浮遊大陸レンヌ・ル・シャトー内部にて…
KOS-MOSを大破させなおも迫るT-elosから、仲間を逃すための囮として一人残ったケイオス。
だがその戦闘力の差は歴然、早速その腹に痛烈な一撃を叩き込まれてしまうが…
「もっと僕のお腹を…狙ってこいッ!!」
先ほど喰らったパンチの痕を見せつけるように、ケイオスはお腹を覆うボディスーツをわざと引き裂いていく。
その彼の仕草を訝し気な視線を送るT-elos。
「…何をしている?」
ちょうど臍を中心に腹部がまるまる見えるくらいスーツを割いた後、両手を大きく頭上に掲げるケイオス。
大きくさらけ出された彼の生腹…まるでまたそこを狙ってくれと言わんばかりに体を仰け反らせる。
「ぼ、僕のお腹は…こんなことじゃ…潰れないぞ…!」
明らかに先の一撃によって受けた著しいダメージに苦悶の表情を浮かべているが、それでもT-elosを睨み据えるケイオスの視線。
「………」
そんな彼の腹部へと視線を向けるT-elos。
先の一撃によって大きく穿たれた陥没穴に、内部組織が破裂したことで変色した皮膚…
見るからに痛々しい様相であったが、その中で特に"あるもの"が目に付く。
腹の陥没穴の中心部…そこに存在していた赤みがかった丸い肉片。
まるで自己主張するかのようにポッコリと盛り上がっていたのは紛れもなく彼の臍…
腹をさらけ出す前からスーツ越しにくっきりと浮かび上がっていたケイオスの"出ベソ"であった。
「フン、ならばその"デベソ"ごと…貴様の腹を潰してやる!!」
「ッ!?」
一瞬、T-elosの姿が視界から消えた瞬間…
「オ"オ"ッッッッッブうッッッッ!!????」
まるで腹部に巨大な鉄杭が貫通したような衝撃。
再びケイオスの腹部へと深くめり込んでいたT-elosの拳。
それは先の一撃と全く同じ箇所に寸部の狂いもなく打ち込まれていた。
「…なにッ!?」
だが拳が彼の腹にめり込んだ瞬間違和感を感じるT-elos。
先と違ってケイオスの体は吹き飛ばず、その腹は奥深くに喰い込んだ彼女の拳をガッチリとまるで逃さんばかりに咥え込んでいる。
そしてさらにその手首を両手でしかと掴むケイオス。
「ゥブッッ!!!ウ"…ぐ……や、やっと…つ、捕まえた……」
「!?」
苦悶の表情を浮かべつつも、眼前のT-elosを睨みつけるケイオス。
「や、やっぱり…僕のお腹を………狙って…きたね……」
その瞬間、彼女の腕を掴んだケイオスの両手が発光する。
「貴様ッ!?」
「そ、そうさ…わ、わざと僕は…君の拳を…お腹に喰い込ませたんだ…!!この時を…狙って!!」
T-elosの腕に流れ込んでくる力の噴流。
「まさかッ!!自分ごとやる気か!?」
「そ、そうさ…今の僕にできるのは…これくらい…」
「ぐっ!!」
咄嗟に彼の腹から拳を引き抜こうとするt-elos。
だがそれを離すまいと両腕とお腹に渾身の力を込めるケイオス。
さらに彼女の拳を自身の腹奥に喰い込ませる。
「ブふゥッッッ!!!!も、もっと…僕のお腹にィ…ッ!!」
まるで腹部の"何か"に吸い付けているかのように離れない拳。
「クソッ!」
「さあ、これで…ッ!!」
ケイオスが両手…そして腹部の"中心"に込めた力を解放しようとした瞬間であった。
ガシッ!!
「うあぁッ!!??」
不意に背後へと引っ張られる彼の体。
その瞬間T-elosの拳が腹から引きはがされ、咄嗟に後退する彼女。
「そんなッ!!??」
自身の命を懸けた一撃が寸前で不発となり愕然とするケイオス。
「私の最高傑作を…傷つけられてしまっては困る」
突如背後から聞こえてくる声。
咄嗟に振り返ろうとするケイオスであったが、自身の両肩口を背後から抑え込まれ身動きが取れない。
彼を羽交い絞めに捕らえていたのは赤い外套をまとった謎の人物であった…
【続く】