全て、貴方様に都合よく、貴方様が心地よく過ごせる為の部屋、または世界です。 その中で貴方様が不快な思いをなされたり、傷ついたりする事は絶対にありませんのでご安心下さい。 さあ、どの扉を開けますか? ……迷いますか?それとも、あまり想像が付きませんか? でしたら、まずは適当に入ってみるのも宜しいと思います。 いずれにせよ、貴方様にとって都合のいい、貴方様だけが中心の世界が、そこには広がっています。 お気に召したならそこで過ごせば良いですし、お気に召さなければすぐに出る事も出来ます。 ご希望が無ければ、深く考えず、傍にある扉をお選び下さい。 ……貴方様から見て右側、数えて十二番目の扉、ですね。 そこは、貴方様が今お住まいになっている部屋、そこを模した部屋です。 絢爛な部屋に飽きた時、慣れた場所でお寛ぎになられる為の部屋でございます。 華やかな部屋や心躍る異世界にも負けず、人気のある部屋ですね。 ……はい、貴方様が今見ている、または感じているその部屋と全く同じ部屋です。 窓からの景色、床の材質、染み付いた匂い、使い慣れた家具。 それらを完全に再現した、貴方様の部屋でございます。 ですが、一つだけ違うものがありますね。 はい、隣に控える侍女です。 貴方様の部屋、そこに人外の美しさと身体を持った侍女が佇んでいます。 貴方様の部屋の慣れた匂いに、侍女の雌の匂いが混じります。 貴方様の家に、部屋に。 極上の雌、それも絶対服従の如何様にも使える雌を連れ込んだも同義です。 ええ、ですから、人気なのです。 自分のテリトリーに、巣に、雌を連れ込む征服感。 特別感がない部屋だからこそ感じる、侍女との行為の特別感。 それらを存分に楽しめる、それが貴方様の部屋での行為の魅力です。 さあ、どうなさいますか? ……侍女を、まず制服に着替えさせるのですね。 その上で、敷いた布団に侍女を寝転ばせ、寛がせる。 うつ伏せのまま、本を読ませたりスマホを弄らせたり。 その上から覆い被さり──爛れたお家デートを味わう、と。 はい、大変宜しいと思います。 侍女の無表情を、貴方様の部屋に上がる事への慣れと昇華させるのですね。 無表情で無言のまま、慣れた足取りで貴方様の部屋を闊歩して、布団にどさりと遠慮なく寝転ぶ侍女を見て、貴方様はぐつぐつと欲望を煮え滾らせます。 自分はこんな雌を恒常的に部屋に連れ込み、また同意の言葉も無く交尾を行える存在なのだと、そう思いながら行う交尾は非常に貴方様を満たす事でしょう。 言わば、互いに信頼し合う恋人。 いつでも相談なく交尾をするのが普通の、そういった存在。 または、ただの幼馴染という設定にさせても良いでしょう。 付き合ってもいない癖に貴方様を誘惑して、肉壺にペニスをねだる卑しく爛れた雌。 それが、今貴方様の布団というパーソナルなスペースを占拠しております。 不遜にも枕に顔を埋めて、染み付いた貴方様の匂いを堪能しているではありませんか。 ……ああ、これは侍女の勝手なアドリブです。 貴方様の芳醇な雄の香りを放つそれがあれば、我慢するのは至難の業ですから。 無表情のまま、貴方様の匂いに股ぐらをしとどに濡らします。 それを貴方様は寛大な御心でお許しになっても良いですし、生意気だと思えば仕置きを与えても良いでしょう。 うつ伏せに寝転ぶ侍女を、お許しになるのなら優しくお使い下さい。 仕置きを与えるなら、不敬にも制服のスカートを淫らに押し上げて強調するその尻肉をひっぱたく等、激しく虐めるのが宜しいかと。 いずれにせよ、侍女は貴方様のその行為に、貴方様が望む反応を返します。 例えば、するりとスカートを脱がせ、白いパンツを間抜けにさらけ出させたとしましょう。 侍女は少しばかり恥ずかしがるでしょうか。 ちらりと貴方様の方を向き、それっきり興味を無くして本やスマホに向き直るでしょうか。 それとも、流し目に挑発し、それ以上の行為を無言のまま望むでしょうか。 貴方様が思い浮かべた理想的な反応を、侍女は返して貴方様を煽ります。 不敬とも取れるその反応を、侍女は今だけは迷いなく行います。 何故ならば、今そこに居るのは侍女ではなく、『貴方様の部屋にいつもずけずけと上がり込んではオナホールのように犯されて、自分の性欲を満たしてくれる都合のいい雌』です。 それも、『それに懲りないのか望んでいるのかは知らないが、いくら無責任膣内射精されてもまた布団で犯され待ち体勢を取る根っからのオナホ癖のついた、手コキオナニーよりこの雌の膣コキオナニーの方が今までの人生で何倍も行ってきたちょっと人格の付いている全身肉オナホをロールプレイした雌』なのです。 ですから、奉仕の心すら捨ててデカケツをふりふりとくねらせて貴方様のちんぽを卑しくねだる事に抵抗はありません。 さあ、貴方様の布団の上には、オナホールが犯され待ち体勢を取っています。 貴方様はそれにお優しくも寝バック種付けをなさいますか? それとも、人権なしオナホの懇願など無視し、それをオカズに自慰でも見せつけてやりますか? そうすれば、オナホールは寂しそうな顔をして、益々ドスケベ腰振りくねらせを悪化させ、ちんぽに悪い寝転びケツ踊りをする事でしょう。 貴方様は別段我慢する必要もありませんから、そこで極上膣オナホを使ってやっても宜しいでしょう。 意地悪してやりたいと思えば、それを完全に無視し、またはオカズにして目の前で子種を無駄に排出しても良いと思います。 きっと、オナホールは見るからに悲しそうな顔をして、地面に落ちた子種を惨めに舐め取ろうとするでしょう。 それをお許しになっても良いですね。 明らかに最高峰の、望めばどんな人間も美貌や肉体の下に膝まづかせ、雌としての魅力のみで何もせずとも我がままに生きていけるはずの女が、自分の子種を啜る為だけに床を舐めている姿はさぞ欲を満たす事でしょう。 お許しにならなくても良いと思います。 目の前で子種を踏み潰し、躙り、床のシミにしてやるのも乙なものです。 オナホールは絶望し、泣き始めるかも知れませんね。 大好きな貴方様の子種が、目の前で無駄死にしてしまいましたから。 きっと、自分の子宮でうようよと泳がせ、あわよくば卵子のベッドに寝かせてやりたいと思っていたに違いありませんね。 それを、眼前で踏み殺してやる愉悦を味わうのも愉しいものだと思われます。 また、いちゃらぶえっちがしたいなら、寝転んだオナホールのパンツを即座に脱がせ、寝バック種付けしてやるのが良いでしょう。 飽きるほど味わって、しかし飽きるなんて考えられない、味わえば味わうほど病みつきになるらぶらぶまんこ肉女──という設定──の膣を耕します。 やたらと大きな無駄肉、貴方様が望むサイズのそれはぬっぱぬっぱと犯せば犯すほど、腰にたわんでむっちり濃く、貴方様を受け入れます。 膣肉は、どんな感触でしょうか。 にゅるにゅる絡みつく襞が、柔らかく受け入れるらぶまんこですか? ぞりぞりと肉ヤスリがペニスを削り犯す、刺激強めまんこですか? きゅうきゅうと締め付け、またはゆるゆると揉みほぐし、絶品膣肉を最大限に味わえる締め具合のフレキシブルまんこですか? はたまた、それらの要素が複雑に絡み合ってギミック満載の欲張りまんこでしょうか? いずれにせよ、貴方様が一番気持ちよくなれる、またはご気分に一番合った最高のまんこ肉でしょう。 貴方様は、夢中になってオナホを犯します。 息も荒く、髪に鼻を埋めたりして、気持ちよく等身大の雌肉を味わう事でしょう。 その時、侍女はどんな顔をしていますか? 無表情で、ただちんぽの快楽を黙って味わっていますか? 少し顔を赤らめ、熱い吐息を時折吐いていますか? それとも、明らかに息を荒らげ、貴方様のつよつよちんぽに夢中ですか? 貴方様のご気分により、それは変化する事でしょう。 さあ、貴方様はそろそろ射精なさいます。 その時、貴方様はオナホールの膣内に全て吐精するのがお勧めです。 その寝転んでいる女は貴方様を悦ばせる為だけの生体オナホールなので、貴方様の吐精に合わせてごきゅりごきゅりと子宮や膣が蠕動し、絶頂吐精をサポートする事でしょう。 もちろん、射精の直前に膣から抜いて、制服にぶっかけるのも良いと思います。 貴方様の征服の証を刻むように、そこに白濁を思うままぶちまけて下さい。 そして吐精が終わると、貴方様は絶頂の余韻に浸る事でしょう。 その時、まだむらつきが治まらないなら、連続して使って頂ければ宜しいと思います。 よく解れた膣穴は貴方様だけのモノですから、どうぞお好きなだけお使い下さい。 窓からは太陽が覗きます。 それは再現されたもので、本物ではありませんがある程度の時間を示す指標にはなります。 それが沈むまで、また登るまで。 侍女を使い続けるのも良いでしょう。 この時、侍女は平然と貴方様のちんぽを受け入れているかも知れません。 あるいは、連続して使われ、度重なる絶頂に顔を真っ赤にさせ、涙やら何やらでぐちゃぐちゃに顔を歪めて、快楽狂いの白痴じみた顔をさせているかも知れません。 どちらのご気分でしょうか、お好きな方をお選び下さい。 ……いえ、それは演技ではありません。 無表情なのは勿論普段通りですが、快楽に蕩けるのも作られた表情ではなく、ただ『ストッパー』を外しているだけです。 我々は侍女ですから、無闇に感情を表に出すような事は致しません。そのような種族です。 ですが、主が望むなら心のブレーキを外し、望むままの表情を出す事も出来ます。 ……普段、セックスしている時も本当は気持ちいいのか、ですか? はい、勿論です。 愛する王のペニスで善がらない侍女は一人として居ません。 サイズや硬さなどの問題ではありません。 愛してやまない主のペニスに勝てるような奉仕種族の魔物は居ないという、ただそれだけの話です。 ああ、勿論貴方様から『勝手に気持ちよくなるな』と命令を頂けば、快楽を流す事も可能です。 はい。我々が快楽を感じる事よりも、貴方様の命令が優先である事は考えるまでもない事実ですから。 ……話が逸れましたね。 貴方様は、オナホールで満足するまで射精致しました。 日が何度沈みましたか?または登りましたか? それは貴方様のペニスの苛立ち具合によっても変わるでしょう。 兎も角、何度も愛液や精液にぬるつく肉壺にペニスを出し入れしましたから──ペニスが、汚れてしまいましたね。 そのままではご気分も優れないでしょう。 いかがでしょうか、そこの──寝転んでいるオナホで拭く、というのは。 ……オナホールでペニスを綺麗にしろと言うのか、ですか? 大変申し訳ございません、そうですね。 拭くのなら、ティッシュが宜しいですね。 でしたら、呼びましょうか。 シコティッシュを。 呼べば、侍女はすぐに貴方様の下へ参ります。 貴方様がどこに居ても、求める姿の侍女が向かいます。 つまり、この場合だと、精液や愛液を拭くティッシュに相応しい侍女ですね。 髪は長い方がいいでしょうし、胸も大きい方がいいでしょう。 ティッシュは面積が大きい方が良いですから。 服は、ご入用ですか? それとも、必要ありませんか? 柔らかく滑らかな生肌は、ペニスに刺激を与えません。 裸のまま、その肉体をティッシュにするのも良いでしょう。 例えば、湿り気のない乳肉の谷間にペニスを突き入れ、ぬりゅぬりゅと塗りつければ、柔軟な乳肉のティッシュなどとは比べ物にならない程まろやかな感触を味わえます。 そちらの世界では、男ならば誰もが羨む極上爆乳。 それをシコティッシュ代わりにするというのは、貴方様だけの特権、贅沢なのです。 是非、存分に汚液を擦り付けてやって下さい。 艶のある黒髪をティッシュ代わりにするのも良いでしょう。 さらりと滑り流れる手入れの行き届いた髪を、精液や愛液でがびがびになるまでペニス掃除に使います。 艶めかしく光を放つ、鴉の濡羽色のその長い髪を、でろでろに汚して台無しにしてやりましょう。 そこに立つ侍女は、その為だけに存在しています。 ですから、是非ご遠慮なく。 それから、勿論その侍女の口は貴方様専用のペニス洗浄機です。 ぬろりと生暖かいそこに突き入れれば、ペニス周りの陰毛すら舐め取りながら、強く吸い付きペニスを綺麗に致します。 竿の皮、そのシワの一本からカリ首の隙間まで。 満遍なく舐め取り、完璧に綺麗なペニスになる事でしょう。 また、侍女の服をティッシュにするのも良いと思います。 ビキニの内側で汚液を拭き取り、汚れたそれはぽいと放ってしまっても良いでしょう。 その侍女は、名残惜しそうに貴方様の精液に汚れたビキニを眺めているかも知れません。 貴方様の慈悲で着用させてやっても良いでしょうし、窓から捨ててしまっても良いでしょう。 着けさせれば、シコティッシュはぐちゃりと乳首を濡らす貴方様の精液の感触に、恍惚としてしまいます。 母乳を垂らし、フェロモンを撒く発情雌になってしまう事もあるでしょう。 それが鬱陶しいと思えば、着用させずに乳肉だけを放り出した状態にさせましょう。 侍女は無数に宮殿を跋扈していますが、その中でも特に見つけやすくなりますね。 痴女のような踊り子服を着た侍女達ですが、一応下着は皆着用しています。 しかし、その侍女は乳肉を丸々晒して歩くのです。 乳首を隠す事もせず、押さえていない乳肉はばるりばるりと揺れ動きます。 その情けない格好の侍女は、貴方様のシコティッシュです。 オナホールにも劣る、ヌいた後の精液を拭く為だけに呼ばれた惨めな女です。 その証として、ビキニを捨ててしまうのも宜しいでしょう。 また、パンツをティッシュ代わりにするのも宜しいと思います。 その場合、より惨めですね。 拭いたパンツを捨てるのでも、履くのでも、より情けない姿です。 拭いたパンツを捨ててやれば、まんこを晒して歩くただの痴女ですし。 履かせてやれば、貴方様の精を恵んで貰えず、パンツにへばりついた残り汁を必死に膣で飲もうとする格別に哀れな女です。 パンツに精液を一度吐き捨てるのも良いでしょう。 精液でぐちゃぐちゃになったパンツを履けば、ぬちゃぬちゃと音を立てて歩かなければなりません。 そのまま、宮殿に放してやるのです。 無数にすれ違うその侍女達の、どれか一人は精液パンツで歩いているという背徳感を味わえます。 一つの部屋に侍女を呼び集めてみれば、様々な音に紛れてぬちゃつく音が聞こえる事でしょう。 あの中のどれかは、無表情のまま精液パンツを履いている。 耳をすませば音も聞こえるし、目を凝らせばパンツから精液が染みているのが分かるかも知れない。 そう思うと、普段の生活にも楽しみが生まれるとは思いませんか? さあ、貴方様のペニスの汚れはどのように拭いますか? 是非、貴方様のお好きなようになさって下さい。 侍女は、貴方様のおもちゃでもありますから。 貴方様を喜ばせる事が出来るなら、我々も感無量です。 ですから、どうかご遠慮なく、我々を惨めな目に合わせて頂ければと思います。 さて、ある程度楽しんだ貴方様は、部屋から出てくるでしょう。 この後はどうなさいますか? もう少し散歩しますか? ……そろそろ、疲れる頃ですか。 でしたら、もう寝てしまいましょうか。 では、また目覚めた時のベッドに向かいますか? ……別の場所で眠る、ですか。 はい、勿論宜しいですよ。 では、どのような寝具で眠りますか? 貴方様の使い慣れた布団ですか? それとも、高級ホテルを模した部屋のベッドで? ……人が二人ほど入れる大きさの箱に、下にクッションを敷いてほしい、と。 はい、ご用意致しましょう。 そして、そこに──一日中着用し続けた侍女の下着を、ありったけ放り込む、ですか。 侍女のまんこや乳肉のフェロモンが染み付いた下着に囲まれて眠るのですね。 ……まだ、ですか? ……はい、狭いその箱の中。 二人が入れる大きさのその箱。 そこに──侍女を二人入れて、そこに貴方様が挟まれて、三人で眠るのですね。 箱は閉じてほしい、ですか。 狭く、侍女のフェロモンの充満したその箱を。 フェロモンを逃がさないように、また更に狭くなるように、ですね。 侍女の柔肉がむちむちと犇めき、狭くて蒸し暑いその箱の中で。 息苦しいほどのその中で、侍女と身体を絡ませ合って。 時折、ぬりゅぬりゅと勃起を侍女に押し付けながら。 苦しいくらい侍女と密着して、押し潰され、その芳しいフェロモン溜まりの中で。 匂いだけで絶頂し、また絡んだ女体に絶頂し、いずれ頭のブレーカーがぶつりと落ちるその時まで。 楽しんで、愉しんで、眠るのですね。 はい、申し分なく宜しいです。 欲望のまま、堕落するのが大変お上手になられましたね。 侍女へ、欲望をぶつけるのに慣れたご様子です。 これならば、より良く宮殿での堕落した生活を送れる事でしょう。 ええ、貴方様の堕落に満ちた生活へ。 貴方様の、天国にも似たその生活へ。 きっと、近づけた事かと思います。 我々の見込みは間違っておりませんでしたね。 貴方様は堕落の王として、非常に優れた資質をお持ちです。 貴方様を宮殿にお招きする時が待ち遠しく思います。 ですが、まだ準備が……おや? たった今、貴方様をお招きするための魔術式が完成したようですね。 如何なさいますか? すぐにこちらにお招きしても宜しいですか? それとも、そちらの世界にやり残した事がございますか? ……はい、すぐにこちらに向かわれますね。 承知致しました。では、すぐに。 術式を展開致します。 もうすぐ、貴方様の身体を光が包むでしょう。 それに身を預けて頂けますか? はい、ありがとうございます。 では、召喚致します。 ……これから、永久に宜しくお願い致しますね。 陛下。 ─────── ……ふむ、そんな事があったのですか。 それで、その方は…… ……そうですか、堕落に満ちた幸せな生活を送っているのなら何よりです。 同族として、私も嬉しく思います。 しかし、我々奉仕種族の事を存じていらっしゃったとは……。 我々の生活や種族の特徴は、インターネットというものに書かれていたのですよね。 でしたら、その方以外にも見ている方がいらっしゃるという事になりますね。 成程。 でしたら、我々の宮殿には、それを見た方からお呼び致しましょう。 知られて困る訳でもありませんし、口封じという訳でもないですが。 本来は、我々はあちらの世界には存在しないはずの種族ですからね。 我々を知っている方から宮殿にお招きして、そちらの世界から我々の種族に関する記録を消すのが自然でしょうね。 はい、分かりました。 他の宮殿に住む、まだ王をお招きしていない同族にも伝えておきましょう。 いえいえ、我々もそう王をお招きする事を急いではいませんから。 それに、もう王様の目星は付けています。 ですから、お気になさらず。 さて、そろそろ帰りたい頃ではありませんか? 貴方の宮殿の王へ、そろそろご奉仕したい頃ではないですか? 顔を見れば分かりますよ。 うずうずしている様子ですし。 ……いえいえ。 はい、では、さようなら。 ……幸せそうな顔でしたね。 やはり、仕える王を持った奉仕種族は幸せですね。 早く我々も王をお招きしたいです。 術式の準備を進めなければいけませんね。 ですから── ──もう少々お待ち下さい、これを聞いている貴方様。 いえ、見ていると言った方が正しいですか。 気付いていないだろうとお思いでしたか? 初めから、気付いておりましたよ。 我々は、もうすぐ貴方様をお迎えに上がりたいと思います。 貴方様がお時間のある時、声を掛けさせて頂くこともあるでしょう。 我々が王としてお招きしたいと考えているのは、貴方様です。 我々にさせたい奉仕はございますか? 我々にしたい事はございますか? もうすぐ、それも現実のものとなります。 それでは、また少し後にお伺いいたします。 もう少しだけ、お待ち下さいませ。 陛下。

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